2009年5月18日の夜、日本プロ麻雀連盟のホームページ上に『牌譜データサービス』という新サービスがオープンしました。
このサービスの立ち上げに、システム面で関わってきた私が今回のコラムを担当することになりましたので、お付き合いください。
麻雀という競技は、囲碁や将棋のような同種の競技と比べると、そのすべてを伝えるのは容易ではない競技です。
1対局は平均すると10〜11局でしょうか、数巡で終わる局もあれば流局までいく局もありますが、1人がツモる回数だけでも1対局で100回を超えるでしょう。
これが4人分、そして打牌もあるので全員のツモ&打牌は1,000回を超えることが殆どだと思います。
その1,000回を超えるであろうツモ&捨て、その時々の点棒状況や仕掛けの有無などを考えると、如何に多くの状況が存在するか分かると思います。
昔は、麻雀の内容を細かく伝える手段と言えば、新聞や雑誌でした。
誰か一人のある時点の手牌とツモ牌に対して、ここで何を考えどう打った、などです。
これは、「部分牌譜」と呼ばれています。
以下、部分牌譜の例。
全員の点棒状況や誰かもう一人の手牌や捨て牌が紹介されることもありますが、4人全員の手牌、捨て牌などが紹介されることは誌面の都合上、そう見かけることはなかったと記憶しています。
ただ、プロの世界ではそのような部分的な記録だけでは、向学のためには不十分と言わざるを得ません。
その場に立ち会える対局に対しては、『採譜』という行為が行われていました。
対局者1名に「採譜者」と呼ばれる記録者が付き、配牌からツモ牌、捨て牌、終局時の手牌をすべて紙に記録していました。
こうして記録したものを、4人分合わせて一局のすべてがわかるようにしたものが「全体牌譜」と呼ばれるものです。
以下、全体牌譜の例。
そして、この全体牌譜を開局から終局まで、1対局分まとめられたものが「整理牌譜」と呼ばれるものです。
整理牌譜の作成には、すでにパソコンが使われていましたが、作成するまでに多大な時間と労力がかかっていました。
特に記録内容に間違いがあった場合などは、間違った箇所を見つけ、どう間違っているのかを理解し修正するのは、熟練者でなければ難しい場合も少なくありませんでした。
現在、連盟ではパソコン採譜システムができたおかげで、このあたりはかなり楽になってきましたけどね。
さて、こうして様々な難関?をクリアしてできあがった整理牌譜ですが、見るのも容易ではありません。
前述の全体牌譜を見ても分かると思いますが、何巡目に誰がどのような手格好で、誰と誰が1シャンテンで、といったことは整理牌譜を見慣れた熟練者でなければ容易にわかるものではありません。
整理牌譜がパソコンで作成できるようになった頃、既にインターネットで麻雀を打つことができるようになっていました。
打ち終わった対局を、再生機能で振り返ることができるようになっていたので、整理牌譜をパソコン上で再生して見られるようになるといいね、と多くの人が思っていました。
下の画像のように、配牌からツモ、捨て牌、全員の手牌が見られると一番いいですよね。
そして、ようやくそのシステムが陽の目を見ることになりました。
「牌譜データサービス」
今から2年と少し前、インターネット麻雀「ロン2」とパソコンテレビGyaOとの企画で行われた「ロン2カップ」、この時からパソコンで採譜を行い、対局終了直後に再生するということが行われました。
振り返ると、この時は大きなトラブルもなく採譜が出来て再生も出来たのですが、それは奇跡だったと思います。
それからの連盟の各種タイトル戦では、色々なトラブルが出てきたり、システムの不具合も見つかったりして記録ができない場面もありました。
その時は、昔に戻って手書きの採譜をしたりもしました。
ちなみに、パソコン採譜に慣れると手書き採譜も自然にできるようになる気がします。
「記録したものを再生する」、ただそれだけのことですが、かなりの時間を要してしまいました。やっと連盟の対局やモンド21、CS
GyaO、GyaOで放送されている対局を麻雀ファンの方々へ届けられるようになり、新しい時代の一ページを刻むことができたのでは?なんて思っています。ちょっと大げさですね。
利用方法などは牌譜データサービスのページを読んでいただければわかると思います。
そんなに難しいことはないと思います。登録はメールアドレスを登録するだけの簡単登録になっています。
過去に紙媒体として提供したタイトル戦の牌譜は、紙媒体の半額以下で購入できるものも少なくないので、今まで紙媒体を購入していた人はそれだけでも嬉しいのではないでしょうか。
そうそう、これを機に紙媒体での牌譜提供は終了になったことをここでお伝えしておきたいと思います。
今のところ、対局内容について解説やコメントを付与したものは少ないのですが、これからそういった牌譜も増えていく予定です。
みなさんからのリクエストなども受け付けています。
「第○回の鳳凰位決定戦の牌譜、優勝した前原プロの解説を読みたい!」とか「モンドの対局で森山プロが対戦者にはいないのだけれど、森山プロの客観的な解説をつけてほしい。」、「あの対局のあの場面、あの打牌の理由は??」など遠慮なく、牌譜データサービスのほうにリクエストを投げてほしいと思っています。
業界初の試みで、どのような牌譜データを提供することが麻雀ファンに喜ばれるのか?ということが私たちも試行錯誤しているというのが正直なところでもあるので、そのようなリクエストは本当にいっぱいいただけたらと思っています。
時には自分以外の人の麻雀を見て、その考え方に触れることは間違いなく自身の麻雀力をアップさせることになります。
牌譜データサービスが麻雀ファンの人たちの知的好奇心を満たしつつ、雀力向上に役立つことを願っています。
執筆:こご まさとし
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