麻雀マスターズ レポート

麻雀マスターズ レポート/第24期マスターズ ベスト8トーナメントレポート 西岡 慎泰

5月2日(土)、第24期麻雀マスターズの準決勝が夏目坂スタジオで行われた。
ベスト56よりトーナメント方式となっており、この準決勝もそうである。
準決勝のルール・システムを、簡単に下記に示す。
・日本プロ麻雀連盟Bルール(一発・裏ドラ・カンドラ・カンウラあり)
・30,000点持ちの30,000点返し、順位点は5-15
・同一メンバーで半荘3回戦を行い、トータルポイント上位2名が決勝進出
特徴としてはやはり、一発・裏ドラがあること。
リーチに対しては打点が読みづらく、一気に高打点となるケースも多い。
もう1つはトーナメント方式かつ順位点があること。
上位2名に入ればよいためトータルポイントがマイナスでも問題なく、また展開により押し引きや手組みに大きく影響する事もある。
(自身の着順はもちろんだが、他家の着順も勝ち残りに大きく影響するため)
それではまず、準決勝2卓のうち最初に行われたA卓の戦いを振り返ってみたい。
 

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A卓
白鳥翔(連盟) vs小川尚哉(連盟)vs平賀聡彦(最高位戦)vs中西正行さん(一般)
昨年の決勝メンバーで唯一勝ち残っている中西さん、プロ連盟A2リーグの白鳥、B1リーグの小川、最高位戦Aリーグに9年君臨している平賀。
ご存知の方も多いメンバーではないだろうか。
1回戦(起家から、中西さん・小川・白鳥・平賀)
1回戦、東1局から全員のパワーが伝わってくる。
最初のテンパイは親の中西さん。
二万二万七万七万八万八索八索六筒六筒七筒七筒発発  ドラ九筒
しかし何とその巡に全員テンパイ。(小川リーチ・白鳥ホンイツ仕掛け・平賀リーチ)
2件リーチとなる一発目、中西さんのツモは自身のフリテンとなりリーチに危険牌とも言える四索
手の内には安全牌の発(場に2枚切れ)があるものの、四索ツモ切りとし勝負。
結果は白鳥が下記手牌でアガリとなった。
一筒一筒一筒三筒三筒三筒五筒五筒八筒九筒  ポン白白白  ツモ七筒
いきなりの山場を制し2,000・4,000と白鳥は会心のスタートになったが、全員に失点を恐れる気持ちはなさそうだ。
白鳥はこのアガリで勢いをつけ、東3局の親番で4,000オールを一発でツモアガると大きく2着目を引き離す。
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そして2着から4着までが接戦で迎えた東4局平賀の親番、現状2着目の小川が2巡目に下記手牌で二索ポンとする。
三万三万四万八万八万九万二索二索七索九索五筒八筒八筒  ドラ南
いわゆる「遠く安い鳴き」だ。
満貫以上のアガリはほとんど見込めない上、当然守備力も落ちる。
恐らくはトーナメントである事と点数状況等を踏まえての作戦であろうが、私の知っている小川とは異質に感じた。
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最終的には中西さんが白鳥から6,400のアガリとなったが、2フーロして自分にテンパイが入らなかった事、親の平賀にリーチが入った事、中西さんに四暗刻ツモアガリの可能性があった事を考えると好手とは思えず、小川はすでにバランスを崩してしまっていたのではないだろうか。
そのまま白鳥トップ目で迎えたオーラス、状況が大きく変わる。
最初のテンパイは白鳥。
七万八万九万九万一索二索三索二筒三筒四筒七筒八筒九筒  ドラ七索
4着から浮上するには満貫以上を狙いたい小川が下記手牌でヤミテン。
八万九万七索八索九索五筒五筒五筒六筒六筒六筒七筒八筒
3着目の中西さん、2着目の平賀とは1,100点差で白のポンテン。
二万三万四万五万六万八万八万四索五索六索  ポン白白白
中西さんは、ツモもしくは平賀からの出アガリであれば2着浮上となる。(リーチ棒が出た場合は誰からアガっても2着)
2着と3着では順位点が10,000点違うため、3面張である事も踏まえると、白鳥と小川からの出アガリは見逃しをかける手もありそうだ。
そして最後に親の平賀もテンパイとなる。
四万七万七万三索三索六索六索七索七索三筒三筒七筒七筒
小川は手替わりしないまま一万をツモ切りリーチとし、最後の1巡(一発)に望みをかける。
そして中西さんは小川の切った一万を見逃しとする。
しかし、直後にツモった平賀の手には何とラス牌の四万
6,000オールで一気に平賀がトップ目に躍り出た。
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続く1本場は小川が白鳥から満貫をアガるも、着順は変わらず1回戦終了。
1回戦終了時
平賀+32.0P  白鳥+9.3P  中西さん▲14.1P  小川▲27.2P
 
2回戦(起家から、白鳥・平賀・小川・中西さん)
平賀が3局連続でアガリを決め、さらに親番で純チャン三色のリーチを打つと、白鳥が1,300・2,600で待ったをかけるという展開。
その後も白鳥・平賀は仕掛けを駆使し局を進め、小川・中西さんは一度もアガリが生まれない。
先行した2名のゲーム運びは本当に上手く、仕掛ければ相手より一手早くかつ確実にアガリに結び付ける。
小川・中西さんにアガリがないまま迎えた南3局、4着目小川の親番で7巡目に下記テンパイが入る。
三万四万五万五万六万七万四索五索六索三筒四筒五筒六筒  ドラ二索
恐らくは三色等の手牌変化も考え一度はヤミテンに構えるものの、早々にドラを切り2フーロとなった平賀を抑え込もうと、ツモ切りリーチを敢行。
結果、直後に二万を2連続ツモとなり、見た目では一発ツモの親満を逃してしまう形。
そしてオリに回らず勝負に来た平賀にアガリを許してしまった。
小川の選択が成功となるケースももちろんあるが、この半荘の数少ないチャンスだっただけに、小川にとっては悔やまれる局になっただろう。
オーラスの親は中西さん。
この半荘一度もアガリに結びついてないものの失点は少なく、トップまでは10,200点差。
しかしながら6巡目には白鳥がテンパイ、7巡目には平賀もテンパイ即リーチとなり、さらには平賀が一発で2,000・4,000をツモ。1回戦と同じ着順になった。
2回戦の成績
平賀+28.6P  白鳥+10.3P  中西さん▲11.9P  小川▲27.0P
2回戦終了時
平賀+60.6P  白鳥+19.6P  中西さん▲26.0P  小川▲54.2P
 
3回戦(起家から、中西さん・平賀・小川・白鳥)
東1局、親の中西さんがリーチを打つも先にテンパイを入れていた平賀、一発で中西さんの入り目である七万を勝負してアガり、反撃を許さない構え。
東2局は白鳥がアガり、2回戦同様に小川・中西さんはアガリに結びつかないパターンで進む。
しかし東3局、平賀が遠い仕掛けを入れると中西さんに下記のチャンス手が入る。
二筒三筒五筒五筒六筒七筒八筒南南南中中中  ドラ七万
一筒は場に4枚切れとなっており、四筒のアガリも期待は薄そうだが中西さんはリーチを選択。
後に五筒をツモっていたため高目三暗刻の三筒一筒待ちへ変化し、12,000出アガリの可能性もあったが、結局は流局となってしまった。
この1局は終了後に中西さんがリーチを悔やんでいた局である。
だがその後、中西さんに大きなアガリが出る。
南家の中西さん
八万八万九万九万五索五索六索六索九索九索一筒西西  ドラ九万
好形1シャンテンを維持した小川から一発で出アガり、12,000。
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南1局は平賀がアガリ、中西さんは最後の親番が流れてしまうも、南2局
三万四万五万五万六万六万七万八万北北  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ドラ北
この満貫を平賀からアガリ、持ち点が50,000点を超える。
しかし、南3局で小川が連荘の後、白鳥が500・1,000は800・1,300をツモアガると、オーラスで中西さんの現実的な条件は、跳満ツモもしくは白鳥からの満貫直撃。
結局全員ノーテンで流局となった。
最終戦の成績
中西さん+33.7P  白鳥+5.3P  平賀▲12.7P  小川▲26.3P
最終戦終了時
平賀+47.9P  白鳥+24.9P  中西さん+7.7P  小川▲80.5P
決勝戦進出者
平賀聡彦  白鳥翔
 
そして次に準決勝のもう1卓、B卓の戦いが始まった。

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B卓
瀬戸熊直樹(連盟) vs藤本哲也(連盟)vs木原浩一(協会)vs石川優さん(一般)
プロ連盟のAリーグ・Bリーグ1名ずつ、他団体プロ1名、一般から1名の組み合わせであり、偶然にもA卓と同じような構図となった。
1回戦(起家から、木原・石川さん・瀬戸熊・藤本)
東1局、親の木原が瀬戸熊の先制リーチをかわして3,900。
続く1本場では四筒を暗カンし早い段階で1シャンテンとなり、このまま流れに乗るかと思われたが、新ドラの中をポンした藤本が2,000・4,000をアガる。
次の東2局、親の石川さんが下記手牌
三万四万七万八万五索六索七索三筒四筒五筒五筒七筒八筒白  ドラ二万
白は場に2枚切れであり、誰にも動きのない状況であるため白切りかと思えたが、雀頭とリャンメンを固定する四筒切りとしスマートに構える。
そして瀬戸熊の先制リーチが入るも、危険牌は1枚のみで勝負しやすい手組み。
結果は、石川さんが瀬戸熊から2,900のアガリとなった。
石川さんはこの勢いのまま9,600、そして4,000オールとアガり早くも50,000点を超える。
瀬戸熊は先制リーチがすでに2回空振り。ここからの戦い方を考えているところだろう。
東3局、親の瀬戸熊に初アガリが出る。
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三万四万五万三索四索四索五索五索六索二筒三筒北北  ロン一筒  ドラ七筒
追いかけリーチをかけた木原から2,900の出アガリ。
Bルールである事、そしてトーナメントである事からか、これまでの瀬戸熊は役アリでも徹底してテンパイ即リーチ。
そしてやっとアガったといった感じで、本調子には遠そうだ。
続く1本場、早々に瀬戸熊がダブ東をポン。
数巡後にツモった東を加カンして攻撃態勢とするが、石川さんにリーチが入り藤本も押している。
終盤に危険牌を掴み、オリる選択肢もありそうだが瀬戸熊らしく勝負。藤本に満貫の放銃となってしまった。
東4局、南家に木原が下記手牌で4巡目にリーチ。
三万四万五万五万六万七万七索七索八索八索九索九索白  ドラ六索
ドラ引きやピンフ、3面張等の変化があるだけにヤミテンが普通と考えられるが、ルール・システムを踏まえての選択なのだろう。
親の藤本と石川さんがオリに向かうも、瀬戸熊だけはドラなし,役なしの白単騎で粘りを見せ2人テンパイで流局となる。
早目にオリる選択肢もあったが、「ノーテン罰符の点差だけじゃなく、ギリギリまで攻められたかどうかが全然違う」と瀬戸熊の声が聞こえてくる気がする。
南1局、親の木原が7,700を石川さんからアガり、1人テンパイも加えトップ目に立った後の5本場、大きく点数が動く。
まずは瀬戸熊が先制リーチ
四万五万六索七索八索二筒三筒四筒六筒七筒八筒東東  リーチ  ドラ東
すぐに石川さんが追いかけリーチ
一万一万七万八万九万七索八索七筒八筒九筒中中中  リーチ
山に残っている枚数は、三万六万が3枚、六索九索は高目の九索が1枚のみと瀬戸熊が圧倒的有利のように見えた。
しかし、石川さんの一発ツモは何と九索
4,000・8,000の大きなアガリとなり、石川さんが再びトップ目に立つ。
好調者・不調者がこうもハッキリ結果になるのかと見ていて驚く。
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南3局でも、親番で瀬戸熊が先制リーチ。もう何度目のリーチか数えないと分からないくらいだ。
これも実ることはなく、木原に2,000の放銃となる。
オーラスは木原と藤本の熾烈な2着争い。
藤本が2,000オールで2着浮上となるも、1本場は木原が400・700で2着を奪い返し1回戦が終了した。
1回戦終了時
石川さん+35.7P  木原+9.7P  藤本▲2.4P  瀬戸熊▲43.0P
 
2回戦(起家から、木原・藤本・石川さん・瀬戸熊)
東1局から親の木原が2,000オール、4,000は4,100オールとアガリ、藤本・瀬戸熊を大きく引き離す。
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これ以上離されてしまうと厳しいかと思ったところで、藤本が一発ツモで満貫を引きアガると、東2局の親番で下記手牌。
一万二万三万一索二索三索五索五索六索六索七索八索九索  ドラ二万
ここに二万をツモり三万切りでテンパイ外しとすると、次のツモは七索と見事に狙い通り。
瀬戸熊から12,000をアガる。
そして次局1本場が1人テンパイとなると、トータルでトップ目まで一気に躍り出た。
しかし、また点数が大きく動く。
東3局、西家の木原
二万四万五万五万六索七索八索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  ドラ五万
北家の藤本が下記テンパイでドラの五万を切り出す
一万一万一万四筒五筒五筒六筒六筒南南発発発
これを木原がポンとすると、藤本がすぐに二万を掴んで放銃となる。
木原が待ちを変える可能性も高かっただけに、藤本にとっては厳しい結果となった。
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東4局は、親の瀬戸熊が先制リーチも石川さんが2回戦の初アガリで700・1,300。
南1局でも、瀬戸熊がリーチで断固攻める。
しかし、親の木原が一発消しおよびタンヤオ移行とも言える向聴数の上がらない仕掛けをすると、役なしカンチャンテンパイであった石川さんがツモ切りリーチを敢行。
石川さんの待ちは山に1枚であったが、何と瀬戸熊が一発で放銃。
とことん厳しい展開が待っている。
この後、瀬戸熊が2,600そして2.000・4,000とアガり、オーラスの親番でも一気に浮上を狙う。
オーラスは2着を狙う石川さんの先制リーチ、親の瀬戸熊が追いかけリーチとなり、勝ち残りをかけた大きな分かれ目であったが、結果は石川さんが満貫ツモアガリ。
1回戦目の1着・2着だけ裏返しとなる順位で終了し、藤本・瀬戸熊は非常に厳しいポイント差で最終戦を迎える事となる。
2回戦の成績
木原+31.8P  石川さん+10.0P  藤本▲5.7P  瀬戸熊▲36.1P
2回戦終了時
石川さん+45.7P  木原+41.5P  藤本▲8.1P  瀬戸熊▲79.1P
 
3回戦(起家から、藤本・瀬戸熊・石川さん・木原)
1半荘で120ポイント以上という、私は見たことがないような条件だが瀬戸熊に諦めの表情はない。
2,000・4,000と始まり、2,000オール、そして1,500は1,800と3局連続アガリを決めるが、石川さんのアガリで東場の親が落ちる。
A卓でもそうであったが上位2名と下位2名が離れてしまうと、上位2名は仕掛けも多用し一手早く局を進めようとする。
東4局、石川さんも仕掛けて局を進めようとするが、瀬戸熊のリーチに安全牌がなくなり満貫の放銃。反撃のチャンスを与えてしまう。
南場に入り、着順の並びは思惑通りとも言える藤本だが、最後の親番がわずか7巡目で木原に放銃。
次は瀬戸熊最後の親番、1局はテンパイ連荘するも、次の1本場は6巡目で石川さんのアガリとなった。
こうなると藤本・瀬戸熊には役満クラスのアガリが必要。
南3局・オーラスは全員ノーテンで終了し、木原・石川さんが勝ち上がり。
ついに決勝メンバーが決まった。
決勝戦進出者
木原浩一  石川優さん
私が一日麻雀を見て、決勝メンバーの印象を勝手につけるとすると
・ゲーム運びの白鳥
・執念の平賀
・変幻自在の木原
・山1十分の石川さん
展開が全く予想できないが、誰が勝っても不思議ではない実力者だ。
きっとドキドキする戦いを見せてくれるだろう。
このレポートがアップされている頃には優勝者も決定しているだろうが、決勝観戦記は猿川真寿が担当予定です。
そちらもお楽しみに!!