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新人王 レポート

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第30期新人王戦決勝観戦記 井上美里

2016/09/14
執筆:井上美里


gpmax2012

 

2016年8月28日、台風が近づきどんよりと曇り空の中、決勝進出を決めた4名の若者が夏目坂スタジオに集まった。
今日優勝すると、各タイトル戦のシード権が与えられる他、年度末のグランプリMAXや特昇リーグの出場権が与えられる為、今後一層活躍のチャンスが増える。
前日の激しい予選を勝ち上がった決勝進出者は以下の4名。

gpmax2012

予選1位通過 弘中栄司
九州本部所属30期生
29期新人王戦3位
「昨年も言いましたが…優勝以外見ていません。必ず優勝します!」
gpmax2012

予選2位通過 林潤一郎

東京本部所属31期生
「気持ちで負けなければ大丈夫だと思います。絶対勝ちます!」
gpmax2012

予選3位通過 藤井崇勝
九州本部所属32期生
アマ時代に九州プロリーグ優勝
「九州でまだ新人王が出ていないので自分が持って帰りたい。精一杯打ち切ります。」
gpmax2012

予選4位通過 中川基輝
東京本部所属31期後期生
「緊張していますが、精一杯やります。」

 

 

昨年に続き、2年連続の決勝進出となった弘中以外、映像対局は初めてとなる。藤井に関しては入会してまだ半年ということもあり、カメラが並ぶ独特の雰囲気に呑まれてしまわないかと少し心配なところ。しかし、手が震えていると話した中川以外は予想に反してリラックスムード。口では緊張すると言っていた林も笑顔で他の対局者と会話していた。

 

【決勝1回戦】起家から 藤井 林 中川 弘中

東1局から親の藤井に七対子ドラドラの高打点のテンパイが入る中、中川からリーチが入るもそれらをかわし林が2,000点をアガる白熱した展開から始まった。

東2局 1本場 親:林
3巡目に早くも勝負手をテンパイしたのが西家の弘中。

三万三万六万六万七万七万八万八万六索七索八索六筒八筒  ドラ八索

この巡目なだけに他家から溢れるのを待つヤミテンを選択する人も多いだろうか。しかし自身を超攻撃型と話す弘中は迷う事なくリーチを選択。これに対し、唯一戦えそうなのはドラドラの中川か。しかしまだまだ勝負は始まったばかり、リスクを避けトイツの白を切り受けに回る。一人旅となった弘中が見事に七筒をツモり、3,100・6,100のアガリ。結果的にリーチが正解となり、これで弘中が一気に飛び抜けた。

東4局 ドラ白 親:弘中
トップ目の弘中の親番である。早々に流してしまいたい場面で中川が2巡目にタンヤオの1シャンテン。

二万三万三万四万二索二索五索六索七索二筒二筒六筒六筒

すぐに藤井から六筒が打ち出されるが、中川はこれをスルー。五万を持ってきたところで六筒のトイツを落とし、良型のテンパイを目指す余裕の構えを見せた。しかしこれで林に先制リーチを打たれてしまう。


六万七万八万一索二索三索四索五索六索三筒四筒発発  リーチ

一方、四暗刻1シャンテンだった藤井がこれにすぐに追いつき真向勝負となった。

藤井
一万一万二万二万二万九万九万九万八索八索八筒八筒八筒

1回戦目にしていきなりの役満テンパイ。手に汗握る捲り合いとなったが、先に藤井が五筒を掴み林に1,300の放銃となった。
ここから林が勢い付き、序盤で1人突き抜けていた弘中を抑え1着で終了した。

1回戦
1位 林 +21.9P
2位 弘中 +15.5P
3位 藤井 ▲14.6P
4位 中川 ▲22.8P

gpmax2012

 

【2回戦】起家から 林 弘中 藤井 中川
東2局 1本場 親:弘中
1回戦目、何度となくテンパイするもなかなかアガリに結びつかなかった藤井に追い風が吹く。

藤井
一万一万三万七万八万一筒二筒三筒九筒九筒九筒発発  ドラ八索

これに二万が入り打一万リーチ。
受けに回っていた林にテンパイが入り、押し出される形で九万を放銃。藤井が5,200は5,500のアガリとなった。
トータルトップ目からのアガリに勢い付き、藤井はここから3連続でアガリ。得点を5万点にまで伸ばし、表情にも余裕が見え始めた。

南4局 親:中川
藤井が52,200点のトップを独走する中、ここまで1度しかアガらせてもらえない中川の親番。ここはひとつ連荘したいところだが、配牌で8種と厳しい展開。
そんな中、何とか浮きにまわりたい林がドラ四筒を引き入れ先制リーチを打つ。


一万一万三万四万七索八索九索二筒三筒四筒発発発  リーチ  ドラ四筒

これに対しなかなかまとまった手牌の藤井は冷静に受けにまわる。中川、弘中も追いつくことなく林が二万をツモり2,000・3,900のアガリとなった。林はこれで見事にマイナスを回避。逆に中川は2連続ラスとなり、残り2回で大きくポイントを叩かなければならない状況となってしまった。

2回戦
1位 藤井 +28.2P
2位 林 +7.4P
3位 弘中 ▲13.1P
4位 中川 ▲22.5P

トータル
1位 林 +29.3P
2位 藤井 +13.6P
3位 弘中 +2.4P
4位 中川 ▲45.3P

 

【3回戦】起家から 中川 藤井 林 弘中
一人大きくマイナスの中川を残し、3回戦目の東場は藤井、林、弘中3者の軽いアガリでどんどん進んでいく。

南1局 親:中川
一向に展開に恵まれない中川、残り少ない親番を大事にしていきたいところ。

中川
四万八万九万四索五索六索六索七索一筒五筒六筒七筒七筒  ドラ三筒

ここに一筒を重ね、打九万。一貫して良型を好んできた中川は、ここでもペンチャンを外しにかかる。この状況でシャンテン数を落とすだけの時間は果たしてあるのだろうか。少し不安にさせられたが、すぐに六万七万を引き入れテンパイする。こうなると三色の手変わりに欲が出たか、中川はヤミテンを選択。先制リーチを打てば他家にプレッシャーをかけることができ、親番続行になるのではないか、そうでなければ追いつかれてしまう。しかしこれがうまくいった。八筒を引き入れたところで待ちに待った高目三色のリーチを打つ。

中川
六万七万八万四索五索六索六索七索一筒一筒六筒七筒八筒  リーチ

トータルラスの親リーチである。これには誰も向かってこないだろうと思っていたが、林がうまくまわしテンパイを入れる。これを察知したか、藤井も置いていかれまいと終盤に形式テンパイする。結果は3人テンパイで流局。弘中にとっては寝耳に水か、〝たかだか3,000点の失点″とは言い難い内容である。中川もここで12,000点を引いていればこの後違った展開が待っていたかもしれないが…。

そして再び3者の軽いアガリで局は進み、この回は藤井が制した。

3回戦
1位 藤井 +12.4P
2位 林 +6.8P
3位 弘中 +1.0P
4位 中川 ▲20.2P

トータル
1位 林 +36.1P
2位 藤井 +26.0P
3位 弘中 +3.4P
4位 中川 ▲65.5P

 

【4回戦】起家から 藤井 弘中 中川 林

最終戦は規定に基づき起家からここまでのトータルポイントが2位、3位、4位、1位の順となる。

ここまで順調にポイントを重ねた林がトップで迎える最終戦。1回戦目を我慢の3着で終えた藤井が2連勝し、林との差は10.1P。これはひとアガリで簡単に逆転できる点差。逆に好スタートを切った弘中はその後すっかり大人しくなり、林との差は32.7P。さらに藤井も上にいる為、2人を捲るには並びも重要になってくるか。そしてここまで1度しかアガらせてもらえない中川は101.6Pの差と大きく突き放されてしまった。まずはこの回をトップになってから、どれだけ叩けるか。しかしあまり現実的ではない。

東1局 親:藤井
まずは藤井が先手を取ることにせいこうする。

藤井
一万二万三万七万八万二索三索三索一筒二筒七筒八筒九筒  ドラ三筒

ここに絶好のドラ三筒を引き入れてリーチ。弘中にとってはライバルを1人仕留めるチャンスか、真っ直ぐ自分の手を進めていく。

弘中
二万四万六万六万七万八万二索二索二索四筒五筒六筒六筒

ここに藤井から出た五万をチーし、三筒六筒のテンパイを入れ追いついた。その後、藤井の現物であるカン五筒に待ちをかえる。
そこに七対子1シャンテンで攻めていた林に五筒がいき、放銃になるかと思われた。しかし、鋭い感覚で五筒を止め完全に受けに回った。これには解説席を随分とうならせたが、結果的に藤井が九万をツモり2,600オールのアガリをうんでしまう。弘中に放銃していれば1,000で済んだが、それは林からは分からないため致し方ない。このアガリで藤井は林をまくりトータルでもトップにたった。
しかし林も黙ってはいない。軽いアガリではあるが、3局連続でアガリ再び藤井をぬいた。

テンパイ流局で繋いだ藤井は再び逆転に成功する。局が進むたびにトップが入れ替わる白熱した戦い。これを見て改めて思うのが、Aルールではテンパイ料がそれだけ大きな得点源になるという事。

そしてここで藤井に今日一番の山場が訪れる。
南1局 3本場 親:藤井
七対子を視野に入れていた手牌がタンヤオリャンペーコーでのテンパイとなりヤミテンを選択。

藤井
六万六万七万七万八万八万五索五索六索七索七索六筒六筒  ドラ五万

先に林が仕掛けてテンパイしていたが、弘中から六索が打ち出され12,000は12,900のアガリとなった。これで藤井は林を大きく突き放し、優勝がかなり近づいた。

南3局 1本場 親:中川
この時27,000点の3着にまで落ちていた林は残り少ない局数なだけに打点が欲しいところ。


五万六万七万四索四索四索一筒二筒三筒五筒五筒九筒西  ドラ西

ここに七筒を持ってくるが打五筒とし、テンパイはとらず。なんとかドラ西を生かした形にしたいか。
そうしているうちに親の中川から粘りのリーチがかかる。
再びテンパイした林、ドラ西が出て行く形だがこれを勝負した。


三万四万五万五万五万六万四索四索四索一筒二筒三筒西  ツモ六万  打西

しかしこれが中川のアガリ牌となり7,700は8,000の放銃となってしまった。
ここまで冷静な押し引きを見せていた林であったが、オーラスを目前にして見誤ったか。
その後藤井との点差は埋まる事なく、最後は藤井がピンフのみで静かに締めくくった。

役満のテンパイ以外は目立ったプレーこそなかったが、冷静かつ正確に局を進めた藤井。初めての決勝、初めての映像対局を入会半年にして制したことは彼にとって大きな自信となるだろう。
奇しくも優勝には至らなかった3名も最後まで諦める事なく戦った。4人全員が素晴らしいプレーを見せてくれた事に拍手を送りたい。

4位 弘中栄司
「自分の親番でなかなかテンパイが入らなかった。映像を観て勉強しなおします。」

3位 中川基輝
「終始苦しい展開で、甘えた打牌をしてしまった。残り2回、決勝に残れるように精進します。」

2位 林潤一郎
「楽しかったです、そして勉強になりました。行くとこで行かないとこういうのは獲れないなと実感しました。」

1位 藤井崇勝
「役満をテンパイし、これをアガったらどうしようと浮ついた気持ちになっていた。2回戦から気持ちを切り替えました。言葉がありません、感無量です。」

第30期という節目の年に、遂に新人王が関門海峡を渡った。
最後になりましたが藤井崇勝プロ、優勝おめでとうございます!

 

gpmax2012