十段戦決勝2日目
初日、1人浮きの前原。三連覇目指してこのまま逃げ切りか?
それとも誰かが絡んできての混戦となるのだろうか?
上下100P差、浮けばチャンス有りの状況である。
今日の決勝2日目は6回戦〜10回戦(各1回抜け番)で最下位の1名が足きりになり、上位4名による最終11、12回戦の決戦が行われる。
初日終了時 前原雄大 +65.8P ダンプ大橋
▲0.6P 板川和俊 ▲11.2P 吉田幸雄 ▲21.3P 荒正義 ▲32.7P
6回戦(起家から、荒・板川・前原・大橋)抜け番・吉田
小場で迎えた東3局、初日を首位で走る、東家・前原が早くも先制。
         ポン  ツモ ドラ
東4局、11巡目にドラを重ねてテンパイは親の大橋。
            ロン ドラ
ダマテンを選択、荒のホンイツを警戒する前原からアタリ牌がツモ切られる。
東4局1本場、西家・板川 ドラ
リーチ時、牌山にはアガり牌が3枚残っていたが、1枚は大橋の手元に。
そして、残り2枚は王牌の中に眠っていた。
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板川 和俊 |
南1局2本場、西家・前原4巡目に国士1シャンテンとなる。
、 共に3牌山に眠っているがテンパイせず、16巡目、東家・荒がドラ2の七対子、 単騎の4,000オールをツモアガり。
オーラス、荒が浮きの前原から2.600直撃で、一人浮きのトップをゲット。
原点復帰の2番手に浮上する。
6回戦成績 荒正義 +31.9P 前原雄大
▲2.8P ダンプ大橋 ▲8.9P 板川和俊 ▲20.2P (抜け番・吉田)
6回戦終了時 前原雄大 +63.0P 荒正義
▲0.8P ダンプ大橋 ▲9.5P 吉田幸雄 ▲21.3P 板川和俊 ▲31.4P
7回戦(起家から、前原・大橋・吉田・荒)抜け番・板川

東1局、東家・前原が仕掛けて大きな6.000オールのアガり。
         ポン  ツモ ドラ
荒          ポン  ツモ
最終形          ポン  
荒は、 切りなら ツモで先にアガりなのだが、危険を冒さず のトイツ落しで廻し打ち。

南4局、三色狙いの吉田、8巡目に先制リーチ!次巡の追っかけリーチはツモリ四暗刻の大橋。
13巡目、ようやくテンパイは親の荒。
即リーを打ち、大橋のロンの声に、荒の発声が重複する。
7回戦成績 前原雄大 +27.4P ダンプ大橋
+11.1P 荒正義 ▲7.9P 吉田幸雄 ▲30.6P (抜け番・板川)
7回戦終了時 前原雄大 +90.4P ダンプ大橋
+1.6P 荒正義 ▲8.7P 板川和俊 ▲31.4P 吉田幸雄▲51.9P
8回戦(起家から、荒・吉田・板川・前原)抜け番・大橋
東1局、北家・前原が、親である荒のリーチを掻い潜り、7.700のアガり。
         ポン  ツモ ドラ
東2局1本場、6巡目にリーチは、西家・前原。
            リーチ ドラ
オリの荒から打ち出されたラス牌の を仕掛けてテンパイは東家・吉田。
次巡、高目の をツモリ、2,600オール。
         チー  ツモ
南4局1本場、前局は好調・親の前原がアガり連荘。
荒はダブ を仕掛けて、プラスの域で逃げ込みを図り、12巡目に初牌のドラ を掴むが河に放つ。
このドラに動いたのが、チャンタ狙いの前原。すかさずポンテンをとる。
         ポン  ドラ
3巡後、板川が上家の河に2枚並ぶ、ラス牌の を自力で引いたのは勝負の流れである、即リーを打つと前原が掴む。
            リーチ ロン
結果は、前原の一人沈みとなるのだが、数字の面では2、3番手とのポイント差は初日終了時と大差はなく、ただ局が消化されているように見える。
次回9回戦は、首位・前原の抜け番。約30P差の中に4名がいる。
10回戦は荒の抜け番、9、10回戦は厳しい足きり戦となる。
8回戦成績 吉田幸雄 +22.1P 荒正義
+5.3P 板川和俊 +2.9P 前原雄大 ▲30.3P (抜け番・大橋)
8回戦終了時 前原雄大 +60.1P ダンプ大橋
+1.6P 荒正義 ▲3.4P 板川和俊 ▲28.5P 吉田幸雄 ▲29.8P
9回戦(起家から、大橋・荒・板川・吉田)抜け番・前原
東3局、10巡目、荒が ピンを仕掛けてカン 待ちのテンパイをする。
         チー  ドラ
ここに、板川がメンホンテンパイのダマテン。
ホンイツ模様の仕掛をしている、吉田の 切りの直後に ツモの荒は、吉田のホンイツを警戒して 切りで迂回。
その吉田に対して、メンホンテンパイの板川が切った ツモ切りを見て、荒は、吉田・板川の二人を視野に入れる。
西家・大橋も、 落としで が被ると が全枯れであるが に手が掛からず、ピンズ主体の捨牌で安全策をとる。
板川の一人テンパイで流局。
南1局、断トツの板川・プラスの荒、ラス争いの親・大橋が渾身のリーチを放つ。
            リーチ
ツモ ドラ
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大橋 良弘 |
これより大橋の連荘が続く。
テンパイ・アガり・テンパイ・テンパイ。

南1局5本場、荒の放銃は9.200点。ホウテイで7.700プラス5本場。
6本場、親リーの流局は、大橋の1人テンパイ。
7本場、板川の1人テンパイで親流れである。
大橋50.000、板川40.000を超え、荒・吉田が並ぶ展開。
通常、このような連荘後はすぐに親落ちが多いように思うのだが、次は荒の出番である。
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荒 正義 |
南2局8本場、東家・荒。
            ツモ ドラ
1.300オールは2.100オール、吉田を約10.000点突き放す。
次局も荒が先制リーチ。
ここで荒に浮かれれば、足きりは目に見えてくるラス目の吉田が、愚形ながら追っかけリーチをするも流局。

南2局10本場、荒は、このツモでドラの を放つ。
板川に動かれるが、全面勝負!ここをアガれば2着やトップまで見えてくる所である。
しかし、この10本場を征したのは西家・吉田。
            ツモ ドラ
オーラス、荒がアガり吉田にラスを押し付け、次回は抜け番。
その荒は、トータルを▲17.5Pで終え、後は10回戦の結果待ちとなった。
9回戦成績 ダンプ大橋 +19.2P 板川和俊
+13.8P 荒正義 ▲14.1P 吉田幸雄 ▲18.9P (抜け番・前原)
9回戦終了時 前原雄大 +60.1P ダンプ大橋
+20.8P 板川和俊 ▲14.7P 荒正義 ▲17.5P 吉田幸雄 ▲48.7P
10回戦(起家から、前原・吉田・大橋・板川)抜け番・荒
9回戦を終え、ここ10回戦で1名が足きりとなる。
その、仮のボーダーは、今回抜け番である荒の▲17.5Pである。
前原は別として、大橋もほぼ当確。
板川は、少し沈んでも吉田より下にならなければOKである。
最下位の吉田、目標は板川をかわす中間ポイントか、もしくは数字の確定している仮のボーダーとなる。
前原は、前に出てきた大橋を叩いてトップなら、残り2戦どうにか持ちこたえる状況となる。
逆に、大橋もトップ・浮き2着でも多くのチャンスがある。
運命の10回戦が開始された。
開局から2連続放銃は、トータル最下位の吉田。自力?で親を引く。
東2局、東家・吉田、 、 が2牌あるが特に良い手牌ではなかったのだが、9巡目に板川より出アガりをする。
         チー  ロン ドラ
東2局1本場、東家・吉田が連荘。
         チー  ツモ ドラ
南1局、南家・吉田。ここで事件が起きた。
      ポン  ポン  ロン ドラ
吉田が大橋より倍満を直撃する。
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吉田 幸雄 |
これで足切りの状況が、倍満を打った大橋がラスの順位点込みでまだマイナス1桁であるから、ボーダーより10,000点、約10ポイント上で少し余裕がある。
2番手を20,000点離してトップの吉田は、ボーダーにほぼ並び、板川は沈みの3着であるから現状足切り状態にある。
南2局、倍満をアガり気分上々の東家・吉田は、取り敢えずボーダーをクリアーしておけばよい。
   ポン  ポン  ポン  ロン ドラ
南家・大橋、5,800点放銃。雲行きがあやしくなってきた。
断ラスだが、板川が沈んでいるからまだ大丈夫。
南3局、前局も放銃となり3局連続での放銃で親番を迎えた大橋。
南家・板川、3巡目のドラ引きも感触良く、4巡目に を引き入れテンパイも、場に1牌切れの 待ち。
           リーチ ツモ ドラ
次巡に、ドラ でテンパイを崩し 引きで中筋マチのノータイム、ドラ切りリーチ!
4巡後、手元に引き寄せる2.000・3.900でプラスに浮上。
オーラスを迎え、大混戦となっている。
板川▲7.1P 大橋▲15.3P 吉田▲15.6P 荒▲17.5P
現在、荒が足きり状態。

南4局、東家・板川が6巡目に 切りでカン 待ち。
待ち変えに北家・大橋よりリーチ、同巡に前原よりリーチが入るが、この局を制したのは親の板川。
大橋は痛恨の放銃で、足きりとなった。
10回戦成績 吉田幸雄 +33.1P 板川和俊
+14.1P 前原雄大 +5.9P ダンプ大橋 ▲53.1P (抜け番・荒)
10回戦終了時 前原雄大 +66.0P 板川和俊
▲0.6P 吉田幸雄 ▲15.6P 荒正義 ▲17.5P ダンプ大橋 ▲32.3P
11回戦(起家から、荒・吉田・板川・前原)
足きり戦も終わり、下位の者に怖いものは何も無い。
役満を打とうが、どうという事はない。
残り半荘2回、100P差以内なら一風吹けば捲くれるものである。
東1局、西家・板川が10巡目リーチ、東家の荒が勝負して放銃となる。
            ロン ドラ
東2局、前原がドラを暗刻にしてのタンヤオ形だが1シャンテンまで、初の1人ノーテンとなる。
東2局1本場、板川の1人テンパイ。追う者にとっては好機到来である。
首位の前原は初日の持ち点を維持し、もぐら叩きではないが各回毎に2番手が入れ替わる展開で首位をキープしてきたのだが、
この11回戦で、2番手・板川のアガりから、1人ノーテン、板川1人テンパイと、この展開に心穏やかではない。
首位・前原と、この半荘トップ目が優勝争いの展開となる。
東3局、初牌の中をスルーし、ドラを重ねて仕掛けた荒が吉田を捕らえプラスに浮上する。
この半荘、プラスで終わらせる事は下位3名にとって優勝するには絶対条件、尚且つ首位・前原を沈めなくてはならない。
首位・前原、沈みの3着程度までなら逃げ切れる、ラスだけは避けたい所。
尚且つ、トップ者は吉田か荒の方が、得点差があるから良いのである。
南2局1本場、荒の先制リーチである。
ドラとの入れ替わりもあるのだが、3.900か5.200ツモでももうひとアガり必要である。
ここは速さを利用してアガりで態勢を整えて、満貫クラスを仕上げるのだろう。
13巡目に、東家・吉田が追いつきリーチを放つ。
            リーチ
しかし、10巡目テンパイの板川が、吉田からラス牌を捕らえた。
            ロン
南3局、南家・前原は2.000点をアガり、オーラスの親で2着目の28.500点。
トップ目板川は54,600点である。現状で終わると40P差を詰められる、前原が浮けば33P差。
残り1戦、追ってくる者のパワーは脅威である。
前原は、是が非でも浮きに回りたいところ。
南4局8巡目、ラス目の吉田よりリーチが入る。
満貫までの放銃ならラスにはならない親の前原は、現物を動いてテンパイを取ると全面勝負、無筋を連打し放銃となった。
            ロン ドラ
11回戦成績 板川和俊 +36.6P 吉田幸雄
▲5.0P 前原雄大 ▲12.5P 荒正義 ▲19.1P
11回戦終了時 前原雄大 +53.5P 板川和俊
+36.0P 吉田幸雄 ▲20.6P 荒正義 ▲36.6P ダンプ大橋 ▲32.3P(10回戦足切り)
最終12回戦(起家から、吉田・荒・板川・前原)
場決めが行われる。最終戦はトータルトップ者が最後の親(北家)になることが定まっている。
前原と追う板川、ポイント差は17.5Pの優勝争い。
東3局まで小場競り合いが続き、迎えた東ラス。
東4局、南家・吉田からリーチが入ると、前原テンパイとなり選択した打牌は満貫の手痛い放銃となる。
            ロン ドラ
南入を向かえ、この半荘ポイント差は浮きの板川とラス目の前原とは19P差。
トータルで板川が前原を交わしている。
吉田と荒は、トップ目と沈みの3着である。まだ親番のある荒も参戦である。
8巡目、前原から一通のリーチが入る。

荒の を山越しでリーチは、弱り目に祟り目であろうか?
落ちている時にこのリーチ、あまりアガりの感触はないように思う。
待ちは - 、 - にも受けられるが、タイトル戦の決勝で多少の競り合い状況なら、このカン 受けしかない。
荒、 をツモ切り次巡 を引くと 落とし、東家・吉田の に動いて234の三色を目指す。
同巡、前原に がたどり着いた。
            ツモ ドラ
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前原 雄大 |
前原、このアガりでトップ目に並びかけ、番手の板川を沈めて有利な状況となった。
南2局、荒が出ればポン、見ればチーと親の連荘を目指す。
12巡目テンパイは北家・吉田、即リーである。
            リーチ ドラ
16巡目、ようやくテンパイとなったのは南家・板川、当然の即リーは1巡目のツモアガり。
            ツモ
点棒状況は、吉田30.000 荒22.100 板川37.900 前原30.000
板川は、前原を沈める事を目指す。
前原は板川がトップでも13.5P差までならOKである。
南3局、北家の荒に手が入る。
4巡目に をポン、6巡目に を引き暗刻にする。
9巡目、南家・前原からリーチ。ここで荒は を引いて 切りのテンパイとする。
この荒のテンパイに放銃が吉田なら4位に後退、前原・板川のどちらかが打てば致命的となる。
だが、結果は荒の放銃で、前原のアガりとなった。
            ロン
南4局、前原は板川テンパイでも1人テンパイまではOK。
荒・吉田も大差あり、ゆえに最終局テンパイより放銃しない事を心がけるからノーテンOKである。
後は、親であるからしてアガり連荘となる。
板川は、前原を直撃なら1.600以上、荒からは6.400以上、吉田からだと7.100以上。
もしくは800・1.500以上のツモと複雑な条件となった。
最終局、運命の配牌が行き渡った。
南4局、東家・前原
            ロン ドラ
前原雄大の優勝を決定付けるアガりとなった。
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優勝決定の瞬間 |
最終12回戦成績 前原雄大 +19.9
P 板川和俊 +10.9P 吉田幸雄 ▲12.6P 荒正義 ▲18.2P
最終成績 優勝:前原雄大
+73.4P 準優勝:板川和俊 +46.9P 3位:吉田幸雄 ▲33.2P 4位:荒正義 ▲54.8P 5位:ダンプ大橋
▲32.3P(10回戦足切り)
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プレゼンテーターの小島武夫と優勝した前原雄大 |
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後列 左から 第5位:ダンプ大橋 第3位:吉田
幸雄 準優勝:板川 和俊 第4位:荒 正義
前列 優勝:前原 雄大 |
ダンプ大橋、2日間に渡り揺れないフォームは美しく、少しのミスはあったが内容は攻防共にAクラスの麻雀である。
また、数々のアイテムを吸収してリーグ戦・タイトル戦等で今後も活躍してほしい。
荒正義、手牌・ツモもいま1つであったが、随所に荒の麻雀を見せてくれた。
次の十段戦決勝では優勝争いの荒正義を見せて欲しい。
吉田幸雄、よく遊ぶ麻雀であった。足きり当確ライン上からの首の皮一枚残してクリアーはさすが上州の打ち手。
もう少し余分な放銃を減らせば上位での争いが出来る。
準優勝の板川和俊、前年度末のグランプリから約半年、攻防のレベル・雀質もアップしたように思う。
放銃の少なさ、攻めのタイミング、手役重視の麻雀は観戦する若手プロたちに良いお手本になったと思う。
タイトルは獲得できるレベルに充分ある。これからも精進して麻雀を勉強することを望む。
そして、優勝は前原雄大。十段戦通算5勝、三連覇である。
吉田幸雄
「弱かったです。来年頑張ります。」
ダンプ大橋
「来年獲ります。」
荒正義
「勢いがなかったです。」
板川和俊
「タイトルは取れませんでしたが、2日間楽しみながら打つことができ、ギャラリーを楽しませることが出来たと思いますので満足しています。
結果はしかたないです。まだ何かが足らないと思うので、これからも精進したいと思います。」
前原雄大
「優勝と言う結果に対しては素直に喜んでおります。ただ、この結果に関しても稽古をつけてくれた多くの友人達、応援して下さった方達のおかげです。
対局内容に関しては、数日を経た今でも、自分自身の弱さや反省の日々の毎日であることは現実です。これからも、新たに精進するしかないだろう。
そう思わずにいられない十段戦でした。そして麻雀プロとはなんだろうと改めて考えさせ、示唆された、十段戦でもありました。
さらに言うならば鳳凰戦、十段戦は私にとって聖地、聖域であることは今でも変わりありません。
そして麻雀に携わっている限り、生きている限り、いつまでも巡礼者でありたい。
これからも麻雀という大樹にも似た、そびえ立つものに真正面から立ち向かうつもりです。」

(執筆:沢崎
誠 文中敬称略) |