桜の木も芽吹き始める今日4月3日。
第4期北関東プロリーグ決勝戦が行われた。
レポートの前に、先月起きた東日本大震災の被害でお亡くなりになった方々に心より御冥福をお祈り致します。
被災地の方々へ微力ではありますが、今期賞金の一部から義援金を寄付させていただきます。
1日でも早く皆様の笑顔が戻るよう祈っております。
この度災害の支援活動をすると共に、日本プロ麻雀連盟並びに北関東支部でもできる限りお力になれるよう、尽力していこうと思います。
それでは第4期北関東リーグ決勝戦の出場メンバーから
予選第1位
藤崎智(A1)
連盟を代表するトッププロの1人である。
前期第3期北関東プロリーグ覇者。あの清水香織との壮絶な決勝戦は記憶に今でも蘇る。連覇なるか!?
予選第2位
田中隆次(C2)
昨年本場所でC3からC2へ昇級。
北関東プロリーグでは第2期に優勝。以前所属していた九州本部でも優勝経験がある。
予選第3位
沢崎誠(A1)
今期の鳳凰位戦ファイナリスト。
辛くも敗れたが、実力通りの力を発揮出来れば1人舞台になる事も想像できるが…
予選第4位
小暮一志(B2)
一昨年までA2リーガーだった実力者。スランプなのか本場所では降級が続いている。
遅い巡目での勝負を得意とする、いつもの視点での麻雀を是非みせてほしい。
運営の会場作りも終わり、各自試合前のコメントを聞いてみた。
沢崎
『今日は小暮君が優勝だと打ち上げが牛丼屋みたいだから僕が優勝できるようにがんばるよ(笑)』
藤崎
『隆次君についていけるようにがんばる(笑)』
小暮
『昨日のリーグ戦(プロリーグ)で負けてしまったので気持ちを切り替えて臨みます』
田中
『皆さん大先輩なので、自分の実力以上の力を出せるようにがんばります』
こうして全5回戦の対局が始まった。
1回戦
起家から(田中・小暮・藤崎・沢崎)
まず声が出たのが藤崎!東1局10巡目『リーチ!』
            ドラ
これに親の田中が放銃。藤崎は幸先よく5,200をアガる。
序盤の田中は体調不良もあってか普段と何か違ってみえる。
しかしすぐ田中にチャンスが訪れる。
東2局、田中。
            ドラ
しかし、これは藤崎が沢崎に2,000を放銃。
田中は放銃後の勝負手だったのでこれは痛い。
東4局、藤崎が11巡目。
            ドラ
沢崎から7,700をアガリ東場が終了。
前期の決勝戦とは違い、今回は藤崎が断トツで走る。
南1局12巡目、今までずっと諦観していた男が声を出した。
『リーチ』小暮である。彼が以前言っていた言葉、
『僕はいつも遅い巡目の所で周りの情報集めてから勝負するんだ』まさにそれである。
            リーチ ドラ
一見ソーズは安くなく、良い待ちとは言えないと思った。
しかし、リーチの時点で 、 は5枚残りであった。さすが小暮。この洞察力には感嘆する。
これをアガって勢いをつけたいところだが…流局。
続く1本場で、藤崎が1,100・2,100をアガリ、1回戦は藤崎のものかと誰もが思った事だろう。
しかし、麻雀は終わってみないと何がおこるかわからない。
南4局、田中3巡目。
             ドラ
持ち点21,100。開局に打ってしまった5,200が頭から離れないのか、ここでテンパイとらずの 切りである。
初戦のオーラスであるが、原点には満貫アガっても足りない。今回はアガリ優先のリーチでいいのではないか?
その間にあの男が牙を剥く。親の沢崎7巡目、
            
テンパイして間髪いれず『リーチ!!』静かに牌を横にした。そして12巡目にツモ。6,000オール。
アガった牌姿しか出せないのが残念だが、配牌ではとてもこの牌姿は想像できない。
も も も各1枚ずつしかなかったのだから。
この1局でトップの藤崎を抜いた。
南4局1本場、小暮14巡目。
            ドラ
ツモ 。これをツモ切り!!
この時、小暮の持ち点は28,800である。ここはテンパイをとってリーチでもいいのでは?
仮に全員ノーテンなら、原点を割ったまま終了してしまうし、沢崎と藤崎は原点超えているのでさすがに行きづらい。
田中から出て1,300は1,600をアガっても原点復帰である。
このまま流局し沢崎の1人テンパイ。
続く2本場、5巡目沢崎。
            ドラ
11巡目に を引きテンパイ。沢崎の連荘が続くのかと思っていた。
しかし12巡目小暮、
            
ここから2を引いて、今度はリーチで押した。
同巡、田中から が出て、2,000は2,600をアガリ1回戦終了。
1回戦成績
沢崎+21.0P 藤崎+8.1P 小暮+1.4P 田中▲30.5P
田中にとっては痛い1人沈みのラススタートになってしまう。
逆に沢崎は、オーラスに捲くりトップの好発進。
藤崎は最後に捲くられ、心中穏やかではないだろう。
小暮はオーラス原点復帰で上々といったところ。
この半荘だけ見ても、麻雀は最後の1局まで何が起こるかわからないというのをしみじみと感じた1局であった。
2回戦
起家から、藤崎・田中・沢崎・小暮。
東1局、藤崎10巡目リーチ。
            リーチ ドラ
田中は ポンと ポンとしてトイトイ模様。リーチ後 をポンして、
   ポン  ポン  ポン  
安め2,000点、高目で7,700のテンパイで追いつくが、流局で2人テンパイ。
続く1本場、小暮5巡目。
            ドラ
この1シャンテンから7巡目に 引きリーチ。
しかし牌を倒したのは藤崎であった。
            ツモ
2,600は2,700オール。
東4局1本場、小暮の牌姿。
            ドラ
この局、16巡目に持ってきた4枚の を暗カンをせずにツモ切りをした小暮に、何故カンしなかったのかを対局後聞いてみた。
「同卓者に考えさせたかったのかも…いきなりファン牌の生牌を切ると、考えてくれるメンツだから。 は自分からは安全牌だしね。」
小暮らしい解説ではあったが、私ならカンをしただろう。
これは私なりの考えだが、カンをすれば1牌他の人より多くツモがあるし、やはり観ている人達がワクワクすると思うからである。
私は観ている人達が入り込んでくれる、ワクワクした麻雀を打ちたいと思っている。
東4局2本場、藤崎にチャンス手。10巡目テンパイ。
      ポン  ポン  
これをアガれば前半戦で頭一つリードできるが流局する。
東4局5本場、
            ドラ
田中がここに、ツモ 打 、ツモ 打 で1シャンテン。田中絶好のチャンスか!
同巡、藤崎が をポン、そして次巡、 をポンしてマンズのホンイツへ。
しかし未だ2シャンテン。今回は田中か…
田中は8巡目、藤崎の をチーして、前巡にツモった を切ってテンパイ。
         チー  
・ のどちらを切るかの選択だが、藤崎がマンズ模様で私の経験からして より のほうを切るべきだと思う。
みなさんもそうかも知れないが、自分の立場に立てばポンの材料は端牌にするのが多いからである。
田中は を選択。それを藤崎がポンして、ホンイツ・トイトイまで見える仕掛けになった。
こうなると、さすがにもうマンズと字牌は切りづらい。
そのときの藤崎の牌姿は、
   ポン  ポン  ポン  
次巡にツモ で待ち替え、 ・ 待ちのテンパイから、10巡目にツモ で跳満へと変化。
田中はドラ暗刻の 、 待ちだか しかアガることができない。
こうなると藤崎の局か…と思ったらあの男が黙っていなかった。
9巡目に生牌の を切り、次巡にリーチが入った。沢崎である。
1回戦逆転のトップをとったが、2回戦は1,300のアガリとテンパイ料をもらっただけで現状ラス目である。
            リーチ ツモ
この安めながら1,000・2,000は1,500・2,500をアガった。
南2局、さきほどのアガリで勢いよく沢崎が5巡目にリーチ。
            リーチ ドラ
7巡目に親の田中が追いかける。
            リーチ
9巡目、田中が をつかみ3,900を沢崎がアガる。
再び1回戦のときと同じように、藤崎を巻くるのかと思っていた。
南3局11巡目、沢崎リーチ。これに対し藤崎がピンズで攻める。
         チー  ドラ
沢崎がツモ切る をポンして打 。
そして で7,700のアガリとなった。
南4局に小暮が沢崎から6,800をアガるが、次局は藤崎が田中から2,000は2,600をアガリ終了。
今日の藤崎には隙がない。2回ともプラスの藤崎が逃げる展開となる。
2回戦成績
藤崎+34.1P 田中▲25.5P 沢崎▲13.1P 小暮+4.5P
2回戦終了時
藤崎+42.2P 沢崎+7.9P 小暮+5.9P 田中▲56.0P
3回戦
起家から、小暮・藤崎・沢崎・田中。
東1局、さきほどの2回戦でマイナスしてしまった沢崎が攻める。7巡目、
            ドラ
ここから をポンして、結果、小暮から3,900のアガリ。
東4局小暮が、
            リーチ ドラ
これをリーチ。その宣言牌を藤崎がチー。
         チー 
そしてこのテンパイ。2巡後、藤崎が を掴んでオリた。
この局の藤崎のコメントだか、『1巡だけ勝負しようと思った。』
この戦術はやはり経験の差であろう。
親からリーチがきても簡単にオリずにアガリに向かう姿勢が小暮のアガリを阻止したのかもしれない。
この局はハイテイで田中が1,300オールをアガリ。
南1局、小暮が沢崎から3,900をアガリ。
続く1本場、8巡目の沢崎。
            ドラ
9巡目に をツモりテンパイ。リーチには行かずダマテンを選択。それが好判断。
15巡目にドラの を引かされ打 で待ち変えしテンパイで流局。沢崎・田中・小暮の3人テンパイ。
最初のテンパイでリーチに行っていたら、 待ちの田中に放銃で終わっていた。
こういう自分の手牌に惚れることなく、しっかりと対応ができるところは流石だと思った。
南2局、藤崎の6巡目に をポンしてこの牌姿。
         ポン  ドラ
すぐに と を引き11巡目テンパイ。
ツモれば6,000オールあり、アガればぐっと優勝に近づくがここは流局となる。
しかし、その後も藤崎が細かいアガリを重ね2連勝とした。
3回戦成績
藤崎+17.4 田中+10.3 沢崎▲16.4 小暮▲11.3
3回戦終了時
藤崎+59.6 小暮▲5.4 沢崎▲8.5 田中▲45.7
4回戦
起家から、藤崎・沢崎・小暮・田中。
4回戦は決勝戦では一番大事な半荘になると思う。
最終戦をいかに有利に戦えるかのカギを握っているからである。
全員優勝の可能性を無くすことにならないように、各自ポイントを確かめサイは振られた。
東3局、ここまで3回戦ぐっと堪えてきた男にチャンスが巡ってきた。
小暮である。ここから、
            ドラ
6巡目にツモ 打 、8巡目にツモ 、打 と、小暮らしい手順で親満を田中からアガる。
この時、田中の牌姿は、
         ポン  
8巡目ツモ で 暗カン。9巡目にツモ で、打 として放銃になった。
ツモなら倍満テンパイだからしょうがないと言えばしょうがないが、先にトイトイに決めて を切っていればと悔やまれる1局となった。
続く1本場、小暮の牌姿。
            
ここから打 、ツモ 打 、ツモ 打 、ツモ 打 。
同巡に、田中から2枚目の が出てポンして打 のテンパイ。
         ポン  
総合トップの藤崎から5,800は6,100のアガリ。
続く2本場、6,100を放銃した藤崎だが、配牌は落ちてない。2巡目で、
            ドラ
軽く藤崎がアガリすると思いきや、
8巡目…9巡目…あれ?あれれ?どうした?雲行きが怪しい…
そうしている間に沢崎が、小暮から3,900は4,500のアガリ。
このとき風向きが少しずつ変わり始めている気がした。
南1局1本場、田中。
            リーチ ドラ
11巡目に を引きこのリーチ。さすがにこれはアガれると思った。
ところが、ツモ牌には一度も触れず小暮が500・1,000は600・1,100をアガる。
南2局11巡目、終盤にかかるところでリーチが入った。小暮である。
            ドラ
これを一発でツモリ、2,000・3,900をアガリ。ここで待望の1人浮きのトップが見えた。
南3局7巡目、勢いがある小暮がリーチ。
            リーチ ドラ
この高目をツモることができれば…と心中思っていただろう。
これに対して沢崎が向かった。
         チー  
しかし、終盤に を引きオリにまわる。小暮の1人テンパイ。1人浮きのトップに。
続く1本場3巡目、沢崎リーチ。
            リーチ ドラ
キッチリ を一発でツモり、1,300・2,600は1,400・2,700をアガリ。
1人浮きを阻止した。
4回戦を終えて田中は可能性は低いが、まだ誰が優勝するかわからない点差である。
4回戦成績
小暮+27.2P 沢崎+10.2P 藤崎▲14.3P 田中▲23.1P
4回戦終了時
藤崎+45.3P 小暮+21.8P 沢崎+1.7P 田中▲68.8P
5回戦
起家から、田中・沢崎・小暮・藤崎。
東1局11巡目、田中がリーチ。
            リーチ ドラ
これをツモり6,000オール。
続く1本場、田中の1人テンパイ。
なんとしても親は落としたくないという意志が、見ているほうにも伝わった。
続く2本場、小暮が500・1,000は700・1,200をアガる。
東2局4巡目、藤崎。
            ドラ
やはり早い。ここに を引きテンパイ。
一旦、 単騎。次巡、 引きで待ち替え。そして を引きなんとリーチ。
            リーチ
捨て牌に ・ ・ ・ とあり確かに迷彩は効いているのだが・・・。。
14巡目に沢崎が を掴み放銃。
東3局、小暮にチャンスが!!
            ドラ
8巡目に が暗刻になり タンキのダマテン。
同巡に沢崎から12,000のアガリ。これで藤崎との差が5.5Pまで迫った。
続く1本場は、藤崎が700・1,300は800・1,400をアガる。
南1局は、田中・沢崎・小暮の3人テンパイ。
藤崎1人ノーテンで差は3.9Pに…
続く1本場は、田中のリーチに沢崎も追いつきリーチが入る。しかし流局。
小暮もなんとかテンパイを入れて3人テンパイ。
連続藤崎の1人ノーテン。これで小暮がトータルトップに立つ。
しかし、またこれも藤崎劇場の演出なのでは?と心のなかでは思っていた。
続く2本場8巡目、田中がリーチ。
            リーチ ドラ
そして同巡、沢崎。
      ポン  チー  
ツモ で打 の勝負。
前半戦なら、今日の田中だったら鳴いていたのかもしれない。
朝から何かおかしいと思っていたが、ここにきてようやく田中らしい麻雀を見せてきた。
これはどっちがアガるのかワクワク見ていた。13巡目、4枚目の を暗カン。
同巡には沢崎も を暗カン。他の2人も、
小暮
         ポン  
藤崎
            
テンパイ。そして、この戦いを制したのは田中であった。
15巡目にキッチリと高目の をツモリ、この半荘2度目の親の跳満6,000は6,200オールを決めた。
これで田中にもこの親で連荘をすれば優勝の可能性が多少なりとも見えてきた。
続く3本場は、藤崎が小暮から1,000は1,900をアガる。これでまた藤崎がトータルトップに。
親が落ちた田中は、ここで実質優勝争いから退く形となった。
南2局7巡目、小暮リーチ。
            リーチ ドラ
藤崎も追いつきリーチ。
            リーチ
この2人だけの牌姿を見れば一目瞭然で、藤崎に軍配かと思ったが勝負は11巡目だった。
小暮が藤崎から3,200をアガる。山には は1枚、 - は4枚生きだった。これでまた小暮の逆転。
南3局は全員ノーテン。
南4局1本場は先に小暮がテンパイを入れるも粘った藤崎が、1,500は1,800を小暮から討ち取る。
南4局2本場、まず10巡目に小暮がテンパイ。
            ドラ
11巡目に、藤崎が を引き1シャンテン。
            
そして14巡目に小暮が『リーチ』。アガれば問答無用で優勝が決まる。
藤崎は1シャンテンのまま最後のツモ牌を河にそっと置いた。
5回戦成績
田中+48.8P 小暮+8.5P 藤崎▲19.1P 沢崎▲39.5P (供託+1.0)
5回戦終了時
小暮+30.3P 藤崎+26.2P 田中▲20.0P 沢崎▲37.5P (供託+1.0)
第4期北関東リーグ優勝者は小暮一志。本当に面白い対戦だった。
終了後、各選手に一言いただいた。
第4位:沢崎誠
『隆次(田中)に負けるとは思わなかったなぁ(笑)』
『今日は捌きが多くなったね』
冗談も交じっているが沢崎のようなトッププロと決勝戦の場で対戦した田中は羨ましかった。
第3位:田中隆次
『ホントに酷い麻雀をしてしまった。』
本人は悔しかっただろうが最終戦の戦いはとても良かったと思う。
第2位:藤崎智
『わっ!』
私『……一言すぎ。言葉変えて、コメントお願いします。』
藤崎『北関東支部立ち上げから出ていたのですが、今期で一応、最後だったんです。
なので有終の美を飾りたかったけどなぁ。でもディフェンディングいないとね(笑)』
ホントに短い間でしたがありがとうございました。また時間があるときはいらしてください。
そしてこれからもご指導の程よろしくお願いします。
第4期北関東リーグ優勝:小暮 一志
『(4面子、1雀頭を門前でツモアガる)これをベースに、自分が局の終盤で戦うスタイルなので、顔をあげないようにガマンして打ちました。
やっと結果が出て、積み重ねてきた事が間違ってなかったと思うと、正直ホッとしています。』
今回の勝利は、小暮スタイルを貫き通した結果だと私も思います。
次回は、私も自分の麻雀を貫き通し勝ち進みたいです。
観戦する側じゃなく、決勝戦の席に座れるよう心身共に精進していこうと思います。
小暮 一志(16期生)
連盟入りして12年目の春。嬉しい初優勝である。
元来、雀力もありながら、常に向上心を持って対局に取り組んでいる姿勢には畏敬の念を抱く。
今後も自分達若手の見本となり、北関東支部の主軸選手としても各タイトル戦での活躍を願っています。
小暮さん優勝おめでとう!
(観戦記:河井 保国 文中敬称略)
|