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鳳凰の部屋

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「~振り返るには~」 前原 雄大

2017/07/25
執筆:前原 雄大


つい、数年前ならば簡単に出来たことが出来なくなりつつあることを痛感する最近である。
例えば、麻雀格闘倶楽部ならば、12時間位ならば簡単にこなせた。
元来、ぐうたらな私はとりあえず、40クレジットを投入すれば良いだけのことだった。

例えば、ロンロンであるならば、ロン2リーグのゴールドクラスを維持するために、仕事が足詰まっても月末の土曜日に16戦ほどならばこなせた。

食に関しては1日最低でも4、5食はこなせた。しかもすべて、大盛りである。
ラーメンなどは大盛りを頼んでそれでも満足できず、御代わりをするのは流石に恥ずかしいので、ラーメン屋を出て、その足で隣町にあるラーメン屋を訪ねたこともある。
ここ数年はまだ大丈夫だろうと、ラーメンの大盛りを頼み具合が悪くなることも少なくない。

「アナタは本当に懲りない人ですね。馬鹿なんじゃないですか!!」

ラーメンにライスを頼みケロッとしている佐々木寿人さんに窘められる。彼は麻雀が始まる直前に食事をとり、終わった直後には食事をとる。
我々の麻雀は一時期ほどでは無いにしろ、かなりの時間を要する。佐々木さんは後半頃には食事のことが、脳内の3割ほど占めているらしい。羨ましい限りである。

鳳凰位戦が終わり、結果はともかく、中途半端な己の麻雀に苛立ち大庭三四郎君に鳳凰戦の映像を用意してもらい、寝る前と起床後に観るようになって今も続けている。
対外戦が増えたため、押し引きのバランスを深めるため3人麻雀を稽古の中心に置いた。
相手は、佐々木さんプラス1人である。

最初の頃終わった翌日には肩が痛む、高校の頃の友人がクリニックを先代から受け継ぎ何かあれば彼の所に通う。

「お前も歳を考えろよ、単なる筋肉痛だよ」

友人の忠告を無視し、やり込んでいくと、今度は右の胸の筋肉まで痛みを感じるようになった。
対外戦の始まりはVS天鳳戦だった。
これを優勝というカタチで終われたことは、語弊を恐れずに言えばある意味、鳳凰の優勝よりも悦びはあった。
独歩さんや、就活生@川村軍団さん始め僅かな時間だったが、控室で話せたことが私の身になったように思える。

「緊張しませんか?」
私の問いに
「それは無いですね。むしろ、楽しんでいます」
驚きの答えだった。

良く考えれば解ることで、彼等は天鳳位に就くために何千という単位の数のゲーム数を打ちこんでいるのである。
また、連盟チャンネルもかなり観ており、牌捌きも短期間の間に目を見張るほど美しくなられた。
知的向上心と実戦の数もうかがい知れる。

私自身は好調な出だしで初戦、2戦と悪くはなく、就活生さん、すずめさんも良い感じで3戦目を迎えた。
牌運に乏しく思われた勝又さんが国士無双を就活生さんより出アガった。
私は好調な分だけ1巡早くロン牌である九筒を処理できたが、これは己の手の都合でそうしただけで勝又さんの国士無双は半信半疑だった。

 
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この国士無双をきっかけに最終戦3つ巴の戦いに突入したのだが、勝又さんの復活もすばらしかった。
メンホンダブ東イーペーコーを就活生さんより出アガる。

四索四索四索五索六索六索七索七索東東東中中  ドラ八万

全くエネルギーの塊のようなアガリである。

そして、つづく1本場またもや、勝負リーチが勝又さんより入る。
正確に記すならば私の仕掛けで入れさせたリーチである。

 
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そのリーチを受けて、就活生さんのこの手牌から皆さんなら何を切り出すだろうか。

 
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現物は今通った三筒だけである。

就活生さんの切り出した牌は八索!!

これは私の考えであるが、勝又さんのリーチと私の仕掛けを両方見ての一打に他ならない様に思う。
私の1シャンテンを読み切り打ち出された八索に間違い無い様に考える。
この八索はなかなかに打てない一打である。

実戦ではこの三筒を降ろすと私にチーテンが入り、勝又さんの安目ではあるが、三万のツモアガリ。
さらに驚いたのは、就活生さんが三筒を握り潰し、チーテンを喰い取った牌が勝又さんの高目の牌である、六万
そして、その六万で一度オリを選択し最終ツモでテンパイ復活である。
麻雀は何が起こるか解らない。

就活生さんの優勝する可能性は0では無いにしても、特別な何かが起きない限りその可能性は薄い。
その中でこの三筒を打たずして、八索を打ち出すのは、その薄い可能性にかけたか、麻雀打ちとしてのプライドがそうさせたものだろう。
もしかすれば、その両方なのかもしれない。

仮に、三筒を降ろした場合、三万のツモアガリで勝又さんにさらに加速度を増した次局が待っていたように思えてならない。
おそらく、私に役なしの早めのテンパイが入り、リーチを打ち、勝又さんは不要牌を全て切り出し、私の放銃で終わっていたように想像する。
多分、この想像はそれほど的外れでは無い様に考える。

勝又さんの親番を落としたのはすずめクレージーさんである。
しかも、勝又さん、私、すずめさん3者テンパイの中でのツモアガリである。
すずめさんが見事だったのは、次局、勝又さんよりドラ待ちである、南単騎のリーチに対する処し方である。

 
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待ち牌である三万は山に生きていそうである。
すずめさんの選択は打四万!打たない牌は打たない。強烈なまでに自己主張の意志ある受けの選択である。
勝負すべき局面では無いと判断したのだろう。既にソーズの1メンツを落としているから、一貫性を求めた一打なのだろう。三色だから、、、ということに甘えない好手である。

両者に言えることは、自分さえ良ければそれで良いという考えを持っていないことのように映る。

相手の立場に立って麻雀を表現する。
相手の立場に立って物事を考える。
相手とは目の前の3人では無く、視聴者の方なのかもしれないし、もしかしたら、俯瞰の心で見つめ合っている自分自身なのかもしれない__。
それとも、もっと異なった面で麻雀と向き合っているのかも知れない。

いずれにしても、私の持っていない、もしくは欠けている部分を持った強い打ち手と牌を通じて語り合うのは悦び以外の何物でもない。

3rd seasonも始まっている。決して芳しい成績でも内容でもない。やるべきことは、観戦と稽古と身体作りだけである。
40年近い麻雀人生を振り返るには未だ早すぎる。
出来ないことが増えていることは間違いないが、新しく出来る事を模索し続けることが、どの道であれ、プロの末席にいる為の肝心なことのように考える、今日である。