プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記/第32期鳳凰位決定戦 二日目観戦記 HIRO柴田
2016年02月23日
観ている側と座っている側では見えているものが違う。
観ている方が見えているようで、座っている方がよく見えているときもある。
A1リーグの戦いでは、観ている側が後で気づかされる場面が多々ある。
今日もそんな対局を楽しみにしながら鳳凰位決定戦2日目を観る。

5回戦 (起家から、瀬戸熊・前田・勝又・古川)
東1局、瀬戸熊が古川から2,900。
瀬戸熊












リーチ ロン
ドラ
続く1本場では古川が400・700の1本場をツモアガリ。
古川









チー

ツモ
ドラ
東2局、勝又リーチで瀬戸熊から古川へ1,000。
古川









チー

ロン
ドラ
東3局、勝又リーチで流局の後、瀬戸熊が勝又から2,000は2,300と供託のリーチ棒を頂く。
瀬戸熊












ロン
ドラ
・・・・前田の動きがない小場で進むこの3者のペース。息をひそめている沈黙なのか、それともメンバーのかみ合わせが悪いのか。
東4局、古川の手順が面白い。










ポン

ドラ
ここから打
、これは
ポンなどを構えた打牌。チーを構える
打ちとは意見が分かれるところか。
だが、次ツモ
で打
と古川は打ってきた!そして古川の河には
が3枚、前述の打
ならここでテンパイ。
この時わたしは「親で打
は策に走り過ぎたのでは?」とメモを残した。
だが古川はここから
ポン
ポンときて前田からアガる。

前田の分岐点は7巡目。
前田














何切るだったら
だろう。前田の選択は
。古川の捨て身の手筋が前田の読みを狂わせているのだ。
南3局、古川がここから4枚目の
をチーして
打ち。
古川












ドラ
解説でよく聞く真似しちゃだめなやつだ。続けざまに
をポンとすると、体感で古川がアガる感じがする。だがここは勝又の500オールのアガリ。
勝又









ポン

ツモ
しかし初日から言えるが、勝又は親でのアガリが本当に強い。
この親でも1人沈みの状態から一気にかけあがる。

勝又












リーチ ツモ
ドラ












ロン
ドラ












リーチ ドラ
流局












ツモ
ドラ












リーチ ツモ
ドラ
終ってみれば勝又1人浮きの快勝だ。
勝又以外の3者はこの場面を何度も味合わされているだけに厳しく感じているはずだ。
5回戦成績
勝又+33.7P 古川▲2.6P 瀬戸熊▲9.8P 前田▲21.3P
5回戦終了時成績
勝又+80.1P 古川▲18.3P 前田▲24.1P 瀬戸熊▲37.7P
6回戦 (起家から、瀬戸熊・前田・古川・勝又)
古川が開局から連続でアガリをものにする。

古川









チー

ロン
ドラ









ポン

ロン
ドラ












リーチ ロン
ドラ












リーチ ツモ
ドラ
1,000→2,000→3,900→2,600オールと倍々と高くなるアガリで一気に45,000持ちまで加点する。
南1局2本場、勝又の総合力の高さは死角無しとさえ思えてしまう。
状況と牌をよく見ているのだ。

1,000点という勝又の初アガリだが、テンパイ料を重ねることによりトップ目の古川に300差までこれで詰め寄るのだ。
南2局1本場、瀬戸熊が仕掛ける。
瀬戸熊









ポン

ドラ
早い仕掛けで押さえ込むか、引き付けてアガリをものにするかとは瀬戸熊のコトバ。
ここは押さえ込みなのだろう。
そこに前田がスピードを合わせにいく。

前田









チー

ドラ
前田はチーして
の手出し、瀬戸熊は自分の手をものにしたい、放銃にまわるのは構わないが打てばこの局は終わりという葛藤で
と
を入れ替える。
それを隙とみたのか、この前田の受け流したアガリとなる。

南2局2本場、そしてそれを機に前田反撃と移すも勝又がすかさず止める。
前田






ポン

ポン

ドラ
勝又



ポン

チー

ポン

ロン
南3局、前田。












ロン
ドラ
トップ目の勝又が形式テンパイで勝負した牌が、前田の七対子ドラ2のアガリとなり前田のトップとなる。
この局だけでみると勝又手痛い放銃だが、常に攻める姿勢を崩さないからこそ全てを親での連荘に繋げているよう私は見ている。
わたしの知る限り、いいとこだけアガろうというトッププロは誰一人いない。
6回戦成績
前田+12.9P 古川+7.2P 勝又▲4.7P 瀬戸熊▲15.4P
6回戦終了時成績
勝又+75.4P 古川▲11.1P 前田▲11.2P 瀬戸熊▲53.1P
7回戦 (起家から、勝又・瀬戸熊・古川・前田)

東1局
勝又は瀬戸熊からテンパイとなる
がでる可能性があるからと言っていた。
仕掛けを多用する古川より、少しでも瀬戸熊のアガリとなる可能性の牌を打たず尚且つテンパイチャンス残す
打ちだ。
瀬戸熊の攻めにより古川のアガリが生まれ、勝又を苦しめるスタートとなる。
東3局

古川がさらに加点した親番だが、勝又の仕掛けにより牌を止めることになる。
トータルトップの勝又が今回沈んでいる以上、勝又が立ち直るきっかけとなりうる發は危険牌である。
打つか打たないかだが、古川の立場の時に勝又はこれを打ってきて今の位置がある。
古川もずっとそれをやってきていたが数字が許さなかったのだろう。
頭でわかっているが体で打てるかどうか?非常に難しい局となっている。
南4局
勝又













勝又、古川の第一打
をポン。点数状況的に牌が鳴きやすいのと親の前田を押さえ込めれば1局で終ると読んだと思う。
すぐにドラ
を重ね瀬戸熊から
をポン。

前田






ポン

チー


前田ここにドラの
を持ってきてテンパイを崩す。4枚目の
を打てば勝又がチーしての跳満テンパイだ。
牌山を見てしまえば仮に
をチーさせると
で前田のツモアガリだが、自分のわがままによるめくりあいで勝又にもうチャンスを与えることはできない。
運まかせにはもうできないという前田の誠実さにより、アガリこそは逃したものの勝又を4着にしてこの半荘を終える。
7回戦成績
古川+21.1P 瀬戸熊+4.8P 前田▲8.8P 勝又▲17.0P
7回戦終了時
勝又+58.4P 古川+10.0P 前田▲20.1P 瀬戸熊▲48.3P
8回戦 (起家から、前田・勝又・瀬戸熊・古川)
東1局
瀬戸熊












リーチ ドラ
前田












ロン
瀬戸熊、高め三色リーチだが、このリーチ現物で古川が前田のヤミテン12,000へつかまる。
東2局

仕掛けが入って瀬戸熊がヤミテンで3,900のアガリ、残り牌山には待ち牌は
が1枚のみだった。
選択はあっていたのだろう、でもリーチをする瀬戸熊を見てみたかった気もする。
東3局
勝又












リーチ ツモ
ドラ
北家なのでヤミテンの選択もあるが、私は前へいきますよとばかりに勝又が力強くリーチしてツモる。
そして先ほどの3,900を100点足しての4,000の払いとなる瀬戸熊。
南2局

解説で藤崎も触れていたが「古川の本手のヤミは怖い」これはわたしも同意見だ。
しかし古川、ここはリーチとくる。ヤミテンなら勝又からのアガリがあったかもしれないが、ここに瀬戸熊も追いつきお互い残り1枚の勝負となり、瀬戸熊のアガリとなる。

南3局
瀬戸熊













ドラ
どう打つか?どう見えるか?結果論かもしれないが、この局はどう見えるかのテーマが正解だったのだろう。
7巡目の瀬戸熊の選択は打
、手順でいえば正着打、こう構えるならドラ引きもあるのでヤミテンがセオリー。
ただここで
切りリーチとくると先ほどのアガリを見るに、なかなか子方の3者は踏み込みにくいだろう。

そしてこの
の選択が勢いを止めない勝又のアガリを呼び非常に手痛い放銃となり、折り返しを迎えるにあたって勝又非常に手ごたえの有るトップとなる。
8回戦成績
勝又+19.0P 前田+8.3P 瀬戸熊+2.2P 古川▲29.5P
8回戦終了時成績
勝又+77.4P 前田▲11.8P 古川▲19.5P 瀬戸熊▲46.1P
カテゴリ:プロリーグ(鳳凰戦)決勝観戦記












