第38期十段戦 ベスト8A卓レポート
2021年07月22日
【第38期十段戦~ベスト8A卓~ 決勝進出は、藤原・荒】
最終戦を迎えて、以下のスコア。
4者ともに通過も敗退ある大接戦だった。
4回戦終了時
浜上+9.0P、伊藤+5.2P、荒▲5.3P、藤原▲8.9P
最終戦の条件は、浜上、伊藤は浮けばよく、逆に荒と藤原は、浜上か伊藤のどちらかを沈めて、自分が浮けばだいたい逆転できる。
ここまでの4半荘に約6時間。
トーナメントならではの神経を使う局が多く、選手の顔には疲労が色濃く見える。
最終戦東1局2本場

最初にリードを奪ったのは浜上。
三色同順、ドラ1の5,200+600を藤原から。
3万点キープが目標の中、このアドバンテージは大きい。
東4局1本場


親の浜上の
切り、これはオリる方針に転じた一打だった。
全員に安全な
だったからか、または気配なのか、荒のこの打点もない、待ちも悪いリーチは、まさにそれを感じとった一手。
思惑通り、1人テンパイで流局。
この手牌での最良の結果を得た。
南1局1本場

藤原がペン
、ドラの
と2つ仕掛けて満貫級のテンパイ。

当然、
を切った荒もテンパイ。

待ちはイマイチだが、伊藤にもテンパイが入っている。
供託は2本で、誰もがアガリたい局面。

同巡の出来事だった。
前に戻って藤原の河を確認してほしい。
この
を止められる人はいないだろう。
振り返ると、序盤から藤原用の安牌としてとっておいた
であった。
(南、チャンタ、ドラ3の12,000点)
南3局

最初のテンパイは伊藤。
を鳴いて、カン
から
単騎に変化。

を鳴いて、追いついた荒。

そして浜上も追いつく。
もう技術は関係ない。牌の女神が誰に微笑むか。

伊藤が
を掴み、荒のアガリ!(タンヤオ、ドラ2)
これが決定打となり、藤原と荒が十段位決定戦に進出となった。
最後にインタビューの一部を抜粋して掲載する。

(ビタ止め連発について)
荒「感じるか、感じないか。自分がアガれないとか、これいったらいけない場面とか。それで、怪しい牌は全部止めちゃうのね。目線追ってるから。あ、これテンパったなとかはわかるから。もう最後のチャンスだと思って、もう二度と決勝に上がることはないと思うので、出来るだけ戴冠に向けて頑張ります。」
(荒は12年ぶりの十段位決定戦)

(藤原もかなり疲弊している表情)
勝又「
で勝負リーチいって、(親の伊藤に)トイトイあたったときは、肝冷えたんじゃないですかね?」(4回戦南1局)
藤原「ちょっと早く楽になろうと思って、勝負処を焦りすぎました。あれはよくないんですよ。やっぱり優孝さんはダイハードだわ、怖いわ。今日負けたら、あそこが最大の反省点で、しばらく寝れないところでした。15年ぶり二度目の決勝になりました。前回は全然優勝争いに絡めなかったので、今回は最終日まで優勝争いができるように頑張りたいと思います。」
B卓は7/23(金)15時対局開始。お楽しみに。
沢崎誠vs森山茂和vs瀬戸熊直樹vs三浦智博
実況:楠原遊
解説:佐々木寿人

(文:福光聖雄)
カテゴリ:十段戦 レポート












