中部プロリーグ レポート

第32期中部プロリーグ 第9節レポート

Aリーグ:大橋幸正

中部プロリーグAリーグは、年々、その価値は上がっている。2017年からAリーグは、半期から通年のリーグ戦に変わり、優勝の重み、また、Aリーグに残留する価値はより一層高まった。そして、昨シーズンよりリーグが増え、現在、4つのリーグが存在し、その最高峰にAリーグは存在する。今期から他地区の選手の実績に応じた編入も可能となり、中部プロリーグは活性化され、そのレベルも同時に向上していくであろう。
そんな第32期中部プロリーグAリーグも第9節を迎え、残す所、僅か2節となった。決勝進出を目指す選手はもちろん、残留争いをする選手の気苦労は計り知れないものがある。そんな選手の気持ちのこもった一打から産まれるドラマを、レポート担当を通して目の当たりに出来る経験は、私にとって、大変貴重な財産となっている。中部プロリーグは観戦自由となっているので、興味のある方は、是非、会場に足を運んでいただき、緊張感溢れる対局を観戦して頂きたい。
それでは、数々のドラマが繰り出された第9節の模様をお伝えしていこう。

第9節の組み合わせは以下の通り。

1卓 清水・土岐・都築・斎藤
2回戦、3回戦と大きなトップを取った斎藤が+60.3Pの卓内トップ。残留に向けて、非常に大きなプラスとなった。第8節を終えた時点で首位の清水は+2.0Pとまとめ、決勝進出に向けて、一歩前進。対して、土岐は▲58.4Pと痛恨の大きなマイナスとなってしまう。第7節を終えた時点で4位と決勝進出圏内にいたのも束の間、その後の2節で大きくポイントを減らし、一転して残留も危うい状況となってしまった。土岐はポイントを上手くまとめるのに長けた選手であるだけに、最終節は平常心を保っていられるかが大きなカギとなりそうだ。最下位と低迷する都築は、今節、なんとしてもプラスを積み上げて、残留に望みを繋げたい所。1回戦目にトップを取り、幸先の良いスタートを切ったが、2回戦目オーラスに大きな落とし穴が待っていた。14,800点持ちのラス目で迎えたオーラス、西家の都築は七対子テンパイ、ドラの8待ちでリーチとした。トータルポイントを考えるとリーチは必然であろう。終盤、都築のツモ切った九索に親の斎藤からロンの声がかかる。開けられた斎藤の手は、

一索一索一索二索二索二索五索五索七索七索七索九索九索

チンイツトイトイ三暗刻の24,000。残留を狙う2者にとって、明暗の分かれる結果となった。正直、その場を目の当たりにした私は、都築はもうノーチャンスだと思った。しかし、都築はその後、気持ちを切り替えて、3、4回戦と着実にプラスを重ね、▲2.9Pとマイナスはしたものの、最終節に望みを繋ぐことが出来た。不利な状況には変わりは無いが、しっかりと気持ちを切り替えて、粘り強い麻雀を見せてくれる選手にはビックチャンスが訪れるのではないだろうかと期待を感じる。最終節の都築は大注目である。

2卓 小野・朝岡・長谷川・森下
卓内トップは森下の+13.7P、卓内ラスは朝岡の▲18.0Pと平たい結果となった。最終戦オーラス、4者の競りの状況の中、粘り強く形式テンパイを取った森下がトップを取り、朝岡はトップ目であったが、放銃すればラス落ちもあった状況の中、しっかりと受け、浮きの2着を確保。小野は沈みの3着の状態の親番で、前に出たい気持ちを堪え、堅実に3着を確保。長谷川はラスであったが、高目をツモればトップ、安目出アガリでも浮きに回れるテンパイを入れ、残念ながらアガれずラスであったが、落ち着いたヤミテンの判断を見せた。それぞれの思考が光った1局で、非常に引き締まった対局が繰り広げられた。

3卓 三戸・掛水・加藤・村瀬
いつも通り、淡々と打ち続け、着実にプラスを積み重ねていた三戸が、最終戦オーラス、見事な手順で6,000オールを決め+48.1Pの卓内トップ。トータルポイントも首位となり、決勝進出が濃厚となった。私の見る限り、Aリーグの中で一番、常に平常心で打てているのは三戸に見える。さすがキャリアを積んだベテランプロである。
そしてこの日、+33.8Pと価値のあるプラスを取ることに成功したのは村瀬。この日も持ち味である切れ味鋭い攻めを見せてはいたが、何かいつもと違う雰囲気を感じたので、対局後、村瀬にこの日、どういう気構えで対局に臨んだか聞いてみた。「今日のテーマはプラスが絶対条件と掲げて臨みました。その為、確実に点棒を重ねるため、普段、リーチに行く所もヤミに受けた局面が多かったです。あと基本的に自分より下位にいる加藤プロに打ち込まない、リスクを負わないよう意識して打っていたのもあります。」と回答。しっかりとテーマに沿った結果を残せて、本人も満足している様子であった。

4卓 伊藤(鉄)・寺戸・林・堤
1~3回戦目まで、伊藤(鉄)の出来が良く、特に決勝進出争いをしている林には厳しく打っていたのが印象的であった。しかし、最終戦、手痛いラスとなり、+28.4Pの卓内トップではあったが、トータル5位と決勝進出圏内に入ることは出来なかった。対して、林は1回戦目でラスを引いてしまったものの、2~4回戦までトップ2回、43,600点の2着1回と大きく回復し、終わってみれば+26.5P、トータルポイントもついに決勝進出圏内の4位に踊り出た。最終節、2者は別卓となるが、2者の決勝進出争いは最後までもつれるであろう。楽しみである。寺戸はこの日、▲65.7P、前節も大きくマイナスしており、降級ゾーンの13位に後退。一度もBリーグに降級したことの無い実力上位の寺戸が窮地に追い込まれた。経験豊富な寺戸がこの状況から最終節、どうゲームメイクしてくれるのか、見ものである。

泣いても笑っても残す所、1節となった。最終節の卓組は、決勝進出争い、残留争いで対象となる相手との直接対決となっている卓が多い。1位の三戸から3位の小野まで一見安泰に見えるが、3者は5位の現中部プロリーグ優勝者の伊藤(鉄)との直接対決である以上、予断は許さないであろう。こういった状況から大逆転はよく起こるものである。それは残留争いにも同じことが言える。最終節、どういったドラマが産まれるのか、楽しみで仕方が無い。

 

 

Bリーグ:大橋幸正

中部プロリーグ後期Bリーグ第4節が開催される前日、日本代表の活躍が目覚ましく、日本中が沸きに沸いたラクビ―ワールドカップも終焉を迎えた翌日、名古屋では引き続き、熱気溢れる中部プロリーグの対局が繰り広げられた。
残す所2節となり、残留争いも熾烈を極めている。第3節を終えた時点で、降級ゾーンにいる富村、佐藤、鈴木(涼)による直接対決を制したのは佐藤。佐藤の持ち味は攻めると決めたら、とにかく強い気持ちで前に出ることであるが、この日は丁寧に打ち回し、降級ゾーンから脱出に成功。対して、富村は大きくマイナスをしてしまい、崖っぷちに立たされた。今期の富村は迷いが多く、上手く対局に入り込めてないように見える。最終節ではしっかりと自分の麻雀を打ち切って頂きたい。
鈴木(涼)は超攻撃型のスタイルを貫いているが、経験豊富な選手が揃ったBリーグの壁を感じているであろう。結果はともかく、1つ1つの対局から何かを掴み取って欲しい。
首位を独走中の杉浦(勘)は3、4回戦で失速し、少しポイントを減らし、昇級に向けてまだまだ有利な状況には変わりは無いが、安泰とはいかない状況となった。
2位の杉村は、終始安定した打ち回しを見せ、ポイントを伸ばし2位をキープ。本人も手応えを感じているようだ。
3位~6位の組み合わせとなった卓を制したのは山本(拓)。高橋が勝負がけをした所を河合が捉え、その河合を山本(拓)が捉えるといった場面が多い対局となった。高橋は開幕前にテーマに掲げていた大きくポイントを叩くことを強く意識して対局に臨んだと思うが、結果はついて来ず、昇級争いから後退。
この日の結果を受け、実質、昇級争いは1位の杉浦(勘)から4位の河合までに絞られたと見て良いだろう。4者とも、充実した内容で、近年稀に見るボーダーの高さとなっており、ハイレベルな昇級争いが繰り広げられている。最後まで誰がAリーグへの切符を手にするのか全くわからない。
残留争いも含め、見所満載のBリーグも残す所1節となった。残り僅か4回戦で、昇級を決める選手、降級してしまう選手が決定する。麻雀プロである以上、当然、結果を求め、結果を出すことは必要である。だが、決してそれだけが全てでは無い。どの選手にも、今置かれている状況を楽しむくらいのゆとりを持ち、且つ、悔いの残らないよう全力で麻雀と向き合って頂きたいと願う。

 

 

Cリーグ:越川清一

Cリーグ第4節。昇級争いが佳境となる今節、紹介する選手は現在首位を走る安藤と2位につける杉浦の両選手。2人は今節同卓となり昇級を狙う上で負けられない戦いとなる。
28期安藤大貴。麻雀のスタイルは守備型、面前派で尊敬するプロは今日対戦する杉浦貴紀と答えてくれた。以前同じ麻雀荘で働いていたことがあり杉浦を見てプロになろうと決めたとのこと。それだけに今日の戦いにかける思いはいかばかりか?プロとしての目標を聞くと「G1タイトルを獲り観ている人を自分の麻雀で沸かせられるプロになりたいです。」と答えてくれた。私が思う安藤の良さは所作に無駄がないこと。ツモってから切るまでの動作が一定でアガっても放銃しても体の軸がブレない。これができる人は意外と少ない。私が打ち手としての強さを見る上で所作は欠かせないものである。そんな安藤の戦いを後ろで観戦する。

東3局、早い巡目で七対子ドラドラを親の現物でテンパイするも、その後2つ鳴きを入れた上家に5,200の放銃となり苦しい展開となる。
そして東4局親の杉浦より6巡目の早いリーチが入る。途中カンが入るも、3者受けに回り流局かと思われたハイテイで、メンタンピンツモドラ1の6,000オールを引きアガる。

このアガリは他家3者からしたらかなりまずいなと思い観ていた次局4巡目、安藤がまだまとまっていない手牌から東をツモ切った。それを杉浦が鳴く。「調子のいい親に簡単にダブ東を鳴かせるのか」そう思う人が多いかもしれない。しかし私の見解は違った。「面白いことをするな」である。というのも私もこういったことをする時がある。明らかに親の状態が上がったと感じた時、自身のツモ筋で進められるのを避けるため、早い巡目で役牌を並べ打ちする。いわゆる「鳴かせ」である。大事なのは鳴かせた後の対処法なのだが、この局でいえば杉浦のツモ筋を得た安藤は10巡目、高めタンピン三色のテンパイが入る。杉浦は手の進行が思わしくない。12巡目杉浦から北家へ12,000の放銃となった。

安藤にこのことを聞くと「親にメンゼンで進めさせたくなく、自身の手も育てば勝負手になるので鳴かれてもいいと思いました。」と答えてくれた。
何が正しいのかはわからない。ただ私自身は結果から学ぶようにしている。
安藤は2回戦オーラス起死回生の四暗刻ツモでラスからトップになるも、そのあとは厳しい展開が続き▲27.3Pでこの日を終えた。

2人目は21期杉浦貴紀。中部プロリーグで三度優勝している杉浦。麻雀のスタイルは守備型で尊敬するプロは青山大。プロとしての目標を聞くと「中部プロリーグを盛り上げていけるような活動をしていきたい」と答えてくれた。
私が杉浦と最初に対戦した時の印象は超攻撃型であった。そのことを聞くと「初めての中部プロリーグ決勝を戦った時、攻め一辺倒のスタイルで完敗したのを機に自身の麻雀を見つめ直しました。攻めるだけでなく状況に応じて柔軟な対応ができるように心掛けるようになりました。その結果、中部プロリーグで三度優勝することができました。今期は昇級するチャンスなので負けられません。」と答えてくれた。そんな杉浦の戦いを後ろで観戦する。

攻守のメリハリがよく、そのため打牌リズムもいい。観戦する側も集中して観ていられる。ただこの日私が気になったのは、必要以上に安藤を意識しているところ。象徴的だったのが6,000オールをアガった次局、4巡目に安藤から切られたダブ東を鳴く。この時のことを杉浦に聞くと「鳴いても2,900の手なので普段は鳴かないのですが、昇級争いをしている安藤から切られたので、鳴いてプレッシャーをかけたいと思いました。」と話してくれた。結果、北家に12,000の放銃となる。少しバランスを崩していたように私には見えた。それでも要所を締めこの日は▲13.9Pで終了し安藤とは痛み分けとなった。

次節は最終節。上位のポイント差が縮まり最後まで目が離せない展開になりそうです。

 

 

Dリーグ:越川清一

Dリーグ第4節。今節紹介する1人目は36期奥野真語。麻雀のスタイルは手役重視の面前守備型で、尊敬するプロは滝沢和典プロ。プロとしての目標は「G1タイトルを獲ること」と答えてくれた。
新人ながら第一節から首位を走り続ける奥野の戦いを後ろで観戦する。
東場からよく手が入りアガリを重ねるのだがトータルポイントを意識してかダマに構える局が目立った。
東3局 親 持ち点35,000 8巡目

二万三万五万五万六万六万七万八万五索五索五索七索五筒六筒  打八万  ドラ三万

13巡目
二万三万四万五万六万七万五索五索五索七索五筒六筒七筒  ツモ六索

手役を強く意識した手順で4,000オールとなるのだが、ヤミテンは中途半端と言わざるを得ない。この手、手なりで打てば8巡目打七索その後七筒を引き入れてリーチとなり四万ツモで3,900オールとなる。
手役を狙うことは決して悪いことではない。しかしこう打ったのなら6,000オールを狙うリーチをしてアガリきって初めて観ている者を魅了できると私は思う。
もうひとつ気になったのが打牌リズム。これは奥野に限ったことではないが、場を見て間違えず丁寧に打とうという気持ちはわかる。が、丁寧に打つことと時間をかけることは決してイコールではない。私がこの日観戦した5人打ちのCリーグの卓のほうが4人打ちのこの卓より1時間近く早く終わっている。決して早く打つ必要はないが、4人で一定のリズムで打つ意識は持って欲しい。個の成績も大事だが麻雀は4人で創り上げるという意識を持ってやって欲しい。それが観るものを魅了することに繋がるのだから。

奥野はこの日+30.8Pの成績で昇級へ向け大きく前進した。
2人目は35期田中寛治。麻雀のスタイルは「押し引きと局面把握に重きを置く守備型で先々の展開を見据えた打ち方をします。」と答えてくれた。目標とするプロは藤島健二郎プロでプロとしての目標は「いま麻雀荘のメンバーをしていますが、今後麻雀プロとして生活を確立させたいです。」と答えてくれた。そして「自分の麻雀を多くの人に観て欲しいのでG1タイトル、まずはマスターズを獲りたいです」と続けてくれた。麻雀プロとしてこの先やっていくという意志を田中から感じることができた。
田中は今期参戦している静岡プロリーグで現在暫定首位にいる。私も昨年まで10年あまり参戦していたが、強豪ひしめく静岡プロリーグで首位にいることは凄いことだと思う。静岡プロリーグについて聞くと「麻雀の面白さを改めて知ることができました。」と答えてくれた。そんな田中の戦いを後ろで観戦する。
1半荘を通して観て私が思ったことはリーグ戦に強いタイプだということ。丁寧な打ち筋で決して大崩れするタイプではない。アベレージヒッターである。ただ私が対戦したら正直やり易い相手と感じてしまう。ある意味打牌に信頼がおける分いろいろと読みやすい。それを覆すものを田中には今後身に付けて欲しいと思う。
次節は最終節となります。選手それぞれテーマは違ってきますが、しっかりと準備して悔いのないよう締め括って欲しいと思います。