プロリーグ(鳳凰戦)レポート

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第29期プロリーグ A1 第2節レポート

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ゴールデンウィークのため、第2週の開催となったプロリーグ第2節。
私は不覚にも対局前日に風邪をひいてしまい、治る間も無く26年の中でも記憶にない程、最悪のコンデションで会場入り。
自分の対局前には運営の仕事も有り、A1の観戦どころでは無かったが、「A1レポート」の為、ダルい身体と、酸欠気味の脳みそに鞭打って、対局をチェック。
向かう先は、先月お知らせした今節の注目カード。
開幕から立ち慣れない首位に立った藤崎と、
A1デビューを何とかプラスで終え、もしかしたら俺の麻雀はA1でも通用するんじゃないかと思ったかも知れない近藤。
先の鳳凰位決定戦で、荒に敗れた瀬戸熊と右田の卓であります。
結果から先に言うと、今節も同卓の不調者を美味しくお腹一杯に食した藤崎が、
1、1、3、1で約120ポイントも叩き、トータルでも大きく抜け出しました!
藤崎ブレイクのプロローグは、本人も「今日一番気持ち良かったアガリ」と言う1回戦東3局。
ここまで大きな動きはなかったのだが、西家・瀬戸熊が親の近藤の第一打からオタ風の南
そして、三筒もポンと仕掛けホンイツトイトイの1シャンテン。
四筒四筒八筒八筒東東発 ポン三筒三筒三筒 ポン南南南 ドラ白
この動きで、ドラの白が暗刻になった、北家・藤崎が、
7巡目に一万ポンと仕掛け返し、上家・瀬戸熊がピンズなのでマンズに寄せます。
三万四万四万四万八万九万白白白発 ポン一万一万一万
藤崎には、アバウトな仕掛けや不利な仕掛け返しなどのブラフの類は無く、A1の中でも仕掛けに関しては特に信頼度の高い打ち手。
この時点で、場には東白発が生牌、藤崎の対応から見てドラは藤崎の方に有りそうだし、無ければ早そうなチンイツも有りだ。
稀にポンテンで早くて良いマチの交し手も有るが、この局は本手に見えた。
親の近藤がどう読み、どう考えて途中から参戦してきたのか理解に苦しむが、近藤は12巡目にフリテンの二筒をチーして打二万でこの手牌。
四索六索六筒七筒七筒七筒九筒九筒九筒発 チー二筒三筒四筒
まさか、親権維持の形テン狙いでもなかろうが、ここから瀬戸熊と同じ色に染め返して行くつもりか?
このチーで、藤崎から東を喰い取る、藤崎に生牌の東発が1枚ずつになれば何を切っていただろう?
もしも近藤が動かず、藤崎が東をツモ切ればほどなく瀬戸熊の満ツモだったし、押さえていればほぼ流局だった。
更に、瀬戸熊に二万が下がり、藤崎がこれをチーテンに取り発を勝負。
藤崎としては、3面張のほうを鳴いてのペン七万待ちは少し不本意だろうが瀬戸熊に危険な発を勝負。
こうなると藤崎は100%テンパイで、満貫か跳満のはず、それでも近藤はさらにマンズの無筋をツモ切る、
瀬戸熊は七万を掴んで撤退したが、藤崎のツモにも七万が居た。
放銃にはならなかったが、近藤のピントのずれた押しは危険が一杯。
A2では幸いにも大事に至らず、相手をかく乱する効果もあってA1に昇ってきたのだろうが、
A1も同じことをやっていれば必ず痛手をこうむると思う。
2回戦でも藤崎の忍術が冴える。
南1局にトップ争いの瀬戸熊が必殺の親リーチ。
四万五万六万七万八万五索五索一筒二筒三筒四筒五筒六筒 リーチ ドラ五索
同巡、南家の藤崎が一万を暗刻にしてこの形。
一万一万一万三万四万五万六万八万八万中中 ポン二万二万二万
中は1枚も出てなかったが、瀬戸熊の現物も無い。
ここで藤崎はテンパイ取らずの中切りとし、瀬戸熊のツモ切りした八万をポンして六万をツモアガった。
この会心のアガリで2回戦もトップ。
瀬戸熊にしたら4,000オールを食い取られての親ッカブリではたまったものではないが、
次戦では、藤崎の3連勝を阻止し、2、2、1、2と開幕戦に引き続き、藤崎の嵐を凌いでプラスでまとめ、トータル3位につける。
流石、鳳凰位連覇の現十段位、その安定感とここぞという時の『そこまで押しますか?』とも思えるほどの踏み込みの深さは、
更なる高みを見据えてスキルアップしているようだ。やはりこの男は決定戦候補の最右翼から外せない。
4回戦目は今日一番の藤崎ワールド。
東場の親で4,000オール、4,000オール、6,000オール、2,000オールと、本人も「アガれ過ぎて気持ち悪かった」と言うくらいの仕上がり具合で、
本家を前にして「フジフジタイムだー。」と、そりゃあジョークも出ますわね。
プロリーグで120Pも浮くなんて10年に1度あるか無いか、ましてA1でそれをやれれば「チヨー気持ちイイ!」。
最も被害を蒙ったのは右田、最終戦ではハコラスとなり、自己ワーストのマイナス90Pオーバーで、先月壊れたダンプを抜いて最下位に堕ちた。
ここ3年間はA1でも上位での戦いを続け、つい3ヶ月前にはあと一歩で鳳凰位を掴みかけていたのが栄枯盛衰あっというまの降級ポジション、
流れが悪いと見るや、時折繰り出すオリジナルの変則手筋もことごとく裏目に出て、藤崎の加速装置にエネルギーを注入するだけであった。
A1は5期目となる右田、悔しい逆転負けや決定戦での優勝争いまで経験したのだから、
かなりの実力を備えてきているはずであり、このままズルズルと『半袖雀士の1人負け』にはならないと思いたい。
まだシーズンは先が長いのでA1リーグを盛り上げるためにも来節からの立て直しに期待する。
「来節の注目カード」柴田、沢崎、藤崎、朝武、
今節、伊藤(62)沢崎(56)前原(55)朝武(53)というA1最年長卓が立ち、この中では1番若い朝武が3連勝してトータル2位につけた。
朝武のあおりを食らわず、4回戦目で朝武をハコラスにして特大トップを取り、帳尻を合わせたのが沢崎。
1年でA1に帰り咲いた決定戦常連の朝武と、
「藤崎は俺と当たって勝ったことが無いから(笑)」と豪語する、忍者以上の試合巧者、沢崎が藤崎の独走を止められるのか?
昨年度は、最後まで降級の危機を味わった藤崎だが、
ここでもポイントを伸ばして200アップするようならば、早くも一議席当確となるだろう。
ではまた来月!

第3節組み合わせ

A卓 右田 勇一郎 vs 伊藤 優孝 vs 近藤 久春 vs 石渡 正志
B卓 ダンプ 大橋 vs 瀬戸熊 直樹 vs 前原 雄大 vs 望月 雅継
C卓 柴田 弘幸 vs 沢崎 誠 vs 藤崎 智 vs 朝武 雅晴