第24期中部プロリーグ 決勝レポート 三戸 亮祐
2015年02月23日
年が明けたのは、つい昨日のように感じてしまうが、もう1月も半分以上過ぎてしまっている。
自分は、日々に追われ時間だけが過ぎて何も成長していないな。とふと思う。
だが、第24期中部プロリーグの決勝には着実に成長していると感じられるメンバーがそろった。
決勝に向けての意気込みを通過順に紹介していこう。
寺戸孝志(四段)
第17期中部プロリーグ優勝
『観戦者に楽しんでもらえるような決勝のメンバーになったので、その中で優勝できると良いなと思います。』
鳳凰戦にも参加している寺戸は、やや目立たないが樋口・森下よりもキャリアは長い。
ここで優勝してアピールしたいところだ。
樋口新(四段)
第19期麻雀マスターズ優勝
『平常心で臨みます。中部プロリーグの決勝は初めてとなりますが、マスターズも初決勝で優勝できたので、今回も優勝できると思います。』
かつてシンデレラボーイと言われた樋口も、久々の決勝である。
もう一度、輝きを見たいと思う。
森下剛任(四段)
第39期王位優勝
『自然体で臨みます。いつも通り力強い麻雀をします。』
破竹の勢いとはこのような状態なのだなと思う。
今現在中部本部で最も強いと断言できる。
日下健司(二段)
第21期中部プロリーグ優勝
『自分も含め、皆麻雀店で働いてる選手との対戦になったので、楽しみにしています。』
シンプルな麻雀を打つ。重い手組みをする他の打ち手が牽制しあえば、勝つ可能性もあると対局前に私と杉村プロとで話していたが、どうなるだろうか。
今決勝は、連盟のタイトルホルダー2名VS中部プロリーグ優勝者2名による構図となった。
1回戦(起家から寺戸・森下・日下・樋口)
東1局
起親の寺戸のホンツ仕掛けに対して、押す樋口に受ける森下。
真逆の反応を見せる2人。
樋口は生牌を2枚押すも、放銃牌だけは打たず寺戸の1人テンパイ。
東1局1本場
初アガリを決めたのは日下。
リーチ・ツモ・ドラ1の1,000・2,000だが、手役を意識せずに両面ならリーチ。
これが日下の持ち味である。
東2局
日下とは対照的に手役を追う、親の森下の456の三色リーチ。












リーチ ドラ
七対子のテンパイを入れた寺戸に、こちらもテンパイを入れた樋口が森下の現物のドラで放銃。皆闘う意思が感じられる。
東3局
樋口、三色が見えたが手替わり前にカンチャンをツモ。500・1,000。
南2局
ようやく森下がアガリ、全員にアガリが生まれた。
これで、皆緊張がほぐれるだろう。
南2局1本場
連荘で弾みを付けたい森下であったが、好配牌に恵まれた樋口の2,000・4,000ツモ。
初戦は南3局4局と加点した寺戸のトップとなった。
1回戦成績
寺戸+22.4P 樋口+8.5P 森下▲22.7P 日下▲8.2P
2回戦(起家から日下・寺戸・森下・樋口)
1回戦の結果を受けて、各々自分の状態がどの程度か掴めたであろうか。
日下起親で1,300オール、1,000オールをアガるもその後の東場は静かに流れていく。
南場も誰も決定打の出ないまま、軽い手の応酬で、終わってみれば日下のトップ。
1回戦でプラスだった2人がマイナス、マイナスだった2人がプラスと未だ勝負の行方は見えてこない。
2回戦成績
寺戸▲10.0P 樋口▲15.9P 森下+4.9P 日下+21.0P
2回戦終了時
寺戸+12.4P 樋口▲7.4P 森下▲17.8P 日下+12.8P
3回戦(起家から日下・樋口・森下・寺戸)
東1局
暫定最下位となっている森下












ドラ
この好配牌から、
、
と引き込み4巡目でリーチを打ち即ツモの2,000・4,000。
ようやく森下の出番かと思われた。
東2局
その森下3巡目に自風の
をポンしてこの形。









ポン

ドラ
ようやく9巡目に
を鳴いてテンパイを入れるもその瞬間、寺戸にも大物手のテンパイが入った。












リーチ
森下も
を引き込みトイトイのテンパイ。






ポン

ポン


河にはどちらの待ちも出ておらず、両者ツモに力が入るが引きアガったのは寺戸。
短期戦での役満ツモアガリはもちろん優勝に大きく近づく。しかし、逆に安堵感か押し引きを狂わす可能性も否めない。
東3局
大物手が全く出なかった2回戦とは打って変わり、今度は日下が樋口から12,000。
樋口は早くも持ち点が0に。
東4局
高め一気通貫の先制リーチを打つ森下に日下がドラ暗刻のリーチで追いかけ8,000。
続いて南1局では2,600オールと一時は寺戸・日下とも5万点オーバーとなり両者とも大きなプラスとなった。
3回戦成績
寺戸+45.1P 樋口▲45.5P 森下▲21.2P 日下+21.6P
3回戦終了時
寺戸+57.5P 樋口▲52.9P 森下▲39.0P 日下+34.4P
4回戦(起家から寺戸・日下・樋口・森下)
あと残り2回。樋口・森下は大きな2連勝が必要となってくる。
だが南1局では
寺戸31,600点
日下29,800点
樋口30,000点
森下28,600点
それぞれが牽制しあってほぼフラットで南入り。
それでも南3局の親番で樋口がドラ単騎をツモり意地の初トップ。












ドラ
ここでも浮き2着となった日下がトップに躍り出た。
4回戦成績
寺戸▲19.5P 樋口+18.7P 森下▲7.2P 日下+8.0P
4回戦終了時
寺戸+38.0P 樋口▲34.2P 森下▲46.2P 日下+42.4P
5回戦(起家から寺戸・森下・日下・樋口)
この点差からの逆転は現実的には難しいかもしれないが、最終戦は何が起こるかわからない。
俄然タイトルホルダー2人に注目が集まる。
東1局1本場
樋口2枚目の
をポンテン。









ポン


前局、1人ノーテンの森下がドラ待ちでリーチ。












リーチ ドラ
次いで親の寺戸が
を切って跳満のテンパイ。









チー


森下の現物待ちとなった。
ドラをつかんだ樋口だが、躊躇いもなくツモ切り。
ポンテン3面張を入れた以上は、責められない。
ドラトイツ以上の両面待ちかと思ったとのことだが、これを止めると森下の現物で、寺戸にとっても
のワンチャンスかつ中スジの
を打って決定打になっていたかもしれない。
東4局
27,400点とはいえ最下位になっている日下。












ドラ
ここから積極的に
をポン。
も鳴き
を引き込んで






ポン

ポン


このテンパイ。
あっさり
を引きアガリトップ目へ。
さて残り1周。
今度は寺戸の番。



チー

ポン

ポン

ドラ
この7,700を森下からアガリ寺戸36,400点、日下35,400点と再逆転。
南1局1本場
寺戸7巡目に先制リーチ。












ドラ
ここはなんとしてもアガリたかったが、2枚目の
をポンした樋口にツモられ、2位に転落。









ポン

ツモ
残り3局わずかな差であったが縮まることなく日下の優勝となった。
5回戦成績
寺戸+2.7P 樋口+14.1P 森下▲22.0P 日下+5.2P
5回戦終了時
寺戸+40.7P 樋口▲20.1P 森下▲68.2P 日下+47.6P
闘いの終わった後のコメントを紹介しよう。
4位:森下剛任
『次、もう一度決勝に乗れるように頑張ります。』
特に目立ったミスも見当たらず、この敗戦は致し方ない印象を受けた。
3位:樋口新
『負けはしましたが、次回は優勝します。』
とこちらも言葉少なであった。どのような状況でもブレない打ち方をする樋口も、追い詰められてからはミスが垣間見えた。
準優勝:寺戸孝志
『役満をツモって優勝出来なかったのは情けないです。ただ、見ている人には楽しんでもらえたのではないかと思います。』
全体的に淡泊に見えた今回の決勝で、大いに見せ場を作ってくれたのは素晴らしい。
勢いに乗ることも大事だが、若干最後に詰めの甘さが出たかも知れない。
優勝:日下健司
『今までで一番疲れた決勝でした。いつ出ても決勝は楽しいです。』
対局姿勢・摸打ともまだまだ未熟な面があり、課題は多い。
中部プロリーグの優勝者として、タイトル戦に出る機会も増えるので、アドバイスを真摯に受け止め改善して行って欲しい。
しかし、この相手に勝ち切ったのは見事だと言いたい。

前列左より:日下健司、木村本部長
後列左より:樋口新、寺戸孝志、森下剛任
カテゴリ:中部プロリーグ レポート












