十段戦 レポート

第34期十段戦 九段戦Sレポート 福光 聖雄

【九段戦S】

5月から始まった今期の十段戦も、残すは九段戦S、ベスト16、ベスト8、決勝を残すのみとなった。
昨年は、上田直樹が初段から決勝まで進出するという快挙を成し遂げたが、今年は二段から青山めぐみが残っており、注目が集まる。
この九段戦Sからは、伊藤、森山、灘、古川、前原、瀬戸熊、荒、沢崎がシードとして登場する。

(全5回戦)

 

1卓:伊藤優孝・木村東平・武藤武・青山めぐみ

 

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【青山の挑戦】

 

自分は入会初年度にこの舞台に上がったことがあるが、舞い上がってしまい、全く勝負にならなかったことを覚えている。
開局、親は青山。13巡目や一手替わり三色であることもあったが、ピンフドラ1を落ち着いてヤミテンにして伊藤から2,900をアガる。
内心はどうだったかは定かではないが、外から見た限りでは気負いや緊張はなさそうだ。

2回戦南3局、西家青山、

七万七万七万九索九索二筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒六筒  ドラ七万

ドラが暗刻でかなりアガリたい手牌。ピンズの変化があり迷うところだが、ノータイムでリーチ。
リーチ後に二筒八筒が通り、五筒九索を合わせて3枚持っていた武藤は危なかったが、丁寧にオリきって放銃を回避。
逆に木村は本局に続き、次局は早い満貫に放銃となり、苦しい状況となった。

2回戦終了時
青山+46.4P 武藤+4.8P 伊藤▲12.4P 木村▲38.8P

3回戦終了時
青山+50.9P 武藤+26.8P 伊藤▲27.9P 木村▲49.8P

4回戦終了時
青山+66.4P 武藤+10.5P 伊藤▲23.4P 木村▲54.5P

3回戦、4回戦も青山はポイントを積み上げ、早々と安全圏に。
伊藤は終始エンジンがかからず、木村も最終戦に6万点を超え、武藤との差を満貫まで詰めるもここまで。

1卓勝ち上がり:青山めぐみ・武藤武

 

2卓:森山茂和・浦田豊人・藤原隆弘・仁平宣明

 

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【仁平の充実】

 

今日は100点の内容と本人が語ったように、1着2着2着1着で早くも安全圏。
よく稽古に入れてもらうことが多いのだが、高打点が決まる日の仁平を止めることは難しい。

4回戦終了時
仁平+58.9P 森山+6.4P 藤原▲8.5P 浦田▲56.8P

最終戦は森山と藤原の争いであったが、森山に軍配。
藤原はまたもベスト16直前で涙を飲んだ。(本人のツイートによると6年連続)

2卓勝ち上がり:仁平宣明・森山茂和

 

3卓:灘麻太郎・紺野真太郎・勝又健志・吉田直

 

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【巧者勝又敗退危機?】

 

1回戦目は小さいながらも1人沈みのラス。続く2回戦もラスを引いた勝又。
以降でのマイナスは即敗退につながる危機的状況。

2回戦終了時
吉田+33.1P 灘+11.9P 紺野▲0.8P 勝又▲44.2P

リードしてからの巧さがフォーカスされるが、簡単に俵を割らないのも巧者と呼ばれる所以。
3回戦で大きなトップ、4回戦もプラスし、最終戦は着順勝負に持ち込む。

4回戦終了時
灘+12.8P 吉田+12.0P 勝又+10.8P 紺野▲35.6P

最終戦オーラス、勝又はトップ目で安全圏。
二番手吉田と灘は200点差であったが、吉田がアガリ切って勝負を決めた。

吉田
一万一万二万三万四万三筒三筒三筒五筒五筒五筒西西  リーチ  ツモ一万

3卓勝ち上がり:勝又健志・吉田直

 

4卓:古川孝次・浜上文吾・望月雅継・花岡章生

 

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【フリーダム古川】

 

2回戦終了時
花岡+5.7P 古川+5.5P 浜上+1.4P 望月▲12.6P

1回戦と2回戦が逆の順位となり、ほぼ並びで迎えた3回戦。オーラスになっても拮抗した状況。

東家古川:28,000
南家望月:31,300
西家花岡:28,700
北家浜上:31,000

花岡のソーズのホンイツにもう猶予はないとこのリーチ。

古川
七万八万九万二筒三筒四筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒南  リーチ  ドラ五筒

見事花岡から3,900

オーラス1本場は浜上から18,000!

一万一万九万九万一索一索一索  ポン南南南  ポン発発発  ロン一万

オーラス2本場は、2巡目ポン、5巡目チーとした2,000は2,200オール!

八索二筒二筒二筒五筒六筒七筒  チー五索 左向き三索 上向き四索 上向き  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ツモ八索  ドラ八索

ここで大きなリードを築くと、4回戦、5回戦もアガリを重ねトップ通過。
二番手は3人の争いになるが、
オーラスドラ五筒

満貫条件浜上
一筒一筒二筒二筒三筒三筒五筒六筒七筒北北白白

跳満条件望月
一索三索五索五索七索九索九索五筒南南南発発

どちらも成就せず、我慢を重ねた花岡の勝ち上がりとなった。

4卓勝ち上がり:古川孝次・花岡章生

 

5卓:前原雄大・瀬戸熊直樹・西川淳・魚谷侑未

 

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【魚谷の挑戦?】

 

女流の生き残りは、1卓青山とこの卓の魚谷。
青山は大躍進ではあるが、魚谷はこの場が当然(勝ち上がってきても不思議ではない)という雰囲気が漂う。
彼女はもちろん前原、瀬戸熊が強いことは把握しているし、厳しい戦いになることは覚悟しているが、舞い上がったり委縮することなく対局に臨めている。
若手・中堅にとって「大舞台に慣れる」はハードルになる人も多く、それをクリアしているのは魚谷の強みであろう。

しかし、今日は西川、瀬戸熊の日。
持ち前の先行力で4回戦までオールプラスの西川と、最終5回戦でこの地和をアガった瀬戸熊の勝ち上がりとなった。

 

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西川にとっても前原、瀬戸熊は格上の相手となるのだが、
西川「あんなに心躍る対局はなかなか経験できないね。前原さんの親リーチに役なしで追っかけるのは本当に勇気がいるよ。」
と力強いコメントをいただきました。

5卓勝ち上がり:瀬戸熊直樹・西川淳

 

6卓:荒正義・沢崎誠・内川幸太郎・松崎良文

 

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【ベテランVS中堅】

 

2回戦終了時
荒+27.1P 沢崎▲2.4P 松崎▲8.6P 内川▲16.1P

3回戦は東1局、内川にドラ4枚の大チャンス手。7巡目に六筒を切ってリーチ。

六万六万一索二索三索四索五索六索六筒七筒  暗カン牌の背二筒 上向き二筒 上向き牌の背  リーチ  ドラ二筒

これに向かってくる人はおらず、悠々と跳満をツモるかと思われたが・・・

同巡沢崎、ツモ切りで追いかけリーチ!

四万五万六万四索五索六索七索八索九索一筒一筒五筒七筒  リーチ

※ ツモ切りのためあまり関係ないが、沢崎の河には三筒九筒が切られている。
理由を理解できる人は多いと思われるが、リーチを打てる若手がいるだろうか?
沢崎からコメントをいただいたので掲載します。

『ドラ暗カンリーチですが他に役が無いと考えます。有ればヤミテンにするタイプの打ち手に見えます。ツモられても跳満、放銃しても満貫、さほど差はありませんね。何故リーチかと言うと、2人のリーチに他家は共通の安全牌がありません。一番打ち安いのは六筒と考えました。リーチ後の内川の五万切りに合わせられ、少し長引きましたが、満貫確定の内川に対して放銃する打ち手はいません。六筒のアガリになると予測出来ました。』

内川の大チャンス手は潰され、逆に4回戦は沢崎に大物手を決められる。

4回戦終了時
荒+44.7P 沢崎+16.0P 松崎▲6.8P 内川▲53.9P

松崎は二番手沢崎と約23P差と逆転も可能なポジションにつけていたが、最終戦は荒・沢崎の巧みな卓回しになすすべなく、ここで敗退となった。

6卓勝ち上がり:荒正義・沢崎誠

 

早速6/23(金)よりベスト16が開催される。
全対局、日本プロ麻雀連盟チャンネルで完全生中継。熱戦、お見逃しなく!

 

ベスト16組み合わせ

A卓
上田直樹(前年度決勝シード) vs 古川孝次 vs 瀬戸熊直樹 vs 武藤武

B卓
櫻井秀樹(前年度決勝シード) vs 森山茂和 vs 荒正義 vs 勝又健志

C卓
柴田吉和(前年度決勝シード) vs 沢崎誠 vs 仁平宣明 vs 吉田直

D卓
ダンプ 大橋(前年度決勝シード) vs 西川淳 vs 花岡章生 vs 青山めぐみ

 

 

【おまけ】

 

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本の宣伝をするわけではなく、読み込みっぷりをお伝えしようと思う。
奇遇にも、私は一番の良書と思っており、繰り返しやることで正確な手順が身につく。
青山はボロボロで恥ずかしいと言っていたが、もう何十回も繰り返しているのではなかろうか。
来るときも読んでいたそうで、若手はこの姿勢を見習ってほしい。