第2期若獅子戦ベスト8A卓レポート
2021年10月15日
【第2期若獅子戦ベスト8A卓 決勝進出は松本峻・上田稜】
既報の通り、若獅子戦ベスト8A卓は松本峻・上田稜の勝ち上がりになったが、最終戦の南場になっても誰一人とも勝ち上がり、敗退がわからない大接戦、大熱戦であった。
その対局を振り返っていきたい。
なおベスト8のB卓は10/15(金)17時から、決勝は11/25(木)14時から対局が行われる。
まずは出場選手を紹介しよう。
佐々木俊哉
37期 東北本部所属
予選1位通過。ベスト16も圧倒しての勝ち上がり。
宮城でしか知られていなかったキャッチフレーズ『登米の怪人』が、東京でも知れ渡ることになった。
全国区にするためにも、決勝進出は外せない。
「緊張で足が震えています。応援してくれる人のためにも、自分のためにも絶対に勝って、決勝を目指します。」
上田稜
32期 東京本部所属
藤井とは九州での同期。
藤井には先を越されてしまって悔しく、意識しているとのこと。
SNSでは決勝に残らなかったら坊主にすると宣言する男気。
「ここで勝って坊主にならないよう頑張りたいと思います。」
松本峻
37期前期 東京本部所属
1年目の選手。
先日行われた新人王戦は、惜しくもベスト8での敗退。
今度こそ勝って決勝にいきたいだろう。
放送対局は緊張しますか?との問いに、卓に座ってしまえば集中できると力強い回答。
メンゼン主体の守備的な麻雀とのこと。
「平常心で(臨み)、応援してくれている人の期待に応えればと思います。」
藤井崇勝
32期 九州本部所属
第30期新人王、B2リーグ所属
(この中でも実績十分かと思いますがという問いに)
「負けられないなと自分の中では重くのしかかっています。上位リーグ者としての麻雀を見せたい。安定感のある麻雀を見せたい。点棒をもったら離しません。今日のベスト8をちゃんと勝ち上がって決勝も勝ちたいと思います。応援よろしくお願いします。」
藤井が一番緊張を感じたね、と解説の山田。
上田にとって大きかったのは1回戦南4局
どこにメンツを求めるか非常に難しい選択だったが、見事に正解。
リーチ、ツモ、タンヤオ、ピンフ、三色同順の跳満で浮きの2着にまで浮上。
藤井は3回戦、親番が落ちたところから、起死回生の跳満。
それまで安定感抜群だった実況の蒼井ゆりかが、噛み噛みになるほどのアガリ。
これも道中にどこにメンツを求めるか難しい手だった。
この半荘はラスのままだったが、現実的な差で最終戦を迎える。
一進一退だった最終戦、東1局の藤井の連荘から始まった。
東1局0本場、リーチして1人テンパイ
東1局1本場、松本との2人テンパイ
東1局2本場、上田のリーチ後にツモアガリ、1,300+200オール
東1局3本場、上田のリーチを受けるも粘って形式テンパイ
東1局4本場、白のみ、500+400オール
5本場はノーテンで親を落とすが、4万点を超え、通過ラインに。
南1局、松本に待望のアガリ。
ドラが2枚、ヤミテンでも5,200点の手で、裏ドラのない公式ルールのセオリーではヤミテンだが、松本にとってはこの半荘の浮き沈みが大きく、2,800点の上乗せの価値が高い。
ポイント的に3者に押し返されづらいのも加味されてのリーチ判断だろう。
推薦枠で選ばれるだけある。
南2局、親は佐々木
佐々木の応援団が今日一番力のこもった局。
祈る気持ちが伝わったかのような4,000オール。
(リーチ、ツモ、ピンフ、ドラ2)
次局南2局1本場は、松本が1,300・2,600(+300)をツモって、この時点では1年目の松本と佐々木が通過ラインだった。
この半荘1人沈みのラスまで減らしていた上田、あとのない親番、だが、そう簡単には俵を割らない。
南3局0本場、松本と2人テンパイ
南3局1本場、藤井と2人テンパイ
南3局2本場、中、ドラの2,900+600を佐々木から
南3局3本場、發のみ1,500+900を佐々木から
南3局4本場、イーペーコーのみ2,000+1,200を佐々木から
細かいアガリでつなぎ、原点を回復。
藤井がある程度の打点が必要だった、松本も放銃は避けたい状況といった展開も幸いし、紙一重で連荘できたのが通過につながった。
佐々木はこの親さえ落とせれば勝ちが見えていただけに、もどかしい連荘だっただろう。
終局後のインタビュー、藤井も佐々木も口数が少なく、悔しさがとても伝わってきた。
大差で負けるとある程度心の整理もできているものだが、掴みかけていただけに、すぐには言葉にならず振り絞って答えている様子であった。
(文:福光聖雄)
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