グランプリ レポート

第12期グランプリMAX二次予選D卓レポート

【麻雀グランプリMAX二次予選D卓、超僅差のオーラスの行方は…】

最終戦のオーラス、プロ試験に出る条件計算問題のようなスコアで迎えた。
(親は藤原、2本場、供託1)
選手も3分くらい時間を取った難易度の高い題材なので、条件計算が苦手な人も得意な人も、各選手の立場で考えていただきたい。

 

 

トップ目の小林は、親の連荘がなければほぼ安泰。
吉田への放銃は1人沈みとなるので一番敗退しやすいが、それでも16,000点以上の放銃でなければ大丈夫。

里木の条件は複雑。
藤原を沈めると1人浮きとなり、順位点が4ポイント増える。
ツモ…400・700 (2本場のため)
出アガリ・・・藤原からは何でもOK、吉田から6,400、小林から12,000(吉田の順位点が増える)
ただ、親の藤原のアガリは条件が厳しくなるので、この1局で決めたいところ。

吉田、どんなアガリでも通過。
しかし、パッと見でどんなアガリでも通過と判断してはいけないケースではある。
里木からの3,200や3,900のアガリは、藤原の順位点を増やすので、通過となるか計算しておく必要があった。(自身の順位点も増えるためOK)
藤原、里木や吉田のアガリも敗退だが、3万点を割ると順位点が減るため、ノーテン宣言はできない。
小林への放銃や小林の400・700以上のツモアガリも敗退。
小林が里木か吉田からアガるか、300・500のツモアガリの場合は藤原の通過。

さて、オーラスの進行に移ろう。各選手の配牌はこうだった。
親の藤原、本局はアガリが優先とドラからの切り出し。

 

小林、見ていても通過だが、この手格好はアガリにいくだろう。

 

里木、悩ましい。リーチ、ツモを目指して自風の西から。

 

吉田、整っている。真っすぐアガリにいくだろう。

 

5巡目、里木の手がまとまってきた。
リーチ、ツモでもよいし、三暗刻のテンパイであればリーチをして吉田からの出アガリも可能となる。
巡目によっては、六筒九筒をチーしてツモり三暗刻にする手もあるだろう。

 

 

6巡目に中を暗刻にしていた小林が動く。
この小林の九万のチーが、もちろん当然の鳴きではあるが、本局を非常に面白くした。(打八筒

 

 

次巡の藤原。
藤原は小林の上家でもある。
おさらいしておくと、藤原は小林には放銃できないが、小林が里木や吉田からアガる分には自身が通過となる。

 

 

この一万はさすがに長考に沈む。
小林は序盤からストレートに手を進めている河で、テンパイしている可能性も十分に高い。
藤原にとっては非常に困った局面ではあるが、酒の肴にしたら30分は盛り上がる面白い何切るだった。
正直なところ何が正しいかは全然わからないが、四索切りは参考になる一手。
解説の齋藤豪も「藤原さん、ノーテンにできないんですよ!」と驚きだ。
次巡に七索を引き入れ、2シャンテンまで進む。

 

 

テンパイ一番乗りは吉田。
役ありになる嬉しい四万ツモだったが、この時点で八筒は山には残っていなかった。
ただ、手替わりはある。
(補足:小林の手の内の役牌暗刻がダブ南でないことが判明。ドラは切っており、ツモは300・500かもしれない。)

 

 

手を藤原に戻そう。
ここまで我慢して、そしてここで一万を重ねたのは、本当に痺れた。
解説の齋藤の声も裏返っている。
多くの人は一万を切って鳴かれていて、こうなるのは日本で藤原しかいないんじゃないかと思う。
打牌は、ここも丁寧に小林の現物の六筒切りとする。

 

 

小林もテンパイ、待ちは三索六索。山には4枚。
繰り返しになるが、吉田から小林への放銃、または小林のツモアガリは藤原の通過だ。

 

 

次巡、すぐに藤原の手に舞い降りる六索
何度でも言おう。藤原はノーテンに出来ないのである。絶対にノーテンに出来ない。
ここで六索を切って誰が責めようか。

 

 

 

実況の大和「堪えたぁあああああ」
解説の齋藤「うおおおおおお。こんなことある?」

実況、解説2人とも大興奮の中、突如切り替わる画面。倒されている手牌。
大和&齋藤「え?あ?八筒だー!!」

 

 

この八筒は吉田のアガリ牌。
藤原の粘りは見事だったが、惜しくもあと一歩のところだった。

藤原「最後八筒切るんだったら五筒だったね。ミスだった。」と終局後のこの悔しそうな表情。
それでもこの粘りは多くの視聴者を唸らせたであろう。

 

 

共に負けてしまった里木だが、最終戦東4局、小林のマンズのホンイツに三万発と押してのこのアガリはカッコよかった。
最終局とこの局だけでも見ていただきたいし、最終戦がとてもおもしろかったので是非タイムシフトでご視聴いただきたい。

 

 

 

 

 

(文:福光聖雄)