グランプリMAX一次予選D卓レポート

 

一次予選の第4試合目、D卓に出場する選手はともたけ雅晴(九段シード)吉田直(ランキング11位)HIRO柴田(ランキング18位)麓征生(ランキング21位)の4名。
ここまでベテラン勢が苦戦していく中で、九段シード最後の砦となったともたけが5回戦全連対で二次予選へ進みました。

このともたけの快勝劇の煽りを喰らってしまったのが吉田。

 

 

1回戦で跳満をツモられトップを逆転されると、2回戦以降もともたけの波に飲み込まれ後退していきます。

残る1つの通過席を巡る争いは終始リードしていた麓をH柴田が追いかける展開になりました。
二人の差が22.2Pで始まった最終戦も、H柴田が徐々に差を詰めていき、0.4P差まできた東4局。
チンイツをテンパイしたH柴田が白を切ると、ともたけからロンの声。

 

 

白・メンホン・ドラ2で18,000点です。
これで勝負あったかと思いきや、簡単に終わらないのが今期のグランプリMAX一次予選。

 

 

南2局の吉田の親リーチに現物が1枚しかなかった麓が、少し粘って北をトイツ落としすると、リーチ・七対子・ドラ2の12,000点に放銃してしまいます。
吉田はもう一発大きなアガリが必要でしたが、

 

 

1本場でH柴田のリーチに飛び込んで、吉田の反撃もここまで。
H柴田はリーチ・一気通貫・ドラ1の8,300点のアガリで麓に最接近しました。

 

 

南4局、H柴田は700・1300以上のツモか麓から1,300点以上を直撃すれば逆転。
お互い苦しい配牌でしたが、テンパイ・ノーテンでも逆転する差なのでオリられません。

 

 

残り1巡で麓がテンパイ、H柴田はテンパイすることができずに勝負あり。
最後まで目が離せない勝負になった一次予選D卓はともたけ・麓の勝ち上がりになりました。

<最終結果>
ともたけ+64.6P 麓+8.9P H柴田▲7.7P 吉田▲65.8P

(文:越野智紀)

第22期北関東プロアマ混合リーグ  最終節成績表

順位 名前 プロ/一般 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 合計
1 伊藤 泰斗 一般 ▲ 51.1 99.1 18.4 ▲ 6.8     38.4 98.0
2 西嶋 ゆかり プロ 56.1 ▲ 34.7 33.3 ▲ 42.3   62.6 20.2 95.2
3 檜山 拓 一般 ▲ 0.1 ▲ 23.2     30.4 ▲ 12.5 57.8 52.4
4 福田 栄司 一般 66.3   5.2   ▲ 14.3 ▲ 5.3   51.9
5 大里 幸弘 一般 ▲ 22.0   ▲ 11.9 30.3 1.6   11.9 9.9
6 飛田 孝大 一般     ▲ 25.0   ▲ 28.5 59.1 2.7 8.3
7 吉田 幸雄 プロ 24.6   ▲ 31.0 18.8 ▲ 6.3     6.1
8 木暮 智貴 プロ   ▲ 25.0 58.0     ▲ 40.7 ▲ 34.8 ▲ 42.5
9 須長 正和 プロ ▲ 19.1   ▲ 28.5   19.9 32.4 ▲ 62.9 ▲ 58.2
10 高松 伸好 一般 ▲ 3.8 ▲ 16.2 ▲ 11.3       ▲ 33.3 ▲ 64.6
11 菅谷 陽介 一般 ▲ 12.1       4.4 ▲ 14.6 ▲ 50.0 ▲ 72.3
12 高月 章男 一般 ▲ 16.7   ▲ 8.2   ▲ 7.2 ▲ 81.0   ▲ 113.1
13 石倉 弘之 プロ 24.6       ▲ 50.0 ▲ 50.0 ▲ 50.0 ▲ 125.4
14 百瀬 元気 一般 ▲ 46.7       ▲ 50.0 ▲ 50.0 ▲ 50.0 ▲ 196.7

グランプリMAX一次予選C卓レポート

 

(月)から(金)まで連日生放送しているグランプリMAX予選。今年タイトルを獲った勢いのある選手とベテランの直接対決があったり、地方チャンピオンが出場したり、Mリーグで活躍中のプロも登場。年度末の大イベントである。

その中でも守備の堅いメンバーが揃ったC卓だったが、対局は大いに荒れた。

最初にぶつかったのは客野と亜樹。

九万九万九万一筒三筒二索三索五索六索七索 東東東 ポン ツモ三索 ドラ九万

ダブ東ポンの亜樹。ドラを暗刻から1枚切っても十分の勝負手だったが、入り目は最も微妙な三索。しかも客野が露骨にピンズ気配のため、場にピンズが高い。

 

 

客野から手出し一筒。亜樹にピンズを外して組み替える時間もなく、そのまま客野が三筒ツモでリード。
これを前田が猛追。8,600、1,300・2,600とアガって客野をかわしトップ目に。
2人リードで迎えた南3局1本場。藤原がツモ南メンホン三暗刻ドラ。倍満ツモアガリで一気にトップに躍り出た。
藤原は2回戦もトップとなり、2連勝で突き抜ける。

 

 

ここまで僅差の亜樹、客野、前田だったが、3回戦は二度の満貫で客野の1人浮き。
4回戦オーラスも七対子をアガリ、前田をかわして客野も2連勝。
残るは1半荘。前田、亜樹にとってはかなり厳しい条件となった。

 

 

5回戦の勝負処はすぐ来た。藤原は発とドラの南が鳴けてカン三筒待ち。
鳴かせた前田が親リーチをぶつける。勿論、藤原も覚悟の上だ。前田にドラがないこの局に勝負をかけた。

 

 

しかし決着は1巡、藤原が四索を掴み、前田に9,600放銃。
ターゲットは藤原に。客野は同等の大物手を振り込まない限りは狙われない立場となる。

 

 

東2局、親番亜樹が一索二索四索七索待ちで先制リーチ。そこに前田が白ポンで押し返し、ドラの東で跳満ツモ。

何と前田が東2局で藤原を逆転。ここからは愛用の盾を置いて剣だけ握って斬りかかるような、互いに一歩も引けない激戦が続く。

前田リードのまま迎えた最終戦オーラス。藤原の条件は2,000・3,900ツモ、前田から5,200、客野から6,400。

 

 

ドラトイツの藤原が前田から直撃かツモアガリで逆転のリーチを打つ。結果は藤原1人テンパイで流局。

 

 

 

第11期麻雀グランプリMAX一次予選C卓が終了。
客野直 2/26(金)二次予選E卓進出
前田直哉 2/22(月)二次予選A卓進出
となった。

戦術の系譜16 内川 幸太郎

この戦術の系譜コーナーも僕で6人目。
色々な方がそれぞれの視点で戦術を書いていますが、改めて麻雀は人それぞれだなと思います。
もちろん基本的な牌効率や打点効率の部分は強者ならば皆共通ですが、それプラスアルファの所は千差万別の戦い方があります。
麻雀を上達するためには知識(引き出し)を増やすことも大切ですが、その知識をどの場面で使うのか?という事がもっとも大切だと思います(そのための実践量も大切)

例えばこの場面。

 

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状況はまだ東場。
わずか4巡目でテンパイできました。
ドラ1カンチャン役無しは即リーチ!
現代麻雀はこれがセオリー!みたいな説明、見た事ないですか?
いや、合っています、使い方さえ間違えなければ。
もう少し丁寧に説明すれば、六万八万のカンチャンはリャンメン変化が五万の一種に対してアガリは七万の一種。
2回に1回は好形変化よりもダイレクトにアガリがあるので、変化を待たずに即リーチする方が良いというものです。
もちろんリーチ後はロンアガリも出来ますし相手に制限も与えられます。
ただ、もう一度自身の手を眺めてみて、今置かれている状況を考えてみてください。
この手にはタンヤオがすぐ見えますし、イーペーコーも2手で見えます。
4巡目という素晴らしく早い巡目も嬉しい限りです。
先手を重視して一発や裏ドラで打点をカバーするのも良いですが、自身の手牌の伸び代を加味する事とその猶予(巡目)を見誤らずにいる事が大切になります。

 

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一筒四筒が1枚違うこの牌姿。
こちらは先程あげた伸び代が無い形。
これは即リーチの引き出しを使ってあげましょうか。
ただ、六万八万が重なった時のシャンポンリーチの優位さは、こちらの牌姿の方がいいなという認識は必要です。
常に伸び代を考え、その上で知っている知識(今回でいうと役無しドラ1カンチャンは即リーチというもの)を実践していく事が大切です。

もちろんオーラスアガリトップなどの条件下では、A、Bともにリーチ優位になる事が多いことは追加しておきます。

そもそもですが、上記2点の牌姿AとBでは、前提が大きく違います。
Aはこの半荘の決まり手(満貫、跳満)になりうる形で、Bはその局を制するレベルの手です。
細かいアガリと繊細な守備で半荘を制する事もたまにありますが、トップ意識が高いゲームではかなり展開に恵まれないとそれはなかなか苦難な道です。
やはり決まり手をくり出し、展開をも味方につけるような一局が必要になってきます。

実戦では4巡目ヤミテンからの次巡ツモ五筒で打一筒。アガリ逃しになる七万引きもピンフとタンヤオが付くなら問題無しの構えをとりました。
マンズが雀頭になる六万引きで7巡目にテンパイしてリーチといき、見事10巡目で三筒引きアガリの満貫となり、この半荘を優位に進めることに成功出来ました。

 

100

 

このように僕の普段意識している戦術が、皆さんの麻雀ライフでのひとつの引き出しになれば良いなと思います。
麻雀の基本原理は、加点を増やし失点を減らす。
戦術の多くは攻撃面と守備面に分かれますが、一局だけをみたものと一半荘、またはその日一日をみたものもあります。
これから何回かに渡り書いていきますので、僕の知識を少しずつ楽しんでいただけると幸いです。

グランプリMAX一次予選B卓レポート

【グランプリMAX一次予選B卓、藤島・紺野の勝ち上がり】

最終5回戦、3番手の前原は東場で失点してしまい、この南1局の親で挽回できなければ敗退、という状況であった。
平場は、後筋となった九索でリーチ七対子の出アガリ。
前原の親番を終わらせたい藤島も仕掛けてテンパイしていたが、紺野がオリ打ちの形で放銃となった。

 

 

迎えた1本場、やや選択の残る入り目であったが、小考して二万切りリーチ。

 

 

4回戦が終わった時点の藤島と前原の差が、22.8ポイント。
紺野が浮いているので、前原のターゲットは藤島になるが、現在の差は順位点込みで、43.3ポイントとなっている。
まだ何局か連荘が必要だろう。

リーチを受けた藤島の手牌がこうなった。

 

 

お気づきになっただろうか?
藤島のファンは、このシーンに見覚えがあったと思われる。
そして、藤島本人にも忘れることの出来ない、あの日の記憶が蘇る。

 

 

第2期JPML WRCリーグ決勝(2017年)

https://www.ma-jan.or.jp/title-fight/champions-league/final-champions-league/51365.html

ご存知ない方は、瀬戸熊直樹の書いたこの観戦記を読んでから、戻ってきていただきたい。

 

 

ルールは違うものの、前原との差に若干の余裕があるのも、まるであの日のようだ。

あの敗戦を何度も思い出すのだろうか。

「通しやすい牌を押せなかったということは事実です」

この重い言葉を、何度も反芻しただろうか。
今年のグランプリMAXを戴冠することとなったら、インタビューで聞いてみたいものである。

藤島は、自身の読みを確認したのか、それとも放銃になったときの覚悟を決めたのか、ほんの5秒の小考で決断した。
画面を見ていた藤島ファンの期待をのせて、その一打は放たれた。

 

 

もうひとりの勝ち上がりは紺野。
戻ること4回戦東1局。(※ 画面テロップは3回戦となっていますが、4回戦の間違いです。)
親、前原がドラ2の先制リーチ。

 

 

同巡、後のないダンプが振りかぶって追っかけリーチ。

 

 

その状況下で紺野、太い腕をしならせて3軒目。
役あり、愚形にも関わらずリーチには驚いた。
ここを1つ目の勝負処とふんだのだろう。

 

 

本局を制した紺野、これ以降すいすい手が入り、7万点弱の1人浮きトップ。
この半荘で大きくリードし、勝ち上がりとなった。

 

 

(文:福光聖雄)

グランプリMAX一次予選A卓レポート

グランプリMAXとは1年間のポイントランキング上位者とタイトルホルダーが集まって行われる今年度最後のタイトル戦です。

 

 

グランプリMAX開幕となる一次予選A卓に出場する選手は荒正義(九段シード)加藤晋平(地方チャンピオンシップ優勝・雪華王優勝)西川淳(ランキング10位)魚谷侑未(ランキング15位)の4名。
この最初の一番から驚きの展開になりました。

一次予選は全5回戦で上位2名が勝ち上がりのシステム。

<4回戦終了時の結果>
魚谷+40.3P 加藤+3.6P 荒▲11.6P 西川▲32.3P

卓内上位2名が勝ち上がるトーナメントルールが得意な魚谷。
巧みな打ち回しで1人抜けだし最終戦に入ったのですが、その東1局に事件が発生します。

 

 

安泰かと思われていた魚谷が親の西川の2フーロに飛び込みチャンタドラ3の放銃。
この時は何が起きたのか理解出来ずにいましたが、あらためて見返してみると苦境を打破しようと西川が罠を張っていました。

 

 

この局七索を手出ししていた西川が不要な八索を引っ張り続けて安全牌もツモ切り、相手に誤情報を与えています。
こういった1牌の情報の差で結果が変わってくるのが上級者同士の闘い。

 

 

その後、西川が八索を手出し。
魚谷からは七索が全部見えていて七索を切っている西川の手から安全牌を挟んで3枚目の八索が出てきたことで、これはトイツ落としと思ったはずです。
今ならロンされることはないと魚谷はテンパイを取っての南切り。

 

 

西川が前巡に引いたのが二索ではなく三索なら魚谷の南はロンになっていましたが、惜しくもロンにはならず。
しかしポンをして二索切りでテンパイは取れました。
ここで魚谷は不思議に感じていたと思います。
西川の手から出てくるはずのトイツ落としの八索が出てこないからです。
トーナメントも5回戦目で蓄積された疲労、疑問が晴れぬままに引いた三索を魚谷は止めることが出来ませんでした。

ポイント的にはまだ魚谷有利な状況でしたが、ここまで苦しんでいた西川が生き返ったことで勝負の風向きが変化していきます。

 

 

魚谷は荒のリーチドラ3などにも放銃し、オーラスに全員集合。

<最終戦オーラス開始時のポイント>
加藤+8.7P 魚谷+0.0P 荒▲3.0P 西川▲5.7P

2番手に転落した魚谷は荒・西川に終われる立場になり、オリていられません。

 

 

最後は3フーロして祈るような気持ちで待つ魚谷が、放銃しても通過の加藤からしっかりとアガリ、一次予選A卓は加藤・魚谷の勝ち上がりになりました。

<最終結果>
加藤+7.7P 魚谷+1.0P 荒▲3.0P 西川▲5.7P

(文:越野智紀)

第37期鳳凰位決定戦二日目観戦記 HIRO柴田

1週間、各々がどのように過ごしたのであろう、動画を見返し対策を練る者や、イメージを大事に挑む者。
それぞれが自分に合った過ごし方を選び長いようで短い1週間が経過した。4者のポイントはこうなっている。

佐々木+66.0P 勝又+11.5P 沢崎▲29.1P 藤崎▲49.4P

首位で初日を終えさらなるリードを狙う佐々木。それを追う勝又、藤崎、沢崎は、まずマイナスをといったところか。
鳳凰位決定位戦2日目の始まりである。

 

100

 

5回戦 (起家から、藤崎・勝又・佐々木・沢崎)

東1局、まずは北家沢崎の仕掛けから始まる。

沢崎
一筒一筒二筒四筒五筒六筒八筒九筒白白  ポン中中中  ドラ五索

沢崎7巡目にして1シャンテンのチャンス手と思ったが二索をツモると打二筒と面白い手を打った。
場には七筒が2枚三筒が1枚、自身の手出しは四筒北東二筒でポン材の一筒白は厳しいが、それをポンできた時の二索切りは相手の読みをずらすのには効果的だ。その様々な意図を我々視聴者は考えさせられただろう。
すると沢崎の次のツモは三索で、ここは打点よりもアガリ易さを重視と判断し八筒九筒と外していく。

藤崎
五万六万七万五索五索八索八索八索一筒二筒三筒三筒四筒  リーチ

すると同巡に親の藤崎がドラを雀頭にしてのリーチ。藤崎にとってここは好スタートを切りたいところ。

沢崎
一筒一筒四筒五筒六筒白白  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  ポン中中中  ロン白

ホンイツのアガリまでは牌の枚数は厳しいと舵を切り替えた沢崎。二索残しから見事にアガリに繋げる。一方の藤崎は感触の悪い立ち上がりとなった。

東3局

佐々木
一万一万二万二万三万四万六万七万二筒白  ポン南南南  ドラ二万

親番の佐々木は4巡目にドラ2枚持ちのチャンス手。これを2枚目の南をポンしてホンイツへ向かうと、

佐々木
一万一万一万二万二万二万三万四万六万七万  ポン南南南

藤崎
三万四万五万三索四索五索六索六索二筒三筒四筒九筒九筒  ツモ六索

ドラの二万一万と引き入れ、満貫の勝負手となる。今局、佐々木に対抗できそうな2番手に付ける者でもアガリは厳しく、今にも佐々木のツモアガリになりそうな雰囲気ではあったが、配牌では4番手だった藤崎が、最後のシャンポン選択で正解を導き出し300・500の価値あるツモアガリとなった。

南1局

勝又
三万五万六万七万八万一索二索五索五索九索九索九索三筒五筒  ドラ五索

誰一人抜け出すことができないで迎えた南1局、南家の勝又が僅かな少考を入れた。
場には四万が1枚、下家の佐々木は少しマンズを多く切っていて、河には四索も置いてある。
それをみた勝又の選択は、ドラ色のペン三索を残した打五筒となった。

勝又
三万四万五万六万七万八万一索二索五索五索九索九索九索  リーチ

すぐに四万を引き入れペン三索待ちのリーチを打つ。狙いの三索は見事山に3枚残っていた。

佐々木
一筒二筒三筒五筒六筒七筒九筒東東東  チー三筒 左向き一筒 上向き二筒 上向き  ロン九筒

しかし、ここは佐々木が勝又のリーチ宣言牌である三筒を仕掛け、親の藤崎から2,000をアガる。これで佐々木が31,600のトップ目に。

南3局

佐々木
五万六万七万一索三索四索四索五索七索八索九索六筒六筒

4巡目にドラ六筒を重ねて一気に引き離す大チャンス。

沢崎
三万三万四万七万七万八万五索六索六索二筒二筒四筒四筒

藤崎
四万四万五万六万六万三索四索五索三筒四筒七筒八筒九筒

同巡に、沢崎・藤崎も1シャンテンとなり、小場となるこの半荘抜け出したいところ。テンパイすれば形に拘らずリーチまで考えていたはずだ。

 

100

 

勝又
三万三万九万九万三筒三筒三筒八筒八筒八筒  ポン白白白  ロン九万

この3者の1シャンテンを追い越すアガリとなったのは、親の勝又。三万が無くテンパイさえ厳しいと思われたが、自力で最後の三筒を引いてしまえば九万は絶好の牌である。
この勝又の7,700に捕まってしまったのは佐々木。まだまだ抜け出させないぞと、執念さえ感じさせられるこのアガリによって、5回戦は佐々木が1人沈みの4着となる。

5回戦成績
勝又+15.6P 沢崎+5.4P 藤崎+1.9P 佐々木▲22.9P

5回戦終了時成績
佐々木+43.1P 勝又+27.1P 沢崎▲23.7P 藤崎▲47.5P

 

6回戦 (起家から、佐々木・勝又・藤崎・沢崎)

 

100

 

東2局

勝又
六万七万八万三索四索四筒五筒六筒七筒七筒七筒八筒八筒  ドラ六筒

追う側にとって親でタンヤオドラ1リャンメンテンパイは絶好のリーチか?と思われたが勝又の選択はヤミテン。

藤崎
四万五万六万二索三索四索三筒三筒六筒六筒  ポン発発発

すぐに追いつくは南家の藤崎だが、

勝又
六万七万八万三索四索四筒五筒六筒六筒七筒七筒七筒八筒

ここは勝又の好判断で、藤崎の待ち牌である六筒八筒を入れ替え11,600へ変化。
最初のテンパイでリーチと打てばここで終わっていた局だけにもうどうなるかわからない。

沢崎
二万三万四万四万五万六万八万八万二筒三筒  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  打九索

最後のツモ番である沢崎の選択も面白い。下家の佐々木が守備に転じているのを察してか、自身のハイテイアガリより、佐々木を苦しめてのテンパイ維持となる喰い替えを選択。
ハイテイ牌は勝又のアガリ牌であったので沢崎もここは好判断となり、皆が正解の判断を選び続けた結果、佐々木にとっては痛い1人ノーテンとなった。

東2局 1本場

勝又
三万三万六索七索八索二筒二筒二筒三筒四筒五筒七筒九筒  ドラ七索

六索七索八索二筒二筒二筒三筒四筒五筒七筒  ポン三万 上向き三万 上向き三万 上向き

沢崎
二万二万二万四万五万六万八万八万五索六索七索五筒六筒  リーチ  ロン七筒

続く1本場では、親の勝又がメンゼンカン八筒のテンパイから、三万をポンしてタンヤオドラ1の六筒七筒待ちへ変化させるが、局面は長引き雲行きが怪しくなると沢崎からリーチが来る。
沢崎の6巡目の五筒が効いたのか、勝又四筒を掴むも現物三筒とせず自らのアガリを重視し七筒での5,200放銃となった。

南3局1本場

佐々木
三万四万六万六万六万二索三索四索二筒三筒四筒発発  リーチ  ドラ北

藤崎
四万四万四万五万六万七万五索六索七索八索九索五筒五筒  リーチ  ロン七索

佐々木が高め三色に振り替えてリーチを打てば、それならばと親の藤崎もリーチのみではあるが応戦し2,000をアガる。

南3局2本場

勝又
四万五万二索三索四索九索九索九索一筒一筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ六筒

藤崎
二万二万三万四万五万七万八万九万二索三索四索六筒七筒  ツモ八筒

次局も勝又のリーチをかいくぐり、藤崎1,300オールのツモアガリでこの6回戦はトップとなった。

6回戦成績
藤崎+20.1P 勝又+9.5P 沢崎▲8.3P 佐々木▲21.3P

6回戦終了時成績
勝又+36.6P 佐々木+21.8P  藤崎▲27.4P 沢崎▲32.0P

 

7回戦 (起家から、勝又・藤崎・沢崎・佐々木)

勝負手がなかなか決まらない佐々木が連続4着になり勝又が首位に立った。
藤崎・沢崎もこれを機に浮上を狙いに来るであろう。

 

100

 

東2局に沢崎がこの3,900を勝又からアガると、

東3局親番の沢崎が

六万六万六万八万八万五索六索  チー三筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ロン七索  ドラ南

二筒三筒八筒八筒  明カン四万 上向き四万 上向き四万 上向き四万 上向き  ポン発発発  ポン三万 上向き三万 上向き三万 上向き  ロン一筒  ドラ九索

二万三万四万六万七万八万九万九万四索五索五筒六筒七筒  ロン六索  ドラ九万

この4連続のアガリで持ち点を42,200伸ばすと他の3人も黙ってはいない。

東3局3本場

佐々木
二索二索二索五索六索七索八索九索三筒三筒六筒六筒六筒  リーチ  ドラ六筒

佐々木がこのリーチを打つと、勝又・藤崎も見事な立ち回りで対応する。

勝又
六万七万八万八索一筒二筒三筒五筒六筒七筒  暗カン牌の背一万 上向き一万 上向き牌の背

藤崎
二万三万四万四万五万六万北北中中  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き

これで沢崎は1人ノーテンで親を落とす。

次局、東4局4本場も、

藤崎
六万七万八万二索三索四索四筒五筒六筒六筒七筒九筒九筒  リーチ  ドラ六筒

佐々木
七索七索二筒四筒五筒六筒七筒八筒八筒八筒  チー五万 左向き四万 上向き六万 上向き

勝又
五索六索七索三筒五筒六筒七筒八筒東東  チー二筒 左向き一筒 上向き三筒 上向き

藤崎のピンフドラドラリーチに、親の佐々木も応戦。北家に回った沢崎も、佐々木へのケアを考えればやりにくいはずだ。
そして勝又もうまく立ち回り、沢崎にとって痛恨の連続1人ノーテンになった。

南4局

北家の沢崎が2枚目の五筒をポンとして打二万のこの形。

四万二索四索三筒三筒六筒白発発中  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  打二万  ドラ一筒

現状藤崎が36,500持ちトップ目、沢崎は31,400、トータルで浮いている勝又・佐々木は沈んでいるが、なにやら大人しく終わる気はない雰囲気。

沢崎
四万四万三筒三筒白白中  ポン発発発  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き

勝又
二索三索三索四索六索七索八索白白中  ポン四索 上向き四索 上向き四索 上向き

勝又・沢崎共に仕掛けが空回りしだして抜け出したのはこの男。

 

100

 

佐々木
七万八万九万七索八索九索九筒  チー八筒 左向き七筒 上向き九筒 上向き  チー二筒 左向き一筒 上向き三筒 上向き  ツモ九筒

荒れ模様のこの半荘、見事に最後の九筒をツモアガリ佐々木がトップを取る。

7回戦成績
佐々木+20.6P 藤崎+10.9P 沢崎▲7.4P 勝又▲24.1P

7回戦終了時成績
佐々木+42.4P 勝又+12.5P 藤崎▲16.5P 沢崎▲39.4P

 

8回戦(起家から藤崎・勝又・沢崎・佐々木)

東1局1本場

藤崎
三万三万八索八索八索三筒四筒五筒七筒八筒九筒発発  リーチ  ドラ四筒

流局スタートの1本場、親の藤崎が三万発のシャンポンリーチを打つ、その宣言牌は四万だ。
字牌が良しと見たか、それとも打点を見たのか、私はこういう選択をした時の藤崎はアガった場面しか見たことがない。

沢崎
四索五索六索六索七索四筒四筒五筒六筒七筒  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  ツモ五索

ここは沢崎も高打点チャンスの場面ではあったが、藤崎がリーチならばと現物の四万をチーして、あっさり五索をツモり1,000・2,000のアガリとなる。

東2局

佐々木
二万五万五万六万八万五索六索七索七索八索一筒八筒中  ツモ四万  ドラ四万

配牌からのツモが良好となり以下となる

佐々木
二万三万四万四万五万五万六万四索五索六索七索七索八索

四万三万四万四索と一気に跳満まである1シャンテンとなったが、佐々木を止めるカウンターを放ったのは勝又。

 

100

 

勝又
五万六索九索三筒四筒五筒六筒七筒七筒南北北北中  ドラ四万

ホンイツは見えるが、配牌にスピード感は無かった勝又だが、ピンズのツモが良好となる。

勝又
二筒三筒四筒四筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒北北北  ロン七筒

佐々木が六筒八筒と外すと、次に持ってきた七筒が勝又への7,700の放銃となる。

東3局2本場

沢崎
二万三万三万四万四万五万八索九索四筒五筒六筒西西  リーチ  ドラ八索

親の沢崎がリーチ。下家の佐々木がソーズのホンイツだが、ここで手を緩めるわけにもいかないはずだ。

藤崎
二万三万四万五万五万七万八万九万七索八索七筒八筒九筒  リーチ

藤崎もここで勝負リーチ。高め九索はまだまだ山にある。

勝又
六万七万八万一筒一筒二筒三筒三筒六筒七筒八筒白白  ツモ七索

勝又もテンパイを入れてはいたが、佐々木のホンイツ、藤崎、沢崎のリーチに対して持ってきた七索はキツい牌でここまでか。

 

100

 

佐々木
三索三索三索五索六索七索八索九索発発  ポン中中中  ロン四索

この全員テンパイを制したのは佐々木。先ほどの放銃をものともしない7,700のアガリだ。

南1局1本場

勝又
一万二万三万五万六万七万四索五索六索三筒三筒東東  リーチ  ツモ三筒  ドラ東

勝又がこの2,000・3,900をアガると。

南2局
勝又
二万五万七万九万一索六索一筒二筒六筒東東北白中  ドラ三万

親番でこの難しい配牌を丁寧にまとめ4,000オールに仕上げる。

勝又
二万三万五万六万七万一索一索東東東白白白  ツモ四万

これで勝又の持ち点は50,000点を越え1人浮きとなり、再び佐々木のトータルポイントを抜く。

南2局1本場

勝又
三索三索三索五索六索七索南南白白  ポン中中中  ドラ北

親の勝又はさらに畳み掛け満貫のテンパイを入れる。これを佐々木から直撃できれば大きなリードとなる為、佐々木のリーチに真っ向勝負だ。

 

100

 

佐々木
二万三万四万七万八万九万五筒六筒七筒七筒七筒北北  リーチ  ロン北  ドラ北

佐々木も覚悟は出来ている。だからこそ討ち取ることが出来るのであろう。勝又から北のアガリとなり、佐々木8回戦は浮きの2着で首位キープのまま2日目を終えた。

8回戦成績
勝又+27.3P 佐々木+5.9P 藤崎▲12.1P 沢崎▲21.1P

8回戦終了時成績
佐々木+48.3P 勝又39.8P 藤崎▲28.6P 沢崎▲60.5P

夕刊フジ杯争奪麻雀女流リーグ2021

2月9日に「夕刊フジ杯争奪麻雀女流リーグ2021」の個人戦決勝が行われ、ロン2チームとして出場している東城りおが優勝。

 

 

女流モンドチャレンジマッチ出場権を獲得した。
3月にはチームも優勝を狙う。

夕刊フジ掲載の記事はこちら

第37期鳳凰位決定戦初日観戦記 HIRO柴田

~2020年6月~
歴史に残る感染症が流行した今年、新型コロナウィルス(COVID-19)による影響で開催も危ぶまれてはいたが、夏の近づくこの時季に第37期鳳凰位戦は開幕された。
今期のA1リーグは10名での開催、13節で行い降級者1名という変則の対局を見事に勝ち上がり決勝戦へ進んだのは沢崎・佐々木・勝又の3名。
そして待ち構えるは第36期鳳凰位藤崎、この4名による鳳凰位決定戦が2021年1月16日に行われた。

 

100

 

今回は初日の各選手の内容と私からの視点で対局を振り返りたいと思う。

 

100

 

まずは予選通過1位の沢崎。その変幻自在な麻雀と、近年では「マムシ」の異名を連盟チャンネルで良く耳にする。今期はその粘り強さと多彩な技を何度も見せられたことだろう。

 

100

 

開局の沢崎3巡目に

一万一万二万三万四万四万五万六万八万二筒二筒二筒三筒四筒

この形から当然の打一万としテンパイとらずとする。
A1のメンバーで高打点と言えば、吉田、前田、昇級した近藤などのイメージはあるが、沢崎もその打点に対するこだわりもトップクラスである。

 

100

 

ここから沢崎四索五索を引き込み、三色も一気通貫も崩れ不服ではあるが感触を確かめにとばかりのリーチとする。

1回戦東1局

勝又
三万四万五万一索二索三索四索五索六索五筒六筒白白  リーチ  ツモ七筒

しかしここは親の勝又から追っかけリーチ。そしてツモアガリの1,000オールとなり、沢崎の雲行きは決して晴れではないと思わされる。

 

100

 

きっかけは早いほうが良い。そう思わせるかの様に、下家佐々木のマンズホンイツに被せるように沢崎親で八万単騎の七対子リーチを打つ。
場には九万が3枚、沢崎の河には五万が置かれている。
特別良い待ちとは言えないが、佐々木の速度が遅く勝又の打点が低いと読みきって、相手が一歩下がったのを機に自分のペースを作るなど、様々なプランが沢崎には用意されているのだろう。

1回戦東2局

勝又
一万二万三万一索二索三索六索七索九筒九筒  ポン東東東  ロン八索

しかしここも勝又が沢崎のリーチに対して押し切り1,000点をアガリきる。
相手がオリてくれればいかに楽か・・しかし決定戦メンバーとなると、中々相手にペースを作らせてはくれない。皆が自分のペースを作りにいくからだ。

 

100

 

ここまで苦しい展開が続いた沢崎・藤崎の両名がここでぶつかる。
まずはこの藤崎の手牌。ドラは一筒、ピンフの手替わりやドラ受けが残る中打ちからと思ったが、ここは絞りや安全度で打二筒とし中を残したかの様に見えた。

3回戦南3局
藤崎
三万四万七万七万八万八万九万五筒六筒七筒南南中中  打五筒

しかし藤崎の構想はさらに上であった。6巡目にその中をトイツにすると、打五筒としホンイツの2シャンテンへ渡っていく。

 

100

 

藤崎
三万四万七万八万九万中中  チー六万 左向き七万 上向き八万 上向き  ポン南南南

この藤崎の1メンツ落とし、ドラ色のホンイツでは無いので2つ目の役牌は怖い所だが、沢崎は中を勝負し見事に8,000のアガリをものにした。

3回戦南4局 1本場 ドラ一万 
勝又
一万二万二万三万三万四万四万五万六万三筒三筒八筒九筒  リーチ 

沢崎
六万七万八万一索一索四索五索六索二筒二筒二筒三筒四筒  リーチ  ツモ五筒 

オーラスも勝又の親のリーチに追いかけトップをものにした。
初日の数字は厳しいマイナスとはなってしまったがここ一番の沢崎の勝負強さを見た。

 

100

 

先に述べてしまうが、初日の主役は予選通過2位の佐々木。昨年A1への昇級を決め、真っ直ぐに鳳凰位という目標へ突き進むその姿は風格を感じさせられる。

 

100

 

開局は勝又の1,000オールスタートとなった、東1局1本場、佐々木の手牌はこうだった。

1回戦東1局1本場
佐々木
八万八万三索三索七索八索八索八索五筒五筒六筒七筒七筒  ドラ一索

親の勝又が四万三万の手出しと不穏な捨て牌、河にはピンズは無く勝又がホンイツ進行なら佐々木にとってキー牌となる六筒
これを上家沢崎に打たれるが、見向きもせず牌山に手を伸ばす姿は堂々としたものだと感じた。
それに呼応するように六筒を引き入れ一旦はシャンポンテンパイに取るが、場に良さそうな五索単騎に待ちを変えるとあっさりと1,600・3,200のツモアガリ。自身の仕上がりは万全といったところか。

 

100

 

1回戦東4局1本場
藤崎
四筒五筒六筒七筒八筒九筒東白中中  ポン西西西  ドラ七筒

まず親の藤崎4巡目に西をポンしてホンイツへ向かう。藤崎が1枚目の西をポンなら周囲の警戒度はかなりのものだろう。

藤崎
四筒五筒六筒七筒八筒九筒北中中中  ポン西西西

藤崎9巡目にこの12,000テンパイをいれるも、佐々木が11巡目に絶好のカン三筒を引き入れリーチと行く。

佐々木
二万三万四万六索七索二筒二筒三筒三筒四筒四筒七筒七筒  リーチ  ツモ八索 

この戦い方は用意していたものなのかもしれない。そして他の3者にはどう映ったのだろうか?それくらい強烈な佐々木のリーチをしてのツモアガリとなった。

 

100

 

4回戦南2局
藤崎
二万二万三万三万五索六索七索中中中  ポン白白白  ドラ六万

藤崎が6巡目の白をポンして早いテンパイを入れる。

佐々木
四万四万四万六万六万六万四索五索四筒五筒六筒七筒七筒  ツモ三索 

好配牌を貰った親の佐々木。ツモも良好でドラ六万四筒と引き入れ1回戦を思い出させるような、タンヤオドラ3のリーチを打ち見事な6,000オールのツモアガリ。

4回戦南4局1本場
勝又
二万三万三万四万四万二索三索四索五索五索五索三筒三筒  リーチ

沢崎
七索八索九索一筒二筒三筒七筒八筒八筒九筒九筒東東  ドラ九索

1人浮き状態でオーラスを迎えた佐々木。追いかけてくる親の勝又からリーチ。さらにその現物の七筒で待ち構えている沢崎がいる。

佐々木
一万二万三万五万五万六万七万八万五筒六筒六筒七筒七筒  ツモ五筒

七筒に手を掛ける選択など佐々木には無かったのだろう、自らを充実期と語るように見事にアガリ、初日は大きくポイントをプラスして終る事となった。

 

100

 

続いては、最終節に西川との接戦を見事に制し、予選3位でこの決定戦の挑戦権を得た「IQ220」の異名は皆が納得する頭脳の持ち主である勝又。
その麻雀は現代の最先端と言われる麻雀の、さらに先を見た技術を駆使してくる打ち手という印象だ。

初日の勝又、その内容は好調とは言えないものの、佐々木の猛攻を受けつつ苦しい所もしっかり攻めてポイントを纏め上げる事に成功したといった感じか。

1回戦南1局
勝又
三万四万五万四索五索二筒三筒三筒三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ロン六索  ドラ北

この手を南場の親番でリーチし、沢崎もここは勝負と放った六索が勝又のアガリ牌となり加点する。

1回戦南3局3本場
藤崎
二万三万四万六万六万二索三索七索八索九索二筒三筒四筒  リーチ  ドラ七索

勝又
二万三万四万五万八万八万八万六筒七筒八筒  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  ロン五万

佐々木の猛攻に対し藤崎が勝負リーチをかけるも、勝又は受けと攻めの打牌をしっかり選びつつ1,000のアガリ。

 

100

 

1回戦南4局
一索二索三索三筒三筒三筒五筒  ポン四索 上向き四索 上向き四索 上向き  ポン白白白  ドラ八万

1人浮きを狙う佐々木。わずか6巡のテンパイから勝負は長引き、ツモ三筒から暗カンを選択。リンシャン牌は七筒。よれて選んだ五筒は勝又のアガリとなった。

勝又
四筒六筒発発  チー九万 左向き七万 上向き八万 上向き  加カン三万 上向き三万 上向き三万 上向き三万 上向き  ポン南南南  ロン五筒  ドラ八万

勝又はこのダブ南ドラ1の5,200のアガリにより1回戦浮くと、

2回戦東1局1本場
勝又
四万五万六万二索二索三索四索西西西  ポン南南南  ツモ五索

2回戦東4局1本場
勝又
七万八万九万四索四索四索四筒四筒五筒五筒六筒発発  ツモ三筒  ドラ三筒

2回戦南4局
勝又
五万六万七万二筒三筒四筒五筒六筒七筒七筒八筒発発  リーチ  ドラ四筒

2回戦は400・700、500・1,000の2つのアガリと1度のテンパイ料で浮きとなる。

 

100

 

4回戦南4局
沢崎
四万五万六万五索六索七索三筒四筒八筒八筒  チー三索 左向き二索 上向き四索 上向き  ドラ三万

28,400持ちの沢崎、自身の浮きを取りに仕掛けを入れる。リーチをしている勝又の捨て牌には、五筒もありここは勝負であろう。

勝又
三万三万四万五万六万七万八万九万一索二索三索北北  リーチ  ロン北 

1~3回戦は浮きの2着の勝又。これを良しとみるか、不完全燃焼とみるかは人それぞれだと思うが、オーラスのこの手を沢崎から討ち取り2番手に付けて終える事となった。

 

100

 

最後は第36期鳳凰位の藤崎。その行雲流水の様な麻雀と静かなるアガリで「忍者」の異名を持つ。
しかしそのイメージとは反し、攻めに転じた時の熱い一打を放つその瞬間も見逃してはならない。

 

100

 

1回戦南1局1本場
沢崎
三万三万二索三索五筒六筒北中中中  ポン白白白  ドラ四筒

最初に動いたのは南家の沢崎。6巡目に白をポンして充分形の1シャンテンになる。

佐々木
五万六万九万九万二索四索六索七索八索九索四筒四筒五筒南  打四筒 

それを見てか、それとも他3者の全体的な速度を感じたのか、佐々木がここからドラ四筒を先切りしスリムに手牌を構える。

勝又
五万五万六万六万六万七万八万四索五索六索一筒二筒三筒  リーチ 

佐々木がドラ四筒を打つと、親の勝又がテンパイを入れリーチと来る。

藤崎
四万四万四万七万七万八万九万九万三筒三筒四筒五筒六筒  リーチ  ロン八万  ドラ四筒

沢崎・佐々木・勝又の主張に応えるかの様に藤崎もリーチと来る。
藤崎だからこそリーチは以外ではあったが、状況や場況はもちろん鳳凰位として迎え撃つというアプローチの様に見えるアガリとなった。

 

100

 

2回戦・3回戦と連続でラスとなり、ここまで▲45.1Pの藤崎、なんとしても4回戦はプラスしたい所にチャンスが訪れた。

4回戦東2局
藤崎
四万五万五索六索七索八索九索二筒四筒九筒九筒  ポン東東東  ドラ九筒

この牌姿での打牌選択となる。ターツは足りているので、守備的に行くのならば四筒だが藤崎の選択は二筒
続いて勝又からドラ九筒が打たれ藤崎はその九筒をポンしたところで打四筒となる。

勝又
二万三万三万六索六索三筒三筒六筒六筒六筒西  ポン発発発 

トイトイで仕掛けを入れたが手が伸びず、受けに回らされた勝又。藤崎の二筒四筒八索の切り出しに、メンツ構成やシャンポンの可能性などの読みがあったのだろう。

藤崎
四万五万五索六索七索九索九索  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ポン東東東  ロン三万 

勝又が手にしたのは三万となり、これまで苦しかった藤崎にとって非常に大きい7,700のアガリとなった。
初日は藤崎にとって終始厳しい3着4着4着2着(沈み)ではあったが、残りまだ3日間、雨の日もあれば晴れの日もあるので巻き返しを期待したい。

初日の結果は以下となる。

1回戦
佐々木+31.4P 勝又+6.2P 藤崎▲10.0P 沢崎▲27.6P

2回戦
佐々木+9.8P 勝又+4.6P 沢崎▲4.5P 藤崎▲10.9P

3回戦
沢崎+21.1P 勝又+8.6P 佐々木▲5.5P 藤崎▲24.2P

4回戦
佐々木+30.3P 藤崎▲4.3P 勝又▲7.9P 沢崎▲18.1P

トータル
佐々木+66.0P 勝又+11.5P 沢崎▲29.1P 藤崎▲49.4P

上下100P差ができた初日、リードを広げようとする佐々木に対して他3者はどう戦うのかが見ものだ。

第7期麻雀プロアマオープン競技会 準々決勝・準決勝・決勝レポート

日本プロ麻雀連盟の巣鴨道場に集う猛者達が半年間の麻雀成績を競い合い、No.1を決める戦いもいよいよ最終日となった。

前日の本戦・トーナメントを勝ち上がった選手にシード選手を加えた16名が連盟スタジオに集結。
準々決勝から決勝までは1回勝負のスプリントレース。ひとつのミスが命取りの、実に痺れる対局である。
しかし、開始前インタビューからは選手達の笑顔が見られた。全力の麻雀で戦いたい。貴重な対局を楽しみたい。そんな雰囲気が画面越しにも伝わって来る。

 

 

本日は紺野真太郎・山田浩之のダブル解説。実況は楠原遊。
なお、対局はすべて一発裏ドラありのWRCルールで行われる。

 

 

 

準々決勝A卓
藤原隆弘
中村さん
くまっちさん
岡田充弘さん

本戦でも好調だったくまっちさんと月間WRC9月優勝シードで本日から参戦の中村さんが勝ち上がり。

 

 

準々決勝B卓
佐々木寿人
しーらさん
宗形周平さん
後藤竜司さん

月間WRC8月優勝シードのしーらさんが序盤から無双し、早くも1枠を決める。一歩も譲らないアガり合戦は現鳳凰位の佐々木に軍配。

 

 

準々決勝C卓
柴田吉和
有田将之
山田樹さん
シマカタさん

開局に親満を決めた山田さんが1位。現十段位柴田、月間WRC10月・12月優勝の有田の激しい競り合いは柴田のフリテン4,000オールで決着。

 

 

準々決勝D卓
伊藤優孝
HAYAXさん 公式
かずや☆雀アカさん 11
市川幹人さん

前回優勝の伊藤が脅威の追い上げを見せるが、公式ルール代表のHAYAXさんとWRC11月優勝のかずや☆雀アカさんが死神の鎌を避け切って勝ち上がり。

準決勝A卓

開局にHAYAXさんがタンヤオ高め三色の258待ちリーチを打つも、3者が丁寧に受けて流局。その後は、くまっちさんと山田さんがイニシアチブを取る展開に。HAYAXさんはオーラス2,600条件。ラス目の佐々木でも満ツモ圏内の接戦だったが、くまっちさんは佐々木のロン牌を打たず、山田さんがアガリ切った。

準決勝B卓

しーらさん先行で迎えた東3局が勝負の分岐点。中村さんタンピン高め三色、しーらさんドラ単騎七対子、柴田ピンフドラ。全員テンパイの中でアガったのは親番かずや☆さん。最終局、中村さんと柴田も逆転圏内に居たが、ここもかずや☆さんがアガって通過を決めた。

 

 

 

決勝進出はこの4名。
最後の戦いが始まった。
決勝も最初のアガリはしーらさん。北暗カンで6,800(+300)を勝負に出たかずや☆さんからロン。先行しても攻め手を緩めないしーらさんは山田さんの親リーチにも怯まずアガリ切り、瞬く間に50,000点オーバー。

何とか加点したいくまっちさんが、リーチピンフ高めドラの五索八索リーチを打つ。

 

 

同巡、かずや☆さんはドラの八索を切ればピンフ三色だが、打四筒でテンパイ外し。ドラを重ねて追っかけリーチに踏み切り、ホウテイで跳満のアガリ。
さらに南3局もリーチを打つが、ここはしーらさんがきっちり押し切ってアガる。

オーラス。かずや☆さんは、首位しーらさんと15,500点差の2番手。
現状、山田さんとくまっちさんの条件はかなり厳しい。
かずや☆さんが7巡目リーチ。とにかくこの親は手放せない。

同巡しーらさんの手牌。六索引きでピンフの3メンチャンテンパイ。五索が親の宣言牌。今なら出アガリも十分狙える。アガれば優勝。無筋の六筒を勝負した。

 

 

「ロン」

かずや☆さんの手が開かれる。リーチ一発ピンフ、裏。親満直撃で首位が交代、しーらさんが再逆転するには満貫ツモ、5,200直撃、脇からは跳満が必要に。
一方、くまっちさんは倍満ツモ、山田さんは役満ツモOKに条件が緩和された。
これを待っていた2人は逆転手を作る。2軒リーチ、何と両者ともツモり四暗刻。

 

 

しかし、かずや☆さんもテンパイしていた。南が出て7,700(+2,300)。

 

 

2本場。今度はしーらさんが跳満条件を満たしたジュンチャン三色に仕上げるが、ここもかずや☆さんが親満のアガリ。

全員が逆転手を作り上げた。最善を尽くし、打ち手の意志が伝わってきた。観ていて自分も麻雀が打ちたくなるような対局だった。相手の超本手テンパイを受けて、アガリ切ったかずや☆雀アカさんは本当に強かった。

 

 

第7期麻雀プロアマオープン競技会、優勝はかずや☆雀アカさんとなりました。
おめでとうございます。

(文:編集部)

地方リーグChampionship2021レポート

地方チャンピオンシップは、優勝者にグランプリMAX出場の権利が与えられます。
ここに出場する各地方の代表選手6名と、グランプリMAX出場ポイント次点の2名を合わせた8名は、綺麗な姿勢で打つ選手が多く、何かを背負って打つ麻雀のカッコ良さが溢れていました。

 

 

各卓1回戦で上位2名が決勝進出になるシステムで、抽選の結果A卓に入ったのが①吉田幸雄③加藤晋平⑤高谷圭一⑦浜上文吾の4名。

それぞれが慎重な打ち回しで、僅差のままオーラスへ突入。

 

 

仕掛けてテンパイしていた吉田に対し、ノーテンも許されない親の加藤は捨て牌3段目に入ってもカンチャン1つとペンちゃん2つのリャンシャンテン。

 

 

この厳しい状況から2つのペンちゃんを引き入れた加藤は一気にテンパイを入れ、さらには吉田からの出アガリ。
この一気通貫の3,900点でリードを広げた加藤は次局をノーテンで終了。
A卓からは加藤と浜上が決勝へ駒を進めました。

<A卓結果>
加藤+14.5P 浜上+8.7P 吉田▲9.9P 高谷▲15.1P

 

 

B卓は②鈴木秀幸④菊田政俊⑥古谷知美⑧古橋崇志の4名で争われ、A卓同様大接戦のオーラス。

 

 

親の鈴木のリーチに対し真っ向勝負の古橋がアガリ切って、菊田と古橋がB卓から決勝へ。

<B卓結果>
菊田+12.6P 古橋+4.8P 古谷▲5.0P 鈴木▲12.4P

 

 

決勝1戦目はA卓で苦しいところから通過を決めた加藤がアガリを重ねていき大きなトップ。

 

 

最終戦の東1局で古橋はツモれば一気に逆転の山に3枚残りの四暗刻をテンパイしましたが、これはツモれず浜上から8,000点の出アガリ。

 

 

2番手に浮上した古橋でしたが、親番が無くなり南3局。
ピンフのみをテンパイして長考、自身の逆転条件を計算します。

 

 

リーチをしても次局の逆転条件があまり良くならないが、テンパイを外してる猶予は無いと判断しヤミテンを選択。
そのままツモアガってオーラス1局勝負に賭けました。

 

 

最後に跳満ツモ条件を残した古橋でしたが、この手が三色に変化することはなく流局。
地方チャンピオンシップ2021優勝は北海道支部第3期雪華王の加藤晋平に決まりました。

 

 

「今までこの優勝カップを北海道に持っていくことが出来なかったでの、今まで負けた人の思いも込めて戦いましたので本当に良かったです。去年本田さんが地方チャンピオンシップを勝って出たグランプリMAXもそのまま獲りましたので、若い力で良い旋風を起こせたらなと思います。」

地方チャンピオンシップの熱い戦いを制した加藤晋平が出場するグランプリMAXは要注目です。

<決勝結果>
加藤+36.9P 古橋+16.8P 菊田▲18.4P 浜上▲35.3P

(文:越野智紀)

第7期麻雀プロアマオープン競技会 本戦レポート

プロアマオープン競技会とは、日本プロ麻雀連盟巣鴨道場でのすべての通常対局の成績を予選会とし、半年ごとにNo.1を決める、プロ雀士と一般参加者の混合競技大会である。

先日2/13(土)には、準々決勝進出の7名を決める本戦が行われた。
なお、本戦から決勝まではすべて一発裏ドラありのWRCルールである。

 

 

半荘3回戦で会場内上位12名が本戦通過。

 

 

通過者12名を3卓にわけて半荘1回戦のトーナメント。
各卓内上位2名が翌日の準々決勝に進出となる。
(3着の中からワイルドカード1名)

トーナメントA卓

 

 

序盤市川さんがリードするも、岡田さんがヤミテンの親満をアガって追いつく。そこに宗形さんが猛追をかけ三つ巴、オーラスも宗形さんがアガリ切り、2位は僅差で岡田さんに。

トーナメントB卓

 

 

山田さんが僅かにリード、残る3者で1枠を争う展開に。3者に振れない状況の中で山田さんは丁寧に打ち1位キープ。デッドヒートを制してアガリ切ったのは後藤さん。

トーナメントC卓

 

 

開始早々、くまっちさんの倍満が炸裂、その後も安定の内容で1位。3者とも粘りを見せるも、最終局は岡本さんとシマカタさんの2位争いになり、シマカタさんが勝ち上がり。

ワイルドカードは規定により、34,000点3着の市川さんに決定。
この結果、2/14(日)の準々決勝に出場する16名が確定した。

シード選手プロ雀士

 

 

伊藤優孝 (第6期麻雀プロアマオープン競技会 優勝)
佐々木寿人 (現鳳凰位)
柴田吉和 (現十段位)
藤原隆弘 (総合1位)
有田将之 (WRC 10月、12月)

シード選手一般参加者

 

 

中村さん (WRC 9月)
しーらさん (WRC 8月)
かずや☆雀アカさん (WRC 11月)
HAYAXさん (公式ルール代表)

本戦・トーナメント通過者

 

 

宗形周平さん
岡田充弘さん
山田樹さん
後藤竜司さん
くまっちさん
シマカタさん
市川幹人さん

準々決勝からは連盟夏目坂スタジオで生放送。
ベスト8以降の対局はDVDに収録され、参加者にプレゼントされる。
優勝特典にはアマ段位免状発行や連盟主催タイトル戦のシード権などがある。
巣鴨道場にて第8期の予選会が始まっているので、競技麻雀に関心のある方は是非ともチャレンジしてほしい。

プロアマ競技会の詳細は下記リンク参照

日本プロ麻雀連盟本部道場 

(文:編集部)

第8期JPML WRCリーグ決勝レポート

伊賀則夫75歳、初タイトル戴冠!第8期JPML WRCリーグ決勝戦レポート

2月7日、今期で第8期を迎えるJPML WRCリーグも決勝戦を迎えた。プロリーグの垣根を越えてAリーガーとEリーガーの対戦も実現するこのタイトルは予選を20回戦で争い、ベスト64進出者が上位2人抜けのトーナメントで決勝の4名まで絞られる。第8期決勝戦のメンバーは、

櫛田利太(29)

 

 

岡崎涼太(22)

 

 

宮崎皓之助(29)

 

 

という20代3名と、今期WRC出場最年長の伊賀則夫(75)

 

 

という、実に2世代分ほど離れた年長の伊賀が若手3人を迎え撃つ形となった。こういった構図の対局では「若手のエネルギッシュなプレーをベテランが老獪な戦術でいなす」といった展開がイメージとして浮かんでくるが、蓋を開けてみると一番エネルギッシュに見えたのは、最年長の伊賀だった。それが早速表れたのは1回戦東4局。親番・櫛田のホンイツ仕掛けと岡崎のドラポンに挟まれた伊賀。2枚切れのシャンポン待ちでイーペーコーのテンパイを果たすと、果敢にリーチ!

 

 

決勝戦とはいえ、この選択にはなかなか踏み切れない人が多いだろう。結果としては岡崎の当たり牌を掴み8,000の放銃に。この1局から予想された通り、今決勝は4回戦を通して激しいぶつかり合いとなった。その闘志に呼応するかのように、なんと2回戦までに全員が裏ドラ・カンドラを2枚以上乗せたアガリを見せつける。

 

 

 

 

 

 

このように非常にエキサイティングな展開も、3回戦終了時点では1~4位が40P以内と、全員に優勝の可能性が残る最終戦に。

 

 

勝負の分かれ目となったのは東3局2本場。櫛田が高目ドラの先制リーチ。

六万六万二筒三筒三筒四筒四筒五筒一索二索三索七索八索 ドラ六索
そして伊賀がドラの六索”>・<img decoding=のシャンポン待ちで追いかけリーチ!両者の待ち牌は少なく、山に1枚のドラを引き合うめくり合いとなったが、これを伊賀があっさりと一発ツモ!

 

 

これで圧倒的なリードを手にした伊賀。オーラスには櫛田にダブル役満、宮崎に満貫ツモ、岡崎に跳満ツモという条件を突きつけ、岡崎は山に1枚の七索をツモれば優勝というリーチをかけるも…

 

 

ツモることはできず流局。伊賀が悲願の初タイトルを手にした!

 

 

 

「プロ人生18年で初めて優勝しました。とにかくこのタイトルは休んだことがないんです。神様が微笑んでくれたのかなと感謝しています。」と喜びを露わにした伊賀。

 

 

この優勝で第11期麻雀グランプリMAX一次予選のシード権を獲得した伊賀は、早速2月15日の放送対局へ出場となる。体力の心配はないということで、また若々しい麻雀を見せてくれそうだ。今後の活躍に是非ご注目ください。

(文・浜野太陽)

第215回:天空麻雀22女性大会優勝特別インタビュー 魚谷侑未  インタビュアー:越野智紀

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越野:「天空麻雀22優勝おめどうとございます。」

魚谷:「ありがとうございます。」

越野:「天空麻雀12・19に続いて3度目の優勝インタビューになるので、今回は今まで出してなかった話しも欲しいのですが…何か最近変ったことってありますか?」

魚谷:「実は結婚することになりました。」

越野:「え、まじすか!?」

魚谷:「はい、そうなんですよ。」

越野:「何年か前のインタビューで和久津さんが『ゆーみんは結婚すると麻雀弱くなるタイプ』みたいなこと言ってませんでしたっけ?」

魚谷:「そんなニュアンスのことは言ってたかも。私は1つのことに集中しすぎる性格だから、結婚したことで麻雀が上手くいくか怖い部分もありました。」

越野:「お相手は何をされている方ですか?」

魚谷:「連盟の宮澤太佑さんってわかりますか?」

越野:「わかります。The Legend of Doragon Youth 2020っていう次世代の白鳥翔を発掘するっていう企画の番組に出ていて、すごく若い人だった気がしたんですが?」

魚谷:「9歳下です。父はウチの娘で良いの?って向こうの心配をしてました。」

越野:「魚谷父面白いですね。宮澤さんとはどこで出会ったんですか?」

魚谷:「友達の勧めでDbDっていうゲームを始めて、それをしているグループに宮澤さんがいたんです。」

越野:「麻雀からじゃないんですね。」

魚谷:「そうです。元々同業者は結婚相手に考えていませんでした。麻雀の話しをすると衝突しそうなので。私が結構なんでも言うほうで今まで付き合った人とは喧嘩が多かったんですが、宮澤さんとは喧嘩をしたことがないんですよ。いつも一緒に笑ってられる人で、この人なら大丈夫。失敗しても後悔しないって思えました。」

 

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越野:「あれ?DbD始めたのって最近ですよね?宮澤さんとはいつから付き合い始めたんですか?」

魚谷:「10月です。」

越野:「付き合って約3ヵ月ぐらいで結婚って最速マーメイドさが出てますね。」

魚谷:「子供もいずれ欲しいと思っていて、年齢のことを考えて次に付き合う人とは結婚と考えていたんです。」

越野:「お相手の宮澤さんがどんな方か教えてください。」

魚谷:「私は麻雀で負けると寝れずに対局を振り返って反省するタイプなんですが、彼は気持ちを切り替えれるタイプ。チンイツが苦手みたいで一度24,000点を見逃した時には、それから毎日メンチンの練習を始めていました。大学まで野球で投手をやっていてプロのスカウトも来たって言ってたので、その時にした努力が今の彼の強さに繋がってるのかもって思います。」

越野:「家で麻雀の話しってしますか?」

魚谷:「彼の麻雀のスタイルがメンゼン守備型と私とは全然違うのであまり話はしないんですが、いつ大きな対局がきても大丈夫なように心の準備はしておいたほうが良いよとは言ってます。」

越野:「宮澤さんメンタル強そうですね。魚谷さんは自分のメンタルが強いほうだと思いますか?」

魚谷:「対局で負けると落ち込んで、復活するまでに時間が結構かかります。新潟や愛知から通っていた時には絶対に結果を出すって一つ一つの対局に意気込んでいましたが、今は対局が増え全ての対局に全身全霊を注ぎ込めなくなってきました。何週も渡って行われるタイトル戦も集中力のオンオフを切り替えるのが苦手で、良い精神状態を維持し続けることが最近の課題になっています。それと昔から生意気だと言われることが多くて、自分の発信したことに否定的な意見が出ることも気になってしまいます。」

越野:「現在自分のプロとしての立ち位置ってどう思ってますか?」

魚谷:「活躍している女流プロが沢山いますが、自分は中堅ぐらいのポジションまでこれたかなと思ってます。これからが勝負です。」

越野:「天空麻雀22の話も一応聞いて良いですか?」

魚谷:「もちろん良いですよ。」

越野:「予選開始前に2人抜けは得意ってコメントをしていましたが、このルールで意識することは何ですか?」

魚谷:「大きく離されないことと、勝負所で押すことです。」

 

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越野:「東1局で、ここから暗カンをしました。」

魚谷:「カンが好きなんですよ。最初は打点重視で抜け出せるチャンスは逃さないようにって考えてました。」

越野:「なるほど。離されたくないってことは、抜け出せば相当有利になるってことですよね。この局は横移動しましたが、次局ピンフイーペーコー赤赤のヤミテンを古川からアガって少し抜け出してます。」

魚谷:「これはリーチとヤミテンでアガリ率がだいぶ違うので、トップが偉いMリーグのルールでもヤミにしていたと思います。」

 

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越野:「満貫のアガリが効いてトップ目のまま局が進んでいった南2局。結構戦えそうな手でしたが、宮内さんのリーチにメンツを壊してオリてました。」

魚谷:「自分がトップ目で多少ツモられても下から狙われるポジションにならないので、ほぼ押さない局ですね。」

越野:「2人抜けルールに合わせた打ち方ですね。以降も最後までターゲットにならないポジションをキープして、このルールが得意のコメントを裏付ける安定した勝ち上がりを見せていました。決勝の打ち方はどう変わってきますか?」

魚谷:「ある程度勝負していかないとダメって気がしますが、勝負所を1回でも間違えたら勝てないかなとも思います。」

越野:「2人抜けの時に気をつけていた離されないようにっていうのは考えないほうが良いですか?」

魚谷:「そうですね。割と早い段階からリスクを取って勝負するべきと思っています。」

越野:「1半荘勝負だと北家スタートが有利ってよく聞くんですが、実際どれぐらい差があると思いますか?」

魚谷:「うーん、体感15%ぐらい違うかな。全員がしっかり打ったと過程して、北家スタートは35%から40%ぐらいの勝率がありそう。だいたい最後のほうで逆転の条件が厳しくなる人が出てくるので、4人での勝負になることが減って、3人だったり2人の勝負に出来るのが北家スタートの強みだと思います。」

越野:「魚谷さんはルールによって大きく打ち方を変えるほう?」

魚谷:「自分では器用だと思っているので、ルールもそうですが相手によっても打ち方を変えています。連盟のB1リーグで1回降級した時とMリーグ1年目で歯が立たなかった時に相手によって打ち方を変えないとダメだと痛感して、翌年に対応することで結果が好転していきました。」

越野:「ゲーム好きな人って対応に優れた人が多い気がします。」

魚谷:「ゲーム脳になってますかね?自分はゲームが好きで、負けた時に攻略法とかを考えたりすることが多いです。」

 

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越野:「魚谷さんって鳴く準備で牌の並びを変えることが多いですよね。」

魚谷:「確かにそうかも。」

越野:「放送対局だと見やすく並べるようにって言われることが多いと思うのですが、鳴きシフトに関しては何を鳴こうとしているかが観ている人に伝わって僕は好きなんですよ。」

魚谷:「私も個人的には分かりやすくて好きです。綺麗に並べることで手牌が露骨に読まれてしまうのも微妙かなとも思います。」

 

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越野:「黒沢さんがツモ切りリーチをするんだけど、それってどう見えますか?」

魚谷:「一般的にはツモ切りリーチって2パターンあって、リーチしないでも高いパターンと何か不満が残っている弱いリーチのパターンなんですが…プロの対局だと弱いリーチのパターンが少ない気がします。なのでツモ切りリーチには高い評価をして対応することが多いです。それと人読みも入れます。」

越野:「今回は黒沢さんでしたが、どう読みました?」

魚谷:「黒沢さんのツモ切りリーチには悪いパターンも多いほうだと思ってますが、この局に関しては早いこともあり高く評価して受けました。こういう選択の部分を全部ランダムにして読ませないようにしてくる打ち手は凄く苦手です。A2リーグだと近藤久春さん。あと同じチームの近藤誠一さんとか。」

越野:「この局は親の亜樹さんに満貫のアガリが出て、序盤はリードを許しました。魚谷さんの反撃は東3局から。最初に話していた決勝での一番の勝負所はどの局になりますか?」

魚谷:「亜樹さんが発中と仕掛けてるところに白を押した東4局の親番ですね。大三元の河には見えず、テンパイもまだしていなそう。自分の待ちには自信があり、最初の勝負所がきたと思いました。」

 

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越野:「白切る時、結構時間を取りましたね。」
魚谷:「もし大三元に打ってしまったらトップを決めてしまいそうで、この対局を壊してしまうのではと嫌な未来が頭をよぎってました。ただ自分の手の価値が高く、勝負所だと判断して白を切ってリーチ。これがツモアガリになって手応えは凄く良かったです。」

 

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越野:「トップ目で迎えたオーラスの親、2着目の亜樹さんの条件は満貫ツモ。どういうプランでした?」

魚谷:「緊急回避のアガリはしたいんですが、かなり手が悪かったので数巡様子見てダメそうならオリようって考えてました。」

越野:「想定通りオリることになって、終盤亜樹さんからリーチがきました。」

魚谷:「亜樹さんは悩みながら手を進めていて条件が足りてない可能性もあると思ってたんですが、一発を消すとハイテイが回ってしまうので最後はお祈りタイムですね。」

越野:「結構祈るほう?」

魚谷:「かなり祈るほうです。」

越野:「祈りが通じましたね。」

 

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Mリーグでドラフト1位の評価を受け、2年目でレギュラーシーズンMVP。さらに男女混合のタイトルも複数獲得。
それでも魚谷侑未は自分の立ち位置は中堅ぐらいと謙虚に言います。
結婚したことで麻雀が上手くいくか怖いというのも謙虚さからであって、この真剣な表情を見れば今後の活躍し続ける姿は容易に想像出来ました。

 

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天空麻雀22 女性大会決勝レポート 古川彩乃

今大会、憧れの天空麻雀の舞台に初出場させて頂きました、古川彩乃です。
プロになる前から視聴者として楽しんでいたこの舞台に、まさか自分が立てる日が訪れるとは・・・。
嬉しさと緊張と興奮で胸いっぱい、勝ち進んでどうにか爪跡を残したい!勝ちたい!そんな気持ちで出場した天空麻22のレポートをお届けいたします。

 

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今大会もまた、とても豪華な顔ぶれの揃った予選大会。
各卓から上位2名が決勝卓への進出となります。

予選A卓

 

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A卓出場者は宮内こずえプロ、魚谷侑未プロ、岡田紗佳プロ、そして私古川彩乃。
どうにか勝ち抜けたいと挑みましたが放銃が続いてしまい、三倍満ツモ条件で迎えたオーラス。なんと三倍満のテンパイまでこぎつけました!が、結果は敗退。

九索・・・ツモりたかったなぁ・・・。

A卓から決勝進出を決めたのは、魚谷侑未プロと岡田紗佳プロ。

予選B卓

 

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B卓出場者は二階堂亜樹プロ、黒沢咲プロ、高宮まりプロ、古谷知美プロ。
Mリーガー3名と女流桜花という煌びやかで熾烈な卓を制し、B卓から決勝進出を決めたのは、二階堂亜樹プロと黒沢咲プロ。

そしていよいよ決勝戦が始まります。

 

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Mリーガー4名での対決となった決勝卓。
起家から、初優勝を目指す黒沢咲プロ、久しぶりの優勝をしたいと意気込む二階堂亜樹プロ、初の決勝進出で勢いに乗る岡田紗佳プロ、何か爪跡を残したいと語る魚谷侑未プロという並びでスタート。

「誰がどこで勝負をかけるかが見所。」と解説の佐々木寿人プロのコメントも、見ごたえのある激闘を予感させます。

東1局は配牌から赤牌が2枚あった岡田プロと、軽快に仕掛けを入れた魚谷プロがアガリに向かいますが、親の黒沢プロと亜樹プロが冷静に守備にまわって流局。静かな立ち上がりとなりました。

親が変わって東2局、亜樹プロの親番。先程の静けさから一転、激流のような1局となります。まず先制でリーチを入れたのは黒沢プロ。

一万二万三万四万五万六万七万八万九万一索一索二索二索  リーチ  ドラ四万

一索二索のシャンポン待ち。一気通貫が完成している満貫確定のリーチ!
しかし親の亜樹プロにもテンパイが入り、リーチで追いかけます。

二索三索三索三索五索五索五索六筒六筒六筒七筒八筒九筒  リーチ

一索二索四索待ちで二索なら三暗刻が付きますし、黒沢プロの待ちの一索二索は自身のアガリになる為、放銃にはなりません。
どちらに軍配があがるのかドキドキしていたところに、更に岡田プロがテンパイ。

四万赤五万六万六万七万一索一索九索九索九索一筒一筒一筒  リーチ

ドラと赤牌でこちらも満貫級、黒沢プロと亜樹プロのアガリ牌の一索を使い切っての追いかけリーチ!
最初にリーチを入れていた黒沢プロが四索を掴んで亜樹プロへの放銃。めくられた裏ドラは暗刻の五索。リーチドラ3、12,000。亜樹プロが一歩抜け出します。

続いて東2局2本場は、親の亜樹プロが2つ仕掛けてこの形。

一筒一筒九筒九筒西西西  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ドラ九索

これに対して魚谷プロもヤミテンを入れていたが、1枚切れの東を切りきれず撤退。
岡田プロも赤牌2枚の良い手牌だったがオリを選択。亜樹プロに追い付きたいが、だからこそしっかりオリという2人の選択が「どこで勝負をかけるか」という寿人プロの言葉を思い出させます。この局は流局。

東3局は黒沢プロのリーチに、ヤミテンを入れていた魚谷プロが一度まわってテンパイを入れなおし追いかけリーチを入れるが、黒沢プロが1,300・2,600の3本場をツモアガリ、3者に食らい付いていきます。

そして東3局。ここで再び大きく場が動きます。

11巡目、魚谷プロ

四万赤五万六万六万七万九万九万四索五索六索四筒五筒六筒  ドラ白

三色が確定しているヤミテンでも満貫のこの手をリーチとします。
下家の黒沢プロも同巡にテンパイ。

四万五万七万七万三索四索五索七索八索九索五筒六筒七筒

黒沢プロはヤミテンを選択しましたが、その後に引いてきた八万が放銃となってしまいます。裏ドラが1枚乗っての12,000。このアガリで魚谷プロが一気に亜樹プロに迫ります。

東4局、亜樹プロに追い付いた魚谷プロが親番を迎えます。
現在の点数は、
東家 魚谷プロ 41,400
南家 黒沢プロ 9,800
西家 亜樹プロ 43,400
北家 岡田プロ 25,400

この局、親の魚谷プロに2,000点リードをしている亜樹プロが仕掛けを入れました。

ポン発、ポン中・・・

この仕掛けを受けて3者は対応しながらの打ちまわしになりますが、親の魚谷プロは

六万七万八万六索七索二筒二筒二筒四筒六筒東東白  ドラ五万

この形の1シャンテン。そこに赤五筒を引き入れてテンパイを入れますが、テンパイを取るためには発中をポンしている亜樹プロに白を切らなくてはいけない・・・。

果たして、魚谷プロの選択は・・・?そして待ち構える結末は・・・?
黒沢プロと岡田プロの逆襲はあるのか!?

続きは本編でお楽しみ下さい!!!

放送予定

2月4日(木)21:00~(初)
2月6日(土)9:35~
2月11日(木)13:00~
2月18日(木)19:30~

女流プロ大会決勝戦
魚谷侑未・岡田紗佳・黒沢咲・二階堂亜樹

https://www.entermeitele.com/pachinko/tenkou_majong22.html

第11期グランプリMAX 組み合わせ

第11期グランプリMAXの季節がやってきました。
地方リーグ、鳳凰位戦、JPMLWRCリーグの優勝者が決まり公式戦の全日程が終了しました。
このグランプリMAXは各タイトル戦に応じたポイントを1年間加算し、
タイトルホルダー、九段選手、ポイント上位者だけが出場することが出来るタイトル戦となっています。
今期はタイトル戦が開催されなかったこともあり、ほとんどのAリーグの選手が上位を占める形となりました。
それでは卓組見合わせです。

一次予選

2月
15日A卓
荒正義(九段シード)加藤晋平(地方チャンピオンシップ優勝・雪華王優勝)
西川淳(ランキング10位)魚谷侑未(ランキング15位)

16日B卓
前原雄大(九段シード)ダンプ大橋(ランキング13位)
紺野真太郎(ランキング16位)藤島健二郎(ランキング23位)

17日C卓
藤原隆弘(九段シード)前田直哉(ランキング12位)
二階堂亜樹(ランキング17位)客野直(ランキング22位)

18日D卓
ともたけ雅晴(九段シード)吉田直(ランキング11位)
HIRO柴田(ランキング18位)麓征生(ランキング21位)

19日E卓
仲田加南(ランキング14位)山田浩之(ランキング19位)
近藤久春(ランキング20位)和久津晶(ランキング24位)

二次予選

2月
22日A卓
森山茂和(会長シード)伊賀則夫(第8期JPMLWRCリーグ優勝)
一次予選A卓1位C卓2位

23日B卓
灘麻太郎(名誉会長シード)瀬戸熊直樹(ランキング9位)
一次予選A卓2位D卓1位

24日C卓
川原舞子(女流桜花)真鍋明広(第7期JPMLWRCリーグ優勝)
一次予選B卓1位D卓2位

25日D卓
白鳥翔(發王位ランキング4位)勝又健志(ランキング7位)
一次予選B卓2位E卓1位

26日E卓
藤崎智(ランキング5位)内川幸太郎(ランキング6位)
一次予選C卓1位E卓2位

ベスト16

3月
1日A卓
本田朋広(前期グランプリMAX)
二次予選A卓1位D卓2位E卓1位

2日B卓
佐々木寿人(鳳凰位)
二次予選A卓2位D卓1位E卓2位

4日C卓
柴田吉和(十段位)杉浦勘介(ランキング3位)
二次予選B卓1位C卓2位

5日D卓
伊藤優孝(ランキング1位)沢崎誠(ランキング2位)
二次予選B卓2位C卓1位

2月15日16:00より一次予選から全て日本プロ麻雀連盟チャンネルで放送されます。
お楽しみに!

女流プロ麻雀日本シリーズ2021第3節レポート

上下大きく離れて予選最終盤へ!

2月5日、各団体で活躍する女流プロが一堂に会する「女流プロ麻雀日本シリーズ2021」第3節が行われた。各自8回戦を戦いポイント上位8名がプレーオフ進出となるこの予選。後半戦に差し掛かり、各自のポイント状況を踏まえた打牌に解説陣も盛り上がりながらの対局となった。

 

 

★11回戦 りんのなお・仲田加南・佐月麻理子・岡田紗佳

早くも勝負所が訪れたのは東2局。仲田の役牌ドラ1の先制リーチに岡田・りんのがすぐさま追っかけ!3軒リーチを制したのはここまで3戦3トップのりんの。

 

 

8,000のアガリで今節の好調も感じさせるが、南1局ではドラポンと親のホンイツにリーチをぶつけ…

 

 

エンジンを吹かせすぎたか、7,700の放銃。これが響いて4着へ転落となった。浮上のきっかけを手にした佐月は、オーラスにも満貫をツモり、2戦目にしてシリーズ初トップを獲得した。

佐月麻理子 +30.0P 岡田紗佳 +15.3P 仲田加南 ▲17.4P りんのなお ▲27.9P

★12回戦 仲田加南・佐月麻理子・日向藍子・二階堂亜樹

打撃戦となった12回戦。ここまで不調の仲田が待望の12,000のアガリを取るも…

 

 

放銃の日向がすぐさま隠れドラ3の8,000を奪い返し、混戦に。

 

 

勝負が決したのは南3局、日向が役牌暗刻のリーチを親番の佐月からアガると裏ドラ2枚を乗せ、均衡を破る満貫のアガリ!

 

 

これでトップの日向はプラス圏に浮上。仲田は残り2戦で大きなトップが必須な状況となった。

日向藍子 +23.1P 二階堂亜樹 +6.1P 仲田加南 ▲6.8P 佐月麻理子 ▲22.4P

★13回戦 黒沢咲・二階堂亜樹・高宮まり・山脇千文美

いつも通り手数の多いプレースタイルで南場を迎えてトップ目の山脇。フリテンながら高目満貫という3メンチャンのフリテンリーチを放つも…

 

 

亜樹のホンイツ・三暗刻・南・ドラドラという呪文のような大物手に捕まり16,000の放銃。
これで6戦を消化した山脇は、残り2回で加点が必須に。

二階堂亜樹 +37.4P 黒沢咲 +6.4P 高宮まり ▲10.3P 山脇千文美 ▲33.5P

★14回戦 りんのなお・佐月麻理子・日向藍子・山脇千文美

前半荘沈んでしまった山脇が、決意の2局連続フリテンリーチ!

 

 

2枚目の三色こそ実らなかったものの、1枚目のピンフリーチはツモって裏1枚の効果的な加点に。
この半荘のトップは、勝負をかけたトップ目の佐月から18,000を直撃したりんの。

 

 

りんのなお +27.1P 山脇千文美 +3.3P 佐月麻理子 ▲7.9P 日向藍子 ▲22.5P

★15回戦 佐月麻理子 岡田紗佳 川原舞子 高宮まり

ここまで4戦を消化して▲4.2Pと消化不良の佐月が開き直った攻めを見せる!東場の親でたちまち18,000のアガリを含む5本場の連荘で敗退ボーダーを遠く離すことに成功。

 

 

川原はこの嵐の中でも1発、満貫を決め、小さな2着で耐えトータルトップの座を堅守。現女流桜花の好調はまだまだ続きそうだ。

 

 

佐月麻理子 +46.9P 川原舞子 ▲2.0P 岡田紗佳 ▲15.7P 高宮まり ▲29.2P

1日を終えてのトータルポイントは以下画像の通り。

 

 

上位4名が下位8名を突き放す展開となり、後半のプレーオフ進出争いの白熱が予想される結果となった。
2月20日(土)放送の第4節も是非お楽しみください。

(文・浜野太陽)

何を切る? 2021年2月

第37期鳳凰位決定戦 1回戦 東1局1本場 西家 佐々木寿人プロ

 

 

 

 

■Twitterで実施したアンケートの結果

 

 

■プロ解答

六万切り

 

 

八索切りリーチ

 

 

八万切りリーチ

 

 

八索切り

 

 

■プロの視点
佐々木寿人プロ
「カン六筒が埋まり、引き算打法の観点に立つならば八万切り即リーチとなるところ。
しかし、親の勝又プロの仕掛けがピンズの一色手濃厚で、かなり煮詰まった局面だったため、タンヤオ・イーペーコーが最終形とは考えていませんでした。
八万三索が1枚ずつ切れていることもあり、七対子の切り替えも視野に入れておったわけです。
ということで、六万切りのヤミテンとなりました。」

 

■終局図

 

 

日本プロ麻雀連盟チャンネルはこちらから
OPENREC 日本プロ麻雀連盟チャンネル
ニコニコ生放送<PC版>

第19期北関東プロリーグ決勝戦レポート

【第19期北関東プロリーグ決勝戦】

新井駿一vs吉田幸雄vs中津真吾vs岡部光輝

 

 

最終4回戦、二番手の中津の親が落ち、吉田の優勝までのウイニングランと思われた。

 

 

本局を七対子に決め打った中津、2枚切れの発待ちでリーチ。

 

 

 

テンパイの入っていた吉田から出アガリと最高の結果を得る。

オーラス、中津の条件は吉田から5,200の出アガリ、ツモアガリは2,000・3,900。
そして、6巡目には条件を満たせそうな1シャンテン。

 

 

しかし、テンパイをすることなく流局。吉田の優勝となった。

こう振り返ると、「中津はあと一歩だった、惜しかった」となるのだが、私には吉田の完勝のように見えた。
本決勝戦の4半荘で、吉田の5,000点以上のアガリはこの3回しかない。

1回戦南2局、リーチ七対子ドラ2、8,000点を中津から
3回戦南3局1本場、仕掛けたタンヤオ三色ドラの5,800+300を中津から
4回戦東2局1本場、メンゼンのホンイツ、6,400+300を新井から

どうして吉田が優位な(最後は少しヒヤヒヤだったが)スコアを築けたのか、この決勝はとてもいい教材だと思うので、対局者だけでなく、若手は全員、アーカイブを見て考察していただきたい。

新井「相手との対局経験が少なかったので、1回戦は様子見ながら無理せず…。」
手牌に恵まれないまま進み、3、4回戦ではスコアに合わせざるを得ず打牌の制限が出て、そのまま終わってしまった感じがする。
でも、この次局が宝の山だったかもしれない。(三色片アガリのチーテンを取る、連荘狙いは有力だった。)

 

 

(局面を説明すると、上家の親吉田が、9巡目にカン六万をチーして打九万。10巡目にカン六筒をチーして打二万。次巡に手出しで八筒。)

 

 

ドラまたぎだからと二筒が切りきれない。
しかし、鳴く前から八筒を持っているので、二筒がリャンメンで当たるケースはない。

この局は結局、吉田テンパイ中津ノーテン。
次局3本場は、吉田が1,000+300オール。
2局で8.2ポイントの差である。この僅差での8.2ポイントはかなり大きい。

岡部は、この7,700点のテンパイがアガれず、逆に中津に11,600点の放銃になったのが痛かった。

 

 

リーチをすれば違う未来だったが、ヤミテンがセオリーでそれを悔やんでも仕方がない。
これ以降、打点はないが早い手牌が多かったのだが、打点も欲しいが故に中途半端な選択になったように思われる。
シャンテン数を落として高打点に仕上げたり、アガリ数で食らいつき最後での逆転を目指す、など一貫すればもっと競れていたのではないか。

「ここは通過点です。グランプリの出場権を得るために北関東リーグに出ています」という新井。
中津、岡部も中央のリーグ戦に遠征している。(優勝した吉田も)
実況の小笠原の事前インタビューで「辛口で解説してください」と語った中津。
彼らの姿勢はとても称賛したい。
新井、中津は初の決勝、初の放送とは思えないほど堂々としていた。間違いなく来期もレベルアップしてくるであろう。

このような(批判した)ストーリーにすると、負けた3人や北関東リーグのレベルが低かったように勘違いされることがあるが、あえて辛口で書かせていただいた。
読者の皆様は、その点を誤解しないようお願いしたい。

 

 

吉田「打ってもいいから、全部行く気でいたんですけどね。まさかの発があたったんで、びっくりでしたね。ちょっと面白くなったかなと自分の中では思いながらやってました。」

これからも『北関東の壁』として若手の前に立ちふさがってくださいね。
おめでとうございます。
(※ キャッチフレーズが『北関東の狼』)

 

 

(文:福光聖雄)

第214回:プロ雀士インタビュー 魚谷侑未  インタビュアー:浜野太陽

魚谷侑未プロ。今や麻雀界を代表するトッププロであり、一昨年はG1タイトル三冠、昨年はタイトルこそ無かったもののMリーグMVP。さらに今回の女流モンド王者に輝き、若手の僕から見ると女流プロ最強の名を欲しいままにしているような方である。その魚谷プロへ優勝記念インタビューという大任を賜り、お話を伺うと…まだこの優勝すら道中なのだと感じさせる魚谷プロの大きな野望と覚悟を知ることができたので、ぜひ皆さんにお伝えしたい。
当日は魚谷プロと親交の深い藤井すみれプロを交えてイタリアンのお店に伺い、シラスかけ放題(!)のパスタに舌鼓を打ちつつお話を伺った。

 

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—— 早速ですが、この度は優勝おめでとうございます!決勝戦のメンツは和久津プロ、大島プロ、日向プロ(以下敬称略)。決勝のメンツが決まった時はどう思いましたか?
魚谷「正直勝てると思わなかったんだよね。このメンバーは日本シリーズ、プロクイーン、女流桜花…それぞれ別のどこかで負けた思い出があって。そもそも予選も初戦が4着スタートだったり、トップ取れそうなところから池沢さんが国士をアガッて逆転されたり…決勝にすら行けると思ってなかったしね。」

—— 実績では圧倒的な魚谷さんが勝てる気がしなかったなんて意外です。

魚谷「なんか私ずっと低迷期っていうか、なかなか魂が帰ってこなくて、納得いく麻雀が打ててなかったんだよね。リーグ戦の解説でも瀬戸熊さんに『いつもの麻雀が打てていない』っていうことを言われたんだけど、気持ちで麻雀を打つ人には伝わるんだなって思った(笑)でも女流モンドが始まってからは、やっと帰ってきた感じがあって、心も体も充実した状態で臨めた。だから、苦しい予選の中でも自信を持ってプレーできたのは大きかったかな。」

「最近自信を持って打てない」「打ち方に迷っている」といった話は若手同士でもすることはあるが、「魂」という単語が説得力を持って自然と出てくるのはさすがだと思わされる。

—— そして決勝戦。南場までアガリがなく、発声はリーチの1回だけでした。焦りはあったりしましたか?

魚谷「何回も決勝戦をやってきて、1回戦は3着まで入ってれば全然可能性あると思ってたよ。だから焦りとかはなかった。もちろんトップが有利なんだけどね。」

—— 優勝経験豊富だからこその余裕ですね。決勝の内容については、僕が気になった局と魚谷さん自身が思い入れのある局についてお伺いしたいのですが、まずは僕が気になった局から伺えればと思います。1回戦の南1局13巡目、ドラ雀頭でイーペーコー出来合いの手牌から鳴きを入れました。これ、鳴きたくない人が多いと思うんですが…

 

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魚谷「くっつきテンパイで受け入れの種類自体はたくさんあるよね。でも既に結構切られてしまっていて、テンパイはまだしもアガリは厳しいんじゃないかっていう感覚があったんだよね。だからノーテンだけは阻止しようと思ってチーした。そういえば、初めて優勝した時の女流桜花で藤原さんに同じようなチーしたのを観戦記で結構キツく言われたんだよね。でも自分の選択には自信を持ってたから気にせずここまでやってきて、今回も打ち方を貫けたよ。」

手牌だけを見るとメンゼンのアガリを諦めたくないところだが、柔軟に目標を下方修正できるのはすごい。

 

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—— では、ご自身で鍵になったと思う局はどこでしたか?

魚谷「実はあまりコレ!って感じの見せ場は無かったなあと思ってるんだよね。自分の局ではないんだけど、大島さんに倍満をツモられた時はかなり大きくて、負けを覚悟したな。」

トップスタートの大島は2回戦に跳満の放銃に見舞われるも、次局には倍満のアガリですぐにリカバー。オーラス時点では、倍満ツモという非常に厳しい条件を魚谷に突きつけた。

 

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魚谷「でも何が起こるかわからないから、チャンスを逃さないように気持ちだけは切らさないようにしてた。自分が無理そうなら大島さんがアガらないように絞りつつ、和久津さんが連荘してくれることを願ってたよ」

そしてその願い通り、和久津の必死の連荘でオーラスは2本場・供託2本に。魚谷の条件は倍満ツモが1,300・2,600ツモという現実的なものに!見事ドラドラの手牌をリーチしてツモアガリ、優勝を決めた!

 

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—— これで女流モンド杯優勝は3回目。優勝した瞬間の思いはどうでしたか?

魚谷「リーグ戦とかも勝てなかったから久しぶりに勝ちにつながって本当に嬉しい。自分の麻雀にそれなりに自信があっても、負けが続くと『どっか違うかもしれない』という不安と戦い続けなきゃいけないから。また自分を信じていいのかなっていう安心もあったよ。」

—— 放送での優勝コメントでは、「1、2回目の優勝でいろいろ道が拓けて今の自分がある」というコメントがありました。個人的にすごく興味があるんですが、どういうことがあったんですか?

魚谷「タイトルを取ることってそれ自体の価値に加えて『いろんな人に知ってもらえる』っていうことがとても大きいと思っていて、私の中で応援してくれる人が増えたことを一番顕著に感じたのがモンド王座を優勝した時なんだよね。今でも『モンド王座を見てファンになりました』って言ってくれる人がいるぐらい。初めての女流モンドの時点で負けてたら、次は呼ばれずに消えていく人だったかもしれない。」

モンド王座で跳満ツモ条件をクリアして優勝した場面は多くの人の脳裏に焼き付いているだろう。今こんなに第一線で活躍している魚谷プロが、世に出ない未来なんてあったんだろうか。

——最後にモンド王座決定戦に向けて、ファンの皆様に一言お願いします!

魚谷「モンドは私の原点と思っている、特別思い入れの深いタイトルです。そんな女流モンド杯で、応援してくれる人に久しぶりにいい報告ができてとても嬉しく思っています。女流モンドの最多優勝はすごく嬉しいけど、もっともっと結果を出して、ずっと名前が残るような選手になりたいです。いつも通り『応援してくれる人よりも先に諦めない』の精神で頑張りますので、モンド王座も応援お願いします!」

最多優勝でも満足することなく、未来の選手をも越えようとしている…色々なメディアでのカッコいい姿や、動画サイトでの配信など精力的に活動する魚谷プロを支える思いを知ることができた。皆さんにも魚谷プロを以前よりも身近に感じていただくことができたら幸いに思います。モンド王座もぜひご注目ください!