何を切る?/何を切る?fromロン2 2014年09月

このコーナーでは、オンライン麻雀「ロン2」の協力のもと、プロ雀士とロン2ユーザーの解答をグラフを使って比較していきたいと思います。
多くのプロより、解説をいただきましたので、みなさんの雀力アップの参考にしていただければと思います。
問題提供:「ロン2」  作成:杉浦勘介

ロン2道場ルール (一発、裏ドラ、カンドラあり、赤なし)
東1局1本場北家 (色の濃くなっている牌はツモ切りです)
※南家は白を鳴いて打五索発を鳴いて打一筒
 
プロ

七索切り・・・31人
八筒切り・・・12人
四万切り・・・11人
三筒切り・・・2人
二筒切り・・・1人
 
ロン2ユーザー

八筒切り・・・53.2%
四万切り・・・18%
七索切り・・・16.3%
五筒切り・・・4.7%
二筒切り・・・3%
六筒切り・・・3%
三筒切り・・・1.7%
 
 
プロ解答(50音順)
七索切り
吾妻さおり
「仕掛けの現物の七索を切り、次とその次のツモを見る。四筒三万五万を引くようなら勝負する。二万引きの234はヤミテン。一筒九筒引きなら現状維持のツモ切り。」
鮎川卓
「勝負するには対面に対し無筋を2牌以上押さなくてはなりませんが、この手はそのリスクに見合っていません。七索を切って回り、マンズにくっついてから勝負します。」
伊藤優孝
「うまくマンズにくっついて三色になれば良しで、ここは七索を切って様子を見ましょう。四万は切らない(切りたくない)。」
魚谷侑未
「南家は七索5とカンチャンターツを払った後に発を鳴いて打一筒。その前の手出しNから本線はホンイツと読みます。そしてほぼソーズ受けのない形のテンパイでしょう。ここは四万八筒で当たると高いので、七索をトイツ落としします。ピンズが高く一筒四筒七筒の2度受けもあるので、戦える1シャンテンと思えません。」
勝又健志
中発と切った以上、攻めるのが筋ではあるが、対面の2フーロに押し返すのに見合っていないので、様子を見る七索切り。」
加藤博己
「この手を真っ直ぐ進めてもアガれるイメージがないので、いったん打七索とし様子を見る。」
木戸僚之
「点数がノーテン罰符しか動いていない東1局で、この手から四万やピンズを南家の手にぶつけるには見合っていない。後々苦しくなりそうな手格好ではあるが、現物の七索落としから、最高形のタンピン三色を目指す。もしピンズの形でテンパイしたとしても、通ってない限り四万は打たない。」
黒沢咲
「自分の手がそこまで勝負手でもないので、もう危険牌は切りません。」
越野智紀
「対面の仕掛けに対応。余る可能性がある四万六筒八筒がどれも危険。四筒三万四筒七筒八筒などを引いたら1枚勝負してリーチ。」
近藤久春
「南家はピンズのホンイツ。西家は中を切るくらいなのでテンパイ。七索は怖いのだが様子を見ながら。」
猿川真寿
一筒手出しでマンズのホンイツはなさそうだが、ドラまたぎの四万は打ちづらく、ピンズも切りづらいので、現物の七索をとりあえず切る。」
沢崎誠
「南家は序盤を見ればマンズ本線だが、手出し一筒を見てマンズ、ピンズは切りたくない!現物の七索切りの一手!!」
柴田弘幸
「ピンズ3メンツは厳しいと見て、様子見の打七索。」
白鳥翔
「対面は七索五索のカンチャンターツ落としが入っているが、テンパイが入っているかは断定できない。真っ直ぐに打つなら打四万だが、自身が一筒四筒七筒の二度受けであることを考えると押しにくく、ここは打七索として、234の三色を見ながら柔らかく構えたい。」
須浦正裕
「456を狙いつつ、ドラ雀頭やドラメンツを使ったピンフやリャンメンテンパイでも良しとする。下家の動向も視野に入れたい。」
鈴木秀幸
「南家が最終手出し一筒のためほぼテンパイ。それに対し中をぶつけた西家に、七索が当たる可能性はもちろんありますが、正直他に手をかける牌がないです。ピンズで放銃した場合12,000まであるし、自分の手が後手を踏み魅力的な手ではないので、いったん引きます。」
滝沢和典
「南家の手出し一筒でピンズは打ちづらい。とくに二筒、次に五筒の危険度が高い。」
ともたけ雅晴
「対面は役牌2つ鳴いてテンパイしたと思われるが、ホンイツはあるとしたらピンズで、自分の余るピンズが当たり牌になる可能性も高いし、マンズのドラ周り、とくにドラ表示牌の四万は切りづらいので、東1局だし様子見も兼ねて。」
仲田加南
「この形からの放銃はしたくないので、南家の現物の七索で回ります。あらためて勝負手になった時に1枚くらいの勝負ならするかもしれませんが。」
西岡慎泰
四万を切るには、危険度と自分の打点が見合っていない。マンズでドラ絡み満貫となる手になった場合のみ勝負する。」
仁平宣明
「打牌の一貫性はないが、ピンズには手を付けづらい。三元牌を全て押してからの七索は消極的ではあるが、仕掛けを入れられてしまったからには受け気味に。三筒六筒発の仕掛けの前に通っているので、テンパイからの待ち替えは考えにくい。となると二筒雀頭のドラまたぎあたりかな?」
福光聖雄
一筒四筒七筒の二度受けではアガリづらいのでピンズを外したいが、対面に対して切りづらい。七索をトイツ落としして、マンズで1メンツができれば六筒を勝負したい。」
藤島健二郎
「手牌は悪くないが局面的には凡手。オリの一手。」
古川孝次
「ここでピンズを払って行くよりも、七索を落として様子を見る。南家の仕掛けへの放銃を回避するのが先決。展望としては234の三色が見えるが、遅すぎるきらいがある。」
前田直哉
「対面をケアして、七索切って様子見。」
村上拓也
「好形の1シャンテンとはいえ、ドラもなく、押し返すには厳しい形である。現物の七索切りで234三色、ドラ受けを残すことができるので、その後のツモを見て勝負する。」
安村浩司
「南家は三筒に反応していないため、ピンズの形と待ちの形を特定できないが、1~4巡目にターツ外しをしているため、テンパイと読む。ドラがくっついてのテンパイのみ押し返す。」
山井弘
「すでに対面に先手を取られ、手役があるとすればピンズのホンイツが本線。もちろんドラ周りも十分にあるため、ピンズが切りにくくなった以上、ここはドラそばの四万も温存し、ぐるりと迂回するしかない。」
山田浩之
「タンピンイーペーコーの1シャンテンだが、ピンズは二度受けでタンヤオも確定していない。対面の仕掛けは待ちもスピードもわかりづらいが、四万八筒も危ないので1回受ける。」
和久津晶
「作り直し!ピンズで雀頭はいつでも作れそう。」
 
 
八筒切り
安達紘文
「勝負手なので対面の仕掛けは怖いけどアガリに行きます。四万残しは234とドラ引きの打点上昇のため。また、七索五筒ツモでリーチのみの手に終わらせたくないので。」
荒正義
「ドラの指示牌は危険。だが四筒ツモなら勝負か。」
和泉由希子
「ドラを使うか三色を見たいので四万は残したい。イーペーコーでもうれしい。一通は見ません。」
櫻井秀樹
「東1局だしひとまずベタオリはしない。そもそもベタオリする牌も十分にない。四万はできれば勝負したくないので、くっつけばピンズを払う。」
佐々木寿人
四万の横にくっついたら三筒二筒を落としてメンタンピンへ。棒テンには構えない。」
刀川昌浩
「南家に対してマンズ以外は押して行きたい。」
羽山真生
「ドラ受けを残しつつ1シャンテンを維持。ただし自信のない形ですね。」
一井慎也
「ここまで手を進めさせて、下手に回してアガリ逃しから大物手を決められることが罪だと思うので、すぐの一筒四筒七筒はテンパイに取りたい。数巡のあいだの四万、もしくはピンズ2牌での放銃は覚悟。」
古橋崇志
「対面の仕掛けに対してぶつけていくので、打四万では打点が物足りない。最高形のタンピン三色、またはタンピンイーペーコー狙い。」
増田隆一
四筒七筒引きで即リーチを打てるように。五万を引いたら二筒三筒と払って手を組み替えます。」
宮内こずえ
「234の三色を見つつドラ引きにも備えて。」
四柳弘樹
「ドラ引きに備えてまだ四万は切りたくない。一筒四筒七筒を引いたら素直にテンパイを取る。」
 
 
四万切り
石渡正志
「三色同順やドラは確定する形となっておらず、効率通りに打四万。」
内川幸太郎
「開局ですし、目一杯に構えます。八万九万ツモ切りの後の手出し南一筒からマンズのホンイツも薄れるので。南家の手は3,900くらいかな。」
黒木真生
「打四万五万をツモったらやめる。」
瀬戸熊直樹
「行きがかり上、ピンズは勝負牌にしたい。四筒が入れば打八筒勝負とする。」
中村毅
「まだ東1局なので、1シャンテンに受け、アガリに向かう。」
奈良圭純
「あまり勝負したい手牌ではないですが、とりあえず手広く。」
西川淳
「南家の最終手出し一筒には必ず意味がある。【パターン①関連牌残しの場合】トイトイかピンズが後で伸びてのホンイツが怖い。【パターン②親の現物残しの場合】ロスを承知で残す程度の手だったらそれ程怖くない。パターン一筒が怖いが、だとしたら待ちがまだ絞れない。オリるより自分がアガりに行った方が優位と見る。最速の四万切り。」
藤原隆弘
「対面は白発ポンで自風の南一筒が手出しであるため、ピンズのホンイツでテンパイしている。上家は中まで切ってきているので、好形か高いヤミテンが入っていると読める。そうするとこの手はアガリに向かうには難しく、危険である。オリたいのだが、上家の当たり牌が読めないのでとりあえず1シャンテンに取るが、決して無理はダメである!」
前原雄大
「上家の打中は許可せざるを得ないところだが、対面を基点に考えればピンズにも手が付けられない。結局はオリに向かうことになるのだろうが、ここは瞬間押してみる。」
三戸亮祐
「対面の最終手出しが一筒のため、二筒三筒も打ちにくい。ソーズ落としも手詰まりになる可能性があるなら、ここで四万を勝負して手広く構える。」
望月雅継
「もちろん手役や打点も追いたいが、さすがにここは型を組んでいく場面ではない。ぎりぎりまで戦うつもりで打四万。」
 
 
三筒切り
小車祥
「南家は一色手ではなさそうなので、ドラ周辺やトイトイになりそうな牌では放銃したくない。それでも西家の打中がなければ素直に四万切りにするが、自分が中を切った後に一度手出しを入れてからRを鳴いた南家に対して中を切ってきている西家も見て、ここは三筒切りとする。」
ケネス徳田
「小三元のリスクもあるのに中を打ち出してきていることから、西家は明らかに役有りテンパイ。しかもアガリやすく打点もある。この手はとりあえず受け。西家の切った三筒をポンしていないので、南家に三筒のトイツはない。」
 
 
二筒切り
二階堂亜樹
一筒が弱いのと、四万を切るとその後のマンズに対応できなくなるのが嫌です。危ないし。二筒も通ってないですが、ポンで出た一筒なので。ピンズのホンイツでもなさそうなので。」

何を切る?fromロン2 2014年09月

このコーナーでは、オンライン麻雀「ロン2」の協力のもと、プロ雀士とロン2ユーザーの解答をグラフを使って比較していきたいと思います。
多くのプロより、解説をいただきましたので、みなさんの雀力アップの参考にしていただければと思います。

問題提供:「ロン2」  作成:杉浦勘介

ロン2道場ルール (一発、裏ドラ、カンドラあり、赤なし)

東1局1本場北家 (色の濃くなっている牌はツモ切りです)
※南家は白を鳴いて打五索発を鳴いて打一筒

 

プロ

七索切り・・・31人
八筒切り・・・12人
四万切り・・・11人
三筒切り・・・2人
二筒切り・・・1人

 

ロン2ユーザー

八筒切り・・・53.2%
四万切り・・・18%
七索切り・・・16.3%
五筒切り・・・4.7%
二筒切り・・・3%
六筒切り・・・3%
三筒切り・・・1.7%

 

 

プロ解答(50音順)

七索切り

吾妻さおり
「仕掛けの現物の七索を切り、次とその次のツモを見る。四筒三万五万を引くようなら勝負する。二万引きの234はヤミテン。一筒九筒引きなら現状維持のツモ切り。」

鮎川卓
「勝負するには対面に対し無筋を2牌以上押さなくてはなりませんが、この手はそのリスクに見合っていません。七索を切って回り、マンズにくっついてから勝負します。」

伊藤優孝
「うまくマンズにくっついて三色になれば良しで、ここは七索を切って様子を見ましょう。四万は切らない(切りたくない)。」

魚谷侑未
「南家は七索5とカンチャンターツを払った後に発を鳴いて打一筒。その前の手出しNから本線はホンイツと読みます。そしてほぼソーズ受けのない形のテンパイでしょう。ここは四万八筒で当たると高いので、七索をトイツ落としします。ピンズが高く一筒四筒七筒の2度受けもあるので、戦える1シャンテンと思えません。」

勝又健志
中発と切った以上、攻めるのが筋ではあるが、対面の2フーロに押し返すのに見合っていないので、様子を見る七索切り。」

加藤博己
「この手を真っ直ぐ進めてもアガれるイメージがないので、いったん打七索とし様子を見る。」

木戸僚之
「点数がノーテン罰符しか動いていない東1局で、この手から四万やピンズを南家の手にぶつけるには見合っていない。後々苦しくなりそうな手格好ではあるが、現物の七索落としから、最高形のタンピン三色を目指す。もしピンズの形でテンパイしたとしても、通ってない限り四万は打たない。」

黒沢咲
「自分の手がそこまで勝負手でもないので、もう危険牌は切りません。」

越野智紀
「対面の仕掛けに対応。余る可能性がある四万六筒八筒がどれも危険。四筒三万四筒七筒八筒などを引いたら1枚勝負してリーチ。」

近藤久春
「南家はピンズのホンイツ。西家は中を切るくらいなのでテンパイ。七索は怖いのだが様子を見ながら。」

猿川真寿
一筒手出しでマンズのホンイツはなさそうだが、ドラまたぎの四万は打ちづらく、ピンズも切りづらいので、現物の七索をとりあえず切る。」

沢崎誠
「南家は序盤を見ればマンズ本線だが、手出し一筒を見てマンズ、ピンズは切りたくない!現物の七索切りの一手!!」

柴田弘幸
「ピンズ3メンツは厳しいと見て、様子見の打七索。」

白鳥翔
「対面は七索五索のカンチャンターツ落としが入っているが、テンパイが入っているかは断定できない。真っ直ぐに打つなら打四万だが、自身が一筒四筒七筒の二度受けであることを考えると押しにくく、ここは打七索として、234の三色を見ながら柔らかく構えたい。」

須浦正裕
「456を狙いつつ、ドラ雀頭やドラメンツを使ったピンフやリャンメンテンパイでも良しとする。下家の動向も視野に入れたい。」

鈴木秀幸
「南家が最終手出し一筒のためほぼテンパイ。それに対し中をぶつけた西家に、七索が当たる可能性はもちろんありますが、正直他に手をかける牌がないです。ピンズで放銃した場合12,000まであるし、自分の手が後手を踏み魅力的な手ではないので、いったん引きます。」

滝沢和典
「南家の手出し一筒でピンズは打ちづらい。とくに二筒、次に五筒の危険度が高い。」

ともたけ雅晴
「対面は役牌2つ鳴いてテンパイしたと思われるが、ホンイツはあるとしたらピンズで、自分の余るピンズが当たり牌になる可能性も高いし、マンズのドラ周り、とくにドラ表示牌の四万は切りづらいので、東1局だし様子見も兼ねて。」

仲田加南
「この形からの放銃はしたくないので、南家の現物の七索で回ります。あらためて勝負手になった時に1枚くらいの勝負ならするかもしれませんが。」

西岡慎泰
四万を切るには、危険度と自分の打点が見合っていない。マンズでドラ絡み満貫となる手になった場合のみ勝負する。」

仁平宣明
「打牌の一貫性はないが、ピンズには手を付けづらい。三元牌を全て押してからの七索は消極的ではあるが、仕掛けを入れられてしまったからには受け気味に。三筒六筒発の仕掛けの前に通っているので、テンパイからの待ち替えは考えにくい。となると二筒雀頭のドラまたぎあたりかな?」

福光聖雄
一筒四筒七筒の二度受けではアガリづらいのでピンズを外したいが、対面に対して切りづらい。七索をトイツ落としして、マンズで1メンツができれば六筒を勝負したい。」

藤島健二郎
「手牌は悪くないが局面的には凡手。オリの一手。」

古川孝次
「ここでピンズを払って行くよりも、七索を落として様子を見る。南家の仕掛けへの放銃を回避するのが先決。展望としては234の三色が見えるが、遅すぎるきらいがある。」

前田直哉
「対面をケアして、七索切って様子見。」

村上拓也
「好形の1シャンテンとはいえ、ドラもなく、押し返すには厳しい形である。現物の七索切りで234三色、ドラ受けを残すことができるので、その後のツモを見て勝負する。」

安村浩司
「南家は三筒に反応していないため、ピンズの形と待ちの形を特定できないが、1~4巡目にターツ外しをしているため、テンパイと読む。ドラがくっついてのテンパイのみ押し返す。」

山井弘
「すでに対面に先手を取られ、手役があるとすればピンズのホンイツが本線。もちろんドラ周りも十分にあるため、ピンズが切りにくくなった以上、ここはドラそばの四万も温存し、ぐるりと迂回するしかない。」

山田浩之
「タンピンイーペーコーの1シャンテンだが、ピンズは二度受けでタンヤオも確定していない。対面の仕掛けは待ちもスピードもわかりづらいが、四万八筒も危ないので1回受ける。」

和久津晶
「作り直し!ピンズで雀頭はいつでも作れそう。」

 

 

八筒切り

安達紘文
「勝負手なので対面の仕掛けは怖いけどアガリに行きます。四万残しは234とドラ引きの打点上昇のため。また、七索五筒ツモでリーチのみの手に終わらせたくないので。」

荒正義
「ドラの指示牌は危険。だが四筒ツモなら勝負か。」

和泉由希子
「ドラを使うか三色を見たいので四万は残したい。イーペーコーでもうれしい。一通は見ません。」

櫻井秀樹
「東1局だしひとまずベタオリはしない。そもそもベタオリする牌も十分にない。四万はできれば勝負したくないので、くっつけばピンズを払う。」

佐々木寿人
四万の横にくっついたら三筒二筒を落としてメンタンピンへ。棒テンには構えない。」

刀川昌浩
「南家に対してマンズ以外は押して行きたい。」

羽山真生
「ドラ受けを残しつつ1シャンテンを維持。ただし自信のない形ですね。」

一井慎也
「ここまで手を進めさせて、下手に回してアガリ逃しから大物手を決められることが罪だと思うので、すぐの一筒四筒七筒はテンパイに取りたい。数巡のあいだの四万、もしくはピンズ2牌での放銃は覚悟。」

古橋崇志
「対面の仕掛けに対してぶつけていくので、打四万では打点が物足りない。最高形のタンピン三色、またはタンピンイーペーコー狙い。」

増田隆一
四筒七筒引きで即リーチを打てるように。五万を引いたら二筒三筒と払って手を組み替えます。」

宮内こずえ
「234の三色を見つつドラ引きにも備えて。」

四柳弘樹
「ドラ引きに備えてまだ四万は切りたくない。一筒四筒七筒を引いたら素直にテンパイを取る。」

 

 

四万切り

石渡正志
「三色同順やドラは確定する形となっておらず、効率通りに打四万。」

内川幸太郎
「開局ですし、目一杯に構えます。八万九万ツモ切りの後の手出し南一筒からマンズのホンイツも薄れるので。南家の手は3,900くらいかな。」

黒木真生
「打四万五万をツモったらやめる。」

瀬戸熊直樹
「行きがかり上、ピンズは勝負牌にしたい。四筒が入れば打八筒勝負とする。」

中村毅
「まだ東1局なので、1シャンテンに受け、アガリに向かう。」

奈良圭純
「あまり勝負したい手牌ではないですが、とりあえず手広く。」

西川淳
「南家の最終手出し一筒には必ず意味がある。【パターン①関連牌残しの場合】トイトイかピンズが後で伸びてのホンイツが怖い。【パターン②親の現物残しの場合】ロスを承知で残す程度の手だったらそれ程怖くない。パターン一筒が怖いが、だとしたら待ちがまだ絞れない。オリるより自分がアガりに行った方が優位と見る。最速の四万切り。」

藤原隆弘
「対面は白発ポンで自風の南一筒が手出しであるため、ピンズのホンイツでテンパイしている。上家は中まで切ってきているので、好形か高いヤミテンが入っていると読める。そうするとこの手はアガリに向かうには難しく、危険である。オリたいのだが、上家の当たり牌が読めないのでとりあえず1シャンテンに取るが、決して無理はダメである!」

前原雄大
「上家の打中は許可せざるを得ないところだが、対面を基点に考えればピンズにも手が付けられない。結局はオリに向かうことになるのだろうが、ここは瞬間押してみる。」

三戸亮祐
「対面の最終手出しが一筒のため、二筒三筒も打ちにくい。ソーズ落としも手詰まりになる可能性があるなら、ここで四万を勝負して手広く構える。」

望月雅継
「もちろん手役や打点も追いたいが、さすがにここは型を組んでいく場面ではない。ぎりぎりまで戦うつもりで打四万。」

 

 

三筒切り

小車祥
「南家は一色手ではなさそうなので、ドラ周辺やトイトイになりそうな牌では放銃したくない。それでも西家の打中がなければ素直に四万切りにするが、自分が中を切った後に一度手出しを入れてからRを鳴いた南家に対して中を切ってきている西家も見て、ここは三筒切りとする。」

ケネス徳田
「小三元のリスクもあるのに中を打ち出してきていることから、西家は明らかに役有りテンパイ。しかもアガリやすく打点もある。この手はとりあえず受け。西家の切った三筒をポンしていないので、南家に三筒のトイツはない。」

 

 

二筒切り

二階堂亜樹
一筒が弱いのと、四万を切るとその後のマンズに対応できなくなるのが嫌です。危ないし。二筒も通ってないですが、ポンで出た一筒なので。ピンズのホンイツでもなさそうなので。」

女流プロリーグ(女流桜花) レポート/第9期女流桜花第4節レポート 二階堂 亜樹

今節から復帰したリーグ戦。
今回の女流桜花は第9期で、第2期からAリーグにいる自分にとっては6回目の桜花挑戦。
(第1期はリーグ無し)
第2、3期と連覇した後は、いつも手が届かないところにいるような気がする。
返り咲きたい気持ちはいっぱいなんですけどね。
産休明け一発目のリーグ戦にかなりの不安はありましたが、その予感は的中なのか、両リーグとも内容はかなり上下に幅のある麻雀になってしまっている。
良く打てたときもある。
でも、それ以上に悪いときの方が多く感じる。
忙しさからくる、イメージトレーニング不足などは否めないが、それでもそれなりに打てなきゃいけないと思う。
それなりというのも語弊があるかもしれないが、「良く打てて当たり前」で、「良く打てなかった」をなるべくなるべく少なくするのがプロだと思うからである。
そして自分がよく打ててると思うときは、ほとんどが押し引きのバランスが合ってるかどうかで判断する。
読めてるのか、感じてるのかはこの際どちらでも良いと思う。
合ってるのか合っていないのか。
もちろん麻雀だから、というか自分が未熟だからですが、わからない部分の方が多い訳で。
ただでさえわからない事が多いのに、トレーニング不足だと、わかっていた事がわからなくなっちゃうんですよね。そして次の瞬間に、こうだったじゃないかって思い出すような。
麻雀のレベルというか、スキルって経験によるものが大きくて、経験してきたものを自分のなかで納得して消化して省略できるようになって、初めて自分のものにできる。
でも自分のものにしても、使ってないと忘れちゃうんですよね。
だから打つことが凄く大事なのはわかってるのに・・
特に酷く感じたのは、3回戦南2局の親番。
本調子ではない今節の3回戦目で、必死で3万点を維持してるなか、行けるのか行けないのか中途半端感しかない。
そう感じてるなか、対面からリーチを受けて一発目に上家から放たれた役牌に大長考。
1枚目は見送るが、結局2枚目には声をかける。
けして早い巡目ではないのに、この段階で何の準備もできてない自分に、嫌気がさす。
更にどうにかなるんじゃないかと甘い期待をしてる自分がもう本当に嫌。
結局ギリギリでテンパイを入れられるはずだったのに、生牌の白が打ち切れず。
もともと親番維持にそこまで固執しないタイプですが、こんな簡単にオリたり親番を手放してたら勝てる訳が無いんですよね。
そしてなにより、はっきり言って、かなりダサい麻雀を打ってしまった。
こんなダサい麻雀を打つために、人に観てもらうために麻雀を打ち続けてきた訳ではないのに。
格好よく見られたい訳でも無いけど、ダサいのは流石に嫌だ。
今まで似たような状況で、何度この白を切ってきたのか。
通れば正解なのか?
放銃すれば失敗なのか?
いつも考える。
幾度となく考えてる。
でも、この白を河に放つ覚悟と勇気を持つために、長年プロを続けてるのではないのか?
そんな自問自答と反省を繰り返しながら、また勉強しながら頑張っていこうと思う。
そんな第4節が終わり、自分は9位でプレーオフボーダー付近。
自分のことはこれくらいにして周りをみれば、今回同卓してプラス約50ほどした和泉が4位浮上。
プラス100オーバーの上3人はほっといて、現実的には6位から13位くらいまでの人達(自分も入ってますけど)でプレーオフ争いになるんじゃないかと予想。
自分の目標としては、次節プラス40Pを目標にして、もしマイナスしたら下を見て戦うことになりますね。
次節はトレーニング不足も解消して、しっかり体調も整えて、悔いのない麻雀を打てたらと思います。

第9期女流桜花第4節レポート 二階堂 亜樹

今節から復帰したリーグ戦。
今回の女流桜花は第9期で、第2期からAリーグにいる自分にとっては6回目の桜花挑戦。
(第1期はリーグ無し)

第2、3期と連覇した後は、いつも手が届かないところにいるような気がする。
返り咲きたい気持ちはいっぱいなんですけどね。

産休明け一発目のリーグ戦にかなりの不安はありましたが、その予感は的中なのか、両リーグとも内容はかなり上下に幅のある麻雀になってしまっている。

良く打てたときもある。
でも、それ以上に悪いときの方が多く感じる。

忙しさからくる、イメージトレーニング不足などは否めないが、それでもそれなりに打てなきゃいけないと思う。

それなりというのも語弊があるかもしれないが、「良く打てて当たり前」で、「良く打てなかった」をなるべくなるべく少なくするのがプロだと思うからである。

そして自分がよく打ててると思うときは、ほとんどが押し引きのバランスが合ってるかどうかで判断する。

読めてるのか、感じてるのかはこの際どちらでも良いと思う。
合ってるのか合っていないのか。

もちろん麻雀だから、というか自分が未熟だからですが、わからない部分の方が多い訳で。
ただでさえわからない事が多いのに、トレーニング不足だと、わかっていた事がわからなくなっちゃうんですよね。そして次の瞬間に、こうだったじゃないかって思い出すような。

麻雀のレベルというか、スキルって経験によるものが大きくて、経験してきたものを自分のなかで納得して消化して省略できるようになって、初めて自分のものにできる。
でも自分のものにしても、使ってないと忘れちゃうんですよね。
だから打つことが凄く大事なのはわかってるのに・・

特に酷く感じたのは、3回戦南2局の親番。

本調子ではない今節の3回戦目で、必死で3万点を維持してるなか、行けるのか行けないのか中途半端感しかない。
そう感じてるなか、対面からリーチを受けて一発目に上家から放たれた役牌に大長考。

1枚目は見送るが、結局2枚目には声をかける。
けして早い巡目ではないのに、この段階で何の準備もできてない自分に、嫌気がさす。
更にどうにかなるんじゃないかと甘い期待をしてる自分がもう本当に嫌。
結局ギリギリでテンパイを入れられるはずだったのに、生牌の白が打ち切れず。

もともと親番維持にそこまで固執しないタイプですが、こんな簡単にオリたり親番を手放してたら勝てる訳が無いんですよね。

そしてなにより、はっきり言って、かなりダサい麻雀を打ってしまった。
こんなダサい麻雀を打つために、人に観てもらうために麻雀を打ち続けてきた訳ではないのに。

格好よく見られたい訳でも無いけど、ダサいのは流石に嫌だ。

今まで似たような状況で、何度この白を切ってきたのか。
通れば正解なのか?
放銃すれば失敗なのか?
いつも考える。
幾度となく考えてる。

でも、この白を河に放つ覚悟と勇気を持つために、長年プロを続けてるのではないのか?
そんな自問自答と反省を繰り返しながら、また勉強しながら頑張っていこうと思う。

そんな第4節が終わり、自分は9位でプレーオフボーダー付近。
自分のことはこれくらいにして周りをみれば、今回同卓してプラス約50ほどした和泉が4位浮上。

プラス100オーバーの上3人はほっといて、現実的には6位から13位くらいまでの人達(自分も入ってますけど)でプレーオフ争いになるんじゃないかと予想。

自分の目標としては、次節プラス40Pを目標にして、もしマイナスしたら下を見て戦うことになりますね。
次節はトレーニング不足も解消して、しっかり体調も整えて、悔いのない麻雀を打てたらと思います。

十段戦 レポート/第31期十段戦ベスト16C卓レポート 山井 弘

今年度から、連盟チャンネルで十段戦ベスト16が配信されることになった。
プロリーグなど、普段の対局はもちろん面白いが、この十段戦はメンバーが高段者が多いこと。
そして、上位2名しか勝ち上がることができないトーナメントということ。
そのため、対局者同士の駆け引きや押し引きなど、卓上で交わされるその戦いは見ている者を引き付ける。
そんな戦いが、この十段戦ベスト16では繰り広げられる。
3卓目になるC卓のメンバーは、
「ミスター麻雀」小島武夫、「サーフィン打法」の古川孝次、「現A1リーガー」柴田弘幸、みんな大好きダンプ大橋。
以上の4名での戦いとなる。
ちなみにここまでの勝ち上がりは、
ベスト8A卓=一井慎也vs櫻井秀樹vsC卓1位vsD卓2位
ベスト8B卓=沢崎誠vs中尾多門vsC卓2位vsD卓1位
このようになっている。

100

1回戦
トーナメントの戦いで、1回戦はかなり重要なポイントだと思う。
どんな勝負でもそうだが、いかに先手を取れるか。先行できれば、その後の戦いに選択肢が増える。
特にこのトーナメントは、タイトル戦の決勝とは違って、2人勝ち上がりの分、圧倒的に先行しているほうが有利と言えよう。
その開局、北家・古川は得意の仕掛けを使って先手を取る。
一万三万七万七索九索七筒八筒東西西北北白  ドラ七索
ここから北をポン。古川らしい。
古川はよく仕掛けているイメージがあるが、実は何でもしかけるわけではない。
以前インタビューで、「高くなる要素のない仕掛けはしない」そのようなことを話していた。
仕掛けて行きながら、打点を作りに行く。
100
これを受けて小島は
五万五万七万八万二索三索四索四索七索七索四筒五筒五筒  ツモ三索
親番で早くも勝負手が入っていた。
手牌は難しくなったが、七万が場に2枚切れとあって、七対子も見て打七万
すぐに古川から二索が出るが、小島は微動だにしない。
さらに五万を入れて
五万五万五万二索三索三索四索四索七索七索四筒五筒五筒
こうなっても、次の古川の五索も動かない。
正に古川とは真逆の打ち手と言ってもいいだろう。
この時、私は解説をさせてもらっていたのだが、対戦前の展開予想として、小島と古川が2人一緒に勝ち上がることはないだろうと予想したのはこのことからだ。どちらが勝つにせよ、それは勝つほうの場の流れになっているだろうと、もし古川が勝てば仕掛けが多い場、小島が勝てばメンゼンで手役がぶつかる場だと思ったからだ。
結果、古川が
一万三万七索八索九索六筒七筒八筒西西  ポン北北北  ロン二万
このアガリで開局を制した。
ちなみに小島は、五索を鳴けば古川に入る六筒でツモアガリの道もあった。
しかしそれは小島のスタイルではなく、古川の場に引き込まれているようでもある。
なので、私はこの局はこれで、小島にとっては良かったのではないかと思った。
100
東3局2本場
ここで柴田に手が入る。
三索五索六索七索四筒五筒五筒北北発発中中  ドラ八索
北をポンして打五筒三索を残してホンイツへ渡ろうということだ。
狙い通り四索を引いてホンイツへ移行。
三索四索五索六索七索白発発中中  加カン北北北北
この仕掛けに対してぶつけたのは古川。
四万五万六万八万二索二索四索五索六索五筒六筒中  ツモ七万
何と、ここで字牌の中を残してドラの八索から切って行く。
そして次に安全牌を引き、中をリリース。
自分に不要なドラが当たり牌になる前に処理する、紙一重の芸術とも言える手順だ。
この中をポンしてテンパイは柴田。
柴田もまた、しっかりとホンイツまで見据えて手を作っている。
このような駆け引きが、実に見応えある。
しかし無情にも、またもドラの八索が古川の手にやってき、これは止まらず放銃となってしまった。
南1局、小島。
八万七索八索九索五筒六筒七筒発発中  暗カン牌の背三万 上向き三万 上向き牌の背  ドラ八万
ここで発が出ても動かない小島。六万を引いてリーチとなる。
私は何時も思うが、親の連荘率はこの発を鳴くより、メンゼンでリーチのほうが高まるのではないか。
発をポンしてしまうと、打点はわからない、テンパイかどうかも分からないと、他家からすると、分からないだらけのところに対しては、自分の手を中心に進めるしか方法はない。
しかし、親からリーチであれば、確実にテンパイしているということを示すことができる。
そう考えると、やはりこの発をポンするより、メンゼンのほうが連荘率は高まると思うのだが。
そしてここで困ったのが柴田。
ダンプがチーしてテンパイを取ったので、ハイテイが南家の柴田に回ってきた。
柴田の手牌は
一筒一筒二筒二筒三筒四筒四筒四筒五筒六筒六筒九筒七万  ツモ八万
こうで、ちなみにピンズは何も通っていない状況。
マンズは五万が切れているので八万が筋とはいえドラ。
七万は無筋。さあ柴田は何を切るのか!?
八万
放銃となったら致命傷となってしまう牌。しかし、現状、手の中にある牌の中で、一番通りそうな牌。
それでも、この八万を打つことはかなり勇気がいる。
ピンズは当てずっぽうになるし、七はワンチャンスとはいえ、無筋でドラの側。
だったら、致命傷になりかねないが、通る確率の高い牌となったのだろう。
柴田、渾身の一打で交わす。
100
一方小島は、この連荘からアガリが続く。
まずは2,600オール。そして、
二万三万四万八万八万二索三索四索二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ四筒
この三色のアガリを決めてダントツになった。
柴田はオーラス、
二万二万五万六万七万三索四索四筒五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ五索
このアガリで原点を超えて2着をキープする。
小島+36.4P  柴田+7.0P  ダンプ▲15.2P  古川▲28.2P
2回戦は、古川、ダンプの反撃。
最後は柴田が浮きに回るアガリで、小島は1人沈みのラスとなってしまった。
3回戦はオーラスまで接戦となり、
ダンプ+32,200
古川+31,700
小島29,100
柴田2,7000
点数状況はこのようになっていた。
現状、トップ目のダンプはトータルで▲9.2Pとなっており、ここはどうしてもトップで終わらせたいところ。
三万四万五万六万三索三索三索四索六索六索三筒五筒六筒七筒  ドラ中
ここから打三筒
広いのは四索切りだが、ダンプはリーチ棒を出したくないので、タンヤオをなるべく確定させたかったのであろう。すぐに三万を引きテンパイ。
100
しかし、その時小島はすでにテンパイを入れており、
五万五万七万七万八万八万九万九万三索五索七筒八筒九筒
このヤミテン。アガれば浮きに回る。ここに五索を引き入れると、今度は一転リーチと行った。
そして、テンパイしていたダンプが持ってきたのは五索。もしカン四索に受けていればアガリの牌。
しかし、あの時点でよっぽど感性が働かない限りカンチャンには受けられない。
トップを取れば少し楽になる。現状のポイントを考えれば仕方のない放銃かもしれない。
でも、まだ3回戦、ここは形上アガリ逃しになってしまった牌である五索を持ってきたので、勇気を振り絞って止める手はあったかもしれない。
3回戦終了時
小島+18.6P  柴田▲1.8P  古川▲3.2P  ダンプ▲13.6P
4回戦、こうなると小島が乗ってくる。
二索二索二筒二筒八筒八筒九筒九筒西西白中中  リーチ  ツモ白  ドラ七索
東1局の親でこの七対子をツモアガリ。
続けて、ドラ暗刻のリーチを打った古川から、
二万三万四万三索三索四索五索六索五筒五筒六筒六筒七筒  リーチ  ロン四筒
このアガリを決める。
五万六万七万三索四索五索五索七索一筒一筒一筒白白  ドラ六万
乗っている親なら、ここ最近はリーチが主流であろう。
しかし、小島は自分の麻雀を曲げない。
ここに三索を引きイーペーコーをつけてからリーチしてツモアガリとなった。
4回戦は小島が大きなトップを取り当確。
最後の椅子は3人での争いとなった。
小島+69.6P  柴田▲18.0P  ダンプ▲25.0P  古川▲26.6P
最終5回戦
東4局、柴田が自風の北をポン。
そこにダンプが追いつきリーチ。
一万二万五万六万七万三索三索四索四索四索三筒四筒五筒  リーチ  ドラ九万
手は勝負というほどでもないが、局面は勝負の局面を迎えていた。
連荘中の古川も仕掛けており、柴田も攻めてきている。
自身の手がどうこうというよりも、相手の手を潰すことに価値がある局面。
しかし、これを制したのは柴田。
八万八万三索四索六索七索八索  チー七万 左向き八万 上向き九万 上向き  ポン北北北  ロン五索
柴田にとってもここは勝負局となった。
さらに南2局、
三万四万一索二索二索三索三索四筒六筒八筒八筒南南  ツモ五筒  ドラ白
柴田はここから打四万。すぐに六筒,八筒を引き入れトータルトップなのでヤミテンを選択。
これは、すぐにオリられるようにしておくためでもある。
ダンプは、最後の親で果敢にしかけてテンパイを取りに行き、ドラの白を切ると、これを古川がポン。
古川は、
二万三万三索四索五索六索七索三筒五筒六筒七筒白白  ツモ三筒
前巡、ここから三筒をツモ切ったので、雀頭のなくなった形になったが、そんなことはお構いなしに仕掛ける。
これを受けて、真っ直ぐ行くしかないダンプ。
しかし、柴田の押し引きは難しい。このような局面になったときのためのヤミテンだ。
古川の河に無筋の六万を引いて柴田は長考に沈む。また、その古川の河には自身のアガリ牌である一索が置いてあるのも行きたくなる理由の1つだ。柴田にとって、最後の正念場となった。
六万をツモ切り。そして次の四筒はノータイムでツモ切った。腹を括ったようだ。
一索二索二索三索三索四筒五筒六筒六筒七筒八筒南南  ロン一索
粘った甲斐があった。
柴田は今回、かなり苦しい戦いを強いられていたと思う。
その中、持ち味であるその守備力を発揮し、見事ベスト8へと駒を進めることができた。
古川は、その自在の攻めで相手を翻弄しながら攻めるタイプだが、今回はその仕掛けが上手く噛み合わず、反対に小島先生にしっかりとメンゼンで押し切られてしまった。
動の古川に対して、静の小島に今回は軍配があがった。
対戦を終えた翌日、「ダンプは完全に体力負けでしたね」とコメントをくれたのは現十段位の瀬戸熊。
長丁場となる5回戦のトーナメントで、78歳になる小島先生に体力負けするとは、ダンプの鍛え方が足りないということであろう。
勝ち上がり 小島武夫 柴田弘幸
このレポートがアップされるころには、ベスト8A卓の結果が出ていることだろう。
十段戦決勝の舞台へと進むの誰だ!?

第31期十段戦ベスト16C卓レポート 山井 弘

今年度から、連盟チャンネルで十段戦ベスト16が配信されることになった。
プロリーグなど、普段の対局はもちろん面白いが、この十段戦はメンバーが高段者が多いこと。
そして、上位2名しか勝ち上がることができないトーナメントということ。

そのため、対局者同士の駆け引きや押し引きなど、卓上で交わされるその戦いは見ている者を引き付ける。
そんな戦いが、この十段戦ベスト16では繰り広げられる。

3卓目になるC卓のメンバーは、
「ミスター麻雀」小島武夫、「サーフィン打法」の古川孝次、「現A1リーガー」柴田弘幸、みんな大好きダンプ大橋。
以上の4名での戦いとなる。

ちなみにここまでの勝ち上がりは、
ベスト8A卓=一井慎也vs櫻井秀樹vsC卓1位vsD卓2位
ベスト8B卓=沢崎誠vs中尾多門vsC卓2位vsD卓1位
このようになっている。

100

1回戦
トーナメントの戦いで、1回戦はかなり重要なポイントだと思う。
どんな勝負でもそうだが、いかに先手を取れるか。先行できれば、その後の戦いに選択肢が増える。
特にこのトーナメントは、タイトル戦の決勝とは違って、2人勝ち上がりの分、圧倒的に先行しているほうが有利と言えよう。

その開局、北家・古川は得意の仕掛けを使って先手を取る。

一万三万七万七索九索七筒八筒東西西北北白  ドラ七索

ここから北をポン。古川らしい。
古川はよく仕掛けているイメージがあるが、実は何でもしかけるわけではない。
以前インタビューで、「高くなる要素のない仕掛けはしない」そのようなことを話していた。
仕掛けて行きながら、打点を作りに行く。

100

これを受けて小島は

五万五万七万八万二索三索四索四索七索七索四筒五筒五筒  ツモ三索

親番で早くも勝負手が入っていた。
手牌は難しくなったが、七万が場に2枚切れとあって、七対子も見て打七万
すぐに古川から二索が出るが、小島は微動だにしない。
さらに五万を入れて

五万五万五万二索三索三索四索四索七索七索四筒五筒五筒

こうなっても、次の古川の五索も動かない。
正に古川とは真逆の打ち手と言ってもいいだろう。

この時、私は解説をさせてもらっていたのだが、対戦前の展開予想として、小島と古川が2人一緒に勝ち上がることはないだろうと予想したのはこのことからだ。どちらが勝つにせよ、それは勝つほうの場の流れになっているだろうと、もし古川が勝てば仕掛けが多い場、小島が勝てばメンゼンで手役がぶつかる場だと思ったからだ。

結果、古川が

一万三万七索八索九索六筒七筒八筒西西  ポン北北北  ロン二万
このアガリで開局を制した。
ちなみに小島は、五索を鳴けば古川に入る六筒でツモアガリの道もあった。
しかしそれは小島のスタイルではなく、古川の場に引き込まれているようでもある。
なので、私はこの局はこれで、小島にとっては良かったのではないかと思った。

100

東3局2本場
ここで柴田に手が入る。

三索五索六索七索四筒五筒五筒北北発発中中  ドラ八索

北をポンして打五筒三索を残してホンイツへ渡ろうということだ。
狙い通り四索を引いてホンイツへ移行。

三索四索五索六索七索白発発中中  加カン北北北北

この仕掛けに対してぶつけたのは古川。

四万五万六万八万二索二索四索五索六索五筒六筒中  ツモ七万

何と、ここで字牌の中を残してドラの八索から切って行く。
そして次に安全牌を引き、中をリリース。
自分に不要なドラが当たり牌になる前に処理する、紙一重の芸術とも言える手順だ。

この中をポンしてテンパイは柴田。
柴田もまた、しっかりとホンイツまで見据えて手を作っている。
このような駆け引きが、実に見応えある。
しかし無情にも、またもドラの八索が古川の手にやってき、これは止まらず放銃となってしまった。

南1局、小島。

八万七索八索九索五筒六筒七筒発発中  暗カン牌の背三万 上向き三万 上向き牌の背  ドラ八万

ここで発が出ても動かない小島。六万を引いてリーチとなる。
私は何時も思うが、親の連荘率はこの発を鳴くより、メンゼンでリーチのほうが高まるのではないか。
発をポンしてしまうと、打点はわからない、テンパイかどうかも分からないと、他家からすると、分からないだらけのところに対しては、自分の手を中心に進めるしか方法はない。

しかし、親からリーチであれば、確実にテンパイしているということを示すことができる。
そう考えると、やはりこの発をポンするより、メンゼンのほうが連荘率は高まると思うのだが。

そしてここで困ったのが柴田。
ダンプがチーしてテンパイを取ったので、ハイテイが南家の柴田に回ってきた。
柴田の手牌は

一筒一筒二筒二筒三筒四筒四筒四筒五筒六筒六筒九筒七万  ツモ八万

こうで、ちなみにピンズは何も通っていない状況。
マンズは五万が切れているので八万が筋とはいえドラ。
七万は無筋。さあ柴田は何を切るのか!?

八万

放銃となったら致命傷となってしまう牌。しかし、現状、手の中にある牌の中で、一番通りそうな牌。
それでも、この八万を打つことはかなり勇気がいる。
ピンズは当てずっぽうになるし、七はワンチャンスとはいえ、無筋でドラの側。
だったら、致命傷になりかねないが、通る確率の高い牌となったのだろう。
柴田、渾身の一打で交わす。

100

一方小島は、この連荘からアガリが続く。
まずは2,600オール。そして、

二万三万四万八万八万二索三索四索二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ四筒

この三色のアガリを決めてダントツになった。
柴田はオーラス、

二万二万五万六万七万三索四索四筒五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ツモ五索

このアガリで原点を超えて2着をキープする。

小島+36.4P  柴田+7.0P  ダンプ▲15.2P  古川▲28.2P

2回戦は、古川、ダンプの反撃。
最後は柴田が浮きに回るアガリで、小島は1人沈みのラスとなってしまった。

3回戦はオーラスまで接戦となり、
ダンプ+32,200
古川+31,700
小島29,100
柴田2,7000
点数状況はこのようになっていた。

現状、トップ目のダンプはトータルで▲9.2Pとなっており、ここはどうしてもトップで終わらせたいところ。

三万四万五万六万三索三索三索四索六索六索三筒五筒六筒七筒  ドラ中

ここから打三筒
広いのは四索切りだが、ダンプはリーチ棒を出したくないので、タンヤオをなるべく確定させたかったのであろう。すぐに三万を引きテンパイ。

100

しかし、その時小島はすでにテンパイを入れており、

五万五万七万七万八万八万九万九万三索五索七筒八筒九筒

このヤミテン。アガれば浮きに回る。ここに五索を引き入れると、今度は一転リーチと行った。
そして、テンパイしていたダンプが持ってきたのは五索。もしカン四索に受けていればアガリの牌。

しかし、あの時点でよっぽど感性が働かない限りカンチャンには受けられない。
トップを取れば少し楽になる。現状のポイントを考えれば仕方のない放銃かもしれない。
でも、まだ3回戦、ここは形上アガリ逃しになってしまった牌である五索を持ってきたので、勇気を振り絞って止める手はあったかもしれない。

3回戦終了時
小島+18.6P  柴田▲1.8P  古川▲3.2P  ダンプ▲13.6P

4回戦、こうなると小島が乗ってくる。

二索二索二筒二筒八筒八筒九筒九筒西西白中中  リーチ  ツモ白  ドラ七索

東1局の親でこの七対子をツモアガリ。
続けて、ドラ暗刻のリーチを打った古川から、

二万三万四万三索三索四索五索六索五筒五筒六筒六筒七筒  リーチ  ロン四筒

このアガリを決める。

五万六万七万三索四索五索五索七索一筒一筒一筒白白  ドラ六万

乗っている親なら、ここ最近はリーチが主流であろう。
しかし、小島は自分の麻雀を曲げない。
ここに三索を引きイーペーコーをつけてからリーチしてツモアガリとなった。

4回戦は小島が大きなトップを取り当確。
最後の椅子は3人での争いとなった。

小島+69.6P  柴田▲18.0P  ダンプ▲25.0P  古川▲26.6P

最終5回戦

東4局、柴田が自風の北をポン。
そこにダンプが追いつきリーチ。

一万二万五万六万七万三索三索四索四索四索三筒四筒五筒  リーチ  ドラ九万

手は勝負というほどでもないが、局面は勝負の局面を迎えていた。
連荘中の古川も仕掛けており、柴田も攻めてきている。
自身の手がどうこうというよりも、相手の手を潰すことに価値がある局面。
しかし、これを制したのは柴田。

八万八万三索四索六索七索八索  チー七万 左向き八万 上向き九万 上向き  ポン北北北  ロン五索

柴田にとってもここは勝負局となった。
さらに南2局、

三万四万一索二索二索三索三索四筒六筒八筒八筒南南  ツモ五筒  ドラ白

柴田はここから打四万。すぐに六筒,八筒を引き入れトータルトップなのでヤミテンを選択。
これは、すぐにオリられるようにしておくためでもある。

ダンプは、最後の親で果敢にしかけてテンパイを取りに行き、ドラの白を切ると、これを古川がポン。
古川は、

二万三万三索四索五索六索七索三筒五筒六筒七筒白白  ツモ三筒

前巡、ここから三筒をツモ切ったので、雀頭のなくなった形になったが、そんなことはお構いなしに仕掛ける。

これを受けて、真っ直ぐ行くしかないダンプ。

しかし、柴田の押し引きは難しい。このような局面になったときのためのヤミテンだ。
古川の河に無筋の六万を引いて柴田は長考に沈む。また、その古川の河には自身のアガリ牌である一索が置いてあるのも行きたくなる理由の1つだ。柴田にとって、最後の正念場となった。

六万をツモ切り。そして次の四筒はノータイムでツモ切った。腹を括ったようだ。

一索二索二索三索三索四筒五筒六筒六筒七筒八筒南南  ロン一索

粘った甲斐があった。

柴田は今回、かなり苦しい戦いを強いられていたと思う。
その中、持ち味であるその守備力を発揮し、見事ベスト8へと駒を進めることができた。

古川は、その自在の攻めで相手を翻弄しながら攻めるタイプだが、今回はその仕掛けが上手く噛み合わず、反対に小島先生にしっかりとメンゼンで押し切られてしまった。
動の古川に対して、静の小島に今回は軍配があがった。

対戦を終えた翌日、「ダンプは完全に体力負けでしたね」とコメントをくれたのは現十段位の瀬戸熊。
長丁場となる5回戦のトーナメントで、78歳になる小島先生に体力負けするとは、ダンプの鍛え方が足りないということであろう。

勝ち上がり 小島武夫 柴田弘幸

このレポートがアップされるころには、ベスト8A卓の結果が出ていることだろう。
十段戦決勝の舞台へと進むの誰だ!?

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第31期A1リーグ第5節レポート 柴田 弘幸

またもや敗戦記となった第5節。
自分の視点で書いてみようと思う。
1回戦東2局、伊藤の仕掛けを見て
七万八万一索一索  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ドラ一索
伊藤の道中、78五が手出しだったので、カン八万?と簡単に考えてしまい、私はこの手から七万切りリーチを選択。
三万三万五万五万八万九万九万西西北北発発  リーチ  打七万 左向き
しかしこの七万が古川の2,900に捕まる。
五万六万一索二索三索七索八索九索七筒七筒  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き
A型の性なのか、この八が伊藤に当たる可能性をすぐに考えなおしたのを覚えている。
観なおしてみれば、仕掛けた後に七索八索より五万が大事なわけがないし、ドラの一索六万の捨て牌が強い私へのケアも含めて、勝負となるや一気に攻め込んでくる伊藤の間の取り方であることがわかる。
古川もスピードを合わせるといった意味での仕掛けだった。
初戦から辛い。
この時にすごく感じたのは、2人の仕掛けよりも望月の私の捨て牌への視線である。
2人の仕掛けでも、私の手がぼやけて見えないようにという力強いものを感じた。
1本場、古川の連荘を嫌い、次局以降積極的に仕掛けるが落とせない。
六万七万八万二筒二筒三筒三筒三筒四筒五筒  チー五索 左向き六索 上向き七索 上向き
古川
二万三万四万八万八万四索五索六索七索八索四筒五筒六筒  ロン九索
2本場
五万五万六万六万三筒四筒五筒七筒七筒七筒  ポン中中中
流局
3本場、今度は今までの軽さを逆手に取ってリーチを打つ。
二万二万三万三万四万四万五万六万八万八万八万発発  リーチ
ここで古川にまたしても捕まる。
四万六万三索四索五索五索五索  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ロン五万
これでこの半荘の勝負付けは決まった。
客観的に見ればここからは我慢の時間。
だけどまだ・・・そんな自分が出たのが次局。
4本場
三万三万七万八万九万一索四索五索六索七索八索九索八筒中  ドラ中
ここから打中。平面で見れば中が悪いわけではない。
前がかりだったので、感覚や洞察力が麻痺してくるので、ここは気を引き締める意味で中以外のどちらかを選ぶべきであっただろう。
結果は、一気通貫テンパイでの余剰牌八筒で、7,700+1.200を献上。
伊藤
五万六万七万八万八万五索六索七索五筒六筒六筒七筒七筒  ロン八筒
ここから私は手も足も出ず、出そうものなら返り討ちという、伊藤&望月の猛攻を4半荘受けることになる。
最後に4回戦目。
伊藤
六万七万八万三筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  ドラ三筒
古川
四万五万六万八万八万三筒三筒五筒六筒七筒  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き
望月
一万九万一索九索九索一筒九筒東南西北白中
流局。
私に放銃は無さそうだったが、前のめりにメンツ手を組んでたら私が餌食だったのかな。
折り返しなので持ち味のしぶとさをみせたいところだ。

第31期A1リーグ第5節レポート 柴田 弘幸

またもや敗戦記となった第5節。
自分の視点で書いてみようと思う。

1回戦東2局、伊藤の仕掛けを見て

七万八万一索一索  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  チー一筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  ドラ一索

伊藤の道中、78五が手出しだったので、カン八万?と簡単に考えてしまい、私はこの手から七万切りリーチを選択。

三万三万五万五万八万九万九万西西北北発発  リーチ  打七万 左向き

しかしこの七万が古川の2,900に捕まる。

五万六万一索二索三索七索八索九索七筒七筒  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き

A型の性なのか、この八が伊藤に当たる可能性をすぐに考えなおしたのを覚えている。
観なおしてみれば、仕掛けた後に七索八索より五万が大事なわけがないし、ドラの一索六万の捨て牌が強い私へのケアも含めて、勝負となるや一気に攻め込んでくる伊藤の間の取り方であることがわかる。

古川もスピードを合わせるといった意味での仕掛けだった。
初戦から辛い。

この時にすごく感じたのは、2人の仕掛けよりも望月の私の捨て牌への視線である。
2人の仕掛けでも、私の手がぼやけて見えないようにという力強いものを感じた。

1本場、古川の連荘を嫌い、次局以降積極的に仕掛けるが落とせない。

六万七万八万二筒二筒三筒三筒三筒四筒五筒  チー五索 左向き六索 上向き七索 上向き

古川
二万三万四万八万八万四索五索六索七索八索四筒五筒六筒  ロン九索

2本場
五万五万六万六万三筒四筒五筒七筒七筒七筒  ポン中中中

流局
3本場、今度は今までの軽さを逆手に取ってリーチを打つ。

二万二万三万三万四万四万五万六万八万八万八万発発  リーチ

ここで古川にまたしても捕まる。

四万六万三索四索五索五索五索  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ロン五万

これでこの半荘の勝負付けは決まった。
客観的に見ればここからは我慢の時間。
だけどまだ・・・そんな自分が出たのが次局。
4本場

三万三万七万八万九万一索四索五索六索七索八索九索八筒中  ドラ中

ここから打中。平面で見れば中が悪いわけではない。
前がかりだったので、感覚や洞察力が麻痺してくるので、ここは気を引き締める意味で中以外のどちらかを選ぶべきであっただろう。

結果は、一気通貫テンパイでの余剰牌八筒で、7,700+1.200を献上。

伊藤
五万六万七万八万八万五索六索七索五筒六筒六筒七筒七筒  ロン八筒

ここから私は手も足も出ず、出そうものなら返り討ちという、伊藤&望月の猛攻を4半荘受けることになる。

最後に4回戦目。

伊藤
六万七万八万三筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  チー七索 左向き六索 上向き八索 上向き  ドラ三筒

古川
四万五万六万八万八万三筒三筒五筒六筒七筒  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き

望月
一万九万一索九索九索一筒九筒東南西北白中

流局。
私に放銃は無さそうだったが、前のめりにメンツ手を組んでたら私が餌食だったのかな。
折り返しなので持ち味のしぶとさをみせたいところだ。

特別昇級リーグ 決勝観戦記/第16期特別昇級リーグ 決勝レポート 小車祥

去る8月10日、連盟四ツ谷道場にて第16期特別昇級リーグの決勝が行われた。
鳳凰位。
それは我々日本プロ麻雀連盟のプロならば誰しもが憧れる頂点の座。
現在プロリーグは研修リーグを除いても10段階のリーグに分かれている。
D3リーグからA1リーグへ最短で昇級していったとしても、鳳凰位を獲得できるチャンスを得るのは6年目。
もちろん全てストレートに昇級などまず無理なので、それ以上の時間がかかってしまう。
そこで、力のある若手へのチャンスとして特別昇級リーグが設けられている。
各リーグの昇級者や、タイトル戦の決勝に残った者へ、特別昇級リーグへ出場する権利が与えられる。
リーグ戦が始まった時に立会人である藤原プロが言った。
「優秀なプロを助けるためのリーグであるが故に、昇級条件や失格となる条件も厳しい。
ここにいるというだけでチャンスなのだから、きっちりチャンスを活かして欲しい」
その言葉通り、チャンスをものにするべく決勝へと駒を進めたのは以下4名。
土井 悟(+152.5P、C2)
福光 聖雄(+127.3P、C2)
高宮 まり(+114.0P、C2)
本田 朋広(+105.3P、D1)
特別昇級リーグでの昇級の条件の1つに、その期のプロリーグをプラスで終えることというものがある。
そのため、特別昇級リーグの決勝では「昇級権利を持っているのは事実上1名のみ……」というようなことも少なくないのだが、今期の決勝はなんと全員に昇級権利が残っている。
しかも福光と本田に関しては、それぞれのリーグで自力昇級を決めていた。
この特別昇級リーグには、それだけ力のある選手ばかりが集まっているということなのである。
4者の譲れぬ戦いの幕が開けた。
 
1回戦(起家から、本田・土井・高宮・福光)
東3局、立ち上がりは小さな点数の動きしかなかったのだが、ここで最初に本手を決めたのが本田。
三万四万五万五索五索四筒五筒五筒六筒七筒北北北  リーチ  ツモ三筒  ドラ五筒
ドラが2枚あるチャンス手だなと思って見ていたが、あっさりテンパイし、あっさりツモった。
こんな簡単に2,000・3,900をアガれていいのかと、見ているこちらが嫉妬するほどだった。
東4局、9巡目に土井がドラ単騎待ちの七対子をリーチ。
六万四索四索八索八索九索九索一筒一筒九筒九筒発発  リーチ  ドラ六万
これを受けて高宮の手牌。
三万四万四万五万五万六万七万七万八万八万東南南
この手をもらっては全面戦争の構えだったが、有効牌をツモることも仕掛けることもできないまま、土井がドラの六万をツモ。
3,000・6,000
南2局、高宮が1巡目に白ポン、5巡目に中ポンと、積極的に仕掛け以下の手牌。
七万七万九索九索一筒三筒発  ポン中中中  ポン白白白  ドラ七筒
次に七万をツモりテンパイするも、打一筒とテンパイを取らない。
2,600テンパイよりもトイトイや大三元を目指す。
発を打ち出さないことで、周囲への牽制も兼ねていた。
強い意志を持って前に出た高宮だったが、ツモ切った四万に土井からロンの声がかかる。
二万三万三索四索五索二筒三筒四筒五筒六筒六筒六筒七筒  ロン四万
高宮は5,800の手痛い放銃となってしまう。
南3局2本場、ここまで展開に恵まれない高宮は、1回戦最後の親番の維持に全力を注ぐ。
5巡目に南をポンして以下の手牌。
一万二万九万九万一索一索二索東西発  ポン南南南  ドラ九万
ドラドラだが、簡単には鳴かせてもらえそうもないどう見ても苦しい手牌。言ってしまえば泥臭い。
小柄で容姿端麗な高宮からは、想像もつかないような泥臭い必死の闘牌。
私は苦しい仕掛けのその声のトーンや、内に秘められた熱い思いに胸が苦しくなった。
しかし無情にも、この局を制したのは本田。
三万三万三万九万九万二索三索七筒七筒八筒八筒九筒九筒  ツモ四索
2,000・3,900
南4局、福光の親番。
本田と800点差でトップの土井は、開局第1打からドラの白を河に置く。
1回戦をトップで逃げ切りたいという意志のこもった打牌。
土井は役牌の西を仕掛けて局を終わらせに行く。
ここで高宮がテンパイ、リーチ。
六万七万八万二索二索四索五索六索五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ白
高宮が七筒をツモって1,300・2,600。
トータル首位だった土井がリードを広げる形で1回戦が終了する。
1回戦成績
土井+23.1P  本田+18.3P  福光▲17.3P  高宮▲24.1P
1回戦終了時
土井+175.6P  本田+124.2P  福光+110.0P  高宮+89.9P
 
2回戦(起家から、本田・福光・土井・高宮)
東3局、高宮が5巡目に九万をポン。
その後、九万七万八万とツモって以下のテンパイ。
二万二万四万五万六万六万七万八万八万九万  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ドラ二万
苦しい待ちだが、跳満確定の勝負手。
ここに三万をツモって来て少考の後、三万をツモ切り。
二万と六のシャンポンに受け変えはできるが、場に六万が2枚出ていたので待ちは変えない方がいいだろう。
同じ待ちのままでも九万を加カンすることができた。
リンシャン牌でツモれば倍満となる手だけに、カンもありだったかと思いながら見ていた。
次のツモが四万、カン五万に受け変えることもできるが待ちを変えずツモ切り。
そして次のツモが裏目の五万
高宮はここで九万を加カンし、二万八万のシャンポン待ちへと受け変える。
リンシャンから持ってきた中をツモ切ると、親の土井からロンの声がかかる。
二筒二筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒白白発発中  ロン中
12,000の放銃。最初のツモ三万の時にカンをしていれば、この中は土井のテンパイよりも先に切ることができていた。
そして三万を残していると、四万ツモで二万五万待ちに変えることができ、五をツモっていた。
もちろんこれは結果論かもしれない。自分の目から六万が4枚見えている七万待ちにしたくなる気持ちもわかる。
しかし、そのそれぞれの選択によって待っている結果が両極端過ぎる高宮にとってはきつい局であった。
南2局、南家の土井が早々に南をポン。7巡目に以下の手牌。
三万三万二索三索五索六索七索九索九索白  ツモ一索  ポン南南南  ドラ白
トップ目なのでドライにドラをリリースするかとも思ったが、ここはテンパイ取らずの打三万とした。
その巡目で福光がテンパイし、以下のリーチを打つ。
一万二万四万五万六万七万八万九万二索二索三筒四筒五筒  リーチ
これは土井の手の中にあるもう1枚の三万が捕まってしまったかと思いながら見ていた。
しかし、土井はこのリーチを受けて九索のトイツ落とし。
結局、ギリギリのところで逃げ切り流局となった。
南3局、親の土井が2巡目に中をポンして以下の手牌。
四万六万八万三索四索七索一筒二筒四筒五筒  ポン中中中  ドラ四万
かなりリスキーな仕掛けである。
親番とはいえトータルトップでこの2回戦目もトップ目。
しかし7巡目には以下の形に整う。
四万五万六万一索二索三索四索五索四筒五筒  ポン中中中
13巡目にはついにツモ四筒でテンパイしてしまった。
ここで福光から声があがる。
二万三万四万三索三索四索五索五索七索八索九索四筒五筒  ツモ四索  リーチ 打五筒 上向き
四筒単騎の思い切りの良いリーチである。
同巡、本田からもリーチ。
一万一万四万四万六索七索七索八索八索九索三筒三筒三筒  リーチ
こちらもドラドラの本手。
3者の内、誰に軍配が上がるかと見ていると、高宮が長考の末九筒を暗カン。
二筒二筒二筒四筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒  暗カン牌の背九筒 上向き九筒 上向き牌の背
リンシャンから持ってきたのは六筒で、打八筒とする。
全員が前に出るという、競技Aルールでは珍しい局となったが、この局アガリ切ったのは土井。
高宮がツモ切った六索で、2,900のアガリとなった。
このように、一見リスキーな仕掛けを見せる土井だが、ギリギリのところで逃げ切り誰も捕まえられない。
このまま2回戦も土井が逃げ切り、一気に土井の優勝ムードが高まるかに思えたオーラス。
親の高宮がドラドラの手牌をもらう。
ここまで良い手が入っているものの競り負けて放銃となってしまう局面が多い高宮。
積極的な攻めの姿勢を見せる。
5巡目に土井から切られた四索をチー。
五万六万八万八万五筒七筒七筒七筒八筒九筒  チー四索 左向き二索 上向き三索 上向き  ドラ八万
その後、なんとか以下のテンパイまで漕ぎ付ける。
八万八万二索四索七筒七筒七筒  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  チー四索 左向き二索 上向き三索 上向き
土井は中を仕掛けて以下のテンパイを入れていた。
三万四万七万八万九万一筒二筒三筒南南  ポン中中中
残りツモ2回というところで、ツモってきた四を高宮に切りきれず、場に1枚出ていた南のトイツ落とし。
次巡、五万をツモってしまいアガリ逃し。しかし四万単騎のテンパイ。
ハイテイ牌が回ってきた土井。ハイテイのツモは三索で高宮のロン牌。
四万をやめているので、当然テンパイ崩すかなと思いきや、この三索を勝負。
タンヤオ・ハイテイ・ドラ2の11,600を放銃してしまう。
オーラス1本場にも、土井は高宮に2,900は3,200を放銃。
オーラス2本場には、福光に700・1,300をツモられ、土井はついには配給原点を割り2回戦を終えてしまった。
2回戦成績
福光+15.3P  本田+6.9P  土井▲4.5P  高宮▲17.7P
2回戦終了時
土井+171.1P  本田+130.5P  福光+125.3P  高宮+72.2P
 
3回戦(起家から、福光・本田・土井・高宮)
東2局、本田は親番で積極的に仕掛けていく。
九万三索七索九索九索発中  ポン東東東  ポン白白白  ドラ八万
親がここまで派手な仕掛けを入れれば、もうこの先は自力でツモるしかない。
七索中とツモり1シャンテンとなる。
ここで福光が以下の手牌。
二万三万四万七万二索二索四索五索六索六索六索四筒五筒六筒
七万を切ればタンヤオのテンパイ。
本田の河はソウズのホンイツが濃厚なのだが、ドラそばの七万での放銃となると11,600を覚悟しなければならない。
そして、本田の手出し九万が気になっているのだ。
福光は七万を切りきれず、打二万とする。そして上家から切られた三索をチー。
これは七万を切っていればアガリとなっていた牌である。
結果的には、このチーが最悪となってしまう。
本田に流れた牌は九索、そして中
七索七索九索九索九索中中  ポン東東東  ポン白白白  ツモ中
本田の8,000オールが炸裂する。
南3局にも2,000・3,900をアガった本田が、3回戦を制しトータルトップに躍り出る。
3回戦成績
本田+29.0P  高宮+14.4P  福光▲17.0P  土井▲26.4P
3回戦終了時
本田+159.5P  土井+144.7P  福光+108.3P  高宮+86.6P
 
4回戦(起家から、土井・福光・高宮・本田)
東2局、親の福光にドラの発が暗刻で入るがなかなかテンパイできない。
そうしている内に土井がリーチを打つ。
一万二万三万一索三索一筒二筒三筒六筒七筒八筒西西  リーチ  ドラ発
本田もすぐに追いつき、追いかけリーチ。
一万二万三万四万五万七万八万九万二索二索一筒二筒三筒  リーチ
福光もオリる気はなくぶつかり合うことが予想された。
土井のアガリ牌である二索は、河に1枚切られていて、本田が雀頭にしている。
そんなことを知る由もない土井は、あっさりとラス牌の二索をツモった。
見えている本田は「まじか……」と思ったのではないだろうか。
見ている私ですらそう思ったのだから。
東4局、土井が積極的に仕掛ける。
五万三索五索二筒二筒六筒七筒  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ドラ中
これはまたリスキーな仕掛けだと思った。
しかし土井は、そのリスクを承知で前に出ている。
これまでにこういう局面を何度も見てきたし、その度にギリギリのところで競り勝ってきているからだ。
土井の手牌が整わない内に、福光がテンパイした。
九万九万八索八索六筒六筒九筒九筒東北北中中  リーチ
リーチしたその巡目で土井が東を掴む。
福光は、土井と本田の2人を追わねばならぬ立場。
やはりここはリーチが定石となってしまう。
福光がヤミテンなら止まらない牌だが、リーチならば土井は打たないのだ。
こういう局面になると簡単にオリを選択する。1枚でも現物があればそれを切る。
そうやって、ギリギリの押し引きで凌いで今の位置にいるのだ。
結局、もう1枚重ねた東を土井は河へ切ることはなく、流局となる。
やはり土井の強さは、この絶妙な押し引きバランスにあるのだと確信した。
南3局、残すところ高宮の親番と、オーラスの本田の親番のみ。
親番のなくなった福光は、かなり苦しい状況に立たされていた。
配牌8種から国士へ向かう。
8巡目、最後の親を落としてしまうと負けが確定する高宮は、以下の手でリーチを打つ。
五万五万五万四索六索二筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ南
ドラも手役もなく待ちも悪いリーチ。
しかし、このリーチを打つしかない立場の高宮と、最後まで諦めない姿勢に胸が熱くなる。
そして、このリーチを受けた巡目に、なんと福光が国士をテンパイしていた。
福光の雀頭は失念してしまったが九筒待ち。
そしてリーチを打っている親の高宮の河には九筒が1枚。
今にもアガれそうな待ちだった。
冒頭にも書いた通り、福光はC1リーグへの昇級を決めている。
つまり福光にとって、この特別昇級リーグは優勝でのB2リーグ格付けにしか意味のないものとなっている。
2人を追う立場の福光は、高宮から国士をアガってもあまり意味はなく、できればツモりたいと考えていたはず。
もし河に九筒が出てしまった場合どうしようか、福光のそんな心配も杞憂に終わってしまう。
福光が二索を切ったことで、スジとなってしまった五索を本田が切り、高宮の2,000のアガリとなる。
南3局1本場。
高宮の粘りも虚しく、本田のアガリ。
二万三万二索三索三索四索四索五索二筒二筒八筒八筒八筒  リーチ  ツモ四万  ドラ九索
1,000・2,000は1,100・2,100。
南4局。
本田28,000点持ち。土井43,200点持ち。
本田は、原点復帰は最低条件。
土井はアガれば何でもいい状況。
本田の配牌。
三万六万八万一索三索六索七索一筒一筒五筒八筒東発  ドラ五筒
土井の配牌。
一万二万四万二索四索一筒一筒五筒六筒西中中中
土井は本田の下家。
これはもうさすがに決まったかなと、この時点で思わされていた。
本田、重ねた八筒をポン、七索をポン。
ツモにも助けられなんとかテンパイ。
六万六万五索六索三筒四筒五筒  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き
土井も果敢に仕掛け、テンパイ。
一筒一筒五筒六筒中中中  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き
土井はアガれば優勝。自分のアガリ牌以外は全てツモ切るのかと思っていたが、ドラの五筒をツモって長考する。
確かに、親の仕掛けに対してドラでは放銃したくない。
しかし、アガリやめはないので、放銃してももう1局はある。
ドラでだけは打ちたくないのなら、間を取って打六筒という選択肢もある。
しかし土井は、一番確実な中の暗刻落としを選択。
親がノーテンでない限りは、必ず次の局以降の決着となる選択をする。
次の土井のツモは一筒で、シャンポンにすればアガっていた。
このアガリ形に行き着いた人ももしかしたらいるかもしれない。
まもなく本田が四索をツモ。1,000オールで原点復帰となる。
南4局1本場。
本田31,000点持ち。土井42,200点持ち。
2人ともノーテンで終わればトータルポイントが同点で終了するが、現実的には本田があと1回アガリ、次の局にノーテンで終わらせるか、土井がアガるかというものになるだろう。
本田の配牌。
一万六万七万九万三索四索六索九索七筒九筒東南白発  ドラ北
ここにきて本田はかなり苦しい手牌。
土井の配牌。
四万五万二索四索五索七索八索三筒四筒七筒九筒白白
役牌のあるまずまずの手で、なおかつその白は本田の手の中にある。
ここもかなり土井が有利な配牌となった。
土井は白ポンして1シャンテン。
本田、ここもツモに助けられテンパイ。リーチ。
一万二万三万五万六万七万三索三索四索五索六索七筒九筒  リーチ
本田のリーチ宣言牌は五筒で、土井はこれをチーしてテンパイ。
四万五万六万七索八索七筒七筒  チー五筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ポン白白白
土井の河には九筒が切られており、福光と高宮からの出アガリは期待できない状況。
本田は、土井に仕掛けさせないためにカン六筒待ちにしてリーチを打つべきだったのかもしれない。
しかし、確かにカン八筒はかなり良い待ちに見えたのも事実。
六索九索待ちは牌山にかなり残っており、土井の優勝は目前かと思った。
しかし土井は五万をツモると、打七索とテンパイを崩してしまう。
さすがにここは、たとえそれが親のロン牌であっても切るべきではないのかと思った。
これは本田にチャンスが生まれたかと思えたが、土井が五筒六筒とツモりテンパイ復活し、一度は止めた五万を勝負。
四万五万六万五筒六筒七筒七筒  チー三筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ポン白白白
本田が四筒をツモ切り、土井のアガリとなった。
4回戦成績
土井+26.5P  本田▲2.3P  高宮▲7.7P  福光▲16.5P
最終成績
土井+171.2P  本田+157.2P  福光+91.8P  高宮+78.9P
 
優勝は土井悟プロ。
見事、B2リーグへの昇級を勝ち取った。
準優勝だった本田朋広プロも、C1リーグへの昇級となる。
こうして、第16期特別昇級リーグは幕を閉じた。
高宮「今日は一生懸命頑張りました。また頑張ってこのステージに戻ってきます」
福光「土井さんは途中で何度かあたって、やりづらいなーと感じていた。対局が始まると、やはりやりづらかったです。今期自力昇級してるんで、来期もまた出れます。来期の特別昇級リーグこそは優勝したいと思います」
本田「悔しいの一言しかないです。泣きそう……。ターゲットはずっと土井さんだったんですが、最後まで逃げ切られてしまいました。でも来期はC1なんで、気合い入れてがんばります!」
土井「2回戦オーラスのカン三筒はやっちゃいました……反省です。今期のC2リーグでギリギリのところで昇級を逃した経験は大きかったです。その悔しさをバネに今日頑張れたと思います。来期B2は気合い入っているんで、リーグ戦前日までしっかりと体調を整えて挑みたいと思います!」
最近では、様々なタイトル戦の決勝やベスト8、16などが連盟チャンネルにて放送されている。
今回、特別昇級リーグの決勝戦に観戦記者として立ち会った私が、なぜこの対局がニコ生じゃないんだと悔しい気持ちになるくらい内容の濃い良い対局だった。
今回は私も1選手としての独自の見解を入れつつ、起こったことを正直に書かせて頂いた。
これを読んでくださった方にも様々な考え方や価値観があり、選手の選択をいろんな風に思うだろう。
それでいいと思っている。
間違いなく言えることは、そこに座って戦っている選手が一番苦しく、誰より勝ちたいと望んでいる。
その思いがプレッシャーになり、冷静さを欠く原因になり、手の震えを生む。
そんな中で得た勝利は、何物にも替え難い財産となるのである。
私もC1リーグを自力で昇級し、来期からはB2リーグ。
この勝利でさらに手強くなった土井とも牌を交えるだろう。
特別昇級リーグでの借りも返さねばならない。
全員に共通する思いは、鳳凰位という頂を目指すこと。
よき仲間であり、よきライバル。
理想の自分に近づくために、この日の4者の戦いを私の脳に刻んでおこう。

第16期特別昇級リーグ 決勝レポート 小車祥

去る8月10日、連盟四ツ谷道場にて第16期特別昇級リーグの決勝が行われた。

鳳凰位。
それは我々日本プロ麻雀連盟のプロならば誰しもが憧れる頂点の座。
現在プロリーグは研修リーグを除いても10段階のリーグに分かれている。
D3リーグからA1リーグへ最短で昇級していったとしても、鳳凰位を獲得できるチャンスを得るのは6年目。
もちろん全てストレートに昇級などまず無理なので、それ以上の時間がかかってしまう。

そこで、力のある若手へのチャンスとして特別昇級リーグが設けられている。
各リーグの昇級者や、タイトル戦の決勝に残った者へ、特別昇級リーグへ出場する権利が与えられる。
リーグ戦が始まった時に立会人である藤原プロが言った。

「優秀なプロを助けるためのリーグであるが故に、昇級条件や失格となる条件も厳しい。
ここにいるというだけでチャンスなのだから、きっちりチャンスを活かして欲しい」

その言葉通り、チャンスをものにするべく決勝へと駒を進めたのは以下4名。

土井 悟(+152.5P、C2)
福光 聖雄(+127.3P、C2)
高宮 まり(+114.0P、C2)
本田 朋広(+105.3P、D1)

特別昇級リーグでの昇級の条件の1つに、その期のプロリーグをプラスで終えることというものがある。
そのため、特別昇級リーグの決勝では「昇級権利を持っているのは事実上1名のみ……」というようなことも少なくないのだが、今期の決勝はなんと全員に昇級権利が残っている。
しかも福光と本田に関しては、それぞれのリーグで自力昇級を決めていた。

この特別昇級リーグには、それだけ力のある選手ばかりが集まっているということなのである。
4者の譲れぬ戦いの幕が開けた。

 

1回戦(起家から、本田・土井・高宮・福光)

東3局、立ち上がりは小さな点数の動きしかなかったのだが、ここで最初に本手を決めたのが本田。

三万四万五万五索五索四筒五筒五筒六筒七筒北北北  リーチ  ツモ三筒  ドラ五筒

ドラが2枚あるチャンス手だなと思って見ていたが、あっさりテンパイし、あっさりツモった。
こんな簡単に2,000・3,900をアガれていいのかと、見ているこちらが嫉妬するほどだった。

東4局、9巡目に土井がドラ単騎待ちの七対子をリーチ。

六万四索四索八索八索九索九索一筒一筒九筒九筒発発  リーチ  ドラ六万

これを受けて高宮の手牌。

三万四万四万五万五万六万七万七万八万八万東南南

この手をもらっては全面戦争の構えだったが、有効牌をツモることも仕掛けることもできないまま、土井がドラの六万をツモ。
3,000・6,000

南2局、高宮が1巡目に白ポン、5巡目に中ポンと、積極的に仕掛け以下の手牌。

七万七万九索九索一筒三筒発  ポン中中中  ポン白白白  ドラ七筒

次に七万をツモりテンパイするも、打一筒とテンパイを取らない。
2,600テンパイよりもトイトイや大三元を目指す。
発を打ち出さないことで、周囲への牽制も兼ねていた。
強い意志を持って前に出た高宮だったが、ツモ切った四万に土井からロンの声がかかる。

二万三万三索四索五索二筒三筒四筒五筒六筒六筒六筒七筒  ロン四万

高宮は5,800の手痛い放銃となってしまう。

南3局2本場、ここまで展開に恵まれない高宮は、1回戦最後の親番の維持に全力を注ぐ。
5巡目に南をポンして以下の手牌。

一万二万九万九万一索一索二索東西発  ポン南南南  ドラ九万

ドラドラだが、簡単には鳴かせてもらえそうもないどう見ても苦しい手牌。言ってしまえば泥臭い。
小柄で容姿端麗な高宮からは、想像もつかないような泥臭い必死の闘牌。

私は苦しい仕掛けのその声のトーンや、内に秘められた熱い思いに胸が苦しくなった。
しかし無情にも、この局を制したのは本田。

三万三万三万九万九万二索三索七筒七筒八筒八筒九筒九筒  ツモ四索
2,000・3,900

南4局、福光の親番。
本田と800点差でトップの土井は、開局第1打からドラの白を河に置く。
1回戦をトップで逃げ切りたいという意志のこもった打牌。
土井は役牌の西を仕掛けて局を終わらせに行く。
ここで高宮がテンパイ、リーチ。

六万七万八万二索二索四索五索六索五筒六筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ白

高宮が七筒をツモって1,300・2,600。
トータル首位だった土井がリードを広げる形で1回戦が終了する。

1回戦成績
土井+23.1P  本田+18.3P  福光▲17.3P  高宮▲24.1P

1回戦終了時
土井+175.6P  本田+124.2P  福光+110.0P  高宮+89.9P

 

2回戦(起家から、本田・福光・土井・高宮)

東3局、高宮が5巡目に九万をポン。
その後、九万七万八万とツモって以下のテンパイ。

二万二万四万五万六万六万七万八万八万九万  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き  ドラ二万

苦しい待ちだが、跳満確定の勝負手。
ここに三万をツモって来て少考の後、三万をツモ切り。

二万と六のシャンポンに受け変えはできるが、場に六万が2枚出ていたので待ちは変えない方がいいだろう。
同じ待ちのままでも九万を加カンすることができた。
リンシャン牌でツモれば倍満となる手だけに、カンもありだったかと思いながら見ていた。

次のツモが四万、カン五万に受け変えることもできるが待ちを変えずツモ切り。
そして次のツモが裏目の五万
高宮はここで九万を加カンし、二万八万のシャンポン待ちへと受け変える。
リンシャンから持ってきた中をツモ切ると、親の土井からロンの声がかかる。

二筒二筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒白白発発中  ロン中

12,000の放銃。最初のツモ三万の時にカンをしていれば、この中は土井のテンパイよりも先に切ることができていた。
そして三万を残していると、四万ツモで二万五万待ちに変えることができ、五をツモっていた。

もちろんこれは結果論かもしれない。自分の目から六万が4枚見えている七万待ちにしたくなる気持ちもわかる。
しかし、そのそれぞれの選択によって待っている結果が両極端過ぎる高宮にとってはきつい局であった。

南2局、南家の土井が早々に南をポン。7巡目に以下の手牌。

三万三万二索三索五索六索七索九索九索白  ツモ一索  ポン南南南  ドラ白

トップ目なのでドライにドラをリリースするかとも思ったが、ここはテンパイ取らずの打三万とした。
その巡目で福光がテンパイし、以下のリーチを打つ。

一万二万四万五万六万七万八万九万二索二索三筒四筒五筒  リーチ

これは土井の手の中にあるもう1枚の三万が捕まってしまったかと思いながら見ていた。
しかし、土井はこのリーチを受けて九索のトイツ落とし。
結局、ギリギリのところで逃げ切り流局となった。

南3局、親の土井が2巡目に中をポンして以下の手牌。

四万六万八万三索四索七索一筒二筒四筒五筒  ポン中中中  ドラ四万

かなりリスキーな仕掛けである。
親番とはいえトータルトップでこの2回戦目もトップ目。
しかし7巡目には以下の形に整う。

四万五万六万一索二索三索四索五索四筒五筒  ポン中中中

13巡目にはついにツモ四筒でテンパイしてしまった。
ここで福光から声があがる。

二万三万四万三索三索四索五索五索七索八索九索四筒五筒  ツモ四索  リーチ 打五筒 上向き

四筒単騎の思い切りの良いリーチである。
同巡、本田からもリーチ。

一万一万四万四万六索七索七索八索八索九索三筒三筒三筒  リーチ

こちらもドラドラの本手。
3者の内、誰に軍配が上がるかと見ていると、高宮が長考の末九筒を暗カン。

二筒二筒二筒四筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒  暗カン牌の背九筒 上向き九筒 上向き牌の背

リンシャンから持ってきたのは六筒で、打八筒とする。
全員が前に出るという、競技Aルールでは珍しい局となったが、この局アガリ切ったのは土井。
高宮がツモ切った六索で、2,900のアガリとなった。

このように、一見リスキーな仕掛けを見せる土井だが、ギリギリのところで逃げ切り誰も捕まえられない。
このまま2回戦も土井が逃げ切り、一気に土井の優勝ムードが高まるかに思えたオーラス。
親の高宮がドラドラの手牌をもらう。
ここまで良い手が入っているものの競り負けて放銃となってしまう局面が多い高宮。
積極的な攻めの姿勢を見せる。

5巡目に土井から切られた四索をチー。

五万六万八万八万五筒七筒七筒七筒八筒九筒  チー四索 左向き二索 上向き三索 上向き  ドラ八万

その後、なんとか以下のテンパイまで漕ぎ付ける。

八万八万二索四索七筒七筒七筒  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  チー四索 左向き二索 上向き三索 上向き

土井は中を仕掛けて以下のテンパイを入れていた。

三万四万七万八万九万一筒二筒三筒南南  ポン中中中

残りツモ2回というところで、ツモってきた四を高宮に切りきれず、場に1枚出ていた南のトイツ落とし。
次巡、五万をツモってしまいアガリ逃し。しかし四万単騎のテンパイ。
ハイテイ牌が回ってきた土井。ハイテイのツモは三索で高宮のロン牌。

四万をやめているので、当然テンパイ崩すかなと思いきや、この三索を勝負。
タンヤオ・ハイテイ・ドラ2の11,600を放銃してしまう。

オーラス1本場にも、土井は高宮に2,900は3,200を放銃。
オーラス2本場には、福光に700・1,300をツモられ、土井はついには配給原点を割り2回戦を終えてしまった。

2回戦成績
福光+15.3P  本田+6.9P  土井▲4.5P  高宮▲17.7P

2回戦終了時
土井+171.1P  本田+130.5P  福光+125.3P  高宮+72.2P

 

3回戦(起家から、福光・本田・土井・高宮)

東2局、本田は親番で積極的に仕掛けていく。

九万三索七索九索九索発中  ポン東東東  ポン白白白  ドラ八万

親がここまで派手な仕掛けを入れれば、もうこの先は自力でツモるしかない。
七索中とツモり1シャンテンとなる。
ここで福光が以下の手牌。

二万三万四万七万二索二索四索五索六索六索六索四筒五筒六筒

七万を切ればタンヤオのテンパイ。
本田の河はソウズのホンイツが濃厚なのだが、ドラそばの七万での放銃となると11,600を覚悟しなければならない。

そして、本田の手出し九万が気になっているのだ。
福光は七万を切りきれず、打二万とする。そして上家から切られた三索をチー。
これは七万を切っていればアガリとなっていた牌である。

結果的には、このチーが最悪となってしまう。
本田に流れた牌は九索、そして中

七索七索九索九索九索中中  ポン東東東  ポン白白白  ツモ中

本田の8,000オールが炸裂する。

南3局にも2,000・3,900をアガった本田が、3回戦を制しトータルトップに躍り出る。

3回戦成績
本田+29.0P  高宮+14.4P  福光▲17.0P  土井▲26.4P

3回戦終了時
本田+159.5P  土井+144.7P  福光+108.3P  高宮+86.6P

 

4回戦(起家から、土井・福光・高宮・本田)

東2局、親の福光にドラの発が暗刻で入るがなかなかテンパイできない。
そうしている内に土井がリーチを打つ。

一万二万三万一索三索一筒二筒三筒六筒七筒八筒西西  リーチ  ドラ発

本田もすぐに追いつき、追いかけリーチ。

一万二万三万四万五万七万八万九万二索二索一筒二筒三筒  リーチ

福光もオリる気はなくぶつかり合うことが予想された。
土井のアガリ牌である二索は、河に1枚切られていて、本田が雀頭にしている。
そんなことを知る由もない土井は、あっさりとラス牌の二索をツモった。

見えている本田は「まじか……」と思ったのではないだろうか。
見ている私ですらそう思ったのだから。

東4局、土井が積極的に仕掛ける。

五万三索五索二筒二筒六筒七筒  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ドラ中

これはまたリスキーな仕掛けだと思った。
しかし土井は、そのリスクを承知で前に出ている。
これまでにこういう局面を何度も見てきたし、その度にギリギリのところで競り勝ってきているからだ。

土井の手牌が整わない内に、福光がテンパイした。

九万九万八索八索六筒六筒九筒九筒東北北中中  リーチ

リーチしたその巡目で土井が東を掴む。
福光は、土井と本田の2人を追わねばならぬ立場。
やはりここはリーチが定石となってしまう。
福光がヤミテンなら止まらない牌だが、リーチならば土井は打たないのだ。

こういう局面になると簡単にオリを選択する。1枚でも現物があればそれを切る。
そうやって、ギリギリの押し引きで凌いで今の位置にいるのだ。
結局、もう1枚重ねた東を土井は河へ切ることはなく、流局となる。
やはり土井の強さは、この絶妙な押し引きバランスにあるのだと確信した。

南3局、残すところ高宮の親番と、オーラスの本田の親番のみ。
親番のなくなった福光は、かなり苦しい状況に立たされていた。
配牌8種から国士へ向かう。

8巡目、最後の親を落としてしまうと負けが確定する高宮は、以下の手でリーチを打つ。

五万五万五万四索六索二筒二筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ南

ドラも手役もなく待ちも悪いリーチ。
しかし、このリーチを打つしかない立場の高宮と、最後まで諦めない姿勢に胸が熱くなる。
そして、このリーチを受けた巡目に、なんと福光が国士をテンパイしていた。

福光の雀頭は失念してしまったが九筒待ち。
そしてリーチを打っている親の高宮の河には九筒が1枚。
今にもアガれそうな待ちだった。

冒頭にも書いた通り、福光はC1リーグへの昇級を決めている。
つまり福光にとって、この特別昇級リーグは優勝でのB2リーグ格付けにしか意味のないものとなっている。

2人を追う立場の福光は、高宮から国士をアガってもあまり意味はなく、できればツモりたいと考えていたはず。
もし河に九筒が出てしまった場合どうしようか、福光のそんな心配も杞憂に終わってしまう。
福光が二索を切ったことで、スジとなってしまった五索を本田が切り、高宮の2,000のアガリとなる。

南3局1本場。
高宮の粘りも虚しく、本田のアガリ。

二万三万二索三索三索四索四索五索二筒二筒八筒八筒八筒  リーチ  ツモ四万  ドラ九索

1,000・2,000は1,100・2,100。

南4局。
本田28,000点持ち。土井43,200点持ち。
本田は、原点復帰は最低条件。
土井はアガれば何でもいい状況。

本田の配牌。
三万六万八万一索三索六索七索一筒一筒五筒八筒東発  ドラ五筒

土井の配牌。
一万二万四万二索四索一筒一筒五筒六筒西中中中

土井は本田の下家。
これはもうさすがに決まったかなと、この時点で思わされていた。

本田、重ねた八筒をポン、七索をポン。
ツモにも助けられなんとかテンパイ。

六万六万五索六索三筒四筒五筒  ポン七索 上向き七索 上向き七索 上向き  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き

土井も果敢に仕掛け、テンパイ。

一筒一筒五筒六筒中中中  チー一索 左向き二索 上向き三索 上向き  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き

土井はアガれば優勝。自分のアガリ牌以外は全てツモ切るのかと思っていたが、ドラの五筒をツモって長考する。
確かに、親の仕掛けに対してドラでは放銃したくない。

しかし、アガリやめはないので、放銃してももう1局はある。
ドラでだけは打ちたくないのなら、間を取って打六筒という選択肢もある。
しかし土井は、一番確実な中の暗刻落としを選択。

親がノーテンでない限りは、必ず次の局以降の決着となる選択をする。
次の土井のツモは一筒で、シャンポンにすればアガっていた。
このアガリ形に行き着いた人ももしかしたらいるかもしれない。
まもなく本田が四索をツモ。1,000オールで原点復帰となる。

南4局1本場。
本田31,000点持ち。土井42,200点持ち。
2人ともノーテンで終わればトータルポイントが同点で終了するが、現実的には本田があと1回アガリ、次の局にノーテンで終わらせるか、土井がアガるかというものになるだろう。

本田の配牌。
一万六万七万九万三索四索六索九索七筒九筒東南白発  ドラ北

ここにきて本田はかなり苦しい手牌。

土井の配牌。
四万五万二索四索五索七索八索三筒四筒七筒九筒白白

役牌のあるまずまずの手で、なおかつその白は本田の手の中にある。
ここもかなり土井が有利な配牌となった。
土井は白ポンして1シャンテン。
本田、ここもツモに助けられテンパイ。リーチ。

一万二万三万五万六万七万三索三索四索五索六索七筒九筒  リーチ

本田のリーチ宣言牌は五筒で、土井はこれをチーしてテンパイ。

四万五万六万七索八索七筒七筒  チー五筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ポン白白白

土井の河には九筒が切られており、福光と高宮からの出アガリは期待できない状況。
本田は、土井に仕掛けさせないためにカン六筒待ちにしてリーチを打つべきだったのかもしれない。
しかし、確かにカン八筒はかなり良い待ちに見えたのも事実。

六索九索待ちは牌山にかなり残っており、土井の優勝は目前かと思った。
しかし土井は五万をツモると、打七索とテンパイを崩してしまう。
さすがにここは、たとえそれが親のロン牌であっても切るべきではないのかと思った。

これは本田にチャンスが生まれたかと思えたが、土井が五筒六筒とツモりテンパイ復活し、一度は止めた五万を勝負。

四万五万六万五筒六筒七筒七筒  チー三筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ポン白白白

本田が四筒をツモ切り、土井のアガリとなった。

4回戦成績
土井+26.5P  本田▲2.3P  高宮▲7.7P  福光▲16.5P

最終成績
土井+171.2P  本田+157.2P  福光+91.8P  高宮+78.9P

 

優勝は土井悟プロ。
見事、B2リーグへの昇級を勝ち取った。
準優勝だった本田朋広プロも、C1リーグへの昇級となる。
こうして、第16期特別昇級リーグは幕を閉じた。

高宮「今日は一生懸命頑張りました。また頑張ってこのステージに戻ってきます」

福光「土井さんは途中で何度かあたって、やりづらいなーと感じていた。対局が始まると、やはりやりづらかったです。今期自力昇級してるんで、来期もまた出れます。来期の特別昇級リーグこそは優勝したいと思います」

本田「悔しいの一言しかないです。泣きそう……。ターゲットはずっと土井さんだったんですが、最後まで逃げ切られてしまいました。でも来期はC1なんで、気合い入れてがんばります!」

土井「2回戦オーラスのカン三筒はやっちゃいました……反省です。今期のC2リーグでギリギリのところで昇級を逃した経験は大きかったです。その悔しさをバネに今日頑張れたと思います。来期B2は気合い入っているんで、リーグ戦前日までしっかりと体調を整えて挑みたいと思います!」

最近では、様々なタイトル戦の決勝やベスト8、16などが連盟チャンネルにて放送されている。
今回、特別昇級リーグの決勝戦に観戦記者として立ち会った私が、なぜこの対局がニコ生じゃないんだと悔しい気持ちになるくらい内容の濃い良い対局だった。

今回は私も1選手としての独自の見解を入れつつ、起こったことを正直に書かせて頂いた。
これを読んでくださった方にも様々な考え方や価値観があり、選手の選択をいろんな風に思うだろう。
それでいいと思っている。

間違いなく言えることは、そこに座って戦っている選手が一番苦しく、誰より勝ちたいと望んでいる。
その思いがプレッシャーになり、冷静さを欠く原因になり、手の震えを生む。
そんな中で得た勝利は、何物にも替え難い財産となるのである。

私もC1リーグを自力で昇級し、来期からはB2リーグ。
この勝利でさらに手強くなった土井とも牌を交えるだろう。
特別昇級リーグでの借りも返さねばならない。
全員に共通する思いは、鳳凰位という頂を目指すこと。

よき仲間であり、よきライバル。
理想の自分に近づくために、この日の4者の戦いを私の脳に刻んでおこう。

特集企画/天空麻雀15 男性大会決勝レポート 福光 聖雄

目を瞑って想像してみてほしい。
学校の教室よりは広い部屋。そう、バスケットボールのコートくらいの広さ。
天井は高い。目測10メートル。
その真ん中には麻雀卓が一台。
広い部屋に、たったの一台。
自分はその一角に、やや強張った顔つきで座っている。
見上げれば目の前は荒正義。左は滝沢和典。右に灘麻太郎。
外界からは遮断されていて、何一つ外の音は聞こえない。
打牌音がパーンと響く空間は、初めてだが心地よい。
牌をかき混ぜる音がこんなにも耳障りだったかと疑問に思う。
 
 
 
 
 
100
灘 麻太郎
75歳を超えた今でもそのカミソリが錆びることはない。
より磨きがかかっているかと錯覚することすらある。
「福光君は何の仕事をしているの?へー、パソコン関係なんだ。難しいかい?
パソコンはよく知らないんだけど、今から学びだしても成功できると思うよ。」
『使える』ではなく(事業として)『成功できる』という好奇心に
「いやいやご冗談を」ではなく、「この人なら本当に成功させそうだ」と思う何かがある。
 
 
 
100

荒 正義
昨期は鳳凰位を手放すことになったが、今期もA1リーグでは鳳凰位決定戦圏内と健在。
いや、健在という表現は誤りだろう。
未だ連盟を代表するトッププロとして君臨、という表現が適切だ。
ブログからはウィットに富んだお茶目な印象を受けるが、卓につくと途端に別の顔。
対峙する身としては『怖い』の一言。
 
 
 
100
滝沢 和典
滝沢の麻雀は美しい。
フォームの美しさも相まって、ある種の芸術性さえ感じる。
美しさは手順の正確さ、お手本のような押し引き、的確な状況判断からくるのだろうか?
滝沢の打牌は、何時も正解を指していると思えてくる。
ただ同時に、正解を打ち続けなければならない、という期待を背負っているようにも感じる。
正解を打つということは対局者からすると、読みやすい。
仕掛けてくれば、早いか高い。攻め返してくれば、攻め返す理由がある。
とはいえ、これは滝沢の背負った宿命。
 
 
 
100
福光 聖雄
そして、私。自分の紹介は甚だ困る。
2月に行われた「天空への道」という選抜戦で1席を勝ち取り(最後には字一色・小四喜もアガリ)、
この天空麻雀では予選を3着、準決勝を2着と、狙ったかのようなギリギリの勝ち上がり。
来るべくしてこの場に立っているのか、たまたまこの場まで勝ち上がってしまったのか。
その判断は観ていただいた皆様にお任せしたい。
ただ、本人がたまたまと思っていたとしたら、ここでの勝利は期待できない。
 
 
前置きが長くなったが、これが『天空麻雀15(決勝戦)』の大舞台だ。
自分なりのイメージが想像出来ただろうか?
他人が羨むこの舞台で、自分が麻雀を打つ姿を想像出来ただろうか?
ここで解説席も紹介したい。
MCはナレーターの伊藤裕一郎さん。
ナビゲーターは第1回リーチ麻雀世界選手権チャンピオンの山井弘。
解説は森山茂和会長と藤崎智鳳凰位。
単なる平面での解説ではなく、対局者の麻雀観も把握したうえでの解説と、
解説席にも一流が揃っている。
そして、収録に関わっていただいたスタッフの方々。
映像やTV番組には詳しくなく説明できないのがもどかしいが、
20名近くはこの番組の制作にかかわっていたと思われる。
彼ら無しではこの一流の舞台は成しえない。
さて舞台に戻ろう。
今回の主演男優は4人か?
ここが高校野球、甲子園の決勝であれば、勝ったチーム、負けたチームともに主役かもしれない。
試合後には両者ともに大きな拍手を受ける。
この舞台はどうか?
負けた者に温かい拍手はあるか?
勝負の世界に筋書き、台本なんてものは存在しないが、主役は1人に決まる。
残酷にも最後に。
ベテランか若手か、実績があるのかないのか、は何一つ関係ない。
この右腕で勝利を掴んだものが主役だ。
主役は、乱打戦を制した灘か?
主役は、固い守りで投手戦を制した荒か?
主役は、先制、中押し、ダメ押しと理想の試合展開を進めた滝沢か?
主役は、「?」なプレーもあるも、最後は満塁ホームランの福光か?
100
 
決勝の最終戦は、8/20から絶賛放送中。
***エンタメ~テレ***

天空麻雀15 男性大会決勝レポート 福光 聖雄

目を瞑って想像してみてほしい。

学校の教室よりは広い部屋。そう、バスケットボールのコートくらいの広さ。
天井は高い。目測10メートル。

その真ん中には麻雀卓が一台。
広い部屋に、たったの一台。

自分はその一角に、やや強張った顔つきで座っている。
見上げれば目の前は荒正義。左は滝沢和典。右に灘麻太郎。

外界からは遮断されていて、何一つ外の音は聞こえない。
打牌音がパーンと響く空間は、初めてだが心地よい。
牌をかき混ぜる音がこんなにも耳障りだったかと疑問に思う。

 

 

 

 

 

100

灘 麻太郎
75歳を超えた今でもそのカミソリが錆びることはない。
より磨きがかかっているかと錯覚することすらある。
「福光君は何の仕事をしているの?へー、パソコン関係なんだ。難しいかい?
パソコンはよく知らないんだけど、今から学びだしても成功できると思うよ。」

『使える』ではなく(事業として)『成功できる』という好奇心に
「いやいやご冗談を」ではなく、「この人なら本当に成功させそうだ」と思う何かがある。

 

 

 

100

荒 正義
昨期は鳳凰位を手放すことになったが、今期もA1リーグでは鳳凰位決定戦圏内と健在。
いや、健在という表現は誤りだろう。
未だ連盟を代表するトッププロとして君臨、という表現が適切だ。
ブログからはウィットに富んだお茶目な印象を受けるが、卓につくと途端に別の顔。
対峙する身としては『怖い』の一言。

 

 

 

100

滝沢 和典
滝沢の麻雀は美しい。
フォームの美しさも相まって、ある種の芸術性さえ感じる。
美しさは手順の正確さ、お手本のような押し引き、的確な状況判断からくるのだろうか?
滝沢の打牌は、何時も正解を指していると思えてくる。
ただ同時に、正解を打ち続けなければならない、という期待を背負っているようにも感じる。

正解を打つということは対局者からすると、読みやすい。
仕掛けてくれば、早いか高い。攻め返してくれば、攻め返す理由がある。
とはいえ、これは滝沢の背負った宿命。

 

 

 

100

福光 聖雄
そして、私。自分の紹介は甚だ困る。
2月に行われた「天空への道」という選抜戦で1席を勝ち取り(最後には字一色・小四喜もアガリ)、
この天空麻雀では予選を3着、準決勝を2着と、狙ったかのようなギリギリの勝ち上がり。
来るべくしてこの場に立っているのか、たまたまこの場まで勝ち上がってしまったのか。
その判断は観ていただいた皆様にお任せしたい。
ただ、本人がたまたまと思っていたとしたら、ここでの勝利は期待できない。

 

 

前置きが長くなったが、これが『天空麻雀15(決勝戦)』の大舞台だ。
自分なりのイメージが想像出来ただろうか?
他人が羨むこの舞台で、自分が麻雀を打つ姿を想像出来ただろうか?

ここで解説席も紹介したい。
MCはナレーターの伊藤裕一郎さん。
ナビゲーターは第1回リーチ麻雀世界選手権チャンピオンの山井弘。
解説は森山茂和会長と藤崎智鳳凰位。
単なる平面での解説ではなく、対局者の麻雀観も把握したうえでの解説と、
解説席にも一流が揃っている。

そして、収録に関わっていただいたスタッフの方々。
映像やTV番組には詳しくなく説明できないのがもどかしいが、
20名近くはこの番組の制作にかかわっていたと思われる。
彼ら無しではこの一流の舞台は成しえない。

さて舞台に戻ろう。
今回の主演男優は4人か?
ここが高校野球、甲子園の決勝であれば、勝ったチーム、負けたチームともに主役かもしれない。
試合後には両者ともに大きな拍手を受ける。

この舞台はどうか?
負けた者に温かい拍手はあるか?
勝負の世界に筋書き、台本なんてものは存在しないが、主役は1人に決まる。
残酷にも最後に。
ベテランか若手か、実績があるのかないのか、は何一つ関係ない。
この右腕で勝利を掴んだものが主役だ。

主役は、乱打戦を制した灘か?
主役は、固い守りで投手戦を制した荒か?
主役は、先制、中押し、ダメ押しと理想の試合展開を進めた滝沢か?
主役は、「?」なプレーもあるも、最後は満塁ホームランの福光か?

100

 

決勝の最終戦は、8/20から絶賛放送中。
***エンタメ~テレ***

プロ雀士コラム/インターネット麻雀日本選手権2014観戦記後半 山井弘

100
もう一度、ここまでの点数状況を振りかえってみよう。
ともたけ+57.5P
佐々木+27.5P
徳川さん▲38.8P
瀬戸熊▲46.2P
トップを走るともたけと、ラス目の瀬戸熊との点差は100Pを超えている。
順位点が15,000点、5,000点なので、トップ→ラスを残り2戦ともクリアしたとしても、瀬戸熊は73,700点の差をつけなければいけない。
徳川さんにしても、瀬戸熊と同じような状況に変わりない。
誰もが、ともたけVS佐々木の一騎打ちと思ったに違いない。
4回戦から解説に入った森山茂和会長も、瀬戸熊の今日の調子から「ほとんどダメでしょう」と言うくらい、絶望的な数字と言っても過言ではない。
しかし、麻雀は何点差だろうと、親番さえ残っていれば、逆転する可能性はゼロではない。
そんな奇跡を瀬戸熊は何度も起こしてきたが・・・
4回戦
起家から、瀬戸熊・佐々木・徳川さん・ともたけ
100
これまでの点差を挽回するため、ホンイツやチンイツのような高打点を目指したいところだが、今日の瀬戸熊は思い通りに手は進まない。それでも、ここは一通の変化を見ながらヤミテンが定石だろう。そんなことは百も承知。
しかし、瀬戸熊はここでリーチの決断をする。
五索六索七索一筒一筒二筒三筒四筒七筒八筒九筒北北ドラ四筒
できが悪いからこそのリーチ。流れが悪いから。自分の思い通りにいくわけがない。
そうしなければ、このままともたけ、佐々木のどちらからに持っていかれる。
瀬戸熊はそう考えたに違いない。
あっさりと一筒をツモり、裏が乗って3,900オール。
状態がよくないときは、ファーストテンパイがいいと聞いたことがあるが、今回は正にそのケースだ。
例えば、手替わりを待っている間に一筒をツモってしまし、安手でアガるしかない場合。
または、一筒切りでテンパイを外し、中々テンパイしないうちに相手に逆に攻め込まれてしまうなど、どちらもダメなパターンだ。
今日の瀬戸熊の状態を考えれば、どの選択がいいのか明らかではあるが、それを信じて迷わず実行できるところが、瀬戸熊の強さなのではないだろうか。
また、これまでの実績が、瀬戸熊の背中を強く押してくれたのかもしれない。
次の配牌は、
一万一万二万四万五万六万二索二索八索五筒九筒東東白ドラ一万
ダブ東にドラがトイツ。一方、ともたけ、佐々木は戦える手になっていない。
それに、優勝争いをしている2人にしてみれば、調子が上がってきた瀬戸熊に放銃するほどバカらしいことはない。競っている相手が喜ぶだけだ。
そして、こちら徳川さんは、前に出て戦わざるを得ない状況。
三万四万七万八万四索五索六索二筒三筒四筒七筒七筒東ツモ八索
ギリギリまで東を引っ張ったが、安全牌候補の八索を引きここでリリース。
瀬戸熊はこれを当然ポン。
一万一万四万五万六万二索二索三索五筒五筒六筒ポン東東東
ともたけ、佐々木はこの瞬間にオリ。瀬戸熊は、この後五筒も鳴けてテンパイ。
そして、徳川さんにもテンパイが入る。アガリ牌である二万は瀬戸熊の現物なので冷静にヤミテンにしたいところだが、ここで少しでも得点を稼ぎたい徳川さんはリーチと行く。
三万四万八万八万八万四索五索六索三筒四筒五筒七筒七筒リーチ
徳川さんにとってはここが正念場。
だが終盤、残りツモあと2回のところで四索を掴み、瀬戸熊へ11,600の放銃となってしまった。
徳川さんは、ハンゲームから決勝まで勝ち上がってきた唯一のユーザー代表。
本戦では、猿川真寿プロ。ベスト16では、森山茂和プロ。
そしてベスト8では、荒正義プロ、前原雄大プロといった、いずれも名の知れたトッププロを破ってこの決勝まで勝ち上がってきた。
しかし、この決勝の舞台は、スタジオでの対戦、そしてニコニコ生放送という、大きなプレッシャーの中での戦い。それが、徳川さんに重くのしかかっていたのではないだろうか。
このあと徳川さんが復活することはなかったが、ネット麻雀日本一を決めるこの舞台まで進んできたことを誇りに思ってもらいたい。徳川さんの後ろには、多くの敗れたプロ達がいるのだから。
さあ、ついに”クマクマタイム”発動の時がきたのか?誰もがそう思ったに違いない。
この時点で、トータルトップのともたけとの差は、56.2P差。
しかし、ともたけにまだ焦りはない。
一万二万三万一筒二筒四筒四筒五筒六筒七筒七筒八筒八筒  ツモ九筒  ドラ八万
ここからテンパイ取らずの打三万。チンイツに持って行く。実にともたけらしい。
瀬戸熊が親で爆発寸前、いや半分爆発しているようなもの。
それでもともたけはスタイルを曲げない。自分が描いた最終形を目指して進む。
もちろん、テンパイを取るのも普通だ。でも、ここでチンイツに向かってくれたら、見ている人たちはわくわくする。ともたけファンは、きっとペン三筒のテンパイは取ってほしくないだろう。
結果、チンイツのテンパイまで行くことはなかったが、視聴者にともたけ流の麻雀を魅せることができたのではないだろうか。
100
七万九万二索二索五索六索六索七索七索八索一筒二筒三筒リーチ一発ツモ八万ドラ九万南
今局は、佐々木がこの2,000・3,900をアガリ、瀬戸熊の親は爆発寸前で止まった。
次局、アガリで親を迎えた佐々木。
五索五索六索一筒二筒三筒四筒五筒六筒八筒九筒中中ドラ四索
9巡目にこの1シャンテンになる。
しかし、後がない徳川さんからリーチが入る。
四万五万六万九万九万四索六索一筒二筒三筒六筒七筒八筒リーチ
1巡して佐々木が引いたのは無筋の二索
佐々木は現在、トップ目のともたけと9.3Pの差。
「くだらない放銃が多いんですよ」
100
佐々木が十段戦で負けたときに、反省点として話してくれたことがあった。
ある日の勉強会のひとコマだが、例えば佐々木が親でこんな1シャンテンとしよう。
二万三万四万二索三索四索六索七索三筒四筒六筒六筒北ツモ六万ドラ中
相手は、
六万七万七万八万八万五索五索四筒五筒六筒六筒七筒八筒リーチ
この形でリーチとくる。勉強会は普段連盟Aルールが多いので一発と裏がない。
佐々木は、安全牌の北があることや一発があるない関わらず、何時もこの六万をツモ切る。
これには佐々木なりの考えがあって、どうせ勝負をする手なのだから、遅かれ早かれ切る六万が、二番手、三番手の攻めに間に合う前に切りたい。それから、リーチ者と一騎打ちに持ち込みたいということもある。これは佐々木の中の1つの戦法である。
しかし、このように放銃することももちろんあり、例えばこの時などは、もし佐々木が六万を切らなければ、リーチ者は九万ですぐツモとなっていたので700・1,300のアガリ。佐々木は北さえ切っていれば7.700の失点が1,300ですんでいたのだ。
このようなことが、佐々木の頭をよぎったかどうかは分からないが、
二索五索五索六索一筒二筒三筒四筒五筒六筒八筒九筒中中
ここから打六索となった。
これが新しい佐々木の戦い方で、何度もこの二索で痛い目にあってきた故に止まる。
この後、もう一度二索を引き、中を切って迂回する。
これでもう五索が出ることはない。そしてようやく七筒を引き込みリーチ。
二索五索のシャンポンだが、五索での放銃は回避できた。
真っ直ぐ行っていたら、恐らく四索七索の受けになるので五索で徳川さんへ放銃となっていたに違いない。
しかしアガったのは瀬戸熊。
佐々木の前局のアガリを見て、すかさず発を一鳴きして交わしに行った。
徳川さんからリーチが来るも、ここは真っ直ぐ打ち抜く。
七万八万九万七索七索七索五筒六筒東東ポン発発発
一発で無筋の、三万、現物の北、中筋の四万、そして佐々木が通した中
100
気が付いた方もいると思うが、もし佐々木が二索を真っ直ぐ切っていたら、瀬戸熊が生牌の中を掴むことになり、恐らく瀬戸熊はこれを打ち抜き、それを佐々木がポンしてテンパイすれば、放銃を回避してテンパイすることができた。
しかもアガリまであった可能性もあるが、この場合は、佐々木に入る七筒が徳川さんに流れるので、しっかりと攻め抜いた瀬戸熊の頭ハネとなり、どちらにしても瀬戸熊のアガリであった。
東4局、ともたけが親番を迎える。
ノーミスで七対子をテンパイする。
捨て牌は、
北九筒 上向き四筒 上向き七万 上向き三索 上向き七索 上向きドラ八筒
確かに、捨て牌は多少派手にはなってしまった。
しかし、ここは親でもあり1枚切れの発タンキでリーチに行けばよかった。
そう、強く思ったのはともたけ本人だろう。
二万二万六万六万五索五索西西白白発中中  ツモ発
一発ツモだった。
その心の動きが、次局に影響しないはずがない。
二万三万四万六万六万六索六索六索三筒四筒七筒八筒九筒リーチロン二筒ドラ八索六索
裏が乗ったのはその影響かどうか分からないが、ともたけは8,000点の痛い放銃となった。
南場に入り、再び瀬戸熊は親を迎えた。
流れがよくなったら、「自然に打つ」「自然な鳴き」この2つがテーマだろう。
ちなみに自然な鳴きとは、鳴くという行為自体、自然な行為ではないので、極力鳴かないように進めるが、2鳴きやどうしても鳴くほうが自然な場合のことをいう。
南1局
三万四万五万七万八万二索三索四索二筒二筒七筒八筒九筒リーチツモ六万ドラ七万四筒
この自然なアガリで連荘。そして次局は自然に6,000オール。
南1局2本場、この局の注目は第一打である。
二万二万三万八万一索二索二索四索五筒六筒六筒七筒八筒白ドラ五筒
ここから一索ではなく白を切る。これはいわゆる、初心者の打ち方である。
断っておくが、瀬戸熊が初心者と言っているわけではない。
麻雀を覚えたてのころ、まずは字牌整理と言って、字牌をとにかく先に切って行き、本当の意味での手成りで手を進める初心者がいたと思う。その頃、みなさんも経験があると思うが、バカみたいにツイている仲間はいなかっただろうか。一度爆発すると誰にも止められない。そんな打ち方をする人が。
当然、初心者であるその人は、ついていなくても同じように打つので、その時は大敗するだろう。でも瀬戸熊は、それを分かって使い分けることができる。
1局、1局に繋がりはないと言うプロも大勢いるが、私はそうは思わない。
そうでないと、この瀬戸熊の第一打は説明のしようがない。
鳳凰位を連覇、十段位を三連覇している男が切る牌である。
そこに意味がない分けがないのである。瀬戸熊がいつも言う、
「いかに早く麻雀に入れるか、自分の時間帯を作れるか」
100
ついに瀬戸熊はその時間帯を捕まえた。
一万一万二万二万三万二索二索五筒六筒六筒七筒七筒八筒リーチツモ三万
普通にごく自然にツモアガる。
しかし次局、麻雀の神様は瀬戸熊に意地悪な選択を迫る。
100
この状態になればもう相手は関係ない。誰のリーチであろうと、自分の手を中心に攻める。
しかし、このドラの三万は鳴くほうが自然なのか、それとも鳴かないほうが自然なのか。
非常に難しい選択だ。
「ネットじゃなきゃポンしてましたね」
瀬戸熊は声が出なかった、いや、指が反応しなかったというほうが正しいだろう。
もしこれが実際の牌を使う麻雀だと、指を動かすのではなく、まずは声が出る、
「ポン」そうすれば、
四万四万四万七万七万四索五索五筒六筒七筒ポン三万 上向き三万 上向き三万 上向きロン三索
このアガリがあったかもしれない。
結果は2人テンパイで流局。
次局、このアガリ逃しが分かっている瀬戸熊の気持ちと、先ほど発タンキをリーチしておけばよかったと思ったに違いない、ともたけとの心境がシンクロしたかのように、
五万六万七万二索三索四索四索五索六索六索六索暗カン牌の背八万 上向き八万 上向き牌の背ツモ三索ドラ八万二筒
この跳満を佐々木がアガリ、瀬戸熊の”クマクマタイム”はここで終わった。
4回戦成績
瀬戸熊+73.2P  佐々木+9.0P  ともたけ▲15.3P  徳川さん▲66.9P
4回戦終了時
ともたけ+42.2P  佐々木+36.5P  瀬戸熊+27.0P  徳川さん▲105.7P
最終戦を迎え、ともたけ、佐々木は、着順が上のほうが勝ち。
瀬戸熊はともたけと2着順つけるか、1つ上の着順で5,200点差をつければ勝ち。
なんとも、103.7Pあった差が、たった1回で普通の差になってしまった。
5回戦
起家から、瀬戸熊・佐々木・徳川さん・ともたけ
開局は瀬戸熊、3巡目に早くもテンパイするも、アガリ牌である六筒はすでに2枚打たれた後だ。
七万八万九万四索六索五筒七筒七筒八筒九筒東南南ツモ五索
ここは、七索引きからの789の三色やピンズのピンフ変化を見てヤミテン。
このあたり、先ほどまでと流れが変わってきているので、打ち方も普通に戻している感じがする。
しかし、ここからが瀬戸熊の正念場である。
1つの選択ミスが、すぐに敗北に繋がる。表情もこれまでと少し違ってきた。
100
手替わる間もなく、あっさりと六筒をツモアガリ。
次局1本場、実に自然な手順である。
四万四万三索四索七索八索八索一筒二筒八筒東東白中ドラ六万
三筒三万東三索ツモ切りツモ切り九索
白中八筒三万八索一索南三索リーチ
四万四万三索四索七索八索九索一筒二筒三筒暗カン牌の背東東牌の背リーチリンシャンツモ五索ドラ六万七筒六万七筒
この4,000オールで、ついにトータルトップに踊り出た。
ともたけも負けてはいない。
五万六万一索二索三索五索六索七索二筒二筒四筒四筒四筒リーチツモ七万ドラ中九索
何とか瀬戸熊の親を落とす。
そして、次局も徳川さんの高め三色リーチを交わし、1,000・2,000をアガリ瀬戸熊を追う。
後がない徳川さんが親番を迎える。
最終戦の開始前に、「どう打てばいいのでしょうか」と私に問いかけてきた徳川さん。
私は、「親番がある限り、逆転の可能性はゼロではないので、最後の親が落ちるまでは普通に打ちます」と、そう答えた。
一般のユーザーの方が、普段、麻雀を娯楽として楽しんでいるだけの方が、自分の打った牌で勝者を決めていいのだろうか、そんなことを真剣に考えてくれたことが私には感激だった。
100
一万二万六万八万九万一索六索六索六索九索九索六筒西白ドラ六索
配牌ドラ暗刻の手。しかし、他の牌が少々重い形ではある。
案の定、手は進まず、
六万八万八万三索四索六索六索六索九索九索六筒六筒八筒
渋々ここで六筒をポンして形式テンパイの1シャンテン。
六万にくっついてくれれば、九索を切ってタンヤオに移行できるのだが。
この仕掛けを受けて瀬戸熊。
八万九万六索八索二筒四筒六筒七筒八筒九筒北北北ツモ三索
この手牌で少考に入る。
普段あまり時間をかけて考えるタイプではない瀬戸熊が、時間を使っているので珍しいと思った。しかも、得点のほしい徳川さんの仕掛けが安いわけがないのに。
すると瀬戸熊は、まったく無筋である三索をツモ切ってきたのである。
これには少し驚いた。いくら瀬戸熊といえども、ここで親に放銃してしまったら痛い。
ましてや、攻めるような手でもない。でも瀬戸熊の何かが、この手はいかなければ行けない、ベタオリしてはいけないと、本人にしか分からない何かがあるのかと思った。
がしかし、そうではなかった。
何と、ネットの回線の不具合で、三索は完全にコンピューターが勝手に切ったものだった。
ネットの対戦は、このようなことがたまに起こるので致し方ないのだが、この時はそれが致命傷になる一打にはならなかった。
このマシーントラブルを直すため、今回は1人持ち時間5分という設定にしてあったため、徳川さんの切り番で待ってもらう。それでも時間が足りず、ともたけの切り番まで行く。
瀬戸熊のマシーンも直り再開。
佐々木からリーチも入るが、徳川さんも何とかテンパイまで持ち込み連荘に成功。
しかし、このドラ暗刻の手は悔しいが成熟せず。
次局、徳川さんがダブ東をポンしてテンパイ。
三万四万四万五万五万六万六索七索八筒八筒ポン東東東ドラ白
そこに佐々木がテンパイで追いつく。
二万三万四万四索五索六索七索八索九索九索四筒五筒白ツモ六筒
仕掛けがなければ、また、自身に得点が必要なければドラであろうと白を切ったに違いない。
ここは九索切りで白タンキリーチ。しかし、次巡のツモは三索
だが、ちなみにここで白を切ると、
三万五万六万七万七万八万九万二索二索四索五索白白
瀬戸熊がここからポンテンになり、佐々木がツモる三索でツモアガリとなるのだ。
従って、佐々木のアガリはここでも無いのである。
今局はハイテイまでもつれ、佐々木のほしい白はまだ山に1枚残っている。
しかし、ハイテイにいた牌は徳川さんの当たり牌である八索だった。
ダブ東、ホウテイの5,800の放銃で、佐々木は苦しい位置となってしまった。
このアガリで勢いがついてきた徳川さんが、またもリーチとくる。
六万六万七万七万八万八万二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒リーチドラ五万
100
これに追いついた瀬戸熊は、ドラが暗刻で打点十分にもかかわらずリーチと行った。
現状、トータルトップ目、調子が上がってきた親に放銃となれば、喜ぶのはともたけや佐々木。だがしかし、瀬戸熊はここで勝負をかける。
まだともたけとの点差がそれほどないこと、そのともたけがオーラス最後の親を残していること。
これは、タイトル戦の決勝をいかに多く経験し、そして勝利してきた瀬戸熊だからこそできる押し引きではないだろうか。勝負勘とでも言えばいいのだろうか。
結果は流局だったが、この鬼気迫るリーチに、瀬戸熊のオーラが画面越しに伝わった。
それが次のアガリに繋がったかどうか立証することはできない。
がしかし、麻雀は4人の人間が打つもの。ネットであろうと、やはり人が打っている限り、そこに流れは存在する。森山会長も「ネットでも流れはある」「あるに決まっている」と断言していた。
二万三万四万六万六万三筒三筒四筒五筒六筒七筒七筒七筒ロン六万ドラ七筒
瀬戸熊があっさりとこのアガリを決める。
東4局、ともたけは、瀬戸熊にトータルを捲られて迎えた親番。
配牌
一万三万四万七万九万九万二索五索一筒三筒四筒七筒東白ドラ二万
これが伸びて、
一万二万三万四万四万七万八万九万九万五索三筒四筒七筒東ツモ三筒
こうなるのだが、ここでともたけの選択は打九万
普通の人が打てば、それほどおかしな打牌ではない。
まだ一通も残るし、ドラ絡みのイーペーコーなどもあるので、無理に染めに行く必要はない。
しかし、これを今打っているのは、ともたけ雅晴である。
ともたけは、これくらいの手であれば、思い切って真ん中の牌を切って行き、自分の描いた理想の手に向かって、手順は無視して行く打ち手である。
しかし、トータルで瀬戸熊に抜かれてしまった。ここで連荘して追いつきたい。
そう思ったのかもしれない。ともたけらしくない打九万
麻雀を打っていると、その人なりの勝ちパターンがあるように思う。
普段から打っている勝ちパターンでないと、中々勝つのは難しいのではないだろうか。
ともたけはよく決勝まで進出する。しかし、決勝では中々結果が出ない。
それはやはり、決勝では自分のスタイルを貫き通せていないということではないだろうか。
4回戦で瀬戸熊が、東1局に連荘していてもまったく気にせず、ペン三筒のテンパイ取らずで、マンズの1メンツを切って行けるともたけならば、
一万二万三万四万四万四万七万八万九万九万九万東東ツモ東
この形でのアガリがあったのではないだろうか。
リーチをすかどうかは本人次第だが、ヤミテンでも6,000オールある。
リーチなら8,000オールだ。そうなると、今度は瀬戸熊が苦しくなる番であった。
一万二万三万四万四万四万七万八万九万五索七索三筒三筒リーチ
結局、この形で1人テンパイの流局。
捨て牌には九万が2枚、東が3枚寂しそうに並んでいた。
すると次局もやはり続かない。
南2局、佐々木の親は、瀬戸熊が自らピンフのみで流して残すは2局。
現状、瀬戸熊は50,300点で総合ポイントは+62.3P。
佐々木は、14,100点で+5.6P。残す2局で逆転するには、役満級のアガリが必要になる。
ともたけは、33,200点で50.4Pと、最後の親番が勝負か。
徳川さんはとにかく連荘しかない。
その徳川さんが連荘して迎えた南3局1本場。
瀬戸熊は2役トイツで、逃げるには絶好の手牌となった。
そう誰もが思っていたと思う。しかし、瀬戸熊本人はそうは思っていなかった。
ともたけとの差がまだそれほどでもないので、この手を決まり手にしよう。
そう考えていたと、対局終了後に話してくれた。
確かに、ともたけが2着の場合、現状11,900点の差しかないのである。
そう考えると、オーラスを迎え、最悪一度アガられても、捲り返せるくらいにしておかなくてはならない。
これも、決勝を何度も経験してきて初めて分かる押し引きかもしれない。
しかし、ここ最近は連盟チャンネルなどでタイトル戦の生放送が見られるようになった。
そのことで、これまで知ることができなかった情報が、こうして知ることができる。
決勝の経験がなくても、学ぶことができるようになったのだ。
決勝初体験でも、しっかりと勉強さえしておけば、大事な難しい局面で答えを導き出せるかもしれない。
四万六万四索五索三筒四筒六筒七筒西西ポン中中中ドラ六筒
ここで中を鳴いて行く。その後、手は進み、
四索五索一筒三筒四筒四筒六筒七筒西西ポン中中中
こうなり、ここで上家のともたけから八筒が出る。
私はこれをチーして一筒を切るものと思っていた。
しかし、瀬戸熊は先ほどから述べているように、ここでさらに点差をつけるため、ホンイツへ向かう。
すぐに西も鳴けて、
100
最後は、全員がテンパイとなる、乾坤一擲の勝負を制して、見事、インターネット麻雀日本選手権の優勝を手繰り寄せた。
勝利した瞬間、瀬戸熊はいつものポーズをとる。
腰に手をあて、胸を張って大きく深呼吸する。
その仕草は、タイトル戦の決勝を勝利で終えた直後にする、瀬戸熊特有のポーズだ。
たしか16年前に優勝したやつも、同じポーズをとっていたような気がするのは気のせいだろうか。
最終戦成績
瀬戸熊+44.7P  ともたけ+3.3P  徳川さん▲13.8P  佐々木▲34.2P
 
総合トータル
瀬戸熊+71.7P  ともたけ+45.5P  佐々木+2.3P  徳川さん▲119.5P
瀬戸熊は”暴君”と呼ばれていた時代があった。しかし、今は誰もそう呼ばない。
瀬戸熊の今の麻雀を見ていれば分かると思うが、その打ち筋は正に王道。
絶対王者と呼ぶに相応しい打ち手となった。
もはや、連盟のエースではなく、麻雀界のエースと言っても過言ではない。
世界に広がるインターネット。まだまだ世界中に多くの打ち手がいる。
それはまだ未知数ではあるが、このインターネットを使えば、何年後かには、
インターネット”世界”選手権なるものが開催されているかもしれない。
今回はネットで”クマクマタイム”が証明された。
だがしかし、麻雀が世界中に広がればきっと、瀬戸熊をも越える、そんな打ち手がいるかもしれない。
今の麻雀界は、夢が広がるばかりだ。
 
100

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100

インターネット麻雀日本選手権2014観戦記後半 山井弘

100

もう一度、ここまでの点数状況を振りかえってみよう。

ともたけ+57.5P
佐々木+27.5P
徳川さん▲38.8P
瀬戸熊▲46.2P

トップを走るともたけと、ラス目の瀬戸熊との点差は100Pを超えている。
順位点が15,000点、5,000点なので、トップ→ラスを残り2戦ともクリアしたとしても、瀬戸熊は73,700点の差をつけなければいけない。
徳川さんにしても、瀬戸熊と同じような状況に変わりない。

誰もが、ともたけVS佐々木の一騎打ちと思ったに違いない。
4回戦から解説に入った森山茂和会長も、瀬戸熊の今日の調子から「ほとんどダメでしょう」と言うくらい、絶望的な数字と言っても過言ではない。

しかし、麻雀は何点差だろうと、親番さえ残っていれば、逆転する可能性はゼロではない。
そんな奇跡を瀬戸熊は何度も起こしてきたが・・・

4回戦
起家から、瀬戸熊・佐々木・徳川さん・ともたけ

100

これまでの点差を挽回するため、ホンイツやチンイツのような高打点を目指したいところだが、今日の瀬戸熊は思い通りに手は進まない。それでも、ここは一通の変化を見ながらヤミテンが定石だろう。そんなことは百も承知。
しかし、瀬戸熊はここでリーチの決断をする。

五索六索七索一筒一筒二筒三筒四筒七筒八筒九筒北北ドラ四筒

できが悪いからこそのリーチ。流れが悪いから。自分の思い通りにいくわけがない。
そうしなければ、このままともたけ、佐々木のどちらからに持っていかれる。
瀬戸熊はそう考えたに違いない。

あっさりと一筒をツモり、裏が乗って3,900オール。
状態がよくないときは、ファーストテンパイがいいと聞いたことがあるが、今回は正にそのケースだ。

例えば、手替わりを待っている間に一筒をツモってしまし、安手でアガるしかない場合。
または、一筒切りでテンパイを外し、中々テンパイしないうちに相手に逆に攻め込まれてしまうなど、どちらもダメなパターンだ。

今日の瀬戸熊の状態を考えれば、どの選択がいいのか明らかではあるが、それを信じて迷わず実行できるところが、瀬戸熊の強さなのではないだろうか。
また、これまでの実績が、瀬戸熊の背中を強く押してくれたのかもしれない。

次の配牌は、

一万一万二万四万五万六万二索二索八索五筒九筒東東白ドラ一万

ダブ東にドラがトイツ。一方、ともたけ、佐々木は戦える手になっていない。
それに、優勝争いをしている2人にしてみれば、調子が上がってきた瀬戸熊に放銃するほどバカらしいことはない。競っている相手が喜ぶだけだ。

そして、こちら徳川さんは、前に出て戦わざるを得ない状況。

三万四万七万八万四索五索六索二筒三筒四筒七筒七筒東ツモ八索

ギリギリまで東を引っ張ったが、安全牌候補の八索を引きここでリリース。
瀬戸熊はこれを当然ポン。

一万一万四万五万六万二索二索三索五筒五筒六筒ポン東東東

ともたけ、佐々木はこの瞬間にオリ。瀬戸熊は、この後五筒も鳴けてテンパイ。
そして、徳川さんにもテンパイが入る。アガリ牌である二万は瀬戸熊の現物なので冷静にヤミテンにしたいところだが、ここで少しでも得点を稼ぎたい徳川さんはリーチと行く。

三万四万八万八万八万四索五索六索三筒四筒五筒七筒七筒リーチ

徳川さんにとってはここが正念場。
だが終盤、残りツモあと2回のところで四索を掴み、瀬戸熊へ11,600の放銃となってしまった。

徳川さんは、ハンゲームから決勝まで勝ち上がってきた唯一のユーザー代表。
本戦では、猿川真寿プロ。ベスト16では、森山茂和プロ。
そしてベスト8では、荒正義プロ、前原雄大プロといった、いずれも名の知れたトッププロを破ってこの決勝まで勝ち上がってきた。

しかし、この決勝の舞台は、スタジオでの対戦、そしてニコニコ生放送という、大きなプレッシャーの中での戦い。それが、徳川さんに重くのしかかっていたのではないだろうか。

このあと徳川さんが復活することはなかったが、ネット麻雀日本一を決めるこの舞台まで進んできたことを誇りに思ってもらいたい。徳川さんの後ろには、多くの敗れたプロ達がいるのだから。

さあ、ついに”クマクマタイム”発動の時がきたのか?誰もがそう思ったに違いない。
この時点で、トータルトップのともたけとの差は、56.2P差。
しかし、ともたけにまだ焦りはない。

一万二万三万一筒二筒四筒四筒五筒六筒七筒七筒八筒八筒  ツモ九筒  ドラ八万

ここからテンパイ取らずの打三万。チンイツに持って行く。実にともたけらしい。
瀬戸熊が親で爆発寸前、いや半分爆発しているようなもの。
それでもともたけはスタイルを曲げない。自分が描いた最終形を目指して進む。
もちろん、テンパイを取るのも普通だ。でも、ここでチンイツに向かってくれたら、見ている人たちはわくわくする。ともたけファンは、きっとペン三筒のテンパイは取ってほしくないだろう。

結果、チンイツのテンパイまで行くことはなかったが、視聴者にともたけ流の麻雀を魅せることができたのではないだろうか。

100

七万九万二索二索五索六索六索七索七索八索一筒二筒三筒リーチ一発ツモ八万ドラ九万南

今局は、佐々木がこの2,000・3,900をアガリ、瀬戸熊の親は爆発寸前で止まった。
次局、アガリで親を迎えた佐々木。

五索五索六索一筒二筒三筒四筒五筒六筒八筒九筒中中ドラ四索

9巡目にこの1シャンテンになる。
しかし、後がない徳川さんからリーチが入る。

四万五万六万九万九万四索六索一筒二筒三筒六筒七筒八筒リーチ

1巡して佐々木が引いたのは無筋の二索
佐々木は現在、トップ目のともたけと9.3Pの差。

「くだらない放銃が多いんですよ」

100

佐々木が十段戦で負けたときに、反省点として話してくれたことがあった。
ある日の勉強会のひとコマだが、例えば佐々木が親でこんな1シャンテンとしよう。

二万三万四万二索三索四索六索七索三筒四筒六筒六筒北ツモ六万ドラ中

相手は、

六万七万七万八万八万五索五索四筒五筒六筒六筒七筒八筒リーチ

この形でリーチとくる。勉強会は普段連盟Aルールが多いので一発と裏がない。
佐々木は、安全牌の北があることや一発があるない関わらず、何時もこの六万をツモ切る。
これには佐々木なりの考えがあって、どうせ勝負をする手なのだから、遅かれ早かれ切る六万が、二番手、三番手の攻めに間に合う前に切りたい。それから、リーチ者と一騎打ちに持ち込みたいということもある。これは佐々木の中の1つの戦法である。

しかし、このように放銃することももちろんあり、例えばこの時などは、もし佐々木が六万を切らなければ、リーチ者は九万ですぐツモとなっていたので700・1,300のアガリ。佐々木は北さえ切っていれば7.700の失点が1,300ですんでいたのだ。

このようなことが、佐々木の頭をよぎったかどうかは分からないが、

二索五索五索六索一筒二筒三筒四筒五筒六筒八筒九筒中中

ここから打六索となった。
これが新しい佐々木の戦い方で、何度もこの二索で痛い目にあってきた故に止まる。
この後、もう一度二索を引き、中を切って迂回する。
これでもう五索が出ることはない。そしてようやく七筒を引き込みリーチ。
二索五索のシャンポンだが、五索での放銃は回避できた。
真っ直ぐ行っていたら、恐らく四索七索の受けになるので五索で徳川さんへ放銃となっていたに違いない。

しかしアガったのは瀬戸熊。
佐々木の前局のアガリを見て、すかさず発を一鳴きして交わしに行った。
徳川さんからリーチが来るも、ここは真っ直ぐ打ち抜く。

七万八万九万七索七索七索五筒六筒東東ポン発発発

一発で無筋の、三万、現物の北、中筋の四万、そして佐々木が通した中

100

気が付いた方もいると思うが、もし佐々木が二索を真っ直ぐ切っていたら、瀬戸熊が生牌の中を掴むことになり、恐らく瀬戸熊はこれを打ち抜き、それを佐々木がポンしてテンパイすれば、放銃を回避してテンパイすることができた。

しかもアガリまであった可能性もあるが、この場合は、佐々木に入る七筒が徳川さんに流れるので、しっかりと攻め抜いた瀬戸熊の頭ハネとなり、どちらにしても瀬戸熊のアガリであった。

東4局、ともたけが親番を迎える。
ノーミスで七対子をテンパイする。
捨て牌は、

北九筒 上向き四筒 上向き七万 上向き三索 上向き七索 上向きドラ八筒

確かに、捨て牌は多少派手にはなってしまった。
しかし、ここは親でもあり1枚切れの発タンキでリーチに行けばよかった。
そう、強く思ったのはともたけ本人だろう。

二万二万六万六万五索五索西西白白発中中  ツモ発
一発ツモだった。
その心の動きが、次局に影響しないはずがない。

二万三万四万六万六万六索六索六索三筒四筒七筒八筒九筒リーチロン二筒ドラ八索六索
裏が乗ったのはその影響かどうか分からないが、ともたけは8,000点の痛い放銃となった。

南場に入り、再び瀬戸熊は親を迎えた。
流れがよくなったら、「自然に打つ」「自然な鳴き」この2つがテーマだろう。
ちなみに自然な鳴きとは、鳴くという行為自体、自然な行為ではないので、極力鳴かないように進めるが、2鳴きやどうしても鳴くほうが自然な場合のことをいう。

南1局

三万四万五万七万八万二索三索四索二筒二筒七筒八筒九筒リーチツモ六万ドラ七万四筒

この自然なアガリで連荘。そして次局は自然に6,000オール。
南1局2本場、この局の注目は第一打である。

二万二万三万八万一索二索二索四索五筒六筒六筒七筒八筒白ドラ五筒

ここから一索ではなく白を切る。これはいわゆる、初心者の打ち方である。
断っておくが、瀬戸熊が初心者と言っているわけではない。
麻雀を覚えたてのころ、まずは字牌整理と言って、字牌をとにかく先に切って行き、本当の意味での手成りで手を進める初心者がいたと思う。その頃、みなさんも経験があると思うが、バカみたいにツイている仲間はいなかっただろうか。一度爆発すると誰にも止められない。そんな打ち方をする人が。

当然、初心者であるその人は、ついていなくても同じように打つので、その時は大敗するだろう。でも瀬戸熊は、それを分かって使い分けることができる。

1局、1局に繋がりはないと言うプロも大勢いるが、私はそうは思わない。
そうでないと、この瀬戸熊の第一打は説明のしようがない。
鳳凰位を連覇、十段位を三連覇している男が切る牌である。
そこに意味がない分けがないのである。瀬戸熊がいつも言う、

「いかに早く麻雀に入れるか、自分の時間帯を作れるか」

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ついに瀬戸熊はその時間帯を捕まえた。

一万一万二万二万三万二索二索五筒六筒六筒七筒七筒八筒リーチツモ三万

普通にごく自然にツモアガる。

しかし次局、麻雀の神様は瀬戸熊に意地悪な選択を迫る。

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この状態になればもう相手は関係ない。誰のリーチであろうと、自分の手を中心に攻める。
しかし、このドラの三万は鳴くほうが自然なのか、それとも鳴かないほうが自然なのか。
非常に難しい選択だ。

「ネットじゃなきゃポンしてましたね」

瀬戸熊は声が出なかった、いや、指が反応しなかったというほうが正しいだろう。
もしこれが実際の牌を使う麻雀だと、指を動かすのではなく、まずは声が出る、
「ポン」そうすれば、

四万四万四万七万七万四索五索五筒六筒七筒ポン三万 上向き三万 上向き三万 上向きロン三索

このアガリがあったかもしれない。
結果は2人テンパイで流局。

次局、このアガリ逃しが分かっている瀬戸熊の気持ちと、先ほど発タンキをリーチしておけばよかったと思ったに違いない、ともたけとの心境がシンクロしたかのように、

五万六万七万二索三索四索四索五索六索六索六索暗カン牌の背八万 上向き八万 上向き牌の背ツモ三索ドラ八万二筒

この跳満を佐々木がアガリ、瀬戸熊の”クマクマタイム”はここで終わった。

4回戦成績
瀬戸熊+73.2P  佐々木+9.0P  ともたけ▲15.3P  徳川さん▲66.9P

4回戦終了時
ともたけ+42.2P  佐々木+36.5P  瀬戸熊+27.0P  徳川さん▲105.7P

最終戦を迎え、ともたけ、佐々木は、着順が上のほうが勝ち。
瀬戸熊はともたけと2着順つけるか、1つ上の着順で5,200点差をつければ勝ち。
なんとも、103.7Pあった差が、たった1回で普通の差になってしまった。

5回戦
起家から、瀬戸熊・佐々木・徳川さん・ともたけ

開局は瀬戸熊、3巡目に早くもテンパイするも、アガリ牌である六筒はすでに2枚打たれた後だ。

七万八万九万四索六索五筒七筒七筒八筒九筒東南南ツモ五索

ここは、七索引きからの789の三色やピンズのピンフ変化を見てヤミテン。
このあたり、先ほどまでと流れが変わってきているので、打ち方も普通に戻している感じがする。

しかし、ここからが瀬戸熊の正念場である。
1つの選択ミスが、すぐに敗北に繋がる。表情もこれまでと少し違ってきた。

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手替わる間もなく、あっさりと六筒をツモアガリ。
次局1本場、実に自然な手順である。

四万四万三索四索七索八索八索一筒二筒八筒東東白中ドラ六万

三筒三万東三索ツモ切りツモ切り九索
白中八筒三万八索一索南三索リーチ

四万四万三索四索七索八索九索一筒二筒三筒暗カン牌の背東東牌の背リーチリンシャンツモ五索ドラ六万七筒六万七筒

この4,000オールで、ついにトータルトップに踊り出た。

ともたけも負けてはいない。

五万六万一索二索三索五索六索七索二筒二筒四筒四筒四筒リーチツモ七万ドラ中九索

何とか瀬戸熊の親を落とす。
そして、次局も徳川さんの高め三色リーチを交わし、1,000・2,000をアガリ瀬戸熊を追う。

後がない徳川さんが親番を迎える。
最終戦の開始前に、「どう打てばいいのでしょうか」と私に問いかけてきた徳川さん。
私は、「親番がある限り、逆転の可能性はゼロではないので、最後の親が落ちるまでは普通に打ちます」と、そう答えた。

一般のユーザーの方が、普段、麻雀を娯楽として楽しんでいるだけの方が、自分の打った牌で勝者を決めていいのだろうか、そんなことを真剣に考えてくれたことが私には感激だった。
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一万二万六万八万九万一索六索六索六索九索九索六筒西白ドラ六索

配牌ドラ暗刻の手。しかし、他の牌が少々重い形ではある。
案の定、手は進まず、

六万八万八万三索四索六索六索六索九索九索六筒六筒八筒

渋々ここで六筒をポンして形式テンパイの1シャンテン。
六万にくっついてくれれば、九索を切ってタンヤオに移行できるのだが。
この仕掛けを受けて瀬戸熊。

八万九万六索八索二筒四筒六筒七筒八筒九筒北北北ツモ三索

この手牌で少考に入る。
普段あまり時間をかけて考えるタイプではない瀬戸熊が、時間を使っているので珍しいと思った。しかも、得点のほしい徳川さんの仕掛けが安いわけがないのに。

すると瀬戸熊は、まったく無筋である三索をツモ切ってきたのである。
これには少し驚いた。いくら瀬戸熊といえども、ここで親に放銃してしまったら痛い。
ましてや、攻めるような手でもない。でも瀬戸熊の何かが、この手はいかなければ行けない、ベタオリしてはいけないと、本人にしか分からない何かがあるのかと思った。

がしかし、そうではなかった。
何と、ネットの回線の不具合で、三索は完全にコンピューターが勝手に切ったものだった。
ネットの対戦は、このようなことがたまに起こるので致し方ないのだが、この時はそれが致命傷になる一打にはならなかった。

このマシーントラブルを直すため、今回は1人持ち時間5分という設定にしてあったため、徳川さんの切り番で待ってもらう。それでも時間が足りず、ともたけの切り番まで行く。

瀬戸熊のマシーンも直り再開。
佐々木からリーチも入るが、徳川さんも何とかテンパイまで持ち込み連荘に成功。
しかし、このドラ暗刻の手は悔しいが成熟せず。

次局、徳川さんがダブ東をポンしてテンパイ。

三万四万四万五万五万六万六索七索八筒八筒ポン東東東ドラ白
そこに佐々木がテンパイで追いつく。

二万三万四万四索五索六索七索八索九索九索四筒五筒白ツモ六筒

仕掛けがなければ、また、自身に得点が必要なければドラであろうと白を切ったに違いない。
ここは九索切りで白タンキリーチ。しかし、次巡のツモは三索

だが、ちなみにここで白を切ると、

三万五万六万七万七万八万九万二索二索四索五索白白

瀬戸熊がここからポンテンになり、佐々木がツモる三索でツモアガリとなるのだ。
従って、佐々木のアガリはここでも無いのである。

今局はハイテイまでもつれ、佐々木のほしい白はまだ山に1枚残っている。
しかし、ハイテイにいた牌は徳川さんの当たり牌である八索だった。
ダブ東、ホウテイの5,800の放銃で、佐々木は苦しい位置となってしまった。

このアガリで勢いがついてきた徳川さんが、またもリーチとくる。

六万六万七万七万八万八万二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒リーチドラ五万

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これに追いついた瀬戸熊は、ドラが暗刻で打点十分にもかかわらずリーチと行った。
現状、トータルトップ目、調子が上がってきた親に放銃となれば、喜ぶのはともたけや佐々木。だがしかし、瀬戸熊はここで勝負をかける。

まだともたけとの点差がそれほどないこと、そのともたけがオーラス最後の親を残していること。

これは、タイトル戦の決勝をいかに多く経験し、そして勝利してきた瀬戸熊だからこそできる押し引きではないだろうか。勝負勘とでも言えばいいのだろうか。

結果は流局だったが、この鬼気迫るリーチに、瀬戸熊のオーラが画面越しに伝わった。

それが次のアガリに繋がったかどうか立証することはできない。
がしかし、麻雀は4人の人間が打つもの。ネットであろうと、やはり人が打っている限り、そこに流れは存在する。森山会長も「ネットでも流れはある」「あるに決まっている」と断言していた。

二万三万四万六万六万三筒三筒四筒五筒六筒七筒七筒七筒ロン六万ドラ七筒

瀬戸熊があっさりとこのアガリを決める。

東4局、ともたけは、瀬戸熊にトータルを捲られて迎えた親番。
配牌
一万三万四万七万九万九万二索五索一筒三筒四筒七筒東白ドラ二万

これが伸びて、

一万二万三万四万四万七万八万九万九万五索三筒四筒七筒東ツモ三筒

こうなるのだが、ここでともたけの選択は打九万
普通の人が打てば、それほどおかしな打牌ではない。
まだ一通も残るし、ドラ絡みのイーペーコーなどもあるので、無理に染めに行く必要はない。
しかし、これを今打っているのは、ともたけ雅晴である。

ともたけは、これくらいの手であれば、思い切って真ん中の牌を切って行き、自分の描いた理想の手に向かって、手順は無視して行く打ち手である。

しかし、トータルで瀬戸熊に抜かれてしまった。ここで連荘して追いつきたい。
そう思ったのかもしれない。ともたけらしくない打九万

麻雀を打っていると、その人なりの勝ちパターンがあるように思う。
普段から打っている勝ちパターンでないと、中々勝つのは難しいのではないだろうか。
ともたけはよく決勝まで進出する。しかし、決勝では中々結果が出ない。
それはやはり、決勝では自分のスタイルを貫き通せていないということではないだろうか。

4回戦で瀬戸熊が、東1局に連荘していてもまったく気にせず、ペン三筒のテンパイ取らずで、マンズの1メンツを切って行けるともたけならば、

一万二万三万四万四万四万七万八万九万九万九万東東ツモ東

この形でのアガリがあったのではないだろうか。
リーチをすかどうかは本人次第だが、ヤミテンでも6,000オールある。
リーチなら8,000オールだ。そうなると、今度は瀬戸熊が苦しくなる番であった。

一万二万三万四万四万四万七万八万九万五索七索三筒三筒リーチ

結局、この形で1人テンパイの流局。
捨て牌には九万が2枚、東が3枚寂しそうに並んでいた。

すると次局もやはり続かない。
南2局、佐々木の親は、瀬戸熊が自らピンフのみで流して残すは2局。

現状、瀬戸熊は50,300点で総合ポイントは+62.3P。
佐々木は、14,100点で+5.6P。残す2局で逆転するには、役満級のアガリが必要になる。
ともたけは、33,200点で50.4Pと、最後の親番が勝負か。
徳川さんはとにかく連荘しかない。

その徳川さんが連荘して迎えた南3局1本場。
瀬戸熊は2役トイツで、逃げるには絶好の手牌となった。
そう誰もが思っていたと思う。しかし、瀬戸熊本人はそうは思っていなかった。

ともたけとの差がまだそれほどでもないので、この手を決まり手にしよう。
そう考えていたと、対局終了後に話してくれた。

確かに、ともたけが2着の場合、現状11,900点の差しかないのである。
そう考えると、オーラスを迎え、最悪一度アガられても、捲り返せるくらいにしておかなくてはならない。

これも、決勝を何度も経験してきて初めて分かる押し引きかもしれない。
しかし、ここ最近は連盟チャンネルなどでタイトル戦の生放送が見られるようになった。
そのことで、これまで知ることができなかった情報が、こうして知ることができる。
決勝の経験がなくても、学ぶことができるようになったのだ。

決勝初体験でも、しっかりと勉強さえしておけば、大事な難しい局面で答えを導き出せるかもしれない。

四万六万四索五索三筒四筒六筒七筒西西ポン中中中ドラ六筒

ここで中を鳴いて行く。その後、手は進み、

四索五索一筒三筒四筒四筒六筒七筒西西ポン中中中

こうなり、ここで上家のともたけから八筒が出る。
私はこれをチーして一筒を切るものと思っていた。
しかし、瀬戸熊は先ほどから述べているように、ここでさらに点差をつけるため、ホンイツへ向かう。
すぐに西も鳴けて、

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最後は、全員がテンパイとなる、乾坤一擲の勝負を制して、見事、インターネット麻雀日本選手権の優勝を手繰り寄せた。

勝利した瞬間、瀬戸熊はいつものポーズをとる。
腰に手をあて、胸を張って大きく深呼吸する。
その仕草は、タイトル戦の決勝を勝利で終えた直後にする、瀬戸熊特有のポーズだ。

たしか16年前に優勝したやつも、同じポーズをとっていたような気がするのは気のせいだろうか。

最終戦成績
瀬戸熊+44.7P  ともたけ+3.3P  徳川さん▲13.8P  佐々木▲34.2P

 

総合トータル
瀬戸熊+71.7P  ともたけ+45.5P  佐々木+2.3P  徳川さん▲119.5P

瀬戸熊は”暴君”と呼ばれていた時代があった。しかし、今は誰もそう呼ばない。
瀬戸熊の今の麻雀を見ていれば分かると思うが、その打ち筋は正に王道。
絶対王者と呼ぶに相応しい打ち手となった。
もはや、連盟のエースではなく、麻雀界のエースと言っても過言ではない。

世界に広がるインターネット。まだまだ世界中に多くの打ち手がいる。
それはまだ未知数ではあるが、このインターネットを使えば、何年後かには、
インターネット”世界”選手権なるものが開催されているかもしれない。

今回はネットで”クマクマタイム”が証明された。
だがしかし、麻雀が世界中に広がればきっと、瀬戸熊をも越える、そんな打ち手がいるかもしれない。
今の麻雀界は、夢が広がるばかりだ。

 

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プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第31期A2リーグ第5節レポート 櫻井 秀樹

雷電風雨(動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し)
臨機応変(機に臨みて、変に応じる)
私の掲げる人生の行動指標、いわゆる座右の銘だ。
もちろん我々麻雀プロにとっては麻雀=人生でもあるので、麻雀における行動指標といってもいいだろう。
特に2の臨機応変。
麻雀は、タイトル戦ごとのシステム、毎半荘、毎局、毎巡、他家の所作1つ1つ毎に状況が変化しうるため、固定概念や、当初の思い込みといったもので見落としや誤判断を招くことが多いというのが私の考えだ。
常に情報収集を欠かさず、変化に応じていかなければならない。
例えば、
リーグ戦(Aルール)のオーラス、原点より6,000点ほどの浮きだが現状トップ目。
さらに付け加えると、本日は4連勝すると決意し会場入り、1戦目もトップで終了。
配牌は上々、第一ツモでタンヤオの1シャンテン!2連勝も目前だ。
ところが。
2巡目にドラのファンパイをツモ切ると、2,000点強浮いている2着目(下家)が「ポン」!
状況は一変する。
変に応じるのなら、ここは下家を絞り込み、放銃だけは絶対に避ける。
最悪ツモられても、原点は切らないので、プラスポイントを維持できる
と、切り替えて対応していくのが自分の麻雀である。
ましてやリーグ戦の中盤戦ならば、1着にこだわる理由も全くないのだから・・・
今節2回戦オーラス、私は五索で佐々木のドラポンに放銃し、トップから沈みの3着まで転落してしまった。しかも、ドラ中もテンパイになる牌八万も私が鳴かせており、挙句にはテンパイ打牌のマタギで自身が暗刻の牌五索での放銃である。
<牌姿>
櫻井
三万四万五万五万七万四索五索五索五索六索七索二筒二筒  ツモ六索  打五索  ドラ中
佐々木
三索四索七索八索九索四筒四筒  チー八万 左向き六万 上向き七万 上向き  ポン中中中
佐々木 捨て牌
九筒 上向き(中ポン→)白南一索 上向き発一万 上向き(八チー→)四索 上向き
麻雀を多少知っているものなら絶対に打たない、プロ競技者ならなおさらという大暴牌だ。
しかし、私には後悔は全くなかった、自身の信条に背き、あえて上記の決意「4連勝」に拘ってみたのだ。
初のリーグ配信卓、そして同世代の人気実績共にトッププロ3人、これ以上ないアピールの場である。多少無茶してでも、自分の意思を見せつけたかった。
これからも麻雀を続けていくという意思、絶対彼らを並び追い越すという意思。
まだまだ折り返し地点、20半荘でついた差は20半荘あれば取り返せるはず。
優勝も全く諦めるつもりはない。
今回預けた点棒も必ず取り戻す。

第31期A2リーグ第5節レポート 櫻井 秀樹

雷電風雨(動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し)
臨機応変(機に臨みて、変に応じる)

私の掲げる人生の行動指標、いわゆる座右の銘だ。
もちろん我々麻雀プロにとっては麻雀=人生でもあるので、麻雀における行動指標といってもいいだろう。

特に2の臨機応変。
麻雀は、タイトル戦ごとのシステム、毎半荘、毎局、毎巡、他家の所作1つ1つ毎に状況が変化しうるため、固定概念や、当初の思い込みといったもので見落としや誤判断を招くことが多いというのが私の考えだ。

常に情報収集を欠かさず、変化に応じていかなければならない。

例えば、
リーグ戦(Aルール)のオーラス、原点より6,000点ほどの浮きだが現状トップ目。
さらに付け加えると、本日は4連勝すると決意し会場入り、1戦目もトップで終了。

配牌は上々、第一ツモでタンヤオの1シャンテン!2連勝も目前だ。
ところが。
2巡目にドラのファンパイをツモ切ると、2,000点強浮いている2着目(下家)が「ポン」!
状況は一変する。

変に応じるのなら、ここは下家を絞り込み、放銃だけは絶対に避ける。
最悪ツモられても、原点は切らないので、プラスポイントを維持できる
と、切り替えて対応していくのが自分の麻雀である。
ましてやリーグ戦の中盤戦ならば、1着にこだわる理由も全くないのだから・・・

今節2回戦オーラス、私は五索で佐々木のドラポンに放銃し、トップから沈みの3着まで転落してしまった。しかも、ドラ中もテンパイになる牌八万も私が鳴かせており、挙句にはテンパイ打牌のマタギで自身が暗刻の牌五索での放銃である。

<牌姿>
櫻井
三万四万五万五万七万四索五索五索五索六索七索二筒二筒  ツモ六索  打五索  ドラ中

佐々木
三索四索七索八索九索四筒四筒  チー八万 左向き六万 上向き七万 上向き  ポン中中中

佐々木 捨て牌
九筒 上向き(中ポン→)白南一索 上向き発一万 上向き(八チー→)四索 上向き

麻雀を多少知っているものなら絶対に打たない、プロ競技者ならなおさらという大暴牌だ。
しかし、私には後悔は全くなかった、自身の信条に背き、あえて上記の決意「4連勝」に拘ってみたのだ。

初のリーグ配信卓、そして同世代の人気実績共にトッププロ3人、これ以上ないアピールの場である。多少無茶してでも、自分の意思を見せつけたかった。

これからも麻雀を続けていくという意思、絶対彼らを並び追い越すという意思。

まだまだ折り返し地点、20半荘でついた差は20半荘あれば取り返せるはず。
優勝も全く諦めるつもりはない。

今回預けた点棒も必ず取り戻す。

特集企画/第21回ファン感謝祭レポート 太田 優介

8月16日(土)に、日本プロ麻雀連盟公式オンライン麻雀サイト『ロン2』のイベント、
第21回ファン感謝祭が行われました。
レポーターは太田優介が担当させていただきます。
約1年振りの開催(※お待たせしてすみませんでした!!)となったファン感謝祭、
久しぶりの開催ということで、「参加ユーザーさんも少なくなっちゃうかなぁ・・・」と、
僕は勝手に不安がっていましたが、いざ開場したら集合時間前にユーザーさんが続々と来場、
不安は一瞬にして雲散霧消。誰一人欠席者の出ることなく、総勢39名のユーザーさんが参加されました!
今回は毎年恒例となった浴衣デー!13名の若手女流プロが参戦しました!
 

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ルールはロン2道場ルールで半荘戦を4回。
さらには跳満以上をアガると「ロン2特製クリアファイル」or「ロン2特製ステッカー2枚セット」
のどちらかをプレゼント!(賞品が無くなった後、一部のユーザー様には、古橋プロのサイン色紙を差し上げてました(笑))
1回戦が開始されて約30分経過、目の前の卓で「ロン、48000」の声。
役満・国士無双をアガったのは、小笠原奈央プロ!
小笠原プロは2回戦も大きく加点し、非常に調子がよさそう!
逆に調子が悪そうだったのが、立花プロ、菅原プロ。
1・2回戦、ともに沈んでしまい、苦しいスタートとなってしまいました。
 
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それでは、2回戦終了後に行われたトークショーの模様をダイジェストでどうぞ!
西嶋ゆかりプロ
「北関東支部所属の西嶋です。皆さんよろしくお願いいたします。」
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富村つぐみプロ
「ファン感謝祭に参加するのは3回目です。皆さん楽しんでいってください。」
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小笠原奈央プロ
「さっき国士無双アガりました!今日もう1回役満アガりたいです!」
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井上絵美子プロ
「ファン感謝祭に参加させていただくのは二度目です。
久しぶりにお会いできた方もいらっしゃって、とても嬉しいです!」
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立花つくしプロ
「ファン感謝祭に出るのは2回目です。浴衣着れたり、初めて会う方がいたりしてとても楽しいです。」
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菅原千瑛プロ
「日本プロ麻雀連盟の菅原です・・・って、みんな連盟か(笑)
『あ、ロン!やった!』の人です。最強戦ガールの東日本エリアを担当しています。
みなさんよろしければ、ぜひ、ブログの方にコメントをお願いします!」
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井上真実プロ
「ファン感謝祭に出るのは初めてです。ちょっと浴衣が苦しいです。みなさん楽しく麻雀をしましょう!」
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白銀紗希プロ
「カピバラじゃないです。」
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月江いくこプロ
「ファン感謝祭は今まで何度か出させてもらっています。すごくたのしいです。やくまんとかあがりたいです。」
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小谷美和子プロ
「浴衣着ても何か私だけスナックのママみたいになってる・・・。『皆様ご来店いつもありがとうございます』。」
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山脇千文美プロ
「私はロン2の中で『神』と呼ばれています。なぜなら私は『神』のような存在だからです。」(本人の発言ママ)
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東城りおプロ
「ファン感謝祭に出させていただくのは初めてです。(他のプロの)皆さん、面白いコメント言ってますが、私は何も思い浮 かびません(笑)。
1・2回戦は調子が悪かったので、この後の3・4回戦は頑張ります!」
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明里あゆみプロ
「知らない方は覚えて帰ってください。私、変わったサインを使っているので、良かったらもらってください!」
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トークショーの後、古橋プロデューサーの思いつきで『写真集・国士無双』争奪ジャンケン大会を開催!
スタッフやプロも獲得権利有りというカオスな状況の中、見事、ユーザーのzettさんが『国士無双』をゲットされていました!
完全に余談ですが、スタッフの西岡プロがいいとこまで残ったのに負けて、かなり悔しそうでした・・・。
 
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そして3回戦が行われ、滞りなく終了。
暫定1位は小笠原奈央プロ!そしてあまり差無く、暫定2位に富村つぐみプロ。
ただ、差があまり無く下が詰まっているので、最終戦での大まくりも十分にありそうな状況です!
最終4回戦、小笠原プロ、富村プロ、共に大きな2着。
このまま順位変動なしかなーなんて思っていたら、その下に控えていたユーザーさんがこぞって1着を取り一気に順位変動!
この乱戦を見事に制したのはtruth8さん!!
2位は高耀太さん、そして3位に先ほど写真集をゲットしたzettさん!
そして4位に小笠原奈央プロ、5位に富村つぐみプロという結果になりました。
そして最後に13名のプロに感想をいただき、第21回ファン感謝祭は終了となりました!
今回も跳満をアガった方や、上位入賞された方には賞品や写真等のプレゼントが送られました。
久しぶりの開催となりましたが、多くの方々に参加していただき、感謝感激です。
皆様、今後ともロン2をよろしくお願いいたします!
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第21回ファン感謝祭レポート 太田 優介

8月16日(土)に、日本プロ麻雀連盟公式オンライン麻雀サイト『ロン2』のイベント、
第21回ファン感謝祭が行われました。
レポーターは太田優介が担当させていただきます。

約1年振りの開催(※お待たせしてすみませんでした!!)となったファン感謝祭、
久しぶりの開催ということで、「参加ユーザーさんも少なくなっちゃうかなぁ・・・」と、
僕は勝手に不安がっていましたが、いざ開場したら集合時間前にユーザーさんが続々と来場、
不安は一瞬にして雲散霧消。誰一人欠席者の出ることなく、総勢39名のユーザーさんが参加されました!

今回は毎年恒例となった浴衣デー!13名の若手女流プロが参戦しました!

 

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ルールはロン2道場ルールで半荘戦を4回。
さらには跳満以上をアガると「ロン2特製クリアファイル」or「ロン2特製ステッカー2枚セット」
のどちらかをプレゼント!(賞品が無くなった後、一部のユーザー様には、古橋プロのサイン色紙を差し上げてました(笑))

1回戦が開始されて約30分経過、目の前の卓で「ロン、48000」の声。

役満・国士無双をアガったのは、小笠原奈央プロ!

小笠原プロは2回戦も大きく加点し、非常に調子がよさそう!
逆に調子が悪そうだったのが、立花プロ、菅原プロ。
1・2回戦、ともに沈んでしまい、苦しいスタートとなってしまいました。

 

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それでは、2回戦終了後に行われたトークショーの模様をダイジェストでどうぞ!

西嶋ゆかりプロ
「北関東支部所属の西嶋です。皆さんよろしくお願いいたします。」

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富村つぐみプロ
「ファン感謝祭に参加するのは3回目です。皆さん楽しんでいってください。」

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小笠原奈央プロ
「さっき国士無双アガりました!今日もう1回役満アガりたいです!」

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井上絵美子プロ
「ファン感謝祭に参加させていただくのは二度目です。
久しぶりにお会いできた方もいらっしゃって、とても嬉しいです!」

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立花つくしプロ
「ファン感謝祭に出るのは2回目です。浴衣着れたり、初めて会う方がいたりしてとても楽しいです。」

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菅原千瑛プロ
「日本プロ麻雀連盟の菅原です・・・って、みんな連盟か(笑)
『あ、ロン!やった!』の人です。最強戦ガールの東日本エリアを担当しています。
みなさんよろしければ、ぜひ、ブログの方にコメントをお願いします!」

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井上真実プロ
「ファン感謝祭に出るのは初めてです。ちょっと浴衣が苦しいです。みなさん楽しく麻雀をしましょう!」

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白銀紗希プロ
「カピバラじゃないです。」

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月江いくこプロ
「ファン感謝祭は今まで何度か出させてもらっています。すごくたのしいです。やくまんとかあがりたいです。」

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小谷美和子プロ
「浴衣着ても何か私だけスナックのママみたいになってる・・・。『皆様ご来店いつもありがとうございます』。」

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山脇千文美プロ
「私はロン2の中で『神』と呼ばれています。なぜなら私は『神』のような存在だからです。」(本人の発言ママ)

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東城りおプロ
「ファン感謝祭に出させていただくのは初めてです。(他のプロの)皆さん、面白いコメント言ってますが、私は何も思い浮 かびません(笑)。
1・2回戦は調子が悪かったので、この後の3・4回戦は頑張ります!」

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明里あゆみプロ
「知らない方は覚えて帰ってください。私、変わったサインを使っているので、良かったらもらってください!」

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トークショーの後、古橋プロデューサーの思いつきで『写真集・国士無双』争奪ジャンケン大会を開催!
スタッフやプロも獲得権利有りというカオスな状況の中、見事、ユーザーのzettさんが『国士無双』をゲットされていました!
完全に余談ですが、スタッフの西岡プロがいいとこまで残ったのに負けて、かなり悔しそうでした・・・。

 

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そして3回戦が行われ、滞りなく終了。
暫定1位は小笠原奈央プロ!そしてあまり差無く、暫定2位に富村つぐみプロ。
ただ、差があまり無く下が詰まっているので、最終戦での大まくりも十分にありそうな状況です!

最終4回戦、小笠原プロ、富村プロ、共に大きな2着。
このまま順位変動なしかなーなんて思っていたら、その下に控えていたユーザーさんがこぞって1着を取り一気に順位変動!

この乱戦を見事に制したのはtruth8さん!!
2位は高耀太さん、そして3位に先ほど写真集をゲットしたzettさん!
そして4位に小笠原奈央プロ、5位に富村つぐみプロという結果になりました。

そして最後に13名のプロに感想をいただき、第21回ファン感謝祭は終了となりました!

今回も跳満をアガった方や、上位入賞された方には賞品や写真等のプレゼントが送られました。

久しぶりの開催となりましたが、多くの方々に参加していただき、感謝感激です。
皆様、今後ともロン2をよろしくお願いいたします!

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プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第31期A1リーグ第5節レポート 勝又 建志

3、4節と、攻めるべき局面でしっかりと攻め切るということに重きを置いて戦うことで、好結果を残すことができた。
結果が吉とでたこともそうだが、それ以上に、内容に手応えを感じることができていたので、今節も当然しっかりと攻め切るということを意識して対局に臨んだ。
1回戦東1局の1本場に、早くもポイントとなる局面が訪れた。
好配牌をもらった私は、8巡目に
二索二索三索三索四索四索五索六索六索六索七索北北  ドラ七索
このテンパイが入る。この時、親で上家のともたけが発をポンして、ピンズのリャンメンターツを払いマンズのホンイツ模様であっただけに、ソウズが変化すればアガれるであろうと考えていた。
次巡、ともたけからドラの七索が打ち出される。
このドラは動かずにツモを見ると東
ともたけにかなり危険な牌であるが、まだマンズも余っておらずこれはツモ切り。
この東をともたけがポンして打八万。まず間違いなくテンパイである。
さらに私のツモは五万。これをツモ切ると、次巡は六万。これは打ち切れずオリを選択する。
結果は、ともたけがハイテイで6,000オールのツモアガリとなった。
この局に、自分の課題が集約されているように思う。
第一に、ともたけから打ち出された七索。私の中にメンゼンで決めたアガリの方が勢いがつくという感覚があるが、七索だけは仕掛けるべきであった。ともたけがホンイツに向かっている以上、ここはアガリ易さを優先すべき局面である。
第二に、次巡引いてきた東。これをツモ切りともたけにテンパイを入れさせてしまうのだが、ここに大きな問題がある。この手牌で東をポンされたならば、打点、待ち共に相手の方が上回っており、自身の手牌が次巡以降勝負に見合わなくなってしまう。ならばここは一旦六索を切り、ソウズが好形に変化してから東の勝負に出るべきである。また、ともたけが仕掛けた発が1枚目ということを踏まえれば、この東にポンが入る可能性はかなり高いと考えなければならなかった。
最後に、五万を勝負して次巡の六万でのオリ。一局単位で考えるならば、東がポンされた以上、五万を切るのは全く見合っていない。これは攻めではなく、自分はホンイツをテンパイしているのだからという欲から打ち出された暴牌である。
また、大局観で戦っていくならば、自分の手牌に素直に六をも勝負し、自分の体勢を計りその結果で今後の戦い方を決めるという考え方もある。この時の私の思考は、五万が通った後の六万だけにかなり危険。ここで致命傷は負いたくないというものであった。
このように、一見普通の選択にみえるが、戦い方の基準がブレており、その場しのぎの打牌の繰り返しと言わざるをえない。
藤崎鳳凰位ならば東は打たないであろうし、瀬戸熊十段位なら六万だけでなく最後まで攻め切りその結果から対応していくであろう。
自分には足りないものが多すぎる。
しかし、それを悲観するのではなく、一つ一つと向かい合い乗り越え、次節は目指すべき麻雀を打ち切りたい。
きっとその先に決定戦があるのであろうから。

第31期A1リーグ第5節レポート 勝又 建志

3、4節と、攻めるべき局面でしっかりと攻め切るということに重きを置いて戦うことで、好結果を残すことができた。

結果が吉とでたこともそうだが、それ以上に、内容に手応えを感じることができていたので、今節も当然しっかりと攻め切るということを意識して対局に臨んだ。

1回戦東1局の1本場に、早くもポイントとなる局面が訪れた。
好配牌をもらった私は、8巡目に

二索二索三索三索四索四索五索六索六索六索七索北北  ドラ七索

このテンパイが入る。この時、親で上家のともたけが発をポンして、ピンズのリャンメンターツを払いマンズのホンイツ模様であっただけに、ソウズが変化すればアガれるであろうと考えていた。

次巡、ともたけからドラの七索が打ち出される。
このドラは動かずにツモを見ると東

ともたけにかなり危険な牌であるが、まだマンズも余っておらずこれはツモ切り。
この東をともたけがポンして打八万。まず間違いなくテンパイである。

さらに私のツモは五万。これをツモ切ると、次巡は六万。これは打ち切れずオリを選択する。
結果は、ともたけがハイテイで6,000オールのツモアガリとなった。
この局に、自分の課題が集約されているように思う。

第一に、ともたけから打ち出された七索。私の中にメンゼンで決めたアガリの方が勢いがつくという感覚があるが、七索だけは仕掛けるべきであった。ともたけがホンイツに向かっている以上、ここはアガリ易さを優先すべき局面である。

第二に、次巡引いてきた東。これをツモ切りともたけにテンパイを入れさせてしまうのだが、ここに大きな問題がある。この手牌で東をポンされたならば、打点、待ち共に相手の方が上回っており、自身の手牌が次巡以降勝負に見合わなくなってしまう。ならばここは一旦六索を切り、ソウズが好形に変化してから東の勝負に出るべきである。また、ともたけが仕掛けた発が1枚目ということを踏まえれば、この東にポンが入る可能性はかなり高いと考えなければならなかった。

最後に、五万を勝負して次巡の六万でのオリ。一局単位で考えるならば、東がポンされた以上、五万を切るのは全く見合っていない。これは攻めではなく、自分はホンイツをテンパイしているのだからという欲から打ち出された暴牌である。

また、大局観で戦っていくならば、自分の手牌に素直に六をも勝負し、自分の体勢を計りその結果で今後の戦い方を決めるという考え方もある。この時の私の思考は、五万が通った後の六万だけにかなり危険。ここで致命傷は負いたくないというものであった。

このように、一見普通の選択にみえるが、戦い方の基準がブレており、その場しのぎの打牌の繰り返しと言わざるをえない。

藤崎鳳凰位ならば東は打たないであろうし、瀬戸熊十段位なら六万だけでなく最後まで攻め切りその結果から対応していくであろう。

自分には足りないものが多すぎる。
しかし、それを悲観するのではなく、一つ一つと向かい合い乗り越え、次節は目指すべき麻雀を打ち切りたい。

きっとその先に決定戦があるのであろうから。