女流プロリーグ(女流桜花) レポート/第8期女流桜花 第4節レポート

tri tri

真夏が過ぎたとはいえ、まだまだ強い日射しが照り付ける中「女流桜花」の第4節が開催されました。
終盤の第4節(予選は全5節)。
今節の結果次第では、昇級か残留か、次節(予選最終節)の闘い方が決まる、ある意味節目の対局と言っていいでしょう。
Aリーグでは、プレーオフに向けたボーダーラインが見えてくる大事な対局。
私の第4節のテーマを「プラスすること」に設定しました。
上位にいる選手とのポイント差を少しでも詰めること。
上位選手に突き放されずにプレーオフを目指そうと考えたのです。
注目の卓組が発表されました。
私の卓は小宮山プロ、和久津プロ、朝霧プロ、野村プロ。
ついに、あの「超攻撃型アマゾネス」との対決です!
今期の女流桜花で、私がもっとも警戒し、もっとも恐れていた相手。
実際和久津プロは、持ち前の攻撃力で2節、3節と快調にポイントを積み重ね、現時点で首位に立っているのです。
そんな相手と、まさかこの節目の対局で闘うことになろうとは……。
彼女の「超攻撃モード」に、いつも苦しめられてきた私としては、正念場といっても過言ではありません。
対局が始まりました。
東2局、和久津プロの親番。
案の定、すんなりとはこの親は流れませんでした。
並の打ち手なら、首位にいるということで、ポイントの「守り」に入る人も少なくないのですが、和久津プロにはそんなセオリー(?)は通用しない。
リーチを打つべき手は迷わずリーチをかけ、しっかりとアガリをものにしていく。
普段と変わらない強さを随所で発揮し、早くも和久津プロのペースに持ち込んだのであります。
その強靭な精神力と飽くなき闘争心には、ただただ圧倒されるばかり。
オーラス、親番の私の手牌が次の形。
四万四万七万七万八万八万九万九万三筒四筒五筒七筒八筒  ドラ二万
アマゾネスに何とか一矢報いようと即リーチに踏み切りました。
すると同じ想いからか、小宮山プロも渾身の追っかけリーチ。
2軒リーチに挟まれた和久津プロ。
しかしまったく臆することなく、
和久津「ロン!」
二万二万六万七万一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ロン八万
この満貫手でフィニッシュを決めたのでした。
強い!
結局1回戦は和久津プロが+40Pオーバーの大トップ。
続く2回戦。
和久津プロの素晴らしい攻撃麻雀に刺激を受けた私が+50Pのトップでお返し。
1回戦のマイナスを帳消しにし、ポイントをプラスに転じさせたのです。
そして3回戦は野村プロが爆発。
猛攻に次ぐ猛攻で1人浮きのトップをものにします。
1回戦から激しい闘いが繰り広げられ、対局終了直後はしばらく口をきけないぐらい疲労していました。
でも、終わってみれば目標クリアのプラスポイント。
上位選手たちとの差を縮めることに成功したのであります。
さて、別卓の様子はどうだったのでしょう。
今節で対戦した仲田プロと古谷プロにお話しをお聞きしました。
仲田プロ「古谷プロの押し引きが凄くよかったと思う。お互い勝負手でぶつかったとき、1巡の差でアガリきられてしまいました」
仲田プロの勝負手とは次の手牌。
八万九万七索八索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒東東
チャンタ三色のペン七万待ち。
このとき古谷プロの手牌も、
七万八万九万一索一索三索七索八索九索七筒八筒九筒南南
ご覧のように同じくチャンタ三色のテンパイ。
カン二索に受けるか、一索南のシャンポン待ちに受けるか。
古谷プロはここから打一索
古谷プロ「次巡にすぐ二索をツモりました。前節のマイナスを気にせず縮こまらないで打てたことと、手が入っていたことがいい結果につながったようです」
縮こまらないで打つ――和久津プロ同様、古谷プロにもメンタル面の強さを見た想いです。
さて来節はいよいよ最終節。
Aリーグはプレーオフに向けて、B、Cリーグは昇級へ向けて、更に激しい闘いが演じられていくことでしょう。
今節、目標を達成した私も、さらに調整を密にして、予選ラストバトルに臨む覚悟でおります。

第8期女流桜花 第4節レポート

tri tri

真夏が過ぎたとはいえ、まだまだ強い日射しが照り付ける中「女流桜花」の第4節が開催されました。
終盤の第4節(予選は全5節)。

今節の結果次第では、昇級か残留か、次節(予選最終節)の闘い方が決まる、ある意味節目の対局と言っていいでしょう。
Aリーグでは、プレーオフに向けたボーダーラインが見えてくる大事な対局。
私の第4節のテーマを「プラスすること」に設定しました。
上位にいる選手とのポイント差を少しでも詰めること。
上位選手に突き放されずにプレーオフを目指そうと考えたのです。

注目の卓組が発表されました。
私の卓は小宮山プロ、和久津プロ、朝霧プロ、野村プロ。
ついに、あの「超攻撃型アマゾネス」との対決です!
今期の女流桜花で、私がもっとも警戒し、もっとも恐れていた相手。
実際和久津プロは、持ち前の攻撃力で2節、3節と快調にポイントを積み重ね、現時点で首位に立っているのです。
そんな相手と、まさかこの節目の対局で闘うことになろうとは……。
彼女の「超攻撃モード」に、いつも苦しめられてきた私としては、正念場といっても過言ではありません。

対局が始まりました。
東2局、和久津プロの親番。
案の定、すんなりとはこの親は流れませんでした。
並の打ち手なら、首位にいるということで、ポイントの「守り」に入る人も少なくないのですが、和久津プロにはそんなセオリー(?)は通用しない。
リーチを打つべき手は迷わずリーチをかけ、しっかりとアガリをものにしていく。
普段と変わらない強さを随所で発揮し、早くも和久津プロのペースに持ち込んだのであります。
その強靭な精神力と飽くなき闘争心には、ただただ圧倒されるばかり。

オーラス、親番の私の手牌が次の形。

四万四万七万七万八万八万九万九万三筒四筒五筒七筒八筒  ドラ二万

アマゾネスに何とか一矢報いようと即リーチに踏み切りました。
すると同じ想いからか、小宮山プロも渾身の追っかけリーチ。
2軒リーチに挟まれた和久津プロ。
しかしまったく臆することなく、
和久津「ロン!」

二万二万六万七万一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ロン八万

この満貫手でフィニッシュを決めたのでした。
強い!
結局1回戦は和久津プロが+40Pオーバーの大トップ。

続く2回戦。
和久津プロの素晴らしい攻撃麻雀に刺激を受けた私が+50Pのトップでお返し。
1回戦のマイナスを帳消しにし、ポイントをプラスに転じさせたのです。

そして3回戦は野村プロが爆発。
猛攻に次ぐ猛攻で1人浮きのトップをものにします。

1回戦から激しい闘いが繰り広げられ、対局終了直後はしばらく口をきけないぐらい疲労していました。
でも、終わってみれば目標クリアのプラスポイント。
上位選手たちとの差を縮めることに成功したのであります。

さて、別卓の様子はどうだったのでしょう。
今節で対戦した仲田プロと古谷プロにお話しをお聞きしました。

仲田プロ「古谷プロの押し引きが凄くよかったと思う。お互い勝負手でぶつかったとき、1巡の差でアガリきられてしまいました」
仲田プロの勝負手とは次の手牌。

八万九万七索八索九索一筒二筒三筒七筒八筒九筒東東

チャンタ三色のペン七万待ち。
このとき古谷プロの手牌も、

七万八万九万一索一索三索七索八索九索七筒八筒九筒南南

ご覧のように同じくチャンタ三色のテンパイ。
カン二索に受けるか、一索南のシャンポン待ちに受けるか。
古谷プロはここから打一索

古谷プロ「次巡にすぐ二索をツモりました。前節のマイナスを気にせず縮こまらないで打てたことと、手が入っていたことがいい結果につながったようです」

縮こまらないで打つ――和久津プロ同様、古谷プロにもメンタル面の強さを見た想いです。

さて来節はいよいよ最終節。
Aリーグはプレーオフに向けて、B、Cリーグは昇級へ向けて、更に激しい闘いが演じられていくことでしょう。
今節、目標を達成した私も、さらに調整を密にして、予選ラストバトルに臨む覚悟でおります。

プロクイーン決定戦 レポート/第11期プロクイーン決定戦 ベスト16レポート

queen11

 
2013年8月31日
一時期の涼しさが鳴りを潜め、猛暑が戻る事2日。
新橋にてプロクイーンのベスト16が行われました。
プロクイーンの参加資格は最高位戦日本プロ麻雀協会、日本プロ麻雀協会、そして日本プロ麻雀連盟の3団体の女流プロである事。
予選を勝ち上がった12名に、前年度決勝進出者である、清水、和久津、室伏、豊後の4名を加えた16名で翌日に行われるベスト8への切符を賭けた戦いが行われます。
ルールは一発裏ドラのある連盟Bルール。
30,000点持ち30,000点返しの順位点が5,000点、15,000点。
いわゆるオカがなく、順位点も1着順10,000点差なので、着順に加え素点が大事なルールでしょうか。
A卓:清水香織、茅森早香(最高位戦)、白河雪菜、手塚紗掬

queen11

 
3人のベテラン選手に若手人気ナンバー1の白河が挑むといった形のカードとなりました。
ご存知、セメントクイーンこと清水の超攻撃的麻雀に釣られて高打点の応酬になるかと思われましたが、序盤は意外にも小場な展開に。
それでも1回戦南3局微差のトップ目だった清水が、ラス目の茅森のリーチに一発で飛び込み、12,000を献上した辺りから卓上に熱が帯びてきます。
この放銃で1回戦目トップからラスとなってしまった清水ですが、
そこは天下のセメントクイーン、1回戦のラスはハンデかと言うかの如く2回戦以降はその攻撃力を見せ付けます。
圧巻は3回戦。
東3局、親の茅森の、
三万四万六万七万八万三筒三筒四筒五筒六筒三索四索五索  ドラ四筒
このリーチに一発で放銃してしまうのですが、
次局、清水が6巡目に以下の捨て牌でリーチ。
二万 上向き六索 上向き三筒 上向き三筒 上向き七筒 上向き北  ドラ六万
4巡目の三筒はツモ切りなので、まぁ七対子濃厚な捨て牌でしょう。
数巡してドラをツモり、案の定七対子。
六万一筒一筒五筒五筒八筒八筒五索五索東東白白  ツモ六万  ドラ六万
裏ドラも乗って4,000・8,000。
前局の放銃に利子を付けて返してもらったかと思えば、東4局は567のタンピン三色をリーチしてツモり3,000・6,000。あっという間にトップ目に踊りだします。
とまぁ、ここまではそこらの攻撃派ならよくあること。
超攻撃的はここからもう一伸びあるから超攻撃的なんでしょうね。
南2局、親の白河が高目ドラのタンヤオを先制リーチ。
それに追いついた清水の手牌がこちら。
三万四万五万六索六索白白白発発発中中  ドラ六筒
尚、このテンパイは門前です。結果は言わずともおわかりですね?
ベスト16は展開があまり向いていなかった白河ですが、32,000の放銃はちょっと可哀想。
そんな白河は4回戦の開局親番で4,000オールをツモり、45,000点まで持ち点を増やすも、東2局に手塚が親番でピンフイーペーコードラ2をリーチ。
軽くツモって6,000オールでは、やはり本日はお日柄ではなかったようで。
これを糧にまた来年頑張ってもらいたいところです。
ちなみにそんな4回戦もトップはやっぱり清水。
もうこの人に逆らうのは止めましょう。そんな声が卓上から聞こえてきそうです。
となると問題は2着争い。
こちらも4回戦を終わって、ほぼ、手塚で決まりの状態。
1回戦、2回戦と連勝した貯金が清水台風に晒されるも、なんとか持ちこたえて3着の茅森に80P差を付けています。
茅森も内容は悪くはなく、清水から満貫クラスの直撃を何度も成就させているのですが、攻撃が単発で終わってしまっては、それ以上の攻撃を見せ付ける相手には埋もれてしまうのが現実。
それでも、最終戦の南場に、
一索三索四索五索六索発発  ポン白白白  ポン中中中  ドラ三索
執念でこのテンパイを入れるも、以後手変わりはせずゲームセット。
A卓は、清水、手塚の勝ちあがりとなりました。
最終成績
清水香織+91.6P 手塚紗掬+50.8P 茅森早香▲20.1P 白河雪菜▲124.3P
 
B卓:和久津晶、野村麻衣子、大里奈美、内山えみ

queen11

 
アマゾネスこと和久津晶が実力、実績共に断トツなのは文句の付けようのないところ。
野村、大里、内山の3名がどこまで喰らい付くことができるかというのが大方の予想でしょう。
1回戦は、東場の親で一気に点棒を稼いぎトップ目に立った和久津を見て、ああ、やっぱりそうですよねと思っていたのも束の間、南3局に事態は急展開。
親番は大里で、500オール(700オール)をツモった3本場、野村が高目イーペーコーの一筒四筒待ちで先制リーチ。
これに追いついた大里ですが、
一万二万三万八万八万四筒五筒五筒五筒二索三索四索六索七索  ドラ二索
現在23,000持ちの3着目。リーチの現物はメンツの中抜きになってしまいます。
そんなリーチの一発目にさて何を切る。って、大多数の人は四筒を切って追いかけリーチでしょう。
しかしそれでは最低5,200以上の放銃です。
ここで大里はメンツの中抜きを選択。
この選択は正直なところ賛否両論あると思います。
四筒がそれこそ手牌が透けて当たり牌だってわからない以上、リーチを打つべきと思う人。
この状況でもまだ我慢できるんだと思う人。
恐らくマジョリティは追いかけリーチでしょう。しかし、大里は当たり牌を止めてテンパイを崩した。
結果として当たり牌を打たなかったという選択は素晴らしいと思います。
しかも、その後、粘って粘って形テンまで持ち込んで連荘。
相手のアガリを潰して、しかも連荘のおまけ付きとなれば、次は自分の番になってもおかしくはありません。
次局、和久津のリーチを掻い潜って、野村から12,000をアガってからは独壇場。
気がつけば78,700点のビックイニングとなりました。
そんな煽りを喰らいつつも、なんとか2着に踏みとどまった和久津ですが、今日はあまり調子がよくありません。
印象としては焦りすぎているとった感じでしょうか。
特に印象的だったのは2回戦目のオーラス。
野村が以下の捨て牌で先行リーチ。
二筒 上向き三筒 上向き三万一索 上向き一筒 上向き西
二万 上向き九筒 上向き白東七万 上向き九索 左向き  ドラ六筒
これを受けて和久津。
二万二万二万六万六万七万七筒八筒二索二索四索五索六索発
現在の持ち点は、
大里38,800 野村31,900 内山31,800 和久津17,500
野村のリーチは捨て牌から手役絡みの可能性が高く、手役が絡んでいる以上、トップを見たリーチであると仮定するなら最低でも3翻。そうでなければ、リーチ棒を出して3着に落ちる必要がありません。
そして和久津は満貫をツモってもラス目のまま。
この手牌はドラの六筒でアガれても、5,200か満願ツモまで。
となると、テンパイが入っていないところからわざわざ危険牌を打つのは微妙です。
しかし和久津の選んだ打牌は発
野村の手牌は、
六筒六筒四索四索七索七索八索八索東東北北発  ロン発
裏は乗らず満貫となりました。
まだ2回戦とはいえ、一度悪い流れを作ってしまっては、それを抜け出すのは容易ではありません。
3回戦目も、南3局の時点で10,000強のラス目に。
ここで連続ラスを引いてしまうと、残り2回で80P以上のビハインドになってしまいますが、自力では断トツの和久津。
七万八万九万一筒一筒三筒四筒五筒三索四索五索六索七索  リーチ  ツモ八索  ドラ四索  ウラ一筒
ツモまでに時間はかかりましたが、この3,000・6,000とオーラスも自力でアガって何とか3着に浮上。
残り2回で55P差までに食い止めると、4回戦では待望の初トップ。
トータルポイントも3着に浮上し、2着目の野村と23.8P差で最終5回戦を迎えます。
しかし、5回戦は野村が序盤に加点を加え、東場を終わった時点で持ち点が50,000超え。
対する和久津は20,000持ちに。
南1局の和久津、最後の親番でもテンパイを入れる事ができず、親番無しで30,000点以上の差と絶望的な状況に。
しかし、ここからがアマゾネスの真骨頂。
南2局にホンイツの満貫仕掛けで積極的に動き、鳴いた役牌を加カンすると新ドラは雀頭の一万
さらにリンシャンでツモりアガって4,000・8,000。
辛うじて可能性を残す事に成功します。
そして運命のオーラス。
和久津の条件は、オーラス開始時では跳満ツモ、野村からの満貫直撃。
しかし、内山がトータルラス目の親なので連荘する限りチャンスは残ります。
流局、2,000オールと続き、3本場では内山のリーチに何とか和久津がテンパイまでこぎつけ、野村との点差をさらに縮めます。
4本場での条件は3,900直撃、1,600・3,200ツモ、更には大里から跳満直撃でもOKと条件が軽くなりましたが、
この局も内山の1人テンパイで流局。しかし、供託のリーチ棒で更に条件が変わります。
5本場では1,300・2,600ツモ、8,000出アガリ、3,900直撃となりました。
ここで和久津が以下の形
七万八万九万一索二索三索三索四索六索六索六索七索八索中  ドラ西
現状ピンフなので、リーチしてツモって裏条件。
流石にテンパイを取りますがリーチはかけられません。
しかし親である上家の内山の二索に反応しチンイツに路線変更。
八万九万二索三索四索六索六索六索七索八索  チー二索一索三索
一通、またはイーペーコーでも条件を満たすので難しいところではありますが、連荘しなくてはいけない内山からならソーズは鳴けると踏んだのでしょう。
事実、次巡には九索も鳴け、さらに自力で五索をツモってついにテンパイ。
二索三索四索五索六索六索六索  チー九索七索八索 チー二索一索三索
こうなれば、後は時間の問題。
程なく七索で出アガリとなり、劣勢を跳ね除けベスト8に勝ち上がりました。
最終成績
大里奈美+43.8P  和久津晶+21.2P  野村麻衣子+20.4P  内山えみ▲85.4P
 
C卓:室伏理麻、二階堂瑠美、宮内こずえ、仲田加南

queen11

 
4名ともプロ歴の長いプレイヤーの卓となりました。
二階堂、宮内は言わずも知れたトッププロ、仲田も女流桜花優勝経験のある実力派プロですし、室伏は前年度決勝進出にチャンピオンズリーグのタイトルも持っています。
レベルの高い闘牌が見られるかなぁと思っていると、1回戦どの卓よりも早く親の宮内のポンの声が会場を響かせます。
まぁ1枚目だし親番特有の早い仕掛けかなと遠くから見ていると、終盤にツモの声。
四筒五筒六筒東東東発発発中  ポン白白白  ツモ中  ドラ七筒
・・・倍満?
更に東ラスに親番の二階堂が連荘を続けてこの配牌。
六万三筒八筒九筒一索九索南西北北北白発中  ドラ中
9種11牌ですが、手役を好む二階堂は一気に国士に向かうかと思えば、第1打は発
これはちょっと珍しいので、後で本人に聞くと、
「開局からあんな倍満見せられたら悠長に手役狙ってられないよね」
なるほど。ごもっともです。普段ならほぼ100%六万切りでしょうしね。
しかし、この考えが見事にハマり、あれよあれよという間に以下のテンパイに
六万六万一筒二筒三筒八筒八筒八筒九索九索北北北
六万から切っていたら間違いなくこのテンパイは取れなかったでしょう。
リーチを打つと、一発目のツモはなんと九索。おまけにウラドラも九索
六万六万一筒二筒三筒八筒八筒八筒九索九索北北北  リーチ  ツモ九索  ドラ中  ウラ九索
・・・倍満?
何時の間にやら、花火大会の会場にでも紛れ混んでしまったかの様な高打点の応酬です。
この後、連荘の煽りを受けて原点まで点棒を戻してしまった宮内も、南場の親番で12,000を室伏からゲットして2着キープ
仲田はなんとか最小失点の3着にまとめるも、室伏は2人の煽りを受けて大きなラスを引いてしまう苦しい展開に。
しかし、この卓の主役は二階堂でも宮内でもなく・・・仲田でした。
派手さはありませんでしたが、要所要所を本当に上手くまとめ、2回戦以降は無傷の3連勝。
5回戦目を前に勝ち上がりをほぼ決めてしまいます。
逆に室伏は、最後まで不調から抜け出すことが出来ずに脱落。
2着の椅子を賭けて最終戦、二階堂と宮内の一騎打ちとなります。
この時点でのポイントは、
仲田+78.8P 二階堂+26.6P 宮内+5.7P 室伏▲111.1P
1着順10,000点(10P)なので、宮内からしてみると、二階堂に2着順ならほぼOK、1着順なら10,000点差が必要となります。
が、無常にも開局、二階堂の4,000オール、5,800が炸裂し大きなビハインドを受けてしまいます。
これを乗り越える力は残っておらず、残念ながらここで敗退。
C卓は、二階堂、仲田の勝ちあがりとなりました。
最終成績
二階堂瑠美+73.5P 仲田加南+68.3P 宮内こずえ▲38.1P 室伏理麻▲103.7P
 
D卓:豊後葵(協会)、和泉由希子、魚谷侑未、涼崎いづみ(最高位戦)

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女流桜花連覇に女流モンド、天空麻雀と、この1年で最も活躍した女流プロと言えばこの魚谷でしょう。
現時点で最強の女流プロと言っても過言ではありません。
それに立ち向かうは、『ICE DOLL』和泉由希子、プロクイーン優勝経験を持つ涼崎いずみ、前年度決勝の豊後葵の3名。
しかし魚谷はピリっとしません。1回戦は放銃が目立ちラス。
まずは主導権を握りたかったのでしょうが、オリなかった局がことごとく放銃に回ってしまいます。
同卓の豊後も仕掛けの入りは魚谷似ているのですが、こちらは仕掛けた後に他家に押し返された場合、かなりの確率で受けに回って放銃を回避しているといった場面が多くありました。
特に印象的だったのが、親番で役牌を仕掛けてこんな形。
三万三万四万四万七万八万九万  ポン南南南  ポン中中中
出アガリ5,800、ツモって2,600オールのテンパイです。
これに和泉が追いつきリーチ。豊後が一発で掴んだのが五索
当然五索は通っていない牌なのですが、自身もそこそこの打点を持ったテンパイならば、五索勝負といく人が多そうですが、豊後は即メンツの中抜きでオリ。
結果、五索は和泉の当たり牌だったのですが、とにかく豊後は仕掛けた後の他家の動向に敏感で、この日はそれが上手くマッチしていたように見えました。
調子が良い日はやる事なす事が上手くいくものですが、この日の豊後は正にそんな感じでしょう。
非常に良いリズムで対局に迎えていたのではないかと思います。
さて、そんなD卓ですが、苦しみながらも魚谷は2回戦のオーラスに、
発ポン、白ポン、一万ポンとして以下のテンパイ。
四万四万六万七万  ポン一万一万一万  ポン白白白  ポン発発発  ドラ五万
現在34,300持ちの2着目(トップは涼崎の40,100)なので、これをアガればトップに立ちます。
これに追いついたのが親の豊後、
二万二万二万六筒六筒七筒七筒八筒八筒二索二索六索八索
この形でリーチ。
そして魚谷がリーチの一発目にツモった牌は四万
四万四万六万七万  ツモ四万  ポン一万一万一万  ポン白白白  ポン発発発
さあどうする、と、考える間もなく打七万。そして次巡にツモ六万
跳満となり1回戦のマイナスを帳消しにするトップとなりました。
この選択自体は別段光るものでもなく、当たり前の打牌であると思うのですが、親のリーチの一発目でこの七万をノータイムで切れるのは魚谷の長所でしょう。
女流プロに限らず、こういった状況で一旦考えてしまう人を多く見ますが、手牌4枚で入れる長考はデメリットの部分を多く露出してしまいます。
そもそもこの状況で考えるくらいなら、手牌を4枚にする事自体がナンセンスではないかと思います。
さて、対局の方は進んで4回戦オーラス。
ここまでのポイントは、
豊後+44.4P 涼崎+7.2P 魚谷+0.1P 和泉▲51.7P
そしてオーラスを迎えた持ち点は
豊後29,800、涼崎15,800 魚谷35,300 和泉39,100
このまま終われば豊後が有利な状況で、残り3人の争いといった感じでしょうか。
そんな魚谷は、第1ツモをツモって9種10牌。
親は和泉であること、できればトップを取りたいがこのままの並びでもトータル2着に浮上すること。
色々考えた結果、魚谷は流さず続行。
これが功を奏し、6巡目で1シャンテン。
そして8巡目に待望のテンパイが。さらに白は場に0枚。
豊後も八索をポンして応戦します。
決着は10巡目。涼崎が白を河に置くと豊後からポン、魚谷からロンの声が。
これで2着、3着のポイント差がおよそ80P。
残り1回戦では挽回する事はできず豊後、魚谷の勝ち上がりとなりました。
ちなみにこの局、実は豊後も放銃の危険がありました。
八索を仕掛けた残りの形は、白がトイツにドラの三索もトイツ、残りが全てタンヤオ牌だったので、先に誰かがドラの三索を切った日にはポンして白のトイツ落としで放銃・・・なんて事がありえたかもしれません。
D卓最終成績
豊後葵+49.3P 魚谷侑未+46.7P 和泉由希子▲10.1P 涼崎いずみ▲86.9P
 
 
これによりベスト8の卓組みが決まりました。
A卓:清水香織 vs 和久津晶 vs 二階堂瑠美 vs 魚谷侑未
B卓:手塚紗掬 vs 大里奈美 vs 仲田加南 vs 豊後葵
A卓は攻撃的な4人となったので激戦必死。B卓は好調を続ける新人の大里がどこまで戦えるか。
引き続きベスト8のレポートも担当させていただきますのでお楽しみに!

第11期プロクイーン決定戦 ベスト16レポート

queen11

 

2013年8月31日
一時期の涼しさが鳴りを潜め、猛暑が戻る事2日。
新橋にてプロクイーンのベスト16が行われました。

プロクイーンの参加資格は最高位戦日本プロ麻雀協会、日本プロ麻雀協会、そして日本プロ麻雀連盟の3団体の女流プロである事。

予選を勝ち上がった12名に、前年度決勝進出者である、清水、和久津、室伏、豊後の4名を加えた16名で翌日に行われるベスト8への切符を賭けた戦いが行われます。

ルールは一発裏ドラのある連盟Bルール。
30,000点持ち30,000点返しの順位点が5,000点、15,000点。
いわゆるオカがなく、順位点も1着順10,000点差なので、着順に加え素点が大事なルールでしょうか。

A卓:清水香織、茅森早香(最高位戦)、白河雪菜、手塚紗掬

queen11

 

3人のベテラン選手に若手人気ナンバー1の白河が挑むといった形のカードとなりました。

ご存知、セメントクイーンこと清水の超攻撃的麻雀に釣られて高打点の応酬になるかと思われましたが、序盤は意外にも小場な展開に。

それでも1回戦南3局微差のトップ目だった清水が、ラス目の茅森のリーチに一発で飛び込み、12,000を献上した辺りから卓上に熱が帯びてきます。

この放銃で1回戦目トップからラスとなってしまった清水ですが、
そこは天下のセメントクイーン、1回戦のラスはハンデかと言うかの如く2回戦以降はその攻撃力を見せ付けます。

圧巻は3回戦。
東3局、親の茅森の、

三万四万六万七万八万三筒三筒四筒五筒六筒三索四索五索  ドラ四筒

このリーチに一発で放銃してしまうのですが、
次局、清水が6巡目に以下の捨て牌でリーチ。

二万 上向き六索 上向き三筒 上向き三筒 上向き七筒 上向き北  ドラ六万

4巡目の三筒はツモ切りなので、まぁ七対子濃厚な捨て牌でしょう。
数巡してドラをツモり、案の定七対子。

六万一筒一筒五筒五筒八筒八筒五索五索東東白白  ツモ六万  ドラ六万

裏ドラも乗って4,000・8,000。

前局の放銃に利子を付けて返してもらったかと思えば、東4局は567のタンピン三色をリーチしてツモり3,000・6,000。あっという間にトップ目に踊りだします。

とまぁ、ここまではそこらの攻撃派ならよくあること。
超攻撃的はここからもう一伸びあるから超攻撃的なんでしょうね。

南2局、親の白河が高目ドラのタンヤオを先制リーチ。
それに追いついた清水の手牌がこちら。

三万四万五万六索六索白白白発発発中中  ドラ六筒

尚、このテンパイは門前です。結果は言わずともおわかりですね?
ベスト16は展開があまり向いていなかった白河ですが、32,000の放銃はちょっと可哀想。

そんな白河は4回戦の開局親番で4,000オールをツモり、45,000点まで持ち点を増やすも、東2局に手塚が親番でピンフイーペーコードラ2をリーチ。
軽くツモって6,000オールでは、やはり本日はお日柄ではなかったようで。
これを糧にまた来年頑張ってもらいたいところです。

ちなみにそんな4回戦もトップはやっぱり清水。
もうこの人に逆らうのは止めましょう。そんな声が卓上から聞こえてきそうです。

となると問題は2着争い。
こちらも4回戦を終わって、ほぼ、手塚で決まりの状態。
1回戦、2回戦と連勝した貯金が清水台風に晒されるも、なんとか持ちこたえて3着の茅森に80P差を付けています。

茅森も内容は悪くはなく、清水から満貫クラスの直撃を何度も成就させているのですが、攻撃が単発で終わってしまっては、それ以上の攻撃を見せ付ける相手には埋もれてしまうのが現実。

それでも、最終戦の南場に、

一索三索四索五索六索発発  ポン白白白  ポン中中中  ドラ三索

執念でこのテンパイを入れるも、以後手変わりはせずゲームセット。

A卓は、清水、手塚の勝ちあがりとなりました。

最終成績
清水香織+91.6P 手塚紗掬+50.8P 茅森早香▲20.1P 白河雪菜▲124.3P

 

B卓:和久津晶、野村麻衣子、大里奈美、内山えみ

queen11

 

アマゾネスこと和久津晶が実力、実績共に断トツなのは文句の付けようのないところ。
野村、大里、内山の3名がどこまで喰らい付くことができるかというのが大方の予想でしょう。

1回戦は、東場の親で一気に点棒を稼いぎトップ目に立った和久津を見て、ああ、やっぱりそうですよねと思っていたのも束の間、南3局に事態は急展開。

親番は大里で、500オール(700オール)をツモった3本場、野村が高目イーペーコーの一筒四筒待ちで先制リーチ。
これに追いついた大里ですが、

一万二万三万八万八万四筒五筒五筒五筒二索三索四索六索七索  ドラ二索

現在23,000持ちの3着目。リーチの現物はメンツの中抜きになってしまいます。
そんなリーチの一発目にさて何を切る。って、大多数の人は四筒を切って追いかけリーチでしょう。
しかしそれでは最低5,200以上の放銃です。

ここで大里はメンツの中抜きを選択。
この選択は正直なところ賛否両論あると思います。

四筒がそれこそ手牌が透けて当たり牌だってわからない以上、リーチを打つべきと思う人。
この状況でもまだ我慢できるんだと思う人。

恐らくマジョリティは追いかけリーチでしょう。しかし、大里は当たり牌を止めてテンパイを崩した。
結果として当たり牌を打たなかったという選択は素晴らしいと思います。
しかも、その後、粘って粘って形テンまで持ち込んで連荘。

相手のアガリを潰して、しかも連荘のおまけ付きとなれば、次は自分の番になってもおかしくはありません。
次局、和久津のリーチを掻い潜って、野村から12,000をアガってからは独壇場。
気がつけば78,700点のビックイニングとなりました。

そんな煽りを喰らいつつも、なんとか2着に踏みとどまった和久津ですが、今日はあまり調子がよくありません。
印象としては焦りすぎているとった感じでしょうか。

特に印象的だったのは2回戦目のオーラス。
野村が以下の捨て牌で先行リーチ。

二筒 上向き三筒 上向き三万一索 上向き一筒 上向き西
二万 上向き九筒 上向き白東七万 上向き九索 左向き  ドラ六筒

これを受けて和久津。

二万二万二万六万六万七万七筒八筒二索二索四索五索六索発

現在の持ち点は、
大里38,800 野村31,900 内山31,800 和久津17,500

野村のリーチは捨て牌から手役絡みの可能性が高く、手役が絡んでいる以上、トップを見たリーチであると仮定するなら最低でも3翻。そうでなければ、リーチ棒を出して3着に落ちる必要がありません。

そして和久津は満貫をツモってもラス目のまま。
この手牌はドラの六筒でアガれても、5,200か満願ツモまで。
となると、テンパイが入っていないところからわざわざ危険牌を打つのは微妙です。

しかし和久津の選んだ打牌は発
野村の手牌は、

六筒六筒四索四索七索七索八索八索東東北北発  ロン発

裏は乗らず満貫となりました。
まだ2回戦とはいえ、一度悪い流れを作ってしまっては、それを抜け出すのは容易ではありません。

3回戦目も、南3局の時点で10,000強のラス目に。
ここで連続ラスを引いてしまうと、残り2回で80P以上のビハインドになってしまいますが、自力では断トツの和久津。

七万八万九万一筒一筒三筒四筒五筒三索四索五索六索七索  リーチ  ツモ八索  ドラ四索  ウラ一筒

ツモまでに時間はかかりましたが、この3,000・6,000とオーラスも自力でアガって何とか3着に浮上。
残り2回で55P差までに食い止めると、4回戦では待望の初トップ。
トータルポイントも3着に浮上し、2着目の野村と23.8P差で最終5回戦を迎えます。

しかし、5回戦は野村が序盤に加点を加え、東場を終わった時点で持ち点が50,000超え。
対する和久津は20,000持ちに。
南1局の和久津、最後の親番でもテンパイを入れる事ができず、親番無しで30,000点以上の差と絶望的な状況に。

しかし、ここからがアマゾネスの真骨頂。
南2局にホンイツの満貫仕掛けで積極的に動き、鳴いた役牌を加カンすると新ドラは雀頭の一万
さらにリンシャンでツモりアガって4,000・8,000。
辛うじて可能性を残す事に成功します。

そして運命のオーラス。
和久津の条件は、オーラス開始時では跳満ツモ、野村からの満貫直撃。
しかし、内山がトータルラス目の親なので連荘する限りチャンスは残ります。

流局、2,000オールと続き、3本場では内山のリーチに何とか和久津がテンパイまでこぎつけ、野村との点差をさらに縮めます。

4本場での条件は3,900直撃、1,600・3,200ツモ、更には大里から跳満直撃でもOKと条件が軽くなりましたが、
この局も内山の1人テンパイで流局。しかし、供託のリーチ棒で更に条件が変わります。

5本場では1,300・2,600ツモ、8,000出アガリ、3,900直撃となりました。
ここで和久津が以下の形

七万八万九万一索二索三索三索四索六索六索六索七索八索中  ドラ西

現状ピンフなので、リーチしてツモって裏条件。
流石にテンパイを取りますがリーチはかけられません。

しかし親である上家の内山の二索に反応しチンイツに路線変更。

八万九万二索三索四索六索六索六索七索八索  チー二索一索三索

一通、またはイーペーコーでも条件を満たすので難しいところではありますが、連荘しなくてはいけない内山からならソーズは鳴けると踏んだのでしょう。
事実、次巡には九索も鳴け、さらに自力で五索をツモってついにテンパイ。

二索三索四索五索六索六索六索  チー九索七索八索 チー二索一索三索

こうなれば、後は時間の問題。
程なく七索で出アガリとなり、劣勢を跳ね除けベスト8に勝ち上がりました。

最終成績
大里奈美+43.8P  和久津晶+21.2P  野村麻衣子+20.4P  内山えみ▲85.4P

 

C卓:室伏理麻、二階堂瑠美、宮内こずえ、仲田加南

queen11

 

4名ともプロ歴の長いプレイヤーの卓となりました。
二階堂、宮内は言わずも知れたトッププロ、仲田も女流桜花優勝経験のある実力派プロですし、室伏は前年度決勝進出にチャンピオンズリーグのタイトルも持っています。

レベルの高い闘牌が見られるかなぁと思っていると、1回戦どの卓よりも早く親の宮内のポンの声が会場を響かせます。

まぁ1枚目だし親番特有の早い仕掛けかなと遠くから見ていると、終盤にツモの声。

四筒五筒六筒東東東発発発中  ポン白白白  ツモ中  ドラ七筒

・・・倍満?

更に東ラスに親番の二階堂が連荘を続けてこの配牌。

六万三筒八筒九筒一索九索南西北北北白発中  ドラ中

9種11牌ですが、手役を好む二階堂は一気に国士に向かうかと思えば、第1打は発
これはちょっと珍しいので、後で本人に聞くと、

「開局からあんな倍満見せられたら悠長に手役狙ってられないよね」

なるほど。ごもっともです。普段ならほぼ100%六万切りでしょうしね。
しかし、この考えが見事にハマり、あれよあれよという間に以下のテンパイに

六万六万一筒二筒三筒八筒八筒八筒九索九索北北北

六万から切っていたら間違いなくこのテンパイは取れなかったでしょう。
リーチを打つと、一発目のツモはなんと九索。おまけにウラドラも九索

六万六万一筒二筒三筒八筒八筒八筒九索九索北北北  リーチ  ツモ九索  ドラ中  ウラ九索

・・・倍満?
何時の間にやら、花火大会の会場にでも紛れ混んでしまったかの様な高打点の応酬です。

この後、連荘の煽りを受けて原点まで点棒を戻してしまった宮内も、南場の親番で12,000を室伏からゲットして2着キープ
仲田はなんとか最小失点の3着にまとめるも、室伏は2人の煽りを受けて大きなラスを引いてしまう苦しい展開に。

しかし、この卓の主役は二階堂でも宮内でもなく・・・仲田でした。
派手さはありませんでしたが、要所要所を本当に上手くまとめ、2回戦以降は無傷の3連勝。
5回戦目を前に勝ち上がりをほぼ決めてしまいます。

逆に室伏は、最後まで不調から抜け出すことが出来ずに脱落。
2着の椅子を賭けて最終戦、二階堂と宮内の一騎打ちとなります。

この時点でのポイントは、
仲田+78.8P 二階堂+26.6P 宮内+5.7P 室伏▲111.1P

1着順10,000点(10P)なので、宮内からしてみると、二階堂に2着順ならほぼOK、1着順なら10,000点差が必要となります。

が、無常にも開局、二階堂の4,000オール、5,800が炸裂し大きなビハインドを受けてしまいます。
これを乗り越える力は残っておらず、残念ながらここで敗退。

C卓は、二階堂、仲田の勝ちあがりとなりました。

最終成績
二階堂瑠美+73.5P 仲田加南+68.3P 宮内こずえ▲38.1P 室伏理麻▲103.7P

 

D卓:豊後葵(協会)、和泉由希子、魚谷侑未、涼崎いづみ(最高位戦)

queen11

 

女流桜花連覇に女流モンド、天空麻雀と、この1年で最も活躍した女流プロと言えばこの魚谷でしょう。
現時点で最強の女流プロと言っても過言ではありません。
それに立ち向かうは、『ICE DOLL』和泉由希子、プロクイーン優勝経験を持つ涼崎いずみ、前年度決勝の豊後葵の3名。

しかし魚谷はピリっとしません。1回戦は放銃が目立ちラス。
まずは主導権を握りたかったのでしょうが、オリなかった局がことごとく放銃に回ってしまいます。

同卓の豊後も仕掛けの入りは魚谷似ているのですが、こちらは仕掛けた後に他家に押し返された場合、かなりの確率で受けに回って放銃を回避しているといった場面が多くありました。

特に印象的だったのが、親番で役牌を仕掛けてこんな形。

三万三万四万四万七万八万九万  ポン南南南  ポン中中中

出アガリ5,800、ツモって2,600オールのテンパイです。
これに和泉が追いつきリーチ。豊後が一発で掴んだのが五索

当然五索は通っていない牌なのですが、自身もそこそこの打点を持ったテンパイならば、五索勝負といく人が多そうですが、豊後は即メンツの中抜きでオリ。

結果、五索は和泉の当たり牌だったのですが、とにかく豊後は仕掛けた後の他家の動向に敏感で、この日はそれが上手くマッチしていたように見えました。
調子が良い日はやる事なす事が上手くいくものですが、この日の豊後は正にそんな感じでしょう。
非常に良いリズムで対局に迎えていたのではないかと思います。

さて、そんなD卓ですが、苦しみながらも魚谷は2回戦のオーラスに、
発ポン、白ポン、一万ポンとして以下のテンパイ。

四万四万六万七万  ポン一万一万一万  ポン白白白  ポン発発発  ドラ五万

現在34,300持ちの2着目(トップは涼崎の40,100)なので、これをアガればトップに立ちます。
これに追いついたのが親の豊後、

二万二万二万六筒六筒七筒七筒八筒八筒二索二索六索八索

この形でリーチ。
そして魚谷がリーチの一発目にツモった牌は四万

四万四万六万七万  ツモ四万  ポン一万一万一万  ポン白白白  ポン発発発

さあどうする、と、考える間もなく打七万。そして次巡にツモ六万
跳満となり1回戦のマイナスを帳消しにするトップとなりました。
この選択自体は別段光るものでもなく、当たり前の打牌であると思うのですが、親のリーチの一発目でこの七万をノータイムで切れるのは魚谷の長所でしょう。

女流プロに限らず、こういった状況で一旦考えてしまう人を多く見ますが、手牌4枚で入れる長考はデメリットの部分を多く露出してしまいます。
そもそもこの状況で考えるくらいなら、手牌を4枚にする事自体がナンセンスではないかと思います。

さて、対局の方は進んで4回戦オーラス。

ここまでのポイントは、
豊後+44.4P 涼崎+7.2P 魚谷+0.1P 和泉▲51.7P

そしてオーラスを迎えた持ち点は
豊後29,800、涼崎15,800 魚谷35,300 和泉39,100

このまま終われば豊後が有利な状況で、残り3人の争いといった感じでしょうか。
そんな魚谷は、第1ツモをツモって9種10牌。

親は和泉であること、できればトップを取りたいがこのままの並びでもトータル2着に浮上すること。
色々考えた結果、魚谷は流さず続行。

これが功を奏し、6巡目で1シャンテン。
そして8巡目に待望のテンパイが。さらに白は場に0枚。
豊後も八索をポンして応戦します。

決着は10巡目。涼崎が白を河に置くと豊後からポン、魚谷からロンの声が。
これで2着、3着のポイント差がおよそ80P。
残り1回戦では挽回する事はできず豊後、魚谷の勝ち上がりとなりました。

ちなみにこの局、実は豊後も放銃の危険がありました。
八索を仕掛けた残りの形は、白がトイツにドラの三索もトイツ、残りが全てタンヤオ牌だったので、先に誰かがドラの三索を切った日にはポンして白のトイツ落としで放銃・・・なんて事がありえたかもしれません。

D卓最終成績
豊後葵+49.3P 魚谷侑未+46.7P 和泉由希子▲10.1P 涼崎いずみ▲86.9P

 

 

これによりベスト8の卓組みが決まりました。

A卓:清水香織 vs 和久津晶 vs 二階堂瑠美 vs 魚谷侑未
B卓:手塚紗掬 vs 大里奈美 vs 仲田加南 vs 豊後葵

A卓は攻撃的な4人となったので激戦必死。B卓は好調を続ける新人の大里がどこまで戦えるか。
引き続きベスト8のレポートも担当させていただきますのでお楽しみに!

上級/第81回『自分を識るパートⅡ』

 
『自分を識るパートⅡ』
http://archive.ma-jan.or.jp/title_fight/10dansen24-fin.php
身近な存在である、滝沢和典が今を遡ること6年ほど前に記した観戦記である。
今でもハッキリと覚えているが、滝沢君に出したメールとは裏腹に、プロリーグの遅刻欠席は心に重く抱えたままだった。
勿論、ペナルティは課せられるのだが、私はプロリーグの対局者に申し訳ない気持ちで一杯だった。
それは、プロであるならばこの日のために調整を重ね、その日に合わせベストの状態に自分を導く。
それが別日対局になるわけだから、相手のモチベーション、負担などを考えれば、対局者に対して、そして、麻雀プロを名乗っていることに対して、申し訳ない気持ちになり、許されざるべきことだと思っていた。
しかし、そう考えてしまうことが私の欠点でもあり、当然、その気持ちが対局にも反映されてしまう。
良い、悪いは別としてペナルティを課せられた以上、そこで心を切り替えるのがプロとして、ハートの強さに繋がるようにも思える。
いずれにしても、自分の気質、性格の弱さは個人差はあるが、自分の弱い部分をしっかり把握しておくことは肝心なことである。
この時の十段戦は幸運にも優勝が叶ったが、多くのことを学ばされた。
一番は体力の衰えである。何しろ当時50歳前後であったのだから、体力が落ちて当然である。
尚且つ、私は腰に爆弾を抱えていた。
それにも拘わらず、当時の体重はマックスで118kg。
20代の頃は77kgをキープしていたわけだから、40kgの負荷を抱えて長時間の戦いは想像以上に身体だけでなく精神にも異常を来す。この対局後、私は1年をかけて、16kg、3年で30kgほど体重を落とした。
私はそうせざるを得ない状況だったから、そうしたまでだが、瀬戸熊直樹は違う。
まだまだ、若いし、体力もある40代である。
それでも大きな対局に備え、走り込みや、体力作りに専念するのは麻雀プロとしての自覚がそうさせるのだろう。
「麻雀だけ打っていても麻雀は強くはならないように思える」
故阿佐田哲也さんの言葉であるが、意味合いは多少違うが、至言だと思う。
 
【変容するということ】
長丁場の戦いであるならば、東1局はある程度の手材料に恵まれたならば、攻めを中心に考える。
何らかの結果、放銃であれば、そこから麻雀の組み立て方を考えれば良いと思う。
アガリという結果に恵まれたならば、そこから、攻めをさらに強くしていけば良いと考える。
その部分は昔からあまり変わっていないように思う。
要は自分の状態を計るためである。悪ければ悪いなりに頭を下げてチャンスを待つ。
良ければ真っ直ぐに打ち進めれば良いだけの事である。
怖いのは受けに走りすぎて、自分の手牌が死んでしまうことである。
滝沢が観戦記を記した時の十段戦は、初日を終えた時点でほぼ勝負の結末は見えていた。
何しろ、4回戦を終えた時点で2位との点差が110P以上あった。
それを大混戦にしてしまったのは、取りこぼしはできないという気持ちから、放銃を(受けを)意識し過ぎ、自分で自分を窮地に追い込んでしまったためである。
2日目を迎えるにあたり、110P差を200P差にしようという意識があったならば、あれほど苦しまずに済んだのに・・・。
この十段戦では、そのことが良い勉強になった。
数か月前の勉強会での一コマ。
東1局、南家7巡目。
一万二万三万四万四万一索二索三索一筒二筒三筒七筒八筒  ドラ白
状況は、私以外は明らかに遅く、各者が九筒を2枚、六筒を1枚場面に飛ばしており、私の目からは六筒九筒が3枚見えていたことと、このあと数巡の間に誰が九筒を掴んでも打ち出される可能性の高い場面であったこと、つまりは、私の河が平凡であったという状況である。
私は「リーチ」の発声と共に、対面に坐していた山井弘に問うた。
「終局後、私のこのリーチに対する貴方の考え方を聞かせてほしい」
「わかりました」
結果は流局。
九筒を打ち出していた下家の手牌に九筒が2枚あった。{勉強会では終局時、全員が手牌を公開する}
リーチを打たねば打ち出されていた可能性が高い。
「僕はリーチを打ちます。アガれれば最良ですし、流局しても手牌を公開するだけでも意味があると思います。」
「貴方なら、そう答えてくれると思ってはいたのだけど・・」
不思議そうな顔をして山井は私を見ていた。
多分、このカタチでリーチを打たない私を見たことがないのだろう。
私はこの半荘、成す術なくラスを引いた。
勿論このアガリ損ないが、原因の全てではないと思うが。
次局私の親番で、本来ならば、前局九筒で放銃していた可能性の高い下家が、満貫のツモアガリでこの半荘を決めた。私が山井に尋ねたのは、私の普段の麻雀フォームを知っているから、自分自身で分からない部分を確認するためである。
私の武器は何と言っても親番のブレイクである。
その為には、如何に良い親番を迎えるかに掛かっている。やはり、南家のアガリは欲しい処ではある。
難しいのは、ヤミテンで3,900を拾いに行くことが良いのか、それとも自分らしく空振り覚悟でリーチを打つべきことなのかである。
一番の問題は、4月辺りからバイオリズムが下降線に入っていることを感じていた。
昨年の夏にヒサトに言ったことがある。
「好調期に入ったようだ」
「それは良かったですね」
先月に記したが、20代の私は夏が低迷期だった。30代にそれを克服したくて麻雀を打ちまくった。
夏がダメということは無くなったが、良い時期もあれば悪い時期もある。
今は、7ヶ月から8ヶ月くらい波の高さは違っても好調の時期が続く。
私の思い込みかもしれないが。
ただ、全てがそうだと思うが良い時がずっと続く人生が無いように、麻雀にも波があると私は思っている。
このことはプロ、アマチュアに関係なく、20代の若い人はとにかく、打って、打ち続けそして、至らない部分、欠けている部分をきちんと反省し考えることが大切だと思う。
それが、40代を過ぎた頃からの経験値の財産となるからである。
私に関して言えば、「連盟チャンネル」「ロン2チャンネル」をかなり観ており、新しい発見や、忘れかけていた肝心なモノを思い出させてもらっている。ロン2もよほどのことがない限り、ほぼ毎日、プレイする。
以前は、プレイした日にチェックしていたが、どうしても感情が入り良くないので、翌日の朝にできるだけ丁寧にチェックしている。その方が客観的に自分を識ることが出来るからだ。
強くなる方法論は幾らでもあるだろう。
無理をせず、自分に合った方法論を見つけることをお奨めする。
それは、例えば日々の麻雀の勝ち負けだけでも良いから、ノートに1年間記し続けるだけでも良いと思う。
それをやり続けられる人は、間違いなく1年後には強くなっていると思う。
小さなことかも知れないが、それが自分を“識る”始めの一歩にはなるものである。

第81回『自分を識るパートⅡ』

 

『自分を識るパートⅡ』

http://archive.archive2020.ma-jan.or.jp/title_fight/10dansen24-fin.php

身近な存在である、滝沢和典が今を遡ること6年ほど前に記した観戦記である。
今でもハッキリと覚えているが、滝沢君に出したメールとは裏腹に、プロリーグの遅刻欠席は心に重く抱えたままだった。

勿論、ペナルティは課せられるのだが、私はプロリーグの対局者に申し訳ない気持ちで一杯だった。
それは、プロであるならばこの日のために調整を重ね、その日に合わせベストの状態に自分を導く。
それが別日対局になるわけだから、相手のモチベーション、負担などを考えれば、対局者に対して、そして、麻雀プロを名乗っていることに対して、申し訳ない気持ちになり、許されざるべきことだと思っていた。

しかし、そう考えてしまうことが私の欠点でもあり、当然、その気持ちが対局にも反映されてしまう。
良い、悪いは別としてペナルティを課せられた以上、そこで心を切り替えるのがプロとして、ハートの強さに繋がるようにも思える。

いずれにしても、自分の気質、性格の弱さは個人差はあるが、自分の弱い部分をしっかり把握しておくことは肝心なことである。

この時の十段戦は幸運にも優勝が叶ったが、多くのことを学ばされた。
一番は体力の衰えである。何しろ当時50歳前後であったのだから、体力が落ちて当然である。
尚且つ、私は腰に爆弾を抱えていた。
それにも拘わらず、当時の体重はマックスで118kg。
20代の頃は77kgをキープしていたわけだから、40kgの負荷を抱えて長時間の戦いは想像以上に身体だけでなく精神にも異常を来す。この対局後、私は1年をかけて、16kg、3年で30kgほど体重を落とした。

私はそうせざるを得ない状況だったから、そうしたまでだが、瀬戸熊直樹は違う。
まだまだ、若いし、体力もある40代である。
それでも大きな対局に備え、走り込みや、体力作りに専念するのは麻雀プロとしての自覚がそうさせるのだろう。

「麻雀だけ打っていても麻雀は強くはならないように思える」

故阿佐田哲也さんの言葉であるが、意味合いは多少違うが、至言だと思う。

 

【変容するということ】

長丁場の戦いであるならば、東1局はある程度の手材料に恵まれたならば、攻めを中心に考える。
何らかの結果、放銃であれば、そこから麻雀の組み立て方を考えれば良いと思う。
アガリという結果に恵まれたならば、そこから、攻めをさらに強くしていけば良いと考える。
その部分は昔からあまり変わっていないように思う。

要は自分の状態を計るためである。悪ければ悪いなりに頭を下げてチャンスを待つ。
良ければ真っ直ぐに打ち進めれば良いだけの事である。
怖いのは受けに走りすぎて、自分の手牌が死んでしまうことである。

滝沢が観戦記を記した時の十段戦は、初日を終えた時点でほぼ勝負の結末は見えていた。
何しろ、4回戦を終えた時点で2位との点差が110P以上あった。
それを大混戦にしてしまったのは、取りこぼしはできないという気持ちから、放銃を(受けを)意識し過ぎ、自分で自分を窮地に追い込んでしまったためである。

2日目を迎えるにあたり、110P差を200P差にしようという意識があったならば、あれほど苦しまずに済んだのに・・・。
この十段戦では、そのことが良い勉強になった。

数か月前の勉強会での一コマ。
東1局、南家7巡目。

一万二万三万四万四万一索二索三索一筒二筒三筒七筒八筒  ドラ白

状況は、私以外は明らかに遅く、各者が九筒を2枚、六筒を1枚場面に飛ばしており、私の目からは六筒九筒が3枚見えていたことと、このあと数巡の間に誰が九筒を掴んでも打ち出される可能性の高い場面であったこと、つまりは、私の河が平凡であったという状況である。

私は「リーチ」の発声と共に、対面に坐していた山井弘に問うた。
「終局後、私のこのリーチに対する貴方の考え方を聞かせてほしい」
「わかりました」
結果は流局。

九筒を打ち出していた下家の手牌に九筒が2枚あった。{勉強会では終局時、全員が手牌を公開する}
リーチを打たねば打ち出されていた可能性が高い。

「僕はリーチを打ちます。アガれれば最良ですし、流局しても手牌を公開するだけでも意味があると思います。」
「貴方なら、そう答えてくれると思ってはいたのだけど・・」

不思議そうな顔をして山井は私を見ていた。
多分、このカタチでリーチを打たない私を見たことがないのだろう。

私はこの半荘、成す術なくラスを引いた。
勿論このアガリ損ないが、原因の全てではないと思うが。

次局私の親番で、本来ならば、前局九筒で放銃していた可能性の高い下家が、満貫のツモアガリでこの半荘を決めた。私が山井に尋ねたのは、私の普段の麻雀フォームを知っているから、自分自身で分からない部分を確認するためである。

私の武器は何と言っても親番のブレイクである。
その為には、如何に良い親番を迎えるかに掛かっている。やはり、南家のアガリは欲しい処ではある。
難しいのは、ヤミテンで3,900を拾いに行くことが良いのか、それとも自分らしく空振り覚悟でリーチを打つべきことなのかである。

一番の問題は、4月辺りからバイオリズムが下降線に入っていることを感じていた。
昨年の夏にヒサトに言ったことがある。
「好調期に入ったようだ」
「それは良かったですね」
先月に記したが、20代の私は夏が低迷期だった。30代にそれを克服したくて麻雀を打ちまくった。
夏がダメということは無くなったが、良い時期もあれば悪い時期もある。
今は、7ヶ月から8ヶ月くらい波の高さは違っても好調の時期が続く。
私の思い込みかもしれないが。

ただ、全てがそうだと思うが良い時がずっと続く人生が無いように、麻雀にも波があると私は思っている。
このことはプロ、アマチュアに関係なく、20代の若い人はとにかく、打って、打ち続けそして、至らない部分、欠けている部分をきちんと反省し考えることが大切だと思う。
それが、40代を過ぎた頃からの経験値の財産となるからである。

私に関して言えば、「連盟チャンネル」「ロン2チャンネル」をかなり観ており、新しい発見や、忘れかけていた肝心なモノを思い出させてもらっている。ロン2もよほどのことがない限り、ほぼ毎日、プレイする。
以前は、プレイした日にチェックしていたが、どうしても感情が入り良くないので、翌日の朝にできるだけ丁寧にチェックしている。その方が客観的に自分を識ることが出来るからだ。

強くなる方法論は幾らでもあるだろう。
無理をせず、自分に合った方法論を見つけることをお奨めする。
それは、例えば日々の麻雀の勝ち負けだけでも良いから、ノートに1年間記し続けるだけでも良いと思う。
それをやり続けられる人は、間違いなく1年後には強くなっていると思う。
小さなことかも知れないが、それが自分を“識る”始めの一歩にはなるものである。

東北プロリーグ レポート/第21期東北プロリーグ 第5節レポート

Aリーグレポート:青木武
東北リーグ戦も今回が5節で折り返しになる。
後半戦に向けて1節1節が大事になってくる。
1卓(粕谷、吉田、遠藤、工藤、東)
1回戦から打撃戦となる。遠藤が高い手を連発。東がハイテイで四暗刻をツモ。
吉田は箱下になった。抜け番の粕谷はラッキーと思っていたかも知れない。
2回戦から入った粕谷は1着・1着・3着・3着と+39.3Pとポイントを伸ばした。
しかし、もっとポイントを伸ばしたのは遠藤だった。
1回戦も四暗刻が出たにもかかわらず、2万点近くの2着。そのあとも3着・1着・1着と+67.6P。
トータル1位をガッチリキープした。
2卓(皆川、泉、杜、佐藤)
トータル2位の佐藤・3位の皆川・4位の泉・11位の杜の対局。
杜は、これまで不調だが意地を見せ、1回戦は杜の1人浮き1着。
2回戦、佐藤がリーチ ダブ東 ドラ3の18,000を皆川からアガリトップ。
3回戦は泉のトップでこの時点で皆川の1人沈み。
4回戦は皆川の意地のトップ。杜は痛恨の4着で▲2.9Pに終わった。
全員がトップを1回ずつとったが、皆川は▲37.3Pでトータル5位に後退した。
3卓(青木、高橋、渡部、今)
現時点でマイナスの4人だが、残りを考えるとこれ以上のマイナスは厳しくなる。
1回戦 青木が渡部にダブ東 ホンイツを放銃。お返しとばかりに青木が親の時にメンホン 中 を渡部からアガリ返す。結果 渡部の1人沈みで1回戦は終わった。
2回戦 小場を青木が制し連続トップ。3回戦 渡部が大きなトップで巻き返す。
4回戦 起家の青木がピンフ ツモ 三色 の2,600オール。次局 高橋から7,700は8,000をアガるなどで、高橋は途中4,000点くらいしかなくなる。
南場 高橋の親番でリーチ ドラ3を出アガリ、連荘を重ねプラスの2着で終わった。高橋の粘りが見られた半荘だった。青木は+63.6Pで今節初めてのプラス。
次節からの後半戦は更に厳しい対局になるだろう。
Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 遠藤昭太 94.6 73.8 ▲ 24.3 ▲ 23.6 67.6 188.1 1
2 佐藤大介 ▲ 5.8 17.1 57.6 47.3 14.8 131.0 2
3 泉亮多 ▲ 4.6 9.9 40.5 4.1 25.4 75.3 3
4 粕谷勇吉 ▲ 11.2 18.4 ▲ 27.7 44.5 39.3 63.3 4
5 皆川直毅 42.8 ▲ 34.2 69.4 ▲ 1.2 ▲ 37.3 39.5 5
6 工藤宏紀 1.8 1.7 8.4 25.3 ▲ 33.8 3.4 6
7 渡部稔 55.1 25.6 ▲ 37.9 ▲ 56.1 ▲ 1.4 ▲ 14.7 7
8 青木武 ▲ 31.5 ▲ 6.5 ▲ 30.3 ▲ 16.7 63.6 ▲ 21.4 8
9 東幸一郎 12.7 19.6 ▲ 100.0 19.4 5.8 ▲ 42.5 9
10 今貴聡 ▲ 20.4 12.6 ▲ 43.9 34.9 ▲ 29.6 ▲ 46.4 10
11 平田孝章 9.1 ▲ 35.7 21.7 ▲ 23.6 ▲ 50.0 ▲ 78.5 11
12 杜麻沙也 ▲ 57.5 ▲ 14.6 1.6 ▲ 13.5 ▲ 2.9 ▲ 86.9 12
13 高橋清隆 ▲ 58.6 ▲ 20.9 ▲ 0.4 ▲ 50.8 ▲ 32.6 ▲ 163.3 13
14 吉田勝弥 0.6 ▲ 63.7 ▲ 36.7 5.0 ▲ 78.9 ▲ 173.7 14

Bリーグレポート:遠藤昭太
前半戦の終わりとなる第5節、今まで調子の悪い者もここらで巻き返しておきたいところ。
1卓(佐々木、早坂、斎藤、佐藤)
今回はこれまでマイナスが続いていた早坂、佐々木が好調。
早坂は初回トップを飾ると、続けて1着、3着、1着。佐々木も4連続浮き2着で初のプラス成績を収め、これまでの鬱憤を晴らした。
2卓(新田、安ヶ平、三井、大里)
1回戦目、安ヶ平が調子を上げトップになると、2回戦目はプロクイーンでベスト8までいき惜しくも敗れた大里が1位。3回戦目には、ここまで2ラスだった三井が+27.4Pの1人浮きで巻き返した。4回戦は安ヶ平が再びトップで1・2・2・1と文句なしの結果を収めた。
上位陣の三井、新田と同卓した安ヶ平が2人を押さえ込み、首位の三井に2.1P差と急接近。トップの点数が100を切り、現在マイナスの者でもチャンスが出てきた。
5節を終え、後半戦になると自分の立ち位置を意識した立ち回りが要求される。
リーグ戦初体験の新人面々は肝に銘じて頑張って欲しい。
Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 三井光一 ▲ 13.8 36.9 ▲ 4.5 89.3 ▲ 21.1 86.8 1
2 安ヶ平浩希 ▲ 14.5 24.3 10.0 10.6 54.3 84.7 2
3 新田大輔 37.2 0.2 65.8 ▲ 19.5 ▲ 39.8 43.9 3
4 佐藤晃大 3.3 18.0 2.5 18.9 ▲ 63.7 ▲ 21.0 4
5 早坂和人 ▲ 17.6 ▲ 22.7 ▲ 6.2 ▲ 7.0 32.5 ▲ 21.0 5
6 大里奈美 18.1 ▲ 60.9 61.5 ▲ 51.3 ▲ 3.4 ▲ 36.0 6
7 斎藤智大 ▲ 7.9 ▲ 1.8 ▲ 74.0 15.9 ▲ 33.9 ▲ 101.7 7
8 佐々木啓文 ▲ 15.0 ▲ 49.0 ▲ 57.1 ▲ 56.9 45.1 ▲ 132.9 8

第21期東北プロリーグ 第5節レポート

Aリーグレポート:青木武

東北リーグ戦も今回が5節で折り返しになる。
後半戦に向けて1節1節が大事になってくる。

1卓(粕谷、吉田、遠藤、工藤、東)
1回戦から打撃戦となる。遠藤が高い手を連発。東がハイテイで四暗刻をツモ。
吉田は箱下になった。抜け番の粕谷はラッキーと思っていたかも知れない。
2回戦から入った粕谷は1着・1着・3着・3着と+39.3Pとポイントを伸ばした。
しかし、もっとポイントを伸ばしたのは遠藤だった。
1回戦も四暗刻が出たにもかかわらず、2万点近くの2着。そのあとも3着・1着・1着と+67.6P。
トータル1位をガッチリキープした。

2卓(皆川、泉、杜、佐藤)
トータル2位の佐藤・3位の皆川・4位の泉・11位の杜の対局。
杜は、これまで不調だが意地を見せ、1回戦は杜の1人浮き1着。
2回戦、佐藤がリーチ ダブ東 ドラ3の18,000を皆川からアガリトップ。
3回戦は泉のトップでこの時点で皆川の1人沈み。
4回戦は皆川の意地のトップ。杜は痛恨の4着で▲2.9Pに終わった。

全員がトップを1回ずつとったが、皆川は▲37.3Pでトータル5位に後退した。

3卓(青木、高橋、渡部、今)
現時点でマイナスの4人だが、残りを考えるとこれ以上のマイナスは厳しくなる。
1回戦 青木が渡部にダブ東 ホンイツを放銃。お返しとばかりに青木が親の時にメンホン 中 を渡部からアガリ返す。結果 渡部の1人沈みで1回戦は終わった。
2回戦 小場を青木が制し連続トップ。3回戦 渡部が大きなトップで巻き返す。
4回戦 起家の青木がピンフ ツモ 三色 の2,600オール。次局 高橋から7,700は8,000をアガるなどで、高橋は途中4,000点くらいしかなくなる。
南場 高橋の親番でリーチ ドラ3を出アガリ、連荘を重ねプラスの2着で終わった。高橋の粘りが見られた半荘だった。青木は+63.6Pで今節初めてのプラス。

次節からの後半戦は更に厳しい対局になるだろう。

Aリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 遠藤昭太 94.6 73.8 ▲ 24.3 ▲ 23.6 67.6 188.1 1
2 佐藤大介 ▲ 5.8 17.1 57.6 47.3 14.8 131.0 2
3 泉亮多 ▲ 4.6 9.9 40.5 4.1 25.4 75.3 3
4 粕谷勇吉 ▲ 11.2 18.4 ▲ 27.7 44.5 39.3 63.3 4
5 皆川直毅 42.8 ▲ 34.2 69.4 ▲ 1.2 ▲ 37.3 39.5 5
6 工藤宏紀 1.8 1.7 8.4 25.3 ▲ 33.8 3.4 6
7 渡部稔 55.1 25.6 ▲ 37.9 ▲ 56.1 ▲ 1.4 ▲ 14.7 7
8 青木武 ▲ 31.5 ▲ 6.5 ▲ 30.3 ▲ 16.7 63.6 ▲ 21.4 8
9 東幸一郎 12.7 19.6 ▲ 100.0 19.4 5.8 ▲ 42.5 9
10 今貴聡 ▲ 20.4 12.6 ▲ 43.9 34.9 ▲ 29.6 ▲ 46.4 10
11 平田孝章 9.1 ▲ 35.7 21.7 ▲ 23.6 ▲ 50.0 ▲ 78.5 11
12 杜麻沙也 ▲ 57.5 ▲ 14.6 1.6 ▲ 13.5 ▲ 2.9 ▲ 86.9 12
13 高橋清隆 ▲ 58.6 ▲ 20.9 ▲ 0.4 ▲ 50.8 ▲ 32.6 ▲ 163.3 13
14 吉田勝弥 0.6 ▲ 63.7 ▲ 36.7 5.0 ▲ 78.9 ▲ 173.7 14

Bリーグレポート:遠藤昭太

前半戦の終わりとなる第5節、今まで調子の悪い者もここらで巻き返しておきたいところ。

1卓(佐々木、早坂、斎藤、佐藤)
今回はこれまでマイナスが続いていた早坂、佐々木が好調。
早坂は初回トップを飾ると、続けて1着、3着、1着。佐々木も4連続浮き2着で初のプラス成績を収め、これまでの鬱憤を晴らした。

2卓(新田、安ヶ平、三井、大里)
1回戦目、安ヶ平が調子を上げトップになると、2回戦目はプロクイーンでベスト8までいき惜しくも敗れた大里が1位。3回戦目には、ここまで2ラスだった三井が+27.4Pの1人浮きで巻き返した。4回戦は安ヶ平が再びトップで1・2・2・1と文句なしの結果を収めた。
上位陣の三井、新田と同卓した安ヶ平が2人を押さえ込み、首位の三井に2.1P差と急接近。トップの点数が100を切り、現在マイナスの者でもチャンスが出てきた。
5節を終え、後半戦になると自分の立ち位置を意識した立ち回りが要求される。
リーグ戦初体験の新人面々は肝に銘じて頑張って欲しい。

Bリーグ

順位 名前 1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 三井光一 ▲ 13.8 36.9 ▲ 4.5 89.3 ▲ 21.1 86.8 1
2 安ヶ平浩希 ▲ 14.5 24.3 10.0 10.6 54.3 84.7 2
3 新田大輔 37.2 0.2 65.8 ▲ 19.5 ▲ 39.8 43.9 3
4 佐藤晃大 3.3 18.0 2.5 18.9 ▲ 63.7 ▲ 21.0 4
5 早坂和人 ▲ 17.6 ▲ 22.7 ▲ 6.2 ▲ 7.0 32.5 ▲ 21.0 5
6 大里奈美 18.1 ▲ 60.9 61.5 ▲ 51.3 ▲ 3.4 ▲ 36.0 6
7 斎藤智大 ▲ 7.9 ▲ 1.8 ▲ 74.0 15.9 ▲ 33.9 ▲ 101.7 7
8 佐々木啓文 ▲ 15.0 ▲ 49.0 ▲ 57.1 ▲ 56.9 45.1 ▲ 132.9 8

広島リーグ 成績表/第3期 広島リーグ(前期) 最終節成績表

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 6節 合計 順位
1 清水 真志郎 プロ ▲ 24.5 45.9 90.0 ▲ 12.6 ▲ 20.2 135.0 213.6 1
2 寺戸 彬 アマ 6.9 ▲ 3.6 ▲ 2.5 73.6 15.0 82.3 171.7 2
3 神門 直樹 プロ 23.6 53.0 72.3 65.5 ▲ 18.2 ▲ 38.3 157.9 3
4 沖田 賢一 プロ 47.2 ▲ 1.0 16.7 25.8 22.5 32.9 144.1 4
5 安田 純 アマ 5.3 ▲ 15.3 20.6 34.2 58.0 ▲ 76.9 25.9 5
6 上利 大輝 アマ ▲ 40.0 71.9 ▲ 12.7 34.5 12.2 ▲ 40.0 25.9 6
7 木村 尚二 アマ 26.3 0.9 23.1 19.3 ▲ 94.1 ▲ 11.5 ▲ 36.0 7
8 豊内 雄二 アマ ▲ 23.4 37.9 ▲ 27.7 24.2 23.9 ▲ 75.2 ▲ 40.3 8
9 松浦 篤 アマ ▲ 28.1 ▲ 54.0 8.0 ▲ 40.0 31.9 23.6 ▲ 58.6 9
10 藤原 海斗 アマ ▲ 20.5 ▲ 26.2 ▲ 9.4 2.6 14.3 ▲ 49.3 ▲ 88.5 10
11 荻巣 健人 プロ 59.3 5.2 ▲ 68.9 ▲ 23.7 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 108.1 11
12 井筒 弘至 アマ ▲ 60.2 23.2 9.4 ▲ 42.9 ▲ 13.5 ▲ 40.0 ▲ 124.0 12
13 根石 宣昌 アマ ▲ 22.7 50.0 ▲ 39.6 ▲ 18.1 ▲ 32.7 ▲ 62.9 ▲ 126.0 13
14 田中 晶太郎 アマ ▲ 54.3 ▲ 44.8 ▲ 22.2 ▲ 21.4 ▲ 13.9 10.8 ▲ 145.8 14
15 亀井 貴之 プロ ▲ 79.9 ▲ 89.4 ▲ 8.4 ▲ 124.9 32.2 ▲ 40.0 ▲ 310.4 15
hiroshima03
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第3期 広島リーグ(前期) 最終節成績表

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 6節 合計 順位
1 清水 真志郎 プロ ▲ 24.5 45.9 90.0 ▲ 12.6 ▲ 20.2 135.0 213.6 1
2 寺戸 彬 アマ 6.9 ▲ 3.6 ▲ 2.5 73.6 15.0 82.3 171.7 2
3 神門 直樹 プロ 23.6 53.0 72.3 65.5 ▲ 18.2 ▲ 38.3 157.9 3
4 沖田 賢一 プロ 47.2 ▲ 1.0 16.7 25.8 22.5 32.9 144.1 4
5 安田 純 アマ 5.3 ▲ 15.3 20.6 34.2 58.0 ▲ 76.9 25.9 5
6 上利 大輝 アマ ▲ 40.0 71.9 ▲ 12.7 34.5 12.2 ▲ 40.0 25.9 6
7 木村 尚二 アマ 26.3 0.9 23.1 19.3 ▲ 94.1 ▲ 11.5 ▲ 36.0 7
8 豊内 雄二 アマ ▲ 23.4 37.9 ▲ 27.7 24.2 23.9 ▲ 75.2 ▲ 40.3 8
9 松浦 篤 アマ ▲ 28.1 ▲ 54.0 8.0 ▲ 40.0 31.9 23.6 ▲ 58.6 9
10 藤原 海斗 アマ ▲ 20.5 ▲ 26.2 ▲ 9.4 2.6 14.3 ▲ 49.3 ▲ 88.5 10
11 荻巣 健人 プロ 59.3 5.2 ▲ 68.9 ▲ 23.7 ▲ 40.0 ▲ 40.0 ▲ 108.1 11
12 井筒 弘至 アマ ▲ 60.2 23.2 9.4 ▲ 42.9 ▲ 13.5 ▲ 40.0 ▲ 124.0 12
13 根石 宣昌 アマ ▲ 22.7 50.0 ▲ 39.6 ▲ 18.1 ▲ 32.7 ▲ 62.9 ▲ 126.0 13
14 田中 晶太郎 アマ ▲ 54.3 ▲ 44.8 ▲ 22.2 ▲ 21.4 ▲ 13.9 10.8 ▲ 145.8 14
15 亀井 貴之 プロ ▲ 79.9 ▲ 89.4 ▲ 8.4 ▲ 124.9 32.2 ▲ 40.0 ▲ 310.4 15
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プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第30期プロリーグ A1 第6節レポート

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いよいよ第6節と後半戦が始まった。
まだ残り4節あると自分の麻雀を貫くのか、それとも現在のポイントを踏まえ思いきった策にでるのか。
そういったところも見所のひとつである。
東1局、A卓でいきなりの大物手が炸裂。
親の近藤がリーチ後に八万をツモ切ると、沢崎からロンの声が。
八万八万白白発発発中中中  暗カン牌の背六万六万牌の背  ロン八万
ホンイツ三暗刻トイトイ小三元の三倍満であった。
(Aルールではダブル役満はなく、白をツモっても32,000点となる)
続く東2局も沢崎が、
二万二万三万三万四万四万二索三索四索三筒四筒八筒八筒  ドラ八筒  ロン二筒
このタンピン三色イーペーコードラ2の跳満。
このまま沢崎が突き抜けると思われたが、百戦錬磨の荒と古川は数々の技を繰り出し、しっかりとプラスをキープした。一方、厳しい24,000点の放銃スタートとなった近藤は、箱を割った1人沈みのラスとなってしまった。
A卓は、沢崎が1回戦のリードを守って+30.6Pとし、トータルでも+121.9P。決定戦争いで一歩リードした。
近藤は2回戦で1人浮きのトップを取り返したものの、3、4回戦に繋げることができず▲27.6P。
降級ボーダーと約55P差と厳しい位置になってしまった。
続いてC卓3回戦。1、2回戦を連勝とした望月が、東1局に伊藤とのリーチ合戦に競り勝ち1,300・2,600を引き、今半荘もリードしていく。続く東2局の親でも、藤崎の三色リーチを掻い潜り3,900のアガリ。持ち点は早くも40,000点を越え、望月の独壇場となりつつあった。しかし、伊藤がこれに待ったをかける。
東3局1本場。先手を取ったのはここまで不調の猿川。本手が入り6巡目にリーチ
二万三万四万七万八万四索五索六索五筒五筒七筒八筒九筒  ドラ五筒
ここまで、リーチにはしっかりと対応していた伊藤だったが、相手が不調の猿川ならと全面対決にいく。
7巡目
三索五索七索八索九索一筒八筒北北白白中中
ここから中をポン。すぐに北もポンして追い付く。
三索五索七索八索九索白白   ポン北北北  ポン中中中
次巡、二索を引き万全の形になって押していく。決着は16巡目、猿川が一索を掴んで伊藤のアガリとなった。
二索三索七索八索九索白白
ポン北北北  ポン中中中  ロン一索
仕掛けた瞬間は形が苦しいのだが、大局を見極めた素晴らしいアガリとなった。
伊藤はオーラスにも
一筒二筒三筒四筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒六筒七筒八筒  ロン六筒  ドラ西
このアガリを決めトップとなった。
続く4回戦でも伊藤は1人浮きのトップを取り、この日+57.3P。一気に決定戦圏内に浮上した。
4回戦でも伊藤の戦い方で興味深い局があった。西家の藤崎が、一万ポン、西ポンと仕掛けたところで、伊藤の手牌は以下。
四万五万七万九万一索一索二索四索二筒三筒四筒五筒白中  ドラ三索
ここから白を打ち出していく。藤崎の2フーロを考えれば到底攻められる牌姿ではない。
しかし、相手との距離感を見極められているからこその攻めである。
流局となりアガリには結びつかなかったが、伊藤の最終形は、
四万五万一索一索一索二索三索三索四索五索三筒四筒五筒
ここまでに育っていた。伊藤のその判断力は見るものを惹き付けるすばらしいものであった。
来月に行われるプロリーグ第7節からは、ニコニコ生放送で配信予定となっている。
これまで麻雀番組といえば、タイトル戦の決勝戦がほとんどであった。決勝戦は誰もが優勝を目指した攻めと攻め、意地と意地のぶつかり合いが醍醐味だが、リーグ戦は12人中3位になるための戦いである。
荒の言葉を借りれば「いかに1年をまとめるか」。そういった戦いである。
その中には、勝ちにいく戦いだけでなく「負けない戦い」といった、これまでの決勝戦にはなかった面白さが詰まっている。
トッププロがその全てを懸けて戦うリーグ戦は、間違いなく熱いものになるであろう。

第30期プロリーグ A1 第6節レポート

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いよいよ第6節と後半戦が始まった。
まだ残り4節あると自分の麻雀を貫くのか、それとも現在のポイントを踏まえ思いきった策にでるのか。
そういったところも見所のひとつである。

東1局、A卓でいきなりの大物手が炸裂。
親の近藤がリーチ後に八万をツモ切ると、沢崎からロンの声が。

八万八万白白発発発中中中  暗カン牌の背六万六万牌の背  ロン八万

ホンイツ三暗刻トイトイ小三元の三倍満であった。
(Aルールではダブル役満はなく、白をツモっても32,000点となる)

続く東2局も沢崎が、

二万二万三万三万四万四万二索三索四索三筒四筒八筒八筒  ドラ八筒  ロン二筒

このタンピン三色イーペーコードラ2の跳満。
このまま沢崎が突き抜けると思われたが、百戦錬磨の荒と古川は数々の技を繰り出し、しっかりとプラスをキープした。一方、厳しい24,000点の放銃スタートとなった近藤は、箱を割った1人沈みのラスとなってしまった。

A卓は、沢崎が1回戦のリードを守って+30.6Pとし、トータルでも+121.9P。決定戦争いで一歩リードした。

近藤は2回戦で1人浮きのトップを取り返したものの、3、4回戦に繋げることができず▲27.6P。
降級ボーダーと約55P差と厳しい位置になってしまった。

続いてC卓3回戦。1、2回戦を連勝とした望月が、東1局に伊藤とのリーチ合戦に競り勝ち1,300・2,600を引き、今半荘もリードしていく。続く東2局の親でも、藤崎の三色リーチを掻い潜り3,900のアガリ。持ち点は早くも40,000点を越え、望月の独壇場となりつつあった。しかし、伊藤がこれに待ったをかける。
東3局1本場。先手を取ったのはここまで不調の猿川。本手が入り6巡目にリーチ

二万三万四万七万八万四索五索六索五筒五筒七筒八筒九筒  ドラ五筒

ここまで、リーチにはしっかりと対応していた伊藤だったが、相手が不調の猿川ならと全面対決にいく。
7巡目

三索五索七索八索九索一筒八筒北北白白中中

ここから中をポン。すぐに北もポンして追い付く。

三索五索七索八索九索白白   ポン北北北  ポン中中中

次巡、二索を引き万全の形になって押していく。決着は16巡目、猿川が一索を掴んで伊藤のアガリとなった。

二索三索七索八索九索白白
ポン北北北  ポン中中中  ロン一索

仕掛けた瞬間は形が苦しいのだが、大局を見極めた素晴らしいアガリとなった。
伊藤はオーラスにも

一筒二筒三筒四筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒六筒七筒八筒  ロン六筒  ドラ西

このアガリを決めトップとなった。
続く4回戦でも伊藤は1人浮きのトップを取り、この日+57.3P。一気に決定戦圏内に浮上した。
4回戦でも伊藤の戦い方で興味深い局があった。西家の藤崎が、一万ポン、西ポンと仕掛けたところで、伊藤の手牌は以下。

四万五万七万九万一索一索二索四索二筒三筒四筒五筒白中  ドラ三索

ここから白を打ち出していく。藤崎の2フーロを考えれば到底攻められる牌姿ではない。
しかし、相手との距離感を見極められているからこその攻めである。
流局となりアガリには結びつかなかったが、伊藤の最終形は、

四万五万一索一索一索二索三索三索四索五索三筒四筒五筒

ここまでに育っていた。伊藤のその判断力は見るものを惹き付けるすばらしいものであった。

来月に行われるプロリーグ第7節からは、ニコニコ生放送で配信予定となっている。
これまで麻雀番組といえば、タイトル戦の決勝戦がほとんどであった。決勝戦は誰もが優勝を目指した攻めと攻め、意地と意地のぶつかり合いが醍醐味だが、リーグ戦は12人中3位になるための戦いである。

荒の言葉を借りれば「いかに1年をまとめるか」。そういった戦いである。
その中には、勝ちにいく戦いだけでなく「負けない戦い」といった、これまでの決勝戦にはなかった面白さが詰まっている。

トッププロがその全てを懸けて戦うリーグ戦は、間違いなく熱いものになるであろう。

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第30期プロリーグ A2 第6節レポート

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突然の話ではあるが、プロ連盟では10月のリーグ戦からA1、A2リーグ共に、ニコニコ生放送での配信が決定した。(A2リーグは一部の対戦)
※現在のところ配信は予定となっております。
決定後、詳しくは日本プロ麻雀連盟ホームページで発表いたします。
予てからリーグ戦の最高峰であるAリーグの対局を放送するような時代が来ることを熱望していた私にとっても、プロの公式戦を中々目の当たりにすることが出来なかった麻雀ファンにとっても、この試みは画期的であり且つ非常に有意義なモノになることは間違いない。
モンドから始まった麻雀番組も、ついにリーグ戦の模様を全国の皆様へ生放送でお伝えできるようになったかと思うと、プレーヤーの1人としては非常に身の引き締まる想いでいっぱいである。
これもひとえに、先人たちがここまで麻雀界を絶えることなく引っ張ってきてくださったことと、諸先輩方の尽力のおかげだという事に、感謝しても、し尽せないくらいだ。このような時代に一プレーヤーとして対局出来ることに、私は多くの幸せを感じ、そしてまたこの流れを継続させていく事が出来る様に、更なる精進を重ねて行く事が必要だという事を痛感している。
時代が映像媒体へと移り変わることに対して多くの期待感があることは間違いない。
そういった現実に対し、去りゆく文化があることもまた、事実なのである。
それは、観戦記やレポートといった活字媒体。
このA2リーグレポートも同様である。
これからの時代は、画面を飾るプレーヤーを成長させていくのは視聴者の皆様の声である。
誤魔化しのきかないプレーや、リアルな視聴者の皆様の反応に、番組も、選手も、そして業界も成長させられるのである。
しかし、活字媒体で選手を光らせるのは、選手のパフォーマンスを生かす書き手の個性と能力。
上げるも下げるもその書き手の意思1つだった。
事実私も、選手の良い所を光らせたく、多くの凡プレーには目を瞑ってきたこともままある。
ペンの力は偉大である。持ち上げることも、貶めることも、自由自在。
それは、このレポートを楽しみに読んでくださっているファンの皆様に、Aリーグの対局の素晴らしさを伝える一心だったことをここに詫びたい。
プロ連盟を愛するが故に、選手を輝かせたいが故に、麻雀の面白さ、素晴らしさを伝えたいが故に、若干の脚色が入っていた部分もあるだろう。
しかし…
これからは誤魔化しが全く効かない。
選手の能力と個性、そして想いをどのようにして伝えるかは選手個人の力量にかかっているし、解説が入っていたとしても、それを判断するのは最終的には視聴者の皆様なのだ。
良い部分を光り輝かせ、負の部分をオブラートで包みこむ。
そのような文法を使ってきたことに私は強く反省している。しかしこれからは各選手のレベルが白日の下に晒されることになるのだ。そうなれば、現在私が感じている真実をここに記す必要性があるだろう。
A1リーグで戦っている私が感じている事。それは、A2リーグのレベルの格差。
上位で昇級を競い合い、A1で戦うことに夢焦がれている者。また、この世界で生き抜くことを心に決め、人生を掛けてこの世界で勝負しようと考えている者。そういった想いの下戦っている選手たちと、一般の選手達とはいろいろな意味で大きな違いがあることは事実である。
それらは今後、映像を目にした視聴者の皆様の方が強く感じることなのかもしれない。
普段からプロ意識を持って映像媒体で活躍している選手と、今後初めて映像に映る選手とは、いろいろな意味で大きな差があることだろう。
最初は罵倒されることもあるかもしれない。
選手間で大きな格差を感じるかもしれない。
しかしこれを機に、多くの選手たちの意識が変わってくれることを願いたいのだ。
プロであるということの自覚と責任を。
自分の打牌の裏側に、多くのファンの声援があるという事を意識してほしいのだ。
そういった経験を経て各自がさらにレベルアップすることが、この世界が支持される絶対条件になり得るのだから。
映像を見て、さらにAリーグを夢見る選手が増えることは間違いない。
多くの麻雀ファンの中から、麻雀プロを志す者も今以上に多くなるはずだ。
そういった『目』に育てられることを選手は意識して、これからのリーグ戦を戦っていってもらいたいと願っている。
話は大きく逸れてしまったが、今節注目したのは首位の勝又の卓。
共に昇級を争い上位につける前田と白鳥、さらには元A1の右田と、今期苦しむ滝沢が相手だ。
この卓では、各自の個性が十二分に発揮された内容となった。
まずは東1局、右田と滝沢の個性がぶつかる。
親・右田の配牌。
四万四筒七筒八筒九筒二索二索五索六索六索八索八索発発  ドラ七万
この配牌から何と右田は打四筒!そして次巡ツモ西で打五索
右田曰く「緑一色を見据えて」とのこと。この牌姿、どこからでも仕掛けていくということだ。
これを映像で見た視聴者にはどう伝わるだろうか?
良し悪しは別として、この強烈な個性と右田の想いが、画面越しに伝えることができるだろうか?
これに対し、滝沢は正確な手順で応戦する。
視聴者が見ても惚れ惚れするような手牌進行で歩を進めると、ロスなく7巡目にリーチ。
六筒を暗カン後、最速手順で満貫をツモ。
五万六万七万七万八万七筒八筒九筒北北  暗カン牌の背六筒六筒牌の背  リーチ  ツモ九万  ドラ七万
誰が見ても納得する華麗なアガリを見せた滝沢と、自らの想いを打牌に乗せた右田のフォームはまるで対照的だ。どちらを支持するかは見る人それぞれだろう。そういったぶつかりあいを見ることが出来るのがAリーグの魅力だろうし、これから視聴者の皆様に注目してほしい部分でもある。
続いては首位を走る勝又の思考と対応に触れよう。
東2局、親・勝又の6巡目、
五筒六筒七筒七筒三索三索四索六索六索八索八索九索九索  ツモ四筒  ドラ六筒
この七対子1シャンテンにツモ四筒で、2シャンテン戻しの打九索。タンヤオに柔軟に移行出来るのも首位に立つ余裕なのか。さらにツモ四筒九索、ツモ三筒四索としたあと、滝沢の切った三索をポン。手を決めてしまう七対子より、柔軟な形を求めた勝又。この局をテンパイと連荘を果たすと、続く1本場はしっかりとヤミテン。
四万五万六万六万七万八万四筒五筒六筒六索七索八索八索  ロン五索 ドラ八索
僅か5巡での11,600。首位を走る勝又にとっては十分なリードとなった。
この手に飛び込んでしまったのは滝沢。滝沢の手もテンパイで、
四万五万六万七万三筒四筒五筒三索三索五索七索八索九索  ツモ四万  打五索  ドラ八索
手順が正確な故の放銃。致し方ないと言えばそれまでだが、これが今期好調の勝又と不振に喘ぐ滝沢との勢いの差か。滝沢の手順は全く問題がないのだが、少しでも手順を外せば逆に放銃を免れたというのは皮肉としか言いようがない。こういった細かい部分を今後目の当たりに出来ることも映像の魅力の1つだが、結果だけ追ってしまうと滝沢の魅力に気が付く事無く過ぎ去ってしまう可能性も否定できない一瞬だった。
勢いに乗る勝又は続く東2局2本場は5巡目にリーチ。
三万四万五万七万八万四筒四筒四筒六索七索八索九索九索  リーチ  ドラ西
先程のヤミテンがあるだけに、3者共踏み込めず流局。
こういった押し引きの強弱も勝又の強みなのだろう。
勝又の戦いはこの日も終始安定。
仕掛けとリーチ、ヤミテンのバランスが抜群で、相手の攻勢にも余裕を持って対応している所が印象的だった。
例えば2回戦南3局親番で、
二万二万一索一索五索六索六索七索七索七索八索八索九索  ドラ東
この1シャンテンから四索をチーすると、次巡ツモ五索ですぐに清一色のテンパイ。
七索をツモ切ると白鳥から六索が出て12,000。
また続く3回戦では東1局6巡目に、
九万九万三索四索五索七索七索七索東東東発発  ドラ一万
すぐにでもホンイツに移行しそうなこの手を即リーチ。
一発でドラ表示牌の九万を引きアガリ2,000・4,000。
さらには東4局、
七万八万九万四索四索四索五索六索七索八索九索二筒三筒  ドラ四索
ドラが暗刻のこの手はスッとヤミに構え、すんなりと2,000・4,000を引きアガる強さ。
今節もポイントを77Pも積み上げ、1人独走の+226.7Pと悲願のA1昇級に一歩前進した。
勝又と同卓の前田と白鳥は終始我慢の展開。2人ともポイントを減らしたものの、何とか昇級前線に踏みとどまった感があるだけに、次節以降の戦いに注目したいところだ。
2位・石渡と、5位・四柳の卓では、佐々木が初戦から大爆発!東2局の親番で7本場まで積み上げ、一気に七万点越え。このトップで昇級争いに絡んだかに見えたが2回戦以降失速。しかし5回戦オーラスに、
一索一索九索九索発発発  ポン東東東  ポン北北北  ロン九索
この24,000で何とか持ちこたえた格好になったが、本人としてはまだまだ納得のいかないところだろう。
もう1つの卓では非常に面白い局面があったのでここに紹介したい。
1回戦オーラス、5万点を超えるトップ目の山田が2フーロでテンパイ。
五万六万八万八万五索六索七索  チー五万四万六万  ポン白白白  ドラ五筒
この仕掛けに対し山井がリーチ。
九万九万五筒六筒七筒八筒九筒一索一索二索二索三索三索  リーチ  ドラ五筒
このリーチを受け、山田が掴んだのは山井の当たり牌四筒。この四筒を山田は冷静に抑え打五万と放銃を回避。
すると、ここに北家・仁平は打二筒と勝負を挑む。
この二筒を親の黒沢がチーすると、仁平は意を決してツモ切りリーチを敢行。
終局するかと思われたが、ホウテイ牌は山井の下へ。
山井が六筒をツモ切るとこれが仁平に捕まる。
二筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒七筒七筒北北北  リーチ  ロン六筒
この12,000で仁平は浮きに回り、山井の1人沈みに。
この放銃が引き金となったか、山井はこの日大きくポイントを減らすこととなり、昇級争いから一歩後退する結果となってしまった。
対局後山井は、「局面を長引かせるリーチは、アガリ逃しと同じ」と、このリーチを打ったことを深く反省していた。しかし映像での対局を得意とする山井だけに、ここからの巻き返しも十分に考えられるのではないか。
この日の結果で勝又が1人大きく抜け出し、縦長の展開となってしまった。
しかし、残り一枠の昇級争いと、降級争いはさらに混戦模様に拍車がかかった格好となっている。
こうなると残り3節、対戦時間と環境が変わる中での戦いだという事が大きく結果に左右するのではないかと推測する。初めて映像に映る選手の戦い方に注目して、来節以降はニコ生での観戦を楽しみたいと個人的には考えている。
※現在のところ配信は予定となっております。
Aリーグの生放送が始まることで、選手の意識レベルも、視聴者や解説者のレベルも飛躍的に向上することが予想される。そうなった時には、実力の無いものが自然淘汰されることになることもまた事実だ。
本物だけが生き残り、力の無いものが去る。
プロ連盟にとっても、選手たちにとっても生き残りをかけた戦いが始まる今、各自がどのようなことが問われているかを考えることから、これからの第一歩が始まることだろう。
来月から生放送が始まるが、選手たちの戦いは既に始まっている。
それは、選手間の争いではなく、自分自身の意識レベルの向上と、多くのファンに対しての勝負だということを選手自身は忘れてはならないはずだ。
これからの生き残りをかけた争いにぜひ注目してほしい。
きっと視聴者の皆様の心に訴えかけることの出来る戦いが繰り広げられるはずであるから。

第30期プロリーグ A2 第6節レポート

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突然の話ではあるが、プロ連盟では10月のリーグ戦からA1、A2リーグ共に、ニコニコ生放送での配信が決定した。(A2リーグは一部の対戦)

※現在のところ配信は予定となっております。
決定後、詳しくは日本プロ麻雀連盟ホームページで発表いたします。

予てからリーグ戦の最高峰であるAリーグの対局を放送するような時代が来ることを熱望していた私にとっても、プロの公式戦を中々目の当たりにすることが出来なかった麻雀ファンにとっても、この試みは画期的であり且つ非常に有意義なモノになることは間違いない。

モンドから始まった麻雀番組も、ついにリーグ戦の模様を全国の皆様へ生放送でお伝えできるようになったかと思うと、プレーヤーの1人としては非常に身の引き締まる想いでいっぱいである。

これもひとえに、先人たちがここまで麻雀界を絶えることなく引っ張ってきてくださったことと、諸先輩方の尽力のおかげだという事に、感謝しても、し尽せないくらいだ。このような時代に一プレーヤーとして対局出来ることに、私は多くの幸せを感じ、そしてまたこの流れを継続させていく事が出来る様に、更なる精進を重ねて行く事が必要だという事を痛感している。

時代が映像媒体へと移り変わることに対して多くの期待感があることは間違いない。
そういった現実に対し、去りゆく文化があることもまた、事実なのである。
それは、観戦記やレポートといった活字媒体。
このA2リーグレポートも同様である。

これからの時代は、画面を飾るプレーヤーを成長させていくのは視聴者の皆様の声である。
誤魔化しのきかないプレーや、リアルな視聴者の皆様の反応に、番組も、選手も、そして業界も成長させられるのである。

しかし、活字媒体で選手を光らせるのは、選手のパフォーマンスを生かす書き手の個性と能力。
上げるも下げるもその書き手の意思1つだった。
事実私も、選手の良い所を光らせたく、多くの凡プレーには目を瞑ってきたこともままある。

ペンの力は偉大である。持ち上げることも、貶めることも、自由自在。
それは、このレポートを楽しみに読んでくださっているファンの皆様に、Aリーグの対局の素晴らしさを伝える一心だったことをここに詫びたい。

プロ連盟を愛するが故に、選手を輝かせたいが故に、麻雀の面白さ、素晴らしさを伝えたいが故に、若干の脚色が入っていた部分もあるだろう。

しかし…

これからは誤魔化しが全く効かない。
選手の能力と個性、そして想いをどのようにして伝えるかは選手個人の力量にかかっているし、解説が入っていたとしても、それを判断するのは最終的には視聴者の皆様なのだ。

良い部分を光り輝かせ、負の部分をオブラートで包みこむ。
そのような文法を使ってきたことに私は強く反省している。しかしこれからは各選手のレベルが白日の下に晒されることになるのだ。そうなれば、現在私が感じている真実をここに記す必要性があるだろう。

A1リーグで戦っている私が感じている事。それは、A2リーグのレベルの格差。
上位で昇級を競い合い、A1で戦うことに夢焦がれている者。また、この世界で生き抜くことを心に決め、人生を掛けてこの世界で勝負しようと考えている者。そういった想いの下戦っている選手たちと、一般の選手達とはいろいろな意味で大きな違いがあることは事実である。

それらは今後、映像を目にした視聴者の皆様の方が強く感じることなのかもしれない。
普段からプロ意識を持って映像媒体で活躍している選手と、今後初めて映像に映る選手とは、いろいろな意味で大きな差があることだろう。

最初は罵倒されることもあるかもしれない。
選手間で大きな格差を感じるかもしれない。

しかしこれを機に、多くの選手たちの意識が変わってくれることを願いたいのだ。
プロであるということの自覚と責任を。
自分の打牌の裏側に、多くのファンの声援があるという事を意識してほしいのだ。

そういった経験を経て各自がさらにレベルアップすることが、この世界が支持される絶対条件になり得るのだから。

映像を見て、さらにAリーグを夢見る選手が増えることは間違いない。
多くの麻雀ファンの中から、麻雀プロを志す者も今以上に多くなるはずだ。
そういった『目』に育てられることを選手は意識して、これからのリーグ戦を戦っていってもらいたいと願っている。

話は大きく逸れてしまったが、今節注目したのは首位の勝又の卓。
共に昇級を争い上位につける前田と白鳥、さらには元A1の右田と、今期苦しむ滝沢が相手だ。
この卓では、各自の個性が十二分に発揮された内容となった。

まずは東1局、右田と滝沢の個性がぶつかる。
親・右田の配牌。

四万四筒七筒八筒九筒二索二索五索六索六索八索八索発発  ドラ七万

この配牌から何と右田は打四筒!そして次巡ツモ西で打五索
右田曰く「緑一色を見据えて」とのこと。この牌姿、どこからでも仕掛けていくということだ。

これを映像で見た視聴者にはどう伝わるだろうか?
良し悪しは別として、この強烈な個性と右田の想いが、画面越しに伝えることができるだろうか?

これに対し、滝沢は正確な手順で応戦する。

視聴者が見ても惚れ惚れするような手牌進行で歩を進めると、ロスなく7巡目にリーチ。
六筒を暗カン後、最速手順で満貫をツモ。

五万六万七万七万八万七筒八筒九筒北北  暗カン牌の背六筒六筒牌の背  リーチ  ツモ九万  ドラ七万

誰が見ても納得する華麗なアガリを見せた滝沢と、自らの想いを打牌に乗せた右田のフォームはまるで対照的だ。どちらを支持するかは見る人それぞれだろう。そういったぶつかりあいを見ることが出来るのがAリーグの魅力だろうし、これから視聴者の皆様に注目してほしい部分でもある。

続いては首位を走る勝又の思考と対応に触れよう。
東2局、親・勝又の6巡目、

五筒六筒七筒七筒三索三索四索六索六索八索八索九索九索  ツモ四筒  ドラ六筒

この七対子1シャンテンにツモ四筒で、2シャンテン戻しの打九索。タンヤオに柔軟に移行出来るのも首位に立つ余裕なのか。さらにツモ四筒九索、ツモ三筒四索としたあと、滝沢の切った三索をポン。手を決めてしまう七対子より、柔軟な形を求めた勝又。この局をテンパイと連荘を果たすと、続く1本場はしっかりとヤミテン。

四万五万六万六万七万八万四筒五筒六筒六索七索八索八索  ロン五索 ドラ八索

僅か5巡での11,600。首位を走る勝又にとっては十分なリードとなった。
この手に飛び込んでしまったのは滝沢。滝沢の手もテンパイで、

四万五万六万七万三筒四筒五筒三索三索五索七索八索九索  ツモ四万  打五索  ドラ八索

手順が正確な故の放銃。致し方ないと言えばそれまでだが、これが今期好調の勝又と不振に喘ぐ滝沢との勢いの差か。滝沢の手順は全く問題がないのだが、少しでも手順を外せば逆に放銃を免れたというのは皮肉としか言いようがない。こういった細かい部分を今後目の当たりに出来ることも映像の魅力の1つだが、結果だけ追ってしまうと滝沢の魅力に気が付く事無く過ぎ去ってしまう可能性も否定できない一瞬だった。

勢いに乗る勝又は続く東2局2本場は5巡目にリーチ。

三万四万五万七万八万四筒四筒四筒六索七索八索九索九索  リーチ  ドラ西

先程のヤミテンがあるだけに、3者共踏み込めず流局。
こういった押し引きの強弱も勝又の強みなのだろう。

勝又の戦いはこの日も終始安定。
仕掛けとリーチ、ヤミテンのバランスが抜群で、相手の攻勢にも余裕を持って対応している所が印象的だった。
例えば2回戦南3局親番で、

二万二万一索一索五索六索六索七索七索七索八索八索九索  ドラ東

この1シャンテンから四索をチーすると、次巡ツモ五索ですぐに清一色のテンパイ。
七索をツモ切ると白鳥から六索が出て12,000。

また続く3回戦では東1局6巡目に、

九万九万三索四索五索七索七索七索東東東発発  ドラ一万

すぐにでもホンイツに移行しそうなこの手を即リーチ。
一発でドラ表示牌の九万を引きアガリ2,000・4,000。
さらには東4局、

七万八万九万四索四索四索五索六索七索八索九索二筒三筒  ドラ四索

ドラが暗刻のこの手はスッとヤミに構え、すんなりと2,000・4,000を引きアガる強さ。
今節もポイントを77Pも積み上げ、1人独走の+226.7Pと悲願のA1昇級に一歩前進した。

勝又と同卓の前田と白鳥は終始我慢の展開。2人ともポイントを減らしたものの、何とか昇級前線に踏みとどまった感があるだけに、次節以降の戦いに注目したいところだ。

2位・石渡と、5位・四柳の卓では、佐々木が初戦から大爆発!東2局の親番で7本場まで積み上げ、一気に七万点越え。このトップで昇級争いに絡んだかに見えたが2回戦以降失速。しかし5回戦オーラスに、

一索一索九索九索発発発  ポン東東東  ポン北北北  ロン九索

この24,000で何とか持ちこたえた格好になったが、本人としてはまだまだ納得のいかないところだろう。

もう1つの卓では非常に面白い局面があったのでここに紹介したい。
1回戦オーラス、5万点を超えるトップ目の山田が2フーロでテンパイ。

五万六万八万八万五索六索七索  チー五万四万六万  ポン白白白  ドラ五筒

この仕掛けに対し山井がリーチ。

九万九万五筒六筒七筒八筒九筒一索一索二索二索三索三索  リーチ  ドラ五筒

このリーチを受け、山田が掴んだのは山井の当たり牌四筒。この四筒を山田は冷静に抑え打五万と放銃を回避。
すると、ここに北家・仁平は打二筒と勝負を挑む。
この二筒を親の黒沢がチーすると、仁平は意を決してツモ切りリーチを敢行。

終局するかと思われたが、ホウテイ牌は山井の下へ。
山井が六筒をツモ切るとこれが仁平に捕まる。

二筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒七筒七筒北北北  リーチ  ロン六筒

この12,000で仁平は浮きに回り、山井の1人沈みに。
この放銃が引き金となったか、山井はこの日大きくポイントを減らすこととなり、昇級争いから一歩後退する結果となってしまった。

対局後山井は、「局面を長引かせるリーチは、アガリ逃しと同じ」と、このリーチを打ったことを深く反省していた。しかし映像での対局を得意とする山井だけに、ここからの巻き返しも十分に考えられるのではないか。

この日の結果で勝又が1人大きく抜け出し、縦長の展開となってしまった。
しかし、残り一枠の昇級争いと、降級争いはさらに混戦模様に拍車がかかった格好となっている。

こうなると残り3節、対戦時間と環境が変わる中での戦いだという事が大きく結果に左右するのではないかと推測する。初めて映像に映る選手の戦い方に注目して、来節以降はニコ生での観戦を楽しみたいと個人的には考えている。
※現在のところ配信は予定となっております。

Aリーグの生放送が始まることで、選手の意識レベルも、視聴者や解説者のレベルも飛躍的に向上することが予想される。そうなった時には、実力の無いものが自然淘汰されることになることもまた事実だ。

本物だけが生き残り、力の無いものが去る。
プロ連盟にとっても、選手たちにとっても生き残りをかけた戦いが始まる今、各自がどのようなことが問われているかを考えることから、これからの第一歩が始まることだろう。

来月から生放送が始まるが、選手たちの戦いは既に始まっている。
それは、選手間の争いではなく、自分自身の意識レベルの向上と、多くのファンに対しての勝負だということを選手自身は忘れてはならないはずだ。

これからの生き残りをかけた争いにぜひ注目してほしい。
きっと視聴者の皆様の心に訴えかけることの出来る戦いが繰り広げられるはずであるから。

中級/第81回『麻雀界の未来』

記録的な猛暑が続いた8月のある日、全く思いがけない方から電話を頂いた。
「ヒサト先生ですか。先日はどうもありがとうございました。」
全く見覚えのない番号からの、全く聞き覚えのない声。
その声はひどく落ち着き払っていて、会話を重ねても一切の感情が伝わってこない。
「失礼ですが、どちら様でしょうか?」
『貴方のファンです。』
「どこかで同卓しましたか?」
『いえ、私にそんな腕はありません。』
明らかに困り果てた私の様子を楽しむかのように、相手方は中々その名を名乗ろうとはしなかった。
『今から私が、マンズ、ピンズ、ソーズのどれかを頭に思い描きますから、貴方の得意な読みで当ててみて下さい。』
「いや、全くわかりません。」
正直、厄介な相手だなと思った。
だがそれでもこちらから電話を切ることはしなかった。
結局、愚かな私がその相手方が誰であるかを悟るまで、実に15分もの時間を要していた。
電話の主は、伝説の雀鬼と呼ばれる桜井章一さんだった。
きっかけはその1週間前に秋葉原で行われた、桜井さんの新刊出版記念のトークイベントだった。
私は、森山茂和会長、滝沢和典とともにイベント会場である書店へと足を運んだ。
森山会長が急遽壇上に上がり、司会を務めるというサプライズはあったが、2時間ほどのイベントは和やかな雰囲気のまま終了した。
その後我々も食事の席にお招き頂き、トークイベントでは話せないような中身も含めた桜井さんの大変興味深いお話を伺うことができた。
私にとってはこれだけでも貴重な経験だったのだが、まさか桜井さんから直々に電話を頂けるなど思いもしなかったことである。
『もっと若い人達に頑張ってもらわないとなぁ』
電話の内容はそこに終始した。
日本プロ麻雀連盟は、この4月から森山新体制となった。
そこを境に桜井さんとプロ連盟との関係も密になったように思う。
きっと桜井さんと森山会長の、麻雀界を良くしていきたいという共通の思いがそうさせたのだろう。
『オレはね、貴方達にとにかく良い麻雀を打って欲しいと思っているんだよ。
勝った、負けたは二の次でいいじゃないですか。』
瞬間、小島武夫最高顧問の言葉が頭に浮かんだ。
やはり先人達の思いは相通ずるのだ。
『最初に満貫振ったっていいじゃないですか。徐々に取り戻していけばいいんだから。
最初から考えようとするから迷いが生じるんです。』
自然に打つことを心がけなさい。
そうすることで結果は段々とついてくるものです。
桜井さんはそういうことを伝えたかったのかもしれない。
その電話から数日経った勉強会の日、初戦北家スタートの私はこんな手をもらった。
二万三万四万一索一索一索四索五索六索六索四筒八筒八筒  ドラ四万
わずか3巡目にしてくっつきの1シャンテンだ。
ところがここから場面が急激に動き出す。
まずは西家の荒正義さんが東を一鳴き。
続いて親の山田ヒロが北を暗カン。
そして再び荒さんが一筒をポン。
その2巡後には、山田がドラの四万を切ってのリーチである。
その時私の手牌は以下。
二万三万四万四万一索一索一索四索五索六索六索八筒八筒
2人に挟まれた格好ではあるが、どんな結果となってもしっかり攻め抜こう。
私はいつも以上に強く、そう心に決めていた。
親のリーチが入ったとは言え、2フーロの荒さんが引くケースはあまり考えられない。
ならば、私のテンパイの入り方によっては、2人に任せる選択肢も十分にあり得る。
結果だけに拘るなら、むしろそちらの方が無難だとも言える。
だがそれは本来の自分の麻雀ではないし、何より戦っていない。
桜井さんの言葉も大きかったように思う。
人間は皆、どこか背中を押されたがっている生き物なのかもしれない。
この巡、私は四索を引いてテンパイ。
二万三万四万四万一索一索一索四索五索六索六索八筒八筒  ツモ四索
迷うことなくドラの四万を切ってリーチと出た。
次巡、二筒を持ってくると、荒さんがこれをポン。
そして引かされた九索が、山田の3,400に刺さった。
六万七万八万六索七索八索九索四筒五筒六筒  暗カン牌の背北北牌の背  ロン九索
荒さんの最終形はこうだった。
二索二索中中  ポン二筒二筒二筒 ポン一筒一筒一筒 ポン東東東
四万にくっつけば即放銃、また荒さんの二筒ポンがなくても山田のツモアガリ。
「この局はどうやっても勝ち目がなかったな。」
私の心境は何事もなかったかのようにあっさりとしたものだった。
きっと荒さんに満貫を放銃したとしてもそうだったのだろう。
別にまたやり直せばいい、私のポジティブな思考は普段に増して強くなっていた。
桜井さんは電話の最後にこう仰った。
『麻雀界は、囲碁、将棋の真似しようったって無理なんだよ。全く別のものなんだから。
無理矢理近づけようとするからいびつになる。決して間違った方向には進まないようにな。』
有難く、そして考えさせられるメッセージだった。
100年後、200年後、麻雀界はどうなっているのだろう。
大衆の娯楽としてまだ受け入れられているのだろうか。
それとも完全に衰退してしまっているのだろうか。
どっちに転ぶにせよ、それらは全て我々にかかっていると言っても過言ではない。
今が良ければそれで良しとはならないのだ。
ではそのために何をしなければならないか。
それは、我々がプロフェッショナルとしての確固たる地位を築き上げることだ。
プロの競技たるや、やはりファンあってこそのもの。
今以上に魅力ある世界を作りあげるために、我々がどんな麻雀を魅せられるか。
全てはそこにかかっているのである。

第81回『麻雀界の未来』

記録的な猛暑が続いた8月のある日、全く思いがけない方から電話を頂いた。

「ヒサト先生ですか。先日はどうもありがとうございました。」

全く見覚えのない番号からの、全く聞き覚えのない声。
その声はひどく落ち着き払っていて、会話を重ねても一切の感情が伝わってこない。

「失礼ですが、どちら様でしょうか?」
『貴方のファンです。』
「どこかで同卓しましたか?」
『いえ、私にそんな腕はありません。』

明らかに困り果てた私の様子を楽しむかのように、相手方は中々その名を名乗ろうとはしなかった。

『今から私が、マンズ、ピンズ、ソーズのどれかを頭に思い描きますから、貴方の得意な読みで当ててみて下さい。』
「いや、全くわかりません。」

正直、厄介な相手だなと思った。
だがそれでもこちらから電話を切ることはしなかった。
結局、愚かな私がその相手方が誰であるかを悟るまで、実に15分もの時間を要していた。

電話の主は、伝説の雀鬼と呼ばれる桜井章一さんだった。

きっかけはその1週間前に秋葉原で行われた、桜井さんの新刊出版記念のトークイベントだった。
私は、森山茂和会長、滝沢和典とともにイベント会場である書店へと足を運んだ。
森山会長が急遽壇上に上がり、司会を務めるというサプライズはあったが、2時間ほどのイベントは和やかな雰囲気のまま終了した。

その後我々も食事の席にお招き頂き、トークイベントでは話せないような中身も含めた桜井さんの大変興味深いお話を伺うことができた。

私にとってはこれだけでも貴重な経験だったのだが、まさか桜井さんから直々に電話を頂けるなど思いもしなかったことである。

『もっと若い人達に頑張ってもらわないとなぁ』

電話の内容はそこに終始した。

日本プロ麻雀連盟は、この4月から森山新体制となった。
そこを境に桜井さんとプロ連盟との関係も密になったように思う。
きっと桜井さんと森山会長の、麻雀界を良くしていきたいという共通の思いがそうさせたのだろう。

『オレはね、貴方達にとにかく良い麻雀を打って欲しいと思っているんだよ。
勝った、負けたは二の次でいいじゃないですか。』

瞬間、小島武夫最高顧問の言葉が頭に浮かんだ。
やはり先人達の思いは相通ずるのだ。

『最初に満貫振ったっていいじゃないですか。徐々に取り戻していけばいいんだから。
最初から考えようとするから迷いが生じるんです。』

自然に打つことを心がけなさい。
そうすることで結果は段々とついてくるものです。
桜井さんはそういうことを伝えたかったのかもしれない。

その電話から数日経った勉強会の日、初戦北家スタートの私はこんな手をもらった。

二万三万四万一索一索一索四索五索六索六索四筒八筒八筒  ドラ四万

わずか3巡目にしてくっつきの1シャンテンだ。
ところがここから場面が急激に動き出す。

まずは西家の荒正義さんが東を一鳴き。
続いて親の山田ヒロが北を暗カン。
そして再び荒さんが一筒をポン。
その2巡後には、山田がドラの四万を切ってのリーチである。
その時私の手牌は以下。

二万三万四万四万一索一索一索四索五索六索六索八筒八筒

2人に挟まれた格好ではあるが、どんな結果となってもしっかり攻め抜こう。
私はいつも以上に強く、そう心に決めていた。

親のリーチが入ったとは言え、2フーロの荒さんが引くケースはあまり考えられない。
ならば、私のテンパイの入り方によっては、2人に任せる選択肢も十分にあり得る。
結果だけに拘るなら、むしろそちらの方が無難だとも言える。

だがそれは本来の自分の麻雀ではないし、何より戦っていない。
桜井さんの言葉も大きかったように思う。
人間は皆、どこか背中を押されたがっている生き物なのかもしれない。

この巡、私は四索を引いてテンパイ。

二万三万四万四万一索一索一索四索五索六索六索八筒八筒  ツモ四索

迷うことなくドラの四万を切ってリーチと出た。
次巡、二筒を持ってくると、荒さんがこれをポン。
そして引かされた九索が、山田の3,400に刺さった。

六万七万八万六索七索八索九索四筒五筒六筒  暗カン牌の背北北牌の背  ロン九索

荒さんの最終形はこうだった。

二索二索中中  ポン二筒二筒二筒 ポン一筒一筒一筒 ポン東東東

四万にくっつけば即放銃、また荒さんの二筒ポンがなくても山田のツモアガリ。

「この局はどうやっても勝ち目がなかったな。」

私の心境は何事もなかったかのようにあっさりとしたものだった。
きっと荒さんに満貫を放銃したとしてもそうだったのだろう。
別にまたやり直せばいい、私のポジティブな思考は普段に増して強くなっていた。

桜井さんは電話の最後にこう仰った。

『麻雀界は、囲碁、将棋の真似しようったって無理なんだよ。全く別のものなんだから。
無理矢理近づけようとするからいびつになる。決して間違った方向には進まないようにな。』

有難く、そして考えさせられるメッセージだった。

100年後、200年後、麻雀界はどうなっているのだろう。
大衆の娯楽としてまだ受け入れられているのだろうか。
それとも完全に衰退してしまっているのだろうか。

どっちに転ぶにせよ、それらは全て我々にかかっていると言っても過言ではない。
今が良ければそれで良しとはならないのだ。
ではそのために何をしなければならないか。

それは、我々がプロフェッショナルとしての確固たる地位を築き上げることだ。
プロの競技たるや、やはりファンあってこそのもの。
今以上に魅力ある世界を作りあげるために、我々がどんな麻雀を魅せられるか。
全てはそこにかかっているのである。

新人王 決勝観戦記/第27期新人王戦 決勝観戦記

shinjin27

 
日本プロ麻雀連盟の新人王戦は、予選と決勝を同日に行い優勝者を決める1DAYタイトル戦である。
ある者は挑戦のつもりで、又ある者は必勝を誓って、それぞれの思いを胸に全国より128人もの新人プロがここ新橋に集まった。
18時30分、予選7回戦が終了。
朝、128人の前に開けていた新人王への可能性は今、4人だけのものとなった。

shinjin27

清水哲也
予選1位通過
28歳。東京本部所属28期生。
予選は終始安定した戦い方で堂々の1位通過。面前手と仕掛けのバランスが良く、また場況もしっかり見えているなといった印象。
『決勝も気負わずいつも通りの打ち方で臨みたいです。そして勝ちたいです。』

shinjin27

大久保朋美
予選2位通過
23歳。関西本部所属29期生。
今回の決勝メンバー最年少にして唯一の女流プロ。予選での超攻撃型で全局参加型の麻雀を決勝でも見せてくれるのだろうか。
『自分の麻雀を打ち切れるよう頑張ります!』

shinjin27

岡本和也
予選3位通過
32歳。静岡支部所属27期生。
手役重視の面前高打点型。他の3人が仕掛けを多用するタイプなので、面前派の岡本がどう戦うのかが楽しみでもある。
『昨年は6位で悔しい思いをしました。今年は決勝に残ることが出来ましたが、優勝を意識し過ぎず、しっかりとした内容の麻雀を打ちたいです。』

shinjin27

三浦智博
予選4位通過
26歳。東京本部所属28期生。
リーチや仕掛けが多く、打点や待ちよりも先手を取ることを重視するタイプか。予選ではリードを得てからの卓回しが絶妙であった。
『決勝では悔いの残らないよう精一杯頑張りたいです。』
【決勝1回戦】
起家から岡本、清水、三浦、大久保で決勝1回戦がスタートした。

shinjin27

東1局、ドラ一索で4人の配牌は
東家・岡本
一万三万四万六万八万九万三筒五筒六筒七筒七筒九筒西北
南家・清水
三万四万三索三索四索六索七索九索東東北白発
西家・三浦
一万一万二万一索四索八索八索二筒三筒南西白中
北家・大久保
四万九万一索五索一筒二筒三筒五筒六筒六筒九筒南西
こうである。北家の大久保が第1ツモでドラの一索を重ね、10巡目には、
四万五万六万一索一索一筒二筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒  リーチ
この本手リーチを打つ。あっさりと高目をツモってしまいそうな予感がしたが、ここは流局で1人テンパイ。
大久保『あの四筒七筒待ちは自信があったので、アガれなかったのは感触として悪かったです。決勝戦の間それが気にかかってしまって…その後の押し引きに影響してきちゃったかもしれません。』
続く清水の親番、親の清水が8巡目に二索を両面で仕掛け
五索六索七索九索九索九索東中中中  チー二索 左向き三索 上向き四索 上向き  ドラ五万
この9,600テンパイ(連盟Aルールでは連風牌の単騎待ちは6符となる)。この清水の仕掛けに対し、北家の岡本は果敢にも白六索と押すが当たり牌の東だけはピタリと止め、しっかりと東単騎にし2人テンパイでの流局とする。
五万六万七万四索五索六索二筒三筒四筒東発
大久保、清水と本手を空振ったなか、初アガリは三浦。
二万二万二筒四筒六筒七筒八筒  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き  ポン七索 上向き七索 上向き七索 左向き  ツモ三筒  ドラ七万
2つ鳴いてのカンチャン待ちの2,000点ではあるが、中盤を過ぎていて面前で仕上げるのが難しくなってきたことと、親の清水の捨て牌からタンピン系で手がまとまっていそうとの読みを入れてのかわし手か。
東3局に、中のみの1,000点を岡本からアガリ親番を迎えた大久保。
七万九万九万四索五索五索六索二筒三筒四筒四筒五筒八筒西 ドラ四筒
この好配牌。9巡目に
七万八万九万九万四索五索六索二筒三筒四筒四筒五筒六筒
こうなるが六万九万がそれぞれ1枚切れのためヤミテンを選択。3巡後、二筒を持ってきて打九万とし待ち変えをするが、ここでもヤミテンを続行。次巡、七万を空切り。九万七万と手出しになったことで、他家からは親はカンチャン外しでまだノーテンと見えたか、岡本からの二筒で5,800点の出アガリとなる。
同1本場は、岡本が清水の1,300点は1,600点に放銃となり南入。親は現状1人沈みの岡本。
二万五万八万二索二索三筒五筒六筒七筒七筒八筒九筒南南  ドラ六筒
仕掛けても南ホンイツドラ1の親の満貫クラスが見込める配牌である。何とかこの手を成就させ巻き返したいところだが、6巡目に西家の三浦から以下の形のリーチが入る。
二万二万三万四万五万一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ
岡本も南を仕掛けて三万六万待ち2,900点のテンパイを取るも、余った三筒が三浦への放銃となってしまう。打点こそ安目の2,000点ではあるが、親番の落ちた岡本はますます苦しい状況となる。
南2局、親番は清水。大久保から1,500点を出アガリし迎えた1本場。
清水は4巡目にして以下の1シャンテン。
四万五万六万八万八万三索四索五索八索二筒三筒四筒六筒  ドラ七索
ここは清水の連荘かと思うも、なかなかテンパイが入らない。そんな中、西家の大久保が、
五万六万九万九万四索四索五索七索三筒五筒七筒南南
ここから六筒を仕掛け、567の三色と南の二段構えの後付け。大久保らしい積極的な仕掛けである。
しかしこの局のアガリは岡本。
一万二万三万四万五万六万七万七万七万七索八索九索中 ツモ中
親と仕掛けに対応しながら役無し単騎をツモる。500・1,000ではあるが岡本にとっては待望の決勝初アガリである。
南3局は、三浦が清水に1,300点の放銃となりオーラスは大久保の親番となる。トップ目は大久保で34,500点。ただ現状では3人浮きのトップであり、2回戦へ持ち越すアドバンテージとしては弱い。この親番で加点をし1人浮きのトップになりたいところである。逆に、清水と三浦はこの局はトップを取りに行くことも大事だが、浮きのまま1回戦を終えることもまた重要なテーマである。岡本は何とかして1人沈みの状態からは抜け出しておきたい。オーラス、最初に動いたのは三浦。
二万四万四万七索八索八索三筒三筒五筒五筒七筒八筒八筒  ドラ八筒
タンヤオ七対子ドラ2の1シャンテンから八索をポン。窮屈な七対子よりも動きやすい食いタンへと移行する。しかしその後ツモが利かずシャンテン数が進まない。その間、1シャンテンまで進んだ親の大久保が終盤に一万をチーで
一索二索三索一筒三筒五筒五筒六筒七筒八筒  チー一万二万三万
この2,900点のテンパイを入れる。親の1人テンパイで続行かと思ったが、最後のツモで初牌の中を掴み、さすがにと思ったかオリを選択。結果、オーラスは全員ノーテンとなり、順位点を足した1回戦のスコアは以下の通り。
大久保+12.5
清水+5.6
三浦+2.2
岡本▲20.3
例年、新人王戦というと打撃戦となり高打点が飛び交うイメージなのだが、今年は4人中3人が仕掛け派ということもあってか1回戦は小場が中心となり、最高打点は大久保の5,800点であった。
その小場を制し現在首位に立つはプロ1年目、大久保朋美。ニューヒロインの誕生か?最終戦開始までの小休止中、にわかに会場がざわめく。
 
【決勝2回戦(最終戦)】

shinjin27

 
ついにこの1戦で第27期新人王が決まる。大久保、清水、三浦の3人はほぼ着順勝負である。岡本だけは1人浮きのトップもしくは素点で大きく叩いたトップが必要となってくるだけに少し厳しい。それにしても決勝メンバーの4人は予選から合わせて今日9戦目となるのだが、誰一人として疲労の様子は見られない。やはりタイトル戦の決勝というものは特別なものなのだと再認識させられる。厳かとも言える雰囲気の中、最終戦がスタートした。
東1局、南家・三浦が親の第一打の白をポン。これに応じるかのように北家・大久保も親の第二打の発をポン。最終戦も空中戦を予感させる開局となった。2人の仕掛けに挟まれた岡本だが、
一万二万三万二索三索七索八索九索一筒三筒九筒西西  ドラ西
この1シャンテンまでこぎつける。我慢を重ねていた岡本ついに大物手が炸裂か、と思ったのも束の間、大久保が三浦に1,000点の放銃となりこの局は決着となる。
東2局は、親の三浦が700オールをツモり連荘。1回戦から引き続き、三浦と大久保が小場のペースを作って局が進んでいるように感じる。同1本場、岡本からリーチの発声。
三万四万六万七万八万三索四索五索三筒三筒発発発  リーチ  ドラ四万
中盤に親の三浦から切られた発を鳴かずに、自力で引き入れてのリーチである。
しかし、このリーチも次巡、岡本の現物待ちでテンパイを入れた清水にかわされてしまう。
打点を作りに行くも、なかなか実らず苦しい展開が続いていた岡本。東3局の親番を迎え好配牌を授かり、
四万六万七万二索三索五索五索六索六索七索九索八筒八筒中  ドラ六索
岡本にしては珍しく仕掛けを2つ入れ、5,800点を清水から出アガる。
四万四万六万七万五索六索七索  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 左向き  チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き  ロン八万
面前派の岡本が親番とはいえ両面チーから仕掛けたことを考えると、最低でもドラはもう1枚隠れていそうである。清水自身も対局終了後に悔やんでいたが、私もこの放銃は少し淡白に思えた。
続く1本場。親の岡本が観戦者を少し驚かせる手順で、
3巡目
二万三万四万四万六万七索一筒二筒三筒四筒六筒白白  ツモ五万  打一筒
8巡目にはこのテンパイを入れ、
二万三万四万四万五万五万六万二筒三筒四筒白白白  ドラ五万
またも清水から二万で討ち取り、7,700点は8,000点の加点。
こちらの牌譜データサービスもしくはロン2の牌譜で詳しく見られます。
これで岡本は、三浦を原点以下まで沈めることが出来れば優勝が現実的なものとなる。
逆に、2局連続の放銃となった清水は、優勝争いから少し後退となってしまった。
同2本場。北家・三浦、親に二筒の暗カンが入るもまだノーテンと読み、
二万二万四万六万二索三索四索三筒四筒五筒  暗カン牌の背西西牌の背  ドラ六筒
待ちは弱いがリーチと出る。これに南家・大久保も、
五万七万四索五索六索七索八索九索六筒七筒八筒南南
これで追いかけリーチ。対局終了後。このリーチの意図を聞いたところ
大久保『打点や待ちの良し悪しじゃなく、三浦さんか私のどちらかが岡本さんの親を落とさなきゃいけないと思いました。だから例え結果が三浦さんへの放銃となったとしても、このリーチの最低限の目的は果たせているからいいんです。私の親番は2回残っていますし。』
その判断の正誤はともかく、タイトル戦の初決勝という場面でここまで大局的な考え方を出来ることに驚いた。結果は、三浦と大久保の二人テンパイ。大久保の追いかけリーチが入らなければ岡本も押し返して親番を続けていた可能性も高い。岡本の親落としには見事成功したのだ。
流れ3本場となった大久保の親番では、清水が500・1,000は800・1,300をアガリ、東場は終了し最終戦もついに南入となる。
南1局、親は現状ラス目の清水。優勝のためにはこの親番で大きなアガリをものにしたいところ。
終盤に三色の崩れるあまり嬉しくないテンパイを入れリーチを打つも、
一万二万三万五万五万五万四索五索六索五筒六筒南南  リーチ  ドラ八万
西家・岡本に、
一索一索三索四索五索九索九索中中中  ポン七索 左向き七索 上向き七索 上向き  ツモ九索
片方の枯れているシャンポン待ちをあっさりとツモられてしまう。そして岡本はこの1,300・2,600のアガリによってトータルで首位に立つ。しかし続く南2局に親の三浦に2,000点の放銃。首位は三浦へと目まぐるしく入れ替わる。
南2局1本場、後の無い清水がタンヤオ三色の本手リーチ。
二万三万四万二索三索四索六索七索八索二筒四筒五筒五筒   リーチ  ドラ九筒
これをアガることが出来れば優勝の可能性はまだ残る。しかし清水の現物待ちでテンパイを入れていた岡本が大久保から2,000は2,300をアガリ、あとは岡本と大久保の親番を残すのみとなる。
南3局、親は岡本。大久保から2,000点をアガリ迎えた1本場。清水に逆転の手が入る。
一索二索三索発  ポン中中中  ポン西西西  ポン白白白  ドラ一万
発をツモることが出来れば西・小三元・ホンイツ・チャンタの倍満である。ただ、発単騎ではアガリ目が薄いと思ったか九索に待ち変え。これが痛恨の倍満逃がしとなる。そして岡本のノーテンで親は流れ、いよいよオーラスとなった。たらればの話になってしまうが、清水はここで倍満をツモると33,200点持ちのトータルトップ目でオーラスを迎えることができ、追う立場のトータル2着目岡本は清水を原点以下に落とすアガリ(直撃なら3,900以上、ツモだと4,000・8,000以上)が必要となり、清水の優勝がかなり濃厚となっていたのだ。
清水『白西と仕掛けているところに大久保さんが中を切ってきた。発は大久保さんに暗刻だと思いました。そして親の岡本さんも無筋を押してきた。発は絶対に出アガリ出来ないけど九索なら岡本さんから直撃出来るかもしれない。山に残っているのも九索だという自信があったんです。発切りは自分としては間違ってはいないと思います。思いますが…悔いは残ります。』
最終戦オーラス、親番は大久保。流れ2本場である。
ここで各自の現在の持ち点およびトータルスコアと優勝条件をお伝えしておこう。
三浦:30,900点  トータル +7.1P
岡本:48,300点  トータル +6.0P
大久保:20,900点 トータル ▲0.6P
清水:19,900点  トータル▲12.5P
三浦と岡本は1,000点でもアガれば優勝である。また、親がノーテンだった場合は三浦が原点付近の持ち点のため少し複雑となる。三浦がテンパイであれば三浦の優勝。全員ノーテンでも三浦の優勝。三浦ノーテンの岡本テンパイの場合、岡本の優勝。三浦、岡本ともにノーテンであっても清水がテンパイだった場合、岡本の優勝となる。大久保は満貫以上のツモもしくは岡本からの満貫以上の直撃で次局はノーテンで伏せることが出来る。清水は跳満以上のツモもしくは岡本からの跳満以上の直撃が条件となる。
サイコロボタンを押す大久保の指に力が入る。ドラは七筒。4人の配牌は、
大久保
二万五万九万九万三索四索四索七索八索九索三筒三筒八筒白
清水
一万四万二索二索五索八索一筒二筒五筒六筒北発中
三浦
五万六万一索一索三索五索三筒六筒九筒九筒東白発
岡本
五万六万七万三索五筒五筒東東南西北中中
岡本の配牌がいい。中頼みの手にはなってしまいそうではあるが、この局面で役牌を絞る者はいない。三索にくっつきさえすれば捨て牌一段目でのアガリもありそうだ。親の大久保も悪くはないが、岡本の方が早そうである。清水はこの手格好から跳満はまだ見えない。三浦もアガリ競争となると少し厳しいか。
岡本が五筒ポン、五索チーとし6巡目で
五万六万七万東東中中  ポン五筒 左向き五筒 上向き五筒 上向き  チー五索 左向き三索 上向き四索 上向き
このテンパイ。
しかし三浦もあの配牌から発を重ね、七索九索八索と引き、七万を入れる。そして8巡目に一索をポンして
五万六万七万七索八索九索九筒九筒発発  ポン一索 左向き一索 上向き一索 上向き
この執念のテンパイ。決勝最終戦オーラス、まさかのシングルバック対決となる。ただこの発中は清水が発を2枚に中を1枚抱え込んでいる。跳満以上が優勝条件の清水だが、現在の牌姿からではまだ跳満は見えない。そこへ三浦の一索ポン。役牌頼りであるのは濃厚である。優勝の可能性の低くなった清水からはこの発中も出ることはないのではないか。そしてふと親の大久保の手牌を見ると、
八万九万九万三索四索七索八索九索二筒三筒四筒七筒八筒
ピンフドラ1の1シャンテンである。大久保がアガって次局、三つ巴の3本場となるのか?そう思った次の瞬間、大久保が中を掴んだ。危険は百も承知、しかし切らなければ自身の優勝の可能性が無くなる。数秒の逡巡の末、河に放たれる中。岡本の『ロン、1,000は1,600』の発声。大久保は元気良く『ハイ!』と応えた。
 
4位 清水哲也
『 決勝も緊張せず打てました。東3局の5,800放銃と発単騎のアガリ逃がしはちょっとモヤモヤが残りますけど…。まぁ敗れはしましたが僕にはまだ来年もあります。今度こそ優勝ですよ。』
予選を見ていた時は決勝も清水が圧勝するのではないかというほどの安定した戦いぶりだった。タイトル戦の初決勝を緊張せずに打てたのはすごい。本当に来年も決勝に残っているのではないだろうか。
 
3位 大久保朋美
『予選は攻めしか考えてなかったのに決勝は変に守りも意識しちゃって…緊張している自覚はなかったけど、本来の自分じゃない麻雀になっちゃっていたのかも。せっかく予選で大三元アガったりで決勝に残れたのになー。決勝1回戦トップで優勝へのプレッシャー?それは全然なかったですよ。来年はリベンジです!』
優勝こそ出来なかったものの、その存在感は十分にアピール出来たのではないだろうか。出身は福井県で大学が関西だったため現在は関西を中心とした活動だが、今後は東京のリーグ戦や女流桜花への参戦も考えているという。まだ新人の大久保であるが、彼女が人気女流プロの1人となる日も近いかもしれない。
 
2位 三浦智博
『決勝も普段通りの早回しで行こうと思っていました。自分のスタイルで打ち切れましたから悔いはありません。最後にシングルバック対決で負けちゃったのは残念ですけど…来年、最後の新人王戦を頑張ります。』
今回の決勝、技術レベルだけで言えば三浦が優勝でもおかしくはなかったと私は思う。辛(から)い麻雀を打つなぁと思いながら観戦していた。三浦の出身は愛知県。麻雀プロとして一旗揚げるため、東京へ出てきたという。そして普段は麻雀店の従業員をしながら土日はタイトル戦やリーグ戦に参加している。淡々と作業のように打牌を繰り返す雀風と、その涼しげな外見から三浦のことを「最近の若者にありがちな、どこか冷めたところのある男」と私は思い込んでいた。しかしいざ話してみると熱く、意志の強い男であった。私は自身の勝手な先入観を心の中で三浦に謝罪した。
 
優勝 岡本和也
『優勝するなんて朝の時点では思ってもみなかったです。嬉しい限りです。僕は会社員と麻雀プロの二足のわらじなんですけど、会社員をしながらでも麻雀は強くなれるという証明も出来て良かったです。お世話になっている静岡支部の諸先輩方、最後まで観戦してくれていた皆さん、そして運営スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。そして僕も日本プロ麻雀連盟の一員として、この麻雀界をより良いものとしていくべく努力と精進をしていきたいと思います。』
岡本が決勝に残った時、「あっ!」と思い出した。朝、誰よりも早く予選会場に着いて開場を待っていた選手だ。聞けば早起きして烏森神社に願掛けをしてから来たという。そして予選の観戦に来ていた堀内正人プロ(第27期十段位)が初見で『打牌のフォームが凛々しい。僕の推しメンだね。決勝に残るんじゃない?』と評していた選手でもあった。決勝を観戦していて、堀内プロの言うとおり岡本の打牌フォームはとても綺麗だと私も思った。日が経ってから岡本の決勝の牌譜を見返してみると技術面ではまだ少し粗削りなところも見つかってくるが、リアルタイムで観戦をしている時は、岡本のあの安定感のある牌捌きで打牌をされると疑問手も正嫡打に思えてしまうから不思議である。
その隙の無い物腰もあって大局中はある種の威圧感さえ漂わせている岡本だが、打ち上げの席では人の良さそうな無邪気な笑顔も見せ、また出席者1人1人にしっかりと挨拶とお礼の言葉をかける謙虚で礼儀正しい青年であった。

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こうして今年度の新人王戦も大きな盛り上がりを見せ、幕を閉じた。
第27期新人王 岡本和也プロ おめでとうございます!
 
 

第27期新人王戦 決勝観戦記

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日本プロ麻雀連盟の新人王戦は、予選と決勝を同日に行い優勝者を決める1DAYタイトル戦である。
ある者は挑戦のつもりで、又ある者は必勝を誓って、それぞれの思いを胸に全国より128人もの新人プロがここ新橋に集まった。
18時30分、予選7回戦が終了。
朝、128人の前に開けていた新人王への可能性は今、4人だけのものとなった。

shinjin27

清水哲也
予選1位通過
28歳。東京本部所属28期生。
予選は終始安定した戦い方で堂々の1位通過。面前手と仕掛けのバランスが良く、また場況もしっかり見えているなといった印象。
『決勝も気負わずいつも通りの打ち方で臨みたいです。そして勝ちたいです。』

shinjin27

大久保朋美
予選2位通過
23歳。関西本部所属29期生。
今回の決勝メンバー最年少にして唯一の女流プロ。予選での超攻撃型で全局参加型の麻雀を決勝でも見せてくれるのだろうか。
『自分の麻雀を打ち切れるよう頑張ります!』

shinjin27

岡本和也
予選3位通過
32歳。静岡支部所属27期生。
手役重視の面前高打点型。他の3人が仕掛けを多用するタイプなので、面前派の岡本がどう戦うのかが楽しみでもある。
『昨年は6位で悔しい思いをしました。今年は決勝に残ることが出来ましたが、優勝を意識し過ぎず、しっかりとした内容の麻雀を打ちたいです。』

shinjin27

三浦智博
予選4位通過
26歳。東京本部所属28期生。
リーチや仕掛けが多く、打点や待ちよりも先手を取ることを重視するタイプか。予選ではリードを得てからの卓回しが絶妙であった。
『決勝では悔いの残らないよう精一杯頑張りたいです。』

【決勝1回戦】

起家から岡本、清水、三浦、大久保で決勝1回戦がスタートした。

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東1局、ドラ一索で4人の配牌は

東家・岡本
一万三万四万六万八万九万三筒五筒六筒七筒七筒九筒西北

南家・清水
三万四万三索三索四索六索七索九索東東北白発

西家・三浦
一万一万二万一索四索八索八索二筒三筒南西白中

北家・大久保
四万九万一索五索一筒二筒三筒五筒六筒六筒九筒南西

こうである。北家の大久保が第1ツモでドラの一索を重ね、10巡目には、

四万五万六万一索一索一筒二筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒  リーチ

この本手リーチを打つ。あっさりと高目をツモってしまいそうな予感がしたが、ここは流局で1人テンパイ。

大久保『あの四筒七筒待ちは自信があったので、アガれなかったのは感触として悪かったです。決勝戦の間それが気にかかってしまって…その後の押し引きに影響してきちゃったかもしれません。』

続く清水の親番、親の清水が8巡目に二索を両面で仕掛け

五索六索七索九索九索九索東中中中  チー二索 左向き三索 上向き四索 上向き  ドラ五万

この9,600テンパイ(連盟Aルールでは連風牌の単騎待ちは6符となる)。この清水の仕掛けに対し、北家の岡本は果敢にも白六索と押すが当たり牌の東だけはピタリと止め、しっかりと東単騎にし2人テンパイでの流局とする。

五万六万七万四索五索六索二筒三筒四筒東発

大久保、清水と本手を空振ったなか、初アガリは三浦。

二万二万二筒四筒六筒七筒八筒  チー五万 左向き六万 上向き七万 上向き  ポン七索 上向き七索 上向き七索 左向き  ツモ三筒  ドラ七万

2つ鳴いてのカンチャン待ちの2,000点ではあるが、中盤を過ぎていて面前で仕上げるのが難しくなってきたことと、親の清水の捨て牌からタンピン系で手がまとまっていそうとの読みを入れてのかわし手か。
東3局に、中のみの1,000点を岡本からアガリ親番を迎えた大久保。

七万九万九万四索五索五索六索二筒三筒四筒四筒五筒八筒西 ドラ四筒

この好配牌。9巡目に

七万八万九万九万四索五索六索二筒三筒四筒四筒五筒六筒

こうなるが六万九万がそれぞれ1枚切れのためヤミテンを選択。3巡後、二筒を持ってきて打九万とし待ち変えをするが、ここでもヤミテンを続行。次巡、七万を空切り。九万七万と手出しになったことで、他家からは親はカンチャン外しでまだノーテンと見えたか、岡本からの二筒で5,800点の出アガリとなる。

同1本場は、岡本が清水の1,300点は1,600点に放銃となり南入。親は現状1人沈みの岡本。

二万五万八万二索二索三筒五筒六筒七筒七筒八筒九筒南南  ドラ六筒

仕掛けても南ホンイツドラ1の親の満貫クラスが見込める配牌である。何とかこの手を成就させ巻き返したいところだが、6巡目に西家の三浦から以下の形のリーチが入る。

二万二万三万四万五万一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ

岡本も南を仕掛けて三万六万待ち2,900点のテンパイを取るも、余った三筒が三浦への放銃となってしまう。打点こそ安目の2,000点ではあるが、親番の落ちた岡本はますます苦しい状況となる。

南2局、親番は清水。大久保から1,500点を出アガリし迎えた1本場。
清水は4巡目にして以下の1シャンテン。

四万五万六万八万八万三索四索五索八索二筒三筒四筒六筒  ドラ七索

ここは清水の連荘かと思うも、なかなかテンパイが入らない。そんな中、西家の大久保が、

五万六万九万九万四索四索五索七索三筒五筒七筒南南

ここから六筒を仕掛け、567の三色と南の二段構えの後付け。大久保らしい積極的な仕掛けである。
しかしこの局のアガリは岡本。

一万二万三万四万五万六万七万七万七万七索八索九索中 ツモ中

親と仕掛けに対応しながら役無し単騎をツモる。500・1,000ではあるが岡本にとっては待望の決勝初アガリである。

南3局は、三浦が清水に1,300点の放銃となりオーラスは大久保の親番となる。トップ目は大久保で34,500点。ただ現状では3人浮きのトップであり、2回戦へ持ち越すアドバンテージとしては弱い。この親番で加点をし1人浮きのトップになりたいところである。逆に、清水と三浦はこの局はトップを取りに行くことも大事だが、浮きのまま1回戦を終えることもまた重要なテーマである。岡本は何とかして1人沈みの状態からは抜け出しておきたい。オーラス、最初に動いたのは三浦。

二万四万四万七索八索八索三筒三筒五筒五筒七筒八筒八筒  ドラ八筒

タンヤオ七対子ドラ2の1シャンテンから八索をポン。窮屈な七対子よりも動きやすい食いタンへと移行する。しかしその後ツモが利かずシャンテン数が進まない。その間、1シャンテンまで進んだ親の大久保が終盤に一万をチーで

一索二索三索一筒三筒五筒五筒六筒七筒八筒  チー一万二万三万

この2,900点のテンパイを入れる。親の1人テンパイで続行かと思ったが、最後のツモで初牌の中を掴み、さすがにと思ったかオリを選択。結果、オーラスは全員ノーテンとなり、順位点を足した1回戦のスコアは以下の通り。

大久保+12.5
清水+5.6
三浦+2.2
岡本▲20.3

例年、新人王戦というと打撃戦となり高打点が飛び交うイメージなのだが、今年は4人中3人が仕掛け派ということもあってか1回戦は小場が中心となり、最高打点は大久保の5,800点であった。
その小場を制し現在首位に立つはプロ1年目、大久保朋美。ニューヒロインの誕生か?最終戦開始までの小休止中、にわかに会場がざわめく。

 

【決勝2回戦(最終戦)】

shinjin27

 

ついにこの1戦で第27期新人王が決まる。大久保、清水、三浦の3人はほぼ着順勝負である。岡本だけは1人浮きのトップもしくは素点で大きく叩いたトップが必要となってくるだけに少し厳しい。それにしても決勝メンバーの4人は予選から合わせて今日9戦目となるのだが、誰一人として疲労の様子は見られない。やはりタイトル戦の決勝というものは特別なものなのだと再認識させられる。厳かとも言える雰囲気の中、最終戦がスタートした。

東1局、南家・三浦が親の第一打の白をポン。これに応じるかのように北家・大久保も親の第二打の発をポン。最終戦も空中戦を予感させる開局となった。2人の仕掛けに挟まれた岡本だが、

一万二万三万二索三索七索八索九索一筒三筒九筒西西  ドラ西

この1シャンテンまでこぎつける。我慢を重ねていた岡本ついに大物手が炸裂か、と思ったのも束の間、大久保が三浦に1,000点の放銃となりこの局は決着となる。

東2局は、親の三浦が700オールをツモり連荘。1回戦から引き続き、三浦と大久保が小場のペースを作って局が進んでいるように感じる。同1本場、岡本からリーチの発声。

三万四万六万七万八万三索四索五索三筒三筒発発発  リーチ  ドラ四万

中盤に親の三浦から切られた発を鳴かずに、自力で引き入れてのリーチである。
しかし、このリーチも次巡、岡本の現物待ちでテンパイを入れた清水にかわされてしまう。
打点を作りに行くも、なかなか実らず苦しい展開が続いていた岡本。東3局の親番を迎え好配牌を授かり、

四万六万七万二索三索五索五索六索六索七索九索八筒八筒中  ドラ六索

岡本にしては珍しく仕掛けを2つ入れ、5,800点を清水から出アガる。

四万四万六万七万五索六索七索  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 左向き  チー七索 左向き五索 上向き六索 上向き  ロン八万

面前派の岡本が親番とはいえ両面チーから仕掛けたことを考えると、最低でもドラはもう1枚隠れていそうである。清水自身も対局終了後に悔やんでいたが、私もこの放銃は少し淡白に思えた。

続く1本場。親の岡本が観戦者を少し驚かせる手順で、

3巡目
二万三万四万四万六万七索一筒二筒三筒四筒六筒白白  ツモ五万  打一筒

8巡目にはこのテンパイを入れ、
二万三万四万四万五万五万六万二筒三筒四筒白白白  ドラ五万

またも清水から二万で討ち取り、7,700点は8,000点の加点。
こちらの牌譜データサービスもしくはロン2の牌譜で詳しく見られます。

これで岡本は、三浦を原点以下まで沈めることが出来れば優勝が現実的なものとなる。
逆に、2局連続の放銃となった清水は、優勝争いから少し後退となってしまった。

同2本場。北家・三浦、親に二筒の暗カンが入るもまだノーテンと読み、

二万二万四万六万二索三索四索三筒四筒五筒  暗カン牌の背西西牌の背  ドラ六筒

待ちは弱いがリーチと出る。これに南家・大久保も、

五万七万四索五索六索七索八索九索六筒七筒八筒南南

これで追いかけリーチ。対局終了後。このリーチの意図を聞いたところ

大久保『打点や待ちの良し悪しじゃなく、三浦さんか私のどちらかが岡本さんの親を落とさなきゃいけないと思いました。だから例え結果が三浦さんへの放銃となったとしても、このリーチの最低限の目的は果たせているからいいんです。私の親番は2回残っていますし。』

その判断の正誤はともかく、タイトル戦の初決勝という場面でここまで大局的な考え方を出来ることに驚いた。結果は、三浦と大久保の二人テンパイ。大久保の追いかけリーチが入らなければ岡本も押し返して親番を続けていた可能性も高い。岡本の親落としには見事成功したのだ。

流れ3本場となった大久保の親番では、清水が500・1,000は800・1,300をアガリ、東場は終了し最終戦もついに南入となる。

南1局、親は現状ラス目の清水。優勝のためにはこの親番で大きなアガリをものにしたいところ。
終盤に三色の崩れるあまり嬉しくないテンパイを入れリーチを打つも、

一万二万三万五万五万五万四索五索六索五筒六筒南南  リーチ  ドラ八万

西家・岡本に、

一索一索三索四索五索九索九索中中中  ポン七索 左向き七索 上向き七索 上向き  ツモ九索

片方の枯れているシャンポン待ちをあっさりとツモられてしまう。そして岡本はこの1,300・2,600のアガリによってトータルで首位に立つ。しかし続く南2局に親の三浦に2,000点の放銃。首位は三浦へと目まぐるしく入れ替わる。

南2局1本場、後の無い清水がタンヤオ三色の本手リーチ。

二万三万四万二索三索四索六索七索八索二筒四筒五筒五筒   リーチ  ドラ九筒

これをアガることが出来れば優勝の可能性はまだ残る。しかし清水の現物待ちでテンパイを入れていた岡本が大久保から2,000は2,300をアガリ、あとは岡本と大久保の親番を残すのみとなる。

南3局、親は岡本。大久保から2,000点をアガリ迎えた1本場。清水に逆転の手が入る。

一索二索三索発  ポン中中中  ポン西西西  ポン白白白  ドラ一万

発をツモることが出来れば西・小三元・ホンイツ・チャンタの倍満である。ただ、発単騎ではアガリ目が薄いと思ったか九索に待ち変え。これが痛恨の倍満逃がしとなる。そして岡本のノーテンで親は流れ、いよいよオーラスとなった。たらればの話になってしまうが、清水はここで倍満をツモると33,200点持ちのトータルトップ目でオーラスを迎えることができ、追う立場のトータル2着目岡本は清水を原点以下に落とすアガリ(直撃なら3,900以上、ツモだと4,000・8,000以上)が必要となり、清水の優勝がかなり濃厚となっていたのだ。
清水『白西と仕掛けているところに大久保さんが中を切ってきた。発は大久保さんに暗刻だと思いました。そして親の岡本さんも無筋を押してきた。発は絶対に出アガリ出来ないけど九索なら岡本さんから直撃出来るかもしれない。山に残っているのも九索だという自信があったんです。発切りは自分としては間違ってはいないと思います。思いますが…悔いは残ります。』

最終戦オーラス、親番は大久保。流れ2本場である。
ここで各自の現在の持ち点およびトータルスコアと優勝条件をお伝えしておこう。

三浦:30,900点  トータル +7.1P
岡本:48,300点  トータル +6.0P
大久保:20,900点 トータル ▲0.6P
清水:19,900点  トータル▲12.5P

三浦と岡本は1,000点でもアガれば優勝である。また、親がノーテンだった場合は三浦が原点付近の持ち点のため少し複雑となる。三浦がテンパイであれば三浦の優勝。全員ノーテンでも三浦の優勝。三浦ノーテンの岡本テンパイの場合、岡本の優勝。三浦、岡本ともにノーテンであっても清水がテンパイだった場合、岡本の優勝となる。大久保は満貫以上のツモもしくは岡本からの満貫以上の直撃で次局はノーテンで伏せることが出来る。清水は跳満以上のツモもしくは岡本からの跳満以上の直撃が条件となる。

サイコロボタンを押す大久保の指に力が入る。ドラは七筒。4人の配牌は、

大久保
二万五万九万九万三索四索四索七索八索九索三筒三筒八筒白

清水
一万四万二索二索五索八索一筒二筒五筒六筒北発中

三浦
五万六万一索一索三索五索三筒六筒九筒九筒東白発

岡本
五万六万七万三索五筒五筒東東南西北中中

岡本の配牌がいい。中頼みの手にはなってしまいそうではあるが、この局面で役牌を絞る者はいない。三索にくっつきさえすれば捨て牌一段目でのアガリもありそうだ。親の大久保も悪くはないが、岡本の方が早そうである。清水はこの手格好から跳満はまだ見えない。三浦もアガリ競争となると少し厳しいか。
岡本が五筒ポン、五索チーとし6巡目で

五万六万七万東東中中  ポン五筒 左向き五筒 上向き五筒 上向き  チー五索 左向き三索 上向き四索 上向き

このテンパイ。
しかし三浦もあの配牌から発を重ね、七索九索八索と引き、七万を入れる。そして8巡目に一索をポンして

五万六万七万七索八索九索九筒九筒発発  ポン一索 左向き一索 上向き一索 上向き

この執念のテンパイ。決勝最終戦オーラス、まさかのシングルバック対決となる。ただこの発中は清水が発を2枚に中を1枚抱え込んでいる。跳満以上が優勝条件の清水だが、現在の牌姿からではまだ跳満は見えない。そこへ三浦の一索ポン。役牌頼りであるのは濃厚である。優勝の可能性の低くなった清水からはこの発中も出ることはないのではないか。そしてふと親の大久保の手牌を見ると、

八万九万九万三索四索七索八索九索二筒三筒四筒七筒八筒

ピンフドラ1の1シャンテンである。大久保がアガって次局、三つ巴の3本場となるのか?そう思った次の瞬間、大久保が中を掴んだ。危険は百も承知、しかし切らなければ自身の優勝の可能性が無くなる。数秒の逡巡の末、河に放たれる中。岡本の『ロン、1,000は1,600』の発声。大久保は元気良く『ハイ!』と応えた。

 

4位 清水哲也
『 決勝も緊張せず打てました。東3局の5,800放銃と発単騎のアガリ逃がしはちょっとモヤモヤが残りますけど…。まぁ敗れはしましたが僕にはまだ来年もあります。今度こそ優勝ですよ。』
予選を見ていた時は決勝も清水が圧勝するのではないかというほどの安定した戦いぶりだった。タイトル戦の初決勝を緊張せずに打てたのはすごい。本当に来年も決勝に残っているのではないだろうか。

 

3位 大久保朋美
『予選は攻めしか考えてなかったのに決勝は変に守りも意識しちゃって…緊張している自覚はなかったけど、本来の自分じゃない麻雀になっちゃっていたのかも。せっかく予選で大三元アガったりで決勝に残れたのになー。決勝1回戦トップで優勝へのプレッシャー?それは全然なかったですよ。来年はリベンジです!』
優勝こそ出来なかったものの、その存在感は十分にアピール出来たのではないだろうか。出身は福井県で大学が関西だったため現在は関西を中心とした活動だが、今後は東京のリーグ戦や女流桜花への参戦も考えているという。まだ新人の大久保であるが、彼女が人気女流プロの1人となる日も近いかもしれない。

 

2位 三浦智博
『決勝も普段通りの早回しで行こうと思っていました。自分のスタイルで打ち切れましたから悔いはありません。最後にシングルバック対決で負けちゃったのは残念ですけど…来年、最後の新人王戦を頑張ります。』
今回の決勝、技術レベルだけで言えば三浦が優勝でもおかしくはなかったと私は思う。辛(から)い麻雀を打つなぁと思いながら観戦していた。三浦の出身は愛知県。麻雀プロとして一旗揚げるため、東京へ出てきたという。そして普段は麻雀店の従業員をしながら土日はタイトル戦やリーグ戦に参加している。淡々と作業のように打牌を繰り返す雀風と、その涼しげな外見から三浦のことを「最近の若者にありがちな、どこか冷めたところのある男」と私は思い込んでいた。しかしいざ話してみると熱く、意志の強い男であった。私は自身の勝手な先入観を心の中で三浦に謝罪した。

 

優勝 岡本和也
『優勝するなんて朝の時点では思ってもみなかったです。嬉しい限りです。僕は会社員と麻雀プロの二足のわらじなんですけど、会社員をしながらでも麻雀は強くなれるという証明も出来て良かったです。お世話になっている静岡支部の諸先輩方、最後まで観戦してくれていた皆さん、そして運営スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。そして僕も日本プロ麻雀連盟の一員として、この麻雀界をより良いものとしていくべく努力と精進をしていきたいと思います。』
岡本が決勝に残った時、「あっ!」と思い出した。朝、誰よりも早く予選会場に着いて開場を待っていた選手だ。聞けば早起きして烏森神社に願掛けをしてから来たという。そして予選の観戦に来ていた堀内正人プロ(第27期十段位)が初見で『打牌のフォームが凛々しい。僕の推しメンだね。決勝に残るんじゃない?』と評していた選手でもあった。決勝を観戦していて、堀内プロの言うとおり岡本の打牌フォームはとても綺麗だと私も思った。日が経ってから岡本の決勝の牌譜を見返してみると技術面ではまだ少し粗削りなところも見つかってくるが、リアルタイムで観戦をしている時は、岡本のあの安定感のある牌捌きで打牌をされると疑問手も正嫡打に思えてしまうから不思議である。
その隙の無い物腰もあって大局中はある種の威圧感さえ漂わせている岡本だが、打ち上げの席では人の良さそうな無邪気な笑顔も見せ、また出席者1人1人にしっかりと挨拶とお礼の言葉をかける謙虚で礼儀正しい青年であった。

shinjin27

 

こうして今年度の新人王戦も大きな盛り上がりを見せ、幕を閉じた。
第27期新人王 岡本和也プロ おめでとうございます!

 

 

九州プロリーグ レポート/第14期九州プロリーグ A・B・Cリーグ 第6節レポート

Aリーグレポート:新谷翔平
A卓(西原×福田×大和田×小川×塚本)
B卓(浜上×青木×安東×小車)
C卓(藤原×中尾×新谷×柴田)
「なんか去年とはうってかわって調子いいよね。」
今年度に入ってよく私が言われる言葉である。確かに昨年度はスタートから下位に位置し、そのまま最後まで降級争いをしていた。今年は2~4節はどれも約+60Pとスコアとしては調子のいい面を見せたものだから、よく上記の言葉を聞く。
確かに多少は変わったかもしれない。
しかし、それ以上に重要なものがある。それはメンタルだ。
私、新谷の卓は、第5節終了時に2位だった私と、4位・中尾、5位・藤原、6位・柴田といった、決勝に残る4人の枠を争う中で絶対に負けられない者同士といった組み合わせ。
1回戦の東1局から私に手が入る。配牌は、
二万九万九万二索二索四索六索八索三筒六筒八筒西北  ドラ九万
ドラが2枚あるが形は苦しい。しかしツモが七筒九万七万六万といいツモ。
そして6巡目に六索をツモり、以下の形。
六万七万九万九万九万二索二索四索六索六索八索六筒七筒八筒
もし待ちが七索になった場合に仮にリーチをするなら、宣言牌が打四索になるよりも四索六索と切ったほうが少しは出やすいので、ここでは打四索を選択。
その直後、下家の柴田がすぐに七索を手出し。ここで一瞬嫌な予感はしたが、すぐに八万をツモったので私はリーチといく。が、その宣言牌の六索を柴田がチー。しばらくめくり合いが続いたが、軍配があがったのは柴田。
タンヤオのみの300・500だがツモられる。
ここから先は想像の話だが、打四索の時に打六索としていればそのときはチーできない形だったかもしれないし、できる形でもしなかったかもしれない。
いや、実際にはそんなこと考えても仕方のないことだが、逆だったらチーもされず1人旅だったのではないかとたらればの世界について考え、心が揺れる。
このとき私はこの1ヶ月、心身共に充実していなかったのだと認識した。おそらく充実していたらこのような思考に至らない。
事実、充実していた2~4節の間はすべての物事に前向きで、考えても仕方のない過ぎ去ったことに時間など割いていなかった。
この1ヶ月、自分自身で自信をもって充実していたと言い張れないからこそ、そんなことで揺れたのだと思う。そして一度心が揺れてしまうと平常心を取り戻すのは難しいのはよく知っている。
揺れたままだが、2回戦は1度もアガれずしかし放銃せずで、オーラスに28,600点から2,600をアガリ、なんとか原点確保。
そして3回戦に心が揺れているがゆえに大きなミスをする。
南3局、5巡目に以下の牌姿。
四万五万六万四索五筒五筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒九筒西  ドラ九筒
是が非でもアガリたいこの牌姿だが、対面のトップ目の中尾がすでに2つ仕掛けている。
まだテンパイしていない可能性も十分あるし、後々四索が危険になりそうにみえたので打四索としてしまう。
「何をやっているんだ」
切った瞬間に思った。
確かに第5節終了時に2位にはいた。しかしまだ後リーグ戦は半分も残っていてまだ守りなんて考える所ではないし、ポイントでも守りに入るだけのアドバンテージなんて全くないのに、何を恐れているのだ。
この牌姿であれば仮に親からリーチが来てもアガリにむかうのだから、このタイミングで暗カンをしてうっかりリンシャン牌が三索五索ならしめたもの。そうでなくても、例えば五万をツモればかなり広くてよい1シャンテンになる。
それに他家よりも1回でも多くツモり早くテンパイを取りに行かないと行けないのに、これではテンパイの受け入れも狭くしている。
次巡、七筒をツモり結果オーライのリーチになるが、この局の結末は中尾のアガリとなる。
この出来事から考えても、やはりメンタルは重要である。
特に私は私生活が影響すると考えている。日ごろの行いや、心身が充実しているか。自分に嘘をついていないか。
例えば楽な方に流されるような怠惰な生活をしていると後ろめたい気持ちが出てくる。そして自分に自信が持てなくなる。心の底に不安なものがあると麻雀においても普段なら気にしない些細なことでも、それをいつまでも気にする自分が現れるのだ。上記の内容がいい例である。
逆に自分が満足のいく生活、人生を送れている人というのは、根拠のある自信で満ち溢れている。根拠のある自信ならば、仮に1度失敗をしたとしても次はできる、という思考につながる。たまたま起きた失敗を反省はすれこそ、引きずったりはしない。
このように私生活においても心身ともに充実させることが、メンタル面でよい作用を引き起こすのである。
私はというと、九州リーグの成績が物語っているように、2~4節の間は公私ともに非常に充実していたが、第5節あたりの時期から充実しているとはいい難くなってきた。
第7節の九州リーグは10月13日。
それ時に心身ともに最高の状態へと導き、最高のパフォーマンスの麻雀を見せつけてやる!
第7節組み合わせ予定
A卓(西原×新谷×福田×浜上×青木)
B卓(大和田×中尾×塚本×小川)
C卓(小車×柴田×安東×藤原)
(組み合わせは都合により変更になることもあります)
Aリーグ

順位 名前

1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 大和田 篤史 40.3 27.3 ▲ 14.1 37.6 58.4 50.4 199.9 1
2 中尾 多門 16.7 81.1 ▲ 51.8 ▲ 7.0 41.0 55.1 135.1 2
3 西原 亨 1.8 39.7 71.4 61.2 ▲ 52.9 ▲ 15.5 105.7 3
4 新谷 翔平 ▲ 30.9 62.8 62.0 59.6 ▲ 27.8 ▲ 34.1 91.6 4
5 小車 祥 ▲ 2.5 18.1 2.2 ▲ 46.7 56.6 39.1 66.8 5
6 柴田 祐一朗 ▲ 18.0 ▲ 36.3 61.5 ▲ 14.3 46.5 9.7 49.1 6
7 藤原 英司 ▲ 2.7 13.6 19.2 ▲ 13.6 50.1 ▲ 32.7 33.9 7
8 青木 胤道 35.8 4.6 21.9 ▲ 5.3 ▲ 35.8 ▲ 20.4 0.8 8
9 浜上 文吾 31.6 ▲ 8.8 3.3 ▲ 26.5 ▲ 13.4 ▲ 7.0 ▲ 20.8 9
10 福田 正道 ▲ 38.1 ▲ 66.9 ▲ 37.5 13.8 10.3 4.7 ▲ 113.7 10
11 小川 善章 ▲ 6.7 ▲ 33.3 ▲ 5.3 26.0 ▲ 59.3 ▲ 40.3 ▲ 118.9 11
12 安東 裕允 ▲ 63.9 ▲ 21.9 ▲ 85.3 ▲ 2.2 ▲ 23.5 ▲ 11.7 ▲ 208.5 12
13 塚本 将之 15.6 ▲ 81.0 ▲ 67.5 ▲ 83.6 ▲ 50.2 0.7 ▲ 266.0 13

決勝進出者 4名   降級者 2名
決勝進出&降級ライン:順位枠内に表示
Bリーグレポート:山本江利香
A卓(藤井×服部×山本×福田)
B卓(下山×安永×伊東×菊池)
C卓(矢野×相本×古本×石原×氷室)
D卓(藤岡×弘中×陣野×宮崎×鶴)
今回Bリーグのレポートを担当させていただきます。
27期生の山本江利香です。宜しくお願いします。
Bリーグ、Cリーグは後期の第1節になります。そして、私はBリーグで初めての対局です。
絶対緊張すると思っていたのですが、これが自分でも不思議なぐらい落ち着いて対局に臨む事が出来ました。
私の最初の対戦相手は 服部学プロ、福田譲二プロ、アマチュアで参加している藤井祟勝さんの4人打ちです。
1回戦目、開始早々にテンパイを入れたのは私でした。
東1局、西家ドラ六筒で、配牌でドラと役牌のトイツ。
役牌をポンして3,900でも良いかと思っていたのが、リャンメンが先に埋まり先制リーチをしてみる事にしました。リーチ後に持ってきた東を親の藤井さんに鳴かれダブ東のみをツモられ最初のリーチは不発に終わりました。
まだ始まったばかりと気持ちを切り替えますが1,000は1,100オール、4,000は4,200オールと親の藤井さんに次々とアガられてしまい藤井さんの好調さが見て取れました。
その日は1日を通して仕掛けにしてもリーチにしてもほとんどのアガリをモノにしていた藤井さんは+60.4Pで、卓内トップで終了でした。
服部プロは+25.2Pと終始落ち着いて自分のペースで打っているのが印象的でした。
私は▲26.3P、福田プロは▲59.3Pと大きく差をつけられてしまいました。
昇級してすぐ降級なんて考えたくもないですがそんな事にならないように日々精進していきます。
Bリーグ

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 古本 和宏 プロ 86.2 86.2
2 菊池 豪 プロ 84.8 84.8
3 藤井 崇勝 アマ 60.4 60.4
4 下山 哲也 プロ 54.9 54.9
5 宮崎 皓之介 プロ 49.9 49.9
6 服部 学 プロ 25.2 25.2
7 藤岡 治之 プロ 19.8 19.8
8 弘中 栄司 アマ 15.0 15.0
9 相本 長武 アマ 9.7 9.7
10 石原 忠道 アマ ▲ 8.6 ▲ 8.6
11 山本 江利香 プロ ▲ 26.3 ▲ 26.3
12 氷室 哀華 プロ ▲ 29.4 ▲ 29.4
13 陣野 良貴 プロ ▲ 39.0 ▲ 39.0
14 鶴 浩昭 プロ ▲ 45.7 ▲ 45.7
15 福田 譲二 プロ ▲ 59.3 ▲ 59.3
16 伊東 宏倫 プロ ▲ 59.8 ▲ 59.8
17 矢野 拓郎 プロ ▲ 60.9 ▲ 60.9
18 安永 敏郎 アマ ▲ 79.9 ▲ 79.9

昇級者 未定   降級者 未定
昇級&降級ライン:順位枠内に表示
前期成績はこちら
Cリーグレポート:松尾樹宏
A卓(高野×佐藤×藤瀬×水町)
B卓(高末×久保×山本×西川)
C卓(公文×進×樋口×柴田)
D卓(河野まや×濱田×河野みのり×松尾)
E卓(北島×榎田×松本×友保)
まだまだ残暑の厳しい9月頭、後期九州リーグが開幕した。
たった5節、計20半荘で全ての決着がつくことを考えると、最初から少しでもポイントを叩き有利な立場に立っておきたい所。
特に現在のCリーグは所属人数も多く、昇級ボーダーが3桁を越えることも珍しくない。
ちなみにではあるが、前節の前期九州リーグ、1節目終了時の上位6名中5名が昇級している。
逆に、第1節でマイナスした者に昇級者はいない。第1節がどれだけ重要かが伺える。
さて、結果から言うと、私は卓内ラスだった。
内容ではなく結果に反省はしたりしないが、これで残り4節、非常に厳しい戦いになってしまった。
麻雀は運が絡む、いい内容でマイナスの時もあれば悪い内容でプラスの時もあるとよく言われるが、突きつけられるのはマイナスしたという事実のみ。非常に重い。
これから麻雀プロを続けて行く中で何度も同じようなことがあると思う。そんな時、自分の努力は間違っていないと胸を張って言えるようなプロでありたいし、そうなれるよう精進していきたい。
Cリーグ

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 松本 路也 アマ 55.7 55.7
2 佐藤 健治 プロ 50.9 50.9
3 西川 舞 プロ 40.2 40.2
4 樋口 徹 プロ 23.6 23.6
5 進 栄二 プロ 14.4 14.4
6 柴田 祐輔 アマ 14.3 14.3
7 河野 みのり プロ 4.9 4.9
8 藤瀬 恒介 アマ 3.6 3.6
9 水町 慎一 プロ 0.0 0.0
10 榎田 賢二郎 プロ ▲ 8.1 ▲ 8.1
11 山本 秋桜里 プロ ▲ 10.4 ▲ 10.4
12 久保 真輝 アマ ▲ 12.4 ▲ 12.4
13 河野 まや アマ ▲ 15.0 ▲ 15.0
14 高末 丈永  アマ ▲ 17.4 ▲ 17.4
15 北島 勇輝 プロ ▲ 22.1 ▲ 22.1
16 友保 美香里 プロ ▲ 25.5 ▲ 25.5
17 濱田 貴幸 アマ ▲ 35.0 ▲ 35.0
18 松尾 樹宏 プロ ▲ 36.9 ▲ 36.9
19 公文 寛明 アマ ▲ 54.3 ▲ 54.3
20 高野 翔太 アマ ▲ 54.5 ▲ 54.5

昇級者 未定   降級者 未定
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第14期九州プロリーグ A・B・Cリーグ 第6節レポート

Aリーグレポート:新谷翔平

A卓(西原×福田×大和田×小川×塚本)
B卓(浜上×青木×安東×小車)
C卓(藤原×中尾×新谷×柴田)

「なんか去年とはうってかわって調子いいよね。」
今年度に入ってよく私が言われる言葉である。確かに昨年度はスタートから下位に位置し、そのまま最後まで降級争いをしていた。今年は2~4節はどれも約+60Pとスコアとしては調子のいい面を見せたものだから、よく上記の言葉を聞く。
確かに多少は変わったかもしれない。
しかし、それ以上に重要なものがある。それはメンタルだ。

私、新谷の卓は、第5節終了時に2位だった私と、4位・中尾、5位・藤原、6位・柴田といった、決勝に残る4人の枠を争う中で絶対に負けられない者同士といった組み合わせ。
1回戦の東1局から私に手が入る。配牌は、

二万九万九万二索二索四索六索八索三筒六筒八筒西北  ドラ九万

ドラが2枚あるが形は苦しい。しかしツモが七筒九万七万六万といいツモ。
そして6巡目に六索をツモり、以下の形。

六万七万九万九万九万二索二索四索六索六索八索六筒七筒八筒

もし待ちが七索になった場合に仮にリーチをするなら、宣言牌が打四索になるよりも四索六索と切ったほうが少しは出やすいので、ここでは打四索を選択。
その直後、下家の柴田がすぐに七索を手出し。ここで一瞬嫌な予感はしたが、すぐに八万をツモったので私はリーチといく。が、その宣言牌の六索を柴田がチー。しばらくめくり合いが続いたが、軍配があがったのは柴田。
タンヤオのみの300・500だがツモられる。

ここから先は想像の話だが、打四索の時に打六索としていればそのときはチーできない形だったかもしれないし、できる形でもしなかったかもしれない。
いや、実際にはそんなこと考えても仕方のないことだが、逆だったらチーもされず1人旅だったのではないかとたらればの世界について考え、心が揺れる。

このとき私はこの1ヶ月、心身共に充実していなかったのだと認識した。おそらく充実していたらこのような思考に至らない。
事実、充実していた2~4節の間はすべての物事に前向きで、考えても仕方のない過ぎ去ったことに時間など割いていなかった。
この1ヶ月、自分自身で自信をもって充実していたと言い張れないからこそ、そんなことで揺れたのだと思う。そして一度心が揺れてしまうと平常心を取り戻すのは難しいのはよく知っている。

揺れたままだが、2回戦は1度もアガれずしかし放銃せずで、オーラスに28,600点から2,600をアガリ、なんとか原点確保。
そして3回戦に心が揺れているがゆえに大きなミスをする。
南3局、5巡目に以下の牌姿。

四万五万六万四索五筒五筒六筒七筒八筒九筒九筒九筒九筒西  ドラ九筒

是が非でもアガリたいこの牌姿だが、対面のトップ目の中尾がすでに2つ仕掛けている。
まだテンパイしていない可能性も十分あるし、後々四索が危険になりそうにみえたので打四索としてしまう。
「何をやっているんだ」
切った瞬間に思った。
確かに第5節終了時に2位にはいた。しかしまだ後リーグ戦は半分も残っていてまだ守りなんて考える所ではないし、ポイントでも守りに入るだけのアドバンテージなんて全くないのに、何を恐れているのだ。
この牌姿であれば仮に親からリーチが来てもアガリにむかうのだから、このタイミングで暗カンをしてうっかりリンシャン牌が三索五索ならしめたもの。そうでなくても、例えば五万をツモればかなり広くてよい1シャンテンになる。
それに他家よりも1回でも多くツモり早くテンパイを取りに行かないと行けないのに、これではテンパイの受け入れも狭くしている。
次巡、七筒をツモり結果オーライのリーチになるが、この局の結末は中尾のアガリとなる。

この出来事から考えても、やはりメンタルは重要である。
特に私は私生活が影響すると考えている。日ごろの行いや、心身が充実しているか。自分に嘘をついていないか。
例えば楽な方に流されるような怠惰な生活をしていると後ろめたい気持ちが出てくる。そして自分に自信が持てなくなる。心の底に不安なものがあると麻雀においても普段なら気にしない些細なことでも、それをいつまでも気にする自分が現れるのだ。上記の内容がいい例である。
逆に自分が満足のいく生活、人生を送れている人というのは、根拠のある自信で満ち溢れている。根拠のある自信ならば、仮に1度失敗をしたとしても次はできる、という思考につながる。たまたま起きた失敗を反省はすれこそ、引きずったりはしない。
このように私生活においても心身ともに充実させることが、メンタル面でよい作用を引き起こすのである。

私はというと、九州リーグの成績が物語っているように、2~4節の間は公私ともに非常に充実していたが、第5節あたりの時期から充実しているとはいい難くなってきた。
第7節の九州リーグは10月13日。
それ時に心身ともに最高の状態へと導き、最高のパフォーマンスの麻雀を見せつけてやる!

第7節組み合わせ予定
A卓(西原×新谷×福田×浜上×青木)
B卓(大和田×中尾×塚本×小川)
C卓(小車×柴田×安東×藤原)
(組み合わせは都合により変更になることもあります)

Aリーグ

順位 名前

1節 2節 3節 4節 5節 6節 7節 8節 9節 10節 合計 順位
1 大和田 篤史 40.3 27.3 ▲ 14.1 37.6 58.4 50.4 199.9 1
2 中尾 多門 16.7 81.1 ▲ 51.8 ▲ 7.0 41.0 55.1 135.1 2
3 西原 亨 1.8 39.7 71.4 61.2 ▲ 52.9 ▲ 15.5 105.7 3
4 新谷 翔平 ▲ 30.9 62.8 62.0 59.6 ▲ 27.8 ▲ 34.1 91.6 4
5 小車 祥 ▲ 2.5 18.1 2.2 ▲ 46.7 56.6 39.1 66.8 5
6 柴田 祐一朗 ▲ 18.0 ▲ 36.3 61.5 ▲ 14.3 46.5 9.7 49.1 6
7 藤原 英司 ▲ 2.7 13.6 19.2 ▲ 13.6 50.1 ▲ 32.7 33.9 7
8 青木 胤道 35.8 4.6 21.9 ▲ 5.3 ▲ 35.8 ▲ 20.4 0.8 8
9 浜上 文吾 31.6 ▲ 8.8 3.3 ▲ 26.5 ▲ 13.4 ▲ 7.0 ▲ 20.8 9
10 福田 正道 ▲ 38.1 ▲ 66.9 ▲ 37.5 13.8 10.3 4.7 ▲ 113.7 10
11 小川 善章 ▲ 6.7 ▲ 33.3 ▲ 5.3 26.0 ▲ 59.3 ▲ 40.3 ▲ 118.9 11
12 安東 裕允 ▲ 63.9 ▲ 21.9 ▲ 85.3 ▲ 2.2 ▲ 23.5 ▲ 11.7 ▲ 208.5 12
13 塚本 将之 15.6 ▲ 81.0 ▲ 67.5 ▲ 83.6 ▲ 50.2 0.7 ▲ 266.0 13

決勝進出者 4名   降級者 2名
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Bリーグレポート:山本江利香

A卓(藤井×服部×山本×福田)
B卓(下山×安永×伊東×菊池)
C卓(矢野×相本×古本×石原×氷室)
D卓(藤岡×弘中×陣野×宮崎×鶴)

今回Bリーグのレポートを担当させていただきます。
27期生の山本江利香です。宜しくお願いします。

Bリーグ、Cリーグは後期の第1節になります。そして、私はBリーグで初めての対局です。
絶対緊張すると思っていたのですが、これが自分でも不思議なぐらい落ち着いて対局に臨む事が出来ました。
私の最初の対戦相手は 服部学プロ、福田譲二プロ、アマチュアで参加している藤井祟勝さんの4人打ちです。

1回戦目、開始早々にテンパイを入れたのは私でした。

東1局、西家ドラ六筒で、配牌でドラと役牌のトイツ。
役牌をポンして3,900でも良いかと思っていたのが、リャンメンが先に埋まり先制リーチをしてみる事にしました。リーチ後に持ってきた東を親の藤井さんに鳴かれダブ東のみをツモられ最初のリーチは不発に終わりました。

まだ始まったばかりと気持ちを切り替えますが1,000は1,100オール、4,000は4,200オールと親の藤井さんに次々とアガられてしまい藤井さんの好調さが見て取れました。

その日は1日を通して仕掛けにしてもリーチにしてもほとんどのアガリをモノにしていた藤井さんは+60.4Pで、卓内トップで終了でした。
服部プロは+25.2Pと終始落ち着いて自分のペースで打っているのが印象的でした。
私は▲26.3P、福田プロは▲59.3Pと大きく差をつけられてしまいました。

昇級してすぐ降級なんて考えたくもないですがそんな事にならないように日々精進していきます。

Bリーグ

順位 名前 プロ/アマ

1節

2節 3節 4節 5節 合計
1 古本 和宏 プロ 86.2 86.2
2 菊池 豪 プロ 84.8 84.8
3 藤井 崇勝 アマ 60.4 60.4
4 下山 哲也 プロ 54.9 54.9
5 宮崎 皓之介 プロ 49.9 49.9
6 服部 学 プロ 25.2 25.2
7 藤岡 治之 プロ 19.8 19.8
8 弘中 栄司 アマ 15.0 15.0
9 相本 長武 アマ 9.7 9.7
10 石原 忠道 アマ ▲ 8.6 ▲ 8.6
11 山本 江利香 プロ ▲ 26.3 ▲ 26.3
12 氷室 哀華 プロ ▲ 29.4 ▲ 29.4
13 陣野 良貴 プロ ▲ 39.0 ▲ 39.0
14 鶴 浩昭 プロ ▲ 45.7 ▲ 45.7
15 福田 譲二 プロ ▲ 59.3 ▲ 59.3
16 伊東 宏倫 プロ ▲ 59.8 ▲ 59.8
17 矢野 拓郎 プロ ▲ 60.9 ▲ 60.9
18 安永 敏郎 アマ ▲ 79.9 ▲ 79.9

昇級者 未定   降級者 未定
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前期成績はこちら

Cリーグレポート:松尾樹宏

A卓(高野×佐藤×藤瀬×水町)
B卓(高末×久保×山本×西川)
C卓(公文×進×樋口×柴田)
D卓(河野まや×濱田×河野みのり×松尾)
E卓(北島×榎田×松本×友保)

まだまだ残暑の厳しい9月頭、後期九州リーグが開幕した。
たった5節、計20半荘で全ての決着がつくことを考えると、最初から少しでもポイントを叩き有利な立場に立っておきたい所。
特に現在のCリーグは所属人数も多く、昇級ボーダーが3桁を越えることも珍しくない。
ちなみにではあるが、前節の前期九州リーグ、1節目終了時の上位6名中5名が昇級している。
逆に、第1節でマイナスした者に昇級者はいない。第1節がどれだけ重要かが伺える。

さて、結果から言うと、私は卓内ラスだった。
内容ではなく結果に反省はしたりしないが、これで残り4節、非常に厳しい戦いになってしまった。
麻雀は運が絡む、いい内容でマイナスの時もあれば悪い内容でプラスの時もあるとよく言われるが、突きつけられるのはマイナスしたという事実のみ。非常に重い。

これから麻雀プロを続けて行く中で何度も同じようなことがあると思う。そんな時、自分の努力は間違っていないと胸を張って言えるようなプロでありたいし、そうなれるよう精進していきたい。

Cリーグ

順位 名前 プロ/アマ 1節 2節 3節 4節 5節 合計
1 松本 路也 アマ 55.7 55.7
2 佐藤 健治 プロ 50.9 50.9
3 西川 舞 プロ 40.2 40.2
4 樋口 徹 プロ 23.6 23.6
5 進 栄二 プロ 14.4 14.4
6 柴田 祐輔 アマ 14.3 14.3
7 河野 みのり プロ 4.9 4.9
8 藤瀬 恒介 アマ 3.6 3.6
9 水町 慎一 プロ 0.0 0.0
10 榎田 賢二郎 プロ ▲ 8.1 ▲ 8.1
11 山本 秋桜里 プロ ▲ 10.4 ▲ 10.4
12 久保 真輝 アマ ▲ 12.4 ▲ 12.4
13 河野 まや アマ ▲ 15.0 ▲ 15.0
14 高末 丈永  アマ ▲ 17.4 ▲ 17.4
15 北島 勇輝 プロ ▲ 22.1 ▲ 22.1
16 友保 美香里 プロ ▲ 25.5 ▲ 25.5
17 濱田 貴幸 アマ ▲ 35.0 ▲ 35.0
18 松尾 樹宏 プロ ▲ 36.9 ▲ 36.9
19 公文 寛明 アマ ▲ 54.3 ▲ 54.3
20 高野 翔太 アマ ▲ 54.5 ▲ 54.5

昇級者 未定   降級者 未定
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