第27期特別昇級リーグ 決勝レポート 阿久津 翔太

鳳凰位決定戦が行われている中、若手麻雀プロにとってとてつもなく熱い戦いである特別昇級リーグの決勝戦が行われた。
鳳凰位になるには、A1リーグまで昇級しなければならず、その道のりは果てしなく長い道のりであるが、それをジャンプアップできるのがこの特別昇級リーグである。
主に、リーグ戦での上位の昇級や、タイトル戦で決勝に残るなどの活躍をした選手に資格が与えられ、1位になるとB2リーグ、2位になるとC1リーグ、3位になるとC2リーグに昇級できる。
ただし、今回は暫定首位である今泉がリーグ戦でマイナスし、特別昇級の権利を失ってしまったが、優勝すれば来期の特別昇級リーグに参加する権利が得られるので、優勝して来期に望みを繋げたいところである。

今回決勝に残ったのは以下の5名である。※カッコ内は所属リーグ

今泉誠一  +210.0P (C2)
瀬下勝也  +145.3 P (D1→C3)
松田彩花  +81.5P (D2)
宮崎皓之介 +73.9P (C1)
浜野太陽  +70.8P (D2)

瀬下は優勝を目指しつつ、状況次第で2位死守。宮崎は、C1リーグにいるため優勝以外昇級できないので優勝を目指したい。松田、浜野は3位を狙いつつ大きくプラスしたら2位以上を狙いたい。

 

【1回戦】(起家から宮崎・瀬下・松田・浜野)
流局と安手でゆっくりと局が進む中、宮崎が仕掛けを駆使して点数を稼いでいく。

東3局に瀬下がドラトイツの3面張リーチをかけてツモり、2,000・3,900のアガリ。

・東4局 ドラ五筒
親番の浜野が好配牌をもらって、3巡目で以下の形に。

二万三万四万五万五万五万七万五索七索一筒一筒四筒五筒  ツモ六索

七万を切ってのリーチがシンプルだが、浜野はまだ3巡目ということで打一筒を選択。
たしかにここは満貫クラスが欲しいところである。

同巡、ここまでかなり厳しい手牌続きだった松田も勝負手に。

四索八索八索八索二筒三筒四筒五筒六筒六筒白白白

優秀なくっつきの1シャンテンだが、先にテンパイしたのは浜野。

二万三万四万五万五万五万六万七万五索六索七索四筒五筒  リーチ

テンパイ外しからリーチが打てて、後はアガれるかどうか…と思ったのも束の間。
すぐに松田にもテンパイが入るが、持ってきたのは七筒

四索六筒も両無筋だが、後の変化と、リーチ宣言牌が八筒であること(浮き牌で持っていた)を加味して打四索
引いた牌次第では六筒が出るかもしれない…と思っていたらそのまま松田が六筒をツモって1,300・2,600のアガリに。

さっきまで熱に満ちていた浜野の目は、すぐそこにあるが手の届かない六筒を見つめていた。

・南1局 ドラ二万
南家の瀬下に好配牌。

二万二万三万五万八万八万五索八索八索三筒五筒八筒南南

2巡目でダブ南をポンして満貫に向かって一直線。
だが、先にテンパイしたのは8巡目に宮崎。

一万二万三万四万五万六万五索六索六筒七筒八筒白白  リーチ

瀬下もすぐに追いつく。

二万二万三万四万五万六万八索八索一筒三筒  ポン南南南  ツモ八索

宮崎の河に九万があるので六万をプッシュ。
浜野、松田もそこそこ整った手が入っていたが、さすがに危険な状況でやむなくオリに。
宮崎と瀬下の勝負となり、11巡目に宮崎が四索をツモって2,000オールのアガリ。

南1局1本場は松田がヤミテンを入れて、9巡目に浜野から1,000は1,300のアガリ。

・南2局 ドラ七索
親番の瀬下が第一打に一索を切ったものの、ソウズが伸びてホンイツへ。

12巡目に南をポンして、

四索五索五索六索六索七索八索北中中  ポン南南南

この1シャンテンに。
宮崎がすかさずカン四万をチー。

三索四索二筒二筒三筒四筒五筒六筒六筒六筒  チー四万 左向き三万 上向き五万 上向き

15巡目で瀬下が八索を引いて、中八索待ちのテンパイを入れる。
宮崎が中を引いてツモ切り。瀬下への12,000の放銃となった。

最終手出しが北であること、第一打が一索であること、これらを加味すると中を止めるのは難しい。
しかし、地道に加点してきた宮崎にとっては大きな痛手となってしまった。

・南2局1本場 ドラ四筒
親番の連荘力を意識しているという瀬下が7巡目に先制リーチを打つ。

九万九万二索二索三索三索四索四索五索六索七索三筒五筒  リーチ

すぐに四筒をツモって、3,900は4,000オールの大きい追加点を決める。
抜け番の今泉の心拍数が上がる…

・南2局2本場 ドラ白
松田が2巡目に早くもテンパイ。

一万二万三万七万八万八万八万九万二筒三筒四筒五筒七筒

次巡五筒を引いて七筒を切るも、ここからなかなか変化せず、その間に瀬下が発をポン。
11巡目でようやく松田が九万を引いて打八万で役有りに。
その後、瀬下の手牌が以下の形に。

四万四万四万五万五万六万九万九万五筒六筒白  ポン発発発

ここから瀬下はドラの白を切り、その白を浜野がポンするも、瀬下が九万ポン打六万でテンパイし、七筒をツモって700は900オールのアガリでさらに連荘。

・南3局3本場 ドラ六万
この局も瀬下は積極的に前に出ていき、11巡目でこの手牌。

二万三万四万六万八万八万二筒三筒四筒八筒九筒  ポン東東東

ドラの六万を切ってペン七筒のテンパイ。この六万を松田がチー。

五万五万五万六万六万四索三筒五筒六筒六筒  チー六万 左向き七万 上向き八万 上向き

四索を重ねて打三筒
四筒をチーしてテンパイ。

五万五万五万六万六万四索四索  チー四筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  チー六万 左向き七万 上向き八万 上向き

どちらも自分から1枚ずつ見えていて苦しい待ちだが、今までの我慢が報われるかのような四索ツモで2,000・3,900は2,300・4,200のアガリに。

・南3局 ドラ七万
宮崎が3巡目でドラを暗刻にしてリーチをかける。

二万三万四万七万七万七万三索三索七索九索六筒七筒八筒  リーチ

あまりにも早い勝負手。

自分が一番早いと思っていたらリーチが来てしまった浜野。

二万三万五万五万三索四索五索八索九索二筒三筒四筒五筒六筒

当然ペン七索を落としていき、宮崎への8,000の放銃に。
浜野はこの半荘あまりにも苦しく、3,400点まで点棒を減らしてしまった。
しかし、オーラスの親番を迎えた浜野の目はまだ死んではいなかった。

・南4局 ドラ東
親番の浜野が3巡目で以下の形に。

三万五万六万七万三索五索七索八索九索一筒一筒三筒四筒五筒

足止めリーチに逃げはしない。浜野は自分を信じて打六万
瀬下が二索を二連打していて、カン四索がほんのちょっぴり良いこと、31,400点持ちの松田に対して、流局だと条件を押し付けられないが、3,900オールをツモれば一応浮くための条件を押し付けられること。
この2つが浜野の背中を後押しし、魂の一打に応えるように10巡目に四索を引いてリーチ。

おそらくプロになった当時の浜野はテンパイしてすぐにリーチをしていたと思う。
公式ルールをたくさん打ち、研究して、迷いながら今の麻雀になった。

「見ててくれ…これが進化した俺の麻雀だ…」

リーチ発声にそんな思いが込められているような気がしてならなかった。

13巡目、浜野はそっと四万を手元に置いた。
東場での悔しさを晴らす、3,900オール。

南4局1本場は宮崎がドラドラの先制リーチ。
安全牌が無くなった松田が5,200は5,500の放銃となった。

1回戦結果
瀬下:+37.0P 宮崎:▲3.1P 松田:▲11.0P 浜野:▲22.9P

トータル
今泉:+210.0P 瀬下:+182.3P 宮崎:+70.8P 松田:+70.5P 浜野:+47.9P

瀬下が今泉に大きく迫る。浜野はラスを引いてしまったものの、3,900オールをアガったのが大きく、差はそこまで開かずに済んだ。

 

 

【2回戦】(起家から今泉・浜野・松田・宮崎)
・東1局 ドラ三筒
松田が序盤に2フーロでテンパイを入れる。

四万四万二索二索中中中  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き

ドラがトイツの宮崎は果敢に役牌を押していく。
だがこの男も黙っていない。10巡目に今泉がテンパイ。

五万五万五万一索三索四索五索五索六索七索八索九索八筒八筒

五索を切って一気通貫のリーチに。

松田が八万を加カンし、宮崎も追いついてリーチに。

三索四索六索七索八索三筒三筒六筒七筒七筒八筒八筒九筒  リーチ

いきなり全員の勝負手が激突。

軍配が上がったのは松田。
二索をツモって、1,600・3,200のアガリとなった。

・東2局 ドラ六筒
序盤で親番の浜野が中を暗カン。

公式ルールにおいて役牌の暗カンはかなり迫力がある。
6巡目で宮崎がテンパイ。

二万三万四万六万七万八万五索六索七索三筒四筒四筒東東

二筒五筒が2枚見えていて、宮崎は三筒を切ってのリーチを選択した。
親の中カンは怖いが、ポイント状況的にヤミにしている余裕も無い。
このリーチに対しうまくまわってテンパイを入れたのが今泉。

四万五万二索三索四索六索七索八索五筒六筒七筒七筒七筒

六万が宮崎の現物でヤミに。そして親番の浜野もまたヤミテンを入れる。

三万四万五万二索三索六筒六筒八筒八筒八筒  暗カン牌の背中中牌の背

またしても手がぶつかりあったなか、アガったのは宮崎。

東をツモって1,000・2,000のアガリ。

東3局は浜野2フーロしてホンイツのテンパイ。すぐに1,000・2,000のツモとなった。

・東4局 ドラ三万
この局も浜野は軽快に仕掛けていく。

一万三万五万六万七筒八筒東  ポン南南南  ポン発発発

ここに二万を引いて打七筒としホンイツへ。
しかし、最初にテンパイしたのは配牌で789の三色が完成していた松田。

二万三万四万七万八万九万二索七索八索九索七筒八筒九筒

一筒を引いて一筒待ちに。
浜野は五万を引いて五万をポンして打六万とし、東待ちのテンパイに。
すぐに東をツモって、2,000・4,000のアガリに。

・南1局 ドラ二万
ここまで手は作れているも、アガリに辿りつけてない今泉の親番。
配牌からトイツであった発をスルーしてリーチに辿り着く。

三索三索三索六索七索八索一筒二筒三筒八筒八筒発発  リーチ

手詰まった浜野から発が出て3,900のアガリに。
落ち着いた発スルーが光った。

・南1局1本場 ドラ六筒
3巡目に浜野がテンパイ。

二万三万四万六万七万八万一索二索三筒五筒六筒七筒八筒八筒

浜野は一索を切ってテンパイを外す。

五万を引いて打二索五索を引いて三筒

どんどん形は良くなるが、そうこうしているうちに全員が1シャンテンに。
最初にテンパイしたのは親番の今泉。

二万三万四万四万五万六万二索三索四索七索七索七筒八筒  リーチ

浜野も追いつく。

二万三万四万五万六万七万三索五索五筒六筒七筒八筒八筒

四索が今泉の現物でヤミを選択。
すぐに浜野が四索をツモって1,000・2,000は1,100・2,100。

・南2局 ドラ九万
1回戦とは変わって調子の良い浜野の親番。

そんな浜野にあっさりと6巡目リーチが入る。

一万二万三万四万五万九万九万三索四索五索七筒七筒七筒  リーチ

七筒を暗カンし、三万をツモって4,000オールのアガリに。
1回戦のマイナスを取り返した。

南2局1本場 ドラ九万
親番浜野に好配牌。

一万二万三万六万二索三索七索八索九索一筒三筒北発発

チャンタ三色の1シャンテン。打北
3巡目に五万を引いてツモ切り。リャンメン落としを見せることに。

それを見た松田は、安全牌を抱えるか少考するが、強気に安全牌を切っていく。
その強気に呼応するかのようにスイスイと手牌が進んでいき、ピンフのテンパイを入れるが、ここでドラをトイツにしていた浜野が九万をポン。

一万二万三万二索三索七索八索九索発発  ポン九万 上向き九万 上向き九万 上向き

さらに発を引いて三索を切るが、これが松田への1,000は1,300の放銃となった。

・南3局 ドラ七万
9巡目に松田が先制リーチ。

二万二万九万九万九万四索五索六索七索八索九索三筒三筒  リーチ

五万を先に切っていて、リーチ宣言牌が六筒なのでどちらも引っかかっている。
序盤で中を仕掛けていた浜野に勝負手が入る。

一万一万二万三万三万四万四万五万六万七万  ポン中中中

しかし、またしても松田が浜野の勝負手をかわす。
今泉から2,000のアガリ。

南3局1本場は松田がリーチをかけ、今泉のリーチと浜野の仕掛けをかわし、今泉から2,000は2,300をアガってさらに連荘。

・南3局2本場 ドラ南
浜野が自風の北をポンして中盤にテンパイを入れる。

三万四万一索二索三索五索五索  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ポン北北北

そして浜野がツモ切ったドラの南を親番の松田がポン。
さらに南を加カンしてついに浜野に追いつく。

六万六万一筒二筒三筒五筒六筒  チー八索 左向き六索 上向き七索 上向き  加カン南南南南

一歩も引かなかった浜野が松田から1,000は1,600のアガリ。

・南4局 ドラ五万
ここまで耐えてきた宮崎に親番で好配牌が来るも、最初にリーチしたのは浜野。

四万五万六万三索四索五索五索六索七索二筒二筒六筒七筒  リーチ

宮崎も必死に食らいつきテンパイを入れるが、浜野に7,700の放銃となってしまった。

2回戦結果
浜野:+37.8P 松田:+7.3P 宮崎:▲20.4P 今泉:▲24.7P

トータル
今泉:+185.3P 瀬下:+182.3P 浜野:+85.7P 松田:+77.8P 宮崎:+50.4P

1回戦苦しんだ浜野がトータル3位に。

 

 

【3回戦】(起家から瀬下・宮崎・今泉・浜野)
東1局はドラの中が暗刻の浜野が2つ鳴いて宮崎から7,700のアガリ。
東2局は瀬下が先制リーチを打ち、宮崎から3,200のアガリ。

・東3局ドラ中
まずは宮崎が2フーロでテンパイを入れる。

二索三索四索四筒四筒四筒五筒  チー五索 左向き四索 上向き六索 上向き  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き

しかし、親番の今泉も追いついてリーチに。

三万四万四万五万五万五索六索七索七筒七筒八筒八筒八筒  リーチ

リーチ宣言牌のドラの中を瀬下がポンしてテンパイ。

一万一万三万四万五万四索五索六索七索八索  ポン中中中

瀬下が六万で今泉に3,900の放銃。

・東3局1本場 ドラ八万
最初にテンパイしたのは浜野。

六万七万七万八万八万九万六索七索八索八索五筒六筒七筒

直前に八索が切られていて、より良い待ちを探すことに。
1枚切れの字牌も3種あり、それらを引いてもリーチするだろう。

7巡目に宮崎が動く。

三万三万一索一索三索五索五索五索二筒三筒四筒中中

ここから一索をポンして中バックのテンパイ。
これを見た浜野はツモ切りリーチをするも、すぐに宮崎が中をツモって400・700は500・800のアガリに。
宮崎の状況判断が光った。

・東4局 ドラ七索
2回戦では落ち着いた打ち回しを見せた今泉が、この局は積極的に3フーロ。

五索五索九筒九筒  ポン一筒 上向き一筒 上向き一筒 上向き  チー八万 左向き七万 上向き九万 上向き  ポン中中中

ここに浜野が追いつく。

二万三万四万七万七万四索五索三筒四筒五筒  暗カン牌の背六筒 上向き六筒 上向き牌の背  リーチ

さらにすぐ宮崎もリーチ。

二万三万四万二索三索四索八索九索二筒三筒四筒九筒九筒  リーチ

一瞬テンパイを入れた瀬下がオリ、今泉はドラの七索を引いてノーチャンスの打九筒
浜野、宮崎の2人テンパイで流局。

・東4局1本場 供託2 ドラ三万
最初にテンパイしたのは今泉。

一万二万三万二索二索四索五索三筒四筒五筒  ポン東東東

供託を回収できれば大きいが、ここに宮崎が追いついてリーチ。

二万三万四万五万六万七索八索九索一筒二筒三筒西西  リーチ

瀬下も仕掛けてテンパイを入れるが四万を掴んでオリに。

事前インタビューで、大胆に攻め、丁寧にオリたいと語っていた瀬下。
1回戦では大胆な攻めで大きく加点したが、ここでは丁寧な守りで失点を抑える。

宮崎が七万をツモって、1,000・2,000は1,200・2,200のアガリ。

南1局 ドラ三筒
宮崎が七対子の1シャンテンから上手くメンツ手に渡ってリーチ。

四万四万四万四索五索六索八索八索六筒七筒七筒八筒八筒  リーチ

六筒をツモって2,000・3,900のアガリに。
丁寧な手順で大きなアガリをものにした。

南2局 ドラ二筒
浜野がピンズ、瀬下がマンズに染めている中、今泉がリーチ。

三万三万一索一索三索三索五索五索八索八索九索六筒六筒  リーチ

しかし、瀬下が1,300・2,600をアガリきる。

六万七万九万九万九万北北中中中  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き  ツモ五万

南3局は再び、浜野のホンイツが再び炸裂。
2,000・4,000のツモアガリで大きくリード。

南4局は、今泉のリーチに瀬下がギリギリまで粘るも押しきれず、今泉の1人テンパイで終局。

3回戦結果
浜野:+16.3P 宮崎:+5.0P 瀬下:▲8.5P 今泉:▲13.8P

トータル
瀬下:+173.8 今泉:+171.5P 浜野:+102.0P 松田:77.8P 宮崎:+55.4P

ついに瀬下が今泉を逆転した。

 

 

【4回戦】(起家から浜野・瀬下・松田・今泉)
流局を挟みながら進んでいき、大きく動いたのが東4局。

東4局1本場 ドラ九万
瀬下が中盤でかなりの勝負手に。

一万三万九万九万一筒二筒三筒八筒九筒九筒中中中

カン二万をチーして打九筒とし、ペン七筒のテンパイ。
ここに松田が7,700は,8000の放銃。
対局後、戒め日記と書かれた松田のnoteにはこの放銃が取り上げられていた。

おそらく1回戦に同じ状況になったら松田は七筒を切らなかったと思う。
自分の人生を変えることになるかもしれないこの戦いで、ずっと我慢の展開が続き、じわじわと離されていく差を感じ、その焦りがこの1牌を打ち出してしまったのだと思う。
プレッシャーの恐ろしさが結果に出た1局となった。

南1局は親番の浜野が打点にかなりこだわり、3,900オールの大きなアガリをものにする。

南1局1本場 ドラ二索
11巡目で2つ仕掛けた瀬下がテンパイ。

三索四索五索六索七索九索九索  チー四索 左向き五索 上向き六索 上向き  ポン中中中

松田も追いつき、リーチをかける。

五万六万七万八万八万八万二索三索五索六索七索六筒六筒  リーチ

瀬下が五索をツモって2,000・3,900は2,100・4,000のアガリ。

南2局は浜野のリャンメンターツ落としに対応して、役無しのヤミテンを入れていた今泉が300・500のツモ。

南3局 ドラ南
浜野が一索ポンから仕掛け、そこに対し親番の松田はドラの南を切り、手を進めていく。
もうこの親番は落とせない…そんな思いが通じ、15巡目にリーチ。

六万六万七万七万八万八万四索五索五索六索七索二筒二筒  リーチ

巡目は遅いが場況が良く、三索六索は山に4枚。
しかし、残り3回のツモでそのチャンスを掴むことはできず、1人テンパイで流局。

南3局1本場 供託1 ドラ一索
前局は勝負手が空振りに終わった松田の配牌。

四万一索一索一索四索四索五索六索八索一筒一筒四筒北北

配牌でドラが暗刻。今度こそものにしたい。
高鳴る心臓の鼓動を抑えるようにゆっくりと八索を切った。

松田は2枚目の北をポンして、ホンイツへ路線変更。
これが上手くいき、2フーロして2枚切れの東タンキのテンパイを入れる。

一索一索一索四索五索六索東  チー三索 左向き二索 上向き四索 上向き  ポン北北北

さらに六索を引いて打東三索六索待ちに。
しかし、その前からテンパイを入れていた浜野が同じくテンパイを入れた瀬下から1,300は1,600をアガる。

手役作りに命をかけているという松田。
この2局はそんな松田が魂で作り上げた大きなチャンスだったが、あと一歩…アガリには届かなかった。

南4局は親番の今泉がヤミテンを入れ、浜野から3,900のアガリ。

南4局1本場は浜野が仕掛けて松田から1,000は1,300をアガって終局。

4回戦結果
瀬下:+17.8P 浜野:+9.2P 今泉:+3.3P 松田:▲30.3P

トータル
瀬下:+191.6P 今泉:+174.8P 浜野:+111.2P 宮崎:+55.4P 松田:+47.5P

 

 

【5回戦】(起家から今泉・宮崎・松田・瀬下)
東場は小さいアガリと流局で進んでいき、あっという間に南場へ。

勝負が動いたのは南1局2本場 供託3 ドラ三索
中盤で瀬下がドラ暗刻のヤミテンを入れる。

三索三索三索六索七索八索八索三筒四筒五筒六筒七筒八筒

アガれば優勝はほぼ確定するといっても過言ではない。
しかし、そこに宮崎が追いつく。

二万二万二万六万七万八万六索七索二筒二筒六筒七筒八筒  リーチ

瀬下にやってきたのは二筒
当然3面張変化で打八索としたが、これが宮崎へ8,000は8,600の放銃となってしまった。
ここまでいくつもの勝負手を決めてきた瀬下だったが最後に試練が訪れる。

・南2局 ドラ一筒
7巡目で親番の宮崎がリーチ。

二万三万四万八万八万八万六索七索八索四筒五筒七筒七筒  リーチ

松田がテンパイ。

五万三索四索五索六索八索一筒二筒三筒三筒三筒三筒六筒六筒

無筋の五万を押してヤミに。
瀬下も続けてテンパイ。

一万二万三万四索四索一筒二筒四筒五筒六筒  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き

松田、六筒を引いて八索切りリーチ。2人の欲しい三筒六筒を使い切った。
数巡後、松田は三索をツモって1,300・2,600のアガリとなった。

三索四索五索六索一筒二筒三筒三筒三筒三筒六筒六筒六筒  ツモ三索

南3局は親番の松田が先制リーチを入れ、1,000オールのツモアガリ。

南3局1本場 ドラ三筒
親番の松田が6巡目にまたも先制リーチ。

三万四万四万五万五万六万七索八索三筒三筒三筒八筒八筒  リーチ

六索をツモれば6,000は6,100オールの超勝負手。
しかし、今泉が粘る。

一万二万五万六万四索五索五索六索六索七索九筒九筒九筒  ツモ西

10巡目で生牌の西を引いた今泉は現物の打一万
そして次巡で七万を引き、西を押して二万タンキのテンパイを取った。
次の今泉のツモは二万。400・700は500・800のアガリとなった。

松田は4回戦で苦しい思いをしてなお、またこの5回戦でも苦汁を飲む展開となってしまった。
麻雀という競技の残酷さに内心泣き崩れていたかもしれない。

それぞれが様々な思いを抱え、ついに最終戦のオーラスを迎える。

・南4局 ドラ中
現状、瀬下は今泉まで2.7P必要で、親番でアガリやめがないことを考えると、できるだけポイント差をつけて、どこかでノーテンで伏せる必要がある。

つまり、実質で最低でも6.7P差分を稼ぐ必要がある。
今泉は当然、アガれば優勝。

先にテンパイを入れたのは今泉。

五万六万七万四索四索七索八索一筒二筒三筒五筒六筒七筒

次巡の瀬下の手牌が以下の形。

二万二万四万四万五万六索七索一筒三筒四筒五筒六筒六筒  ツモ五筒

2枚切れの打四万。テンパイまではまだ時間がかかりそうだが追いつけるか…

ツモ三万、打一筒
ポン二万、打五筒でついに追いつく。

三万四万五万六索七索三筒四筒五筒六筒六筒  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き

そこに瀬下は六索を引いて手が止まる。

安全度では七索のほうが安全である。
しかし、瀬下は自身のコンセプトである大胆な攻めを貫き、六索のツモ切りを選択。

今泉のアガリで優勝が決まった。

5回戦結果
宮崎:+18.6P 松田:+9.9P 今泉:+1.0P 瀬下:▲29.5P

トータル
今泉:+175.8P 瀬下:+162.1P  浜野:+111.2P 宮崎:+74.0P 松田:+57.4P

優勝した今泉はリーグ戦でマイナスしたため特別昇級することはできないが、来期また特別昇級リーグに出場する権利を獲得した。
2位の瀬下はC1リーグに昇級、3位の浜野はC2リーグに昇級した。

それぞれ様々な思いが残った特別昇級リーグだったが、やはりこういう場での戦いはいろんな思いが激突し、いろんなドラマが誕生する。
今日戦った5人がこれからどう活躍していくか、来年の特別昇級リーグは誰が勝ち残るのか。

これから生まれるドラマを楽しみにせずにはいられない。

何を切る? 2020年2月

第14期女流桜花 9回戦 南1局2本場 南家 古谷知美プロ

 

 

 

 

 

 

■ Twitterで実施したアンケートの結果

 

 

 

 

■プロ解答

九筒切り

 

 

六筒切り

 

 

二筒切り

 

 

 

 

■プロの視点
古谷知美プロ
「2番手で迎えた最終日、攻め続けなければ勝てないと思っていました。この場面、武石プロが南ポンでドラの三筒切り。ほぼテンパイですが、一色手には見えず打点は安そう。この三筒を仕掛けてもアガリまでは苦しいと思ったのでスルーしたのですが、六索引きでタンヤオが濃く見えたので、七対子の1シャンテンを維持しつつ仕掛けていける形を取れる打二筒としました。この手でオリる気は全くなく、タンヤオで前進できる牌は全て仕掛けるつもりでした。この手をアガリ切ることができて、今日も悪い日ではなさそうだなと思いました。」

 

 

■終局図

 

 

日本プロ麻雀連盟チャンネルはこちらから
FRESH!<PC版>
ニコニコ生放送<PC版>

ロン2カップ2020winterレポート 松田 彩花

皆さんこんにちは!

今回のロン2カップwinterは、松田彩花がレポートを担当します!
どうぞよろしくお願いします!

 

 

そもそもこのロン2カップとは‥
日本プロ麻雀連盟公式オンラインサイト『ロン2』がプロデュースする麻雀イベントです。年4回開催される大人気のイベントとなっております。
そして、なんとこのロン2カップの様子は、日本プロ麻雀連盟チャンネルで生放送されちゃいます!
ロン2内の予選を勝ち抜いた一般ユーザーの方と、日本プロ麻雀連盟の人気プロ達が熱い闘いを繰り広げます!

《ロン2カップのシステム&ルール》

まず、システム説明から!
予選はABCの3つの卓に別れて行います。
予選終了後は
各卓1位の方→決勝卓にGO!
各卓2位の方→準決勝にGO!
各卓3位の方→FRESH LIVE、ニコニコ生放送で行われる視聴者投票へ、1位を取ると準決勝卓にGO!
各卓4位の方→残念ながら敗退‥
という流れになっております。
準決勝卓で1位を取った方が決勝卓に進出。
決勝卓で1位をとれば優勝です。

もちろん今年もアシスタントの大庭三四郎さんが作ったルール説明動画もありますので、詳しくはそちらをご覧ください!

ルールは抜け番のあるロン2カップ三人麻雀ルールです。
一発裏ドラカンドラ赤ドラあり
70分プラス1局の時間打ち切りありとなっております!

それでは、説明はこのくらいにして、
ロン2カップwinterでの真冬を感じさせない熱い闘いをレポートしていきます!!

まずは予選A卓から
メンバーはこの4名です。

 

 

A卓は一般ユーザーさんが2人入った卓です。
夢未来さんはなんとロン2カップの優勝経験者でもあります!
そんな夢未来さんですが、今回のロン2カップは苦しい時間が続きます‥
メンゼンチンイツテンパイもアガれず‥勝負手がなかなか決まりません。

一方グレート・宗さんは、好調な様子。
印象に残ったのはこの場面。
西2局4巡目グレート・宗さん親番 ドラ五索

五索五索八索九索三筒四筒四筒五筒六筒七筒八筒南南  ツモ七索

南とドラの五索のシャンポン待ちテンパイを一旦外して打南
(実際南は東城と持ち持ちでした。)
その後九筒を引き

五索五索七索八索九索三筒四筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒

この形でのリーチ。
結果は東南と仕掛けを入れていた東城プロからの出アガリという結果になりました。

A卓は序盤からリードを持っていたグレート・宗さん瑠美の一騎打ちか?!
と思いきや終盤に東城が魅せます。
西2局3本場に東城は現状2着目の瑠美から16,000点の直撃をし、準決勝進出の光が見えてきました。

そして時間制限で迎えた最終局。
倍満ツモが必要なこの場面で東城の手がこちら
西3局1本場12巡目ドラ白 親:瑠美

二索三索三索四索五索五索六索八索八索八索南南白  ツモ九索

解説室からは、南を切ってチンイツまたはドラの白引いて一発または裏条件、なんていう声も聞こえてきましたが、ここはストレートに白切りとした東城。
その後、南も落としていきチンイツに仕上げ、ツモれば条件クリアのリーチをかけます!!
が、結果は‥ツモることはできず、予選A卓が終了となりました。
予選A卓は
決勝進出:グレート・宗さん
準決勝進出:二階堂瑠美プロ
投票戦:東城りおプロ
敗退:夢未来さん
という結果になりました。

続きまして、予選B卓は、dTVさん、モンド麻雀チャンネルさんで配信中の麻雀BRチームチャンピオンシップでロン2チームとして活躍中の女流プロ3人に一般ユーザー代表のラサールさんを加えた4人での対局ということになりました。

 

 

ロン2内ではプロと一番対戦し、
一番勝っている!と自信の表情を見せるラサールさん。
プロ3人に勝ち決勝卓に進むことができるのでしょうか?!

東場は3人麻雀にしては高打点の少ない状況が続きましたが、南2局にここまで息を潜めていたラサールさんの高打点が決まります。

南2局2巡目ドラ六筒親番:山脇
ラサールさんの手牌

一索三索三索三索一筒三筒六筒七筒七筒八筒九筒白白  ツモ二索

2巡目にして白のポンテンが取れる手です。
5巡目に親の山脇から白が打たれますが、ラサールさんは微動だにせず‥
その後自身で白を引き入れリーチ!!!一発で八筒をツモアガリ、裏が3枚乗ってなんと倍満に仕上げたのです!!!

 

 

このアガリには解説席の山田さん東城さんはもちろん私も大盛り上がりでした。
終盤、仲田、宮内の追い上げがあと少しのところまで迫りますが、ラサールさんがこのリードを守りきり1位通過で決勝進出となりました。

予選B卓からは
決勝進出:ラサールさん
準決勝進出:宮内こずえプロ
投票戦:仲田加南プロ
敗退:山脇千文美プロ
という結果になりました。

予選最後の卓は、連盟が誇る三人麻雀の猛者達の戦いです。
対戦メンバーはコチラの4名。

 

 

ロン2内では日本プロ麻雀連盟に所属して、ロン2でプレイしているプロのプロフィールを見ることができるのですが‥

森山会長のプロフィールにこんな言葉が書いてありました。
『一番好きな手役はホンイツです。二番目は三色です。安い手は少ないので気をつけてね!』と。
そして、今回のロン2カップでの会長の超高打点テンパイを画像にしてみました。

 

 

一色のリーチが2回。
そして、国士無双が2回。
アガリまで結びついたのは1回だけなのですが‥同卓している人達はリーチが来たら気が気じゃないですよね‥!
皆さんロン2で森山会長と同卓した際は高打点リーチに気をつけてくださいね!

と、ロン2のプロフィールの話はここまでにして予選C卓のレポートを再開します!

予選C卓では、灘、猿川が東場、南場はリードを持って西場をむかえます。
滝沢は勝負手がなかなか決まらず、苦しい展開が続いていましたが、西2局の親番でアガリを決め、さらに西4局に、メンホンリーチをツモると一気に猿川を抜き2着目につきます。

しかしその後、追い詰められた猿川が3,900、4,000オールとアガリを決めると、トップ目の灘まであと一歩のところまで迫り寄ります。

時間打ちきりの最終局、
条件をクリアするテンパイをしていた猿川がアガリきり序盤からトップを走っていた灘を捉えると、猿川、ロン2カップ初の決勝進出をきめました。

予選C卓は
決勝進出:猿川真寿プロ
準決勝進出:灘麻太郎プロ
投票戦:滝沢和典プロ
敗退:森山茂和プロ
という結果になりました。

と、次は準決勝の前に投票戦になりました。
滝沢和典プロ「好きな人に入れてください!」
東城りおプロ「勝ったらモノマネします!!」
仲田加南プロ「一票でも入れてくれたら嬉しい!」
とコメントをいただきました。

 

 

結果は‥滝沢和典プロの勝利〜!
ということで、準決勝は各卓2位の選手に滝沢和典プロを加えた4人で闘います!

準決勝は投票戦での勝ち上がりを決めた滝沢、休憩中もロン2の三人麻雀で練習をしてきたという瑠美、3位を見事回避し準決勝に残った宮内、鋭い麻雀で準決勝に駒を進めた灘、以上の4名での闘いになります!

 

 

東1局12巡目ドラ一索親番:灘
瑠美の手がコチラ

一索一索三索七索八索九索九索東西白白中中  ツモ一索

親の灘が九筒三筒と仕掛けを入れているということもあり、生牌の東を切らずに打五索としてメンホン七対子などを狙っていましたが、ここでメンツ手の可能性も残し、打西とします。
その後

一索一索一索七索八索九索九索東北白白中中  ツモ北

この形になっても、やはり東は切らずに打九索としましたが、親番の灘から打ち出された白をポンして打東

一索一索一索七索八索九索北北中中  ポン白白白  ツモ一索

4枚目の一索を持ってくるとこれをカンし、自身で中をツモり8,000オールのツモアガリとなりました。
瑠美にとって大きなリードを得られたかと思いましたが、その後、滝沢の6,000オール、宮内の9,000オール、9,300オール、そして滝沢の6,600オール、と高打点が飛び交います。
1人、苦しい位置に立たされた灘は3人のスピードになかなか追いつかず加点に繋がりません‥

宮内は東場で大きな加点を重ねトップ目に立っていましたが、西場で瑠美が6,000オールをツモると再度トップ目が瑠美に代わります。そんなトップ目に立って迎えた親番、瑠美の手牌がコチラ。

西2局ドラ東 親番:瑠美

一索一索一索五索六索七索七索八索九索九索東白白  ツモ八索

絶好の八索を引き入れ打東
すると、同巡にテンパイを入れた宮内が四索を放銃。この放銃で宮内は3着まで順位を落とします。
そしてここまで丁寧な打ち回しで2着の位置につけた滝沢がここで高打点の狙える配牌を手にします。

西3局ドラ七筒滝沢の配牌

三索四索七索八索一筒六筒八筒南南南白白発発

ここから打一筒。次巡ドラの七筒を引くと三索四索のターツを払っていき、発をポンして現状5,200のテンパイ。
瑠美からこれを直撃すると、トップ目の瑠美まで10,000点差まで差を縮めます!

そして、滝沢がその後満貫をツモり、一旦は瑠美を逆転しますが、最終局はいち早く条件を満たすテンパイを入れた瑠美がアガリを決め決勝進出を決めました。

準決勝から決勝戦進出を決めたのは二階堂瑠美プロとなりました。

これで決勝メンバー出揃いました!
決勝戦のメンバーはプロキラーのラサールさん、手役派守備型のグレート・宗さん、初のロン2カップ決勝進出を決めた猿川プロ、そして準決勝から勝ち上がりを決めている瑠美プロの4名となりました。

 

 

では決勝戦早速見ていきましょう!!
まずこの半荘、最初に大物手テンパイを入れたのはグレート・宗さん!
東2局2巡目ドラ東 親番:瑠美

一索四索七索七索九索西西北北白白中中  ツモ四索

この手で九索を切りリーチ。
南家でホンイツのテンパイを入れていたラサールさんから出アガると、裏が2枚乗り16,000点の加点に成功しました。
その後も大きな失点をせずに打ち回し、南2局でまたも宗さんにチャンス手がきます。

南2局西家3巡目ドラ南

二索四索四索五索六索七索七索二筒二筒三筒六筒八筒北  ツモ赤五索

ここで打二索としその後数巡でこの手が

四索四索赤五索五索六索六索七索七索二筒二筒三筒赤五筒六筒

こうなり、次巡五筒を持ってくると

四索四索五索赤五索六索六索七索七索二筒二筒三筒赤五筒五筒

一旦三筒単騎のヤミテンに構えますが、白単騎に変化するとリーチとします。
白を一発でツモると、裏を2枚乗せて今半荘2度目の8,000オールのツモアガリを決めました。

このまま守備が強い宗さんのリードで優勝が決まるのかと思ったその時、瑠美が七対子をツモアガリ、トップ目の宗さんまであと100点のところまで詰め寄ります。

残り数局のアナウンスが流れた時、ここまで耐えに耐えてきたラサールさんが底力を発揮します。
〔点棒状況〕
瑠美58,700
猿川34,600
ラサールさん6,300
宗さん60,300
3着目の猿川まで31,700点差で迎え、トップ目までは57,000点差、時間打ち切りもあるので、出来るだけ高い手を作りたいラサールさんの手牌がコチラ。
2週目の東2局1本場 南家ドラ二筒

二索三索四索四索五索五索一筒三筒三筒四筒赤五筒五筒七筒  ツモ八筒

自身で九筒を切っていることもあり、ここでは打八筒とする。
その後六索を引き打一筒。そして、次巡

二索三索四索四索五索五索六索三筒三筒四筒赤五筒五筒七筒  ツモ三索

ここで打六索とし、リャンペーコーなど手役を強く意識した一打を選択します。
そして終盤待望のテンパイが入りリーチ。

三索三索四索四索五索五索二筒三筒三筒四筒四筒五筒赤五筒

跳満以上確定という手に仕上げてみせました。
結果は猿川から高めの二筒を出アガリ、このアガリが決め手となり、3着目で最終局を迎えます。
最終局は宗さんと瑠美はアガリトップ、ラサールさんは役満条件となりました。

結果は‥7巡目にはやくもテンパイを入れていた二階堂瑠美プロがアガリを決め、5年振り二度目の優勝となりました。
おめでとうございます!!

 

 

この、人気プロと放送対局で対戦できるロン2カップの予選は2月もまだまだ行われていますので、皆さんぜひチャレンジしてくださいね。

 

 

レポート、最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは、またロン2でお会いしましょう!

第204回:プロ雀士インタビュー 古谷 知美  インタビュアー:中山 奈々美

「第14期女流桜花優勝は古谷知美!悲願の初タイトルとなりました!」

令和元年12月20日。その日新しいタイトルホルダーが生まれた。
ともちんの愛称で親しまれ「鋼鉄の箱入り娘」である彼女はどんな気持ちで決勝3日間を闘い抜き、優勝を手にしたのか。プライベートでも大の仲良しである私、中山奈々美が女流桜花獲得までのプロセスや古谷プロの素顔に迫っていこうと思います。大好きなともちんの大好きなところがたくさん伝えられるように。そんな願いを込めて気張って臨みますので、最後までお付き合いいただければ嬉しいです。

 

【女流桜花のお話】

あまりお酒を呑まない私たちらしくケーキとオレンジジュースを挟んでのインタビュースタートです。ともちんケーキ似合うね。上品な桜花様を是非ご覧ください。

 

100

 

中山「ともちん、女流桜花獲得本当におめでとう!!」

古谷「ありがとう~」

中山「早速だけど女流桜花をとった時の気持ちを教えて!」

古谷「嬉しい!(笑)このメンバーで優勝できると思ってなかったから本当に嬉しい。」

中山「そうだよね。このメンバー相手に優勝ってすごすぎるよね!」

念のため”このメンバー”を説明しておきましょうか。
問答無用の強さで女流桜花最多獲得、3連覇中だった仲田加南プロ。1年間安定したプラスの成績を収め随所に工夫が光る武石絵里プロ。そして言わずと知れたともちんの同期で女流桜花決定戦の超常連、Mリーグでも活躍中の魚谷侑未プロ。
つまり、順当に勝ち上がってきた超強い人たちである。

古谷「最終局が終わって集計して挨拶したあとに、みんなにおめでとうって言ってもらえて女流桜花優勝したんだって実感湧いてきてグッときちゃった」

中山「見たよ~そのシーン!ともちんが泣いているところ初めて見たから私もグッと来た。。」

そうなのだ。この古谷知美という人は全然泣かない。十年近い付き合いでともちんの色々な人生の局面に立ち会ってきたけれど、どんな時も凛としている。そのともちんが泣いているんだから、一ともちんファンである私が感じるカタルシスもすごかった。

古谷「女流桜花優勝って連盟に入った時から目標にしていたし、大事なタイトルだったんだけど、Aリーグに上がってから軽々しく言えなくなってたの。その女流桜花を優勝できたって本当に嬉しいよ」

うんうん、手が届きそうだからこそのプレッシャーと言葉の責任ってあるよね。

中山「インタビューで1日目を見て反省したって言っていたけど、具体的にはどのように修正をしたの?」

古谷「1日目を見てこれじゃ全然ダメだって思って、2日目からは意識して攻めるようにしたよ!簡単にオリない、テンパイ料も積極的にとりに行く。これを徹底したかな」

中山「簡単にオリないって決めていても難しいことだよね。怖くなっちゃう瞬間もたくさんあったでしょう?」

古谷「あるよー!でもね、テンパイしてから危険牌を持ってきたときに通ってないスジを数えて4スジ以上あるなら押すとか自分なりのルールを作って押すようにしていたよ!勿論例外のケースとか色々あって判断基準は変わるんだけど、そういう数字の積み重ねで自分を納得させればたとえ放銃しても攻め続けられるから」

勝利を掴むのはこんな風にひとつひとつ積み上げていくもので、怖くてもめげそうでも掴んだのならそれを決して離さない、そんな覚悟に今回の結果がついてきたんだなと思った。

中山「今回の決定戦の勝因はズバリどこにあったと思う?」

古谷「11回戦目にトータル2着目の武石さんが50,000点以上もっていてトータルトップの自分が38,000点もち2着目の状況があったの。このときトータルで私が50ポイントリードしていたんだけど、武石さんから親リーチが入って現物の二索を切ればイーペーコー、ドラ1のテンパイ。通ってない三索を切れば、ピンフ、イーペーコー、ドラ1のテンパイっていう局面。」

 

100

 

古谷「私は三索を切ってリーチしたの」

中山「すごい・・・!現状トップなら勝負を見送ってしまいそうだけど、それよりも戦う選択をしたんだね!」

古谷「今戦わなくてもいずれ戦わないといけないって思ったから。7,700の両面だから勝負になる!って覚悟を決めました。その局でアガれたのが勝因だと思ってる!」

 

100

 

決定戦でのともちんは自分の培ったシステムできちんと攻め続け、リードに甘えることなく勝負する場面ではきちんと勝負し本当にかっこいい麻雀を打っていた。
仲田プロと決定戦最終日の直前に話す機会があったのだが「ともちん、1日目と2日目別人みたいだった。すごく強くなっていた」と言っていた。この最後の最後の瞬間まで、いやむしろ女流桜花を獲った今でさえも、変わり続けるともちんは本当にすごい。まさに”Still Canging”。これこそがともちんの良さであり強さなんだろうなと改めて実感した。

 

 

【ともちんのプロフィール】

中山「麻雀の話はこのくらいにして、次はともちんのプロフィールを根掘り葉掘りきいていこうと思います!全部正直に答えてね!(笑)」

古谷「大丈夫、嘘ついたりしないよ!なんでもきいて♪」

中山「プロ歴はどのくらいですか?」

古谷「10...何年だっけ?(笑)」

中山「私より1年先輩だから11年...かなぁ?」

古谷「そっか。もうそんなにやってるんだね」

中山「長くやってると忘れてくるね(笑)」

私たちは記念日を大事にしない系雀士らしい。

中山「趣味、特技を教えてください!」

古谷「趣味はアニメを観ることとゲームをすることかな」

中山「わかってはいたけど私たち、趣味全く一緒だね♪ふふふ」

好きなアニメがあったら報告して共有して、ゲームも頻繁にマルチプレイで遊んでいる。

中山「一緒にやってるゲームも私が紹介したんだよね!ともちん上達するの早くてこれがゲーマーか。。。って思った(笑)」

古谷「そうなの。昔から1つのことをやり込んで研究するのが好きなんだ」

それは趣味でもあり、とっても素敵な特技だ。麻雀もたくさん研究してきて、やっと女流桜花優勝という栄光に結び付いたのだろう。

中山「特技は?なにかある?」

古谷「うーん…泳ぐことが実は得意かな。私と一緒にプールにいったらビックリするかもよ!」

中山「そうなんだ!私も水泳は中学上がるまで選手育成コースでバリバリやってたよ!(白銀)さきちゃんも高校で水泳部だったらしいからみんなで行こう!!」

古谷「え、そんなにガチじゃない~!!!(笑)じゃあ特技スピードにする!」

中山「え?トランプの??」

古谷「うん!これはガチだよ!!頑張りすぎて流血騒ぎ起こすかもしれないけどかかってきなさい!」

大人になってスピードが特技って可愛すぎるでしょ。小学生の特技欄でしかみたことないですよ(笑)

中山「じゃあ好きな食べ物は?」

古谷「すき焼き!」

中山「これも私と一緒だ~!冬はよく一緒に食べに行ってるもんね」

古谷「うん!すき焼き最高だよね!!」

皆さん、ともちんへの差し入れはすき焼き弁当いかがでしょうか?ってどこにでも売っているわけじゃないし難易度高いか(笑)

中山「子供の頃の夢を教えてください」

古谷「小学生の頃ね~雪印工場の運転手になりたかった!」

中山「え!!?なに!??」

古谷「社会科見学で雪印工場にいったの。そのときいいなぁって思って♪」

これは私と全然違うな。。(笑)子供の頃ってケーキ屋さんとかCAさんとか可愛い職業に憧れるもんじゃないの。ともちんの独特の感性が昔から好きだ。
ちなみに私はセーラームーンになりたかったです。

 

100

 

 

 

【これからの麻雀の話】

中山「ともちんはどんな麻雀プロになりたい?」

古谷「人に教えられるくらい強くなりたい!」

中山「女流桜花優勝したし、もう十分強いよ!私も教えてほしいもん!」

古谷「ありがとう~♪でももっと強くなって、麻雀の普及活動に貢献したいなって思ってるんだ」

OLという二足のわらじを履きながらこの志の高さ。ともちんアッパレである。

中山「これからの目標は?」

古谷「特昇リーグやグランプリMAXや色々なシードをもらえたので、それを活かして結果を残したい!あと、もちろん女流桜花連覇!かなさんの三連覇を超えたいなって思ってる!」

成長し続けるともちんなら、その夢も成し遂げられそうだね。

中山「ではこれから女流桜花を目指してくる女流プロに一言お願いします!」

古谷「私はずっと落ちこぼれだったんですけど、こんな私でも女流桜花になれたので諦めないことが大事だと思います!」

中山「そこはかかってきなさい!とか全員ぶっ潰す!とかじゃないの?(笑)」

古谷「無理無理~!!かなさんくらい連覇してたら言えるんだろうけど、まだ言えないです(笑)」

堅実で謙虚で勉強熱心。私はともちんのこと落ちこぼれなんて思ったことはないけれど、強気なともちんが見られるのはもう少し先になりそうだ。

中山「最後に。ともちんの初めてのインタビュー記事になりますが、アピールしてほしいことはある?」

古谷「えっと。私コミュ障なんですけど、嫌いとかじゃないので失礼な態度をとっていたらすみません。。。いや、やっぱりコミュ障です!すみません!!」

中山「なにそのアピール!暗すぎるわ!!(笑)」

古谷「じゃあ桜花の話に戻っちゃうけど、今はいろんな麻雀番組があって素晴らしい解説もついていて、麻雀を勉強するにはこれ以上ない環境が整っていると思います。いつでも見返せたり、動画で研究するのは自身のためになったなって思ってます」

中山「たしかに、すごい好環境だよね!」

古谷「そう、だから麻雀勉強するなら連盟チャンネルがオススメです!!」

中山「すごい宣伝アピールきたね(笑)」

このインタビューを通じてわかったことが1つある。私はともちんがやっぱり大好きだ。
インタビューという名のこのラブレターを皆さんが読んで、ともちんを今よりもっと好きになってくれたのなら筆者としてはこの上ない幸せです。

「鋼鉄の箱入り娘が箱から出た!!!」

これは桜花決定戦の最中にコメント欄に書かれていたことなのだが言いえて妙だなと、このフレーズがとっても気に入っている。箱から飛び出た箱入り娘はこれからどんな麻雀をみせてくれるのだろうか。箱入り娘の躍進劇にこれからも目が離せない。

鋼鉄の箱入り娘の勇姿はぜひ連盟チャンネルで!私もともちんの志を汲んで連盟チャンネルの宣伝をしてこのインタビューは幕を閉じたいと思います。
最後までお付き合いくださった皆様ありがとうございました。新しい時代の新しいクイーンの活躍を一緒に見守りましょう。

 

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