中級

中級/第83回『マッチした麻雀を打つ』

自分が麻雀格闘倶楽部の登場時に『麻雀だけは繊細なのです』としゃべります。
今回はこの『繊細』という部分についてまず書いて行こうかと思います。
そもそも繊細という言葉から守備的なイメージを思い浮かべる方が多いとは思いますが、
実は間違った考えで、そもそも攻撃とか守備とかに分類されるべきものではありません。
辞書で繊細を調べてみますと。
1 ほそく小さいこと。ほっそりとして優美なこと。また、そのさま。
2 感情などがこまやかなこと。また、そのさま。デリケート。
1はまぁ違いますね。1の意味で自分が繊細なんて言葉使ったら、それこそ土下座行脚の始まりです。
麻雀における繊細というイメージは、恐らく2の『デリケート』という部分だと思われます。
攻撃面でいう繊細さというのは、最終形に向けて真っ直ぐに不要牌を切るのではなく、
その過程において捨て牌や周りの印象などを考えての手作りを行い、
守備面でいえば、ただ漠然とリーチの現物を切るのではなく、相手の手牌や他家の速度を考えつつ仕掛けにも対応する事でしょうか。
ほら、攻撃でも守備でも繊細って言葉を使えるでしょう?
麻雀に限らず、対人ゲームやスポーツはどうしても結果によって印象が左右されがちです。
結果が伴わなければ、繊細という言葉も神経質とか根性無しとか揶揄される事だってありますし、
逆に伴っていれば、そのままの言葉で賞賛される事もあります。
結局のところ、その場の印象によって周りの評価が変わってしまうケースが多いわけです。
繊細であればいいのではなく、その時の状況にマッチした麻雀を打つ。
これが大事ではないでしょうか。
ツイている時は大胆に、ツイていない時は慎重に。
簡単なようで中々できないもんなんですよね。コレ。
さて、前回から牌画の1つもでてこないのはいかがなものかと思いますので、
最近の実戦を思い出しながらお話を。
東1局西家スタート
三万四万二索二索四索九索二筒三筒西白白中中  ドラ七索
3巡目に親が切った白を鳴くか鳴かないか?
先に言っておきますと、鳴くから正解、鳴かないから正解といったものではありません。
鳴いて主導権を取りにいく人もいれば、じっくり2枚目を待つ人もいます。
前回も書いた様に、麻雀に正解を求める方が最近多くいらっしゃいますが、
常識的なレベルの選択であり、その理由がしっかりしているのならばそれは全て正解だと思います。
ピンフを取るか三色を取るかの選択で、どちらかが正解で不正解にはならないのと同じです。
話が少し逸れてしまいましたが、自分はこの白を鳴きませんでした。
確かに鳴けば1役が付き、残る形も悪くはないのですが、鳴いてしまうとよほどツモに恵まれない限り、1,000点、2,000点で終わってしまいそうです。それよりもソーズが伸びたり、三色を狙う方が打点的には優秀となり、また、白は安牌としても使えそうです。
同じ理由で次巡の中もスルー。さて、ここでまた選択肢が現れます。
この手牌が動かないまま2枚目の中白を仕掛けるかです。
2枚目という事は、もうその牌はないのですから1枚目をスルーするのとは意味が違います。
目の前にある1役を放棄しなくてはなりません。
しかし、手の進んでいない状態で2鳴きを行うということは、
他の3人に形が悪いか安いかのどちらかと自分から告げている様なものです。
鳴くことが間違いではないと思うのですが、
それなら1枚目から仕掛けた方が自分を有利に見せる事ができるのでお得かなぁと。
そして、白をスルーしたからには、漠然とでもいいのでこの手牌の最終形をイメージすべきでしょう。
もちろん現実的な範囲内でです。
自分はこの時、こんな最終形を意識しながら打っていました。
二索二索四索四索七索九索九索西西白白中中 
先にマンズやピンズが埋まれば234の三色なんですが、例え2枚目の役牌を打たれても、
それを生かせる手牌となると七対子が優秀ではないかと思います。
七対子の良い所は攻守兼用に取れるところです。
普通なら2枚切れの役牌のトイツなんてピンフにもなりませんし、足手まといになりやすいですが、
七対子だけはトイツであるというだけで、一手進ませられる他にはない特徴のおかげで、
今回の様な2枚目の役牌が打たれてしまった時には非常に重宝します。
ただ、非常に難しい部分はその押し引きにあって、
安全牌があるにも関わらず放銃してしまうといった事がよくあります。
七対子で攻めた結果の放銃はしょうがいないでしょう。
しかし、先手を取られて受けに回っているのに、テンパイをしたからという理由で目を瞑って危険牌で放銃。
これはいけません。
なぜこれがいけないかというと、大体の場合において先手を取られて受けた場合、
結果的にこちらがアガリ逃しをしているケースがほとんどだからです。
そう何度も自分のアガリ番があると思うのは少し都合がいいですよね。
それなのに、自分にもテンパイが入ったが故に放銃をしてしまう。
七対子が上手くなるコツはこの辺りにあるのかもしれません。
結構、好き嫌いが激しい役であるとは思いますが、
使いこなせるか使いこなせないかで、自身のレベルが大きく変わりますので、
苦手な方もぜひ覚えていただきたいです。
尚、自分は好きだけど苦手な役です。
1シャンテンからが長い長い。
と、脱線してしまいましたが、実戦での最終形は以下の通り
三万四万二索二索四索四索西西西白白中中 
結果は伴いませんでしたが、大きな打点が見込めるであろう手牌まで伸びた事にご満悦です。
今回、自分は鳴かないという選択を取ったので鳴かない側の考えを書きましたが、
鳴いた場合はまた違った考えも生まれてきます。
始めにも書きましたが、どちらが正解といった事はないからです。
鳴いたから○○、鳴かなかったから○○というのではなく、
大事なのは鳴いてからどうするか、鳴かずにどうするかをきちんとイメージできているかではないでしょうか。
イメージを持たずに、ただなんとなくでは事故の元。
何切る問題でもそうですが、その選択をするに至った確かな理由があれば、
肯定されずとも否定をされる謂れはないのですから。