中級

中級/第71回『強者の傾向』

前回の中級講座では、得たデータや知識を応用して使うことが必要ではないか、と述べた。
今回はその事について、少しお話させて頂こうと思う。
現在、ネット麻雀のデータから見られる強者の傾向として、アガリ率が高く平均アガリ点が若干低い、仕掛ける率が高いなどがある。
例えば、同じ8,000点を加点するのでも、1度8,000点をアガるよりも、2,000点を4回アガる方が有効であると考えられている。
何故なら、多くの局数をアガった方が、相手のアガリを潰すことにもなり、自身の失点の回避にも繋がるからである。
しかし、4人で行っているゲームである以上、アガリ率を極端に上昇させることは難しく上の例で考えてみても、
同じ半荘内で、8,000点1度よりも、2,000点を4回アガることの方が遥かに困難だろう。
更に、考え方を少し間違えてしまうと、例えば下記の様な手牌から、
六万七万二索三索四索四索五索六索八索八索六筒七筒北 ドラ七万
※半荘戦の東1局、5巡目のものとする
チーして2,000点のテンパイにとりかねない。
この行為は、強者の傾向同様に、アガリ率を上げていて、アガリ点が下がっているが、これはどうだろうか?
確かに、この局自体のアガリ率は上昇しているが、半荘という単位で考えれば、到底得な選択とは思えない。
一般的なルールでは、順位に対するウマやトップに対してのオカがつく場合がほとんどなので、
決定打になるようなアガリの可能性が高い時は、その様に打つべきなのである。
上記の手牌はまだ序盤で、門前でテンパイしてリーチをすれば満貫、ツモや一発、裏ドラ次第では跳満にもなるので、やはり鳴かないのが得策だろう。
これは極端な例だったかもしれないが、では以下の手牌ではどうだろう。
東1局の親で7巡目、
三万三万三万五索五索六索六索五筒六筒七筒八筒八筒 ドラ三万
五索六索も場には出ていない。
場況をつけてしまうと判断が変わってしまう為、特に偏りは無しという設定にしておこう。
現状、このままの形でツモれば三暗刻がついて6,000オールの手牌で、出アガリは12,000点。
ただ、待ちが五索六索のシャンポンで非常に悪い。ここに上家から四索が打たれたとしよう。
打点重視の方の中には抵抗がある方もいるかと思うが、自分はこの手牌ならばチーを推奨する。
鳴いても12,000点あり、門前での出アガリの打点と変わらないことや、アガリやすさにかなりの違いがあると思うからである。
では、同じ状況、同じ手牌で、今度はドラが北であったらどうだろうか。
三万三万三万五索五索六索六索五筒六筒七筒八筒八筒 ドラ北
リーチを打っているという方もいるかもしれないが、四索七索引きでタンヤオ、高目イーペーコーのリーチが打てるので、自分はヤミテンを選択する。
そしてこの手牌の場合は、ここで上家から四索を打たれてもチーはしない。
確かにアガリ率は下がるだろうが、そのままの形でツモれば4,000オールという大きなアドバンテージを逃したくないからである。
また、前述した様に、高目7,700の両面リーチが打てる可能性もあるが、先程のケースと違い、
鳴いてしまえばカンでドラが増えたりしない限り、ほぼ1,500点なのである。
このケースでは、何か特別な状況がない限り鳴かない方が得策と見る。
他の手牌ではこの様なケース。
東1局、子方で8巡目 (一発・裏ドラありの半荘戦)
二万三万三万二索三索六索七索八索二筒三筒四筒中中 ドラ七索
ここから1枚目の中をポンテンにとるか。
8巡目という中盤にさしかかった巡目で、門前でいけば不確定だが三色もあり、高打点が見込める。
また、ドラが北だったら?1枚目の中をスルーしたら2枚目はどうするのか?
これは打ち手、場況によって大分変わってくるところだろう。
ただ、深く考えずに「強者の傾向に合わせる」為に、アガリ率をあげようと1枚目から鳴く、というのは違うと思う。
麻雀というのはとても複雑で不確定な部分もたくさんある。
故に、こちらの方が恐らくいいだろうという打牌はできても、全て完璧にというのは出来ないものなのではないかと思っている。
完璧な選択をしたとしても、それが裏目に出ることももちろんある。だからこそ、様々なフォームの強者が存在するのだろう。
麻雀プロの中でも強い人はたくさんいるが、人によって、攻撃と守備のバランスも全く違う。
大切なのは、基礎をしっかりと理解した上で、自分の中のフォーム、バランス感覚を鍛えていくことである。
以前、何かの記事で最も良いとされる強者の放銃率は~%、というものがあった。
それ以下ではオリすぎ、それ以上では攻めすぎ、ということなのだと思う。
極論を言ってしまえば、放銃率は低ければ低い程良いのである。アガリ率は高ければ高い程良く、平均打点は高い方が良い。
前回の記事で、読みの大切さについて話したが、読むことによって放銃率を下げ、また深く攻めることができるので、
それで、またアガリ率を上げることができるのである。
データ上の強者のバランスに合わせるのではなく、自分にあったフォームを見つけ、
その上でバランスを取ることが、雀力上達への近道と言えるのではないだろうか。