中級

第124回:中級講座『局面理解について』 仲田 加南

局面理解とは、状況判断とほぼ同じ意味です。
その局面に合った選択をし、展開が有利になる(不利にならない)ゲームメイクを心掛けること、これが手順や効率などの1人麻雀をクリアした人の次のステップだと思っています。
麻雀なんて、攻めるか守るかの二択でしょう?と思っている人には是非考えていただきたい項目です。

WRCルール
(オカ無しの順位点は5-15一発裏あり)
南1局、5巡目、ほぼ原点持ち

六万七万一索二索四索五索五索六索七索東東中中  ドラ八筒

対面から出た1枚目の中をどうしますか?
また、鳴くなら何を切りますか?

それは誰(何着目)の親番で自分は何家か?ということがとても重要で、これによって答えが変わってきます。

まずは鳴くケース。
・トップ目の親で自分は南家。
トップ目に親での加点を許してしまわぬよう、点差があればあるほど、素早く親を落としましょう。
だから染めずに打一索
(点差があまり無い時は、牽制含みでの染めもあり)

・トップ目の親で自分は北家。
親のツモを増やしてしまうので南家の時よりは鳴き辛いですが、点差があればあるほど本気で捌きにいきます。
だからアガリ最優先で打一索

点差を縮めたいから、少しでも親っかぶりさせたいから、という理由で、トップ目の親番で打点にこだわる人がいますが、それは違うと思います。
そういう思考が隙になり、更なる親の加点に繫がるケースが多いです。
南場でトップ目に4,000オールなど引かれたら、決定打になってしまいます。
その最悪の事態だけは避けられるよう、打点よりもスピード重視で子方は意識を統一するのが理想です。

そして、鳴かないケース。

・自分の親番。
前回も言いましたが、自分の親でとりあえずの連荘を目指すことはしません。
面前でリーチを打つことを目指すか、鳴くならホンイツ狙いで2枚目から。

・ラス目の親番。(自分が何家でも)
点差にもよりますが、まずこのポンシャンテンの一鳴きはしません。
微差の時は2枚目なら鳴くかもしれませんが、断トツラス目の人の親番なら、ゆっくり面前で高い手だけを目指します。
この手なら、目指すは面前ホンイツ。
上手くいかなかったら、テンパイだけでもいいし、他者からの攻撃が来たら字牌を使って降りればいいし、ここはじっくりやりましょう。

ラスにアガられたら自分がラスになるかもしれない。だからラスには厳しく打って、ラスだけは決めておいてしまおう!というやりかたも、ルールによっては間違っていません。
しかし、一般的なルールにおいては、やはり狙えるうちはトップを狙います。
そのために出来る事はアガリに向かうことだけではないと思います。

この程度の手なら、手なりでアガリを取りにいくより、ラス目に親をやらせてみる。私の経験上、これはさほど悪い結果にはなりません。なぜなら、局が長引いて苦しむのはトップ目だから。早くこのまま終わってほしいと焦ってミスをしやすいのはトップ目だから。

「かなちゃんは、自分でなんでもやろうとしすぎ!一人で戦いすぎ!」
これは昔、まだ私がプロになる前に、尊敬していた人から言われた言葉です。
麻雀て、一人で戦うものだよね?誰も助けてくれないよね?結局アガるか、アガられるかだよね?

ただがむしゃらに、毎月400半荘打ち続けていた当時の私には、到底理解できない言葉でしたが、量より質を求めてじっくり振り返りながら麻雀を打つようになって、やっと意味が分かりました。
1人で戦うには限界があるけど、常に誰かを味方にして戦えば、ぐんと勝率はアップするものだって。

例えば自分がトップ目の時。

南2局
東家(自分)46,000点
南家17,000点
西家27,000点
北家30,000点

南家がドラポンの仕掛けをします。ドラを切ったのは西家です。
鳴いた南家はまだテンパイではなさそうです。自分の手牌は頑張っても安くて遅い手です。

さて、どうしますか?

「しっかりオリる」という選択が間違いとは言いません。
しかし私は、あえて絞らず、西家の安全牌を残しながら、鳴かれそうな牌から切ります。この局面で最も嫌なのは西家のアガリ。
南家が手を進めることによって、西家がオリてくれたら嬉しい。そして、ここで南家が2,000・4,000をツモってくれることにより、もっと有利なゲーム展開になると予測できます。

南3局
北家(自分)42,000点
東家25,000点
南家25,000点
西家28,000点

こうなったら、2着争いになりやすく、あと2局がスムーズに進むことが多いですから。

麻雀なので、何が起こるか分からないですし、また人の心理も正確にはわからないものです。
読みが大きく外れて、裏切られたような気持ちになる時もあります。
だけど!
よりたくさんのパターンや展開を予測して、描いて進めてみることを私はこれからも続けていきます。

アガれなかったら負け。手が入らなかったら負け。と、このゲームを簡単には終わらせたくないから。