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第123回『運気』 沢崎 誠

日本シリーズ第3節が行われました。
この1ヶ月の自分の対局を振り返ると、十段戦はベスト16敗退*最強戦男子プロ代表戦は1次予選敗退*WRCリーグベスト16進出ならず*鳳凰戦首位からマイナス枠に降着と散々な成績です。
そんな中で唯一好成績の日本シリーズですから、ここを落としてはいけないと体調管理と十分な練習をしてこの対局に挑みました。

この節の出番は13・15回戦の半荘戦2回です。13回戦は2着にまとめて上位の集団から半歩リードの抜け出しが出来ました。

15回戦

 

 

起家から沢崎・鈴木達也(協会)・前原雄大・藤崎智の席順です。
北が暗刻のソーズが少し多いも横の繋がりが有りませんから白や他の字牌を重ねてからの変化待ちです。北が暗刻の分、攻められても受けやすい手牌で楽しめそうな手牌です。

前原・藤崎の両名はこの半荘入れて予選残り2半荘、連勝が欲しい状況です。
7巡目、西家・ガラクタ総帥前原の先制リーチです。
親の自分としては安い手のガラリーが希望ですが・・開かれた手牌は裏ドラ1枚乗って一翻余りの跳満!!
東発の親であの手牌(打点)を引かれるとは相当厳しい一戦になるのが予想出来ます。

 

 

続いて下家の親リーチ。そこに向かうのが忍者・藤崎。
七筒・・ドラ七索切り。
点棒溢れる連荘中の親番・藤崎ならこの打牌もあり得るのでしょうが、崖っぷちの状況で前に出るしかないところの追いかけリーチ!

 

 
 

 

そのドラをポンとしてテンパイも・・藤崎のアガリ牌が親に下がります。河を見れば6牌目となる一筒四筒です。 
自分の動きが藤崎へ有利に働いたようにも映ります。このままでは前回に対戦したリーグ戦の続きとなり、この試合も悲惨な結末が予想出来ます。

 

 

発ポンの藤崎。
こんな発ポンする藤崎は見た事がありません。鳴いた瞬間・・満貫は確定!
藤崎を知る人ならそう考えるでしょう。連続アガリの藤崎は絶好調です。

そして迎えた親番の藤崎、5巡目リーチ!!

 

 

絶好の七筒ツモ! 何切りでしょうか?
自分の反撃する麻雀では打牌選択は七索八万の2種類しかありません。
ですが、近況の対戦とこのゲームの藤崎のアガリ運を考えるとここは一歩引くのがベストに思えました。打七筒 
たぶんこのような好牌ツモのツモ切り選択は相当弱っている状態なのでしょうか?記憶に有りません。

 

 

いけいけと牌が押し寄せて来ます。三筒二万は3牌見え、二筒切り一万のトイツ落としも考えられますが・・ここは完全撤退がベストに思い打四筒の選択です。
ちなみにここまでリーチの待ち牌は一切考えていません。普段から基本的に待ちを読む事は9割方していません。何故なら待ち読みは外れる事が多く、その外す自分自身を信用出来なくなるのはマイナス面しかないと思うからです。

 

 

12巡目に達也プロの追いかけリーチが入ります。
いや~嬉しかったですね。満貫ツモられると自分がラス目になりますが、ラス目になっても順位はこの先に変動が有ります。ここは危険な親を流して南入してもらいたいところです。

 

 

ツモ八万 3連続のアガリで連荘です。自分はドラ五万が暗刻で八万がある形です!鳳凰位様・十段位様にボコボコにされそうな嫌なムードです。
ようやく連荘が途切れたのがこのアガリです。

 

 

達也プロのチンイツツモ!!
この局、ドラ西のツモ切りで六筒にアガリがあったようです。ストレスが溜まります。上位争い・下位争いも接戦となりました。

南1局

 

 

絶好の配牌です。
456・567のタンピン三色形が見えます。満貫・跳満クラスの手牌です。

 

 

この巡目でここまで順調に伸びてくると行けそうな気がします。親満ツモで上位争い、跳満ツモならトップ目まで見えて来ました。

 

 

気のせいでした。1シャンテンでの二索切りに、仮テンの達也プロに放銃となりました。チンイツをアガって運気上昇中の達也プロですが・・この手を満貫クラスに仕上げたかったと思います!アガって親番となりました。
この放銃でラス目となりました。順位1つに10P差がありますからここは3番手を目指します。

南2局

 

 

3番手の親・鈴木プロとは約5,000点の差です。手牌もピンズ寄りのチャンタ系でしょうか?動いて1,000・2,000、5,200と軽めの設定で白は動きます。

 

 

白ポンして七索切り。ここで少し手牌の配置を見ます。
左に寄る八筒七筒七筒九筒九筒これはポンを考えての配置です。七筒七筒八筒九筒九筒配置からは相当ポンしにくいです。南発は右から2・3番目にあります。手出しの2番目から字牌が出るとテンパイに見えづらい効果があります。三万は中ほどに有りますがこれはドラ引きを考えてでは有りません。ドラも切るつもりです。中盤にこの位置から三万切りは対戦者のドラ関連牌の対応を誘うことになります。

 

 

八筒は序盤で引き入れたのですが、一向に手が伸びないところで親リーチが入りました。現物は八筒九筒とトイツでありますからオリるのは難しそうにはありません。ただ2,000オールでも引かれればラスは当確となるのでしょう。
親満放銃はただのラスでは済みそうにありません!次に親の出番を待つガラクタ総帥・忍者に好き放題ボコボコにされるのが見えています。
ここは1牌出の南切りから・・。

 

 

次巡発が暗刻になり一筒四筒切りでテンパイです。
ここでの選択は四筒です。四筒切ったからと言って一筒を打つ鳳凰位・十段位ではありません。両面マチで考えれば・・一筒一筒四筒待ち1つ、四筒四筒七筒が有りますから待ち2つ!危険度は四筒です。では何故一筒でなく四筒切りなのでしょうか?
それはテンパイ即リーチに見えるからです。四筒七筒待ちになるという事は六筒五筒が付くのではなく五筒六筒が付いたという事になります。
1シャンテンの段階で五筒八筒のくっつきテンパイは3巡目の九筒切りを見れば不自然です。あれば一筒四筒なのかと・・。もともとこの手牌、配牌開いた時の第一印象がホンイツやチャンタです。素直にチャンタに向かう打四筒が閃きに素直なのでしょう。打四筒に次巡四筒ツモ!ちょっと笑えましたが・・どうにかアガリに結びつき3番手浮上です。2番手とは跳満の差、配給原点目指せば小さいマイナスで済みそうと考えましたが・・。

南3局

 

 

忍者・藤崎のメン・タン・一発・ツモ!! 満貫~。この半荘4回目のアガリ!!
鳳凰位様の関所はどうにか通過しましたが、オーラスは絶好調の十段位様の面倒な関所です。

南4局、2番手浮上の条件は満貫ツモ・5,200直撃。
親の連荘はどうなるか分からない。2位・3位の順位関係なしにさっさと切り上げた方が良いのだろうと考えていると親からリーチ。それもただのリーチではない・・九索九索並びのトイツ落としのリーチ。
トイツ落としに手役あり!!こういうリーチに放銃すると満貫くらいはあたりまえ。打つ奴の顔が見たいものだ。

 

 
 

 

ここは素直に現物の八万から。

 

 
 

 
 

 

ドラ七索 裏ドラ六筒

配牌 一万三万五万七万八万七索八索八索二筒四筒五筒北発
ツモ 九筒二索一索四万一筒五筒六筒六索四筒二索ツモ切り六筒
捨て 北九筒発八索二筒一筒八万一万七万一索発 リーチ
最終形 三万四万五万二索二索六索七索八索四筒四筒五筒五筒六筒  ツモ六筒

 

 

親のリーチ後に六筒六索四筒二索と絶好のツモと見るのでしょう。
自分としてはこのツモは非常に迷惑なツモにしか見えていません。
こんな絶好調な親に立ち向かえ・・前に出ろとツモ牌が押し寄せて来ます。運気のワナのようにも見えます。
一索切りでテンパイでしたが、この一索も切りたくはありませんでした。手牌に押し出された格好です。

この手牌が勝負手と捉えていたなら1巡前の七万切りの時に・・雀頭無しの1シャンテンで一索二索七万の雀頭候補から一索切りを選ぶのが自分の打ち方と思います。結果はアガリに向かうには同じ理想形となりました。

1シャンテンで一索切りから二索を重ねたのなら七万切りから即リーチで良いのでしょう。本局では一索切りテンパイから1巡ヤミテンを選択しました!その訳は次のツモ牌でこの局の運気を見ようと考えたからです。
嫌な気がするツモ牌なら打四万から三万と手組みを壊します。

この1巡でトップ目との得点差を確認、倍満ツモで逆転出来る事が分かりました。次のツモ牌は安全牌の発。このツモは本物と確信します。
倍満ツモを期待しての追いかけリーチです。他に何も考えていませんでした。
一発ツモ!! ねぇ、あるでしょう・・。

好調時は自然に打つのがベストでしょうが、不調時には・・
運気を見るべし!!