リレーエッセィ

第63回:勝又 健志

北野プロからバトンを受け取った、17期生の勝又健志です。
バトンは受け取ったものの何を書いてよいか迷いに迷っています。
しかし、どんなに考えたところで、僕に書けることといっても麻雀についてしかありませんので…

3月上旬、第2期麻雀グランプリMAXが行われた。
私は幸運にも優勝することができた。
しかし、その内容はと言うと反省しなければならない局面がとても多くある。

決勝進出が決まってから、対局までの間に私は1つのことを決めた。「自分の麻雀を打ち切る」と。
そんな思いで臨んだにもかかわらず、勝ちたいという欲に負けてしまった局の話からさせて頂きたい。

4回戦。
3回戦で大きなトップを取ることができ、トータルポイントで有利な立場になった。
4回戦においても、東2局の親番で3,900オールをツモアガることができ、さらにリードを広げる展開となった。
しかし、東4局1本場に悪手を打ってしまう。

7巡目、以下の手牌から六万をチーと出る。

二万三万四万五万七万八万八万四索四索五索七索七索七筒 ドラ七索

そして結果は、

二万三万四万八万八万四索四索四索七索七索 チー六万五万七万

このテンパイとなるも、奈良プロの一色手に対して四筒をツモ切り満貫の放銃となった。
実はこの時、東3局での放銃を引きずっていた。

東3局11巡目、上家より二万が打たれる。

三万四万二索二索六索七索九索四筒五筒六筒六筒七筒八筒 ドラ七索

子方であることや、上家の藤崎プロに2フーロ入っていること、さらにリードしているポイントを考えるとチーテンに取ることも十分に考えられる。
しかし、私は大きく狙ってこれをスル―。すると、その後小島プロからリーチが入り、テンパイを果たした私は、2,600を放銃した。

今となって冷静に考えれば、いくら好調時とはいえ全ての局をアガれるわけではない。
メンゼンでしっかりと攻め、その結果が2,600の放銃ならば何の問題もない。次も手牌に押し出されるように自然に攻めればいいのだ。
私が勉強会で、小島プロ、森山プロに教わってきたことであった。

だが、私の思考は「ミスをしてしまった。次局以降苦しくなるかもしれない。」とピントがずれている。
そこから招いたのが、前述した六万のチーであった。それは、自ら苦しくしてしまう仕掛けであった。

この仕掛けに対して、対局終了後に何人かの方に「優勝のプレッシャーがそうさせたんだな。」という言葉を頂いた。
しかし、プレッシャーに負けたにしろ、局面が読めていなかったにしろ、それが自分の力であり弱さであることを認めなければならない。

今回の麻雀グランプリMAXで優勝できたことは本当にうれしく思っている。
しかし、後半の2回戦の内容は全く満足できるものではない。さらに、この麻雀グランプリMAXの観戦記を読むと、滝沢プロがこう書いている。

『プロと名乗る者通しの対局には、結果だけでなく内容が求められる。
麻雀の「内容」というのは漠然としたものとして捉えられることが多いが、これには私なりの答えがある。
第三者に伝える意志を持って打つこと。または言わずとも伝わるものがあること。それは本人なりにでも良いと思う。』

私の打牌には観戦してくださったファンのみなさんに伝わるものがあったのだろうか。
第三者に伝える意志ではなく、勝ちたいという欲ばかりが先にでてしまった内容だと思う。
今後、麻雀プロとして戦っていくならば、一刻も早く改善しなければ、実力をあげなければならないと思っている。

そして、優勝から1カ月。第29期プロリーグが先日開幕した。
目標は当然、A1リーグに昇級することなのだが、私にはもう1つの想いもあった。
麻雀グランプリMAXと同じミスは繰り返さない。そして、意志のある一打を打つことである。

1回戦目南3局。
25,000点程持って迎えた親番だった。9巡目以下のテンパイが入る。

二万三万四万五万六万七万八万四筒四筒五筒五筒七筒八筒九筒 ドラ七万

関連牌は四筒が1枚切れ、一万が3枚切れといったところである。
マンズの連続形を活かしたいこと、待ちがあまりに弱いことから四筒を切ってテンパイ取らずとした。
そして2巡ツモ切りを挟んで12巡目。ツモ二筒
ここで9巡目との違いは、1つは他家3人に気配が出始めたこと。
ツモが利かずにてじまいというわけではなく、おそらく1シャンテンは入っているであろうという雰囲気であった。
もう1つは、先ほどの四筒五筒のシャンポン待ちよりもカン三筒は待ちが強いこと、この2つがあげられる。

ここでは、点棒状況、親番ということ等も加味して考えるとリーチを打つ手があると思う。
しかし、私は二筒をツモ切りとした。決め手となるアガリを、さらには次につながるアガリを目指したのだ。

その後、ツモ三万ときて一万四万待ちのテンパイが入るも、狙いは決め手をアガることなのでヤミテンに受ける。
その後テンパイの入った、老月プロに放銃となった。

2回戦目東2局。
東1局に2,900を放銃して迎えた親番であった。
8巡目、以下の牌姿になっていた。

四万四万六万七万七索七索八索九索三筒四筒中中中 ドラ九索

ここで、対面の山井プロからリーチが入る。同巡、上家の老月プロから二筒が切られる。
これをスルーすると、ツモ五筒ときてリーチに出る。数巡後、五万を引き3,900オールのアガリとなった。
そしてこの後は、勢いに乗り4回戦で+45.6Pとなった。

1局単位で見たならば、1回戦目ではカン三筒でリーチを、2回戦目ではチーテンを取った方がアガリには近いと思う。
しかし、この2局は、まだまだ甘さはあるものの、ほんの少しは意志を込めた一打が打てたのかもしれないなと思うことができた。

私に課題はまだまだ山のように残っている。
次なる目標であるA1リーグ昇級に向け、自分の全てを懸けて努力していくことを誓う。
かなりの乱文になってしまいましたが、最後までお付き合いくださった皆様ありがとうございました。

次回は、ジェンプロにバトンを渡したいと思います。ジェンプロよろしく!