対局番組レポート

特集企画/天鳳位vs.連盟プロ対抗戦 3rd season 第3節レポート:ケネス徳田

~リーグ戦ではポイントの差がそのまま勢いの差に?~
 
長い人類の歴史において、当然ながら先人たちの知恵や経験が、次世代に引き継がれ、蓄積され積み重なっていく。「産業革命」もいきなり突如発生したわけではなく、当然それまで蓄積された技術の応用となる。
麻雀もしかり、ルールやシステムの変遷などにより、一見目新しく見える戦法も、実は過去の焼き直し、もしくは応用例ということがほとんどである。
ゆえに先人たちの蓄積された知識、いわゆる「経験則」はそれこそ計り知れないほどである。
ところで、麻雀界のベテラン・荒正義プロ。2年前にA2リーグに陥落するまでは、プロ連盟創設時から30年以上A1リーグに居続けた。その荒プロ曰く「リーグ戦は持ってるポイントがそのまま勢いにつながるから。勝ってる人間は普通にやればどんどんポイント伸ばせるし、逆に▲100P超えちゃうともう何やってもダメよ」
 
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身も蓋も無い言い方だが、長く麻雀界にいる人間ほど、この言葉の意味がよく伝わる。現状のポイントからくる精神状態ももちろんあるが、それを超える展開の悪さ、いわゆる「不ヅキ」、普通に打てないまるで枷のような重りが足を引っ張る…それがいわばリーグ戦でのマイナスポイントの重みである。
このマイナスポイントを大きく背負ってしまうと負のスパイラルに埋もれ、ほぼ浮上は見込めない、というのが定説である。
 
 
~苦しい下位陣の戦い~
 
さて現状11位がおかもとさん、12位が藤崎智プロと両者苦しい展開が続いている。特に藤崎プロは5戦消化し予選残り2回と、後が無い状況。プレーオフ進出までは2連勝に近い条件を突きつけられている。
その藤崎東3局1本場、6巡目に3メンチャンテンパイ即リーチ。
 
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しかしこの3メンチャンがなかなかアガれず、17巡目の最後のツモでようやく500・1,000のアガリとなる。
南1局1本場では、東家・勝又プロとのリーチ合戦を3,900で制してトップ目で親番をむかえる。
だが南2局では勝又プロが1,300・2,600のツモアガリ
一万一万六万六万三筒四筒五筒  ポン二索 上向き二索 左向き二索 上向き  ポン中中中  ツモ一万  ドラ六万
親カブリでトップ逆転される。さらに南3局でも勝又プロがアガって、7500点差をつけられてのオーラス。8巡目にテンパイするが…
 
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ここはヤミテン。ドラの中を切って鳴かれなければリーチなのか、それともツモ&一発or裏ドラ条件なら、確実に2着を確保しようと考えたのか…その答えはわからぬまま。なぜなら同巡、東家・おかもとさんが
四万五万七万八万九万八索八索九索九索九索西西中  ツモ九索  ドラ中
九索を暗カン。カンドラ七筒が乗るや否や、次巡藤崎プロはツモ切りリーチ。11巡目に三万をツモって2,000・4,000とトップ逆転となった。
 
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もし藤崎プロが先に先制リーチをしていたら…おそらくおかもとさんは九索カンのタイミングはもう少し後だったかもしれない。すると藤崎プロは三万をツモるが裏ドラは乗らず、2着で終わってた可能性が高い。トップ必須にもかかわらずヤミテン発進、ある意味奇策である。
一方、ふとした暗カンで親カブリとなったのがおかもとさん。藤崎プロの浮上により、これでトータル最下位。続く13回戦でもラスを引いてしまい、さらに苦しいトータルポイントとなった。
 
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~プラスポイントからが本当の勝負!?~
 
リーグ戦はまずマイナスにならないこと、そしてプラスポイントがある程度溜まったら多少のリスク覚悟で強く攻めに転じること。これがポイントを伸ばすコツである。特に14回戦ではトータル2~4位の3名が同卓だけあって、ここでのトップは1回で2度おいしいと言ってもよい。
そしてこの半荘は勝又プロが制す。東3局の親番で5,800を就活生@川村軍団さんから。
 
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続く1本場では
一万二万二万三万三万三万四万六万六万七万九万三筒三筒 出る八万  ドラ五筒
から7巡目にカン八万チー。そして四万を引き入れて即南家・前田プロから12,000のアガりをものにする。
トータルポイント2位をがっちり死守し、さらにポイントを伸ばしにかかる。
 
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予選成績

順位 名前 1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 合計
1 独歩(3代目天鳳位) 44.1 42.2 32.4 4.7 ▲ 13.7 109.7
2 勝又健志 ▲ 4.0 26.6 15.2 23.5 61.3
3 かにマジン(8代目天鳳位) ▲ 28.2 ▲ 14.0 18.6 32.0 29.2 ▲ 13.3 24.3
4 ASAPIN(初代・11代目天鳳位) ▲ 18.9 12.9 ▲ 7.2 41.9 ▲ 7.9 20.8
5 佐々木寿人 ▲ 8.5 11.1 ▲ 16.4 33.9 20.1
6 すずめクレイジー(4代目天鳳位) 8.1 38.5 ▲ 35.2 3.3 14.7
7 前田直哉 ▲ 26.9 19.6 ▲ 7.1 34.4 11.9 ▲ 23.1 8.8
8 前原雄大 ▲ 16.5 0.4 7.8 13.2 ▲ 30.5 ▲ 25.6
9 瀬戸熊直樹 ▲ 30.5 42.4 ▲ 34.7 ▲ 18.4 6.7 ▲ 34.5
10 就活生@川村軍団(9代目天鳳位) 41.0 ▲ 46.5 ▲ 25.9 7.5 ▲ 26.9 ▲ 50.8
11 藤崎智 3.7 ▲ 20.4 6.7 ▲ 42.8 ▲ 26.8 27.7 ▲ 51.9
12 おかもと(12代目天鳳位) ▲ 12.2 ▲ 6.8 ▲ 13.9 ▲ 29.6 ▲ 35.4 ▲ 97.9

 
逆に、下位陣だった藤崎プロはトップを取ったものの依然11位。9位以下だった瀬戸熊プロ、就活生@川村軍団さんも、やはりそのマイナスポイントの枷が効いて、なかなか浮上できず。次回予選最終節が勝負駆けとなる。
 
【スケジュール】
第4節  : 9月10日(日)
プレーオフ:11月 3日(祝金)
決勝戦  :11月23日(祝木)