十段戦 レポート

十段戦 レポート/第32期十段戦 五段・六段・七段戦レポート 蛯原 朗

5月上旬の爽やかな気候から、徐々に暑くなり夏を感じさせる季節となってきた。
私も十段戦に選手として参加したが、5月24日(日)に行われた四段戦Sで敗退した。
落ち込んで会場を去った私に翌日一通のメールが届いた。
それは「五段・六段・七段戦のレポート」の依頼だった。
初めてのことなので、私などに務まるものかと不安である反面、強者達の繰り広げる頭脳戦や、その白熱する駆け引きを間近で観戦できると思うと居ても立っても居られなかった。
「是非やらせて下さい。」と返信した。
今年はどんなドラマが生まれるのかと、非常に楽しみであった。
当日の朝私は、いつものブラックコーヒーを飲み十段戦の会場である有楽町「錦江荘」に足を運んだ。
五段・六段・七段戦のシステムは下記のとおりである。
連盟Aルール 各同卓メンバーで3回戦 各回55分(ポイント上位2名が勝ち上がり)
一発、裏ドラなし
3万点持ち3万点返し
1人浮き(+12P ▲1P ▲3P ▲8P)
2人浮き(+8P +4P ▲4P ▲8P)
3人浮き(+8P +3P +1P ▲12P)
午前中は五段戦が行われた。

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四段戦Sを勝ち上がった選手に、ここからのシード選手が加わり全17卓68名が34名に絞られる。
ここまで来るとAリーガーを始め、タイトルを持つ強者達が集結してくる。

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刀川昌浩 四段
(A2リーガー)

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吉田直 四段
(A2リーガー)

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魚谷侑未 四段
(第6・7期女流桜花)

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小車祥 四段
(第22期マスターズ)

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黒沢咲 五段
(第6・7期プロクイーン)

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柴田吉和 二段
(第28期新人王)

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嶋村泰之 三段
(第26期新人王・第18期チャンピオンズリーグ)

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仲田加南 五段
(第4期女流桜花・第21期新人王)

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奈良圭純 四段
(第20期マスターズ)

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西川淳 五段
(第22期チャンピオンズリーグ)

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樋口新 四段
(第19期マスターズ)

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森下剛任 四段
(第39期王位)

8卓ではトップ目の客野に大物手が入る。
二索三索三索三索  ポン南南南  ポン九索 上向き九索 上向き九索 上向き  ポン発発発  ロン四索
安めではあるが5,200点のアガリ。
続く局でもセンス溢れる手組で以下の手牌に仕上げ8,000点のアガリ。
三万三万四万五万六万四索五索六索二筒三筒四筒五筒六筒  ロン四筒  ドラ七筒
通過すると思われたが、3回戦高谷に大きいトップを取られここで敗退。

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客野直 四段
(現チャンピオンズリーグ)

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高谷圭一 初段

五段戦勝ちあがり者(17卓68名中34名)
「初段戦からの勝ち上がり」

小野雅峻 齋藤健人 高谷圭一 土屋幸弘

「二段戦からの勝ち上がり」

柴田吉和 福島佑一

「三段戦からの勝ち上がり」

相沢かおる 嶋村泰之 新谷翔平 野方祐介

「四段戦からの勝ち上がり」

土井悟 一井慎也

「四段戦Sからの勝ち上がり」

鮎川卓 魚谷侑未 太田昌樹 小川尚哉
小車祥 須浦正裕 武田裕希 刀川昌浩
奈良圭純 羽山真生 藤本哲也 安秉参
吉田直

「シード選手勝ち上がり」

勝間伸生 黒沢咲 斎藤桂史 鈴木墓芳
中村毅 西川淳 西島一彦 花岡章生
浜上文吾 福山満幸 増田隆一 四柳弘樹

午後には六段戦が行われた。
五段戦を勝ち上がった選手に、ここからのシード選手が加わり全12卓48名が27名に絞られる。
シード選手からは現女流桜花の吾妻さおり、現プロクイーンの和久津晶などが登場する。

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明石定家 六段

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井出一寛 六段
(第36期王位)

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金子貴行 六段

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三田不二夫 六段

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森脇翼 六段

9卓では1回戦オーラス、トップ目の羽山が以下の手牌でリーチをかける。
四万四万五万六万五索六索七索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ドラ三索
これに対し吾妻も追っかけリーチ。羽山勝負手だけに手に力が入る。
しかしここを制したのは吾妻である。
三万三万六万七万八万九万九万九万三索四索五索三筒四筒  ツモ二筒
1回戦終了後、羽山が悔しい表情で私に語った。
「場況的にアガれそうだと思ったのであそこで決めたかった。」
私はただ頷くことしかできなかった。
続く2回戦、3回戦と苦しい展開が続き無念の敗退。

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羽山真生 四段
(第22期・23期王位)

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吾妻さおり 四段
(第8期・第9期女流桜花)

11卓では佐々木が南場の親で6,000オールを決める。その勢いのまま、初戦+34.5P。
2回戦では西島が以下の手牌でテンパイ。
二万二万二万五万五万五索五索五索五索六索七索四筒五筒  ドラ五索
佐々木もカン五索の2,900のテンパイをしているが、五索は西島に4枚持たれており純カラ。
そこに終盤、嶋村からリーチが入り佐々木は即座にオリにまわる。
西島と嶋村の捲りあいになるが、ここは西島に軍配があがる。
続く南2局、流れに乗った西島は以下の手牌で先制リーチをかけるが、中盤に親の新谷からも追っかけリーチが入る。
一万二万三万六万七万八万六索八索四筒四筒九筒九筒九筒  ドラ五索
七索は佐々木に3枚持たれていてやや新谷が有利かと思われたが西島が残り1枚の七索をツモる。
3回戦目、親の新谷は満貫をツモり巻き返すものの力及ばず敗退。
佐々木、西島が七段戦へ駒を進めた。

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佐々木寿人 五段
(A2リーガー・第10期チャンピオンズリーグ)

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西島一彦 五段
(第23期マスターズ)

六段戦勝ちあがり者(12卓48名中24名)
「初段戦からの勝ち上がり」

齋藤健人 高谷圭一 土屋幸弘

「二段戦からの勝ち上がり」

柴田吉和 福島佑一

「三段戦からの勝ち上がり」

相沢かおる 野方祐介

「四段戦からの勝ち上がり」

一井慎也

「四段戦Sからの勝ち上がり」

魚谷侑未 太田昌樹 小川尚哉 小車祥
須浦正裕 武田裕希 奈良圭純 藤本哲也

「五段戦からの勝ち上がり」

勝間伸生 黒沢咲 斎藤桂史 中村毅
西島一彦 浜上文吾

「シード選手勝ち上がり」

明石定家 吾妻さおり 老月貴紀 佐々木寿人
和久津晶

夕方から七段戦が行われた。
六段戦を勝ち上がった選手に、ここからのシード選手が加わり全10卓40名が20名に絞られる。
十段戦も終盤に差し掛かかる。
ここから登場する強者の大半はA1リーガー、G1タイトルを持つ有名プロだ。

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石渡正志 七段
(A2リーガー)

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二階堂 亜樹 六段
(A2リーガー・第2期・3期女流桜花・第3期プロクイーン)

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勝又健志 六段
(A1リーガー・第2期グランプリMAX)

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近藤久春 六段
(A1リーガー)

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紺野真太郎 六段
(A2リーガー・第15期新人王)

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猿川真寿 六段
(A2リーガー・第17期マスターズ)

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滝沢和典 七段
(A2リーガー・第32期・33期王位)

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ダンプ大橋 六段
(A2リーガー・第34期王位・第18期新人王)

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仁平宣明 七段
(A1リーガー)

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望月雅継 七段
(A1リーガー・第23期鳳凰位)

8卓では南場の親で山田は以下の手牌。
二万二万六万七万八万九万七索  ポン南南南  ポン発発発
ここで小車からリーチが入る。
捨て牌には4巡目五筒、5巡目六筒と切っての七対子の八筒待ち。
山田はここを勝負所とみて押し切り12,000点をアガる。
六万七万八万九万  ポン二万 上向き二万 上向き二万 上向き  ポン南南南  ポン発発発  ロン六万
その後は場の状況に合わせて変幻自在に打ちまわし1位で通過した。
超攻撃アマゾネスこと和久津は大物狙いが成就せずここで敗退。

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山田浩之 六段
(A2リーガー・第19期チャンピオンズリーグ)

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和久津晶 四段
(第9期・12期プロクイーン)

七段戦勝ちあがり者(10卓40名中20名)
「初段戦からの勝ち上がり」

高谷圭一 土屋幸弘

「二段戦からの勝ち上がり」

柴田吉和

「三段戦からの勝ち上がり」

野方祐介

「四段戦Sからの勝ち上がり」

魚谷侑未 太田昌樹 小車祥 須浦正裕
奈良圭純

「五段戦からの勝ち上がり」

斎藤桂史 中村毅 浜上文吾

「シード選手勝ち上がり」

浦田豊人 勝又健志 近藤久春 斉藤等
滝沢和典 二階堂亜樹 仁平宣明 ダンプ大橋
望月雅継 山田浩之

明日からは八段、九段、九段S戦が行われる。
高段者達や歴代十段位、現鳳凰位前田直哉、世界チャンピオン山井弘など強者が出揃う。
来月のトーナメント16に勝ち上がるのは誰か。
そして誰が現十段位櫻井秀樹に挑戦するのか。
強者達の白熱した戦いになること必至だ。
是非ご覧いただきたい。