十段戦 レポート

第36期十段戦 ベスト16D卓レポート 望月 雅継

十段戦ベスト16もこの卓が最後。
この対局の結果で、ベスト8の組み合わせが決まる。
最後に登場するのは6年連続の決勝進出を目指す藤崎、鳳凰位経験者である伊藤、前田の両名とA2リーグの近藤と、連盟チャンネルおなじみの顔ぶれ。
誰が勝ってもおかしくない組み合わせに、対局を観る側にも力が入ることだろう。

 

 

100

藤崎智(前年度決勝シード、東京本部、第16、33、34期十段位、第30期鳳凰位他、KONAMI麻雀格闘倶楽部、A1リーグ)

 

 

100

前田直哉(東京本部、第31期鳳凰位他、A1リーグ)

 

 

100

近藤久春(東京本部、A2リーグ)

 

 

100

伊藤優孝(東京本部、第9期鳳凰位他、A1リーグ)

 

 

1回戦(起家から、前田・近藤・藤崎・伊藤)

1回戦

東1局、東1局1本場と、親の前田が丁寧な対応で受け切りテンパイするも流局と、重たい立ち上がりとなったが、局が動いたのは東1局2本場、先手を取ったのは伊藤。
理想的な手牌進行から見事な2,000・3,900のツモアガリ。

一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒九筒発発  ポン白白白  ツモ四筒

東3局、今度は近藤の先制リーチ。
こちらもお手本通りの2,000・3,900を引きアガリ、伊藤を追いかける。

三万三万四万五万六万七索八索一筒二筒三筒北北北  リーチ  ツモ六索  ドラ一筒

しかし、この日の伊藤は1回戦からエンジン全開。南1局1本場には藤崎のリーチをかわし2,600は2,900を藤崎から出アガると、
南2局には、ドラが雀頭の3メンチャンをリーチしての2,000・3900のツモアガリ。大きくリードを広げる。

四万四万六万六万六万七索八索九索二筒三筒四筒五筒六筒  リーチ  ツモ一筒  ドラ四万

さらにオーラスの親番でも、キッチリとヤミテンで加点してダメ押し。

二万二万二万三万五万三索四索五索五索六索七索四筒四筒  ツモ四万  ドラ五万

伊藤の完勝で1回戦は終了。
辛くも近藤がプラスを死守して2回戦へ。
前田、藤崎にとっては受難のスタートとなった。

1回戦終了

伊藤+30.0P 近藤+4.4P 前田▲8.4P 藤崎▲26.0P

 

 

2回戦(起家から、藤崎・近藤・伊藤・前田)

東2局、伊藤が仕掛ける。

七万八万九万七索八索九索八筒九筒東東  チー二筒 左向き一筒 上向き三筒 上向き  ドラ東

カン二筒を仕掛けて打四筒
ドラが東だけに、123の三色やチャンタが本線に見える仕掛けだ。

1回戦は苦しんだ藤崎。
この伊藤の仕掛けを受けヤミテンに。

五万六万一索一索四索五索六索二筒三筒四筒五筒五筒五筒

ここにツモ七筒七筒は伊藤のアタリ牌。藤崎は場を一瞥すると、打五万と放銃回避。
伊藤の最終手出しが九万だったということもあるが、藤崎のディフェンス力の光った1局となった。

東2局1本場、先程の受けが効いたのか、藤崎2巡目リーチ。

二万三万四万四万五万四索五索六索四筒五筒六筒七筒七筒  リーチ  ドラ一万

前田も追いつく。

一万二万三万七万九万七索八索九索七筒八筒九筒北北

前田はヤミテンに構えるも、勝ったのは藤崎。高めの六万をツモアガリで3,000・6,000。一気に1回戦の負債を回収し、一歩抜け出すことに成功する。

2回戦はじっと我慢の展開が続いていた伊藤、南1局1本場、フリテンの八万から仕掛けると、

三万三万三万五万六万六筒六筒  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き  チー八万 左向き六万 上向き七万 上向き  ロン七万  ドラ三万

近藤から価値ある7,700は8,000。
一気に原点近くまで復活。対する近藤は2回戦ながら一気に窮地に追い込まれた。

続く南2局、藤崎6巡目、ドラの北を切ってのヤミテン。

二万三万四万七万七万三索四索二筒三筒四筒五筒六筒七筒  ロン二索  ドラ北

このタンピン三色をトータル首位の伊藤からの直撃。
残す2局も藤崎らしく捌き切り、1人浮きの大トップを決めた。

2回戦終了
藤崎+41.7P 前田▲6.9P 伊藤▲13.5P 近藤▲21.3P

2回戦終了時
伊藤+16.5P 藤崎+15.7P 前田▲15.3P 近藤▲16.9P

 

 

3回戦(起家から、伊藤・前田・近藤・藤崎)

この半荘も好スタートは親番伊藤。東1局、14巡目にリーチを放つと、

二万三万四万九万九万九万二索三索六筒六筒七筒七筒七筒  リーチ  ツモ四索  ドラ三索

前田の追撃を振り切り、伊藤がしっかりとツモアガリ、この半荘も一歩リード。

伊藤の連荘を止めたいのは全員の共通見解。
東1局1本場、近藤が中ポンと捌きにかかるも、そんな事はお構いなしと伊藤は9巡目リーチ。

二万三万四万六万七万二索二索五索六索七索四筒五筒六筒  リーチ  ロン五万  ドラ一索

これを近藤から出アガリ、さらにリードを広げる。

伊藤の攻撃を止めるのは俺だと名乗りを挙げたのは藤崎。
東1局2本場、伊藤のダブ東ポンを横目に、

二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒八筒八筒九筒  ポン発発発  ツモ四筒  ドラ二筒

この2,000・3,900で藤崎が伊藤の連荘を止める事に成功。
伊藤との差を一気に詰める。

このアガリで気を良くした藤崎、東2局もさらに攻める。
中をポンした藤崎は、六万九万待ちのテンパイ取らずでホンイツへ。打点アップを目論む。

一索二索二索三索三索四索五索六索七索七索  ポン中中中  ドラ六筒

そこに待ったをかけたのは親番前田。藤崎の仕掛けにリーチを被せる。

二万三万四万五万五万五万七万七筒七筒七筒  暗カン牌の背八筒 上向き八筒 上向き牌の背  リーチ  ロン七万  ドラ六筒

六万九万のアガリ逃しの後、藤崎が掴んだのは七万。12,000の直撃で、前田復活の狼煙を上げる。
逆に藤崎は、この放銃以降全くと言っていい程に手が動かなくなってしまった。

さらにこの放銃をキッカケに、この半荘は立て続けに放銃に回ってしまう事となる。

局は進んで南1局1本場、

ここまで苦しい展開が続く近藤、局面打破を図る。
14巡目、近藤の十八番と言える七対子をテンパイ。ドラ2の勝負手だけにどうしてもアガリが欲しい所。
近藤が選んだのは地獄の西単騎。じっと息を潜める。

これを狙い通り。藤崎から討ち取り、一気に浮上。
守備力の高い藤崎だが、この半荘はなんとこれが4度目の放銃となってしまった。

三万三万九万九万三索三索四筒四筒五筒五筒八筒八筒西  ロン西  ドラ五筒

トップ目の伊藤を追撃したいのは前田も同じ。
南2局1本場、親番の前田が結果を出す。

一万一万五万六万七万三索四索五索一筒二筒三筒五筒六筒  リーチ  ツモ七筒  ドラ三筒

2,600オールのツモアガリで、僅かながらに伊藤をかわしてトップ目に立つ。

南3局4本場、トップ目の前田は3巡目発ポン、トイトイに向かう。
ここまで劣勢の続く藤崎は12巡目、前田に追いついて追い越す。
高めイーペーコーのタンヤオピンフドラ2のテンパイもヤミテン。

三万四万五万六万六万五索六索六索七索七索四筒五筒六筒  ドラ六万

藤崎はこの五索八索待ちをヤミテンに。
前田も追いつく。待ちは三索八索

親番近藤もチーテンを求めるが…このチーで、前田のツモアガリ。

一索一索一索三索三索八索八索八筒八筒八筒  ポン発発発  ツモ八索  ドラ六万

三暗刻がついて2,000・4,000。
藤崎の渾身のヤミテンも、勢いに乗った前田には届かない。
一気の挽回で、藤崎を一気に置き去りにする。

3回戦終了
前田+35.9P 伊藤+15.4P 近藤▲13.2P 藤崎▲38.1P

3回戦終了時
伊藤+31.9P 前田+20.6P 藤崎▲22.4P 近藤▲30.1P

 

 

4回戦(起家から、伊藤・前田・近藤・藤崎)

2番手前田と、藤崎、近藤の差はそれぞれ43.0P、50.7Pと、2人にとってはかなり厳しい状況に。ここでプラスを確保しないと最終戦は消化ゲームになりかねない。

東1局、後がない近藤。234三色確定のリーチを6巡目に放つ。

二万三万四万六万六万二索三索四索二筒三筒四筒七筒八筒  リーチ  ドラ六索

このリーチに一発で飛び込んだのは藤崎。
この瞬間、藤崎はトータルラス目に。かなり苦しい状況に追い込まれた。

東3局、伊藤は西をポンしてすぐにテンパイ。
近藤も仕掛けて応戦するも…
ここにぶつけるのは藤崎。12巡目リーチを宣言する。

二万三万四万四万五万六万八万八万四筒五筒八筒八筒八筒  リーチ  ドラ三索

しかしこの日の伊藤は出来が違った。
藤崎のリーチを受け、丁寧に対応した伊藤、

三索五索五索五索六索七索八索五筒六筒七筒  ポン西西西  ツモ三索  ドラ三索

1,300・2,600でトップに躍り出る。

伊藤についていきたいのは現在2番手の前田。
南1局2本場、8巡目にテンパイした前田はヤミテンを選択。
ここはしっかりと伊藤の親番を落としたいところ。

七万七万五索六索一筒一筒一筒四筒四筒五筒五筒六筒六筒  ドラ一筒

このヤミテンに飛び込んだのは近藤。
ターゲットであったはずの前田に加点され、かなり厳しい状況に追い込まれた。

このアガリで、前田と追手の藤崎、近藤との差は70P以上。逆転での勝ち上がりにはかなり厳しい状況となっていたのだが…

南2局、思わぬ落とし穴が前田を待ち受けていた。
手綱を緩めぬ伊藤、8巡目にドラ暗刻のリーチに。

五万五万五万六万七万八万四索六索三筒四筒五筒南南  リーチ  ロン五索  ドラ五万

このリーチに飛び込んだのは…なんと前田。
この放銃で、前田の原点割れも現実味を帯びてきた。藤崎、近藤にとっても、僅かながらにチャンスが訪れたようにも見えた。が、それにしても前田との差はまだかなりのもの。
この時点では、まだまだ前田の勝ち上がりを信じる者が多かっただろう。

南3局は伊藤の1人テンパイで前田は原点割れ。
この結果、近藤、藤崎にもチャンスが。

オーラス、藤崎は連荘を続け逆転に可能性を残すも、そこに立ちはだかったのはやはり伊藤。
南4局2本場、5巡目に一度テンパイを外した伊藤、ドラの一索を生かし見事三色に組み変える。

一万二万三万一索二索八索八索八索一筒二筒三筒北北  ロン三索  ドラ一索

そしてこれを前田から討ち取る。
この放銃で前田は3着落ち。藤崎、近藤共に首の皮一枚繋がった形で最終戦を迎える事となった。

4回戦終了
伊藤+35.3P 近藤▲7.7P 前田▲10.8P 藤崎▲16.8P

4回戦終了時
伊藤+67.2P 前田+9.8P 近藤▲37.8P 藤崎▲39.2P

 

 

5回戦(起家から、前田・伊藤・藤崎・近藤)

首の皮一枚繋がったとはいえ、2番手前田と近藤との差は47.6P、藤崎との差は49.0Pもある。
トップラスを決めても素点で30,000点以上の差を詰めなければならない最終戦。
前田の守備力を考えても、この差は逆転出来る現実的な差ではないだろう。
それでも、各者勝ち上がりの可能性がある限りは全力でその差を詰める作業を行わなくてはならない。

東1局、前田が500オールで飛び出すも、この日はやはり伊藤の日だった。
東1局1本場、今局もゆったり構えた伊藤の手組は、結果的に最速で最高の形でフィニッシュする。

五万六万六万六万三索四索五索六索七索八索五筒六筒七筒  ツモ五万  ドラ五万

2,000・3900のツモアガリで前田は原点割れ。
追手の2人は伊藤を捲る事に焦点を合わせることになる。

とはいえ、前田にはまだまだ余裕がある。
東2局、前田は9巡目に高め三色のピンフをテンパイ。
ここは前田らしく当然のヤミテン。

三万四万六万七万八万二索三索四索二筒三筒四筒西西  ドラ八索

13巡目の親番伊藤、こちらも当然のヤミテン。

三万三万三万四万五万六万二索三索四索四索五索八索八索

伊藤の7,700に飛び込んだのは前田。
前田としては痛恨も、まだポイントには余裕がある。
しかし追手の2人にとっては、この並びは絶好。伊藤を捲って自身がトップ、前田がラスという逆転条件が出来上がるからだ。

伊藤の攻勢は止まらない。
東2局1本場、9巡目リーチ。

三万三万四万四万五万五万四索五索五索五索九筒九筒九筒  リーチ  ツモ三索  ドラ西

東2局2本場、今度はヤミテン。

五万五万四索五索六索一筒二筒三筒四筒五筒六筒東東  ドラ二筒

しかしこの連荘は藤崎がストップする。

二万三万四万二索三索四索七索七索七索三筒四筒五筒六筒  ツモ六筒

逆転には親番を落とせない藤崎、東3局、その親番でこの日一番の勝負手を決める。
前田が先にカン七索のテンパイを入れる中、

一索二索三索四索四索五索五索六索七索八索九索西西  ロン三索  ドラ五索

この18,000を伊藤から出アガリ、前田に肉薄。

東3局1本場、
先にテンパイしたのは前田。
打点は十分。三色に取らず、アガリを重視した3メンチャンをヤミテンに。

五万六万七万八万八万四索五索六索七索八索五筒六筒七筒  ドラ八万

藤崎は15巡目テンパイ。
ここはリーチと踏み込んだ。

二万三万三万三万四万五万六万一筒二筒三筒三筒四筒五筒  リーチ  ドラ八万

前田、ハイテイで掴んだのは一万
藤崎のアタリ牌。
ゆっくりと場を見渡すと、打七筒と手を諦める。

藤崎1人テンパイ。

東3局2本場、藤崎14巡目テンパイ。
時間はかかったがヤミテンに。

二万二万六万七万八万二索三索四索四筒五筒六筒七筒八筒  ロン九筒  ドラ八筒

これを近藤から討ち取る。
この瞬間、前田と藤崎の順位は逆転し、今度は前田が藤崎を追う番に。
追手となった前田だが、勝ち急ぐことなく我慢を続ける。長い連荘が続くが、最後まで自身の逆転を信じて無駄な牌を下ろさない。

東3局3本場から、東4局10本場まで、藤崎と近藤が加点を続けて粘り込む。前田との差はどんどん離れていくものの…前田はそれでも我慢を続ける。

南1局11本場、前田にとっては最後の親番。
長かった連荘を、藤崎がようやく止める。
前田の親を落とし、自身の勝ち上がりをグッと引き寄せる大きなアガリ。

五筒六筒西西  ポン南南南  チー二筒 左向き一筒 上向き三筒 上向き  チー六索 左向き四索 上向き五索 上向き  ロン七筒  ドラ西

供託のリーチ棒と、積棒を一気に回収する価値あるアガリ。
さらに藤崎は南2局、

一万一万六索六索八索八索一筒四筒四筒西西発発  ロン一筒  ドラ四筒

この七対子ドラ2で勝負あり。
一縷の望みをかけて前田は手を組むが、最後は伊藤が危なげなくアガリ切り勝ち上がりを決めた。

勝ち上がり
伊藤優孝
藤崎智

5回戦終了
藤崎+57.9P 近藤▲5.0P 伊藤▲22.6P 前田▲30.3P

5回戦終了時
伊藤+44.6P 藤崎+18.7P 前田▲20.5P 近藤▲42.8P