十段戦 レポート

第32期十段戦 ベスト8A卓レポート 勝又 健志

5月から始まった十段戦もいよいよベスト8の対局が始まる。
半荘5回を戦い上位2名が決勝進出となるトーナメント戦だ。
このトーナメントという戦い。当然、麻雀である以上攻めるべき手牌でしっかり攻め切ることは大切なことであるが、順位が大きく影響するため、勝負局の見極めがとても難しいものとなる。

100

 

1回戦(起家から、古川、浜上、藤崎、柴田)

東1局。親の古川に7巡目テンパイが入り、即リーチにいく。

三万四万七万八万九万一索二索三索七索七索七筒八筒九筒  リーチ  ドラ五万

浜上は、

六万七万八万六索八索一筒一筒二筒三筒四筒六筒八筒東東

この三色の1シャンテンであっただけに攻め返すかと思われたが、ここはオリを選択。
ドラ無し愚形残りの1シャンテンでは、見合わないという判断であろう。

一方、藤崎の手牌は以下。

三万四万五万三索四索五索七索九索九索四筒五筒西西

同じく三色の1シャンテンであるが、こちらはドラもありリャンメンターツもあるだけに攻め返していく。
8巡目に自風の西をポンしてテンパイを取ると全面対決の構え。

結果は、手詰まりの柴田が古川の筋を追って藤崎への放銃となった。

三万四万五万三索四索五索九索九索四筒五筒  ポン西西西  ロン三筒

先制点をあげた藤崎は、東3局でも、

二万二万七万八万三索四索五索三筒三筒三筒東東東  ツモ九万  ドラ五索

この4.000オールをアガリ1回戦のトップをものにした。
2着には、東4局1本場で

二万三万四万五万六万七万六索七索八索七筒八筒発発  リーチ  ツモ九筒  ドラ発

このアガリを決めた古川が。

1回戦結果
藤崎+23.3P 古川+8.8P 浜上▲6.8P 柴田▲25.3P

 

2回戦(起家から浜上、柴田、藤崎、古川)
1回戦では、中々自身の持ち味を出させてもらえなかった浜上が、東1局にピンフの1.500をアガると東1局1本場では

四万五万六万一索二索三索四索四索三筒五筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ三筒

このリーチにいく。このリーチは浜上のフォームではないが、なんとか主導権を取りたいというリーチであろう。
想定通りに一人旅となった浜上は、このリーチをツモアガリ。

100

東1局2本場では、さらにリードを広げようと手牌を目一杯に構え攻める浜上。
しかし、これ以上は連荘させまいと藤崎が

三万四万五万一索二索三索三索四索六索六索  ポン発発発  ツモ五索  ドラ八索

これをアガって捌く。

東2局。親の柴田が、

五万五万七万七万七万一筒一筒一筒五筒五筒七筒七筒七筒  ドラ四万

この四暗刻リーチにいくが、今度は古川が

五万六万七索八索九索三筒三筒四筒五筒六筒  加カン中中中中  ロン四万

これで捌く。2人のA1リーガーが要所でアガリ切り、浜上、柴田はペースを握れない。
そして、2回戦目のトップも藤崎。
南1局に

二万三万九万九万二索三索四索四筒五筒六筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ四万  ドラ九万

これをアガリ連勝を決めた。

100

2回戦結果
藤崎+21.8P 浜上+7.5P 古川▲9.5P 柴田▲19.8P

2回戦終了時
藤崎+45.1P 浜上+0.7P 古川▲0.7P 柴田▲45.1P

 

3回戦(起家から柴田、古川、藤崎、浜上)
東2局。ここまで2連勝で大きなリードを持った藤崎が勝負に出る。
親の古川が、ダブ東のポン、三筒 左向き一筒 上向き二筒 上向きのチーと仕掛けているところに、

三万四万五万九万三索四索七索八索九筒九筒九筒南南南  ドラ九万

ここから、ドラの九万を打ち出す。
結果こそ、藤崎がその後にツモ切りした一万で古川に

二万三万七万七万七万九索九索  ポン東東東  チー三筒 左向き一筒 上向き二筒 上向き  ロン一万

この放銃となったが、早くも藤崎が勝負を決めにきたという1局であった。
南1局。ここまで手牌に恵まれず、苦戦を強いられてきた柴田にチャンス手が入る。
6巡目

三万四万六万二索二索三索三索三索三索四索六索四筒五筒六筒

こうなると、ここで三索の暗カン。親番だけに、理想形をタンピンイーペーコーとし、手広く六万を切るかと思われたが、ここは打点に拘った。
この選択が見事に成功し、

四万五万六万二索二索四索六索四筒五筒六筒  暗カン牌の背三索 上向き三索 上向き牌の背  ツモ五索

この4.000オール。会心のアガリをものにして、この半荘トップとし、ポイント差を一気に縮めた。

100

3回戦結果
柴田+21.9P 藤崎▲2.4P 浜上▲4.9P 古川▲15.6P 供託1.0P

3回戦終了時
藤崎+42.7P 浜上▲4.2P 古川▲16.3P 柴田▲23.2P 供託1.0P

 

4回戦(起家から浜上、藤崎、古川、柴田)
東1局から古川が、変幻自在の攻めを見せる。
まずは、

三万三万四万四万五万一筒二筒三筒五筒五筒六筒七筒八筒  ドラ中

これをリーチツモ二万で700・1,300。

東2局は仕掛けて

一万二万二索三索四索三筒四筒五筒北北  ポン東東東  ロン三万  ドラ一万

東3局は

六索七索七索八索八索八索九索五筒六筒七筒七筒八筒九筒  ロン五索  ドラ西

東3局1本場こそ、1,300は1,600の放銃となったが、東4局は仕掛けてテンパイと加点を積み重ねる。
南場に入っても、リーチツモで500・1,000、仕掛けてタンヤオで300・500と、打点こそないものの主導権を握り続ける。
そして、トップ目で迎えた南3局の親。

四万五万六万一索二索三索四索五索六索一筒一筒七筒八筒  リーチ  ツモ九筒  ドラ九筒

このアガリで1人浮きのトップをものにした。

100

4回戦結果
古川+33.1P 浜上▲6.0P 藤崎▲8.1P 柴田▲21.0P 供託2.0P

4回戦終了時
藤崎+34.6P 古川+16.8P 浜上▲10.2P 柴田▲44.2P 供託3.0P

 

5回戦(起家から古川、藤崎、柴田、浜上)
藤崎は2人に逆転されなければ良いため、大きなラスを引かなければ決勝。
古川、浜上は27.0ポイント差のため、トップ3着で15,000点の差が必要。
柴田は、古川をラス、浜上を3着の並びを作った上で60,000点ほどのトップが必要といったところ。

東1局1本場、浜上は、6巡目に

三万四万四万六索七索八索六筒八筒八筒東東南南南  ドラ九筒

こうなるとここから六筒切り。最高形である三暗刻を見ながらの進行である。
こう構えた以上、9巡目に打たれた東を仕掛けない。ライバル古川の親だけに仕掛けてかわしにいくかと思われたがここは勝負と出る。

10巡目。後のない柴田にテンパイが入りリーチにいく。

二万三万四万五索五索七索八索九索五筒六筒七筒九筒九筒  ドラ九筒

次巡、これをツモアガリ2,000・4,000。古川が親がぶりをしたことで、柴田、浜上のチャンスも増えてきた。
東3局、今度は柴田が勝負にでる。
ダブ東八万白をポンして

一索一索三索四索四索  ポン白白白  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ポン東東東  ドラ一筒

ここから三索を切ってトイトイに受ける。古川が4巡目にドラの一筒、そして7巡目には白まで切って攻めてきているが、柴田の選択は打点追及であった。
これが見事に決まり一索を引き寄せ4,000オールのアガリ。その差20ポイント程まで迫ってくる。

東3局1本場。柴田、今局は三色を見切り最速のテンパイを果たし即リーチにいく。

三万四万六索七索八索三筒四筒五筒七筒八筒九筒北北  ドラ三万

勢いに乗った親リーチならば、1人旅かと思われたが、なんとここで古川が攻め返す。
そして、15巡目テンパイすると追いかけリーチにいく。

四万五万六万一索一索六索七索八索二筒二筒二筒五筒六筒  リーチ

結果は、古川が柴田からのアガリとなった。打点こそ1.300だが価値あるアガリであった。
東4局1本場、藤崎が

二万三万四万五索五索六筒七筒  ポン南南南  ポン発発発  ロン八筒  ドラ南

これをアガリ、決勝進出を確実なものにした。そして、放銃は古川。ライバル浜上の親を落とすべく仕掛けてテンパイを入れたが、手痛い失点となった。
南3局を迎えてポイント状況は、

藤崎+29.8P
古川▲6.2P
柴田▲8.2P
浜上▲18.4P
供託3.0 (現時点での順位で順位点を加算)

熾烈な2着争いとなっている。そして、ここで決定打がうまれる。
親の柴田、7巡目にホンイツのテンパイ。

三索四索五索六索七索北北  チー二索 左向き一索 上向き三索 上向き  ポン白白白  ドラ九索

これをすぐに引きアガリ見事決勝戦の切符を手に入れた。

5回戦結果
柴田+42.3P 浜上+4.1P 藤崎▲10.3P 古川▲36.1P

5回戦終了時
藤崎+24.3P 柴田▲1.9P 浜上▲6.1P 古川▲19.3P 供託3.0

十段位決定戦は9/26よりスタートする。
みなさんお楽しみに!