十段戦 レポート

第32期十段戦 ベスト8B卓レポート 櫻井 秀樹

【対局者】
瀬戸熊直樹 柴田弘幸 ダンプ大橋 野方祐介
(敬称略)

A卓では最終戦までもつれるアツい戦いを見事勝ち抜き、忍者藤崎、新人王柴田(吉)が決勝戦へ。
いよいよ決勝の椅子も残すところあと2つ。

もう何年連続かもわからないくらい、十段戦、いやG1決勝と言えばこの人、「絶対王者瀬戸熊直樹」
今回ももちろん大本命である。

そして昨年の雪辱を是非とも果たしたい、Aリーガー柴田。
こちらは久々の準決勝、そろそろ次のタイトルも欲しい、同じくAリーガーダンプ大橋。

そして四段戦からの7戦を勝ち抜いた、野方祐介。ここまでの道のりを考えるとどうしても勝ちたい。
その執念がAリーガー3名を圧倒できるか?

連盟員にとって、十段戦は特別なステージ。
現十段位櫻井の待つ決勝戦まであと1つ!!(誰も言ってくれないから、自分で言いました、現十段位)

100

 

【1回戦】
手段は違うが、このメンバーで先に仕掛けてイニシアティブを取りにいくのは、柴田と野方。
東1局から戦前の予想通りの展開。

南家 野方
六万二索三索六索七索九索二筒四筒五筒五筒南南白  ドラ六索

チー三筒  打九索

2巡目である。
この仕掛け自体は野方を知るものであれば全く違和感は無い。
むしろ、スタートから勝負に入れているな、と感心したくらいだ。

起家 柴田も当然引かない。
次巡五索、次次巡南とカブせて、野方を手牌4枚にさせてからの親リーチ。

柴田
一万二万五万六万七万一索二索三索一筒二筒三筒発発  リーチ  ドラ六索

野方
二索三索五筒五筒  ポン南南南  チー五索 左向き六索 上向き七索 上向き  チー三筒 左向き二筒 上向き四筒 上向き

結果は柴田が野方に2,000点の放銃。

たいした失点でもないし、形からしてもごく普通の結果なのだが、柴田はこの後も勝負手がことごとく空振り。苦戦を強いられることとなる。

ベスト16のように、ここから野方のペースかと思いきや、絶好調だったのはダンプ。

100

東2局 西家 ダンプ ドラ東

一万一万六万六万六万六万七万八万東東南南南  ツモ一万  4,000・8,000

南2局1本場 西家 ダンプ ドラ四索

一万一万三万三万五万五万南南西白白発発  ツモ西  3,000・6,000

1人浮きのダントツトップで終える(課金)。
ダンプの大物手を2度とも親カブった野方もラス前に

三万三万五万六万七万三索四索六索七索八索三筒四筒五筒  リーチ  ドラ六索

同巡、瀬戸熊の親リーチを受けるも、五索を即ツモアガリ。
2着をキープ。

点数以上に好調者、不調者のわかれる1回戦となってしまった。

1回戦結果
ダンプ+40.3P  野方▲2.0P  瀬戸熊▲14.2P  柴田▲24.1P

 

【2回戦】
1回戦に続きダンプが絶好調だ。続いて野方。
まだ先は長いとはいえ、1人が抜けだす展開ならまだしも、2人が抜けてしまうと追う側はキツい。
逆に野方は、ここで抜け出せると有利になるため、なんとかこのまま2番手をキープしたい。

その野方
東4局3本場(供託1本)

六万七万八万二索三索四索二筒三筒六筒六筒九筒九筒九筒  ドラ八索

5巡目にテンパイだが、ヤミテン。
仕掛けを多用する打ち手は守備力も高いことが多い。感想戦で野方は「先手でも打点の無い手牌では勝負に行かない」、と言っていた。
リードされている状況でこれを徹底されるとなかなか切り崩すのが難しい。

逆に野方のリーチはそれなりの打点が見込める場合、ということである。
つまり追いかける側もリスクを負わなければいけない、ということだ。

100

 

 

ここまでまともなアガリがない瀬戸熊。
南場の親番で絶好のカン五筒をツモりリーチと行く

三万七万八万一索二索三索四索五索六索四筒六筒九筒九筒  ツモ五筒  打三万 リーチ  ドラ四筒

しかし1発目のツモは六筒
三筒六筒九筒マチで先行リーチをしていた野方へ3,900の放銃となり、苦悶の表情。
風向きを変えることはできなかった。

100

2回戦までの結果
ダンプ+63.5P  野方+7.9P  柴田▲21.6P  瀬戸熊▲49.8P 

 

【3回戦】
ダンプはもう大きく沈まなければいいので無理はしない。
マイナスポイントの柴田、瀬戸熊は何とか三つ巴に持ち込もうと、各自の親番で勝負をかける。

南3局 東家 柴田
五万七万七万九万九万三索三索四筒四筒北北白白  リーチ  ドラ五万

南4局 東家 瀬戸熊

五索五索七索七索三筒五筒五筒七筒七筒八筒八筒中中  リーチ  ドラ三筒

2局とも自身のシステム通り、役アリで打点のある先行リーチを打っていた野方。
原点を超えている小方の為、ヤミテンという選択肢もあり、どちらかの親に捕まると一気にわからなくなっていたのだが・・・

結果はどちらも野方をとらえることはできず、3回戦のトップを献上。
残り2回で50Pを超える差となってしまう。

3回戦までの結果
ダンプ+44.5P  野方+25.0P 柴田▲30.5P 瀬戸熊▲39.0P

 

【4回戦】
下位2名はここで差を詰めることができなければ5回戦はほとんど消化試合。

ところがオーラスを迎えての点数状況は
野方21,000点 柴田32,700点 ダンプ36,100点 瀬戸熊30,200点

なんと、トータル2着の野方の1人沈みだ。

仮にこのまま終了すると、柴田と野方の差は27.8P  瀬戸熊と野方の差は37.8P

柴田、瀬戸熊のどちらか、ダンプをマクった方がさらに差を詰める事ができ、最終戦は全然わからなくなる。
はずであった。

南4局 親・野方

南家・柴田が東暗カン、ダブ南ポン。
13巡目にテンパイを入れるも

100

二索五索六索七索八索九索白白  ポン南南南  暗カン牌の背東東牌の背  ドラ二索

ドラの二索を打てずに打八索。瀬戸熊の安全牌である。
瀬戸熊はまず間違いなくテンパイ、瀬戸熊に放銃すれば、柴田は最終戦の勝負権利を瀬戸熊に譲ってしまう事になる。
それでもここは勝負ではなかっただろうか?
そして受けに回ったのであれば、このままの状況(野方1人沈み)で終局させるしかない。

瀬戸熊はピンフのみの六筒九筒マチ。
ドラも通り、柴田の最終手番。

五索五索六索七索九筒白白  ポン南南南  暗カン牌の背東東牌の背  ツモ九筒

瀬戸熊のマチを重ねてテンパイ。瀬戸熊には通るであろう五索を河に置くと。

ロンの声はなんと野方
「9,600」
直前にドラを重ね、七対子でテンパイし返していたのだ。

たしかに、野方は回っていたように見え、実際テンパイも厳しい状況であった。
感想戦でも柴田はこの放銃を敗因とし悔んでいた。
オーラス2本場では柴田、瀬戸熊ともに手を作るが、野方を大きく沈めることはできず、最終戦を前に勝負は決してしまう。

以下は本日の勝者のコメント。
ダンプ「終始ツイました。できすぎでしたね。」
野方「最終少しバタバタしましたが、なんとかここまで来れました。」

さて第32期十段位決定戦、私の戦う決勝メンバーは
藤崎智、ダンプ大橋、野方祐介、柴田吉和、の4名に決定しました。

意気込みなどは、連盟チャンネル内のCMで聞けると思いますのでそちらもチェックしてみて下さい!!

 

最後に現十段位としての最後のコメントで締めせて下さい。

決勝メンバーのみなさん、ここまで見事な対局を有難うございました。
私も一旦は現十段位であることは忘れ、挑戦者として皆様の胸をお借りす・・・

いや、なんかつまらないのでやり直します。

決勝メンバーのみなさん、ここまでお疲れ様でした。
決勝は僕の連覇を盛り上げるような対局をお願いしますね!!

視聴者のみなさん、今年もきっと盛り上がりますので、是非とも応援宜しくお願いします!!

100

決勝初日放送 9/26(土) 14:00

二日目放送 10/3(土) 14:00

最終日放送 10/10(土) 14:00