十段戦 レポート

第38期十段位決定戦最終日レポート

【優勝は荒正義!連盟タイトルグランドスラム達成】

 

 

2021/10/9(土)、第38期十段位決定戦の最終日。2日目8回戦を終え、ポイント状況は混沌としていた。

 

 

首位から5位までの差が僅か32.2P。首位三浦の途中敗退から5位瀬戸熊の優勝まであり得る、稀に見る接戦。誰も抜け出せず、しかし誰も脱落せず。全ては最終日に持ち越された。

 

 

【9回戦 藤原、荒、柴田、瀬戸熊】

9回戦は不穏なほど静かな立ち上がりとなった。何度も流局が続きアガリが一度も出ないまま東場が終わる。テンパイ料で稼いだ柴田が36,000持ちトップ目で南場へ。

南1局5本場。親番藤原は白ドラ1のヤミテン。瀬戸熊から出て3,900は5,400(+4,000)のアガリを決める。

 

 

南3局には親番柴田がピンフで先制リーチ。荒のテンパイ打牌が一索となり、2,900のアガリ。

 

 

次局も親番柴田は南ポンでアガリに向かう。上家の荒は柴田のケアを怠らず、ここから九万トイツ落としとするが

 

 

何と七対子ドラドラに仕上げて瀬戸熊から出た三索でロン。6,400は6,700のアガリで荒も浮きに回る。

オーラスは柴田がドラの中をポンしてテンパイを入れるが、2着目の藤原が捌いて終了。

 

【10回戦 荒、瀬戸熊、藤原、三浦】

柴田が9回戦トップでトータルプラスに転じ、5位になる可能性が消えた。この中の1名が途中敗退となる。

南2局3本場。親番瀬戸熊。この回トップ必須なので親番は手放せない。カン六筒でリーチに出る。
 

 

これに真っ向勝負を挑むのはカン二筒をチーしてチンイツを狙っていた三浦。瀬戸熊の宣言牌九筒をポンしてテンパイ。後に五筒八筒に待ち変えてツモアガリ。

 

 

オーラスは荒がダブ南白のシャンポンリーチ。

 

 

高めの南ツモで2,000・4,000。10回戦は荒が逆転トップを決めた。

 

 

【11回戦 三浦、荒、藤原、柴田】

全員がアガリを決めて一歩も譲らないままオーラスへ。藤原がカン五索の三色テンパイ。ツモか三浦から直撃でトップのリーチを打つ。

 

 

ここに追い付いたのは親番の柴田。六索九索の追っかけリーチ。

 

 

2軒リーチを受けた三浦は以下の1シャンテン。手広く受けて押し返しを狙うなら三万切り。二万引きでのイーペーコードラドラも捨てずに最も打点を見るなら五索三筒か。

 

 

オリるなら七索二万あたりが候補。

 

 

三浦が選んだのは五索。藤原が5,200(+1,000)直撃で11回戦トップとなった。

 

【最終12回戦 藤原、荒、柴田、三浦】

 

東2局1本場。親番荒が三索六索リーチ。高めイーペーコーの三索をツモって4,100オール(+1,000)を決めると

 

 

この手で荒の選択は六万

 

 

ダブ東暗刻出来合いの四暗刻1シャンテンとチャンス手。3,900の可能性もある六万切りは、親満ツモのリードを守り切れる自信の現れか。

荒は一万のポンテンを取り五万八万待ち。

 

 

柴田が重なりを見てテンパイまで引っ張ったドラが打たれ、荒7,700は8,300のアガリ。

勝負局となったのは東4局。

 

 

藤原は四筒七筒五筒のフリテンリーチ。高め567の七筒ツモなら跳満だ。

 

 

荒は2フーロしてタンヤオドラ3二索五索テンパイ。

親番三浦が追いついてテンパイ、二索切り追っかけリーチ。

 

 

荒がタンヤオドラ3、7,700(+1,000)のアガリで勝負局を制して優勝を決めた。

 

 

鳳凰位、王位、マスターズ、グランプリの覇者が十段位を獲得。連盟タイトル戦グランドスラムを達成した。

 

 

第38期十段位決定戦 最終結果
優勝 荒正義
2位 三浦智博
3位 藤原隆弘
4位 柴田吉和
5位 瀬戸熊直樹

(文:編集部)