JPML WRCリーグ 決勝観戦記

JPML WRCリーグ 決勝観戦記/第27期チャンピオンズリーグ 決勝観戦記 柴田 弘幸

今回で27期目となるチャンピオンズリーグ。
リーグの境を越えて、上位&下位リーグ者が戦うタイトルである。
前期より映像配信での対局となったため、若手プロ達は多くのベテラン勢に打ち勝ち、自分の実力をアピールするには絶好の場である。
そして優勝者には、年度末に行われるタイトル戦、麻雀グランプリMAXの出場権も与えられる。
今回観戦記を努めるのは、チャンピオンズリーグ決勝経験は2回あるが、優勝経験は未だにない柴田弘幸が担当させて頂きます。
メンバーは以下の4名
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客野直(きゃくのなおき)
B型
23期生
四段
B2リーグ所属
「初のタイトル戦決勝ですが普段どうり打てるように頑張ります!」
 
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ケネス徳田(ケネスとくだ)
B型
29期生
初段
D1リーグ所属
「先のグランプリMAX優勝までの通過点として挑みます!」
 
100
安達紘文(あだちひろふみ)
AB型
27期生
2段
D2リーグ所属
「獲らなきゃ意味が無いので獲ります!」
 
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吉野敦志(よしのあつし)
A型
26期生
2段
D3リーグ所属
「お世話になった先輩達に優勝という形で恩返しがしたいです!」
 
タイトル戦の決勝はみな初挑戦となる映像対局の経験などではケネス・吉野は経験豊富な分有利か?
今メンバーでは格上となる客野の経験が生きるか?それとも安達が意地で勝ちきるかといったところ。
100
 
1回戦
起家から、ケネス 客野 安達 吉野
開局の東1局ドラ一索
全体的に字牌が重い局となる。
13巡目に客野がテンパイ。南家ではあるが落ち着いて白狙いのヤミテン選択。
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続いて14巡目、吉野にこのテンパイが入る。選択は色々あるがドラ一索も見越しての打七筒のリーチ。
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客野はこのリーチ後すぐに高めの二索を掴み、西白共に1枚きれではあるが、ケアしての現物白のトイツ落とし。
これが最善の結果となり、
二万三万四万五万六万七万二索三筒四筒五筒西西西
これで再びテンパイ。
「印象付け」僕はこの言葉が好きである。
解説ではないのであえて自分ならばとして書くが、吉野の手牌であれば、打牌選択はどちらになるかわからないが、どちらにしてもヤミテンの構えであろう。
一索,四索のアガリに価値を感じなく、二索でアガるならリーチがいらないというのが一点と、この手牌をリーチをせずに例えアガれず流局して見せることで「甘い牌は咎めますよ」と、いずれ訪れる苦しいときの駆け引きで、ヤミテンの印象を与えておくことが長い戦いで有利に働くことが多いからだ。
逆に、吉野のこの手がもしドラが八筒で、倍満を引きにいくリーチならたいしたもので、相手に与える印象は大きくなる。
結果は客野の嫌なテンパイ形を見せられる。
ただ吉野が開局だからという理由で打ったリーチであるなら、この客野のテンパイを見て今後の対応をしっかり調整しなくてはと思う。
東2局1本場、親の客野へのケアか、皆がオリ気配。
客野もそれを感じとったのか、ハイテイでドラの中を打ち1人テンパイ。
一万二万三万四索五索二筒二筒四筒五筒六筒  暗カン牌の背白白牌の背  ドラ中
客野の場を見る対局観も優秀だが、子方にも問題アリと記す。
東2局2本場、客野の序盤の手牌だが、
四万四万六万一索一索二索五索七索七索三筒六筒東発中  ドラ六索
二筒の1枚切れを見たのと、七対子などを見て打三筒としている。
これはまだ進行が不安残りで、目一杯は保留しているというのが理解できるが、次ツモのドラ六索で解説の内川プロも言っていたが、広げての字牌を切り飛ばして欲しかった。
さきほどのドラ中切りの意味を考えて欲しく、客野に敗因があるとすればここと記した。
ケネスと安達の猛攻に阻まれケネスから安達に6,400は7,000。
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南1局2本場、供託2,000。
我慢が続いた吉野。ここで今半荘勝負と見たのであろう、北家で積極的にトイトイ含みで白をポンして最高形まできてツモに力が入る。
五万五万九万九万九万四索四索四索六索六索  ポン白白白  ドラ八万
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結果は、ケネス気合の2,000は2,200オール
一万一万三万四万五万六万八万五索六索七索二筒三筒四筒  リーチ  ツモ七万
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南1局3本場、安達の気持ち負けが見れる。
二万三万四万二索四索六索三筒四筒五筒六筒七筒七筒八筒白  ドラ八筒
11巡目に率先して打七筒として白を絞りつつソーズで決めようとする。
白で間を測ろうとしているのであろう。
別にこれがどうとは思わないが、3巡目に自身が切っている三を持ってきて四筒の中抜きをしている。
七筒を率先して打っている以上、意地を張ってでもこの三万をツモ切ってほしい。
南2局4本場、親の客野ひとアガリ欲しいと見てうまいヤミテン。
四万五万六万六万七万九万九万三索四索四索五索五索六索  ツモ五万  ドラ五索
2,600は3,000オールとする。
南2局5本場、親の客野に大物手が入る。
一万一万二万二万三万三万三万四万五万四索四索五索六索  ドラ三万
ヤミテンの18,000が入るも、ここはケネスが阻止。
三万四万五万一索一索三索四索五索七索八索九索六筒七筒
客野からケネスに2,000は3,500。
南4局、安達に苦しい満貫のテンパイが入るが、
三万四万四万五万五万六万七万七万南南  ポン八万 上向き八万 上向き八万 上向き  ドラ七万
客野がアガリきり1人浮き。
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1回戦成績
客野+25.8P ケネス▲3.4P 安達▲8.2P 吉野▲14.2P
 
2回戦
起家から、客野 吉野 ケネス 安達
東1局ドラ一、吉野が見事な手順で一通テンパイ。
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しょうがないことだが、南家なので南の保険をかけた九索残しが若干傷になるが、これを安達から5,200のアガリ。
東2局、放銃した安達も、自身を奮い起こすようにポンの声を出す。
打点は劣るが、
四万五万六万六万八万五索六索七索八筒八筒  ポン西西西  ツモ七万  ドラ四万
東4局、西家・吉野のこのリーチ。
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しかし、吉野が自身の手牌と合わせれば、最後の牌となる五筒を客野へ1,300の放銃。
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南1局1本場、親の客野は、直前に4枚目の二筒を打たれたので迷うことなく打二筒でのカン三筒リーチ。
一万二万三万四索四索四索七索八索九索一筒一筒二筒四筒  ツモ三筒  ドラ九索
これをツモアガる。
カンチャンとシャンポンの選択に迷いがないよう、場に正解がでているので間違えようがなく、先ほどのアガリといい良い状態であるとみる。
南2局、2回戦もトップを走る客野に、筆者は逃げの意識に隙が見えた気がする。
今まで役牌を丁寧に打っていた客野が、特にまとまってもいない形からオタ風を残しての発の打ち出し。
親の吉野にチャンス手が入る
二索三索四索三筒四筒五筒五筒五筒七筒七筒  チー四万 左向き五万 上向き六万 上向き  ドラ五筒
ヤミテンで狙いたかったが、巡目が間に合わずチーしてのテンパイ。
一歩間違えれば客野は放銃だったことに気付く。
このテンパイ形をみて早い段階で油断が消えそうだなと思った。
南3局、ケネス渾身のリーチ。
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吉野はヤミテンで構える。
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客野も勝負所とみて押し切りここを制す。
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南4局は、客野1人テンパイで、なんとそれにより2人が沈み連続1人浮きとなる。
2回戦終了時トータル
客野+50.7P ケネス▲6.0 吉野▲16.8P 安達▲27.9P
 
3回戦
起家から、客野 ケネス 吉野 安達
東1局、連勝の客野の親を牽制する意味で、ケネスが客野の親落としで執拗に仕掛ける。
ケネス
一万二万五万五万  チー七筒 左向き五筒 上向き六筒 上向き  チー九索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン白白白  ドラ六筒
そして吉野・安達もリーチ
吉野
一万二万三万四索四索四索三筒四筒六筒六筒八筒八筒八筒  リーチ
安達
三万四万六万七万八万九万九万一索二索三索四筒五筒六筒  リーチ  ツモ二万
安達の1.300・2,600のアガリとなる
客野に麻雀をさせないという3者の意識が見える1局となった。
東3局、客野も自分のペースを掴もうとこのアガリがきまる。
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打点こそないものの場況をよくみて正解を引く。
選択を間違わせる打牌を3者ができればと思ったが?難しいところか。
3回戦は客野のプラスを減らせることに成功する。
3回戦終了時のトータル
客野+39.0P ケネス+0.4P 安達▲6.5P 吉野▲33.9P
 
4回戦
起家から、吉野 客野 ケネス 安達
東2局2本場、客野が2連続テンパイからの1,300は1,500オールで加点する。
六万七万八万七索九索三筒三筒  ポン一索 上向き一索 上向き一索 上向き  ポン東東東  ツモ八索
東3局、客野さらに突き放しに行きリーチ。
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親のケネスもここは直撃のチャンスとみてのタンヤオの追いかけリーチ。
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結果は、非常に痛い六筒での放銃となってしまったが、これを責めることはできない。
正直、選手としてここに自分が座って冷静に判断できるか?直撃すればチャンス、放銃すれば遠のく、そんな計算よりも、ケネスはリーチと客野に襲いかかろうと体で打ったのであろう。
4回戦目は本日3度目の客野1人浮き。
4回戦終了時トータル
客野+73.6P ケネス▲10.1P 安達▲13.1P 吉野▲51.4P
 
5回戦
起家から、ケネス 安達 吉野 客野
5回戦は、ケネスが5万点まで点数を伸ばすが失速し、オーラスは役満をツモられても大丈夫な位置を客野が維持し終局。
1回戦から終始安定感があった客野。
また、アガれるとみるや勝負どころはしっかり押してアガリきる優勝にふさわしい麻雀であった。
おめでとうございます客野プロ!
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