JPML WRCリーグ 決勝観戦記

第5期JPML WRCリーグ 決勝観戦記 三浦 智博

第5期JPLM WRCリーグ決勝戦が2月3日に行われた。先日のベスト8を勝ち抜いたのはこの4名

 

100
前原雄大
1期生 A1リーグ所属 現鳳凰位 

 
 
100
沢崎誠
3期生 A1リーグ所属 現マスターズ

 
 
100
HIRO柴田
17期生 A1リーグ所属

 
 
100
仲田加南 
22期生 C2リーグ所属 現女流桜花

現鳳凰位の前原雄大を含むA1リーグ3名と現女流桜花というWRCリーグ史上屈指の好カードとなった。

 

100

 
 

1回戦
起家から沢崎―仲田―前原-柴田の順

東1局 親沢崎 
開局から前原の選択が面白い、自風の西ポンした後の9巡目

二索二索三索五索六索九索九索二筒七筒七筒  ポン西西西  ツモ三筒  打九索  ドラ七筒

自分で四筒を切っているフリテンターツを残して九索切り、これがうまく決まって

二索三索五索六索七索二筒三筒四筒七筒七筒  ポン西西西  ロン一索

沢崎から3,900のアガリ。

東3局 親前原 
柴田が丁寧に進めて5巡目にこの形。

六万六万三索四索六索八索一筒二筒三筒三筒四筒五筒発  ツモ五索  打発  ドラ発

タンヤオとピンフの手替わりを待って10巡目、

六万六万三索四索五索六索八索二筒三筒四筒四筒五筒六筒  ツモ二索  打八索 左向き

このリーチに前原がまっすぐ打ち抜き3,900の放銃、とにかく全員が前に出てくる。この時点で乱打戦の予感がした。

東4局 親柴田 
親の柴田が仲田の2フーロを受けて以下の手牌

三万四万五万六万七万一索一索六索七索八索二筒四筒六筒  ツモ二筒  ドラ九筒

一索二筒のツモ切りかと思いきや柴田は打六筒とした。
対局後「前局リーチに感触があったのでこの局もリーチでぶつけたかった。」と語ってくれた。確かに一発裏ドラのあるルールでは実戦的かもしれない。

三万四万五万六万七万一索一索六索七索八索二筒二筒四筒  ツモ八万  打四筒 左向き

しかしこの四筒が沢崎のリーチの一発に捕まってしまう

四万五万六万一索二索三索四索五索六索七索七索五筒六筒  リーチ一発  ロン四筒

実はこの前巡の沢崎の選択が凄かった

四万五万六万一索二索四索五索六索七索八索九索五筒六筒  ツモ七索  打八索

仲田の仕掛けに七索がワンチャンスとはいえこの選択はなかなか出来ない。柴田は手痛い8,000の放銃になってしまった。ここから柴田の苦戦が続く。

南1局 親沢崎 
柴田の先制リーチ

九万九万一索三索三索七筒七筒八筒八筒東東発中  ツモ一索  打中  ドラ七万

数巡後、仲田がドラドラで追いついてリーチを打つ。

一万一万一万二万三万七万七万三索四索四索五索発発  ツモ四万  打四索 左向き

柴田が一発で七万をつかんで8,000の放銃。

南2局 親仲田 
それでも前に出る柴田、5巡目に自風の西を仕掛けていった。

五索六索二筒三筒五筒六筒七筒八筒発発発  ポン西西西  打五索  ドラ九索

しかしテンパイが入らないまま13巡目に沢崎のリーチを受ける。同巡に打たれた九筒を仕掛けてなんとかテンパイを入れるも、

二筒三筒五筒六筒六筒発発発  チー九筒 左向き七筒 上向き八筒 上向き  ポン西西西  打五筒

沢崎 
六万七万八万四索四索五索六索七索三筒三筒四筒四筒五筒  リーチ  ロン五筒  裏一万

またしても沢崎への8,000の放銃になってしまう。そして試合は前原と沢崎の叩き合いへ移っていく。

南3局2本場 親前原 
ドラドラの配牌をうまくまとめて4,000オール。

四万四万五万五万五万一索二索三索五索六索七索三筒四筒  リーチ  ツモ二筒  ドラ四万  裏北

南3局4本場 
今度は沢崎がドラドラの2,000・4,000。

一万二万三万九万九万九万五索六索七索九索九索六筒七筒  リーチ  ツモ八筒  ドラ九索  裏北

これでオーラスを迎えて持ち点が

沢崎 45,300
仲田 25,600
前原 50,400
柴田 ▲1,300

こうなり、1回戦はオーラスへ。

南4局 親柴田 
トップと5,100点差の沢崎、ヤミテンから手変わりを待ってリーチを打つ。

二万三万四万七万七万二索三索四索五索六索七索四筒四筒  ツモ六万  打七万 左向き  ドラ七筒

仲田がテンパイから八万を打ち出し沢崎のアガリで裏ドラが四索で8,000、トップを奪った。

1回戦終了時
沢崎 +38.3P
前原 +25.4P
仲田 ▲17.4P
柴田 ▲46.3P

 
 

2回戦
起家から仲田―柴田―沢崎―前原
1回戦に沢崎にトップを奪われた前原、この半荘は俺の番だとアガリ倒す。

南4局 親前原 
オーラスでこの持ち点。
仲田 15,800
柴田 17,200
沢崎 32,500
前原 54,500
ここでも先制リーチを打ち、追いかけリーチの仲田から12,000。

二万三万五万六万七万八万八万五索六索七索三筒四筒五筒  リーチ  ロン四万  ドラ五万  裏五索

さらに続く1本場

南4局1本場 
3巡目にリーチを打って、

二万二万三万四万五万五万六万七万一筒三筒七筒八筒九筒  リーチ  ツモ二筒  ドラ二筒  裏五筒 

このドラ待ちカンチャンをあっさりツモ、2,000オールで持ち点が70,000点を超える。前原が独走するかと思いきや待ったをかけたのは沢崎。

南4局 3本場 

沢崎 
五万五万七万七万三索五索五索七索七索四筒四筒八筒発  ツモ八筒  打発  ドラ八筒

三索という待ち選択については対局後「ドラの八筒ツモテンパイならこの手はアガれるので、高めにとった」と語ってくれた。この選択がはまる。前原がチンイツまで見えるメンホンの1シャンテンから三索を切って放銃、裏ドラも乗って16,000、トップは変わらないが大きなアガリになった。
仲田  700
柴田 12,000
沢崎 47,300
前原 60,000

2回戦終了時
前原 +70.4P
沢崎 +60.6P
仲田 ▲61.7P
柴田 ▲69.3P

前原、沢崎が抜ける形になった。仲田、柴田はほぼ2連勝必須、そのうえで着順や素点が必要になってくる。

 
 

3回戦
起家から柴田―沢崎―前原―仲田の順

東1局 親柴田 
後のない仲田が積極的に仕掛けていく2巡目に中をポン。

三万五索一筒一筒三筒五筒七筒七筒東西発  ポン中中中  打三万  ドラ西

この手から次々と有効牌を引いて6巡目には、

一筒一筒三筒五筒七筒七筒七筒西西西  ポン中中中

なんと跳満テンパイ。さらに沢崎から打ち出された一筒をポンして打三筒、高め倍満まで育つ。しかし無情にも五筒を手元に寄せたのは沢崎。

五万六万七万一索二索三索六索六索二筒三筒四筒六筒七筒  ツモ五筒

400・700のツモアガリ、続く親番では、

東2局 親沢崎 

三索三索五筒五筒  暗カン牌の背三万 上向き三万 上向き牌の背  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  リンシャンツモ五筒  ドラ五筒

この6,000オールを決め、沢崎が1歩抜け出すが直後に事件が起きる。

東3局 親前原 

沢崎 
七万七万七万三索三索八索八索三筒四筒東西  チー五筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  打西  ドラ七筒

ライバルの前原の親番で軽快に仕掛けていくが7巡目にツモ切った一筒に仲田から声が掛かる。

仲田 
一万九万一索九索九筒東東南西北白発中  ロン一筒

トータルトップの沢崎から32,000の直撃、これでこの半荘の持ち点が
柴田 22,300
沢崎 16,200
前原 25,900
仲田 55,900

こうなり2回戦までのトータルを合わせると
前原 +71.3P
沢崎 +31.8P
仲田 ▲21.1P
柴田 ▲82.0P

仲田はまだ前原との差は大きいが、この半荘のさらなる加点があれば最終戦に望みを繋げるかもしれなくなった。その思いに応えるように牌もついてくる。

南3局1本場 親前原 

九索九索南南  ポン三筒 上向き三筒 上向き三筒 上向き  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ツモ南  ドラ九万

2,000・4,000のツモアガリ、さらに続く親番。

南4局 親仲田 

三万五万六万七万一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ツモ三万  ドラ五万

この4,000オールでさらなる加点に成功する。
3回戦成績
柴田 14,500
沢崎 11,400
前原 22.700
仲田 71,400

3回戦終了時
前原 +68.1P
沢崎 +27.0P
仲田 ▲5.3P
柴田 ▲89.8P

ここまで流局が3局だけとまさに殴り合いの展開となった、残り1戦最後まで目が離せない。

 
 

4回戦
起家から沢崎―仲田―柴田―前原の順

東1局3本場 親沢崎 
追いかける沢崎の連荘から始まった。
0本場の形式テンパイから3局連続テンパイ連荘。
迎えた3本場で7巡目のリーチを入れる、それを受けた仲田のテンパイ打牌が捕まった。

仲田 
一索二索三索三索五索五索五索九索九索一筒一筒八筒八筒  ツモ二索  打五索  ドラ五万

沢崎 
六万六万七万七万八万八万六索七索二筒三筒四筒五筒五筒  リーチ  ロン五索  ドラ二筒  裏五万

12,000は13,200の放銃、ここから沢崎劇場が始まる。

東1局4本場 
3巡目にこの仕掛け

一万一万三万四万四万七万七万三索五索一筒一筒南中  ポン七万  打一筒  ドラ六索

最終形がこちら

二万二万三万四万四万六万六万  ポン一万 上向き一万 上向き一万 上向き  ポン七万 上向き七万 上向き七万 上向き  ツモ三万

役牌を周りに絞らせつつ終盤に4,000オール。
「メンゼンじゃ間に合わない」対局後にこう語ったが、この七万に声が掛かる打ち手が何人いるか。

東1局5本場 沢崎手を緩めず今度は1巡目。

六万八万一筒二筒七筒東南南西白発  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  打六万  ドラ九索

なんとかかわそうと、仲田が七対子のヤミテン、柴田がドラドラで発をポンして向かっていくが軍配は沢崎。柴田から

二筒二筒七筒九筒  ポン南南南  ポン西西西  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ロン八筒

結局7本場まで積んだ沢崎が持ち点を74,700まで伸ばしトータルトップに躍り出る。
沢崎 +86.7P
前原 +61.2P
仲田 ▲40.0P
柴田 ▲107.9P

こうなると、2番手でこの半荘も2着目の前原が、トータルで約25,000点差を詰められるかの勝負になるかと思ったらこの人が黙っていなかった。

東2局1本場 親仲田 

仲田 
一索二索三索四索四索四索五索五索七索八索八索八索九索  ツモ五索  ドラ南

実はこのアガリ、待ち選択が難しかった。

一索二索三索三索四索四索四索五索五索七索八索八索九索  ツモ八索  打三索

三索六索が6枚見えているが、倍満確定の打四索にするかと思いきや「八索が山にいそう」と語った通り、山に1枚ずついたアガリ牌を力強く引いて6,000オール。
さらに

東2局2本場 
仲田の11巡目リーチに対して、一発目の前原は以下の手牌。

一万三万五万三索四索五索一筒一筒二筒三筒四筒九筒九筒  ツモ四万  打一万  ドラ九筒

前原はリーチでぶつけると思ったが、縦に打ち出したこの牌が

仲田 
二万三万一索二索三索二筒二筒五筒五筒五筒七筒八筒九筒  リーチ一発   ロン一万

前原「仲田の8巡目、二万手出しで一万がかなり危険に見えた」リーチ選択より一万を切るかで迷ったとのこと。
仲田はこの後沢崎に親を流されるも、

東3局1本場 親柴田 

一筒二筒三筒五筒五筒発発  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ポン白白白  ツモ発  ドラ五筒

この3,000・6,000を決めて、トータル2着目の前原に並ぶ。
東4局で柴田に8,000の放銃をするもトップ目の沢崎の親番で、

南1局 親沢崎 

二万三万三万四万四万五索五索一筒二筒三筒五筒六筒七筒  リーチ  一発ツモ五万  ドラ一筒  裏五万

3,000・6,000を決めてさらに詰め寄る。極めつけは

南2局1本場 親仲田  

四万五万六万九万九万一索二索三索七索八索二筒二筒二筒  リーチ  ロン九索  ドラ六索  裏二筒

ドラ暗刻の沢崎から裏ドラ3枚の12,000の直撃を決める。この時点で持ち点が、
沢崎 49,400
仲田 64,700
柴田 10,100
前原 ▲4,200

こうなり、トータルが、
沢崎 +51.4P
仲田 +44.4P
前原 +18.9P
柴田 ▲114.7P

なんと仲田は一時120ポイント以上離れていた点差を、わずか7ポイント差まで詰め寄ってしまったのだ。こうなるともう誰が勝つかわからない。

南3局4本場 親柴田 
前原がリーチ後にカンを入れてこのアガリ。

一万二万三万八万八万九万九万九万五索六索  暗カン牌の背六筒 上向き六筒 上向き牌の背  リーチ  ツモ四索  ドラ四索五索  裏五筒南

これで3人に優勝の可能性があるオーラスが始まる。
この半荘の持ち点が、
沢崎 46,000
仲田 61,300
柴田 12,400
前原  300
これに順位点とトータルを合わせると

沢崎 +48.0P
仲田 +41.0P
前原 +23.4P
柴田 ▲112.4P
仲田は8,000出アガリか1,600・3,200ツモ、または沢崎からの3,900直撃条件。
前原は親なので連荘になるが、4,000オールでこの半荘3着になりトータルトップになる。

南4局 親前原 
条件がある仲田にチャンス手が入る。
8巡目

二万二万三万四万五万三索四索五索二筒三筒五筒七筒八筒  ツモ一筒  ドラ五索

五筒リーチだと沢崎から直撃、ツモか他からアガリの時には一発か裏ドラが必要になる。ここはヤミテンでも条件を満たせる可能性を残し一筒をツモ切る。しかし無情にもこの後有効牌を引くことはなかった。
終盤にテンパイを入れた前原と沢崎の2人テンパイ。

南4局 1本場 
今度は前原にチャンス、2巡目に四筒を仕掛けて10巡目にテンパイを入れた。

二万二万四万五万六万二索三索四索七索七索  チー四筒 左向き三筒 上向き五筒 上向き  ドラ七索

ドラの七索が2枚、二万が1枚山に残っている。七索ツモなら一気にトータルトップだったが手牌を開けたのは沢崎だった。

九万九万九万一索二索三索三索五索三筒三筒六筒七筒八筒  ツモ四索

ラス牌をツモって勝負あり。
第5期JPML WRCリーグ優勝は沢崎誠に決まった。

仲田の追い上げは素晴らしく観るものを魅了した。なにより柴田が最後まで丁寧に打ったからこそ、試合が壊れず最後までドラマがあったと思う。
前原は対局後「日々の生活を変えないと難しい」とコメントをくれたが、本当に強かった。
そして沢崎は失点こそ多かったが、それ以上に前に出てアガリ、まさに勝利をもぎ取った。
沢崎さん優勝おめでとうございます!

余談だが、対局後に沢崎が3回戦の国士無双放銃について話してくれた「痛いけどちょうどいいかもなと思ったよ、なぜって2着目が座る席がよかったから」連盟のタイトル戦の最終戦はトータルの順位で座る場所と起家が決まっている、聞くと2着目の席が3連勝していたそうだ。このポジティブさも沢崎の強さなのだろう、、、

 

100