第5期JPML WRCリーグ 決勝観戦記 三浦 智博
2019年02月26日
第5期JPLM WRCリーグ決勝戦が2月3日に行われた。先日のベスト8を勝ち抜いたのはこの4名
前原雄大
1期生 A1リーグ所属 現鳳凰位
沢崎誠
3期生 A1リーグ所属 現マスターズ
HIRO柴田
17期生 A1リーグ所属
仲田加南
22期生 C2リーグ所属 現女流桜花
現鳳凰位の前原雄大を含むA1リーグ3名と現女流桜花というWRCリーグ史上屈指の好カードとなった。
1回戦
起家から沢崎―仲田―前原-柴田の順
東1局 親沢崎
開局から前原の選択が面白い、自風のポンした後の9巡目
ポン ツモ 打 ドラ
自分でを切っているフリテンターツを残して切り、これがうまく決まって
ポン ロン
沢崎から3,900のアガリ。
東3局 親前原
柴田が丁寧に進めて5巡目にこの形。
ツモ 打 ドラ
タンヤオとピンフの手替わりを待って10巡目、
ツモ 打
このリーチに前原がまっすぐ打ち抜き3,900の放銃、とにかく全員が前に出てくる。この時点で乱打戦の予感がした。
東4局 親柴田
親の柴田が仲田の2フーロを受けて以下の手牌
ツモ ドラ
打かのツモ切りかと思いきや柴田は打とした。
対局後「前局リーチに感触があったのでこの局もリーチでぶつけたかった。」と語ってくれた。確かに一発裏ドラのあるルールでは実戦的かもしれない。
ツモ 打
しかしこのが沢崎のリーチの一発に捕まってしまう
リーチ一発 ロン
実はこの前巡の沢崎の選択が凄かった
ツモ 打
仲田の仕掛けにがワンチャンスとはいえこの選択はなかなか出来ない。柴田は手痛い8,000の放銃になってしまった。ここから柴田の苦戦が続く。
南1局 親沢崎
柴田の先制リーチ
ツモ 打 ドラ
数巡後、仲田がドラドラで追いついてリーチを打つ。
ツモ 打
柴田が一発でをつかんで8,000の放銃。
南2局 親仲田
それでも前に出る柴田、5巡目に自風のを仕掛けていった。
ポン 打 ドラ
しかしテンパイが入らないまま13巡目に沢崎のリーチを受ける。同巡に打たれたを仕掛けてなんとかテンパイを入れるも、
チー ポン 打
沢崎
リーチ ロン 裏
またしても沢崎への8,000の放銃になってしまう。そして試合は前原と沢崎の叩き合いへ移っていく。
南3局2本場 親前原
ドラドラの配牌をうまくまとめて4,000オール。
リーチ ツモ ドラ 裏
南3局4本場
今度は沢崎がドラドラの2,000・4,000。
リーチ ツモ ドラ 裏
これでオーラスを迎えて持ち点が
沢崎 45,300
仲田 25,600
前原 50,400
柴田 ▲1,300
こうなり、1回戦はオーラスへ。
南4局 親柴田
トップと5,100点差の沢崎、ヤミテンから手変わりを待ってリーチを打つ。
ツモ 打 ドラ
仲田がテンパイからを打ち出し沢崎のアガリで裏ドラがで8,000、トップを奪った。
1回戦終了時
沢崎 +38.3P
前原 +25.4P
仲田 ▲17.4P
柴田 ▲46.3P
2回戦
起家から仲田―柴田―沢崎―前原
1回戦に沢崎にトップを奪われた前原、この半荘は俺の番だとアガリ倒す。
南4局 親前原
オーラスでこの持ち点。
仲田 15,800
柴田 17,200
沢崎 32,500
前原 54,500
ここでも先制リーチを打ち、追いかけリーチの仲田から12,000。
リーチ ロン ドラ 裏
さらに続く1本場
南4局1本場
3巡目にリーチを打って、
リーチ ツモ ドラ 裏
このドラ待ちカンチャンをあっさりツモ、2,000オールで持ち点が70,000点を超える。前原が独走するかと思いきや待ったをかけたのは沢崎。
南4局 3本場
沢崎
ツモ 打 ドラ
という待ち選択については対局後「ドラのツモテンパイならこの手はアガれるので、高めにとった」と語ってくれた。この選択がはまる。前原がチンイツまで見えるメンホンの1シャンテンからを切って放銃、裏ドラも乗って16,000、トップは変わらないが大きなアガリになった。
仲田 700
柴田 12,000
沢崎 47,300
前原 60,000
2回戦終了時
前原 +70.4P
沢崎 +60.6P
仲田 ▲61.7P
柴田 ▲69.3P
前原、沢崎が抜ける形になった。仲田、柴田はほぼ2連勝必須、そのうえで着順や素点が必要になってくる。
3回戦
起家から柴田―沢崎―前原―仲田の順
東1局 親柴田
後のない仲田が積極的に仕掛けていく2巡目にをポン。
ポン 打 ドラ
この手から次々と有効牌を引いて6巡目には、
ポン
なんと跳満テンパイ。さらに沢崎から打ち出されたをポンして打、高め倍満まで育つ。しかし無情にもを手元に寄せたのは沢崎。
ツモ
400・700のツモアガリ、続く親番では、
東2局 親沢崎
暗カン ポン ポン リンシャンツモ ドラ
この6,000オールを決め、沢崎が1歩抜け出すが直後に事件が起きる。
東3局 親前原
沢崎
チー 打 ドラ
ライバルの前原の親番で軽快に仕掛けていくが7巡目にツモ切ったに仲田から声が掛かる。
仲田
ロン
トータルトップの沢崎から32,000の直撃、これでこの半荘の持ち点が
柴田 22,300
沢崎 16,200
前原 25,900
仲田 55,900
こうなり2回戦までのトータルを合わせると
前原 +71.3P
沢崎 +31.8P
仲田 ▲21.1P
柴田 ▲82.0P
仲田はまだ前原との差は大きいが、この半荘のさらなる加点があれば最終戦に望みを繋げるかもしれなくなった。その思いに応えるように牌もついてくる。
南3局1本場 親前原
ポン ポン ポン ツモ ドラ
2,000・4,000のツモアガリ、さらに続く親番。
南4局 親仲田
ツモ ドラ
この4,000オールでさらなる加点に成功する。
3回戦成績
柴田 14,500
沢崎 11,400
前原 22.700
仲田 71,400
3回戦終了時
前原 +68.1P
沢崎 +27.0P
仲田 ▲5.3P
柴田 ▲89.8P
ここまで流局が3局だけとまさに殴り合いの展開となった、残り1戦最後まで目が離せない。
4回戦
起家から沢崎―仲田―柴田―前原の順
東1局3本場 親沢崎
追いかける沢崎の連荘から始まった。
0本場の形式テンパイから3局連続テンパイ連荘。
迎えた3本場で7巡目のリーチを入れる、それを受けた仲田のテンパイ打牌が捕まった。
仲田
ツモ 打 ドラ
沢崎
リーチ ロン ドラ 裏
12,000は13,200の放銃、ここから沢崎劇場が始まる。
東1局4本場
3巡目にこの仕掛け
ポン 打 ドラ
最終形がこちら
ポン ポン ツモ
役牌を周りに絞らせつつ終盤に4,000オール。
「メンゼンじゃ間に合わない」対局後にこう語ったが、このに声が掛かる打ち手が何人いるか。
東1局5本場 沢崎手を緩めず今度は1巡目。
ポン 打 ドラ
なんとかかわそうと、仲田が七対子のヤミテン、柴田がドラドラでをポンして向かっていくが軍配は沢崎。柴田から
ポン ポン ポン ロン
結局7本場まで積んだ沢崎が持ち点を74,700まで伸ばしトータルトップに躍り出る。
沢崎 +86.7P
前原 +61.2P
仲田 ▲40.0P
柴田 ▲107.9P
こうなると、2番手でこの半荘も2着目の前原が、トータルで約25,000点差を詰められるかの勝負になるかと思ったらこの人が黙っていなかった。
東2局1本場 親仲田
仲田
ツモ ドラ
実はこのアガリ、待ち選択が難しかった。
ツモ 打
が6枚見えているが、倍満確定の打にするかと思いきや「が山にいそう」と語った通り、山に1枚ずついたアガリ牌を力強く引いて6,000オール。
さらに
東2局2本場
仲田の11巡目リーチに対して、一発目の前原は以下の手牌。
ツモ 打 ドラ
前原はリーチでぶつけると思ったが、縦に打ち出したこの牌が
仲田
リーチ一発 ロン
前原「仲田の8巡目、手出しでがかなり危険に見えた」リーチ選択よりを切るかで迷ったとのこと。
仲田はこの後沢崎に親を流されるも、
東3局1本場 親柴田
ポン ポン ツモ ドラ
この3,000・6,000を決めて、トータル2着目の前原に並ぶ。
東4局で柴田に8,000の放銃をするもトップ目の沢崎の親番で、
南1局 親沢崎
リーチ 一発ツモ ドラ 裏
3,000・6,000を決めてさらに詰め寄る。極めつけは
南2局1本場 親仲田
リーチ ロン ドラ 裏
ドラ暗刻の沢崎から裏ドラ3枚の12,000の直撃を決める。この時点で持ち点が、
沢崎 49,400
仲田 64,700
柴田 10,100
前原 ▲4,200
こうなり、トータルが、
沢崎 +51.4P
仲田 +44.4P
前原 +18.9P
柴田 ▲114.7P
なんと仲田は一時120ポイント以上離れていた点差を、わずか7ポイント差まで詰め寄ってしまったのだ。こうなるともう誰が勝つかわからない。
南3局4本場 親柴田
前原がリーチ後にカンを入れてこのアガリ。
暗カン リーチ ツモ ドラ 裏
これで3人に優勝の可能性があるオーラスが始まる。
この半荘の持ち点が、
沢崎 46,000
仲田 61,300
柴田 12,400
前原 300
これに順位点とトータルを合わせると
沢崎 +48.0P
仲田 +41.0P
前原 +23.4P
柴田 ▲112.4P
仲田は8,000出アガリか1,600・3,200ツモ、または沢崎からの3,900直撃条件。
前原は親なので連荘になるが、4,000オールでこの半荘3着になりトータルトップになる。
南4局 親前原
条件がある仲田にチャンス手が入る。
8巡目
ツモ ドラ
打リーチだと沢崎から直撃、ツモか他からアガリの時には一発か裏ドラが必要になる。ここはヤミテンでも条件を満たせる可能性を残しをツモ切る。しかし無情にもこの後有効牌を引くことはなかった。
終盤にテンパイを入れた前原と沢崎の2人テンパイ。
南4局 1本場
今度は前原にチャンス、2巡目にを仕掛けて10巡目にテンパイを入れた。
チー ドラ
ドラのが2枚、が1枚山に残っている。ツモなら一気にトータルトップだったが手牌を開けたのは沢崎だった。
ツモ
ラス牌をツモって勝負あり。
第5期JPML WRCリーグ優勝は沢崎誠に決まった。
仲田の追い上げは素晴らしく観るものを魅了した。なにより柴田が最後まで丁寧に打ったからこそ、試合が壊れず最後までドラマがあったと思う。
前原は対局後「日々の生活を変えないと難しい」とコメントをくれたが、本当に強かった。
そして沢崎は失点こそ多かったが、それ以上に前に出てアガリ、まさに勝利をもぎ取った。
沢崎さん優勝おめでとうございます!
余談だが、対局後に沢崎が3回戦の国士無双放銃について話してくれた「痛いけどちょうどいいかもなと思ったよ、なぜって2着目が座る席がよかったから」連盟のタイトル戦の最終戦はトータルの順位で座る場所と起家が決まっている、聞くと2着目の席が3連勝していたそうだ。このポジティブさも沢崎の強さなのだろう、、、
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