JPML WRCリーグ レポート

第4期JPML WRCリーグ ベスト16A卓レポート

8月10日(金)
連盟夏目坂スタジオ─

集いたるは16名の選ばれし者達。
勝ち上がりの12名に加え、4名のシード選手がここから参戦。

そしてこれ以上のシードはない。
よってこの中から第4期WRCリーグの覇者が生まれるのだ。

皆の表情を見てみる。
リラックスしている者、緊張している者と様々だが、その中で一際目を引いたのは沢崎だった。
それはまるで友達の家にでも遊びに来ているかのよう。

開始前に同卓者と話す者、目を瞑り一人の世界に入る者。
それぞれの想いを胸に、立会人の合図で一斉に対局が開始された。

【A卓】
小林正和(前回覇者・C3)vs冨田久志(D1)vsケネス徳田(B2)vs藤島健二郎(B1)

第3期覇者の小林正和が登場。
小林とは何度も顔を合わせているが、この日の小林は気持ちが入りすぎているように見えた。
一方、先日行われたリーグ戦最終節でA2リーグに首位で復帰した藤島は、やはり落ち着いていて充実しているように見える。
さてどのような対局になるか─

1回戦(冨田―小林―藤島―ケネス)
東1局、開局の親リーチにケネスがまっすぐ打ち抜く。

四万五万六万八万八万六索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ  ロン八索  ドラ四索  裏北

ケネス→冨田5,800

次局も冨田がリーチ。ツモアガリで1,300は1,400オール。
続く2本場も冨田が4巡目リーチ。

五万五万五万六万七万四索四索六索七索八索一筒一筒一筒  リーチ  ドラ六索

藤島手牌
一万二万三万五万二索三索五索六索七索九索四筒六筒八筒  ツモ九索

現物は三索のみ。効率なら五万切りだが、藤島は九索切りで放銃を回避した。

11巡目にはケネスが追い掛けリーチ。

六万七万八万八万六索七索八索一筒二筒三筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ六索

ケネスはひたすら本手でぶつけてくる。相手のリーチにもひるまない。
もし五万八万が出れば(ダブロンがないため)上家のケネスのアガリとなる。

結果は2人テンパイで流局。

同3本場も流局(藤島1人ノーテン)

そして4本場、供託2本。まだ東1局だ。
藤島が3巡目に自風の南をポン。小林も4巡目に自風の西をポン。
全員が流しにきている雰囲気の中、親の冨田。

一万二万三万四万五万八万九万九万四索五索六索三筒五筒  ツモ三万  ドラ六索

ここは八万を切ってヤミテンとした。
冨田もまた納得のいく形でリーチをしていくスタイルなのだろう。

すぐに六筒を引き入れた冨田は三筒を切ってリーチといった。

冨田のリーチ攻勢が止まらない。しかし小林が二筒を切るとケネスがチー。続いて現物の八万を切るとケネスがロン。

ケネス
六万七万四索四索四索六索六索六索七筒七筒  チー二筒 左向き三筒 上向き四筒 上向き  ロン八万  ドラ六索

小林からケネスへ8,000は9,200の放銃となった。(供託3本)

長い東1局が終わった。一次二次トーナメントに続き、冨田の勢いは続いていると思われた。

親を迎えた藤島。

一万一万三万三万四万五万六万六万六万八万八万九万九万  ドラ六筒

藤島の捨て牌
七索 上向き四筒 上向き三筒 上向き四索 上向き四索 上向き南西

ほぼ手出しのこの河に対し他家はどうするか。
するとケネスが打三万。藤島スルー。テンパイとなる牌は仕掛けるか。
しかし上家の冨田はドラドラながらすでに受けていた。マンズが出ないよう七対子を目指すも、それも難しくなりはっきりと撤退。
終盤に七万を引きテンパイした藤島だが、テンパイ前にドラ六筒もツモ切りし、手出し(テンパイ打牌)で三万を切ると全員前に出られなくなり流局。1人テンパイ。

一万一万三万四万五万六万六万六万七万八万八万九万九万  ドラ六筒

東2局1本場
ヤミテンしていた藤島。
そこに南家の小林がリーチ。その宣言牌をポンしてケネスも前に出てきた。
藤島が持ってきたのは無スジの三筒。これをそのままツモ切りリーチ。
すると戦闘態勢のケネスが一発で藤島に放銃。

三万四万五万八万八万八万四索五索二筒二筒六筒七筒八筒  リーチ  ロン三索  ドラ五索  裏発

12,000は12,300のアガリ。

同2本場は流局。藤島、小林の2人テンパイ。
藤島はダブ東ポン。小林はリーチピンフドラドラの3メンチャンだった。

六万六万三索四索四索五索五索六索二筒三筒四筒五筒六筒  リーチ  ドラ六万

苦しい状況でのこのチャンス手がアガれないのだから本当にキツい。
小林は冷静に打ち続けられるだろうか。

続く3本場は藤島がリーチ後にドラの一万をカン。
そこにリーチで勝負した冨田が白単騎に放銃。

三万四万五万六万七万八万二筒三筒四筒白  暗カン牌の背一万 上向き一万 上向き牌の背  リーチ  ドラ一万

さらにドラが乗り18,000は18,900。

東1局に続き東2局までもが4本場まで積まれた。
持ち点はこう。
(親から)藤島62,700・小林17,400・ケネス21,800・冨田18,100

東2局4本場。

四万五万四索五索五索六索六索七索八索九索四筒七筒北北  ドラ三筒

藤島、ここから打七筒。ツモ五筒→打九索。ツモ六万八索切りリーチといった。
態勢良ければ手なりで育つとはまさにこのことか。流れるように手が高く育っていく。
冨田が役なしテンパイでワンプッシュするが、定められた運命かのように六筒は藤島に引き寄せられた。

四万五万六万四索五索五索六索六索七索四筒五筒北北  リーチ  ツモ六筒  ドラ三筒

裏ドラは乗らず4,000は4,400オール。藤島75,900点。

次局もダブ東をポンして5巡目には小林から2,900は4,400。
持ち点は8万点を超えた!

6本場には冨田がタンヤオのアガリ。1,300は3,100。

長い長い東2局が終わった。ここまでで実に12局。他の卓はもう1回戦が終わろうかというところだ。

ここからはスムーズに進行。
藤島は捌き、局まわしなども上手いためリードされると厄介である。

オーラスにはこうなった。
(親から)ケネス24,900・冨田21,000・藤島69,800・小林4,300

5巡目に親のケネスがリーチ。
捨て牌はこう
一万 上向き五万 上向き中四筒 上向き四索 左向き

冨田1シャンテンだがアガれば2着になれるため押す!

三万三万四万五万六万六万七万八万三筒三筒七筒七筒九筒  ドラ三筒

そして小林が二万を切るとケネスがロン。

二万八万八万三索三索八索八索二筒二筒六筒六筒八筒八筒  リーチ  ドラ三筒

小林→ケネス9,600
あの捨て牌でかつ安全牌が少ない状況。小林はどんどん追い詰められていった。

1本場にはケネスが700は800オール。
南4局2本場
跳満ツモで2着になれる冨田は手替わりを待っていた。

四万四万五万六万七万五索六索七索二筒四筒四筒五筒六筒  ドラ白

三筒ツモはフリテンリーチにいくかもしれない。
持ってきたのは五筒。これでも充分嬉しい。二筒を切ってリーチとした。

これに飛び込んだのはマンズに染めていた小林。
高めの六筒を掴んだ。

四万四万五万六万七万五索六索七索四筒四筒五筒五筒六筒  リーチ  ロン六筒  ドラ白

8,000は8,600

このアガリで冨田は原点付近まで戻り、小林は大きすぎるラスとなった。

そして20局に及ぶ長い1回戦が終了した。

1回戦成績
藤島+54.0P・ケネス+11.9P・冨田▲6.2P・小林▲59.7P

2回戦(冨田―ケネス―藤島―小林)
東場は大きな点棒移動はないが、小林のテンパイ打牌がことごとく捕まる。
南入した時点で
冨田32,200・ケネス30,600・藤島35,100・小林22,100

南1局は藤島が仕掛けて300・500
南2局、小林→ケネスに7,700
南2局1本場、冨田がリーチを掛けるもケネスに1,500は1,800を放銃。

南3局
親の藤島が5巡目に白をポン。8巡目にはこのテンパイ。

一万二万二万二万三万五万六万七万七万八万  ポン白白白  ドラ四筒

しかし九万はすでに3枚切れていた。そこに冨田が四索ポンして打二万。小林が二索ポンして打中。ケネスは鼻息が荒い(雰囲気)。明らかな親の染め手に全員が戦う姿勢である。
そこに七万を持ってきた藤島。九万は3枚切れ。皆さんなら何を切るか。

一万二万二万二万三万五万六万七万七万八万  ポン白白白  ツモ七万

藤島の選択は打一万だった。なるほどと思った。恥ずかしながら私はこの時この選択は思いつかなかった。
この一万をケネスがポンするのだが、結果は流局。ケネス以外の3人テンパイだった。

冨田
四万四万六万八万七索七索七索四筒五筒六筒  ポン四索 上向き四索 上向き四索 上向き

小林
三万四万五万五万七万四筒四筒五筒六筒七筒  ポン二索 上向き二索 上向き二索 上向き

続く1本場は小林が執念のアガリ。1,300・2,600は1,400・2,700

オーラス
(親から)小林23,800・冨田28,500・ケネス33,200・藤島34,500

親で頑張りたい小林。だが配牌が悪い!
対して藤島は手が軽い。6巡目にはドラの四索を切った。これをポンしたのは親の小林。
ポンして2シャンテン(役ありにするには3手必要)だが、じっとしていられるわけがない。このポンは連荘率を上げるポンだと思った。
しかしそこにトップを取らんと冨田がリーチ。

四索五索六索五筒六筒七筒七筒八筒九筒発発中中  リーチ  ドラ四索

アガれれば最低でも2着に浮上。ツモor藤島からor裏ドラ1枚でトップ。
だがここはまっすぐ行かなければならない小林が、藤島に1,000点の放銃で終局となった。

2回戦成績
藤島+21.5P・ケネス+8.2P・冨田▲7.5P・小林▲22.2P

2回戦終了時
藤島+75.5P・ケネス+20.1P・冨田▲13.7P・小林▲81.9P

1回戦2回戦と同じ並びになってしまい、素点差もあるためそれぞれが離れていった。残り2回あるとは言え、小林にはもうあとがない。

3回戦(冨田―藤島―ケネス―小林)
東2局には小林が待望の3,000・6,000。これからどんどん加点していくしかないのだが、次局ケネスに5,800の放銃となる。
親のタンヤオピンフドラ1をヤミテンにしていたケネス。こういうのはガンガンリーチしてくるかと思っていたが、待ちがドラまたぎだからなのか、これがケネスバランスなのだなと感じた。

東3局1本場

藤島
一索二索三索三索三索五索五索七索七索七索九万九万東  ドラ四筒

ここから五索をポンして打九万。チンイツへ向かう。

一方ケネス(親)
五万五万五万六索六索四筒四筒六筒六筒七筒八筒北北

七対子とメンツ手の両天秤1シャンテン。ここに一番嬉しい(私だったら)ドラの四筒を引き、六筒切りリーチといった。
そこに向かったのは小林。中をポンして北を切るとこれが御用。
トップ目からの痛すぎる12,000の放銃。だが小林の立場からすればただトップを取るだけでは足りない上、トップが欲しいからこそ他家にアガられるわけにはいかないと思ったか。
トップへの強い渇望が、小林をどんどん前のめりにしていった。

五万五万五万六索六索四筒四筒四筒六筒七筒八筒北北  リーチ  ロン北  ドラ四筒  裏六筒

実はツモれば8,000オール。もし七対子のリーチになっていたとしてもツモれば8,000オール。
もはや風はケネスに吹いていると言わざるをえない。

東4局、親の小林が六万ポン。そして六万を加カンし打点を上げに行くがドラは乗らず。しかしリンシャン牌でツモアガリ、1,300オール。

続く1本場で小林7巡目リーチ。

四万四万五万五万六万六万九万九万九万四索五索四筒四筒  リーチ  ドラ九万

小林も手は入っている。6,000オールを引きに行った小林。
私もリーチを掛けてしまいそうだが、これはヤミテンの選択もあったのだろうか?流局となってしまう。
この立場でのリーチ判断は本当に難しい。

東4局2本場
冨田が7巡目にドラの五索を切った。捨て牌はこうだ

五筒 上向き二索 上向き四筒 上向き五万 上向き四万 上向き七索 上向き五索 上向き

明確に何かに向かっている。
そこに親の小林はポンにチー。冨田も中張牌を強く切り続けた。しかし12巡目、冨田がすっ…と優しく西を切った。

危険信号、不穏な空気…
2つチーしてテンパイしていた藤島だったが、白を引かされてテンパイを崩した。

結果は流局。
冨田は国士無双の一万待ちだった。(王牌2枚)

南1局
仕掛けてテンパイしていた藤島からケネスが8,000のアガリ

二筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒七筒南南南発発  ロン六筒  ドラ五索

南2局
親の藤島

四万五万六万二索三索一筒一筒  ポン発発発  チー九索 左向き七索 上向き八索 上向き  ドラ七索

2,900テンパイ。一方ケネス

四万五万六万四索四索三筒四筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒  ツモ四索

この手をヤミテンにしていたケネス。持ってきた(当たり牌の)四索を収め、打四筒とした。
すると冨田からすぐに三筒が出て2,600のアガリ。
素晴らしいケネスバランス。

オーラス
(親から)小林32,200・冨田25,100・藤島23,800・ケネス38,900

小林ここで頑張りたい!
冨田と小林の2軒リーチだったがここは流局。藤島もテンパイし、トップ目ケネスの1人ノーテン。

南4局1本場 供託2本
藤島が5巡目にリーチ。

四万五万六万一索一索三索三索三索五筒七筒七筒八筒九筒  リーチ  ドラ五筒

最後の着順争いは藤島が競り勝った。冨田から出アガリ2,600は2,900。

3回戦成績
ケネス+20.9P・小林+7.2P・藤島▲5.3P・冨田▲22.8P

3回戦終了時
藤島+70.2P・ケネス+41.0P・冨田▲36.5P・小林▲74.7P

4回戦(ケネス―藤島―小林―冨田)
上下大きく離れた4回戦となった。
3番手の冨田ですらターゲットのケネスとトップラスを決めてさらに47,500点差が必要という状況。小林にいたっては85,700点差が必要という絶望的数字。

そこにトドメを刺すかのように、東2局には藤島が60,000点を超えていた。
東4局
(親から)冨田36,200・ケネス19,100・藤島62,700・小林2,000

親の冨田、5巡目にドラの九筒切りリーチ

三索四索五索七索八索九索二筒三筒四筒五筒六筒西西  リーチ  ドラ九筒

数巡後一筒をツモるとなんと裏ドラが西。大きな大きな4,000オールのアガリ。

これで藤島と10,500点差。もう一度4,000オールなど出来ようものならケネスとほぼ並びである。

しかしそう簡単にはいかず、次局は藤島が冨田から2,000は2,300。
続く南1局は藤島が2,000・4,000。

南2局
(親から)藤島70,000・小林▲5,000・冨田43,900・ケネス11,100

親の藤島は手を組んでいない。ケネスがテンパイで打中(ドラ)そこに冨田がリーチ!

五万六万七万一索一索一索二索三索五索六索五筒六筒七筒  リーチ  ドラ中

ケネス無スジ押す!さらに小林もリーチ!七対子ドラドラ北待ち!

ケネスツモ!

四万五万二索三索四索五索五索六索七索八索三筒四筒五筒  ツモ六万

700・1,300のアガリ。

ケネスの麻雀には勝負師の熱が常に感じられる。

続く南3局、親の小林がリーチ!

一万二万三万二索二索四索五索六索一筒二筒三筒四筒五筒  リーチ  ドラ五万

ケネス一発目でも無スジ押す!
冨田も無スジ押す!
ケネスツモ!

五万五万五万八索八索三筒五筒六筒六筒七筒七筒八筒八筒  ツモ四筒  ドラ五万

なんと3,000・6,000!

これでケネスには大分余裕が出来た。しかしその余裕にあぐらをかかないことを私は知っている。

最終戦オーラス
持ち点(親から)冨田39,200・ケネス28,800・藤島65,700・小林▲13,700

冨田は連荘あるのみ。藤島をまくるぐらいは加点しないと現実的な数字が見えてこない。
小林はケネスからトリプル役満直撃条件。

冨田は配牌から長考。
8巡目にはこの形だった。

四索四索六索二筒四筒六筒八筒八筒九筒九筒南南南  ドラ八索

鳴ける牌も出ぬまま、巡目は過ぎていき…
14巡目にツモ四筒。七対子1シャンテンで打六索とすると次のツモが六索
次に三筒ツモで七対子をあきらめる打四索。17巡目に三索をツモって最後の長考に入った。

四索二筒三筒四筒四筒六筒八筒八筒九筒九筒南南南  ツモ三索

残りツモあと1回。上家の小林はフリテンになっている二索五索は切ってくれるかもしれない。でもポン材も残したい。じゃあ何を切る…
こんな考えが堂々巡りしていたのではないだろうか。
冨田は長考の末、三索をツモ切った。

結果は流局。
冨田は手牌を開けることが出来なかった…

長い戦いが終わり、結果は圧倒的なバランスだった藤島、絶妙な勝負勘を持つケネスの勝ち上がりとなった。
冨田、小林も最後まで自分の麻雀をぶつけていたように思う。今日の敗北を受け止め、また来期にぶつけてほしい。

1位通過:藤島健二郎 2位通過:ケネス徳田