JPML WRCリーグ レポート

第11期 JPML WRCリーグ ベスト8B卓レポート

【JPMLWRCベスト8B卓、荒が随所に魅せるも、笠原拓樹、客野直の勝ち上がり】
 
前半は割愛して、3回戦の南3局からレポートする。
3回戦の暫定の順位点を含めたトータルスコアは、次のキャプチャの黄色字になる。
若手の笠原、森田がベテランの荒、中堅の客野を50ポイントもリード。
荒、客野がどちらも負けてしまうという大番狂わせが起きてしまいそうであった。
※ WRCルールでも1半荘で50ポイント差は結構厳しい差

 

 

左:森田未来、36期生、E1リーグ
右:笠原拓樹、同じく36期生、D3リーグ
2人とも2年目の選手。
初の放送対局とは思えない堂々とした闘牌だった。

森田の自戦記を紹介しておこう。

https://note.com/m_mirai_1215/n/n063651b5094b

1回戦で力尽きているのは残念だが、面白いので是非読んでほしい。(力尽きる気持ちはわかります(笑))
本レポートでは、森田の良い打牌に触れられていないので、お時間ある方は一読をお願いしたい。
1回戦、荒のアタリ牌の五筒を止めてトイトイをアガった局は見事でした。

対局に戻ろう。
親番の荒、カン三筒のテンパイ。
落とせない親番で先手が取れる、一発裏ドラのあるWRCルールとなれば、ほとんどの人がリーチをしそうである。
おまけに三筒の場況も良さそうに見える。

 

 

リーチをした人は一発ツモの4,000オール。おめでとう(笑)
ヤミテンにして三筒をツモった荒は、ツモアガリをする素振りは全く見せず、当然の如くフリテンリーチとした。
不思議なもので、フリテンリーチの時点でこの未来になるようにしか思えなかったのは僕だけであろうか。
僕の想像通りに最高目のツモ、裏ドラを1枚乗せて6,000オールだ。

 

 

(※ 下家笠原のチーがあり、一発ツモではない)

次局南3局1本場は、客野が蘇る。
満貫ツモでもこの半荘の2着目になる大きなアガリだったが、望外の裏ドラ2枚で跳満。

 

 

このまま3回戦は荒がトップ、客野2着で終わり、大接戦の最終戦になった。
ほんの15分前は50ポイントくらいリードしていなかったか。
こうなるとは全く想像できない。

 

 

最終4回戦、最初にリードを奪ったのは森田。
リーチ、ツモ、タンヤオ、ピンフ、裏の4,000オール。

 

 

さらに森田は畳み掛ける。
緩めずにダメ押しを狙うところに、ちゃんと勉強していることが感じられる。
アガることができれば、かなり通過が濃厚となるだろう。

 

 

 

 

しかし、客野がきっちりカットする。(森田から1,300+300)
楽にはさせてくれない。

笠原の麻雀を初めて見るので、普段通りか作戦かはわからないが、この日一日、リーチリーチと攻めまくっていた。
南1局の親番、九筒が場に全部見えているにもかかわらず、躊躇なくリーチ。
その勇気のご褒美か、山にあった最後の1枚を引き寄せた。

 

 

次局1本場も4,000は4,100オール。これで笠原は当確。

三万 上向き三万 上向き五万 上向き六万 上向き七万 上向き七万 上向き七万 上向き四筒 上向き五筒 上向き六筒 上向き五索 上向き五索 上向き五索 上向き リーチ ツモ三万 上向き ドラ八索 上向き 裏五万 上向き

南1局2本場
このアガリは、もう、なんと言ってよいか、言葉にならないアガリだった。

先制リーチは客野。
ここで客野にアガられると、森田は、そして特に荒は、自身の親番は残ってはいるが、かなり離されることになる。

 

 

場には四索は切られておらず、四筒は1枚切られている。
それでも荒が選んだのは四筒単騎のリーチ。
客野への四筒の危険度を踏まえたという。

 

 

裏ドラは乗らなかったが、リーチ、ツモ、七対子の1,600・3,200(+1,600)。
きっと客野も「マジかよ、凄すぎないか」といった思いだっただろう。
このアガリで客野と荒の差は、わずか2ポイント客野がリード。

南2局、客野が森田から、ダブ南、チャンタ、ドラ2の満貫のアガリ。

七万 上向き八万 上向き白白 ロン九万 上向き ドラ白 ポン南南南 ポン九筒 上向き九筒 左向き九筒 上向き ポン北北北

森田の若さが出てしまったのはこの局。
6.5ポイント差の客野をまくればよいので、この親番が落ちても逆転可能な点差だった。
多くの人に指摘されているだろうが、南を勝負するのは最低限テンパイしてからがよかった。
なお客野は、8,000点をアガるも荒の順位点が10ポイント増え、なんとトータルスコアは同点になった。

南3局、親番の客野が2,000オール。
南3局1本場は、客野のリーチを受けるも笠原が500・1,000をアガる。
客野が荒を6.5ポイントリードしてオーラスに。

南4局、親の荒が2巡目リーチ。
そして、リーチ、ツモ、七対子の3,200オール。客野を逆転する。
2巡目リーチに対抗などできず、流局を祈る客野の願いは叶わず。

 

 

南4局1本場、6.3ポイント差を追いかけることになった客野のリーチ。
待ちは三索六索
1,000・2,000条件のため、どちらでもツモは条件を満たす。

 

 

条件を満たしているリーチだと荒も判断し、仕掛けて捌きにいくが、六索を掴んでオリに転じる。(実は食いとっている。)
今度は荒がお祈りの時間。
客野のツモはあと1回まできていた。

 

 

 

客野「オーラスはここ数年のトーナメントで一番嬉しいアガリでした。」
二転三転もするシーソーゲームは、客野が制した。
この六索の盲牌の感触は、全身の血が沸騰する感じだったかもしれない。
皆さんもこの嬉しさをぜひ想像してみてほしい。

森田も並の相手であれば勝てていたように思う。やはり相手が強かった。
荒がこのJPML WRCリーグに出場したのは、十段位によるベスト16シードがあったからであって、予選を出てまで参加することはない。
若手は、いや中堅の僕ですら、4半荘を対戦できる機会はもうほとんど得られないだろう。
(十段戦で九段戦以上まで勝ち上がってやっと対戦できるくらい。)
特に今日は全盛期を彷彿とさせる守備や、針の穴を通すようなアガリが多く見られ、砂かぶり席で堪能したことは一生自慢していい。
僕ら麻雀プロは自分が勝つために出ているのだから、そういうミーハーな発言はあまり好ましくないというのが僕の考えではあるが、正直なところ羨ましく思う。

笠原は見事決勝進出。
決勝の相手は40歳前後の中堅3人、ベスト8の勝ち上がり方を見ると相当強い相手だが、今日の戦いから番狂わせを起こしそうな気配は十分に感じられた。
胸を借りる気持ちを持ちつつも、堂々と戦ってきてほしい。
ジャイアント・キリングに期待したい。

決勝戦は7/31(日)14時から対局、放送が行われる。
太田優介vs石立岳大vs客野直vs笠原拓樹

解説:佐々木寿人・齋藤豪
実況:優月みか

 

 

(文:福光聖雄)