グランプリ 決勝観戦記

第9期麻雀グランプリMAX決勝観戦記 第2章:藤崎智【復活の狼煙】 古橋 崇志

 

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言わずと知れたプロ連盟の看板選手。
これまで獲得したタイトルは大小合わせれば10は超えるであろう。
ただ半年前、病気による休場で35期A1リーグではまさかの残留争い。
十段位決定戦では内川幸太郎に3連覇を阻まれた。
最終的にはA1残留を決めたものの苦しい1年であった事に違いないが、
その中での決勝進出は流石の一言だ。
グランプリに関しては2005年、第1回の優勝者であり、今回で6度目の決勝進出。
相性の良さ、実績を加味したら藤崎が本命と言って間違いないだろう。
このグランプリを獲得し、完全復活の狼煙を上げる事ができるか。

1回戦、非常に均衡した展開でオーラスを迎えた藤崎。
親の山田の先制リーチを受け、宣言牌の五筒をチー。

 

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無スジの二索を勝負し、その後も二万一筒八万と打ち出す。
山田の待ちをある程度読み切っていたのか、若しくは藤崎の経験から押し切った方が良いと判断したのか。
守備の達人がここまで押し切れば和了りは約束されたようなものである。

 

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藤崎が初戦トップと幸先の良いスタートを切る。

2回戦、このままポイントを伸ばしたい藤崎であったが東場は柴田に風が吹き、耐える展開に。
そして東4局、柴田・山田の仕掛けに挟まれた藤崎が以下の手牌。

 

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二万切りの一択であるがこれがダンプのヤミテンに捕まる。

 

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苦しすぎる・・・麻雀にはよくある展開だが、藤崎ファンはたまったものではない。

南1局2本場、僅か5巡で親のダンプからリーチが。

 

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藤崎の手牌は二索ツモでテンパイ。テンパイと言っても単騎待ちの苦しい形だ。
安全牌は四筒しか無く、ここは無筋の九筒を勝負。
そして次巡のツモはドラの六索

 

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一索を切ってしまっているだけに、リーチが無ければ五索七索を払ってピンズにくっつきを求めていきたい手牌ではあるがここは現物の四筒、そしてワンチャンスの二筒と外していく構えである。
もちろん一索四索七索を引いてのテンパイが理想ではあるが、今の藤崎には楽な展開は訪れない。

 

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本来ならば一番嬉しいドラ表示牌の五索。だがこの局面ではフリテンとなる五索である。
「藤崎であれば七筒を切ってのヤミテンに構えるだろう。」
私はそう思った。解説の勝又も、藤崎のファンもそうに違いない。

 

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しかし全世界の期待を裏切ったリーチ!
あの藤崎智が親リーチに向かってフリテンリーチを敢行するなど見たことがあるだろうか?
ダンプも三面張、そして一索四索七索は続々と他家に流れる圧倒的不利な状況ながら12枚目の和了り牌を引き寄せる。

 

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この勝負どころでの押しが藤崎にいくつものタイトルをもたらしている理由であろう。

勢いに乗る藤崎は南3局ではドラ暗刻のリーチをダンプから打ち取り何とこの半荘浮きに回った。

 

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3回戦も浮きで終わり首位に立った藤崎であったが、4回戦以降は非常に苦しい展開が続く。
4・5・6回戦と連続で沈み後がない中、最後の意地を見せる。

 

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確定ハネ満で3件目の追っかけリーチ。

 

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親であるにも拘わらずテンパイ外しの打八筒。四暗刻に向かう。

しかしいずれも和了りには至らなかった。
私はある対局後、藤崎から「ファンの人はどんな状況になっても応援してくれるのだから、最後まで諦めずに打ち切りなさい」と言われた事がある。
負け試合でも最後まで諦めない麻雀はファンの心、そして私達後輩の心にも強く印象に残ったに違いない。

本命と思われていた男はまさかの4着と完全復活とはならなかった。
今回のグランプリでは頂点に立つことは叶わなかったが、さらに円熟味を増したこの男の麻雀は、50代ながらプロ連盟のレジェンドと呼ばれている猛者と比べて何の遜色もない。
次の目標は十段位奪還であろうか。その先はもちろん鳳凰位と藤崎の戦いは続く。