グランプリ レポート

第9期麻雀グランプリMAX一次トーナメント

2019年2月16日(土)、第9期麻雀グランプリMAX一次トーナメントが開催されました。
その年に活躍した選手達が出場する事を許される、まさに今年度を締めくくるに相応しいタイトル戦です。
巣鴨連盟本部道場勤務でお馴染み?のわたくし松本裕也が今回のレポートを努めさせていただきました。

今年度のグランプリMAX一次トーナメントは巣鴨連盟本部道場にて5卓20名で行われました。

 

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A卓(瀬戸熊vs前田vs紺野vs奈良)

鳳凰位3回、十段位3回等タイトル多数、九段シード枠での出場、卓上の暴君こと瀬戸熊直樹。

第31期鳳凰位、第4期グランプリMAX、そして今期A1リーグに見事復帰、ポイントランキング21位での出場、大陸間弾道ミサイルこと前田直哉。

第15期新人王、A1リーグ所属、ポイントランキング22位での出場、連盟チャンネルではみかじめの愛称でお馴染みの麻雀入道こと紺野真太郎。

第20期麻雀マスターズ、第20回BIG1カップ優勝、ポイントランキング34位での出場、奈良圭純。

A卓はAリーガー3人相手に奈良がどこまで戦えるのか。
その奈良が1、2回戦と2連勝を決めスタートダッシュに成功。さらに3、4回戦目も浮きの2着3着と好調の様子。逆に前田は1回戦こそ浮きの2着だったものの続く2、3、4回戦は1人沈みの連続ラスとかなり苦しい展開。紺野、瀬戸熊は数字をまとめトータルポイントプラスで最終戦を迎える。

4回戦までのトータル
(奈良+38.7P、紺野+24.9P、瀬戸熊+4.9P、前田▲68.5P)

そして最終戦。東4局に動きがあった。親番は瀬戸熊。瀬戸熊にとって通過するためには20P差の紺野、33.8P差の奈良どちらかを交わさなくてはならない大事な親番。しかしそこで紺野が通過に大きく近づくアガリを引き寄せる。

二万二万二万五万六万七万四索五索六筒七筒八筒西西  ツモ六索  ドラ西

北家の紺野がドラの西が雀頭のリーチを打つ。これをしっかりツモアガリ、2,000・3,900の大きなアガリ。瀬戸熊に取っては痛すぎる親っかぶり。

しかし南2局に瀬戸熊が魅せる。

二万三万四万四万五万六万六索七索八索三筒四筒五筒五筒

この二筒五筒テンパイだが二筒が3枚切られているためヤミテンを選択。そしてツモ五筒。ツモアガリかと思われたが追い掛けている状況の瀬戸熊は三筒を切ってフリテンリーチを敢行する。

二万三万四万四万五万六万六索七索八索四筒五筒五筒五筒  ツモ六筒

これを成功させ1,300・2,600のツモアガリ。まだ諦めていない瀬戸熊。

だが続く南3局、南4局と奈良がアガリゲームセット。瀬戸熊は無念の敗退となった。

最終成績
(紺野+43.9P、奈良+26.7P、瀬戸熊+0.2P、前田▲70.8P)

勝ち上がり
1位通過 紺野真太郎
2位通過 奈良圭純

 

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B卓(古川孝次vsダンプ大橋vs菊田政俊vs柴田吉和)

過去には鳳凰位3連覇、第3期のグランプリMAXでは準優勝、九段シード枠での出場、サーフィン打法でお馴染みの古川孝次。

第34期王位、第18期新人王、A2リーグ所属、今期ポイントランキング18位での出場、ダンプ大橋。

第13.14.27期東北天翔位、第44期王位戦準優勝。今期の東北天翔位、王位戦準優勝と目覚しい活躍を見せた菊田政俊。

第32期十段位、第28期新人王、第19回モンド杯優勝、今期ポイントランキング33位での出場、逆転の柴田こと柴田吉和。

こちらのB卓はベテランAリーガー2人に今まさに勢いのある若手2人が挑む。

1回戦目はダンプが50,000点オーバーの大きいトップを取り、このまま勢いに乗るかと思われたが、そこから2、3、4回戦と菊田が3連勝でポイントを大きく伸ばし当確ラインへ。柴田はラスは引かないものの、トータルポイントを若干のマイナスで最終戦に望みを託す。そして古川は1、2、3回戦と3連続でラスを引いてしまい大失速。4回戦目で浮きの2着を取るもののかなり厳しいポイント差に。

4回戦までのトータル
(菊田+64.0P、ダンプ+14.2P、柴田▲11.6P、古川▲67.6P)

そして迎えた最終戦の東4局。親番は古川。古川は通過のためには落とせない親番。だがそこに柴田が立ちはだかる。

四万六万三索三索四索五索六索四筒五筒六筒七筒八筒九筒  ロン五万  ドラ七筒

ダンプを追い掛ける柴田は三色ドラ1でリーチ。そこへ親番の古川が飛び込み8,000の放銃。このアガリで柴田はトップ目に立ちダンプの背中が見えてきた。

オーラス、この半荘トップ目の柴田はダンプから5,200直撃か跳満ツモ条件を満たせば通過だったが無情にも条件をクリアする事は出来ず、親番の古川もノーテンで終了。

最終成績
(菊田+53.2P、ダンプ+21.9P、柴田+10.9P、古川▲88.0P)

勝ち上がり
1位通過 菊田政俊
2位通過 ダンプ大橋

 

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C卓(ともたけ雅晴vs近藤久春vs古橋崇志vs藤原隆弘)

第24期鳳凰位、第2回リーチ麻雀世界選手権優勝、九段シード枠での出場、ともたけ雅晴。

第33期鳳凰位決定戦準優勝、今期ポイントランキング18位での出場、ダンディこと近藤久春。

第8期静岡リーグ優勝、A2リーグ所属、連盟チャンネルではA1リーグでの実況でもお馴染み、今期ポイントランキング24位での出場、三色評論家こと古橋崇志。

第8.16期チャンピオンズリーグ、A2リーグ所属、巣鴨連盟本部道場の道場長、今期ポイントランキング31位での出場、緻密な仕事師こと藤原隆弘。

こちらのC卓は世界チャンピオンともたけに注目が集まるが近藤、藤原もA1リーグで戦っていた事のある実力者。そこへ若手の古橋が挑む。この卓は非常に重たい展開が予想される。

1回戦、2回戦と近藤が連勝。その後4回戦でもトップと近藤が頭一つ抜け出す。藤原も安定感のある戦いを見せトップこそ無いものの着実にプラスを積み上げていく。ともたけは1回戦はラスだったがその後立て直してきた。古橋だけが4回戦まで戦って1度も浮く事が出来ず、置いていかれる苦しい状況。

4回戦までのトータル
(近藤+52.4P、藤原+22.4P、ともたけ▲3.4P、古橋▲71.4P)

近藤はほぼ当確で藤原とともたけ、2者の争いになってきた。南3局迎えた時点での点数状況は
ともたけ33,000点持ちのトップ目、対する藤原は26,300点持ちのラス目と、ともたけが藤原を追い詰める。現状で2.6P差。だが点数の差は少なくまだまだ全く分からない。

そのラス前の南3局、ともたけが先制リーチを打つが親の古橋から追い掛けリーチが入る。そこへ藤原も仕掛けを入れて3者テンパイになるがここは流局。

そして1本場となって次局に、ともたけはヤミテンが入っていた近藤に痛恨の3,900は4,200の放銃をしてしまいトップ目から陥落。

オーラス、追い掛けるともたけは親番。必死にテンパイを入れようとするが中々ツモが効かない。ようやく手が進み1シャンテンになった所で藤原からツモの声が。

四万五万六万六索七索八索五筒五筒七筒八筒九筒九筒九筒  ツモ六筒

テンパイを入れていた藤原が勝ち上がりを決める300・500のツモアガリ。その表情には安堵の色が浮かぶ。接戦を物にした。

最終成績
(近藤+69.7P、藤原+11.5P、ともたけ▲4.7P、古橋▲76.5P)

勝ち上がり
1位通過 近藤久春
2位通過 藤原隆弘

 

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D卓(荒正義vs和久津晶vs伊藤鉄也vs森下剛任)

獲得タイトル多数(鳳凰位、王位、マスターズ、グランプリ等)、九段シード枠での出場、レジェンド荒正義。

第9.12期プロクイーン、A1リーグ所属、ポイントランキング16位での出場、超攻撃的アマゾネスこと和久津晶。

第22.25.31期中部プロリーグ優勝、中部本部所属、今期ポイントランキング24位での出場、伊藤鉄也。

第39期王位、最強戦ファイナル2014準優勝、今期ポイントランキング29位での出場、森下剛任。

D卓はレジェンド荒に攻撃的な3人が挑む。荒はこの3者の攻撃をどう迎え撃つのか。

1回戦目、起家スタートの伊藤が大爆発。東1局に6,000オールを含む連荘に成功。このリードを守り1回戦目は60,000点近いトップを取りその後も着々とプラスを伸ばしていき当確か。ほか3者は4回戦終わり接戦だが和久津が一歩リードしているか?

4回戦までのトータル
(伊藤+67.4P、和久津▲4.7P、荒▲28.3P、森下▲34.4P)

オーラスまでさほど点数の移動はないものの荒が35,200持ちのトップ目に立ち和久津との差を4.4Pまで詰める。

そしてオーラス。親番は森下。供託が2本ある3本場。和久津はアガれば通過、荒は条件はあるものの非常に軽い条件。森下は最後の親番でこの2人より上にいくため連荘が必須。

後が無い親の森下からリーチが入る。

七万八万一索一索一索三索四索五索五索六索七索七筒七筒  リーチ  ロン九万  ドラ一索

ドラ3のリーチ。アガれば通過の和久津もすでに仕掛けてテンパイが入って真っ向勝負の構え。和久津は果敢に勝負していくが、森下のアガリ牌の九万を掴んでしまい森下に痛恨の放銃。12,000は12,900。このアガリで今度は森下が通過ラインへ。和久津は脱落か。

続く4本場。荒と森下の戦いに。


三筒四筒四筒四筒五筒六筒七筒八筒東東  ポン発発発

森下
四万五万六万二索二索五索六索七索五筒六筒  ポン白白白

両者テンパイが入る。だがここで伊藤にもテンパイが入る。

伊藤
七万八万九万三索三索四索四索五索三筒三筒四筒西西西

西家の伊藤はドラの西が暗刻のテンパイが入り打四筒とする。

2人からロンの声が。これを頭ハネで荒のアガリに。3,900は5,100のアガリで森下を0.2P上回り終局。

最終成績
(伊藤+54.8P、荒▲14.0P、森下▲14.2P、和久津▲26.6P)

勝ち上がり
1位通過 伊藤鉄也
2位通過 荒正義

 

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E卓(日高志穂vs高宮まりvs西川淳vs客野直)

第32期新人王、中部本部所属、今期の王位戦でも活躍した期待の新人女流、新人王枠での出場、日高志穂。

第1回女流日本シリーズ優勝、第17期北関東プロリーグ優勝、地方リーグチャンピオンシップ2019優勝枠での出場、高宮まり。

第22期チャンピオンズリーグ、第20期麻雀マスターズ3位、今期ポイントランキング27位での出場、A1リーグ初昇級を決めた西川淳。

第27期チャンピオンズリーグ、A2リーグ所属、今期ポイントランキング27位での出場、客野直。

こちらのE卓は西川、客野のAリーガー、地方リーグチャンピオンシップを強豪相手に力強く制した高宮という3者に新人王フレッシュな日高が挑む。

3回戦までのトータル
(西川+12.7P、客野+9.9P、高宮+0.6P、日高▲23.2P)

3回戦終了時までほぼ横一線。大きく動いたのは4回戦東3局。

親番の客野に大物手が入る。

一万二万三万五万五万東東  ポン白白白  ポン中中中  ドラ五万

これを見事に東をツモアガリ。ダブ東白中。ホンイツ、ドラドラで8,000オールの大きなアガリを決める。このリードをさらに広げ66,000点の1人浮きトップ。

4回戦までのトータル
(客野+58.5P、西川+1.8P、高宮▲22.5P、日高▲37.8P)

客野はほぼ当確。逃げる西川、追い掛ける高宮と日高。

追い掛ける高宮が東3局の親番で3,900オールをアガリトップ目に立つ。そして迎えた南2局。

トップ目高宮は南家でこの手牌

二筒二筒二筒四筒四筒四筒六筒南南南  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ドラ南

この超大物手。高めの六筒ならば三倍満。安めの五筒でも跳満とアガれば通過に大きく近づく。高宮の手にも力が入る。

だがアガったのは客野。ヤミテンのピンフテンパイを入れていた客野が高宮から1,000点のアガリ。西川は命拾いしたか。

最後、オーラスは客野が親なので1局勝負。だがこの局は全員ノーテンでゲームセット。Aリーガー2人が意地を見せた。

最終成績
(客野+61.5P、西川+10.7P、高宮▲4.3P、日高▲67.9P)

以上の結果で翌日の二次トーナメントの組み合わせが決定しました。

A卓 森山茂和、武田裕希、客野直、荒正義

B卓 仲田加南、山田浩之、伊藤鉄也、藤原隆弘

C卓 黒沢咲、伊藤優孝、近藤久春、ダンプ大橋

D卓 HIRO柴田、勝又健志、菊田政俊、奈良圭純

E卓 佐々木寿人、藤島健二郎、紺野真太郎、西川純

二次トーナメントからは森山茂和会長、現女流桜花の仲田加南等が登場する。二次予選の戦いも目が離せない好カードばかり。果たして誰がベスト16へ駒を進めるのか。熱い戦いは明日も続く。