日本プロ麻雀連盟第３期グランプリMAX ベスト8レポート - 日本プロ麻雀連盟

第３期グランプリＭＡＸもいよいよ佳境に入る。
灘・小島を筆頭とする歴戦の猛者を相手に、若手の（この中では）西川・勝又がどう立ち向かうのか。
決勝の椅子を賭けた闘いが今始まる。

１卓：古川孝次　西川淳　灘麻太郎　藤崎智

左から藤崎智、灘麻太郎、古川孝次、西川淳

２回戦、静かな立ち上がりであったが、迎えた東３局、局面が一気に動き出す。
灘の８巡目、

　　ドラ

跳満まで見える１シャンテンになったかと思えば、西川が同巡にリーチ！

　　リーチ

7,700確定の３面張である。この２人の戦いかと思ったのも束の間「ツモ」の声。
手を開いたのは息を潜めていた藤崎であった。

　　ツモ

この3,000・6,000でトップ目に立つと、東４局、

　　ロン　　ドラ

またしてもヤミテンで、灘からを討ち取り点棒を５万点近くまで伸ばす。

南１局、藤崎に待ったをかけたい親番の西川。
３巡目に、２つ仕掛けて以下の形。

　　ポン　　ポン　　ドラ

この仕掛けを見てか、南家の古川も動き出す。

　　チー

さすがに仕掛けに関しては古川が１枚上手か。程なくしてをツモリ2,000・4,000。
南２局、波に乗ってきた古川が、

　　ロン　　ドラ

藤崎のお株を奪うヤミテンで、その藤崎から直撃する。
このアガリで、古川と藤崎の２人浮きと思われたが、そう簡単に終わらせないのが百戦錬磨のカミソリ灘。
オーラス。

　　ドラ

わずか４巡でこのテンパイをすると何と即リーチ！終盤に、力強くを引き寄せ6,000オール。
古川を捲り藤崎に肉薄する。
１本場で1,500は1,800、２本場で1,500は2,100と小刻みにアガリ迎えた３本場。

　　ドラ

なんと配牌１シャンテン。２巡目にを引き入れリーチ！
３巡目にを暗カンして５巡目にツモ！

　　暗カン　　リーチ　　ツモ　　ドラ

4,000は4,300オールで６万点を超えるトップ。
藤崎・古川共に随所に持ち味を発揮したが、終わってみれば灘圧巻の半荘であった。

２回戦成績
灘＋41.6P　 藤崎＋14.1P　 古川▲13.1P　 西川▲42.6P

３回戦も灘が止まらない。
２回戦の勢いそのままに連続トップを取り以下の成績。

３回戦終了時成績
灘＋65.5P　 藤崎＋24.4P　 古川＋13.4P　 西川▲103.3P

残り２回戦となったが、実質、藤崎・古川の２着争いであろう。
古川の起家で始まった４回戦、東１局1,600オール、１本場に1,300は1,400オールをアガると、
２本場、

　　加カン　　加カン　　ツモ　　ドラ

4,000は4,200オールをツモりアガリ早くも５万点を超える。
東４局２本場には、10巡目に高目三色のリーチを西川から討ち取る。

　　リーチ　　ロン　　ドラ

南１局にも2,600オールをツモると、南１局１本場８巡目にこのリーチ！

　　ドラ　　リーチ

安目ながらをツモり2,600は2,700オールで６万点を超え、１人浮きの大トップをものにした。

４回戦成績
古川＋47.8P　　灘▲10.3P　　藤崎▲14.5P　　西川▲24.0P

４回戦終了時成績
古川＋61.2P　　灘＋55.2P　　藤崎＋9.9P　　西川▲127.3P

古川・灘が絶対有利の最終戦、藤崎が最後の最後まで粘り、オーラス1,300・2,600ツモ条件まで迫ったものの、
流局しここで涙を飲んだ。灘・古川に共通するのが鳴きで、流れを持ってきて最後は門前で決めるところだ。
自分の勝ちパターンで完勝した両名にトッププロの真髄を見た。

勝ち上がり：灘麻太郎　古川孝次

 

２卓：勝又健志　瀬戸熊直樹　前原雄大　小島武夫

左から瀬戸熊直樹、前原雄大、勝又健志、小島武夫

１回戦、親番の前原が早速「らしさ」を見せる。
東１局２本場８巡目、

　　ドラ

チー打、次巡、ツモ打。

　　チー　　ロン　　ドラ

８巡目で両面チーをする打ち手は少ないと思う。
しかし、前原の中では点数ではなく状態・流れを意識した仕掛けなのだろう。

南１局、ここまでノーホーラの勝又だったが、わずか３巡目でこのリーチ。

　　ドラ　　リーチ

これを一発でツモり上げ、3,000・6,000と大きな初アガリとなった。
南２局、勝又に触発されたのか、小島も８巡目リーチを一発ツモ！

　　リーチ　　ツモ　　ドラ

しかし、最後はやはり前原が締めた。オーラス５巡目、

　　ドラ

この手を当然の様にリーチと行き、当然の様にツモる。
前原が自らの勝ちパターンで幸先の良いスタートを切った。

１回戦成績
前原＋15.2P　　勝又＋9.1P　　瀬戸熊▲6.3P　　小島▲18.0P

３回戦、東場は小場で進み迎えた南２局、小島が５巡目にリーチ。

　　ドラ

リーチを受けた親番の前原が動き出す。あっという間の３フーロで以下の形。

　　チー　　チー　　ポン　　ドラ

この仮テンをあっさりとツモり500オール。
１本場で2,600は2,700オールをツモると、２本場６巡目で手変わり待たずの押さえ込みリーチ。

　　リーチ　　ドラ

前原と幾度となく激闘を繰り広げてきた瀬戸熊。10巡目に以下の手牌。

　　ドラ

親リーチで先制されるが、ここが勝負所と踏んだか無筋を連打。
しかし、流局濃厚な15巡目、ラス牌のを前原が力強く叩きつけ1,000は1,200オール。
点数以上に、流れを引き寄せる価値のあるアガリである。これが前原の勝ちパターンであろう。

オーラスを迎え、トータルラス目の親番・瀬戸熊。絶対に落とせない親番で何とダブリーの手が入る。

　　ダブルリーチ　　ドラ

しかし、小島も２巡目に追っかけリーチ。

　　リーチ　　ドラ

アガれば30,000点を越えるだけに、ツモにも力が入るが、無情にもを掴み11,600の放銃となってしまった。
瀬戸熊は１本場に2,000は2,300をアガリトップ目となるが、立ちはだかったのはやはり前原。
オーラス２本場、

　　ドラ

これを瀬戸熊から直撃し、この半荘をトップで終える。

３回戦成績
前原＋17.5P　　瀬戸熊＋6.7P　　勝又＋2.8P　　小島▲27.0P

３回戦終了時成績
前原＋23.3P　　勝又＋21.2P　　瀬戸熊▲18.9P　　小島▲25.6P

４回戦、瀬戸熊・小島は最終戦に望みを繋ぐ為にも、絶対にラスは引けない半荘となるが、結果は小島のトップ。
瀬戸熊は１人沈みのラスを引いてしまい三冠の夢はここで潰えた。

４回戦終了時成績
勝又＋25.9P　　前原＋25.0P　　小島＋7.0P　　瀬戸熊▲57.9P

５回戦、やはり場をリードするのは前原と勝又。東１局、前原が３巡目リーチ。

　　リーチ　　ドラ

そして勝又が５巡目に追っかけリーチ。

　　リーチ

勝又が圧倒的有利かと思われたが、７巡目にを掴みここは前原に軍配が上がる。
東２局、今度は勝又が魅せる。６巡目に以下の形。

　　ツモ　　ドラ

場にはが１枚切れ、が１枚切れ、は生牌。ここで勝又は、打としカンのテンパイを取る。
８巡目、瀬戸熊の切ったをポンし打。

　　ポン

しかし同巡、瀬戸熊から親リーチが入ってしまう。そしてツモ。が現物だけに、打の高目一通のテンパイに取るのだろうと思ったのも束の間、勝又はノータイムで打とし、フリテンの５面張に受ける。
対局後勝又は語る。

「あの場面で、６巡目に前原さんが打とした時に、はトイツ以上だと読めた。
どうせ瀬戸熊さん以外からは出ないのだから、ツモり易い待ちに受けるのは当然でしょ？」

次巡、読み通りを手元に引き寄せる勝又。
ここへ来て、その読みの精度は更に冴え渡っている。

そして最後に小島が魅せてくれた。オーラスを迎え、トップ目は勝又、２着目に前原。
３着目の小島の条件は、前原からの満貫直撃か跳満ツモ。絶対に放銃できない前原は、配牌オリを選択。
14巡目、小島から力強いリーチの声。

　　リーチ　　ドラ

リーチが入った瞬間、観戦記者としての仕事を忘れ、純粋に１人の麻雀ファンとして魅入ってしまった。
小島ならをツモってしまうのではないか。ギャラリーもそう思ったであろう。
もしかしたら、前原でさえそう思ったかも知れない。

結果は流局であったが、小島武夫の圧倒的存在感を見せ付けた１局であった。

５回戦成績
勝又＋14.5P　　前原＋4.6P　　小島▲5.5P　　瀬戸熊▲14.6P

勝ち上がり：勝又健志　前原雄大

 

王位戦４連覇の灘。
鳳凰戦３連覇の古川。
十段戦３連覇の前原。
歴史に名を刻んできたトッププロ３名に、連覇を賭け勝又が挑む。

灘麻太郎	古川孝次
前原雄大	勝又健志

新たな時代の幕開けとなるのか。王者を決める物語はいよいよ最終章を迎える。