グランプリ レポート

第6期麻雀グランプリ MAXベスト16 B卓レポート 小車 祥

現鳳凰位。さらに麻雀グランプリMAXの優勝経験もある。今期鳳凰位に続いて二冠を狙う勝又健志。
名誉会長となってからは、選手としてその切れ味が増したのではないかと言われる「カミソリ」こと灘麻太郎。
A2リーグ準優勝でA1リーグ返り咲きを決め、一次予選から勝ち上がりのHIRO柴田。
上位リーガーやタイトルホルダーが名を連ねる中、王位戦準優勝という成績で、一次予選から勝ち上がってきた若手プロの星、29期生の山田学武。
山田は「このメンバーで対局させてもらえるだけでも感謝しています」と謙虚な姿勢を見せていた。

100

 

1回戦(起家から、HIRO・勝又・山田・灘)

東1局、まずは親のHIROが先制リーチ。

二万三万四万六万七万八万九万一索二索三索七索八索九索  リーチ  ドラ九万

開局からこの親リーチに対して強くまっすぐ前に出たのが山田。
HIROのリーチ後すぐにテンパイし、その次のツモで以下の手牌。

四万五万六万七万九万四索四索六索七索八索四筒五筒六筒  ツモ六万

リーチ宣言と共に九万が切られてHIROへの放銃となる。
7,700。

東3局には親の山田が7巡目にリーチ。

一万二万三万五万五万三索四索五索三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ三筒

ツモれば2,600オールという手だが、なかなかツモれないと灘がうまく追いついてくるケースは多い。
リーチを受けた段階では以下の手牌だった灘。

九万九万六索七索八索八索一筒三筒四筒五筒六筒八筒八筒  ツモ五筒

灘はここから決して安全牌ではない九万をトイツ落とし。13巡目には追っかけリーチを打つ。

六索七索七索八索八索九索三筒四筒五筒五筒五筒八筒八筒  リーチ

灘がこのリーチをハイテイでツモ。2,000・3,900のアガリとなる。
山田は戦う姿勢にアガリがついてこない苦しい展開。

南1局、勝又が仕掛けていく。

三万八万九万九万三索三索五索六筒西発発  ポン中中中  打八万 上向き  ドラ七索

仕掛けを積極的に使ってくる灘、ここは仕掛け返していく。

六万二筒三筒四筒四筒西西北白白白  ポン南南南  打六万 上向き

勝又は手が進み以下のテンパイ。

九万九万三索三索三索四索五索発発発  ポン中中中

灘も2フーロしてテンパイ。

二筒三筒四筒四筒白白白  ポン西西西  ポン南南南

この勝負は灘に軍配が上がる。四筒を掴んだ勝又、8,000の手痛い放銃となる。

南3局、16,000持ちのラス目で親番を迎えた山田。
できればこの親番で得点しておきたいところ。むしろ得点しておかねば初戦ラスを受け入れなければならない状況だが、灘が仕掛けを入れ先にテンパイ。

一万一万一索二索三索南南  ポン八索 上向き八索 上向き八索 上向き  チー六索 左向き四索 上向き五索 上向き  ドラ七索

この仕掛けに対して切りづらいドラを勝負してテンパイを取った柴田。

三万三万三万四万四万五万六万七万七万八万九万南南

さらに同巡、勝又にリーチを打たれてしまう。

二万三万八万八万八万四索五索六索七索八索九索二筒二筒  リーチ

こういう状況になると、さすがにこの親番は連荘を諦めるしかないかと思ったところだったが、山田はギリギリまで粘る選択を続けていく。
その粘りの末、ハイテイ牌でうまくテンパイした山田。いや、結果からすればテンパイしてしまったというのが正しいか。

四万六万六万六万四索五索二筒二筒三筒三筒五筒五筒五筒  ツモ三筒

1シャンテンの段階でワンチャンスの七万を山田が勝負したことで、自ら四万は比較的切りやすい牌になってしまっていた。親番維持に拘った粘りが、この局面では裏目に出てしまう。切られた四万はホウテイロン。HIROへの8,000の放銃。
このアガリでトップになったHIROがそのまま逃げ切る形となった。

1回戦成績
HIRO+24.6P 灘+12.3P 勝又▲8.9P 山田▲28.0P

 

2回戦(起家から、山田・勝又・HIRO・灘)

高打点のアガリが飛び交った1回戦と比べ、2回戦は小さな点数の動きで局が進んでいくという展開。
しかしそんな中でもしっかり勝負手を決めてきたのがHIRO。
南3局の親番で以下の手をアガる。

一万一万二万三万四万六万七万八万一筒二筒三筒六筒七筒  リーチ  ツモ八筒  ドラ一万

4,000オール。
そのまま1人浮きのトップでHIROが2連勝。

2回戦成績
HIRO+32.0P 灘▲4.1P 山田▲9.0P 勝又▲18.9P

2回戦終了時
HIRO+56.6P 灘8.2P 勝又▲27.8P 山田▲37.0P

 

3回戦(起家から、勝又・HIRO・灘・山田)

東1局、ここまで苦しんできた山田がようやく高打点のアガリをものにする。

三万四万五万二索三索四索三筒三筒三筒五筒  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  ロン四筒  ドラ三筒

7,700をHIROから直撃。

東4局、勝又の手牌。

二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒五索六索六索九索九索  ツモ五索  ドラ九筒

ピンフ一気通貫ドラ1でリーチをかけてツモれば跳満まで見える手牌。
しかしここから打九索とし、手牌構成を変化させていく。
数巡後、以下のテンパイ。

五索五索六索六索七索二筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒  リーチ

すぐに四索をツモ。1,300・2,600のアガリ。
このレポートで他家の動きや捨て牌の情報を全て伝えることは難しいが、その情報収集能力と状況判断能力の高さは凄まじいものがある。
鳳凰位勝又の凄さの片鱗を見せた1局であった。

100
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トータルトップのHIROが抜けている分、2名勝ち上がりのトーナメントでは当然標的となるトータル2位の灘。
この3回戦でも、追う立場の勝又と山田は3万点台をキープしながらうまくゲーム展開していたように思えたが、南2局に灘が本手を決めて追う立場の相手に厳しい条件を突きつける。

二万二万二索二索三索三索四索四索三筒四筒五筒南南  ツモ南  リーチ  ドラ中

2,000・4,000。
そのまま灘がトップを取り、残り2回戦にして2人抜けの状態を作り上げた。

3回戦成績
灘+21.1P 山田+8.0P 勝又▲6.6P HIRO▲22.5P

3回戦終了時
HIRO+34.1P 灘+29.3P 山田▲29.0P 勝又▲34.4P

 

4回戦(起家から、灘・HIRO・山田・勝又)

南2局、勝又がリーチを打つ。

六万七万八万八索八索二筒二筒三筒三筒四筒六筒七筒八筒  リーチ  ドラ一筒

HIROが残り数巡でツモり四暗刻テンパイ。

一万一万一万四万四万九索九索九索二筒二筒発発発

しかし数巡後、勝又が一筒をツモ。
1,300・2,600のアガリで食らいつきトップ目に立つ。

南4局、1,300点以上のアガリで持ち点原点復帰するHIRO。

四万四万四万六万六万五索六索七索七索七索六筒七筒八筒  ツモ六万  ドラ八万

この手をツモ。500・1,000。
さらには親被りで勝又が100点差の2着になってしまい、トップは灘。
灘かHIROのどちらかの点数を原点以下にし、最低でもトップを取っておきたかった勝又にとって苦しい展開となる。

4回戦成績
灘+12.0P 勝又+6.9P HIRO+1.7P 山田▲20.6P

4回戦終了時
灘+41.3P HIRO+35.8P 勝又▲27.5P 山田▲49.6P

 

5回戦(起家から、HIRO・勝又・山田・灘)

トータル2位のHIROとトータル3位の勝又のポイント差が63.3Pと、追いかける勝又と山田にとってはかなり苦しい最終戦となった。
無情にも南3局の山田最後の親番もノーテン。
勝又には以下のテンパイが入っていたが、四暗刻までは伸びきらなかった。

六万一筒一筒一筒七筒七筒八筒八筒九筒九筒白白白  ドラ二索

5回戦成績
HIRO+11.0P 灘+5.0P 勝又▲6.2P 山田▲10.8P

5回戦終了時
HIRO+46.8P 灘+46.3P 勝又▲33.7P 山田▲60.4P

見事ベスト8へ勝ち上がりを決めたのはHIRO

「今日の対局、どうでしたか?」
なんの捻りもない質問だが、率直な気持ちが聞けるので、個人的に気に入っている質問を勝ち上がった2人に投げかけてみた。
HIROは「序盤に点数持っちゃったから、押し引きとか難しくなっちゃったかもね」と、勝った試合からも反省点を探す謙虚な発言。
対して灘は「まぁ……普通だな」と冗談めかしながらも、さすがは余裕の言葉をくれた。
ベスト8での対局も楽しみである。