グランプリ レポート

第8期麻雀グランプリMAX ベスト16 A卓レポート

「カミソリ灘」の異名を持つ2016年グランプリMAX覇者、灘麻太郎。
2017年度グランプリMAX覇者。「攻めダルマ」こと、佐々木寿人。
第34期・鳳凰位決定戦、準優勝「紅顔のアサシン」の2つ名がついた、HIRO柴田。
プロ連盟唯一の、女流A1リーガー。「超攻撃型アマゾネス」和久津晶。

グランプリベスト16・A卓は、次世代を担うAリーガー3名が、レジェンド灘に挑む!
ベスト8に勝ち残れるのは一体だれなのでしょうか!?

 

100

 

1回戦 起家から HIRO柴田・灘・和久津・佐々木の順

東1局 親 HIRO

六万七万八万三索三索四索五索二筒三筒四筒四筒五筒五筒七筒  ドラ六万

七筒。ここから、ツモ八万・ツモ切り、ツモ五索四筒として、難しい手を上手く捌き、四索で佐々木から7,700。オープニング局は、HIROが制します。

東1局 1本場 前局、7,700をアガった HIROが2巡目にしてこの手牌に。

三万五万五万五万四索五索六索一筒一筒二筒二筒七筒七筒

前局、放銃に回った佐々木が

三万四万四万六万七万九万一索二索六筒東南発発

ここから発をポンしてホンイツを含み、 HIROの親を捌きに出ます。
すると、この鳴きでテンパイが入った HIROがツモり三暗刻のリーチ。

三万五万五万五万四索五索六索一筒一筒二筒二筒七筒七筒  ツモ一筒  打三万 左向き

流石に HIROの一人旅と思われましたが・・。

三万四万四万六万七万九万一索二索東南  ポン発発発

なんとこの形から、佐々木が八万をチーして、徹底抗戦の構え!更に二万もチーしてこの形

四万六万二索東  チー二万 左向き三万 上向き四万 上向き  チー八万 左向き七万 上向き九万 上向き  ポン発発発

ノーテンドラ無しの手牌だが、親のリーチに対して、全く怯むことなく戦いを挑んで行きます。
本当に佐々木はメンタルが強い。怖くはないのでしょうか!?
結果は二筒で2,400は2,700の放銃となりましたが、 HIROのツモっていた二筒を喰い流しており隠れたファインプレーとなりました。

東1局2本場、佐々木の

六万七万八万一索一索二索三筒四筒四筒五筒六筒北北  ツモ一索  打二索 左向き  ドラ三索

今度はHIROが、佐々木に応戦。親とはいえ、佐々木のリーチに1シャンテンから七筒八筒四索と無筋3連打!
結果は流局。親流れとなりましたが、次世代を担う若手同士のバチバチ感が凄い。
東1局から、完全に麻雀に入り込んでいる感じで、グランプリベスト16に相応しいスタートと感じます。

東2局 親 灘

五索五索五索六索六索六索七索八索九索二筒四筒六筒六筒  ドラ三万

テンパイが入った灘、即リーチの選択肢もありますが、ここはヤミテン。
次巡五筒をツモります。四筒五筒八筒などで打点や役もつく為、更にヤミテンもあるか?と思いましたが、灘の選択はリーチ。しっかり六筒をツモり1,300は1,600オール。

この時 HIROに

三万六万六万三筒三筒四筒四筒五筒五筒八筒八筒中中

このテンパイが入っており三万は山に3枚。
最初のカン三筒でリーチを打っていたら、 HIROのアガリになっていたかも知れません。

灘はこの局だけでなく

北家 10巡目
一万一万三万四万五万六万二索三索四索四索五索六索七索七索  ドラ三万

七索は1枚切れ。打一万として、タンピンを狙うかと思いきや、打六万のリーチ。
そして、直ぐに一万でロン。磨き抜かれた、勝負勘の鋭さを見せつけてくれます。

東3局 5本場 親 和久津

和久津もだまっていません。この手をリーチでツモりあげ

二万三万四万八万八万一索二索三索二筒三筒六筒七筒八筒  ドラ八万

四筒ツモで4,000は4,500オールでトップ目に。
さらに南1局

三万四万五万八万四索五索六索三筒三筒三筒四筒五筒六筒  ドラ四索

5巡目にして、このテンパイ。
解説の白鳥は出アガリしたくない。と語る程、手替わりが多い手牌ですが、このまま8巡目に八万をツモり1,000・2,000。
和久津がリードを広げます。

南2局 HIRO

三万四万五万四索五索六索五筒六筒東東  ポン白白白  ドラ三筒

親 灘

六万七万八万九万九万二索三索七索八索九索  ポン発発発

そこに、苦しい持ち点の佐々木が丁寧な手順で追いついてリーチ。

六万七万八万二筒三筒四筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒八筒  リーチ

六筒をツモって2,000・4,000。3着目に浮上します。

そして今回のラスは、なんとHIRO。
全員の攻撃力の高さを象徴する様な、1回戦となりました。

1回戦終了時

和久津+22.2P
灘+4.5P
佐々木▲11.1P
HIRO▲15.6P

 

2回戦 和久津 佐々木 灘 HIRO

東場は小場で回りますが、東4局 西家 佐々木

七万七万一索二索三索五索六索七索三筒四筒五筒発発  ドラ一索

北家 灘

七万八万一索二索三索七索八索九索五筒六筒七筒西西

佐々木が先行リーチを打つと、灘も追いついての2件リーチに。
ここで、困ったのは和久津。

六万九万九万三索三索三筒三筒三筒五筒五筒七筒七筒八筒発

現物が無い和久津が灘に九万で3,900。和久津は痛い放銃でしょうか。

南3局、和久津が一気通貫に仕上げてリーチ。

三万三万六索七索八索一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒九筒  リーチ  ドラ東

佐々木が八筒を暗刻にして追いつきリーチ。

二万三万四万一索一索一索三索三索四筒五筒八筒八筒八筒  リーチ

佐々木有利かと思われましたが、粘ってテンパイを入れた HIROが勝負した牌は八筒
和久津が5,200のアガリ。先程の失点を取り返します。

そして、オーラスへ。

南4局、灘が1巡目にして、なんとこの形。

三万六万八万二索三索七索八索九索三筒四筒五筒八筒八筒  ドラ七索

HIROも、4巡目にこの形に。

四万五万五万七万七万四索四索四索二筒二筒四筒五筒六筒

灘が先にカン七万のテンパイが入るもHIROが

四万五万七万七万四索四索四索二筒二筒四筒五筒五筒六筒七筒

ここから打五筒。この判断が良く、七万を引き入れリーチと行きます。
結果は、HIROの1人テンパイで流局。

1本場は HIROが和久津から1,500は1,800のアガリ。

南4局 2本場 和久津

五万五万三索三索三筒三筒九筒東東西西中中  ドラ南

浮きに回りたい和久津。七対子九筒単騎で決断してリーチにいく!
ツモればトップまで抜けるリーチ。出アガリでも浮きに回れます。

佐々木も無筋を勝負し追いつきます。
奇しくも同じ七対子テンパイ。ですが、こちらはドラドラだけになんとしてもアガリたい所か。

六万六万七万七万二索二索四索四索五索五索南南西  ツモ一万  打一万

ここが運命の分かれ道でした。
結果論になってしまいますが、正解は一万西は和久津の手にあり純カラ。一万ならアガリがありました。
和久津カラ打たれる、一万・・。佐々木の心境は・。
そして、和久津が九筒を引きアガる!
和久津はトップまで抜ける素晴らしいアガリ。佐々木は痛い1人沈みとなってしまいました。

2回戦までのトータル

和久津+34.6P
灘+8.3P
HIRO▲14.6P
佐々木▲28.3P

 

3回戦 和久津 佐々木 灘 HIRO

東3局、見事な手順でソウズのホンイツに寄せた和久津。

四索五索六索七索九索北北北白発発中中

しかし、そこに灘のリーチが入ります。

一万二万三万六索七索八索四筒五筒五筒五筒七筒八筒九筒

和久津のツモは無情にも四筒。テンパイが入り四筒を勝負するも3,900の放銃に。

南3局 灘

四万四万五万五万六万三索四索四索八索八索四筒五筒六筒白  ドラ三万

生牌の白を温存し、打四索とします。これがファインプレー。
すぐに和久津に七対子ドラドラのテンパイが入りますが、待ちがなんと四索待ち。

三万三万八万八万一索一索三索三索四索五索五索五筒五筒

一万四万五万四索六索七索九索九索七筒八筒九筒  ポン白白白  打四索

佐々木が、灘のリーチ宣言牌の白を仕掛けて現物の打四索。それが今テンパイが入った和久津に6,400。
佐々木は本当に苦しい展開・・・。

オーラス佐々木の配牌は、

一万二万四万一索三筒七筒九筒東西西北白中  ツモ一筒  打四万  ドラ五筒

9種9牌だが、国士を目指し打四万から。9巡目には

一万九万一索一筒九筒東西西北白発中中

ポイント状況が厳しい佐々木ですが、この手をアガれば一気に戦線復帰です!

しかし、ここからが長い・・。
佐々木の欲しい南は2枚・九索は1枚。

終盤まで縺れ込み、結果はHIROの2,000オール。佐々木はテンパイ出来ず・。

五索五索三筒四筒五筒五筒六筒  ポン八筒 上向き八筒 上向き八筒 上向き  ポン二筒 上向き二筒 上向き二筒 上向き  ツモ七筒

そのままの勢いで3本場まで積んだ、HIROのトップとなりました。

3回戦終了時のトータル

和久津+28.7P
灘+15.2P
HIRO+4.5P
佐々木▲48.4P

 

4回戦 灘 佐々木 和久津 HIRO

東4局 親の HIROが動く

五万六万六万七索八索三筒三筒北北白白中中  ドラ八索

七対子の1シャンテンでもありますが、動く方を選択します。
HIROが中を仕掛けると、その動きで四万六万と引き入れた灘が、7巡目に高め7,700のリーチ。

三万四万四万五万五万六万四索四索七索八索四筒五筒六筒  リーチ

ライバルの HIROの親だけに、高めをツモりたい所ですが、HIROの動きで有効牌を引いたのは灘だけではありませんでした。
佐々木も四暗刻の1シャンテンに!今度は決めたい所です。

一万一万二万二万二万五索五索五索七索九索九索七筒七筒

しかし、佐々木が持ってきたのは、灘の当たり牌六索・・
仕方なく、一万を切って迂回の佐々木。今日の佐々木は本当に苦しい。
また、灘もリーチを打った時には、7枚いた六索九索だが、アガることはできませんでした。
粘った HIROと2人テンパイ。

南2局 親 佐々木

一万三万三万三万五万五万六万七万八万九万白発発  ドラ一筒

ここから五万ポン発ポンで以下のテンパイ一番乗り。

一万三万三万三万七万八万九万  ポン五万 上向き五万 上向き五万 上向き  ポン発発発

一万二万は3枚切られており、三万のブロックも合わせて、強い受けが残っています。これをアガって逆転の布石にしたい所。

しかし灘が

四万五万六万七万七万七索八索九索一筒二筒三筒九筒九筒

ドラ表示の九筒七万でリーチ!
かなり怖いリーチに見えますが、研ぎ澄まされた勝負勘がリーチを打たせたのでしょうか。

それに対し、

四万四万四索五索六索一筒一筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒

ここから、HIROもドラ一筒を勝負!高め一気通貫の手。ピンズは絶好に見えます。
リーチかと思いきや、 HIROの選択はヤミテン。
ヤミテンにしたのが生きたか、和久津から2,000点のアガリ。HIROの勝負勘がピタリとハマります。
佐々木もテンパイした速さと、受けの強さでアガリがありそうに思いましたが、今日は展開に恵まれません・・。

南3局、今度は灘が、以下の手でリーチ。

二万三万四万六万六万九索九索二筒二筒二筒三筒四筒五筒  リーチ  ドラ四筒

1枚切れの九索六万のシャンポンリーチ。
苦しい待ちに思えたが、六万をツモって結果を出します。灘は、この様な苦しい受けでリーチの選択をした時、結果を出す確率が相当に高いと感じました。
卓越した読みか、勝負勘か。とにかく凄いと感じます。

オーラス苦しい佐々木だが

二万二万四万五万六万七万八万三索五索七索三筒四筒五筒  ドラ七索

四索を引き入れ勝負リーチ!
六万でもツモればトップになりますが、欲しいのは最高目の三万。もし、ツモる事が出来れば、跳満のポイントに加えて、1人浮きのトップになる事ができ、苦しいポイントながらもまだまだ逆転可能な差として最終戦を迎える事が出来ます。
道中、九万を持ってくるも、ツモ切る佐々木。逆転へ執念を見せてくれますが・・。
無情にも三万六万は山に0枚。繰り返しになってしまうが、今日の佐々木は本当に苦しい・・・。
佐々木の1人テンパイで流局。

4回を終えて、8.3ポイントの間に3人がいる大接戦。佐々木は2人を沈めつつ70,000点近いトップが必要か。
ベスト8に進出出来るのは!?残り1回戦!

4回戦終了時のトータル

HIRO+17.2P
和久津+15.8P
灘+8.9P
佐々木▲42.9P

 

最終5回戦 HIRO 和久津 佐々木 灘

東3局まで、小場で捌き合いで進みます。
局面が重くなって欲しい佐々木には厳しい展開です・・。

東3局HIROが以下の手牌でテンパイ

二万三万六索七索八索三筒四筒五筒五筒六筒六筒六筒七筒  ドラ七万 7巡目

3巡目に三万を切っており、場には一万が2枚 二万が2枚。マンズの下は良さそうに映ります。
小場だけに、四万でのリーチツモの1,300・2,600は魅力的に映ります。しかし、トータルトップ目な上に、確実に攻めてくるだろう佐々木が親。

難しい選択の HIRO。ヤミテンに構えるも、1巡回してリーチと行きます。
和久津も以下の手牌

二万四万四万七万七万四索五索六索一筒二筒三筒七筒八筒

ドラドラの勝負手。しかしツモは無情にも一万
HIROに2,000点の放銃となりました。解説の白鳥も言っていますが、小場になりやすいメンバー・状況ゆえMAX打点で取れた事は大きいとの事。五万が、3枚見えたのも大きいとHIROは語っていました。HIROの卓越した勝負勘が光ります。

そして、オーラスへ。灘が親なので、1局勝負に。
和久津の条件は、 跳満ツモか、灘から満貫直撃。佐々木は役満と厳しい条件。
条件に向け、懸命に進める和久津・佐々木でしたが、HIROが自らアガリきり終局となりました。

1位通過 HIRO柴田
2位通過 灘麻太郎

最終トータル

HIRO+31.4P
灘+13.9P
和久津▲10.6P
佐々木▲44.7P

ベスト8に進出したのは、灘麻太郎とHIRO柴田となりました。

灘は、ベテランならではの、勝負勘の鋭さと安定感でした。それでいて、面前良し・鳴き良しの隙の無い雀風。
ベスト8は見ていない、決勝乗ったら優勝しかないと語る灘。ベスト8ではどんな麻雀を魅せてくれるのでしょうか!?

HIROはトーナメント7連勝。
最近のトーナメント3回は、全部逆転勝ちと勝負強さが光るHIRO柴田。念願のG1タイトルまで、後2勝。今度こそは!

惜しくも敗れた、佐々木・和久津も随所にらしさを見せてくれました。
佐々木は1回戦東1局の、強烈な押し。
和久津は、七対子九筒ピン単騎リーチの決断力。

ベスト16・A卓の激闘が、皆様の記憶に残る事を祈りつつ、筆を置く事とします。

この後の、ベスト16・B・C・D卓そしてベスト8もお楽しみに!