グランプリ レポート

第8期麻雀グランプリMAX ベスト16 D卓レポート

2代目WRCチャンピオン。美意識が高く、手役に非常に強いこだわりを持つ。
「世界の!」ともたけ雅晴。

「教授」の異名を持つ理論派雀士。悲願のG1奪取なるか!A2リーガー山田浩之。

誠実な人柄だけでなく、粘り強く諦めない麻雀を打つ。こちらも悲願のG1優勝を狙う「パン屋さん」で人気の仁平宣明。

人には中々真似できない、独創的な仕掛けで、第43期王位を奪取。グランプリでもその仕掛けで、存分に暴れてくれると思いきや「野方は、面前型です」の衝撃発言!
本当なのか!?野方祐介。

ともたけと野方。雀風が対極にある両者の戦いが見所だと思いますが、A1経験者もある山田・仁平の打ち回しにも要注目です。
実力者揃いのD卓ですが、気になるのは、ロン2での野方・面前型発言。果たしてどの様な結果になるのでしょうか??

 

100

 

1回戦 山田 野方 仁平 ともたけ

東1局

野方
三万五万一索一索二索三索四索三筒四筒五筒中中中  ドラ九索

開局は山田から野方の1,300でスタート。C卓と並び、静かな立ちアガリです。

東4局

親 ともたけ 配牌

二万四万三索四索七索八索五筒五筒六筒六筒七筒発発中  ドラ五筒

この配牌から、ともたけは打二万!普通は中から切りそうですが・・。
5,200では満足できないか。ともたけの手役への強いこだわりを見た一打。

三索四索七索八索九索四筒五筒五筒六筒六筒七筒発発  リーチ

そして、リーチ。構想通りとは、多分行かなかったのでしょうが、ドラドラがありこれは勝負手。

そこに、野方が

四万五万六万九万九万五索七索二筒三筒四筒  ポン中中中

これで対抗してここは野方のアガリ。

ともたけは南1局も

二万二万三万五万一索二索三索四索四索四索一筒三筒五筒六筒  ドラ四索

ドラが暗刻のチャンス手がくるも、ここから打五万でピンフに捕まってしまいます。

南2局1本場

仁平
四万五万六万七万八万九万四索四索三筒四筒五筒中中  ドラ三筒

仁平がドラの三筒を切ってテンパイ。ヤミテンに構えます。

親 野方

三万三万三万四万五万六万二索二索三索四索五索三筒五筒

そこに、ヤミテンにしていた親・野方。
三万を持ってきて 六万切りなら345の三色になるが、危険度も考えて暗カン。リンシャンから持って来たのは、当たり牌の中
小考ののち、打三筒として迂回。山田の仕掛けもあったとは言え、中々オリられる手では無いだけに、野方の見事な守備力が光る1局となりました。

南3局

山田
五万七万二索三索四索六索七索八索三筒四筒五筒九筒九筒  ドラ三筒

カン六万でリーチ。山には無くピンチに思えたが、押し返したともたけが打六万で2,600は2,900の放銃となりオーラスに。

南4局

野方
五索五索一筒二筒三筒発発  チー八索 左向き六索 上向き七索 上向き  チー二万 左向き一万 上向き三万 上向き  ドラ五万

野方らしい?仕掛けで仁平がら 発で1,000点のアガリ。
1回戦は野方が、トップ、ペースを上手く握っている印象です。

1回戦終了
野方+17.6P 仁平+7.6P 山田▲8.9P ともたけ▲16.3P

 

2回戦 ともたけ 仁平 山田 野方

東1局

野方
一万一万三万四万五万一索一索三筒四筒五筒  ポン東東東  ドラ一索

東をポンした野方、一万ツモで1,300・2,600と好調なアガリ。この勢いで野方がこの半荘も走るのか?

東2局

二万三万七万八万七索八索七筒八筒発発中中中  ツモ六筒  ドラ二万

親の仁平にチャンス手!3巡目マンズの七万八万を払い一万を引いて六索九索待ちでリーチ。

山田
三万三万五索六索六索七索七索八索四筒五筒七筒八筒九筒

しかし、この選択が残念な事に裏目。アガリ逃しの仁平が九万を持ってきた後、山田が追いついて三筒ツモの400・700。
仁平にとって厳しい1局。

そして東3局

野方 配牌

一万三万四万五万七万九万八索九索七筒八筒西北北  ドラ七索

ここから八万七索と入り、

三万四万五万七万八万九万七索八索九索七筒八筒北北  リーチ

2巡目でこのリーチ!

そして、1発で(一発役はありませんが)高めの九筒をツモ!
八万七索九筒と全く無駄ヅモ無しでの3,000・6,000。驚きましたね!

勢いも完全に味方につけた野方。勝ちアガリにかなり近づいたでしょうか?

東4局

苦しいポジションのともたけですがこのリーチ。

一万一万二万二万三万三万六索七索五筒六筒七筒東東  ドラ一万

ヤミテン5,200ですが、積極的にリーチ。五索をツモり2,000・4,000。
やっとアガれた本手。ともたけは、このアガリをきっかけにしたい所です。

南2局2本場

2本積んだ親の仁平が

五万六万七万二筒三筒四筒五筒五筒六筒六筒七筒北北  ドラ七筒

この形になりリーチ。苦しいポイントから2本積んだ仁平。
これをアガることができれば、この半荘も浮きに回れる。しかしこの局の主役は野方。

三索三索一筒一筒五筒五筒六筒八筒九筒九筒西西北

ツモ八筒残り1巡でテンパイが入った野方。北は生牌。六筒は無筋。
野方の選択は六筒単騎で打北とすると、なんとハイテイに居たのは六筒

ハイテイ付きで1,600・3,200は1,800・3,400。
野方にとっても仁平にとっても大きなアガリ。やはり、野方。勢いに乗っています。

このアガリが決め手となり野方が2連勝!

2回戦トータル
野方+39.0P 仁平+0.9P ともたけ▲12.1P 山田▲27.8P

 

3回戦 ともたけ 山田 野方 仁平

東1局

苦しい立場の山田が2つ仕掛けてホンイツテンパイ。

四筒五筒六筒八筒八筒北北  ポン中中中  ポン発発発  ドラ南

河が強く、ピンズのホンイツとは断定できないため、アガれる期待も膨らみます。
しかし、仁平が1枚切れとは言え、ドラも押し返してアガリをもぎ取ります。胆力ある見事なアガリ。

その後は小場で周り、トップからラス目まで3,600差。大接戦のオーラスに。
1人沈みの仁平はなんとか浮きに回りたい所。

南4局1本場

ここに来て、ともたけの捨て牌が”普通”?解説の紺野が言っていますが、普通の捨て牌のともたけは恐ろしいとの事。
普段手役を強く狙うともたけだけに、手役を狙う

“必要が無い”

と、言うのは、他者3名にとってはそれこそが、異常事態なのでしょう。
そのともたけ、5巡目にしてこの形に。

六万三索四索五索五索五索六索二筒三筒四筒六筒七筒八筒  ドラ四筒

ツモ八万ときて、渋々カン七万のテンパイ。
しかし、この局アガリとなったのは仁平。

山田から2,900は3,200。山田は、処理したはずのドラを再び摑まされての放銃だけに、厳しい放銃となりました。

2本場ともたけ

一万二万三万四索四索七索八索  チー六筒 左向き四筒 上向き五筒 上向き  ポン発発発  ドラ八索

なりふり構わずアガリに向かいます。

山田も
四万四万四万七万七万三索四索五索五索六索五筒六筒七筒

これでリーチすると、仁平も追いつき3つ巴に。

五索五索六索六索七索八索九索中中中  ポン三索 上向き三索 上向き三索 上向き

ここは、3人テンパイで流局。痛い1人ノーテンで、野方がラス目に。

2本場山田

四万五万六万七万九万二索二索三索三索七索八索九索中中

ここから、打九万とすると、裏目の八万をツモ。そこから、打二索としてツモ一索三万六万九万のフリテンリーチ。

野方五筒ポン。苦しい形からの仕掛けでしたが、

三万三万三万七万六索六索六索四筒四筒四筒南  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き

七万で2人テンパイに。このままで流れると、ラスになる山田でしたが、仁平のハイテイずらしの仕掛けが入り。
それによりツモったのは九万!大きな価値があるトップとなりました。
ラスになった野方は、ちょっと雲行きが怪しくなってきたでしょうか?

3回戦トータル
野方+23.3 P仁平+2.4P ともたけ▲7.8P 山田▲17.9P

 

4回戦  野方 山田 ともたけ 仁平

親野方が、ホンイツの仕掛け。

二筒三筒七筒八筒九筒東白白発発  チー八筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き  ドラ東

注目は、山田

三万三万四万四万九万九万四索四索八索八索九索九索東

このドラ待ち七対子テンパイから一筒を引いて、打九万のテンパイ外し。
一筒は、なんと、ともたけの当たり牌。その上、野方にも一筒四筒の受けがあり、(山田が一筒を抑えたのはこちらに対してがメインだと思いますが、これには解説の紺野も絶賛)
山田の守備力が光ります。

ともたけは

六万六万八万八万四索四索六索六索七索七索一筒西西

この一筒単騎テンパイ。

仁平も
一索一索三索三索八索九索東東南南西中中

メンゼンの3人は全員七対子。仁平の四筒を野方がチーしてテンパイに

七筒八筒九筒白白発発  チー四筒 左向き二筒 上向き三筒 上向き  チー八筒 左向き六筒 上向き七筒 上向き

東

九万を引き戻した山田が一筒を打ち、ともたけに放銃。今度は守備的な七対子から、山越の東を狙いに行った攻撃的な七対子に変更。

(一筒四筒の受けをチーして一筒が当たる確率が下がったのと、他家から、東が打ち出される可能性を考慮して。だと、思われます)

放銃とはなりましたが、濃密な1局でした。

東3局 親ともたけ

一万一万八万一索三索六索七索四筒五筒六筒七筒八筒西西  ドラ六索

七対子を2回アガって親を迎えたともたけ。普段なら三色を見そうだが、打八万とストレートに構えます。道中七万を持ってきてしまうも以下のテンパイに。

一万二万三万六索七索三筒四筒五筒六筒七筒八筒西西

リーチを打ちたい手だが、手堅くヤミテンに。野方から2,900。明らかに打ち方を変えて来ています。

東4局

六万七万七万七索八索六筒六筒八筒白白  カン五索 上向き五索 上向き五索 上向き五索 上向き  ドラ八索

七万七万八索八索六筒六筒六筒  ポン白白白  カン五索 上向き五索 上向き五索 上向き五索 上向き

これに飛び込んでしまったのが、テンパイの入ったともたけ。四万七万の選択だったが、七万を選び8,000。
前回のラスから点棒を減らしていた野方・反撃の真っ最中だったともたけ。2人にとって大きなアガリに。

南2局
親の山田に大物手が。

四万四万四万七万九万九万四筒四筒五筒五筒五筒六筒六筒六筒  ドラ八筒

七万でリーチ!しかし、九万四筒はすでに無く七筒をツモっての2,000オール。
九万四筒は山田の目からも3枚見えていただけに、山田も納得のアガリでしょうか。

南2局 ともたけ

五万六万七万八万五索六索七索三筒四筒五筒東東北北  ドラ八万

東北共に1枚切れ。とはいえテンパイですが・・なんと、ともたけはテンパイ外し!そして、九万を引いてヤミテン

仁平が
四索四索六索七索八索三筒四筒四筒五筒五筒六筒七筒八筒

これでリーチを打つも 四万を掴んでしまい2,000点の放銃となりました。
ともたけの見事な判断が生きた1局です。

そのまま、オーラスもともたけがアガリきり終局。大混戦の最終戦を迎える事になりました。
最後に勝ち上がるのは!?

4回戦トータル
野方+15.3P ともたけ▲2.2P 山田▲2.5P 仁平▲10.7P

 

最終戦
山田 野方 仁平 ともたけ

26P以内に、4者がいる大混戦となった最終戦。

東2局、ここで大チャンスが入ったのが、ともたけ。

二万二万四万七万七万七万七万一索一索二索七索七筒西  ドラ七万

なんと2巡目にドラがカンツに!アガリ切れば、通過に向けて大きく前進となるこの手。
しかし山田が2フーロで捌きます。なかなか、独走を許してくれません。

南1局2本場
東場は、山田がリードして勝ちアガリの位置に。
そして南入りしての山田の親。

チャンスが来たのは、仁平。

三万四万四万二索二索七索七索二筒二筒九筒九筒中中  ドラ七索

七対子ドラドラ。1巡回すも、1枚切れの三万で決断のリーチと行きます!

山田・野方が追いつくも、最後のツモで三万を力強く引きアガリます!
大きな3,000・6,000。

仁平の読みと決断が見事な1局でした。
また、山田は八筒の大明カン出来なかった事に触れていました。仁平のツモを消す事が出来ただけに、山田の後悔は大きかったか・・。
このアガリで、勢いに乗った仁平は、なんと60,000近くまで加点。勝ちアガリをほぼ確定させます。

そしてオーラスへ

山田27,000
野方23,700
仁平57,900
ともたけ10,400

南4局2本場 供託1.0P

今のところの勝ちアガリは、仁平・野方。山田の条件は1,000・2,000。
ともたけは連荘だが、少し厳しいポジションか。

ともたけ 配牌

一万二万三万四万五万六万八万四索五索五索一筒一筒四筒  ドラ二筒

山田1巡目

一万二万四万七万三索五索六索七索三筒四筒八筒北中中

ともたけが

一万二万三万四万五万六万七万四索五索六索一筒二筒三筒  リーチ

これでリーチ。河には、八万九万があり一気通貫でアガる可能性もあっただけに、ともたけとしては不満でしょうが、勝ち上がるためにはアガリ続けなければなりません。
一万四万七万待ちで、リーチと行きます。

山田
二万四万三索五索六索七索八索八索三筒四筒五筒六筒七筒

この1シャンテンから

二万四万三索三索五索六索七索三筒四筒五筒五筒六筒七筒

このテンパイ。三万は2枚切れで、非常に不満だが、ツモってもヤミだと足りないため山田も勝負リーチに。三万は1枚残り
しかさ、やはり枚数の多いともたけが一万をツモり2,000オール。

南4局3本場

ともたけ配牌
六万七万一索九索二筒八筒九筒東南西白白中中  ドラ六索

三万六万七万九筒  ポン中中中  ポン白白白  ポン南南南

あっと言う間の3フーロ。そして八万を引き打九筒三万単騎のホンイツに。更に八万を引き五万八万に。

野方も

三万四万五索五索三筒四筒五筒  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ポン発発発

これで追いつくも、
ともたけが、白を加カン・そして、五万ツモで4,000は4,300オール。大逆転のアメリカンドリーム!

野方は次局、

四索四索四索六索六索六索七索八索中中  加カン白白白白

執念でテンパイを入れるが、アガることは叶いませんでした。野方の1人テンパイで終局。

1位通過 仁平宣明
2位通過 ともたけ雅晴

安定感のあった仁平ですが、個人的には最終戦・三万単騎での七対子ドラドラリーチが印象に残ります。勝ちアガリまで決められそうな手牌ですが、単騎待ちという事もあり、様々な選択がありそうに思えます。その中で、勇気を持ってリーチをかけ、最高の結果を引き寄せました。
勝負所で逃げない強さを、私も見習いたいと思います。

ともたけは、第2代目世界チャンピオンに相応しい、魅せる手筋と、最終戦の大逆転が印象に残ります。また、最後の3フーロの様に勝ちに拘る姿勢も素晴らしかったと思います。
ベスト8では、どんな、ともたけ麻雀を魅せてくれるのでしょうか?

また、敗れた山田・野方も最後まで大接戦を演じ、最後の最後まで、この卓を盛り上げてくれました。
勝敗を分けたのは、ほんの少しの差だと思いましたが、山田は本人が言う様に、もし、八筒の大明カンをしていれば・。
野方は、紺野が言っていた様に、ほんの少しだけ守りに入るのが早かったのかも知れません・。
しかし、ベスト16最後を飾るに相応しい、素晴らしい対局だったと個人的に思います!

これで、私の担当する、グランプリレポートベスト16を終了させて頂きます。
グランプリベスト16の戦いは熱く激しく、どの卓も勝ちたい思いと、高い技術が詰まった、素晴らしい戦いばかりでした。

正直、自分のポジションだと、このレポートは恐れ多くて受けにくい部分もあったのですが、自分自身の成長のためにも、担当させて頂きました。
道中、先輩に対し、不適切な表現をした部分もあった事と思います。読んで頂いた方々には、不快な思いをさせてしまったかも知れません。
至らなかったとは思いますが、自分なりにやってみた結果ですので、御容赦頂ければ幸いです。

最後になりますが、機会がありましたら、また何処かでお会い出来ればと思います。
勿論!一番の形は、やっぱり自分が選手で出場する事ですね。
日々精進を重ねて行きたいと思います。

それではまた!!