プロリーグ(鳳凰戦)レポート

第39期鳳凰位決定戦最終日レポート

第39期鳳凰位決定戦最終日レポート
小林 正和

【遠過ぎたビクトリーロードは最高峰の頂へ。HIRO柴田が初タイトル第39期鳳凰位を戴冠。】

 

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佐々木寿人(現鳳凰位)
前田直哉
HIRO柴田
吉田直

 

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実況:古橋崇志
解説:森山茂和・前原雄大

◆三日目までの成績

 

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最終日開始前のポイント状況では2位の佐々木でさえトップのHIRO柴田と110P以上であった。

古橋「前原さんは最多4回の鳳凰位を獲得されていますが、このポイント差をどうご覧になりますか。」
前原「もし柴田くんが取り溢しをするならば二日目のような受けから入った時かな。放銃になってはしまったが三日目のようにリーチに向かって切り込んでいければ優勝の可能性は高いと思いますよ。」

 

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解説席の声に応えるかのように開局から目一杯に拡げる柴田。

森山「柴田くんも過去の経験から弱気になったら危ないって事を知っているんだよ。だからわざと強く行っているんじゃないかな。」

その一方でいつも以上に深く思考を巡らせながら打牌選択をする柴田。

森山「ただ行く時はもう少しパシッと行って欲しいね。」
前原「もちろんこの放送を見て下さっているのは一般の方々も多いと思いますが、たくさんの連盟員も見ていると思います。そんな皆さんにもノータイムで打って欲しいという願いも込めて会長は仰っているんです。迷いなく一定のリズムで打ち続ける事が一流の条件の一つですから。」

最高峰の舞台だからこそ求められるものも大きいが柴田にとっては是が非でも獲りたい初タイトルであり、大きなアドバンテージを持って最終日を迎えた事が逆に大きなプレッシャーとなっているのかもしれない。

前原「寿人が昔から評価が高いのは、どんな場面でもノータイムで一定のリズムで打てる所。」
古橋「スピードにも定評がありますからね。ちなみに佐々木の弱点みたいなものってありますか。」
前原「打つべき牌が打てなくなった時、それが例え放銃牌であろうと。確か本人はそう言っていたね。」

13回戦の序盤に11,600放銃となった佐々木。それでも打牌選択に迷いはなかった。

 

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東3局では途中難しい牌姿もある中で最高打点に仕上げると

東4局
東家・佐々木
五万六万七万三索三索二筒三筒四筒六筒七筒八筒東東 リーチ ツモ東 ドラ九万

南2局1本場
西家・佐々木
四万五万六万八万八万三索四索四索五索六索四筒五筒六筒 ロン二索 ドラ三万

持ち味の連続攻撃が決まりこの半荘だけで柴田との差を50P以上詰める。そして一人浮きで迎えた14回戦では

南3局
西家・佐々木
一索一索三索四索五索六索七索八索四筒五筒五筒六筒六筒 リーチ ドラ五索

4巡目での先制リーチ。

前原「約束された四筒七筒。」

時の流れを予知するかのように前原の言葉が現実となった。

 

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リーチ・ツモ・ピンフ・イーペーコー・ドラ1の約束されたアガリにより更に柴田との距離を25P程まで縮めると、15回戦に入れば僅か数ポイント差までに。

 

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開始前の110Pという絶対的なリードも今となっては雀の涙となり、幾度となく優勝を逃した過去の記憶が柴田の脳裏をよぎる。
しかしHIRO柴田は“自身”を貫いた。

 

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普段通りの仕掛けも駆使して佐々木に一人ノーテンを押し付けると、通り名である“紅顔のアサシン”鋭いアガリで流れを引き寄せる。

そして15回戦南3局。

 

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柴田にテンパイが入ると卓上に静寂な時間が流れた。
それは先程までの“迷い”ではなく正に“決心”の間であり、思いを乗せるかのようにリーチに踏み切ると

 

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佐々木から放たれたのは優勝を大きく手繰り寄せる鳳凰一索であった。

 

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これが決定打となり第39期鳳凰位の座に就いたのはHIRO柴田。
それは遅すぎる初タイトル獲得と同時に

 

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伝統と歴史のある鳳凰位が受け継がれる瞬間でもあった。

 

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◆第39期鳳凰位決定戦
優勝HlRO柴田
2位 佐々木寿人
3位 前田直哉
4位 吉田直

◆最終成績

 

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第39期鳳凰位
HIRO柴田
「過信せず、その中でも自信を持って頑張っていきたいと思います。そして沢山の方々にお声掛け頂いた時に“良い報告ができるように”と話をしたので、今度お会いした時はありがとうございましたとお伝えしたいと思います。ご声援ありがとうございました。」

(文:小林正和)