プロリーグ(鳳凰戦)レポート

プロリーグ(鳳凰戦)レポート/第31期A2リーグ第4節レポート 白鳥 翔

3節を終えて、3位というポジションで迎えた第4節。
A2リーグでの闘いも序盤が終わり、いよいよ中盤戦に差し掛かってきた所ではあったが、ポイントと順位は全くと言っていいほど意識せず、この第4節に臨んだ。
対戦相手は、二階堂プロ、ダンププロ、四柳プロ。
対局前に色々とシミュレートしてみてのだが、二階堂プロ、ダンププロはどちらかというと受けの意識が強いタイプ、四柳プロは2人よりもバランスよりというのが僕の見立てだ。
四柳プロは3節が終わったポイント状況から、多少前のめり気味に打ってくるか、それとも4節連続のマイナスは絶対に避けたいと考え打ってくるか、それは当日の姿勢で判断しようと決めていた。
もし四柳プロが後者の様な姿勢であれば、そこまで大きく手役は狙わず、相手の手牌やおおよそのシャンテン数を見極めた上で愚形でも先手をとってリーチに踏み切る戦略をとろうと思っていた。
1回戦目、東1局の親で6本場まで積み持ち点は50,000点を越えたが、ドラが集まってきている訳でもなく、安手やテンパイ取りでの多少強引な連荘での点棒の積み重ねで決して調子が良いとは思っていなかった。
南1局の親番でも、中を一鳴きしたダンププロが色に寄っている気配はなく、ほぼ形が決まっている早い捌き手か、もしくはドラが2枚以上のチャンス手なのは明白。
6巡目に僕の手牌は、
二万三万五万六万七万九万一索一索二筒三筒四筒発発  ドラ九万
ここに一索をツモって打九万としてリーチすると、ダンププロがこれをポン。
すぐにダンププロが1枚切れの二索白のシャンポン待ちをツモって満貫の親かぶりとなる。
やはり絶好調とはとても言い切れないが、1回戦はなんとか大きめのトップをとることができた。
しかし2回戦、3回戦で失速し4回戦はなんとかプラス。
この日のトータルは+8.7Pと、一応卓内トップで終わったが、内容もポイント的にもかなり不満の残る結果となってしまった。
メンタル的なコンディションをこの日を迎えるにあたって整えられなかった、というのも原因の1つでもあると思う。
麻雀の内容に関しては書きたい局がいくつかあるのだが、それを書き始めると終わらなくなりそうなので今回は避ける。
しかし、映像の世界は難しい。
2節目も僕は配信卓だったのだが、こんな1局があった。
僕は南場で以下の手牌。
四万五万五万八万八万東東東発発  ポン南南南  ドラ九万
下家の親が1フーロ、上家が1フーロで、共にタンヤオ仕掛け。
上家、対面が九万を1枚づつ切っている。発は1枚切れで、八万はドラ表示牌。
ここにツモ三万でテンパイ。ここで僕は長考した。
五万は僕の中で7~8割方当たり牌。
しかし、上家はタンヤオでドラを切っている為1,000点が濃厚という局面である。
僕が考えていたのは、この五万が当たるかどうかということではなかった。
(こちらは高目満貫のテンパイ。この五万で放銃したとしてもおそらく視聴者の方は誰もが納得するだろう。それよりも、この五万が当たり牌でも何でもなくて、すぐに発が出たりツモってきてしまえば、非難の声を浴びせられるのは間違いない。でも、それは僕の今まで培ってきた麻雀じゃない。いやでも100%の確信はない。五万を切ったほうが楽なんじゃないか?)
こんなことを考えていた。
やっと決意して打発。すぐに四万を引き込んで三万六万でテンパイ復活。
5,200点のアガリとなった。
この時はたまたま五万が当たりだったが、読みを大きく誤ってとても酷い形で映像に映ってしまうことがこの先もきっとある。この第4節にもそれがいくつかあった。
麻雀プロって何なんだろう?どんな麻雀を打てばいいのだろう?
ここ1、2年ずっとそんなことばかり考えながら生活している気がする。
僕が好きな漫画の1つに「3月のライオン」という作品がある。
1人のプロ棋士とその周りの人間関係を描いている作品だが、その中のセリフの1つにこんなものがある。
「勝った時は叫びだす程嬉しくて 負ければ内臓を泥靴で踏みにじられるように苦しくて 世界中に『生きる価値無し』と言われたような気持ちにさいなまれる」
正直に書くと、麻雀ファンあっての麻雀プロで、「魅せる」ということが麻雀プロの仕事なら、現段階で自分自身はとても向いているとは言い難い。
しかし、こんな気持ちを持ち続けながら、誇りを持って麻雀プロを続けているのは、ダメなことではないのかなと思う。
いつかこんな気持ちが、映像を通して観ている方に伝わったらいいなと思う毎日を過ごしながら、あと6節、前だけを見てしっかりと闘いたい。