プロリーグ(鳳凰戦)レポート

第30期プロリーグ A2 第1節レポート

Aリーグ。それはプロ連盟に在籍し、リーグ戦に挑む者なら誰もが夢焦がれる舞台。
320名の選手がプロリーグに参加する中、11ものカテゴリーを経てA1、A2合わせて選ばれた28名だけがその舞台で踊ることができるのだ。このレポートをご覧になっている皆さんもそのステージの高さを感じ取ることが出来るだろう。

思い返せば、私のプロ人生が始まったと言えるのも、Aリーグ入りを果たしてからだったように思う。

Bリーグに昇級するまでは、決してプロであるだなんて口にしないと誓って臨んだリーグ戦。
B1リーグを優勝し、共に昇級した者と交わした強い握手は今でもしっかりと私の手の感触として残っているし、A2リーグを優勝し、初めてA1リーグに昇級した時に、共に喜んでくれた仲間の涙は生涯忘れることができないだろう。

麻雀で生きていく事を決めた者が、その想いを表現するための場所。
そう定義づけても間違いでないこのA2リーグの舞台に、今期駆け上がってきた男達は4人。

刀川と佐々木は悲願の昇級、前田と滝沢はかつてその厚い壁に阻まれた経験を生かしての再挑戦となる。
迎え撃つ者達の想いはそれぞれだろう。

A1最終節の激闘に敗れ、降級の苦汁を呑んだ右田と石渡は再浮上を目論むのであろうし、昨年度最後まで昇級を争い、二階堂の休場によって1人で女流最高峰の重責を担うことになった、黒沢の決意は相当のものだろう。

また、A1経験者の仁平、山田も虎視眈々と復位を狙い、毎回昇級候補に挙げられる山井や勝又も黙ってはいないはずだ。他の面々も、もう少しで手の届く山の頂に向けて万全の準備で、このA2リーグの開幕に照準を合わせているに違いない。

各選手の熱い想いが交錯する開幕戦。
外は爆弾低気圧の影響で大荒れな悪天候の中、会場も同様、春の嵐が吹き荒れたのだった。

まず始めに注目したのは、今期昇級した佐々木、右田、四柳、勝又、金子の卓。

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3回戦東1局、一際大きい『ツモ』の発声は右田。
隣の卓で対局中の私も驚くほどのそれは、国士無双のツモアガリ。
緒戦をラススタートと、苦しい開幕を強いられると思った矢先の力強いアガリに、一期での復位を期待したファンも多いはず。

しかし、この右田の国士無双は開幕戦の序章に過ぎなかった。

続く3回戦東2局、前局国士無双を親っかぶりした勝又が今度は四暗刻単騎のツモアガリ。
一気に負債を完済し、今期もプラススタートと上々の滑り出しを見せた。
すると4回戦、2人に続けと言わんばかりに、今期昇級したばかりの佐々木が魅せる。

南3局3本場、佐々木の配牌は、

一万二万一筒五筒九筒一索九索南西西白中中  ドラ七索

佐々木が手にした配牌は9種11牌。
第一ツモで九万を引き込み2シャンテンとすると、丁寧に打西

この西切りが後々の展開を大きく左右する。
4巡目、東を引き早くも1シャンテンに。佐々木の捨て牌に違和感は全く現れない。

残るは3枚切れの発と金子が第一打に選んでいる1枚切れの西
8巡目、佐々木の手にはラス牌の発が。テンパイを果たすものの、テンパイ気配は全く表れない。
3者共、自身の手牌を進めることに専念しているようだ。

10巡目、場が一気に動き出す。
国士無双をアガったものの、いまいち勢いに乗りきれない様子の親・右田がリーチ。

三万三万五万六万七万四索四索四索六索八索六筒七筒八筒  リーチ  ドラ七索

抑え込みも兼ねたのか、役有り一手変わり三色のドラ待ちカンチャンリーチ。
佐々木から気配を感じていたなら当然のヤミも、第一打の西が右田のマークを一瞬外したのだろう。
このリーチは右田らしい駆け引きリーチではあるが、この待ちは既に純カラ。
引き気味の四柳の手に1枚と、金子に暗刻。

ドラが暗刻の金子の手は、

四万四万五万六万七万八万三索三索七索七索七索中中 

右田のリーチを受けても真っ向勝負の構えの金子。しかしその積極策が裏目に出る。
15巡目、佐々木がツモ切った四万にポンの声を掛け、中バックのテンパイに。
この仕掛けによって、本来、佐々木がツモるはずだった、国士無双の当たり牌の北が金子の手に。  

一万九万一索九索一筒九筒東南西白発中中  ロン北 

金子の片アガリの中は無情にも佐々木の手中にトイツ。仕掛けさえ打たなければ、佐々木のツモアガリだっただけに、親の右田はホッと胸をなで下ろしたところだろう。逆に金子としては、3度の役満が全て金子の動きの後とあっては、胸中穏やかではないのかもしれない。

役満が3回も出た波乱の開幕であったが、真の主役は他にいた。四柳だ。
国士無双をアガった佐々木からも、

「四柳さんはパーフェクトだった。」

と言わせるほどの完璧な内容に笑顔を見せた四柳。
攻撃力が持ち味の対戦相手を横目に、次々とアガリを重ねて行ったのだが、その四柳が会心のアガリと語ったのが、佐々木の親リーチを受け、一歩も引かずに戦いを挑んで掴み取ったこの12,000。

三万三万五万六万七万四索五索六索四筒五筒五筒六筒六筒  リーチ  ロン四筒  ドラ五筒 

佐々木が役満をアガった4回戦でも、

一索二索三索四索五索六索八索九索六筒七筒八筒九筒九筒  ロン七索  ドラ四索

金子から7,700を打ち取る。
このアガリを皮切りに攻めに攻め、ポイントを積み重ねた四柳。

「しっかりと攻めることが出来ました。」と語る表情からは、自然と笑みがこぼれる。

結果、役満をアガった3人を上回る4戦3勝、2着1回。
積み重ねたポイントは、+78.3Pと会心の首位スタートとなった。

逆に残念だったのが金子。
国士無双の放銃をはじめ、前述したように金子の動きはことごとく裏目に。
四柳の7,700点のアガリも、金子3巡目、

七万八万九万六索七索七索一筒一筒四筒五筒七筒八筒八筒  ツモ九万  ドラ四索

この九万をツモ切り。
一見自然なツモ切りに見えるが、一発裏ドラの無い競技ルールにおいては、この手の余剰牌八筒七索にはあまり魅力を感じない。ここでスリムに打八筒や打七索としておけば、7巡目のツモ九万で三色の渡りと雀頭選択、ターツ選択が出来るこの形に。

七万八万九万九万九万六索七索一筒一筒四筒五筒七筒八筒  ドラ四索

この牌姿になっていたはずであり、四柳に七索を放銃することなく、手牌進行を果たしていたとみるがどうであろうか?

もちろん、序盤から失点が続き、ポイント的に余裕がないからこそ、この八筒七索が手中に残る手組になるのであるし、そういった心の余裕を生ませないのがA2の対局だと言えるのだが。
まだ開幕したばかりであるだけに、2節以降の金子の奮起を期待したい。

春の嵐は巻き起こしたのは四柳1人だけではなかった。
隣の卓に目を移すと、こちらも今期初挑戦の刀川が、山井、黒沢、白鳥、山田に挑戦を挑む形となっていた。この卓では、山井が持ち前の爆発力を発揮する。

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着順的には3、1、1、3とまずまずと言えるのだが、特筆すべきはその内容。
4回戦、77,000点越えの特大トップで大幅な加点。
特にオーラスの親番で、跳満を2発ツモアガリ。本人曰く、

「まだまだ全然ですよ。」

とのことであるが、山井のストロングポイントを如何なく発揮したスタートダッシュに、今期こそはとの想いも強いだろう。

A2初参戦の刀川も、道中苦しみながらも最終戦で嬉しい初トップを飾り、ポイント的にはマイナスも本人的には納得の結果ではないか。

もう1つの卓、滝沢、遠藤、石渡、前田、仁平の卓は比較的穏やかな結果に。

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A2復帰の滝沢と前田は手堅くまとめ、こちらの卓内トップは遠藤。首位の四柳、2位の山井とはポイント的には大きく離れてしまったとはいえ、上々の滑り出しに本人も満足に違いない。

今期よりAリーグは9節半荘36回の戦いとなった。
昨年とは対戦数が若干減ったため、時期尚早とはいえスタートダッシュを決めた四柳と山井が昇級争いをリードしていく事は間違いない。

昇級組の4名も中位につけ、上位進出を窺うポジションに陣取ったことは今後の昇級争いもますます熾烈を極めることだろう。

とはいえ、長いリーグ戦はまだ始まったばかり。
最終節まで息の抜けない戦いが続くはずだ。