プロリーグ(鳳凰戦)レポート

第32期A2リーグ第3節レポート 佐々木 寿人

今期のテーマは『棒』。
平たく言えば、昔のスタイルに戻すということだ。

きっかけは前期のプロリーグである。
荒正義さんをはじめ、沢山の先輩方に、「バランスが良くなった。」とは言われたが、結果的には昇級を逃してしまった。
ポイントを持ってから、自分の麻雀に微妙な変化があったのだ。
敗因を自分なりに考えた結果、もっと戦う局面を増やさなければ、というところに行き着いた。

ここ数年は捨て局が増えた。つまりは、遊び手を多く打っているのである。
遊び手がアガリに結びつくことなど、30局に1局程度のものだ。
ここに、どれだけムダな局数を費やしているかがわかる。
自分が遊び手を打った分だけ、相手は楽になる。
もちろん、全てを0からやり直すというわけではないが、『棒』で打つことに一番の意識を置いていたことは間違いない。

それを如実に示しているのが、1回戦東2局の親番である。

三万四万三索四索四索四索一筒三筒五筒五筒五筒六筒七筒  ツモ一筒  ドラ発

5巡目に一筒を引いた場面だ。
345の三色も見える以上、ツモ切りが手筋だろう。しかし手順は三索切りである。
それこそが棒の一手である。

前局に2,000・3,900を引きアガっていたことも大きい。
まずはアガリを重ねること、手役は二の次である。

三万四万四索四索四索一筒一筒三筒四筒五筒五筒六筒七筒  リーチ  ツモ二万

 

ただ、この日はブレーキの性能が格段に悪かった。

六万七万八万一索一索三筒五筒  ポン西西西  チー六索 左向き四索 上向き五索 上向き  ツモ東  ドラ九索

3回戦東4局1本場、私はここからノータイムで東をツモ切っているが、この時の親山田浩之の河が以下なのである。

一万 上向き五万 上向き七索 上向き七索 上向き三万 上向き三索 上向き
三索 上向き白八筒 上向き六万 上向き五索 上向き四万 上向き
六索 上向き南

ピンズの一色手がかなり濃厚な捨て牌で、すでに八筒が余っているのだ。
これが当たったとして、何らおかしくない牌である。
だが、これを仕掛けたのは、中盤から対応の気配が出ていた北家の西岡慎泰だった。
東ポンの打北として、捨て牌はこう。

二筒 上向き七筒 上向き六筒 上向き南四筒 上向き二万 上向き
発白白六万 上向き九万 上向き三万 上向き
二万 上向き北

こちらもまた、ソーズが異様に高い河になっている。
この北を山田がポンして打二筒
山田、西岡共にテンパイは明白である。

{次のピンズ、ソーズは止めだな}

心の中ではそう思っていた。
ところがいざ三筒を引くと、逡巡している自分がいる。負ける日というのは、総じてブレーキが利かないものだ。
頭では六万切りとなっているのに、実際には五筒に手を掛けてしまっている。これはただの欲である。

仮にこの五筒を押し切ったところで、一体何で止めるというのだろうか。
こちらは所詮クズ手。いくら『棒』でも、その前の東で歯止めを利かせるべき局面だったように思う。

一筒二筒三筒四筒四筒四筒五筒中中中  ポン北北北  ロン五筒

今節を終え、私の負債は70Pを超えた。
だが落胆はしていない(むしろしなさいと怒鳴られそうだが…)。
『棒』の精度を上げるにはもう少し時間がかかりそうだが、まずはしっかりとした土台を築いていきたいところである。