プロリーグ(鳳凰戦)レポート

第32期A2リーグ第5節レポート 西岡 慎奏

前半戦最後の対局となる第5節。
「昇級は諦めていない」と強がりを言っているが、一度も降級ラインを脱した事がないのが現実。
考えれば考えるほど戦い方が決まらず、出した答えはカッコつけない事、自分らしく打つ事。
そういった中で、対戦メンバーとなったダンプ、内川、吉田は比較的馴染み深く、普段の自分で対局に臨めたかもしれない。
ポイント的にはこの中で唯一プラスのダンプを寄り切らせず、がっぷり四つで組むことだ。

ところが1回戦目から感覚が付いてこない。
東1局南家、以下の形から北を暗カン。

七索八索九索三筒四筒六筒七筒七筒八筒九筒  暗カン牌の背北北牌の背  ドラ七索

直接のテンパイチャンスは変わらないが、北切りとした方が良形となる可能性は高い。
しかし、北暗カンとしても場に2枚切れの八筒以外はリャンメン系のテンパイとなる。
打点を重視した自分の選択は間違ってはいないだろうが、結果は1,300・2,600ツモアガリの可能性を逃した上に、親のダンプに連荘を許してしまい気持ちを引きずっていた。

南1局では、8巡目ヤミテンで内川がアガる。

五万六万七万三索四索五索五索六索八索八索五筒六筒七筒  ドラ一筒

放銃は親で手を進めたダンプだったが、戦える手になっていない自分でも切った可能性が高く内心ホッとしていた。
内川は8巡目と早いテンパイながら、長考を入れた後の七万切りと捨て牌を考慮すると、タンピン系で手が早いのは十分に考えられる。
引きずった気持ちから、集中力を欠いてしまっていたのだろう。
痛手を負わなかったのはラッキーにすぎない。

ただ展開には恵まれ、何とか1回戦目をプラスで終える事ができた。
そして、休憩を挟んだことで少し落ち着くこともできた。

そのおかげで、2回戦目はなかなかアガリに繋がらないまでも、途中までバランス良く戦えていたと思う。
しかし、リーチ合戦で親の内川に競り負け放銃となると、次局にドラ暗刻となった手牌を打牌選択ミスしてしまう。(最速テンパイを拾えなかった事で冷静さを欠いてしまった)

たまたま次局面前ホンイツ一通をアガる事ができ2回戦目もプラスとなったが、やはり課題は精神面だと認識させられた。

何とか全戦プラスといきたい3回戦目だが、状態は良くなくラスとなってしまう。
しかしその中でも、失点を最小限にできたのは良かった。
特に、南3局で原点復帰には連荘が必須とも言える親番でも、内川のアガリ牌を止めてオリる事ができたのは忍耐力があったと思う。

そして4回戦の東3局、北家の吉田が親の第一打目をポンしたかと思うと、次々と有効牌を引き入れホンイツ小三元をテンパイする。(1フーロのみ)
自分は打点の見込めない手牌で字牌を切り出していかず、冷静に対応できた。(当然の事ではあるが)
結果は吉田の3,000・6,000ツモアガリとなったが、1回戦目の何気ない横移動とは違いテンパイの巡目や打点が予想できており、こういったときは不思議に状態が良くなっていく気がする。

すると直後の東4局、ミスなく6,000オールをアガる事ができ、20戦目にして念願のA2リーグ初トップを取る事ができた。

実は2回戦目のオーラスには、親リーチの現物待ちにも関わらず、浮きの点数からピンフドラ1をリーチしている。(強引にでもA2リーグ初トップが取りたかった)
そういったところ、セオリーを無視してカッコつけず、自分の都合で麻雀できていたのかもしれない。

他の競技のプロプレーヤーも、真剣にプレーしている中で個性や喜怒哀楽があったりする。
“当たり障りのないプレー”を繰り返すのではなく、第6節からの後半はもっと自分らしくプレーして良い戦いをみなさんに見ていただきたい。