プロリーグ(鳳凰戦)レポート

第32期A1リーグ第9節レポート 仁平 宣明

いよいよ今期のリーグ戦も大詰め。僕の成績は現状11位と完全に後がない土俵際。
今節は是が非でもプラスしなくてはいけない闘いとなった。

自分がプラスしても、現状10位のともたけが同じくらいプラスするとかなり厳しいので、とにかく自分がプラスする事は絶対だが、出来ればともたけとの50差を詰めたいという思いの中始まった。
そして対局を終えた今、なかなかこのレポートの筆が進まない。
今節はチャンスがあったのに、自らのミスでそのチャンスを逃してしまったからだ。

開局、気持ちはかなり強かったと思う。それに応えるように牌も寄ってきて、5本積んで点棒は五万点を超えた。
この時点で目標であったともたけを交わしたという事を、早くも少し意識してしまった。
まだ始まりの東1局にである。

その瞬間に親はともたけに流され、東2局、瀬戸熊のリーチに手が詰まりおりうち放銃。
だがここまではまだ良かった。
この次の局が今日の流れを決めてしまったのではないかと思う。

手牌は相変わらずいい。
東3局 西家 配牌でドラ暗刻の勝負手牌。
ツモも効いて順調に手牌が伸びている中、上家の近藤が切った八筒に、

四万四万四万六万七万五索六索五筒五筒六筒七筒東中  ドラ四万

この手牌からチーの声をかけてしまった。
確かに手牌はこれでリャンメンリャンメンのドラ暗刻1シャンテンであるが、こんなリャンメンをチーしたら、よっぽど手牌が良くない限り近藤は何もおろしてくれなくなるのが必然。
何より自分の好感触のツモを流してしまう。案の定、すぐに下家のともたけに八筒が下がってしまった。

当然、この局はともたけにさばかれ終局。
こうなると、本当に苦戦していたともたけが、オーラスに跳満ツモで浮きにまわってしまうのも納得出来る。

2回戦目はともたけを沈めて浮きの2着をとってこの時点で差を20弱とした。

3回戦
東1局、手組みはすごく良かったと思う。
第一打に九索を切ってそこからうまくソウズに寄せてメンホンテンパイ。
しかし、ここでの打牌選択がこの局の行く末を決めてしまう。

東1局 北家

一索一索六索六索七索八索八索西北北白白白  ドラ西

ここに七索ツモで上家のピンズのホンイツ模様の近藤の仕掛けが遠そうなので、今なら確実に通る西を切って誰もがツモ切りそうな北一索のシャンポン待ちを選択する。
1枚切れの北なら跳満あるし、点数的には大差ないがこの打牌が他の3人を楽にさせてしまう。

ともたけに西を合わされテンパイを入れられその後、ともたけのリーチ宣言牌を近藤に鳴かれてその鳴きで下がってきたツモが西だった。
倍満のアガリ逃しになったかどうかは微妙ではあるが、少なくともともたけのアガリは無かったように感じる。
親の瀬戸熊の不調を考えれば、ここは高め取りの方が良かったように思う。

この半荘はなかなか手が入らずやっと入った三色ドラ1の手も、近藤と手牌がぶつかって七索を掴まされ手痛い5,200の放銃となる。
ともたけはうまく局を進めプラスでこの半荘を終える。これで差は一桁になってしまった。
1回がものすごく大事な闘い。ともたけに浮かれ自分が沈んでしまうのはタブーである。

4回戦 
東4局、南家・瀬戸熊の先制リーチを受けて手牌は

一万一万五万五万一索三索三索四索四索五筒五筒東南  ドラ五筒

ここに一索を引いてテンパイ。
僕の相手はともたけであるが、今日の瀬戸熊の不調を考えるとこの瀬戸熊の親の局は自分に手が入るような気がしていた。
そしてぶつけるならこの局だとも思っていた。しかし、ここで選択をミスする。

東南の選択なのだが、東は親の瀬戸熊に打ちにくい分、2人に持たれている可能性がある。
たとえ山だとしても脇の2人からの出は期待出来ない。ここは東を勝負するべきだった。
待ち牌に南を選択していればおそらくリーチ宣言をしていたであろう。
しかしもっとも消極的な東待ちのヤミテンを選択してしまった。

実際は東南も山に3枚残っていたのだが、東は脇の2人に流れ南ならばツモっていた。
これでこの半荘は瀬戸熊モードになるであろうが、すぐに親は落ち今節最後の南場の自分の親を迎える。

この親は是が非でも落としたくない。
小さく連荘してリーチが流局した次の局、アガリよりも打点を選択してアガリ逃しをした後、親を絶対に落としたくない気持ちから、瀬戸熊のホンイツ仕掛けと近藤のドラポンに5割以上は当たる高いピンズの五筒で満貫放銃。
これは自分のスタイルでは絶対にあり得ないが、この追い込まれた状況なら他の判断が出来たかというと微妙である。

これでともたけと点棒が並び、オーラスともたけの仕掛けを見て仕掛け返してテンパイを入れてめくり合いに持ち込むが、ここで引き負けてこの日のスコアはお互い同じくらいのマイナスで、ともたけとのポイント差はふりだしに戻ってしまった。

最終節、A1に残留する為には残り4回でともたけとの50差をまくって、且つポイントが並びになった荒よりもポイントを上回らなくてはならないという厳しい条件になってしまった。

A1でここまで闘ってみて本当に別次元の凄さを経験している。
このリーグに1年でも長くいる事が自分の実力向上になる事は間違いない。
その為にも絶対にここで踏み止まらなくてはならないと思う。

今月末には最後の闘いが始まる。
それまでに自分が今出来る精一杯の準備をして、出来る全てを出し尽くして望みたいといと思う。
最高の相手と戦えるのだから。