プロリーグ(鳳凰戦)レポート

第38期鳳凰戦B1Select前期第5節レポート

【第38期鳳凰戦B1リーグ前期最終節 井出、柴田がA2昇級。放送卓の安村、猿川は残留に】

昇降級が確定する最終節。
放送卓の対局者はこちらの4名。

安村浩司
中川基輝
猿川真寿
櫻井秀樹

 

 

今期は昇級枠に居る井出、柴田が第4節終了時点で大きくプラスしているため、一番ポイント差の少ないこの卓がセレクトされた。

 

 

+12.4Pの安村は同卓に目標選手が居ないため、正確なポイント計算は出来ない。2位柴田とは136.4P差。柴田がマイナスするパターンを考慮しても昇級には+70Pは必要だろう。
中川、猿川は±0なら残留出来そう。まず自身が沈まない事。序盤にマイナスした方は櫻井の目標となるため、互いより上の着順を取っておきたい。
櫻井は開始前残留の福島のポイントを目安にすれば+70Pほど必要。中川か猿川を交わせれば+40Pでも可能性はある。

 

 

1回戦東2局。マイナスが許されない櫻井がピンズのホンイツ。九筒切りテンパイとすると、猿川からロンの声。

 

 

七対子ドラドラ9,600。櫻井はポンテンを取るにしても四筒六筒九筒と選択出来ただけに、本人がインタビューで悔いていた。

しかし放銃が櫻井に火を点けた。東3局1本場。リャンメンに取れる手牌を東七索のシャンポンに受けてリーチ。高めの東をツモって2,100・4,000のアガリ。

 

 

その後も2,700オール(+2,000)や5,200は5,800などをアガった櫻井が1回戦逆転トップ。

1人沈みを引かされた中川だが、2回戦は西単騎の2,100・4,100のアガリと好スタート。

 

 

さらに1,600オールをアガってトップ目に立つ。しかし、東4局2本場に中川の今期全てを決めてしまうほどの局が訪れた。まず親番安村の先制リーチが飛んでくる。

これを受けた中川は、櫻井のピンズホンイツも気にかけていた。「現物の二筒は櫻井さんに切れない。1枚切れの南と生牌で2枚持ちの発は実質同等の危険度とみなし、甘えで南を切ってしまいました(中川)」とインタビューで語った。

 

 

櫻井への8,600(+2,000)放銃の後悔が渦巻く中でも止まらず進む対局。中川が気持ちを立て直し切れないうちに、親番の櫻井から早いリーチが入る。

 

 

痛恨の三筒オリ打ち。またも櫻井に7,700を献上してしまう。

オーラスには3着目の安村が3,900は4,000オールツモ。素点を削られ続けた中川は1人沈みを回避するのが精一杯だった。

3回戦東4局。3ラスだけは避けたい中川がドラの発九索のシャンポンでリーチ。

 

 

安めながらも九索ツモで2,100・4,100。次局も500・1,000ツモで執念の原点超え。

しかし櫻井もここが勝負所。1,400・2,700ツモで2着目まで漕ぎ着けてオーラスへ。安村、猿川の2人テンパイ。次局は櫻井1人テンパイ。テンパイ料でラス落ちした中川は3連続ラスでいよいよ窮地に立たされる。

 

 

3回戦終了時の成績表はこちら。
5位安村は降級の心配はない。昇級も難しいが最後まで上を見て戦える。
11位猿川は浮けばほぼ大丈夫、3着でも素点がある程度あれば残留出来そう。ラス、もしくは中川か櫻井に交わされると降級が見える。
櫻井と中川の差はわずか1.1P。最終戦沈めばだいたい降級。自身がプラスで猿川もしくは別卓の藤原、ケネスが沈めば残留が見込める。
選手全員が3回戦までのポイントを確認して、最終戦は別会場と同時刻にスタートした。

 

 

東2局。中川が二筒三筒のシャンポンで先制リーチ。アガれなくてもいいから親番だけは連荘したい。そんな祈りを込めたリーチのみ。

同局、猿川の手牌にピンズが集まる。

 

 

メンホン四暗刻の1シャンテンから七筒を2連続で引き、ツモ発メンホンイーペーコーの3,000・6,000(+1,000)。役満にならずとも、猿川が一足先に残留確定のアガリを決めた。

4回戦オーラス。櫻井にテンパイ。打点も欲しいが、自分がリーチ棒を出すと、中川に満貫直撃か跳ツモ条件がつくのでヤミテン。

 

 

中川は倍満ツモで櫻井をかわせるが、条件を満たすテンパイが入ったのは最終手番。2人テンパイで流局となった。

 

 

安村は降級争いを邪魔するでも巻き込まれるでもない、安定感が光った対局だった。
「連続降級を避けるために今期は守備よりに打ちました。来期は本来の攻撃で昇級を目指したいと思います(安村)」。
猿川は降級も見える位置でのスタートだったが、要所のアガリが冴えていて危なげがなかった。
櫻井、中川は残念ながら降級となった。特に櫻井は残留したケネスとの差はわずか1.2Pと惜しい結果に。対局前に「近年の稽古不足・モチベーション不足を象徴したような酷いリーグ戦でしたが、最期くらいはいい麻雀をして終えたいと思います!」とツイートしていた櫻井は、この部分は十分達成していたように思う。
厳しい対局を終えた中川も反省を噛み締めながらも気丈にインタビューに答え、前を向いていた。一握りの者しか味わえない勝利のために何十倍、何百倍も負ける悔しさを味わう世界であるが、また勝利を掴むために練習し、勉強を重ねて次の対局に挑むのである。

 

 

昇級枠からスタートした井出康平、柴田吉和はそのまま昇級を決めた。この2名は半年間はリーグ戦がなく、来年の4月からA2リーグに参戦する事になる。初Aリーグの両名の活躍も今から楽しみである。

 

 

 

 

(文:編集部)