女流プロリーグ(女流桜花) レポート

第17期女流桜花Aリーグ第6節A卓レポート

【Aリーグ第6節A卓、吾妻が大勝でプレーオフ圏内に。逆に仲田は降級ポジション】

 

 

8位鈴木彩夏、9位吾妻さおり、10位仲田加南、12位伊達朱里紗の4者の対戦。
過去に女流桜花を4回獲った仲田、2回獲った吾妻がこの位置ではあるが、この日をいれて2節とプレーオフがある。
爆発力のある2人だからこそ、可能性は高くはないものの、まだ決定戦進出を狙っているだろう。

今期初めて女流桜花Aリーグに上がった鈴木は、第1節に▲101.5Pいうほろ苦いを遥かに通り越したデビュー戦だった。
2節目以降取り返して現在8位。プレーオフ圏内ではあるが、今日の出来次第では、残留を意識するかもしれない。

伊達は残留ボーダーギリギリの12位。
最低限は現状維持。プラスを持って帰りたいと誰しもが思うところ。

1回戦、好スタートを切ったのは鈴木。
東2局、終盤にテンパイしたドラ単騎が、望外のツモアガリ。2,000・4000。
その後、南2局では四暗刻。+49.7Pの大トップで1回戦を終える。
これで降級の心配はなく、決定戦を見て戦えるようになった。

 

 

 

 

2回戦も東4局の親番で、三色同順の変化を待ってからリーチ。見事高目をツモって6,000オール。
この半荘のトップは吾妻に譲るも、素点の大きい2着で、すでに今日のプラスは+71.8P。
トータルでもこの時点で5位まで浮上した。

 

 

解説の藤島が鈴木の手順の良さを褒めていたが、特に絶賛していたのはこの局。

 

 

ここからの六索切りに、「桜花Aが1年目とは思えないね。かなり公式ルールが好きだと思う。」と感心していた。
手拍子で三万切りとしそうなものだが、仮に絶好の四索が入ったとして、リャンメンと3メンチャンの1シャンテンになるが、形はいいもののリーチのみの1,300の手。
ピンズの一気通貫になる場合はソーズのターツは1つでよく、1つでよければ三万は残して234や345の三色同順も視野にいれる、という意図だ。

しかし、内容はよかったものの、3、4回戦はどちらもラスを引いてしまい、最終的には+33.3Pと途中を思うと物足りなかったかもしれない。

 

 

(終局後のインタビューにて、実況の松田から「鈴木さんは公式ルールがきっと好きなんだね。凄いね。」と藤島が褒めていたと伝えられたときの表情)

 

「自分の頭が取り返さなきゃ、って思ってたんだなと気づいたのが一万四万七万に受けず東単騎に受けた局で…」
と伊達は反省の弁を述べた。

 

 

 

 

5,800(2,600オールのパターンもある)と12,000での打点の差は大きく、東単騎に受ける気持ちは非常にわかる。
ただ、こういう劣勢で深追いすると傷を広げることが多いと、KONAMI麻雀格闘倶楽部のチームメイトの佐々木や滝沢から教わっているようにも思う。
「最終節がC卓で、他の人の結果をある程度見てから打てるので、ポイント状況は厳しいですが、目標をもってしっかり出来ることをやりきりたいと思います。」
鈴木と吾妻が好調で苦しい1日だった。

 

 

1回戦がラスだった仲田、2回戦東3局の親番で工夫をみせる。
0本場は、後手だったが追いついてダブ東のアガリ。
1本場は、終盤にリーチをして1人テンパイ。
ビッグイニング(これは野球の用語だが)にすべく、この局は中ラリアット(格闘ゲームの技ではないが)を決めたかったのだと思う。
リーチをすれば、出アガリは期待できない。

 

 

そして、ヤミテンに構えたことでのこの変化だ。
ヤミテンは続行。五筒八筒待ちはかなりよく見えて、誰からでも出アガリできそうだ。
仲田のアガリになれば大ファインプレーで、大連荘につながったような気もするのだが、好プレーは実らず、アガったのは吾妻。
以降、仲田は色々と打開を目指すも、吾妻に抑え込まれ▲67.7Pの敗戦。
この局の結果が、今日1日の大きな分岐点になったと思われる。

 

 

(リーチしていれば、吾妻は四筒七筒も切れずアガリはなかったので、こういう捌かれ方はグッとくるものがある。)
「いいプレーはたくさんあったんだけど、残念ながら今日はそれがスコアに結びつかなかった。」と解説の藤島の総括。

 

 

仲田「初めての残留争い、(自分も)見ている皆さんも楽しめるように、頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします。」

 

「色々覚悟を決めて…最悪のパターンも想定してきた」とは吾妻。

 

 

鈴木の四暗刻を親被りしたのは吾妻。
1回戦のマイナスで残留争いに重きを置くことになりそうだったが、
2回戦、鈴木の6,000オールの次の局に、親の鈴木のリーチに押し切って、ホウテイ、三暗刻、ドラ3の12,000をアガったあたりから徐々に吾妻のペースになり、この2回戦をトップで終えると、

 

 

3回戦、4回戦と3連勝し、+70.8Pの大勝。
残り2節での決定戦進出が無くはないポジションまで上がってきた。

 

 

(嬉しい高目のツモアガリ。白、ホンイツ、ドラの4,000オール。)

なお、藤島がこの日の一番嬉しいアガリを聞いたのだが、前述、仲田のファインプレーを阻んだ400・700だそうだ。
「渋い局選ぶねー」と藤島に言われたときの笑顔をインタビューから掲載した。

 

 

(画像は再掲。吾妻もここが分岐点になりそうだったと感じていたらしい。)

本日の最終成績、およびトータルの順位は以下になった。
上位、下位は大混戦。最終節もお見逃しなく。

 

 

(文:福光聖雄)