女流プロリーグ(女流桜花) レポート

女流プロリーグ(女流桜花) レポート/第11期女流桜花プレーオフB卓レポート 楠原 遊

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11月16日、女流桜花のプレーオフB卓が行われた。
先日行われたA卓の結果を踏まえた現在のポイントは以下の通り。
1 魚谷 +196.6P(4/4)
2 仲田 +135.7P(0/4)
3 松岡 +106.8P(0/4)
4 斉藤 +33.2P(0/4)
5 美波 +26.2(4/4)
6 武石 +5.8P(0/4)
7 亜樹 ▲14.3P(4/4)
8 清水 ▲17.6P(4/4)
本日の対戦者は、2位仲田+135.7P、3位松岡+106.8P、4位斉藤+33.2P、武石+5.8P。
1位の魚谷がほぼ決定戦進出確定のため、残り2つの椅子をB卓の4名で争うこととなる。
ポイントで先行している仲田・松岡に、追う斉藤・武石が直接対決でどこまで迫ることが出来るのかが今回の見どころとなる。
 
1回戦 仲田 武石 松岡 斉藤
北家の仲田が7巡目にテンパイ。
四万五万六万一索二索三索一筒一筒四筒五筒六筒東東  ドラ七万
片アガリだが、ドラの振り替わりもあるヤミテンに構える。
次巡、松岡にもテンパイが入る。
二万二万二万五万六万六索六索三筒四筒五筒七筒七筒七筒
この手をヤミテンとする。
そして次巡、テンパイした武石の宣言牌七で、タンヤオ・ドラの2.600のアガリ。
普段、リーグ戦での松岡はリーチをかけそうな手。ポイントのアドバンテージを意識してか、慎重なゲーム入りとなった。
南1局、仕掛けた松岡が一番乗りのテンパイ。
六万六万二索三索四索四索五索六索四筒五筒  ポン中中中  ドラ八索
そこに、三番手、斉藤からの勝負リーチ。
三万四万五万七万八万九万八索八索二筒三筒四筒五筒六筒
先行テンパイの松岡だったが、躊躇なく現物の六索を切ってオリ。
1人旅となった斉藤の2.000・4.000。
南2局、親の武石の手が
五万六万三索三索三索四索一筒二筒三筒四筒五筒七筒七筒  ツモ八筒  ドラ東
ここから1シャンテン取らずの打七筒。さらに四索を引いて打五万
親番ではあるが決定戦を意識して手を高く、しっかりと作っていく。
しかしテンパイ一番乗りは松岡。
四万五万六万二索三索五索六索七索五筒六筒七筒東東
フリテンの一索四索待ちをヤミテンとして、次巡さらにツモ東二索単騎に待ちかえ。
しかし親の武石も、すぐに狙い通りの一気通貫のテンパイで追いつきリーチ。
三索三索三索四索四索一筒二筒三筒四筒五筒七筒八筒九筒  リーチ
ドラ3の松岡の押し引きに注目が集まったが、すぐに現物の七索を抜いていった。
全4半荘のまだ1回目。勝負どころはここではないと踏んだか。
結果は武石の1人テンパイ。
持っているポイントに応じた、各者の打ち方が光る局だった。
オーラスはトップ目の仲田が松岡からチートイツの1,600をアガリ、1回戦が終了した。松岡は苦しい1人沈みの4着。
1回戦結果
仲田+12.0P 武石+4.4P 斉藤+1.1P 松岡▲17.8P
トータル
仲田+147.7P 松岡+89.0P 斉藤+34.6P 武石+10.2P
 
2回戦 斉藤 武石 松岡 仲田
昨年のプレーオフ、斉藤は2位からのスタートだった。
と言っても、2位から6位が24ポイント差にひしめく混戦状態。
4回戦を終えて▲46Pした斉藤は順位を落とし、決定戦進出はならなかった。今年こそは、と思う気持ちは追う立場でも、いや追う立場だからこそ一層強いだろう。
東1局、親の斉藤にダブ東が暗刻の形。
二万四万五万六万六万七万九万三筒四筒五筒東東東白  ドラ四万
ここから生牌の白を打たずに打二万、続く四筒もツモ切る。
その間に松岡の手も伸びる。
五万六万七万八万九万二索二索五索六索五筒八筒八筒東  ツモ八万
親はマークすべき3番手の斉藤だが、ここから生牌の東を切りだしていく。
1回戦とはうって変わって、積極的な手作りに見える。
しかし斉藤が13巡目に五万を引いてテンパイ、打九万
四万五万五万六万六万七万三筒四筒五筒東東東白  ツモ白
すぐに山に3枚残っていた白をツモって4,000オール。
生牌の白を簡単には見せず、最後まで大切に打っていた斉藤に嬉しいアガリとなった。
東1局1本場、南家の武石にテンパイが入る
二万三万四万二索三索四索九索九索九索二筒三筒七筒七筒  ドラ二筒
表示牌の一筒は場に合わせて2枚切れ。四筒は生牌。
ここはヤミテンに構える。
しかしすぐに、すでに一筒を切っている松岡がこれをツモ切る。もちろんアタれない。
ここに北家の仲田からリーチ。
七万七万七万六索七索八索五筒六筒七筒西西北北  リーチ
すぐに武石が西をツモ切って1,300は1,600の放銃。
終わってしまった局にたらればは尽きないが、あの時リーチをかけていたらどんな結末があったのか、考えさせられる局だった。
東4局1本場、北家の松岡が積極的に仕掛けていく。
四万五万三索四索八索八索八索  ポン北北北  ポン五筒 上向き五筒 上向き五筒 上向き  ドラ八索
ここに五索を引いてきてドラを切ってリャンメンテンパイとする。
斉藤もすぐに発のポンテン。
三万三万五万七万八万九万一索三索五筒六筒七筒  ポン発発発
しかしそれよりも先にテンパイしていたトップ目の仲田が、松岡のアタリ牌を引いて勝負手のリーチ!
二万二万三万四万四万八万八万五索五索六索六索七索七索  リーチ
場に緊張が走るが、ここは松岡がラス牌の三万を引いて1,000・2,000は1,100・2,100。
ここまでの展開を見て、1回戦と明らかに松岡の打ち方が変わっていることに気づく。鳴くべき牌は鳴き、切るべき牌は切る。
松岡の武器である素直な麻雀が、ここにきて戻ってきた気がした。
しかし追い上げる斉藤も、勝ちたい気持ちでは負けてはいない。南場も丁寧に打ち、オーラス、仲田から1,000点をアガって1人浮きのトップをもぎ取る。
泣いても笑っても残り2回、各者の麻雀から目が離せない。
2回戦結果
斉藤+29.0P 武石▲2.3P 松岡+▲5.7P 仲田▲14.9P
トータル
仲田+132.8P 松岡+83.3P 斉藤+57.5P 武石+7.9P
 
3回戦 仲田 斉藤 武石 松岡
東場から、松岡がよく攻める。東1局に1,300放銃、東2局に4,500アガリ、東3局に1,300放銃と、1回戦とはまるで別人の麻雀を打っている。
そしてトータルトップ目の仲田もただ逃げるだけではない。
東4局
一万一万三万四万五万七万八万  ポン中中中  ポン発発発  ツモ九万  ドラ一万
仲田が強烈な3,000・6,000をアガってトップ目に立つ。
南1局、親の仲田が先行テンパイ
二索三索四索四索一筒二筒二筒三筒三筒四筒七筒八筒九筒  ドラ一筒
これをヤミテン。すぐに追いついた松岡
三万四万五万六万六万五索六索六索七索七索二筒三筒四筒
ここでもリーチに踏み切った。
このリーチに、国士1シャンテンの武石が飛び込んで3,900。このアガリで浮きに回る。
上位2人が局を回す展開になった。だが、斉藤・武石もこのままでは終われない。
南2局、親番の斉藤の手
一索五索六索七索一筒一筒三筒三筒五筒五筒六筒発発  ツモ一索  ドラ一索
待望のドラ引き、トイツ手なら1シャンテン、メンツ手ならリャンシャンテン。ここから逡巡せず打三筒。メンツ手に決めた。そしてツモ一筒、打三筒発ポン。
一索一索五索六索七索一筒一筒一筒五筒六筒  ポン発発発
この形でテンパイ。
しかしポイントが欲しいのは斉藤ばかりではない。
武石もこの手でリーチ
七万八万九万四索五索六索七索八索九索八筒九筒南南  リーチ
松岡も回ってテンパイ。
四万五万六万一索二索三索五索五索七索八索三筒四筒五筒
しかし誰にもアガリは来ないまま、流局かと思われたハイテイで斉藤が七筒をツモり執念の4,000オール。
南3局、ここでも手がぶつかる。
松岡
二筒二筒五筒六筒八筒八筒八筒  ポン九筒 上向き九筒 上向き九筒 上向き  ポン北北北  ドラ一索
斉藤
二万二万六万六万七万七万八万  ポン白白白  ポン発発発
しかしその2人の勝負をよそにアガったのはトップ目の仲田。
五万七万四索五索六索三筒四筒五筒七筒七筒  チー六索 左向き七索 上向き八索 上向き  ツモ六万
大きな300・500で、局を終わらせた。
そしてオーラスも仲田の1人テンパイで終了。大きく存在感を示した半荘だった。
3回戦結果
仲田+22.2P 斉藤+8.8P 松岡+▲7.9P 仲田▲23.1P
トータル
仲田+156.0 P松岡+75.4P 斉藤+66.3P 武石▲15.2P
 
4回戦 仲田 松岡 斉藤 武石
仲田が2回目のトップを取ったことによって決定戦へのチケットは実質残り1枚。
松岡と斉藤の差はわずか9.1ポイントまで縮まった。武石は大きなポイントが必要になってくるが、まだ諦めてはいないだろう。
残り1席をかけて、最後の半荘が始まる。
東1局、親の仲田が4巡目リーチ
五万六万七万三索四索七索八索八索八索九索東東東  リーチ  ドラ七索
ぶつかったら大ケガの満貫リーチ。しかしここは松岡が丁寧に打ってアガリをものにする。
三万三万四万五万六万二索二索三索四索四索五索六索七索  ツモ三索
追う者にとっても、追われる者にとっても大きな大きな2,000・3,900だ。
東2局3本場、2局連続松岡・仲田の2人テンパイが続き、我慢の展開が続く斉藤。
ここでも仲田
一万二万三万五万六万七万四索五索八筒八筒  ポン発発発  ドラ東
武石
四万五万六万六索六索六索五筒五筒八筒八筒  ポン東東東
2人のテンパイに挟まれながら自身もテンパイ。
一万二万三万七万七万七万一筒一筒一筒四筒五筒白白
役なしだがヤミテンに構え400・700は700・1,000のアガリ。
ここでも、いつもどおりの冷静な斉藤だ。
東4局、親の武石にテンパイが入る。
六万七万八万二索三索四索八索五筒六筒六筒七筒七筒八筒  ドラ六筒
七索が4枚切れている絶好の八索単騎。ここに飛び込んだのは松岡、痛すぎる7,700の放銃になった。
南3局、親の斉藤が8巡目にリーチ。
六万六万七万七万八万七索八索九索五筒五筒南南南  リーチ  ドラ四索
これを受けて武石の手が
八万八万八万一筒四筒四筒四筒八筒九筒西西西北北
四暗刻単騎になる1シャンテン。七筒は4枚切れ、北はまだ1枚残っている。ここでの武石の選択は打九筒。しかし実際、一筒八筒はすでに山に1枚も無かった。次巡、次次巡と続けて九筒が河に並んでしまう。
武石から見て、八筒九筒はどちらも場に生牌。この選択は非常に難しいものになったが、もしもこの局面、この手が成就していたならオーラスは全く違った展開になっていただろう。
この局は斉藤の1人テンパイで流局。
1本場も斉藤が3面張のリーチをかけるが流局、2本場に仲田が1,300は1,900をアガリ、斉藤の最後の親を終わらせる。
迎えたオーラス、松岡と7,700直撃・跳満ツモ条件を残した斉藤だったが、
二万三万四万五万六万七万五索六索七索二筒二筒六筒八筒  ドラ六筒
仲田が武石から2,600をアガリ、長かった4半荘を終わらせた。
4回戦結果
仲田+19.1P 松岡+10.6P 斉藤▲7.1P 武石▲22.6P
トータルポイント
※()内は消化ゲーム数
1 魚谷 +196.6P(4/4)
2 仲田 +174.1P(4/4)
3 松岡 +86.0P(4/4)
↑ これより上位3名が決定戦進出
4 斉藤 +59.2P(4/4)
5 美波 +26.2(4/4)
6 亜樹 ▲14.3P(4/4)
7 清水 ▲17.6P(4/4)
8 武石 ▲37.8P(4/4)
魚谷・仲田・松岡。現桜花宮内が待つ決定戦への挑戦権を得たのは以上の3名となった。
女王・宮内の連覇か、3期ぶり・6期ぶりの戴冠を狙う魚谷・仲田か、はたまた決定戦初参戦の松岡か。冬に咲く桜の花をめぐる戦いが、間もなく始まろうとしている。
12月10日(土)
第11期女流桜花決勝初日
12月17日(土)
第11期女流桜花決勝二日目
12月24日(土)
第11期女流桜花決勝最終日