女流プロリーグ(女流桜花) レポート

第10期女流桜花第1節レポート 澤村 明日華

今から3年前、女流プロの増加に伴い、それまでAB2リーグ制から、女流桜花にもCリーグが新設されました。
そんな年に、新人としてプロ連盟の門を叩いた私は、もちろんCリーグからのスタート。
「年にたった一度だけの昇降級、残留や降級をすれば、またあの憧れの場所が遠くなる」
そんな思いを胸に、1年目はただ必死に、がむしゃらに前へと進んで掴んだBリーグへの椅子。

2年目も同じ気持ちで挑みましたが、結果は残留。
「あそこで正解を選べていたら」、「ラスを回避できていたら」、「あの放銃がなければ」、
そんな後悔でいっぱいの気持ちになりました。

もちろん、麻雀はそんなことの繰り返しが、結果となる数字として現れていることはわかります。
それでもなお、後悔の気持ちでいっぱいでした。

悔しさと後悔の念を胸に挑んだ、2期目のBリーグ。
最終節に、再び試練の時がきます。
上はほぼ当確ランプが灯り、Aリーグへの最後のチケット争い。
浮けば昇級が見えてくるし、沈みならほぼ残留という条件。
「去年のような後悔は、もうしたくない」、胃が痛くなるような戦いの末、最後の最後で桜花の女神が微笑んでくれました。

第10期女流桜花Aリーグ第1節
【清水香織・小宮山一美・和久津晶・澤村明日華】

初めての女流桜花Aリーグが、ニコニコ生放送対局となりました。
生放送対局は初めてでしたが、スタジオへはタイトル戦の採譜をするため、もう何度も通っていて、それでも対局者としてスタジオに入るのは初めてのこと。
いつもは機械ルームに入るはずの私が、選手控室に、そして対局室へと向かい、初めて来たかのような心持でした。

さて今回、雀力や雀歴、Aルールや生放送などの経験値や実力的に、圧倒的な差がある大先輩方との対局において、今回頭から離さなかったことの1つとして、以下のようなものがありました。

◎より一歩、踏み込んでもらうこと
ヤミテンを多用し、より一歩踏み込んでもらうことにより、押し引きの判断基準に誤差を生じさせ、放銃を増やしてもらうことが目的でした。
もちろんたとえばこれが、二階堂亜樹プロや、内田プロ、安田プロのように対応型や守備型に対する場合、有効とは言えないと思います。
ですが、今回のように容易に叩き合いが想像できる相手であれば、こういったヤミテンを嫌がるのではないか、と考えました。

この戦法が正しかったのか、間違っていたのか。
正しく使えていたのか、使えていなかったのか。

正直もう一度、いいえ、何度も見返してきちんと自分で消化する必要があると思います。
今回は、間違っていた部分も含め、自分自身整理をするために、当時の考えを書かせて頂こうと思います。

第1回戦を+8.3Pと浮きで終え、緊張はほぐれぬまま迎えた第2回戦。

東2局南家

五万六万六万七万八万一索二索三索五索五索二筒三筒四筒  ドラ三筒

ヤミテンを選択。
手変りがある、というのも十分な理由ではありますが、上記の戦法もあり、ヤミテンを選択。
その間にも変わっていく場面。
早い巡目に切られている一万を見て、「四万は香織さんと和久津さん?」
清水プロの中盤の手出し「八万九索九万」を見て、「スライドかな・・・あそこに七万が1枚?」
八万は見えているのに顔を出さない七万に覚える不信感。
そんな風なことを考え、感じていた記憶があります。

そんなところに持ってくる手変りの牌、五万
リーチをかければ出アガリ3,900、もしくは7,700、ツモアガリ2,000・4,000へと変化し、教科書にはリーチと書かれている手牌。
私の選択は、ヤミテン続行。

もちろん、打点効率を考えたら、リーチを打つことが自然でしょうし、私の読みや、感じ取っていたものが合っているのかという不安もあります。
だからこそ私も普段の鳳凰位リーグ戦では(対局者の打ち筋も絞られないし)、リーチを打つことが多いし、それは私の力でできるのはここまで、と決めて、これ以上自分が変に手をこねくり回さないようにするためでもあります。

結果、すっと切り出される七万。3,900点の出アガリとなりました。
もちろん、これはただの結果であって、正解だった、というわけではありません。
むしろ今振り返ってはたから見たら、リーチでしょう、と感じます。

こうしてヤミテンにかまえてしまった理由はいくつかあります。
ですが、戦法が正しいだとか、使いどころが間違っているとか、そんなことよりも、まずそこへ「不安」という自身の精神状態が加味してしまったのが、今後一番の懸念材料です。

「今期をどうやって戦っていくか」
その方針が曖昧だったために、「緊張」「不安」「恐怖」に飲まれて、何もできなかったこと。しなくていいことをしてしまったこと。
そんな準備不足だったと言える自分が、とても格好悪くてたまりません。
せっかくAリーグへあがれたのに、せっかくいろんな方からご声援を頂いたのに・・・。

4回戦が終わり、トータルは▲31.9P。
戦法・技術・精神状態に問題があったことは否めません。
正直、まだ自分の中で先日の対局を消化しきれてもいません。
次の自分の対局、第2節目(6月3日予定)までの約1か月半の間、何度も何度も繰り返し対局を振り返り、問題点を1つずつ消化していこうと思います。

今回ご覧くださった視聴者の皆様、応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

「生放送で対局なんて怖い!いやだー!」

対局以前にはそんなことを思っていましたが、自分のレベルアップになる機会を下さった運営陣の皆様に、そして、私自身の最初の桜花の対局に自戦記を書かせていただいて、文字にしてきちんと振り返るという方法を教えて下さった諸先輩方に、
この自戦記を書き終える今は、自身の足りないところを気づかせて下さったことへ、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございます。

自戦記だというのに、対局の内容が少なくなってしまった気もしますが・・・
次回、少しでも成長した澤村を見せることが出来るよう、ふんばっていきますので、次回も(本当は見られるの、やっぱり少し怖いですけど、)ご視聴よろしくお願いします!

貴重な時間を割き、最後までお読み下さり、ありがとうございました!