女流プロリーグ(女流桜花) レポート

第10期女流桜花第6節レポート 魚谷 侑未

「今日は楽しかったです、ありがとうございました」

自分がプレーオフ通過が決まった瞬間、心からそう思って対戦相手に伝えた。
普通に考えたら、今日負けてしまった相手に失礼な言葉かもしれない。
でも、これは私にとって相手への最高の賛辞の言葉だった。

そう、素晴らしい面子で打てる麻雀は、辛くても苦しくても、最高に楽しいのだ。

女流桜花最終節。

+4.3Pの9位で迎えた私が、プレーオフに進出するには、仲田を交わすため少しの浮きが必要。

対戦相手は(敬称略)

和泉(+126.3P)
和久津(▲13.5P)
安田(▲109.5P)

このようなポイント状況で、和泉は決勝を見据えて少しでもプラスしたいところ。
和久津の条件は私とほぼ同じであった。
そして、安田は降級を逃れるために+40Pほどしないといけなかった。

各々の条件がある最終節。
この最終節は、去年の決勝面子が3人、それに次点の和泉と辛い卓だった。

私は開局から8,000→4,000オールとアガリを重ね、今日この後の展開に期待がかかる。
しかし、ジリジリと点数を削られ、3回戦のラス前。

一万七万八万二索二筒三筒六筒東東南南白中  ドラ三万

この手から300点ほどの浮きを守るために、和久津から切られた第一打の南をポン。
この選択が良かったのか悪かったのかは、わからない。
私にとっては当然のポンであったが、これをきっと「ダメだ」という人もいるだろう。

結果は最悪であった。

6巡目に一索四索待ちでテンパイを入れるが、和久津からリーチが入る。
和久津の捨て牌には一索がある。
この巡目なら、他家から捨てられる可能性もある。

「お願い。先にいて…!」

と、願うも虚しく、私が和久津のリーチに一発で持ってきたのは当たり牌の七筒であった。

四万五万六万四索五索六索七索七索四筒五筒六筒六筒八筒  リーチ

痛すぎる12,000の放銃。
それと同時に、今日の負けも覚悟せざるを得なかった。

「まだだ。まだ諦めるな」

4回戦が始まるまでに気持ちを立て直し、麻雀へと向き合う。
現状8位の仲田まで約15ポイント。

南場に入ってからは、綺麗とは言い難い形式テンパイの連続。
でも、それでも、目標に向かって一歩一歩、歩みを進める。

それは、和久津も、安田も同じこと。
苦しい手牌なら早めにテンパイを目指すための仕掛けを入れる。

「自分の親が流れたら、この1年の全てが今日で終わる」

そんな気持ちが、2人から伝わってきた。
そして、私も同じ気持ちだった。

カッコ悪くても、綺麗じゃなくても、必死に条件を作りにいく。
そんな全員の想いが込められた、良い最終戦だった。

オーラスは条件戦の連続であったが、最後は8,000をアガリ、プレーオフに7位で進めることとなった。

最後に、放銃したのは和久津。
和久津は納得したように頷くと、「プレーオフ頑張ってね!」と、激励の言葉をかけてくれた。
私は本当にこの人の事が大好きだ。

この日は少しマイナスして、プレーオフ5位で進出する事になったのは和泉。
色んな大会で上位につけていて、前回と今回の女流桜花でも安定的な成績を残している。

安定して強い。大崩れをする印象がない。
決勝に残る事が決まったら、優勝候補になるだろう。

そして、降級が決まってしまったのは安田。
2年連続で女流桜花決勝を戦った大本命がまさかの降級。
でも、私は安田ならすぐにまたここに戻ってくると信じている。

リーグ戦の内容を見ても、決定戦の内容を見ても、間違いなく女流プロの中で実力がトップクラスである事は間違いない。
そして、私は安田と打つ麻雀がとても楽しい。
また一緒に戦いたいから早く帰って来てね。

こうして1年間の女流桜花のリーグ戦が幕を閉じた。
締めくくりの最終節は、私の記憶と心に残る凄く楽しい時間だった。

残すはプレーオフと決定戦。

私は、決定戦に残るのはかなり難しい位置ですが、最後まで諦めずに精一杯戦います。
応援宜しくお願いします!